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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A01K85/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023132491
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】500300592
【氏名又は名称】村田金箔株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261046(JP,A)
【文献】実開昭60-179170(JP,U)
【文献】国際公開第2019/008643(WO,A1)
【文献】特開2005-102582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K83/00-85/18
91/00-91/16
91/20-95/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂から成り、中空のボディと、
一部が前記ボディの内部に配置され、金属材料から成る金属部材と、
硬質合成樹脂材料又は硬質発泡素材から成り、前記金属部材の少なくとも一部を被覆する樹脂部材と、
を備え、
前記ボディは、少なくとも2分割で構成され、第1のボディと第2のボディを接着することで形成され、
前記金属部材は、
前記ボディの外部に露出するアイと、
前記第1のボディと前記第2のボディの接着箇所に配置される接合部と、
を有し、
前記樹脂部材は、前記接合部を被覆し、前記第1のボディ及び前記第2のボディと当接し、接合していること、
を特徴とするルアー。
【請求項2】
前記ボディと前記樹脂部材は、同一の樹脂から成ること、
を特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記樹脂部材は、前記アイを除き、前記金属部材全体を被覆していること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項4】
前記金属部材は、前記ボディの長手方向の中心部に配置されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項5】
前記第1のボディ及び前記第2のボディは、それぞれリブを有し、
前記金属部材は、前記第1のボディ及び前記第2のボディの前記リブに挟み込まれ、支持されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項6】
前記金属部材は、1本の金属線又は1本のプレートから成ること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項7】
前記ボディは、前記ボディの内周面から外周面に達する孔を有し、
前記樹脂部材は、前記接合部と連接する壁部を有し、
前記壁部は、前記孔が設けられた周辺の前記ボディの内周面に当接していること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項8】
前記樹脂部材は、前記接合部と連接し、前記孔が設けられた周辺の前記ボディの外周面に当接する壁部を更に有すること、
を特徴とする請求項7に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣り用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りを行う際、対象の魚の餌に代えて、疑似餌となるルアーを用いることがある。ルアーは、対象の魚の餌に似た外観を有する中空のボディと、釣り糸や針と接続するアイを有する金属部材を備える。
【0003】
ルアーの種類の中で、プラスチックルアーが知られている。プラスチックルアーは、ボディが樹脂から成る。一方、金属部材はステンレス等の金属材料から成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-016548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、従来のルアー100の内部構造を示す図である。図8に示すように、ボディ200の内部には、アイ330以外の金属部材300及び鉛や金属球から成る錘(不図示)等が収容されている。ボディ200は2分割に構成されている。2分割されたボディ200は、接合することで形成され、ルアー100は作製される。
【0006】
接合箇所には金属製の金属部材300が設けられ、金属部材300がボディ200の外部に突き出ている箇所がある(例えば、図7の点線丸部分)。当該接合箇所は、金属と樹脂という異質の部材が接合しているので、接合強度が弱い。そのため、魚がヒットしたとき等の外部から衝撃を受けた際に、金属と樹脂の接合箇所が割れるなど損傷し、ボディ200内部に浸水が発生する虞がある。浸水すると、ルアー100としての機能が低下し、場合によって使用不能になってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、接合箇所の強度を上げ、ボディ内部への浸水を防止するルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のルアーは、樹脂から成り、中空のボディと、一部が前記ボディの内部に配置され、金属材料から成る金属部材と、硬質合成樹脂材料又は硬質発泡素材から成り、前記金属部材の少なくとも一部を被覆する樹脂部材と、を備え、前記ボディは、2分割で構成され、少なくとも第1のボディと第2のボディを接着することで形成され、前記金属部材は、前記ボディの外部に露出するアイと、第1のボディと第2のボディの接着箇所に配置される接合部と、を有し、前記樹脂部材は、前記接合部を被覆し、前記第1のボディ及び前記第2のボディと当接し、接合していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接合箇所の強度を上げ、ボディ内部への浸水を防止するルアーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態におけるルアーの全体構成を示す斜視図である。
図2】リブを拡大した拡大斜視図である。
図3】金属部材を樹脂部材で被覆した状態を示す図である。
図4】樹脂部材で被覆された金属部材をボディに収容した状態を示す図である。
図5】ボディ接着部を拡大した拡大斜視図である。
図6】変形例1に係るボディ接着部の構成を示す拡大図である。
図7】変形例2におけるアイの構成を示す拡大図である。
図8】従来のルアーの内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
実施形態に係るルアー1について図面を参照しつつ説明する。図1は、ルアー1の全体構成を示す斜視図である。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。
【0012】
ルアー1は、疑似餌とも呼ばれ、釣り対象の魚の餌に似せて作製された釣り道具である。釣り人が釣り竿を動かすことで、釣り対象の魚がルアーを生きた魚(餌)と錯覚させる。ルアー1の大きさは、釣り対象の魚に応じて様々なサイズが存在する。例えば、2cm程度の小さいものから20cmを超える大きなものまで存在する。本実施形態のルアー1は、20cm程度の大きさであり、大きな魚を釣るのに適している。ルアー1は、図1に示すように、ボディ2、金属部材3、及び樹脂部材4を備える。
【0013】
ボディ2は、魚の形状を模した外形形状である。ボディ2の外表面には、魚の模様や色彩を模した表面加工を行ってもよい。ボディ2は、細長い形状である。ボディ2は、中空である。ボディ2の内部には、金属部材3や錘(不図示)などが配置される。ボディ2は、樹脂から成る。ボディ2を構成する樹脂としては、ABS樹脂等の合成樹脂材料、硬質発泡素材等をあげることができる。なお、ボディ2の形状は、釣り対象の魚に合わせた形状にすればよい。
【0014】
ボディ2は、2分割で構成され、第1のボディ2a及び第2のボディ2bを有する。第1のボディ2a及び第2のボディ2bは、概略同一の形状及び大きさである。第1のボディ2a及び第2のボディ2bは、溶着剤等を用いて溶着することで接合され、ボディ2が形成される。例えば、第1のボディ2aに、金属部材3等のボディ2の内部に配置する部材を配置させ、その後、第2のボディ2bを第1のボディ2aに重ね合わせ、溶着する。なお、溶着ではなく、接着剤等で第1のボディ2a及び第2のボディ2bを接合させたり、高周波を当てて素材自体の分子を振動させ、その分子運動によって素材の内側から発生する熱を利用したウェルダー溶着によって接合させてもよい。
【0015】
ボディ2は、金属部材3のアイ33a、33b、33cをボディ2の外部に露出させるための孔が設けられている。第1のボディ2aと第2のボディ2bが重なり合いことで、円形の孔が形成される。つまり、第1のボディ2a及び第2のボディ2bは、それぞれ半円形状の切欠き21を有する。
【0016】
第1のボディ2a及び第2のボディ2bは、リブ22を有する。リブ22は、板状の部材である。第1のボディ2aのリブ22は、第1のボディ2aの内周面から第2のボディ2bに向かって延びている。第2のボディ2bのリブ22は、第2のボディ2bの内周面から第1のボディ2aに向かって延びている。リブ22の延び先端面は、第1のボディ2aと第2のボディ2bの境界線上に位置する。
【0017】
リブ22は、複数設けられている。複数のリブ22は、等間隔に設けられている。第1のボディ2aのリブ22と第2のボディ2bのリブ22は、それぞれ対応する位置に配置されている。第1のボディ2a及び第2のボディ2bのリブ22の先端面は、当接する。図2は、リブ22を拡大した拡大斜視図である。リブ22の先端面には、半円状の凹み222が設けられている。凹み222は、半円形状であり、第1のボディ2a及び第2のボディ2bのリブ22が重なり合うことで、円形の孔となる。この凹み222に樹脂部材4に被覆された金属部材3を収容し、第1のボディ2a及び第2のボディ2bのリブ22で挟み込むことで、金属部材3は支持される。
【0018】
なお、リブ22は、複数設ける必要はなく、1つであってもよい。また、リブ22を複数設ける場合においても、等間隔で設ける必要はない。さらに、凹み222の形状は、半円形状ではなく、例えば、矩形状であってもよい。
【0019】
図3は、金属部材3を樹脂部材4で被覆した状態を示す図である。図4は、樹脂部材4で被覆された金属部材3をボディ2aに収容した状態を示す図である。金属部材3は、金属材料から成る。金属材料としては、ステンレス等の金属線や金属プレートが挙げられる。本実施形態では、金属部材3は、一本の円形の金属線から成る。金属部材3には、防錆剤を塗布してもよい。金属部材3は、一本の長尺な金属線を折り曲げて形成される。
【0020】
金属部材3は、直線部31、連結部32、アイ33及び接合部34を有する。直線部31は、ボディ2の内部に配置される。直線部31は、ボディ2の長手方向に沿って延びている。直線部31は、ボディ2の中心部に配置されている。ここでいう中心部に配置されるとは、直線部31の一部が中心部に配置されていれば足りる。また、中心部は、ボディ2の完全な中心だけではなく中心付近も含まれる。
【0021】
直線部31は、連結部32を境に直線部31a、31bに分かれる。本実施形態では、直線部31a、31bは、同一直線上に配置されていないが、同一直線状に配置させてもよい。直線部31a、31bは、小径部311及び大径部312を有する。小径部311は、金属線1本分の外径を有する部分である。大径部312は、金属線の始端、終端を含む部分であり、金属線が折り返されて形成される部分である。つまり、大径部312は、小径部311の略2倍の外径となっている。
【0022】
連結部32は、ボディ2の内部に配置される。連結部32は、ボディ2の短手方向に沿って延びている。即ち、連結部32は、直線部31と交差する方向に延びている。連結部32は、直線部31とアイ33cの間に設けられている。
【0023】
アイ33は、ボディ2の外部に露出している。本実施形態では、アイ33は3つ設けられている。アイ33a、33b、33cは、金属線をリング状に加工することで形成される。アイ33a、33bは、ボディ2の長手方向の端部にそれぞれ配置されている。アイ33cは、連結部32の先端に設けられ、ボディ2の下方に配置されている。アイ33a、33b、33cには、釣り糸(ライン)や釣り針(フック)などが取り付けられる。
【0024】
接合部34は、直線部31又は連結部32とアイ33a、33b、33cを繋ぐ部材である。即ち、接合部34の一方端部は、直線部31又は連結部32と接続し、接合部34の他方端部は、アイ33a、33b、33cの何れかと接続している。接合部34は、金属部材3がボディ2の外部に突出する箇所に設けられる。
【0025】
接合部34は、第1のボディ2aと第2のボディ2bの間に配置される。より詳細には、接合部34は、ボディ2の孔に配置される。つまり、接合部34は、第1のボディ2a及び第2のボディ2bの切欠き21の中に収容される。もっとも、接合部24は、第1のボディ2a及び第2のボディ2bとは接触していない。
【0026】
樹脂部材4は、樹脂から成る部材である。樹脂の種類としては、ABS樹脂等の合成樹脂材料、硬質発泡素材等をあげることができる。特に、ボディ2と同一の種類の樹脂を用いることが好ましい。即ち、ボディ2がABS樹脂から成る場合には、樹脂部材4の樹脂もABS樹脂を用いることが好ましい。樹脂部材4とボディ2の接着性が上がり、ボディ2内部に浸水することを効果的に防止できるためである。なお、同一の種類の樹脂とは、種類が同一であればよく、その樹脂を構成する材料の組成割合まで同一にする必要はない。即ち、例えば、ABS樹脂の場合、ABS樹脂を構成するアクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)及びスチレン(S)が含有して成れば足り、各材料の含有割合まで同一である必要はない。
【0027】
樹脂部材4は、金属部材3の周囲を被覆する。樹脂部材4は、少なくとも金属部材3の接合部34を被覆するボディ接着部41を有する。もっとも、本実施形態では、樹脂部材4は、接合部34のみではなく、金属部材3の直線部31a、31b、連結部32も被覆している。即ち、樹脂部材4は、アイ33a、33b、33cを除き金属部材3の周囲を被覆している。
【0028】
図5は、ボディ接着部41を拡大した拡大斜視図である。図5では、アイ33aと連接する接合部34のボディ接着部41を拡大している。ボディ接着部41は、ボディ2の孔と同様の形状であり、本実施形態では円形である。ボディ接着部41は、ボディ2の孔と同径である。ボディ接着部41は、ボディ2の孔に収容される。即ち、ボディ接着部41は、第1のボディ2a及び第2のボディ2bの切欠き21内部に配置され、第1のボディ2aと第2のボディ2bに挟み込まれる。
【0029】
ボディ接着部41は、第1のボディ2aと第2のボディ2bと当接している。ボディ接着部41は、ボディ2の孔の長さよりも若干長い。そのため、ボディ接着部41の外周面側端部は、ボディ2の外部に少し突出している。なお、ボディ接着部41の外周側端部は、必ずしもボディ2の外部に突出する必要はなく、ボディ2の外周面と同一面を形成していてもよい。
【0030】
樹脂部材4は、壁部42を有する。壁部42は、円形の薄板状の部材である。もっとも、壁部42の形状は円形に限定されず、例えば矩形であってもよい。壁部42は、ボディ2の内部に配置される。壁部42は、ボディ接着部41の内周面側端部と連接している。壁部42は、ボディ2の内周面に当接する。壁部42は、ボディ2の内周面と溶着させてもよい。壁部42は、ボディ接着部41の中心軸に直交する方向に拡がる。なお、壁部42がボディ2の内周面に当接する形態には、壁部42の全面がボディ2の内周面に当接している状態のみではなく、壁部42とボディ2の内周面の一部に隙間がある状態も含まれる。
【0031】
樹脂部材4は、モールド成形によって金属部材3の周囲に形成される。そのため、ボディ接着部41、壁部42及び直線部31a、31b、連結部を被覆している樹脂部材4は、継ぎ目無く一続きに形成されている。
【0032】
(作用)
次に、ルアー1の作製方法について説明する。まず、金属部材3をモールド成形によって樹脂部材4で被覆する。このモールド成形によって、ボディ接着部41及び壁部42が形成される。
【0033】
その後、第1のボディ2aの所定の位置に樹脂部材4で被覆された金属部材3を配置する。つまり、接合部34を被覆したボディ接着部41は、ボディ2aの切欠き21に配置される。そして、第1のボディ2aに第2のボディ2bを重ね合わせ、溶着剤を用いて第1のボディ2a及び第2のボディ2bと樹脂部材4のボディ接着部41を溶着させる。
【0034】
ここで、金属部材3の接合部34は樹脂部材4のボディ接着部41によって被覆されている。そのため、金属部材3は、第1のボディ2a及び第2のボディ2bと当接せず、ボディ接着部41が当接する。そのため、金属と樹脂という異質の材料が溶着することがない。この溶着作業が終了することで、ルアー1は作製される。
【0035】
(効果)
以上のとおり、本実施形態のルアー1は、樹脂から成り、中空のボディ2と、一部がボディ2の内部に配置され、金属材料から成る金属部材3と、金属部材3の少なくとも一部を被覆する樹脂部材4と、を備える。ボディ2は、少なくとも2分割で構成され、第1のボディ2aと第2のボディ2bを接着することで形成される。金属部材3は、ボディ2の外部に露出するアイ33a、33b、33cと、第1のボディ2aと第2のボディ2bの接着箇所に配置される接合部34と、を有する。樹脂部材4は、接合部34を被覆するボディ接着部41を有し、ボディ接着部41は第1のボディ2a及び第2のボディ2bと当接している。
【0036】
これにより、ボディ2内部への浸水を防止できる。従来は、接合部34を樹脂部材4で被覆せず、金属製の金属部材3と樹脂製のボディ2を溶着していた。そのため、金属と樹脂という異質の材料が溶着により接合されていたので、接合箇所の耐久性が低く、外部からの衝撃によって接合箇所に割れが生じ、ボディ2内部に浸水する虞があった。
【0037】
しかし、本実施形態のルアー1は、金属部材3の接合部34を樹脂部材4のボディ接着部41で被覆し、ボディ接着部41がボディ2と溶着している。つまり、同じ樹脂同士が溶着しているので、従来のものよりも接合箇所の強度が上がる。よって、ルアー1に外部から衝撃が加えられた場合においても、接合箇所に割れ等の損傷が生じることを防止できる。
【0038】
特に、本実施形態では、ルアー1は20cm程度の大きさであり、大きな魚を釣るために用いられる。そのため、魚を釣った場合、ルアー1に強い衝撃が与えられる可能性が高い。このような場合においても、本実施形態のルアー1は、強度が上がっているので接合箇所の損傷を防止でき、ボディ2内部への浸水を防止できる。
【0039】
ボディ2と樹脂部材4は、同一の種類の樹脂から成る。つまり、溶着による接合箇所は同一の樹脂により構成される。これにより、接合箇所の強度がより上がり、ボディ2内部への浸水をより効果的に防止できる。
【0040】
樹脂部材4は、アイ33a、33b、33cを除き、金属部材3全体を被覆している。これにより、樹脂部材4が金属部材3の接合部34のみを被覆している場合に比べて、接合箇所の強度が上がる。また、仮に、接合箇所に損傷が生じた場合においても、浸水量を最小限にとどめることができる。
【0041】
金属部材3は、ボディ2の長手方向の中心部に配置されている。従来のルアー100は、図8に示すように、ボディ200と金属部材300の接合箇所において、ボディ200の樹脂厚を厚く設計していた(図7の点線丸部分)。樹脂が集中するところは、成型時の熱収縮によって凹みや歪みが生じやすい。そこで、この凹みや歪みを防止するため、図8に示すように、ボディ200の外側に近い部分(ボディ200の内周面と外周面の間)に配置する必要があった。
【0042】
しかし、本実施形態では、ボディ2の厚みが略同一であり、熱収縮による凹みや歪みが生じにくい。そのため、金属部材3をボディ2の形状に合わせて折り曲げる必要がなく、作業効率が向上する。また、折り曲げた箇所には応力が生じるが、本実施形態のように、金属部材3の直線部31が、ボディ2の中心部をボディ2の長手方向に沿って延びていることによりに、金属部材3の強度が上がり、その結果、接合箇所の強度も上がる。また、金属部材3を配置する場所の制約もないので、設計の自由度が上がる。
【0043】
第1のボディ2a及び第2のボディ2bは、それぞれリブ22を有し、金属部材3は、第1のボディ2a及び第2のボディ2bのリブ22に挟み込まれ、支持されている。これにより、金属部材3の位置が規制される。魚を釣り上げる場合など、アイ33a、33b、33cには大きな衝撃が加えられ、その衝撃が接合箇所にも伝播する。しかし、金属部材3はリブ22によって強固に支持されているので、衝撃が加えられても、衝撃の伝播が抑制でき、接合箇所に応力が生じることを抑制できる。よって、接合箇所が損傷し、ボディ2内部に浸水することを効果的に防止できる。
【0044】
金属部材3は、1本の金属線又は1本のプレートから成る。これにより、金属部材3の強度が上がり、接合箇所の強度も上がる。よって、接合箇所の損傷を防止できる。
【0045】
ボディ2は、ボディ2の内周面から外周面に達する孔を有し、樹脂部材4は、接合部34と連接する壁部43を有する。壁部42は、孔が設けられた周辺のボディ2の内周面に当接している。
【0046】
これにより、ボディ接着部41が損傷したとしても、壁部42によってボディ2内部への浸水を防止できる。特に、壁部42をボディ2の内周面と溶着させるとよい。これにより、接合箇所の面積を増加させることができ、接合箇所の強度が更に上がる。
【0047】
(変形例1)
変形例1のルアー1について図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図6は、変形例1に係るボディ接着部41周辺の構成を示す拡大図である。
【0048】
変形例1のルアー1は、樹脂部材4が、ボディ2の内周面側の壁部42以外に、ボディ2の外周面側に壁部43を有する。壁部43は、ボディ接着部41の外周側端部と連接している。壁部43は、ボディ2の外部に配置され、ボディ2の外周面に当接する。壁部43は、ボディ2の外周面と溶着していてもよい。
【0049】
ボディ接着部41は、壁部42と壁部43によって挟み込まれている。換言すれば、ボディ2の孔は、壁部42と壁部43で挟み込まれている。
【0050】
以上のとおり、変形例1のルアー1は、樹脂部材4が壁部43を更に有し、ボディ2の孔を壁部42と壁部43で挟み込んでいる。これにより、接合箇所の面積が増加し、接合箇所の強度が更に上がる。その結果、より強い衝撃を受けた場合であっても、接合箇所の損傷を防止でき、ボディ2内部への浸水を防止できる。また、仮に、ボディ接着部41及び一方の壁部42、43が損傷したとしても、他方の壁部42、43によって浸水を阻止できる。
【0051】
(変形例2)
変形例1のルアー1について図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図7は、変形例2におけるアイ33の構成を示す拡大図である。
【0052】
第1の実施形態では、金属部材3が有する3つのアイ33a、33b、33cは、1本の金属線から形成させていたが、変形例2のアイ33は、エイト環などと呼ばれる金属線を8の字形状に形成させ、別々の金属線によって構成させている。即ち、変形例2のルアー1は、アイ33の数と同数の金属部材3を備える。
【0053】
この金属部材3は、アイ33、接合部34及びリング部35を有する。リング部35は、金属線をリング状に形成した部分であり、アイ33とは接合部34を介して反対側には設けられている。換言すれば、接合部34は、アイ33とリング部35の間に設けられている。リング部35は、ボディ2の内部に配置される。リング部35は、樹脂部材4に被覆されている。
【0054】
以上のとおり、変形例2のルアー1は、金属部材3が8の字型に形成されている。このような場合においても、ボディ2と樹脂部材4のボディ接着部41が溶着するので、接合箇所の強度が上がり、ボディ2内部への浸水を防止できる。
【0055】
また、ルアー1は、ルアーのボディをジョイントで連結したジョイントルアーと呼ばれるものであってもよい。このようなジョイントルアーであっても、接合箇所に割れ等の損傷が生じることを防止できる。
【0056】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 ルアー
2 ボディ
2a 第1のボディ
2b 第2のボディ
21 切欠き
22 リブ
222 凹み
3 金属部材
31、31a、31b 直線部
311 小径部
312 大径部
32 連結部
33a、33b、33c アイ
34 接合部
35 リング部
4 樹脂部材
41 ボディ接着部
42 壁部
100ルアー
200 ボディ
300 金属部材
330 アイ
【要約】      (修正有)
【課題】接合箇所の強度を上げ、ボディ内部への浸水を防止するルアーを提供する。
【解決手段】ルアー1は、樹脂から成り、中空のボディ2と、一部がボディ2の内部に配置され、金属材料から成る金属部材3と、樹脂から成り、金属部材3の少なくとも一部を被覆する樹脂部材4と、を備える。ボディ2は、2分割で構成され、第1のボディ2aと第2のボディ2bを接着することで形成される。金属部材3は、ボディ2の外部に露出するアイ33と、第1のボディ2aと第2のボディ2bの接着箇所に配置される接合部34と、を有する。樹脂部材4は、接合部34を被覆し、第1のボディ2a及び第2のボディ2bと当接し、接合している。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8