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特許7613772隊列走行システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析技法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】隊列走行システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析技法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20250107BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20250107BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G06F11/34 147
G06F11/07 151
G06F11/07 140A
G06F11/30 140A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023197228
(22)【出願日】2023-11-21
(65)【公開番号】P2024076995
(43)【公開日】2024-06-06
【審査請求日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0160655
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518366555
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペ・ドゥファン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・サンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】チ・ウンギョン
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161305(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157471(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0111639(US,A1)
【文献】松本 啓之亮,システムのディペンダビリティ向上へのアプローチ,システム/制御/情報,日本,システム制御情報学会,2010年05月15日,第54巻 第5号,pp.1-7,[ISSN]0916-1600
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G06F11/07
11/28-11/36
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08G 1/00-99/00
G16Z99/00
H03J 9/00-9/06
H04B 7/24-7/26
H04M 3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q 9/00-9/16
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置で実行されるシステムオブシステムズ(System Of Systems:SOS)における時間パターン基盤の協調障害分析方法であって、
システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出する段階、および
前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定する段階
を含む、時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項2】
前記抽出する段階は、
前記システムオブシステムズで実行される相互作用ログと前記相互作用ログの通過タグおよび障害タグを利用して、前記相互作用ログが目標属性を満たしているかどうかを確認する段階
を含む、請求項1に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項3】
前記抽出する段階は、
前記障害タグを含む相互作用ログからメッセージ基盤のメッセージシーケンスを生成する段階
を含む、請求項2に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項4】
前記システムオブシステムズは、隊列走行システムオブシステムズを含み、
前記抽出する段階は、
前記隊列走行システムオブシステムズで生成された相互作用モデルを利用して、構成システム(Constituent Systems:CS)間の相互作用ログを車両間の通信メッセージシーケンスとして示す段階
を含む、請求項1に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項5】
前記抽出する段階は、
前記相互作用ログの多次元および時間的特徴を考慮したTIME-LCS(TIMed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)基盤の協調障害分析によって共通サブシーケンス(Longest Common Subsequence:LCS)を抽出する方式により、前記システムオブシステムズの相互作用協調障害パターンを抽出する段階
を含む、請求項1に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項6】
前記抽出する段階は、
時間重複クラスタリングによって障害タグを含む相互作用ログをグループ化することにより、前記抽出された相互作用協調障害パターンに対する複数の共通パターンを分類する段階
を含む、請求項5に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項7】
前記抽出する段階は、
TIME-LCS(TImed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)に基づいてメッセージシーケンスの類似性を計算する段階
を含む、請求項6に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項8】
前記抽出する段階は、
単一のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタのメッセージシーケンスと単一のメッセージシーケンスを利用して、各メッセージシーケンス間のTIME-LCS関数から抽出された共同サブシーケンスの長さによって類似性を計算する段階
を含む、請求項7に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項9】
前記抽出する段階は、
2つ以上のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタの共同サブシーケンスパターンと単一のメッセージシーケンスを利用して共同サブシーケンスベースのシーケンス類似性を計算する段階
を含む、請求項7に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項10】
前記抽出する段階は、
前記類似性を計算するための閾値と前記類似性を計算するためのメトリックを使用して、メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加するか、あるいは新規クラスタを作成するかを決定する段階
を含む、請求項7に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項11】
前記抽出する段階は、
前記メッセージシーケンスを追加するほど類似するクラスタが存在しない場合は、前記メッセージシーケンスを有する新規クラスタを生成する段階
を含む、請求項10に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項12】
前記抽出する段階は、
前記メッセージシーケンスが既存のクラスタに追加されるほど類似している場合は、前記メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加し、前記メッセージシーケンスを使用して既存のクラスタの共通サブシーケンスパターンを更新する段階
を含む、請求項10に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項13】
前記抽出する段階は、
前記メッセージシーケンスが存在しなくなるまで時間重複クラスタリングプロセスを繰り返し実行して相互作用協調の障害パターンとクラスタリングされたログセットを返還する段階
を含む、請求項10に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項14】
前記推定する段階は、
前記抽出された相互作用協調障害パターンからシステムオブシステムズ協調プロトコルコードに対する不審コードの位置を推定する段階
を含む、請求項1に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項15】
前記推定する段階は、
構成システムレベルの作業のためのコード範囲計算方法を使用して不審コードの位置を推定する段階
を含む、請求項14に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項16】
前記推定する段階は、
構成システムレベルの作業を実行することによってコード範囲を測定することにより、各作業に対して実行されたコード行を記録するコード範囲セットを構築する段階
を含む、請求項14に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項17】
前記推定する段階は、
前記構築されたコード範囲セットを使用して、障害原因の不審程度に応じて協調プロトコルの順位を付与する段階
を含む、請求項16に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項18】
前記推定する段階は、
順次的重複回数に基づいて障害原因の不審程度を計算するSeqOverlapを利用して、相互作用協調障害パターンと関連する構成システムレベルの作業で繰り返し実行されるコード文に優先順位を付ける段階
を含む、請求項16に記載の時間パターン基盤の協調障害分析方法。
【請求項19】
コンピュータ装置で実行されるシステムオブシステムズ(System Of Systems:SOS)における時間パターン基盤の協調障害分析方法を実行させるためにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであって、
前記システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法は、
システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出する段階、および
前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定する段階
を含む、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラム。
【請求項20】
コンピュータ装置であって、
メモリに含まれるコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ
を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出し、
前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定すること
を特徴とする、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、データ障害を分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模複雑システムであるシステムオブシステムズ(System-of-Systems:SoS)は、異種のシステムが互いに協調しながら、単一システムでは解決できない目標を達成するようにするシステムである。システムオブシステムズの代表的な例としては、スマートホーム、スマートプラント、知能型交通システムが挙げられるが、このような大規模システムは複数の構成システム(Constituent System)が緊密に相互作用することで特定の作業(Operation)を実行して、目標を達成する。例えば、知能型交通システムの一種である隊列走行システム(Platooning System)では、離脱(Leave)、合流(Merge)、分割(Split)のような作業を実行するのに平均17回程度のメッセージを相互交換するが、これによって隊列を維持し、必要な車両の結合(Join)と離脱(Leave)を可能にする。
【0003】
相互作用基盤のシステムオブシステムズは、以前には頻繁に見つからなかった相互作用バグによってシステム協調障害を引き起こすという性質があった。しかし、このような相互作用バグを解決するために必要な情報を効率的に抽出して提供することに適した技術は、現在まで存在していないのが実情である。さらに、システム障害から相互作用バグを推測するためには、高レベルのシステム自体に関する背景知識を必要とする。特に、既存の研究では、システムオズシステムズの相互作用協調障害を分析するために、(1)相互作用ログ分析処理に対する技術的能力の不足、(2)連鎖的障害(Cascading failure)を考慮したクラスタリング技法の不在、(3)抽出された障害パターンからコード上のエラーに結びつける技法の不在など、多様な限界点を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多次元および時間的特徴を考慮した上で、正確な相互作用協調障害パターンを抽出するためのTIME-LCS(TImed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)パターンマイニングを提供する。
【0005】
時間重複クラスタリングにより、システムオブシステムズの実行中に発生するすべての相互作用協調障害パターンを分類する。
【0006】
プロトコルコードの実行の順次性に合わせて協調プロトコルコードの不審程度を計算することで、相互作用協調障害パターンからエラー位置を推定する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コンピュータ装置で実行されるシステムオブシステムズ(System Of Systems:SOS)における時間パターン基盤の協調障害分析方法は、システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出する段階、および前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定する段階を含んでよい。
【0008】
前記抽出する段階は、前記システムオブシステムズで実行される相互作用ログと、前記相互作用ログの通過タグおよび障害タグを利用して、前記相互作用ログが目標属性を満たすかどうかを確認する段階を含んでよい。
【0009】
前記抽出する段階は、前記障害タグを含む相互作用ログでメッセージ基盤のメッセージシーケンスを生成する段階を含んでよい。
【0010】
前記システムオブシステムズは、隊列走行システムオブシステムズを含み、前記抽出する段階は、前記隊列走行システムオブシステムズで生成された相互作用モデルを利用して、構成システム(Constituent Systems:CS)間の相互作用ログを車両間の通信メッセージシーケンスとして示す段階を含んでよい。
【0011】
前記抽出する段階は、前記相互作用ログの多次元および時間的特徴を考慮したTIME-LCS(TIME-LCS(TImed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)基盤の協調障害分析によって共通サブシーケンス(Longest Common Subsequence:LCS)を抽出する方式により、前記システムオブシステムの相互作用協調障害パターンを抽出する段階を含んでよい。
【0012】
前記抽出する段階は、時間重複クラスタリングによって障害タグを含む相互作用ログをグループ化することにより、前記抽出された相互作用協調障害パターンに対する複数の共通パターンを分類する段階を含んでよい。
【0013】
前記抽出する段階は、TIME-LCS(TIMed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)に基づいてメッセージシーケンス間の類似性を計算する段階を含んでよい。
【0014】
前記抽出する段階は、単一のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタのメッセージシーケンスおよび単一のメッセージシーケンスを利用して、各メッセージシーケンスのTIME-LCS関数で抽出された共同サブシーケンスの長さによって類似性を計算する段階を含んでよい。
【0015】
前記抽出する段階は、2つ以上のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタの共同サブシーケンスパターンと単一のメッセージシーケンスを利用して共同サブシーケンス基盤のシーケンス類似性を計算する段階を含んでよい。
【0016】
前記抽出する段階は、前記類似性を計算するための閾値と前記類似性を計算するためのメトリックを使用して、メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加するか、あるいは新規クラスタを作成するかを決定する段階を含んでよい。
【0017】
前記抽出する段階は、前記メッセージシーケンスを追加するほど類似するクラスタが存在しない場合は、前記メッセージシーケンスを有する新規クラスタを生成する段階を含んでよい。
【0018】
前記抽出する段階は、前記メッセージシーケンスが既存のクラスタに追加されるほど類似している場合は、前記メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加し、前記メッセージシーケンスを使用して既存のクラスタの共通サブシーケンスパターンを更新する段階を含んでよい。
【0019】
前記抽出する段階は、前記メッセージシーケンスが存在しなくなるまで時間重複クラスタリングプロセスを繰り返し実行して、相互作用協調障害パターンとクラスタリングされたログセットを返還する段階を含んでよい。
【0020】
前記推定する段階は、前記抽出された相互作用協調障害パターンからシステムオブシステムズ協調プロトコルコードに対する不審コードの位置を推定する段階を含んでよい。
【0021】
前記推定する段階は、構成システムレベルの作業を実行することによってコード範囲計算方法を使用して不審コードの位置を推定する段階を含んでよい。
【0022】
前記推定する段階は、構成システムレベルの作業を実行することによってコード範囲を測定することにより、各作業に対して実行されたコード行を記録するコード範囲セットを構築する段階を含んでよい。
【0023】
前記推定する段階は、前記構築されたコード範囲セットを使用して、障害原因の不審程度に応じて協調プロトコルの順位を付与する段階を含んでよい。
【0024】
前記推定する段階は、順次的重複回数に基づいて障害原因の不審程度を計算するSeqOverlapを利用して、相互作用協調障害パターンと関連する構成システムレベルの作業で繰り返し実行されるコード文に優先順位を付ける段階を含んでよい。
【0025】
コンピュータ装置で実行されるシステムオブシステムズ(System Of Systems:SOS)における時間パターン基盤の協調障害分析方法を実行させるためにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであって、前記システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法は、システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出する段階、および前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定する段階を含んでよい。
【0026】
コンピュータ装置であって、メモリに含まれるコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、システムオブシステムズで実行される相互作用ログから生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出し、前記抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定する。
【発明の効果】
【0027】
大規模複雑システム内で予測が不可能な相互作用バグを解決するために必要となる人的/時間的資源を減らすことができる。
【0028】
隊列走行相互作用ログで最も正確な相互作用協調障害パターンを生成し、連鎖的障害を考慮するときに相当に高い重複クラスタリングの精度を導き出し、スペクトル基盤の障害位置推定方法に比べて、相互作用協調障害エラー位置推定アルゴリズムがデバッグにかかるコストを効率的に削減できるようにするという効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態における、シミュレータを利用し、シミュレーションから見つかった隊列走行作業の膠着状態のような障害を示した図である。
図2】一実施形態における、隊列走行システムオブシステムズにおける車両間の通信メッセージシーケンスを示した図である。
図3】一実施形態における、コンピュータ装置の構成を説明するための図である。
図4】一実施形態における、システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法を説明するための図である。
図5】一実施形態における、協調障害分析動作を説明するための図である。
図6】一実施形態における、同一メッセージシーケンスで抽出されたLCSパターンを異なる時間ウィンドウで示した図である。
図7】一実施形態における、パターン基盤の障害位置を推定する動作を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0031】
図1は、一実施形態における、シミュレータを利用し、シミュレーションから見つかった隊列走行作業の膠着状態のような障害を示した図である。
【0032】
シナリオは、2つの隊列走行を示している。大きさが3の隊列走行1と大きさが4の隊列走行2である。ここで、V1とV5は、各隊列走行のリーダーとして表示される。この障害は、V5からの併合(Merge)とV7あからの離脱(Leave)が同時に要請されたことによって発生する。この場合、V5が併合作業中であるため、V5は引き続きV7からの離脱操作を無視する。さらに、V5とV7の通信によって併合待機時間が超過するようになり、V5でも併合作業が正常に実行されない。このような複雑な相互作用による障害は、隊列走行という目標を達成する上で重要な課題であり、深刻な衝突につながる。
【0033】
図2は、一実施形態における、隊列走行システムオブシステムズにおける車両間の通信メッセージシーケンスを示した図である。
【0034】
先ず、システムオブシステムズで実行される相互作用ログのLCSアルゴリズムと相互作用モデルについて説明する。LCSアルゴリズムは、2つの文字列に共通して含まれる最長のサブシーケンスを見つけるものである。m、n∈

∈、


がそれぞれmとnの長さを有する文字列であるとする。関数LCS:String×String->Stringは、2つの入力文字列を2つの文字列と関連する最長の共通サブシーケンスにマッピングする。LCS関数は、次のように定義されてよい。
【0035】
【数1】
【0036】
関数
:String×String->Stringは、2つの入力文字列からより長い文字列を選択する。2つの文字列の長さが0であれば、LCS関数は空の文字列を出力する。演算子
は、被演算子の連結を意味する。2つの入力文字列に共通文字が含まれる場合、関数は文字をLCS(sm-1、sn-1)に再帰的に連結する。
【0037】
システムオブシステムズの協調障害を総合的に分析するために、構成システム(Constituent Systems:CS)の相互作用ログを中心に分析がなされるようにしてよい。システムオブシステムズの相互作用モデルは、相互作用ログを構成システム間のメッセージシーケンスで示す。メッセージとメッセージシーケンスの定義は、次のとおりである。
【0038】

【0039】
ここで、mは、長さがnであるメッセージの有限なシーケンスである。シーケンスの各msgは、連続性、同期化、送信者、受信者、コンテンツ、時間で構成される順序組(tuple)である。例えば、図2は、隊列走行システムオブシステムズにおける車両間の通信メッセージシーケンスを示している。図2のシナリオでは、V1はPlatoon1から離脱したいためV2にメッセージを送信する。V2に送信されたメッセージmsgは<TC、Sync、V1、V2、LEAVE_REQ、00:00:01>であるが、これは00:00:01にLEAVE_REQ命令を使用したV1からV2への臨時(TC)および同期化(Sync)の通信を意味する。LEAVE_REQからSPLITE_STARTまでのメッセージシーケンスは、m=msg、msg、msg、msgで作成されてよい。このように、パターンマイニングで相互作用ログの時間ウィンドウを考慮する。したがって、m
に拡張されるが、ここで、tは時間ウィンドウの開始時間を示す。
【0040】
図3は、一実施形態における、コンピュータ装置の構成を説明するための図である。
【0041】
このようなコンピュータ装置300は、メモリ310、プロセッサ320、通信インタフェース330、および入力/出力インタフェース340を含んでよい。メモリ310は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、およびディスクドライブのような永続的大容量記録装置を含んでよい。ここで、ROMやディスクドライブのような永続的大容量記録装置は、メモリ310とは区分される別の永続的記録装置としてコンピュータ装置300に含まれてもよい。また、メモリ310には、オペレーティングシステムと、少なくとも1つのプログラムコードが記録されてよい。このようなソフトウェア構成要素は、メモリ310とは別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からメモリ310にロードされてよい。このような別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フロッピー(登録商標)ドライブ、ディスク、テープ、DVD/CD-ROMドライブ、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含んでよい。他の実施形態において、ソフトウェア構成要素は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体ではない通信インタフェース330を通じてメモリ310にロードされてもよい。例えば、ソフトウェア構成要素は、ネットワーク170を介して受信されるファイルによってインストールされるコンピュータプログラムに基づいてコンピュータ装置300のメモリ310にロードされてよい。
【0042】
プロセッサ320は、基本的な算術、ロジック、および入出力演算を実行することにより、コンピュータプログラムの命令を処理するように構成されてよい。命令は、メモリ310または通信インタフェース330によって、プロセッサ320に提供されてよい。例えば、プロセッサ320は、メモリ310のような記録装置に記録されたプログラムコードにしたがって受信される命令を実行するように構成されてよい。
【0043】
通信インタフェース330は、ネットワーク370を介してコンピュータ装置300が他の装置(一例として、上述した記録装置)と互いに通信するための機能を提供してよい。一例として、コンピュータ装置300のプロセッサ320がメモリ310のような記録装置に記録されたプログラムコードにしたがって生成した要求や命令、データ、ファイルなどが、通信インタフェース330の制御にしたがってネットワーク370を介して他の装置に伝達されてよい。これとは逆に、他の装置からの信号や命令、データ、ファイルなどが、ネットワーク370を経てコンピュータ装置300の通信インタフェース330を通じてコンピュータ装置300に受信されてよい。通信インタフェース330を通じて受信された信号や命令、データなどは、プロセッサ320やメモリ310に伝達されてよく、ファイルなどは、コンピュータ装置300がさらに含むことのできる記録媒体(上述した永続的記録装置)に記録されてよい。
【0044】
入力/出力インタフェース340は、入力/出力装置350とのインタフェースのための手段であってよい。例えば、入力装置は、マイク、キーボード、またはマウスなどの装置を、出力装置は、ディスプレイ、スピーカのような装置を含んでよい。他の例として、入力/出力インタフェース340は、タッチスクリーンのように入力と出力のための機能が1つに統合された装置とのインタフェースのための手段であってもよい。入力/出力装置350は、コンピュータ装置300と1つの装置で構成されてもよい。
【0045】
また、他の実施形態において、コンピュータ装置300は、図3の構成要素よりも少ないか多くの構成要素を含んでもよい。しかし、大部分の従来技術的構成要素を明確に図に示す必要はない。例えば、コンピュータ装置300は、上述した入力/出力装置350のうちの少なくとも一部を含むように実現されてもよいし、トランシーバ、データベースなどのような他の構成要素をさらに含んでもよい。
【0046】
以下では、システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法および装置の具体的な実施例について説明する。
【0047】
コンピュータ装置300のプロセッサ320は、システムオブシステムにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法を実行するための構成要素として実現されてよい。実施形態によると、プロセッサ320の構成要素は、選択的にプロセッサ320に含まれてもよいし除外されてもよい。また、実施例によって、プロセッサ320の構成要素は、プロセッサ320の機能の表現のために分離されてもよいし併合されてもよい。
【0048】
このようなプロセッサ320およびプロセッサ320の構成要素は、以下で説明する、システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法に含まれる段階を実行するようにコンピュータ装置300を制御してよい。例えば、プロセッサ320およびプロセッサ320の構成要素は、メモリ310が含むオペレーティングシステムのコードと、少なくとも1つのプログラムのコードとによる命令(instruction)を実行するように実現されてよい。
【0049】
ここで、プロセッサ320の構成要素は、コンピュータ装置300に記録されたプログラムコードが提供する命令にしたがってプロセッサ320によって実行される、互いに異なる機能(different functions)の表現であってよい。
【0050】
プロセッサ320は、コンピュータ装置300の制御と関連する命令がロードされたメモリ310から必要な命令を読み取ってよい。この場合、前記読み取られた命令は、プロセッサ320が以下で説明する段階を実行するように制御するための命令を含んでよい。
【0051】
以下、システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法を含む段階は、図に示した順序とは異なるように実行されてもよいし、段階の一部が省略されたり追加の過程がさらに含まれてもよい。
【0052】
図4は、一実施形態における、システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法を説明するための図である。
【0053】
段階410で、プロセッサ320は、システムオブシステムズで実行される相互作用ログを利用して相互作用モデルを生成してよい。プロセッサ320は、システムオブシステムズで実行される相互作用ログと相互作用ログの通過タグおよび障害タグを利用して、相互作用ログが目標属性を満たすかどうかを確認してよい。プロセッサ320は、障害タグを含む相互作用ログからメッセージ基盤のメッセージシーケンスを生成してよい。プロセッサ320は、隊列走行システムオブシステムズで生成された相互作用モデルを利用して、構成システム(Constituent Systems:CS)間の相互作用ログを車両間の通信メッセージシーケンスとして示してよい。
【0054】
段階420で、プロセッサ320は、生成された相互作用モデルで協調障害分析によって相互作用協調障害パターンを抽出してよい。プロセッサ320は、相互作用ログの多次元および時間的特徴を考慮したTIME-LCS(TImed Message pattern Extraction-Longest Common Subsequence)基盤の協調障害分析によって共通サブシーケンス(Longest Common Subsequence:LCS)を抽出する方式により、システムオブシステムズの相互作用協調障害パターンを抽出してよい。プロセッサ320は、時間重複クラスタリングによって障害タグを含む相互作用ログをグループ化することにより、抽出された相互作用協調障害パターンに対する複数の共通パターンを分類してよい。プロセッサ320は、TIME-LCSに基づいてメッセージシーケンスの類似性を計算してよい。プロセッサ320は、単一のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタのメッセージシーケンスおよび単一のメッセージシーケンスを利用して、各メッセージシーケンス間のTIME-LCS関数から抽出された共同サブシーケンスの長さによって類似性を計算してよい。プロセッサ320は、2つ以上のメッセージシーケンスがあるクラスタの場合、既存のクラスタの共同サブシーケンスパターンと単一のメッセージシーケンスを利用して共同サブシーケンス基盤のシーケンス類似性を計算してよい。プロセッサ320は、類似性を計算するための閾値と類似性を計算するためのメトリックを使用して、メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加するか、あるいは新規クラスタを生成するかを決定してよい。プロセッサ320は、メッセージシーケンスを追加するほど類似したクラスタが存在しない場合は、メッセージシーケンスを有する新規クラスタを生成してよい。プロセッサ320は、メッセージシーケンスが既存のクラスタに追加されるほど類似している場合は、メッセージシーケンスを既存のクラスタに追加し、メッセージシーケンスを使用して既存のクラスタの共通サブシーケンスパターンを更新してよい。プロセッサ320は、メッセージシーケンスが存在しなくなるまで時間重複クラスタリングプロセスを繰り返し実行して相互作用協調障害パターンとクラスタリングされたログセットを返還してよい。
【0055】
段階430で、プロセッサ320は、抽出された相互作用協調障害パターンから相互作用バグのエラー位置を推定してよい。プロセッサ320は、抽出された相互作用協調障害パターンからシステムオブシステムズ協調プロトコルコードに対する不審コードの位置を推定してよい。プロセッサ320は、構成システムレベルの作業のためのコード範囲計算方法を使用して不審コードの位置を推定してよい。プロセッサ320は、構成システムレベルの作業を実行することによってコード範囲を測定することにより、各作業に対して実行されたコード行を記録するコード範囲セットを構築してよい。プロセッサ320は、構築されたコード範囲セットを使用して、障害原因の不審程度に応じて協調プロトコルの順位を付与してよい。プロセッサ320は、順次的な重複回数に基づいて障害原因の不審程度を計算するSeqOverlapを利用して、相互作用協調障害パターンと関連する構成システムレベルの作業で繰り返し実行されるコード文に優先順位を付けてよい。
【0056】
図5は、一実施形態における、協調障害解析動作を説明するための図である。
【0057】
コンピュータ装置は、TIME-LCSパターンマイニング(530)、TIME重複クラスタリング(520)、およびパターン基盤の障害位置推定(540)を含む3つの技術で構成された接近方式によってTIME-LCSパターン基盤の協調障害を分析する。コンピュータ装置は、相互作用ログの多次元構造をカバーし、システムオブシステムの相互作用協調障害パターンを抽出するためのTIME-LCSアルゴリズムを定義する。また、TIME-LCSアルゴリズムは、パターンマイニングの精度を高めるために相互作用の時間的特徴を考慮する。コンピュータ装置は、時間重複クラスタリングによって複数の相互作用協調障害パターンを分類して抽出してよい。時間重複クラスタリングでは、相互作用協調障害パターンが各グループの中心点として使用されるようにしてよい。したがって、クラスタリングに必要なメトリックは、TIME-LCSアルゴリズムに基づいて定義される。コンピュータ装置は、相互作用協調障害パターンに基づいて協調障害の根本原因となる位置を推定する。
【0058】
コンピュータ装置は、2つの主要な入力を使用してよい。コンピュータ装置は、システムオブシステムズの相互作用ログと各ログの通過/障害タグを利用して、相互作用ログが特定の目標属性を満たしているかどうかを確認してよい。図2で説明したように、コンピュータ装置は、システムオブシステムズの相互作用モデル形式を基盤とする。したがって、前処理段階において、コンピュータ装置は、障害が発生したそれぞれのログですべてのメッセージ基盤の相互作用を抽象化して相互作用メッセージシーケンス(M)を返還することができる。例えば、図5の上側の例において、相互作用ログの最初のメッセージは、時間(0.00)、連続性(TC)、同期化(Sync)、送信者(Leader)、受信者(Follower)、コンテンツ(SPLIT REQ)である。ここで、V1やV5のような送信者と受信者に対する具体的なインスタンスIDは使用しないが、他の車両と時間帯で発生するパターンを抽出するために、システムオブシステムズの構成システム(すなわち、LeaderまたはFollower)の役割に対するIDを抽象化する。
【0059】
コンピュータ装置は、相互作用メッセージシーケンス(M)を入力として使用し、TIME-LCSパターンマイニングによって相互作用協調の障害パターンを抽出してよい。TIME-LCSパターンマイニングアルゴリズムは、パターンマイニングで情報損失が発生しないように、相互作用ログの多次元および時間的特徴を取り扱うことに焦点を置いている。
【0060】
先ず、多次元性を取り扱うために、数式1の文字列基盤のLCS関数がメッセージシーケンス
の定義に基づいてLCMS(longest common message subsequence)関数に拡張される。
【0061】
次のように、2つの入力メッセージシーケンスである

を最長の共通メッセージシーケンスにマッピングするLCMS:
関数が定義される。
【0062】
【数2】
【0063】
関数maxLenMにおいて、
は、2つの入力のうちから最長のメッセージシーケンスを選択する。数式1において、文字列を形成する2つの文字の比較は明らかである。しかし、2つの入力メッセージシーケンスのアイデンティティ(identity)を確認するためには特別な関数が必要となる。したがって、2つの入力メッセージシーケンスであるアイデンティティ(identity)を確認することが可能な時間関数MCTとメッセージ比較が定義されてよい。2つの入力メッセージシーケンスである

でそれぞれ以前に一致したメッセージidを示す


を仮定する。関数MCT:
は、次のように2つの入力メッセージシーケンスがメッセージアイデンティティ(identity)のブーリアン(Boolean)値にマッピングされてよい。
【0064】
【数3】
【0065】
MCT関数は、多次元だけでなく、相互作用の時間的特徴も含む。MCT関数は、2つの入力メッセージシーケンスの伝達(delivery)を比較し、特定のサブシーケンスが相当に異なる時間間隔で発生する状況を除外する。
は以前に一致したメッセージとともに1秒の間隔を含み、
は20秒の間隔を含むものと仮定する。

の他のすべての値が同じであったとしても、伝達間隔が著しく異なる2つの入力メッセージシーケンスが同一すると判断されれば、抽出されたパターンの正確度に悪影響を及ぼすことがある。したがって、メッセージのアイデンティティ(identity)を確認する過程は2つのケースに分けられる。コンピュータ装置は、長い共通サブシーケンス(LCS)パターンの抽出中に一致するメッセージがなければ、送信者、コンテンツ、受信者などのメッセージコンテンツのアイデンティティ(identity)のみを確認する。そうでない場合、コンピュータ装置は、入力メッセージシーケンスの伝達間隔の差が遅延閾値の範囲内であるかどうかを追加で確認する。
【0066】
数式2と数式3によって提案されたLCMS関数は、任意の2つの入力メッセージシーケンス間の相互作用メッセージのLCSパターンを抽出する。しかし、提案されたLCMS関数が、障害の根本原因を特定するために必要となる情報を正確に含む、最も「重要な」メッセージシーケンスを抽出するものであるとは言い切れない。「critical」という用語は、協調障害と関連して特定の相互作用協調障害パターンが所有する情報の品質を示す。LCS基盤のアルゴリズムは「最初に一致した」インスタンスから始まるため、LCSパターンは臨界点よりも前に完全に無意味な部分を含むことがある。
【0067】
図6は、一実施形態における、同一メッセージシーケンスから抽出されたLCSパターンを異なる時間ウィンドウで示した図である。
【0068】
図6は、同一メッセージシーケンスから抽出された2つの例示的なLCSパターンを異なる時間ウィンドウで示したものである。例えば、パターン1は、53.03秒から始まり、繰り返されるMERGE_REQメッセージと複数の他のメッセージで構成される。パターン2は、85.00秒から始まり、V1、V2、V3、V5間のLEAVE_REQ、SPLIT_REQ、MERGE_REQなどのような多様なメッセージを含む。パターン2は、V3がV2とV1の間でまだ離脱(Leave)作業をしているときに、V5が繰り返しV3に併合(Merge)を要求する障害をより重要な理解として提供する。
【0069】
コンピュータ装置は、相互作用協調の障害パターンを抽出するために、入力メッセージシーケンスの複数の時間ウィンドウにしたがってLCSパターンを抽出し、LCSの中から最も「クリティカル」なLCSを選択するアルゴリズムを定義する。t、t∈T={t∈
|tは時間ウィンドウの開始時間}、Mはメッセージシーケンスの集合、n、k∈
はメッセージシーケンスの長さとする。tとtから始まるサブメッセージシーケンスは、次のように定義されてよい。
【0070】

【0071】
選択されたLCSの中から最も「critical」なLCSを適切に選択するために、LCSの品質を評価するのに必要となるパラメータを、LCSのコンテンツタイプの数とコンテンツタイプの長さで定義してよい。コンテンツタイプをより多く含み、長さが他のLCSよりも短い場合、このLCSは他のLCSよりも「クリティカル」であり、重複メッセージの少ない、より多くの情報相互作業協調障害パターンのシーケンスを含むものと仮定する。このような定義は、障害のコンテキストと症状のうちで優先順位を基盤とする。コンテキストは、エラーが発生する条件と実行フローを示す。症状は障害の結果を示し、障害検出技術で障害の指標として頻繁に使用される。しかし、コンピュータ装置は、協調的な障害の分析、特に、根本原因の識別に焦点を当てている。このような分析プロセス中に、障害発生コンテキストは、根本原因を理解するのに役に立つ、より有意んs知識を提供する。したがって、コンピュータ装置は、より多くのコンテキスト情報を提供する多様なタイプの相互作用コンテンツがあるLCSを優先する。
【0072】
k、n∈
とする。T-LCSとTIME-LCSに対して、上述した方法を次のように定義する。
【0073】
【数4】
【0074】
【数5】
【0075】
ここで、関数NumContentTypes:
は、入力LCSを、与えられたLCSに属するメッセージに含まれる独立したコンテンツタイプの数にマップする。アルゴリズムがT-LCSを計算するとき、Tのtとtから始まる離散時間ウィンドウによって

の各サブメッセージのシーケンスを有するLCSセットを生成する。上述したように、TIME-LCSは、先ず、数式5で、コンテンツタイプの数だけT-LCSからLCSを選択する。コンテンツタイプの数が同じ場合は、LCSの長さを同点処理規則として使用する。
【0076】
コンピュータ装置は、時間重複クラスタリングを利用し、TIME-LCSアルゴリズムに基づいて類似の障害ログを効果的にグループ化し、相互作用協調障害の共通パターンを抽出する。単一メッセージシーケンスであるmから多様なパターンを抽出するには重複クラスタリングが必要であると仮定するため、mが複数の障害パターンを同時に有していると見なす場合は、mを複数のクラスタに追加する。
【0077】
コンピュータ装置は、TIME-LCS関数に基づいて2つの類似性計算メトリック(すなわち、TIMELenとTIMESim)を定義する。このような2つのメトリックを提示する理由は、LCS基盤のアルゴリズムは基本的にペアごとのアルゴリズムであるためである。したがって、コンピュータ装置は、(a)単一要素(すなわち、m)を有するクラスタと(b)2つ以上の要素を有するクラスタを区分し、区分された各事例に対して互いに異なる類似性メトリックを使用する。コンピュータ装置は、単一要素(すなわち、m)があるクラスタの場合は、クラスタに対するLCSパターンを生成することが可能な要素が十分にないため、既存のclusterのメッセージシーケンスと与えられたmを利用して類似性を計算してよい。例えば、最初のメッセージシーケンスであるmは、常に新規クラスタであるclusterを形成する。2番目に与えられたメッセージシーケンスであるmは、clusterのmと比較される。したがって、単一要素(すなわち、m)があるクラスタの場合、2つのメッセージシーケンスの類似性は、メッセージシーケンス間のLCSの長さで定義される。
【0078】
【数6】
【0079】
【数7】
【0080】
数式6で、
は、clusterに位置する単独のメッセージシーケンスを示し、mは、入力として与えられたメッセージシーケンスを示す。TIMELen類似性値は、TIME-LCS関数から抽出されたLCSの長さとなる。そうでなければ、クラスタに2つ以上の要素が存在する場合、数式7のTIMEsimが適用される。2つ以上の要素を有するクラスタの場合、TIMESimの対象は、既存のクラスタのLCSパターンである
と与えられたメッセージシーケンスmを含む。コンピュータ装置は、TIMESimメトリックを利用して、m
の間のLCS基盤のシーケンスの類似性を計算する。
【0081】
コンピュータ装置は、閾値、len閾値、類似度閾値とともに2つのメトリックを使用して、mを既存のクラスタに追加するか、あるいは新規クラスタを作成するかを決定する。例えば、類似度閾値が0.8であり、m10
に対してTIMESim値が0.75の場合、m10はclusterに割り当てられない。これにより、mから複数のパターンの同時抽出が可能となる。コンピュータ装置は、mがclusterに追加されるほど類似している場合は、mをclusterに追加し、既存のクラスタのLCSパターンである
に対してmを使用して更新する。コンピュータ装置は、mを追加するほど類似するクラスタが存在しない場合は、mを有する新規クラスタを生成する。クラスタリングプロセスはmが存在しなくなるまで繰り返され、最終的に相互作業協調障害パターンとともにクラスタリングされたログセットを返還する。
【0082】
図7は、一実施形態における、パターン基盤の障害位置を推定する動作を説明するための例である。
【0083】
コンピュータ装置は、相互作用協調障害パターンに基づいて生成されたパターンに基づいて協調障害の根本原因を位置推定(localization)するために必要となる相当なコストを削減することが可能なシステムオブシステムズの協調プロトコルコードに対する不審コード位置推定技法を提案する。パターンには、CSレベルの作業を含む通信メッセージシーケンスがコンテンツとして含まれる。コンピュータ装置は、位置推定技法により、SPLIT_REQやMERGE_REQなどのCSレベルの作業のためのコードカバレッジ計算方法を使用して不審コードを推測する。コンピュータ装置は、すべてのCSレベルの作業を実行してコードカバレッジを測定することにより、各作業に対して実際に実行されたコード行を記録するコードカバレッジセットを構築する。例えば、1381-1431行は、SPLIT_REQの単一実行で実行される。
【0084】
コンピュータ装置は、各CSレベルの作業のコード範囲セットを使用して、障害原因の不審程度に応じて協調プロトコルコードの順位を付与する。コード実行の適用範囲からコード行の不審程度を計算するためのスペクトル基盤のSBFL(spectrum-based fault localization)に関する数多くの研究がある。しかし、SBFL技法は、順次的な実行順は考慮せず、作業範囲だけを考慮する。したがって、実施例では、コードの順次的重複回数に基づいて、不審順位方法であるSeqOverlapを適用する。SeqOverlap方法は、相互作用協調障害パターンのCSレベルの作業シーケンスで最も繰り返し実行されるコード文に優先順位を付けることを目標とする。例えば、図7の上側にある最初のメッセージであるSPLIT_REQの実行と関連するコードは1381-1393行を含む。次のメッセージはSPLIT_ACCEPTであり、関連コードは1381-1393行を含む。したがって、1381-1393行は、2つの順次的重複を有する。このような方式によって順次的重複回数を計算し、図7の下側に表示されたコードスニペット(snippets)が整列されるようにする。この例において、コードスニペットは、隊列シミュレーションでMERGE_REQとACKによって頻繁に実行されるため、853-859行に最初の順位が付けられる。
【0085】
一実施形態によると、実施例で提案された接近方式(システムオブシステムズにおける時間パターン基盤の協調障害分析方法)をPLTBench隊列走行システムオブシステムズのデータセットに適用する実験を実行した。この技術を、約8000件の隊列走行システムのシミュレーションログを利用して既存のシステム障害分析およびパターンマイニングに使用される技法と比較して、実施例で提案した方法の性能を評価する。実験から得られた結果は、実施例で提案された方式が、既存のパターンマイニング技法のうちで隊列走行相互作用ログから最も正確な相互作用協調障害パターンを生成し、連鎖的障害を考慮したときに相当に高い重複クラスタリングの精度を示し、相互作用協調障害のエラー位置推定アルゴリズムがスペクトル基盤である障害位置推定(SBFL)方法と比べて、デバッグコスト削減においてより高い効率(平均15%以上の精度)を達成することが確認された。
【0086】
このように、システムオブシステムズ(大規模複雑システム)は、単一システムでは達成することができなかった目標を達成可能にするシステムであり、多様な分野で活用することができる。代表的な例としては、スマートホーム、スマートシティ、スマートプラント、知能型交通システム、災害対応システムなどが挙げられる。実施例で提案された技術は、一般的なシステムオブシステムズを対象にしており、システムにおいて必要かつ主要な入力値がシステム実行記録であるという点において適用-応用分野が広範囲であると言える。近年は、サイバー物理システムと融合してサイバー物理システムオブシステムズ(CPSoS)という名称で主に使用されているため、より広範囲な分野にまで広がっている。
【0087】
このようなシステムを作成するには多くの努力が必要となるが、システム内に存在するエラーを解決するために膨大な費用が必要となる。実施例で提案した方式は、大規模複雑システム内で予測することができなかった相互作用のバグを解決するために必要とされる人的/時間的資源を減らすために大いに役立つことが期待されている。
【0088】
上述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせによって実現されてよい。例えば、実施形態で説明された装置および構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令を実行して応答することができる様々な装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを利用して実現されてよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行してよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセスし、データを記録、操作、処理、および生成してもよい。理解の便宜のために、1つの処理装置が使用されるとして説明される場合もあるが、当業者であれば、処理装置が複数個の処理要素および/または複数種類の処理要素を含んでもよいことが理解できるであろう。例えば、処理装置は、複数個のプロセッサまたは1つのプロセッサおよび1つのコントローラを含んでよい。また、並列プロセッサのような、他の処理構成も可能である。
【0089】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、思うままに動作するように処理装置を構成したり、独立的または集合的に処理装置に命令したりしてよい。ソフトウェアおよび/またはデータは、処理装置に基づいて解釈されたり、処理装置に命令またはデータを提供したりするために、いかなる種類の機械、コンポーネント、物理装置、仮想装置(virtual equipmet)、コンピュータ記録媒体または装置に具現化されてよい。ソフトウェアは、ネットワークによって接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された状態で記録されても実行されてもよい。ソフトウェアおよびデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。
【0090】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。前記コンピュータで読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含んでよい。前記媒体に記録されるプログラム命令は、実施形態のために特別に設計されたものであってもよいし、コンピュータソフトウエアの当業者に公知された使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMおよびDVDのような光媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような光磁気媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を記録して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるもののような機械語コードだけではなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。
【0091】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0092】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0093】
300:コンピュータ装置
310:メモリ
320:プロセッサ
330:通信インタフェース
340:入力/出力インタフェース
350:入力/出力装置
370:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7