(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】気体吐出用ノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 1/04 20060101AFI20250107BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20250107BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B05B1/04
B08B3/02 G
B08B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2022052058
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2021082628
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517219454
【氏名又は名称】株式会社トリーエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古堤 裕行
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3230634(JP,U)
【文献】特開2000-210837(JP,A)
【文献】特開2008-080307(JP,A)
【文献】特開2003-205256(JP,A)
【文献】特表2015-524546(JP,A)
【文献】特開2007-084924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/04
B08B 3/02
B08B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有し、内部に、外部から高圧気体が導入される導入孔を有する導入部と、前後方向に沿って前記導入部と前記開口部との間を連通させる連通部と、を備え、
前記連通部は、前記前後方向の中間部に前記前後方向に直交する断面積が最小となる狭窄部と、前記導入部から前記狭窄部に向かって徐々に断面積が縮小する縮小部と、前記狭窄部から前記開口部に向かって徐々に断面積が拡大する拡大部と、を有
し、
平面視において、前記縮小部は、それぞれ平面で構成されるとともに前記導入部から前記狭窄部に向かって徐々に接近する2側面であって、前記前後方向に直交する幅方向の中心を通って前記前後方向に沿う中心軸について線対称となる位置に配置された2側面を備え、
平面視において、前記拡大部は、それぞれ平面で構成されるとともに前記狭窄部から前記開口部に向かって徐々に離間する2側面であって、前記中心軸について線対称となる位置に配置された2側面を備え、
平面視において、前記狭窄部は、前記縮小部の前記2側面のそれぞれと前記拡大部の前記2側面のそれぞれとの交点に位置し、
前記縮小部は前記中心軸を高さ方向に挟む位置に配置された互いに平行な第1平面及び第2平面の間に形成され、前記拡大部は前記中心軸を高さ方向に挟む位置に配置された互いに平行な複数の平面の間に形成され、前記第1平面は縮小部から前記狭窄部、前記拡大部及び前記開口部を経由して前面から所定長さだけ外部に延出した延出面に連続し、前記延出面の前端から背面方向に向かって延出面から離間するように傾斜した傾斜面を有する気体吐出用ノズル。
【請求項2】
前記拡大部は、前記第1平面との間に前記中心軸を高さ方向に挟む前記第1平面に平行な複数の平面であって、前記狭窄部から前記開口部に向かって前記第1平面との間隔が徐々に狭まる位置に配置された複数の平面を備えた請求項
1に記載の気体吐出用ノズル。
【請求項3】
前記連通部における前記狭窄部近傍の前記縮小部又は前記拡大部に、前記導入部に導入される高圧気体とは異なる流体が外部から供給される供給孔を備えた請求項1
又は2に記載の気体吐出用ノズル。
【請求項4】
前記導入部内の高圧気体を前記拡大部の
前記2側面に沿って
前記狭窄部を経由して前記拡大部内に導く凸部を前記導入部内に形成した請求項1乃至
3の何れかに記載の気体吐出用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の表面に高圧気体を吐出して異物を除去する等の目的で使用される気体吐出用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
製造工程で物品の表面に付着した異物を除去する手法として、被搬送物の表面に圧縮空気等の高圧気体を吐出する気体吐出用ノズルが用いられる。例えば、ポンプ又はコンプレッサー等の供給装置から供給された圧縮空気をエアナイフと呼ばれる気体吐出用ノズルから洗浄後の円筒状の容器の搬送中に高圧状態で吹き付け、容器の所定の領域から水分を除去するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
気体吐出用ノズルから吐出された高圧気体を吹き付けて物品の表面から異物を確実に除去するためには、物品の表面に対して多量の気体を十分な速度で吹き付ける必要がある。物品の表面から異物を確実に除去するために必要とされる気体の流量及び流速は、物品の形状や異物の種類によって異なるため、物品表面からの異物除去を目的とする気体吐出用ノズルには多量かつ高速の気体を吐出できる性能が要求される。
【0004】
その一方、物品の製造装置や搬送装置等において製造工程で物品の表面に付着した異物を除去する目的で使用される気体吐出用ノズルは、製造装置の限定された箇所に取り付けられるため、小型であるだけでなく、気体の吐出方向に高い指向性が要求される。また、消費電力の低減のためには気体の吐出量に対する供給量ができるだけ少なくなるように、効率性を高くする必要があり、さらに、製造環境の快適化のために吐出時の音量を小さくすることも要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の小型の気体吐出用ノズルでは、吐出方向の高指向性、供給量に対する吐出量の高効率性、及び吐出音の低騒音性の全てを高い水準で実現できるようにしたものがなかった。
【0007】
この発明の目的は、外部からの供給量に対して十分に多量かつ高速の高圧気体を吐出できるとともに、吐出方向の高指向性、吐出量の高効率性、及び吐出音の低騒音性の全てを高い水準で実現できる気体吐出用ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の気体吐出用ノズルは、前面に開口部を有し、内部に、外部から高圧気体が導入される導入孔を有する導入部と、前後方向に沿って前記導入部と前記開口部との間を連通させる連通部と、を備え、
前記連通部は、前記前後方向の中間部に前記前後方向に直交する断面積が最小となる狭窄部と、前記導入部から前記狭窄部に向かって徐々に断面積が縮小する縮小部と、前記狭窄部から前記開口部に向かって徐々に断面積が拡大する拡大部と、を有し、
平面視において、前記縮小部は、それぞれ平面で構成されるとともに前記導入部から前記狭窄部に向かって徐々に接近する2側面であって、前記前後方向に直交する幅方向の中心を通って前記前後方向に沿う中心軸について線対称となる位置に配置された2側面を備え、
平面視において、前記拡大部は、それぞれ平面で構成されるとともに前記狭窄部から前記開口部に向かって徐々に離間する2側面であって、前記中心軸について線対称となる位置に配置された2側面を備え、
平面視において、前記狭窄部は、前記縮小部の前記2側面のそれぞれと前記拡大部の前記2側面のそれぞれとの交点に位置し、
前記縮小部は前記中心軸を高さ方向に挟む位置に配置された互いに平行な第1平面及び第2平面の間に形成され、前記拡大部は前記中心軸を高さ方向に挟む位置に配置された互いに平行な複数の平面の間に形成され、前記第1平面は縮小部から前記狭窄部、前記拡大部及び前記開口部を経由して前面から所定長さだけ外部に延出した延出面に連続し、前記延出面の前端から背面方向に向かって延出面から離間するように傾斜した傾斜面を有する。
【0009】
導入孔を介して外部から導入部に導入された高圧気体は、連通部を経由して開口部に至る間に、縮小部で昇圧された後、拡大部で降圧される。高圧気体は、狭窄部を通過する際に加速され、多量の高圧気体が高速かつ小音量で開口部から外部に吐出される。
【0011】
開口部から前面側に吐出された高圧気体は、延出面に沿って層流を形成しつつ前方に流れる際に、傾斜面に接する部分に位置する外気を層流内に二次気体として誘引し、より多量の気体による層流の高圧気体を延出面に沿う方向に長く形成することができる。
【0012】
拡大部は、第1平面との間に中心軸を高さ方向に挟む第1平面に平行な複数の平面であって、狭窄部から開口部に向かって第1平面との間隔が徐々に狭まる位置に配置された複数の平面を備えたものとすることができる。
【0013】
狭窄部を通過する際に加速された高圧気体は、徐々に昇圧された状態で開口部に至り、さらに高速で開口部から外部に吐出される。
【0014】
連通部における狭窄部近傍の縮小部又は拡大部に、導入部に導入される高圧気体とは異なる流体が外部から供給される供給孔を備えることで、開口部から高圧気体に別の流体が混合した混合気体を吐出できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、外部からの導入量に対して十分に多量かつ高速の高圧気体を吐出する際に、吐出方向の高指向性、吐出量の高効率性、及び吐出音の低騒音性の全てを高い水準で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施形態に係る気体吐出用ノズルの開蓋状態の平面図及び閉蓋状態の側面断面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、この発明の第2の実施形態に係る気体吐出用ノズルの開蓋状態の平面図及び閉蓋状態の側面断面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、この発明の第3の実施形態に係る気体吐出用ノズルの開蓋状態の平面図及び閉蓋状態の側面断面図である。
【
図4】(A)~(C)は、この発明の第4の実施形態に係る気体吐出用ノズルの開蓋状態の平面図、閉蓋状態の側面断面図及び本体要部の拡大側面断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、この発明の第5の実施形態に係る気体吐出用ノズルの開蓋状態の平面図及び閉蓋状態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施形態に係る気体吐出用ノズル及び搬送装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1(A)及び(B)に示すように、この発明の第1の実施形態に係る気体吐出用ノズル10は、一例として、本体1と蓋体2とからなり、金属又は樹脂を素材として、前面に矩形の開口部3を有する筐体構造を呈し、内部に導入部4及び連通部5を有し、延出面6、蓋体傾斜面7、導入孔8を備えている。気体吐出用ノズル10において、導入孔8を介して導入部4内に導入された高圧気体が連通部5を経由して開口部3から前方に吐出される。本体1と蓋体2とは図示しない複数のネジ、接着剤、溶接等の適宜の方法で接合できる。
【0019】
連通部5は、前後方向に沿う中心軸CLを高さ方向に挟む互いに平行な第1平面11及び第2平面12の間に形成されている。第1平面11と第2平面12との間隔は、一例として1mmにされている。一例として第2平面12は、蓋体2の底面である。連通部5は、前後方向の中間部に中心軸CLに直交する断面積が最小となる狭窄部5Aを備え、導入部4から狭窄部5Aに向かって断面積が縮小する縮小部5Bと、狭窄部5Aから開口部3に向かって断面積が拡大する拡大部5Cと、からなる。
【0020】
連通部5が互いに平行な第1平面11及び第2平面12の間に形成されているため、縮小部5B及び拡大部5Cにおける中心軸CLに直交する断面積の変化は、第1平面11及び第2平面12に直交する側面23と側面24との間隔、並びに側面25と側面26との間隔によって生じる。平面視において、側面23及び側面24は、それぞれ中心軸CLとのなす角度を18度として中心軸CLを幅方向に挟んで線対称となる位置に配置されている。側面25及び側面26は、それぞれ中心軸CLとのなす角度を18度として中心軸CLを幅方向に挟んで線対称となる位置に配置されている。側面23~26が中心軸CLとなす角度はこれに限るものではない。側面23及び側面24が中心軸CLについて対称となり、側面25及び側面26が中心軸CLについて線対称となることを条件に、任意の角度とすることができる。また、側面23と側面24との間及び側面25と側面26との間に円弧を挟むこともできる。
【0021】
導入部4は、一例として平面視において円形を呈しているが、これに限るものではない。導入孔8は、一例として、円形断面を呈し、本体1の底面側から導入部4に向けて前傾して貫通している。導入孔8は、導入部4を本体1の外部に連通させるものであり、軸方向の少なくとも一部に、図外の接続器具の雄ねじ部が螺合する雌ねじ部(図示せず。)が形成されている。接続器具が螺合によって導入孔8に接続されることで、図外のポンプ又はコンプレッサー等の供給装置から供給される高圧気体が、導入孔8を介して導入部4内に導入される。
【0022】
延出面6は、蓋体傾斜面7とともに蓋体2に形成されており、第1平面11に連続して開口部3から前方に所定長さL1だけ延出している。所定長さL1は、一例として5mmである。蓋体傾斜面7は、延出面6の前端から面取部7Aを挟んで背面1B側に向かって第1平面11から離間するように傾斜している。面取部7Aは、取扱時の安全性を考慮して形成されており、円弧状に形成することもでき、安全性を考慮する必要が無い場合は省略できる。
【0023】
導入孔8を経由して導入部4内に高圧気体を連続して導入すると、高圧気体は連通部5を通過して開口部3から前方に向けて吐出される。このとき、高圧気体は、狭窄部5Aに至る間に縮小部5Bで昇圧された後、拡大部5Cで降圧されて加速し、高速で開口部3から吐出された後、延出面6に沿って層流を形成するとともに、蓋体傾斜面7に接する部分に位置する外気を層流内に二次気体として誘引する。開口部3から吐出された高圧気体は誘引した二次気体によって増幅され、開口部3からの吐出量よりも多量の気体による層流が延出面6の表面に沿う方向に形成される。
【0024】
これによって、気体吐出用ノズル10は、供給装置からの供給量に比較して多量の高圧気体を高速で層流にして吐出することができ、吐出された高圧気体の指向性を高く保つことができるとともに、高圧気体の拡散による騒音の発生を抑制して快適な作業環境を提供できる。
【0025】
なお、所定長さL1は、気体吐出用ノズル10が高圧気体を吐出する際の騒音量だけでなく高圧気体の流速や圧力にも影響を与える。所定長さL1を種々変更して高圧気体の流速及び圧力、並びに騒音量を測定した結果、所定長さL1は、2~7mmの範囲が好ましく、より好ましくは4~6mmであった。また、延出面6と蓋体傾斜面7とがなす角度は、気体吐出用ノズル10から吐出される高圧気体の流量に影響を与えるが、気体吐出用ノズル10の小型化を考慮すれば15度~45度の範囲が好ましい。
【0026】
加えて、高さ方向における本体1と蓋体2との分割位置は、第1平面11に限るものではなく、第1平面11と第2平面12との間の任意の位置とすることができる。また、3Dプリンタ等を用いて気体吐出用ノズル10を一体的に形成することもできる。さらに、導入孔8は導入部4を本体1の底面に貫通させるものに限らず、使用状況に応じて本体1の背面若しくは側面、又は蓋体2の背面、側面若しくは上面に貫通させるものとすることもできる。
【0027】
図2(A)及び(B)に示すように、この発明の第2の実施形態に係る気体吐出用ノズル20は、狭窄部5Aの近傍における縮小部5B内の第1平面11に開口した孔部21を備えている。孔部21は、本体1の底面側から液体供給用の接続器具が螺合するネジ孔22に連通している。その他の構成は、気体吐出用ノズル10と同様である。
【0028】
導入孔8を経由して導入部4内に高圧気体を連続して導入するとともに、ネジ孔22に螺合した図外の接続器具から孔部21に液体を供給すると、液体が混合した高圧気体が開口部3から延出面6に沿う層流をなして前方に向けて吐出される。これによって、液体が混合した多量かつ高速の高圧気体を高指向性かつ低騒音で吐出することができる。液体として、例えば洗浄液を用いることにより、被洗浄物を快適な環境下で効率的に洗浄できる。なお、第2平面12に開口する孔部21をネジ孔22とともに蓋体2に配置することもできる。
【0029】
図3(A)及び(B)に示すように、この発明の第3の実施形態に係る気体吐出用ノズル30は、狭窄部5Aの近傍における拡大部5C内の第1平面11に開口した孔部31を備えている。孔部31は、本体1の底面側から液体供給用の接続器具が螺合するネジ孔32に連通している。その他の構成は、気体吐出用ノズル10と同様である。
【0030】
導入孔8を経由して導入部4内に高圧気体を連続して導入するとともに、ネジ孔32に螺合した図外の接続器具から孔部31に液体を供給すると、液体が混合した高圧気体が開口部3から前方に向けて吐出される。孔部31が露出する拡大部5C内の圧力は、縮小部5B内の圧力よりも低圧であるため、接続器具から孔部31に液体を供給する際の圧力を低くすることができる。
【0031】
図4(A)~(C)に示すように、この発明の第4の実施形態に係る気体吐出用ノズル40は、拡大部45Cに第3平面13を備え、開口部43に第4平面14を備え、第1平面11と第2平面12との間隔を一例として2.5mmとしている。また、蓋体傾斜面47の角度を30度とし、導入部44を平面視において長円形状とし、本体傾斜面49を形成している。さらに、蓋体42の背面と導入部44との間を連通する導入孔48を蓋体42に設けている。その他の構成は、気体吐出用ノズル10と同様である。
【0032】
第3平面13及び第4平面14は、第1平面11及び第2平面12と平行であり、第2平面12との間に中心軸CLを高さ方向に挟む。第2平面12と第3平面13との間隔は一例として1mm、第2平面12と第4平面14との間隔は一例として0.05mmにされている。本体傾斜面49は、開口部43の前端から一例として0.5mmの面取部49Aを介して30度の角度で背面側に向かって第4平面から離間する方向に傾斜している。
【0033】
導入孔48を経由して導入部44内に高圧気体を連続して導入すると、高圧気体は、狭窄部45Aに至る間に縮小部45Bで昇圧され、拡大部45Cで降圧されて加速し、開口部43で再度昇圧された後、延出面46で再度加速されて前面側に層流を形成しつつ吐出される。このとき、蓋体傾斜面47に接する部分に位置する外気だけでなく、本体傾斜面49に接する部分に位置する外気をも層流内に二次気体として誘引する。より多量かつより高速の高圧気体を高指向性かつ低騒音で吐出することができる。
【0034】
拡大部45Cにおいて、第1平面11と第3平面13との間に傾斜面を挟むことができ、第3平面13と第4平面14との間に傾斜面を挟むこともできる。また、中心軸CLについて第3平面13及び第4平面14と線対称となる第5平面及び第6平面を蓋体42に形成することもできる。さらに、導入孔48は導入部44を蓋体42の背面に貫通させるものに限らず、使用状況に応じて蓋体42の上面若しくは側面、又は本体41の背面、側面若しくは底面に貫通させるものとすることもできる。
【0035】
図5(A)及び(B)に示すように、この発明の第5の実施形態に係る気体吐出用ノズル50は、気体吐出用ノズル40において、導入部44に凸部51を設けたものである。その他の構成は、気体吐出用ノズル40と同様である。
【0036】
凸部51は、一例として本体41に一体的に形成され、導入部44の高さに一致する高さにされて導入部44の全高にわたって配置されている。凸部51は、平面視において三角形形状を呈し、側面525及び側面526からそれぞれ延長された壁面51A及び壁面51B、直線状の背面51Cを備えている。なお、凸部51を蓋体2に一体的に形成することもできる。
【0037】
背面51Cは、凸部51の外側に向かって凸となる円弧状、又は凸部51の内側に向かって凸となる円弧状に形成することもできる。また、背面51Cは、複数の平面で形成することもでき、この場合には凸部51は、平面視において菱形や五角形等の形状となるが、拡大部45C側は壁面51A及び壁面51Bで構成する。凸部51における最も拡大部45C側は、円弧面で構成することもできる。
【0038】
導入部44に凸部51を備えることにより、導入部44内の高圧気体が拡大部45Cに流入する際に壁面51A及び壁面51Bに沿う方向に導かれる。これによって、側面525及び側面526に沿って流れる高圧気体の流量が増加し、開口部43の長手方向について高圧気体が中央部に集中することを防止して均一に吐出させることができる。壁面51A及び壁面51Bは、必ずしも側面525及び側面526からそれぞれ延長した面で形成する必要は無いが、気体の流通方向に沿って側面525及び側面526との間隔を一定にする面で構成するか、少なくとも気体の流通方向に沿って側面525及び側面526との間隔を徐々に狭める面で構成すべきである。
【0039】
なお、上記の実施形態はいずれも一例であり、この発明はこれらに限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々の変更を加えることが可能である。例えば、蓋体傾斜面7、蓋体傾斜面47及び本体傾斜面49は、高圧気体の吐出方向について層流が剥離しない範囲で湾曲させることもできる。また、取扱時の安全性を考慮して、気体吐出用ノズル10、20、30及び40の外表面における角部の一部又は全部を面取り又は円弧で形成することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1-本体
2-蓋体
3-開口部
4-導入部
5-連通部
5A-狭窄部
5B-縮小部
5C-拡大部
6-延出面
7-蓋体傾斜面
8-導入孔
10-気体吐出用ノズル