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特許7613785撮影行動分析システム、撮影行動分析方法及び撮影行動分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】撮影行動分析システム、撮影行動分析方法及び撮影行動分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250107BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024065697
(22)【出願日】2024-04-15
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344969
【氏名又は名称】株式会社PocketRD
(74)【代理人】
【識別番号】230112911
【弁護士】
【氏名又は名称】三和 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】内田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】籾倉 宏哉
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106694(JP,A)
【文献】特開2018-125674(JP,A)
【文献】特開2009-194766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者による撮影行動を分析する撮影行動分析システムであって、
前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析手段と、
前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定手段と、
前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定手段と、
前記撮影内容分析手段、前記撮影態様判定手段及び前記活用態様判定手段の判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成手段と、
前記撮影者と対応関係にある非代替性トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記撮影者に関する前記撮影者嗜好情報を含む情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段と、
を備えたことを特徴とする撮影行動分析システム。
【請求項2】
前記分散型台帳に記録された情報から前記撮影者嗜好情報を取得する撮影者嗜好情報取得手段と、
取得した前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供手段と、
提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得手段と、
取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項記載の撮影行動分析システム。
【請求項3】
撮影者による撮影行動を分析する撮影行動分析方法であって、
前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析ステップと、
前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定ステップと、
前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定ステップと、
前記撮影内容分析ステップ、前記撮影態様判定ステップ及び前記活用態様判定ステップの判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成ステップと、
前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供ステップと、
提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得ステップと、
取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正ステップと、
を含むことを特徴とする撮影行動分析方法。
【請求項4】
撮影者による撮影行動をコンピュータに分析させる撮影行動分析プログラムであって、 前記コンピュータに対し、
前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析機能と、
前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定機能と、
前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定機能と、
前記撮影内容分析機能、前記撮影態様判定機能及び前記活用態様判定機能による判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成機能と、
前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供機能と、
提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得機能と、
取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正機能と、
を実行させることを特徴とする撮影行動分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影行動上の特徴分析を通じて撮影者の嗜好分析を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かつて専門家あるいは一部の愛好家のみが所有・使用していた画像撮影機は、低価格化が進むにつれ大衆化され、現在はデジタルカメラ機能を搭載したスマートフォン等の携帯型情報端末の普及により国民一人一人が画像撮影機を所有し、日常生活や旅行、イベント参加時等あらゆる場面で画像撮影が行われている。
【0003】
また、デジタルカメラ機能の普及により撮影画像をデジタル画像として利活用できるようになった事実及び画像添付が可能なインターネット上のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者が激増するなど撮影画像の利用手段が多様化したことに伴い、撮影画像は様々な態様にて撮影画像を利用することが可能となっている。
【0004】
たとえば特許文献1は、SNS等でシェア(共有)すること等を目的とした画像撮影に関して、撮影意図を推測した上で、意図に従った画像撮影を可能とするようガイド表示等を行うアシスト機能に関する技術を開示している。また、特許文献2は、画像のうち動画をインターネット上で配信した際に、視聴者からの非言語的フィードバックに関する情報を取得することで視聴者の投稿動画に対する客観的評価について判定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-55656号公報
【文献】特開2023-36740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SNS等のインターネット上のサービスは極めて多数のユーザーがいることから、当該ユーザーの購買活動や広告コンテンツ閲覧等の行動履歴を分析し、ユーザーの嗜好解析やマーケティング調査が広く行われており、かかる解析・調査に関する技術が多数公開されている。しかしながら、そのような解析・調査等が行われていることはユーザーも承知しており広告コンテンツ等が過剰に表示されることを防止等するために意図的な対応行動を行うなどの対策が行われる結果いわゆるイタチごっこのような状況が生じており、解析・調査等の精度が低下するという問題が生じている。
【0007】
他方で、上述のとおり画像撮影機が広く大衆に所有されると共に撮影画像の利用手段が多様化している状況では、SNS等のインターネット上のサービスのユーザーは、画像等のコンテンツを閲覧するのみならず、自ら撮影した画像についてシェア等するのが一般的である。かかるユーザーの行動もユーザーの嗜好・信条等を反映したものであるところ、そのような撮影行動等について解析等する技術は開示されておらず、特許文献1、2においても何ら言及されていない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、画像の閲覧者ではなく画像の撮影者に関する行動分析を行うことで撮影者の嗜好を推定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる撮影行動分析システムは、撮影者による撮影行動を分析する撮影行動分析システムであって、前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析手段と、前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定手段と、前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定手段と、前記撮影内容分析手段、前記撮影態様判定手段及び前記活用態様判定手段の判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成手段と、前記撮影者と対応関係にある非代替性トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記撮影者に関する前記撮影者嗜好情報を含む情報を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかる撮影行動分析システムは、上記の発明において、前記分散型台帳に記録された情報から前記撮影者嗜好情報を取得する撮影者嗜好情報取得手段と、取得した前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供手段と、提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得手段と、取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、請求項3にかかる撮影行動分析方法は、撮影者による撮影行動を分析する撮影行動分析方法であって、前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析ステップと、前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定ステップと、前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定ステップと、前記撮影内容分析ステップ、前記撮影態様判定ステップ及び前記活用態様判定ステップの判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成ステップと、前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供ステップと、提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得ステップと、取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、請求項6にかかる撮影行動分析プログラムは、撮影者による撮影行動をコンピュータに分析させる撮影行動分析プログラムであって、前記コンピュータに対し、前記撮影者が撮影した画像の撮影内容として、撮影画像に含まれる撮影目的物を特定し、当該撮影目的物の種別を判定する撮影内容分析機能と、前記撮影画像の撮影時における撮影態様として、前記撮影画像の撮影地の種別、前記撮影時の前後における前記撮影者の行動の種別及び前記撮影時に前記撮影者が使用した撮影機器の種別のうち1以上のものを判定する撮影態様判定機能と、前記撮影者による前記撮影画像の活用態様として、前記撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合は加工処理の内容、前記撮影画像を出力した媒体・出力領域及び前記撮影画像の出力に用いた出力装置のうち1以上のものの種別に関する情報である出力態様及び出力した前記撮影画像の公開範囲のうち1以上のものを判定する活用態様判定機能と、前記撮影内容分析機能、前記撮影態様判定機能及び前記活用態様判定機能による判定結果に基づき、前記撮影画像を撮影した前記撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成機能と、前記撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を前記撮影者に対し提供する情報提供機能と、提供した前記注意喚起情報に対する前記撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合の反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得機能と、取得した前記反応情報に基づき前記撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に前記撮影者嗜好情報を修正する情報修正機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像の撮影者に関する行動分析を行うことで撮影者の嗜好を推定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1にかかる撮影行動分析システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態2にかかる撮影行動分析システムの構成を示す模式図である。
図3】実施の形態2にかかる撮影行動分析システムにおける撮影者嗜好情報の修正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明の実施の形態として最も適切と考えられる例について記載するものであり、当然のことながら、本発明の内容を本実施の形態にて示された具体例に限定して解すべきではない。同様の作用・効果を奏する構成であれば、実施の形態にて示す具体的構成以外のものであっても、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる撮影行動分析システムについて説明する。図1に示すとおり、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムは、撮影者が撮影した画像の内容を分析する撮影内容判定部1と、当該画像の撮影時における撮影者の撮影態様について分析する撮影態様判定部2と、撮影者による当該画像の活用態様について分析する活用態様判定部3と、撮影内容判定部1、撮影態様判定部2及び活用態様判定部3における分析結果に基づき、当該画像の撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成部4と、撮影者と対応関係にある非代替性トークンである撮影者トークンを生成するトークン生成部5と、撮影者トークンの保有者に関する情報及び撮影者嗜好情報を含む情報として、撮影者トークンに対応した分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成するトランザクション生成部6と、トランザクションに含まれる情報の生成・出力が撮影者トークンの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する電子署名生成部7と、トランザクション及び電子署名を撮影者トークンと関連づけられた分散型ネットワークに出力するよう指示する出力部8と、分散型ネットワークにアクセスしてトランザクションに含まれる撮影者嗜好情報を取得する撮影者嗜好情報取得部9とを備える。
【0019】
撮影内容判定部1は、撮影者が撮影した画像の内容を分析するためのものである。分析対象となる画像は撮影者によって撮影されたものであれば任意のものでよく、静止画・動画のいずれでもよいし、2次元・3次元のいずれであってもよい。「撮影者によって撮影された」に関しては、一般的なカメラにおいて撮影者がファインダーに表示される画像を確認した上でシャッターを押した場合のみならず、構図、撮影タイミング等について撮影者の具体的な指揮監督のもと画像が取得される場合全般を含むものとする。撮影内容判定部1は、具体的には、撮影画像を入力する撮影画像入力部11と、撮影画像に含まれる画像部分のうち撮影目的物に対応すると推測される画像部分を特定する目的物特定部12と、目的物特定部12にて特定された撮影目的物の種別判定を行う種別判定部13と、種別判定部13による判定結果を含む情報である画像内容情報を生成する画像内容情報生成部14とを備える。
【0020】
撮影画像入力部11は、撮影者が撮影した画像を入力するためのものである。具体的構成としては、デジタルカメラ、スマートフォン等から出力される画像データを入力する機能を有するものであれば、任意の構成とすることが可能である。また、撮影画像入力部11の構成としては、電子データとしての画像データを入力するものだけでなく、印刷された撮影画像を光学的に読み取るカメラ機能ないしスキャナ機能を備えたものであってもよい。
【0021】
目的物特定部12は、撮影画像入力部11を介して入力された撮影画像において、撮影者が意図的に撮影した対象である撮影目的物を特定するためのものである。具体的には、目的物特定部12は、撮影画像にて何が写されているかについて画像認識技術を用いて認識した上で、撮影画像中における認識物(人物、建物等)の大きさ(たとえば、大きい方が撮影目的物と判定されやすい)、位置(たとえば、中央付近に位置する方が撮影目的物と判定されやすい)、ピント(たとえば、焦点が合っている方が撮影目的物と判定されやすい)等に基づき撮影目的物を特定する。なお、目的物特定部12によって特定される撮影目的物は撮影画像ごとに1つに限定する必要はなく、同一の撮影画像中で複数の撮影目的物(たとえば人物A、人物B、人物C)を特定することとしてもよい。また、より単純に偶然に写りこんだにすぎない背景等明らかに撮影目的物に該当しないもの以外を撮影目的物と特定する構成としてもよいし、対象となる撮影画像の前後に撮影された画像をも参照して撮影目的物を特定する方法、たとえば前後に撮影された画像を含め複数の画像にて撮影されているもののみを撮影目的物と特定する方法を用いることとしてもよい。
【0022】
種別判定部13は、目的物特定部12にて特定された撮影目的物の種別を判定するためのものである。種別判定部13が判定する「種別」とは撮影目的物の属性に関する情報及び/又は撮影目的物そのものを特定する情報をいう。たとえば、撮影目的物が京都府所在の金閣であった場合において、種別判定部13は、撮影目的物の種別として「建築物」、「仏教寺院」、「観光施設」「京都の歴史的建造物」等の属性に関する情報に加え「鹿苑寺金閣」という特定情報をも「種別」の一つとして判定する。同様に、撮影目的物が特定の人物であった場合、種別判定部13は、撮影目的物の種別として「人間」、「男性」、「1980年生まれ」等の属性に関する情報に加え、人物を特定する氏名・名称等も「種別」の一つとして判定する。さらには、撮影目的物がコンサート等のイベント(あるいはイベントに出演する特定人物)の場合は、種別判定部13は、具体的な出演者名、イベント名の他、「音楽コンサート」、「洋楽ロックコンサート」などを「種別」として判定する。種別判定部13による種別判定処理は、たとえば撮影目的物として特定された画像部分と同一又は類似する画像を所定のデータベースあるいはインターネット上の公開情報等にて検索し、発見された類似画像に関する説明文等から種別判定を行うことが好ましく、また、撮影者のコメント等を参照しつつ種別判定を行うこととしてもよい。なお、本実施の形態1では「種別」として複数の情報について判定する構成としているが、より単純な構成として、属性情報及び特定情報のうち任意の一つの情報のみを「種別」として判定する構成としてもよい。
【0023】
画像内容情報生成部14は、対象となる撮影画像と関連付けた上で、種別判定部13にて判定された撮影目的物の種別に関する情報を含む、撮影画像の内容に関する情報であり撮影内容の判定結果としての画像内容情報を生成するためのものである。画像内容情報生成部14は、種別に関する情報に加え撮影目的物に対応した画像部分に関する情報(たとえば撮影画像全体における大きさ、位置等)及び撮影者の撮影目的物に対する関心度に関する情報(たとえば前後に撮影した画像にて何度も撮影されていること、画面全体にわたるほど大きく写されていること等を根拠に「高関心度」と推測した情報)を含める形式にて画像内容情報を生成することが好ましいが、種別に関する情報のみ含めることとしてもよい。画像内容情報生成部14によって生成された画像内容情報は撮影者嗜好情報生成部4に出力され、撮影者嗜好情報生成部4は画像内容情報に基づき撮影者嗜好情報を生成する。
【0024】
撮影態様判定部2は、撮影画像入力部11を介して入力された撮影画像の撮影時における撮撮影態様(たとえばどこで、どのような状況下で、どのような機材を用いて、等)について分析するためのものである。具体的には、撮影態様判定部2は、撮影時における撮影者の位置を判定する撮影地判定部15と、撮影時の状況について判定する撮影状況判定部16と、撮影に用いた撮影機器を判定する撮影機器判定部17と、撮影地判定部15、撮影状況判定部16及び撮影機器判定部17の判定結果に基づき撮影態様に関する情報である撮影態様情報を生成する撮影態様情報生成部18とを備える。なお、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムでは撮影地判定部15、撮影状況判定部16及び撮影機器判定部17の全てを備えた構成を採用するが、より簡易な構成として、撮影態様判定部2がこれらの一部のみ備えた構成を採用してもよい。
【0025】
撮影地判定部15は、対象となる撮影画像の撮影がなされた撮影地の種別について判定するためのものである。撮影地の種別とは、画像内容の種別と同様に、撮影地の属性に関する情報及び/又は撮影地そのものを特定する情報をいう。具体的には、撮影地判定部15は、たとえば撮影画像の画像データ中に撮影地の位置情報が含まれている場合は当該位置情報を抽出することによって、撮影機器に撮影当時の位置が記録されている場合は当該記録情報を撮影機器から入力することによって、撮影写真の内容(たとえば撮影目的物)の位置が明らかな場合は当該撮影目的物の位置をもって、撮影機器が固定された装置(たとえば証明写真機や、3D写真撮影のための撮影用ドーム)であれば当該撮影機器の位置情報に基づき、撮影地の種別を判定する。撮影地判定部15は、位置情報として、撮影地の具体的な座標(経度、緯度等)に関する情報のみならず撮影地が属する領域の地理的情報(たとえば「観光地」、「歓楽街」等の種別情報や「渋谷センター街」のような具体的情報)を含むことが好ましい。なお地理的情報はあくまで「撮影地」に関する情報であり、撮影目的物(たとえば個々の建物名)に関する種別情報とは別種のものである(たとえば撮影地の地理的情報としては「東京ディズニーランド」となり、撮影目的の種別情報としては「シンデレラ城」となる。)。もっとも両者の区別は厳格なものではなく、相互に重複が生じることとしてもよい。
【0026】
撮影状況判定部15は、対象となる撮影画像の撮影前後における撮影者の行動状況の種別を判定するためのものである。撮影者の行動状況の種別とは、画像内容の種別等と同様に、行動状況の属性に関する情報及び/又は行動状況そのものを特定する情報をいう。具体的には、撮影状況判定部15は、たとえば位置情報の時間変動に関する情報から、撮影時における撮影者が移動中であるか、撮影のためあるいは撮影時を含む一定期間において移動せず静止しているかを判定する。位置情報の時間変動の検出方法としては、複数の撮影画像にそれ記録された撮影日時及び位置情報から検出あるいは推測することとしてもよいし、撮影機器または撮影者が所持する携帯型情報端末に内蔵されたGPS機器等の位置検出機能により生成されるデータを入力することによって検出することとしてもよい。また、撮影状況判定部15は、たとえば撮影機器あるいは撮影者が所持する携帯型情報端末に内蔵された加速度センサの測定結果に基づき撮影時及び撮影前後における動作態様(たとえば徒歩で移動している、自動車に乗って移動している、移動せず一定の場所で作業を行っている、移動せず動作も行わず完全に静止している、等)を検出することとしてもよい。
【0027】
撮影機器判定部17は、対象となる撮影画像の撮影にいかなる撮影機器が使用されたかについて判定するためのものである。具体的には、撮影機器判定部17は、たとえば撮影機器を特定する具体的な名称及び撮影機器が属するカテゴリ(スマートフォン附属のカメラ、デジタル1眼レフ、証明写真撮影機、3D写真撮影のための撮影ドーム、等)の少なくとも一方について判定する機能を有する。撮影機器判定部17による撮影機器の判定方法としては、たとえば撮影画像のデータ中に撮影機器に関する情報が含まれている場合は当該情報を抽出して撮影機器の具体名・カテゴリを判定することとしてもよいし、撮影機器から直接的に情報を取得する又は撮影者が作成した情報を入力して撮影機器の具体名・カテゴリを判定することとしてもよい。
【0028】
撮影態様情報生成部18は、撮影地判定部15、撮影状況判定部16及び撮影機器判定部17の判定結果に基づきこれらに関する情報であって撮影態様の判定結果としての撮影態様情報を生成するためのものである。撮影態様情報生成部18は、具体的には、対象となる撮影画像と関連付けた上で撮影地の具体的座標・撮影地の地理的情報、撮影者の移動態様・動作態様に関する情報及び撮影機器の名称・カテゴリに関する情報の内少なくとも1以上の情報(好ましくはすべての情報)を含む情報として、撮影態様情報を生成する。撮影態様情報生成部18によって生成された撮影態様情報は撮影者嗜好情報生成部4に出力され、撮影者嗜好情報生成部4は画像内容情報に加えて撮影態様情報に基づき撮影者嗜好情報を生成する。
【0029】
活用態様判定部3は、対象となる撮影画像に関する撮影者による活用態様について分析するためのものである。具体的には、活用態様判定部3は、撮影者によって撮影された撮影画像に関する画像加工処理の有無・内容、画像の出力態様、画像公開の有無・公開範囲等について分析するためのものである。具体的には、活用態様判定部3は、撮影画像と関連付けられた、活用対象となる活用画像に関する情報を入力する活用画像入力部20と、入力された活用画像と撮影画像を対比して加工処理によって生じた相違点を抽出する加工内容判定部21と、活用画像の出力態様について判定する出力態様判定部22と、活用画像の公開の有無・公開した場合は公開レベルについて判定する公開範囲判定部23と、加工内容判定部21、出力態様判定部22及び公開範囲判定部23の判定結果に関する情報を含む活用態様情報を生成する活用態様情報生成部24とを備える。
【0030】
活用画像入力部20は、対象となる撮影画像に基づき生成された活用画像に関する情報を入力するためのものである。「活用画像」とは、撮影画像に対し一定の加工処理を施した画像の他、何ら加工処理を行わない撮影画像そのものも含む概念であり、撮影者が活用時に使用する画像全般を含むものとする。「活用画像に関する情報」とは、活用画像の内容(画像データ)そのものに加え、好ましくは活用画像が公開されている媒体や当該媒体における公開設定に関する情報等を含むものとする。活用画像と撮影画像の関連付けについては、何ら加工処理がなされなかった場合は撮影画像と画像内容が一致する画像を活用画像としてよく、何らかの加工処理がなされた場合、たとえば画像データが層構造からなり加工処理に対応した層を分離可能であれば加工処理層を分離した上で撮影画像と比較し相当程度一致する場合に活用画像が当該撮影画像に基づき生成されたものと判断する。加工処理に対応した層を分離できない場合は、各画像を全体比較し一致部分が相当程度存在する、あるいは相違部分について加工処理により相違が生じたと推定可能な部分が一定割合以上存在する場合に当該活用画像が当該撮影画像に基づき生成されたものと判断する。
【0031】
加工内容判定部21は、活用画像入力部20を介して入力された加工画像について、元となる撮影画像に対する加工処理の有無及び加工処理がなされた場合はその内容について判定するためのものである。加工内容判定部21は、加工処理の有無の判定に関しては、たとえば加工画像と撮影画像の各画像データを比較し相違点が一定割合以下である場合には加工処理無しと判定し、一定割合を上回る相違部分が存在する場合に加工処理ありと判定する。また、加工内容判定部21は、加工画像が層構造からなり加工処理層を分離できる場合においては、加工処理層を分離抽出して加工内容を判定し、加工処理層を分離抽出できない場合は、加工画像と撮影画像とを画像データレベルで比較し、相違部分を加工処理部分と判定した上で加工処理内容を推定する。なお、加工内容判定部21の判定結果の構成としては、たとえば特定位置の画素がどのように変化しているかを示す情報群によって構成することとしてもよいが、より好ましくは、加工処理の意味内容が明らかとなる内容たとえば人物画像において目が大きく加工されている、肌が白くなるよう加工されている、といった内容とする。
【0032】
出力態様判定部22は、加工画像の出力態様について判定するためのものである。「出力態様」とは印画紙などの物理的な媒体上に加工画像の視覚的内容を出力する場合のみならず、所定のコンピュータプログラム、インターネット上のサービス等に対し電子的に画像データを出力する場合をも含む。また、本実施の形態1において「出力態様」には出力領域(地理的な領域としての意味とインターネット上のURL等の仮想的な領域としての意味の双方を含む)に関する情報も含むものとする。出力態様判定部22は、出力態様として物理的な媒体上に出力された場合はたとえば媒体の内容及び出力領域及び出力に用いられた装置について判定する。この場合において、媒体、出力領域、出力装置のいずれについても、具体的名称に加え種別、分類ないしカテゴリ的な概念についても判定することが好ましい。たとえば、出力態様判定部22は、媒体としての具体的名称は印画紙、カテゴリとしての「シート状の媒体」、出力領域としての具体的な位置情報とカテゴリとしての「コンビニエンスストア」、出力装置としての具体的な機種名とカテゴリとしての「カラープリンタ」等と判定する。
【0033】
同様に、出力態様判定部22は、出力態様として電子的に画像データを出力する場合はたとえば出力媒体、出力領域(URL等の仮想空間上の位置)、出力装置について判定することとし、たとえば出力媒体としての具体的なネットサービスの名称とカテゴリとしての「SNS」、出力領域としての具体的なURLとカテゴリとしての「ショッピングモール」、出力装置としての具体的なサーバー機器の名称及びカテゴリとしての「クラウドサーバー」等と判定する。なお、電子的に画像データを出力する場合は出力媒体、出力領域及び出力装置が概念的に重複することがあるため、これらの項目全てについて判定処理を行うのではなく、一部の項目のみについて判定処理を行うこととしてもよい。同様に、物理的な媒体上に出力される場合においても、より単純化して一部の項目についてのみ判定処理を行うこととしてもよい。さらに、各項目について具体的名称とカテゴリ等のいずれか一方を判定することとしてもよい。出力態様判定部22における判定処理は、加工画像の画像データと同一又は類似する画像データを探索することで出力された事実について把握し、当該出力事実に基づき出力領域等の情報をインターネット等における公開情報に基づき判定することによって行われる。このほか、加工画像の出力に用いられた出力装置から、出力ごとに加工画像の内容、出力領域等の情報を出力態様判定部22に対し出力する構成を採用することとしてもよい。
【0034】
公開範囲判定部23は、活用画像の公開の有無及び公開された場合は公開レベルについて判定するためのものである。具体的には、公開範囲判定部23は、出力態様判定部22によって判定された出力態様のそれぞれについて、未公開(撮影者のみが閲覧可能)、全面的公開(世界中のあらゆる人物が閲覧可能)、部分公開(限られた一部の人物のみ閲覧可能)等、いかなる範囲で公開されたかを判定する機能を有する。公開範囲判定部23は、出力態様判定部22によって判定された出力態様のそれぞれについて、たとえば加工画像が掲載されたSNS上に表示された公開情報を解読することによって公開範囲を判定することとしてもよいし、複数のアカウント等によるアクセス結果(たとえばアカウントAでは閲覧可能、アカウントBでは閲覧不能)に基づき公開範囲を判定することとしてもよい。より簡易には、出力態様そのものから公開範囲を推定することとしてもよい(たとえば、何ら加工処理がされていない加工画像をコンピニエンスストアのカラープリンタで印画紙に物理的に出力した場合、何ら公開せず記録用に保管するものと推測されることから、「未公開」と判断する、等)。
【0035】
活用態様情報生成部24は、加工内容判定部21、出力態様判定部22及び公開範囲判定部23における判定結果に基づきこれらに関する情報であり活用態様の判定結果としての活用態様情報を生成するためのものである。活用態様情報生成部24は、具体的には、対象となる撮影画像と関連付けた上で加工処理の有無・内容、加工画像の出力媒体・出力領域・出力装置に関する情報、出力した加工画像の公開の有無・範囲に関する情報の内少なくとも1以上の情報(好ましくはすべての情報)を含む情報である活用態様情報を生成する。活用態様情報生成部24によって生成された活用態様情報は撮影者嗜好情報生成部4に出力され、撮影者嗜好情報生成部4は画像内容情報、撮影態様情報に加え活用態様情報に基づき撮影者嗜好情報を生成する。
【0036】
撮影者嗜好情報生成部4は、撮影画像の画像内容に関する画像内容情報、撮影画像の撮影時における撮影態様に関する撮影態様情報及び撮影画像の活用態様に関する活用態様情報のうち少なくとも1以上の情報(好ましくはすべての情報)に基づき、対象となる撮影画像を撮影・活用した撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成するためのものである。具体的には、撮影者嗜好情報生成部4は、画像内容情報、撮影態様情報及び活用態様情報と嗜好内容との関係性を示す関係性情報を記録した関係性情報データベース26と、関係性情報データベースに記録された関係性情報を参照しつつ、入力された画像内容情報等に対応した嗜好内容を抽出する嗜好性抽出部27と、嗜好性抽出部27によって抽出された嗜好内容に基づき撮影者嗜好情報を生成する情報生成部28とを備える。
【0037】
関係性情報データベース26は、画像内容情報、撮影態様情報及び活用態様情報の各項目と各項目に対応する嗜好内容を含む情報である関係性情報を記憶するためのものである。関係性情報は、別途嗜好内容を確認した過去の撮影者と当該撮影者に関する画像内容情報等を関連付けることによって生成してもよいし、機械学習等によって両者の関係性を抽出することで生成してもよい。また、関係性情報の形式としては、画像内容情報、撮影態様情報及び活用態様情報の全ての項目に関する具体的内容と単一の嗜好内容を関連付ける形式としてもよいし、単一項目あるいはすべての項目の中から抽出した複数の一部項目に関する具体的内容と1以上の嗜好内容を関連付ける形式としてもよい。嗜好内容は、たとえば内的な性格・他の人物、コンテンツ等の対象物に対する興味や、外的な行動傾向、購買履歴などを含む特定人の嗜好に関する情報とすることが好ましい。
【0038】
嗜好性抽出部27は、関係情報を参照しつつ、対象となる撮影画像について生成された画像内容情報、撮影態様情報及び活用態様情報に記載された各項目の具体的内容に基づき、これと関連付けられた嗜好内容を抽出するためのものである。嗜好性抽出部27における情報抽出方法は、複数の項目に関する具体的内容を使用する場合には項目内容が完全一致する関係情報を参照する他、大多数(たとえば全項目の8割)の項目内容が一致する関係情報を参照することとしてもよい。各項目に関する項目内容の一致・不一致の判断についても文言的に完全一致する場合だけでなく意味内容として同一又は類似と認められる場合にも項目内容が一致するとして関連情報として抽出することとしてもよい。
【0039】
情報生成部28は、嗜好性抽出部27によって抽出された関連情報に含まれる嗜好性の内容を含む情報である撮影者嗜好情報を生成するためのものである。具体的には、情報生成部28は、嗜好性抽出部27によって抽出された嗜好内容と対象撮影画像の撮影者を紐づけた形式にて嗜好性情報を生成し、トランザクション生成部6に対し出力する。
【0040】
トークン生成部5は、対象となる撮影画像を撮影した撮影者と対応関係にある非代替性トークンである撮影者トークンを生成するためのものである。「非代替性トークン」とはいわゆるNFT(Non-Fungible Token)、すなわち固有のデータを備えることで他のトークンと代替不能な性質を有するトークンを意味し、たとえばEthereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行されるものである。本実施の形態1にける撮影者トークンは、ERC721またはその他の所定の規格に基づき発行されるものであり、対応する利用者に関する情報及び当該利用者による部分コンテンツに対する関心情報等の情報がブロックチェーン上に保存される構成となっている。
【0041】
「ブロックチェーン」とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータ間において暗号技術を活用しつつデータ同期を行う技術である。具体的には、合意された取引記録等のトークンに関する情報の集合体と、他のブロックと接続させるための情報(前のブロックの情報)により各ブロックが構成され、当該各ブロックが複数連結されることによってブロックチェーンが構成される。複数のコンピュータの一部でデータ改ざんが行われても他のコンピュータとの間で多数決によって正しいデータが選択されるため、データの破壊・改ざんが極めて難しいという特徴を有している。
【0042】
撮影者トークンと撮影者の対応関係としては、撮影者トークンの識別子と撮影者の識別情報(撮影者の識別情報としては撮影者の氏名でもよいし、撮影者と関連付けた何らかの文字列等でもよい。)とを1対1で紐づける形式とする。より直接的に、撮影者トークンの識別子と撮影者の識別情報を同一内容とすることとしてもよいし、それぞれ異なる文字列等によって構成したものについて対応関係を設定する態様でも問題ない。また、撮影者に関するデータが保存されているインターネット空間上のURL情報と紐づける形式としてもよい。
【0043】
また、本実施の形態1において、生成された撮影者トークンと対応関係にある分散型台帳を構成するブロックには、撮影者トークンの保有名義の移転に関する取引記録の他、当該撮影者に関する撮影者嗜好情報が記録されるものとする。これらの情報については、トランザクション生成部6によって分散型ネットワークに対し出力される情報であるトランザクションに変換される。
【0044】
なお、撮影者トークンの生成については、トークン生成部5が自ら行う態様でもよいし、トークン生成部5と直接的または間接的に接続された外部システムに対し所定の指令を行うことによって、外部システムが生成する態様としてもよい。また、撮影者トークンの具体的形式についても、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に準拠したものに限定されず、非代替性の性質を有し、取引履歴がブロックチェーン上に保存されるものであれば任意の形式のものとしてよい。
【0045】
トランザクション生成部6は、分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成する機能を有し、特許請求の範囲における情報生成手段の一例に相当するものである。具体的には、トランザクション生成部6は、トランザクションの内容として、撮影者トークンの保有名義の変更に関する情報に加え、撮影者嗜好情報生成部4(情報生成部28)によって生成された撮影者嗜好情報を含む情報を生成するものとする。より好ましくは、トランザクション生成部6は、トランザクションの内容として、これらの情報に加えて対象となる撮影画像に関する画像内容情報、撮影態様情報及び活用態様情報を含めることとしてもよい。
【0046】
電子署名生成部7は、トランザクションに含まれる情報の作成・出力が撮影者トークンの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する機能を有する。具体的には、電子署名生成部7は、トランザクション生成部6によって生成されたトランザクションのハッシュ値を生成し、撮影者トークンの保有者が保有する秘密鍵にて当該ハッシュ値を暗号化することにより電子署名を生成する機能を有する。なお、「ハッシュ値」とは元データに対し一定計算手順を施すことにより得られた固定長の値である。当該計算手順が不可逆なものであるため、ハッシュ値から元データを復元することは不可能とされている。また、「秘密鍵」とは暗号化処理に用いられる数列であって、対応関係にある「公開鍵」により復号することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態1においてはトランザクション生成部6及び電子署名生成部7は、保有名義変更情報の一態様であるトランザクション及び電子署名の作成まで自ら行う構成としているがこれに限定する必要はなく、トランザクション生成部6及び電子署名生成部7が外部の所定機器に対しトランザクション及び電子署名の作成を指示するのみの機能を有することとしてもよい。
【0047】
出力部8は、トランザクション生成部6にて生成されたトランザクション及び電子署名生成部7にて生成された電子署名を、撮影者トークンと関連付けられた分散型ネットワークに対し出力するよう指示するためのものでありる。出力部8は特許請求の範囲における出力指示手段の一態様として機能するものであり、本実施の形態では直接的にトランザクション及び電子署名を出力する構成としているが、他の構成要素に対しトランザクションを出力するよう指示するのみとした構成でもよい。なお本実施の形態1において出力部8は分散型ネットワークに対し直接的または間接的に接続されており、分散型ネットワークに対し所定のデータを出力可能な態様にて構成されている。分散型ネットワークは、出力されたトランザクションのハッシュ値を生成するとともに、電子署名を公開鍵にて復号したデータ(=トランザクションのハッシュ値)と対比し、両者が異なる値となる場合はトークン保有者等による適正なトランザクションではないと判定して登録を拒否し、両者が一致する場合は適正なトランザクションと判定し、トランザクションにより構成される情報を、分散型台帳を構成するブロックに格納する。出力部8が出力するトランザクションには保有名義の変更に関する情報が含まれており、トランザクションが分散型ネットワークに対し出力されることにより、これらの情報が分散型ネットワーク上に設けられた分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0048】
撮影者嗜好情報取得部9は、対応する分散型ネットワークにアクセスしてトランザクションに含まれる撮影者嗜好情報を取得するためのものである。具体的には、撮影者嗜好情報取得部9は、出力部8から出力され分散型ネットワーク上の分散型台帳にアクセスし、当該分散型台帳に記録された撮影者嗜好情報をダウンロードすることによって、撮影者嗜好情報を取得する。撮影者嗜好情報取得部9によって取得された撮影者嗜好情報は、たとえばインターネット上でウェブサービスを展開する事業者に提供され、当該事業者は、撮影者嗜好情報に記載された嗜好内容に適したウェブサービスや商品の新たな開発に役立てることが可能となる。
【0049】
次に、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムの利点について説明する。本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムは、撮影画像の画像内容に関する画像内容情報、撮影画像の撮影時における撮影態様に関する撮影態様情報及び撮影画像の活用態様に関する活用態様情報のうち少なくとも1以上の情報(好ましくはすべての情報)に基づき、対象となる撮影画像を撮影・活用した撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する構成を採用している。広く一般大衆にて撮影機器を用いた撮影行動が行われる現在においては、撮影行為自体が個性を発露するものであり、何を撮影するか、どの場面で撮影するか、どのように活用するか等の各場面において、撮影者の個性が発揮される。本実施の形態1では、かかる撮影行動の特性に鑑みて分析行為を行うことにより、撮影者の嗜好に関する高精度な情報を取得できるという利点を有する。特に、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムは、一般に行動分析の対象とならない撮影内容、撮影態様及び活用態様に基づき嗜好情報の生成を行うため、撮影者が意図的に通常と異なる行動等をしたために不正確な情報が生成されるといった問題が生ずることがないという利点を有する。
【0050】
また、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムは、生成した撮影者嗜好情報について、トランザクションに含める態様にて分散型台帳内のブロックに記録することとしている。ブロックチェーン技術を利用することにより、記録内容を第三者が改竄されることを防止できるため、本実施の形態1にかかる撮影行動分析システムは、生成した撮影者嗜好情報を正確に記録できるという利点を有する。
【0051】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる撮影行動分析システムについて説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一名称かつ同一符号を付した構成要素に関しては、特に言及しない限り、実施の形態1における構成要素と同一の機能を発揮するものとする。
【0052】
実施の形態2にかかる撮影行動分析システムは、実施の形態1と同様に撮影内容判定部1、撮影態様判定部2及び活用態様判定部3の分析結果に基づき撮影者嗜好情報を生成する機能を有する一方、生成された撮影者嗜好情報に基づく撮影者に対する第三者からの働きかけに対する反応内容を含む情報である反応情報に基づき、撮影者嗜好情報の生成に用いる関係性情報の内容を修正することを通じて、過去に生成された撮影者嗜好情報を修正するとともに、新たに撮影者嗜好情報生成の際に修正後の関係性情報を使用しより正確な撮影者嗜好情報を生成する機能を有する。
【0053】
図2に示すとおり、本実施の形態2にかかる撮影行動分析システムは、実施の形態1と同様の構成に加え、撮影者嗜好情報取得部9によって取得した撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を生成する注意喚起情報生成部30と、生成された注意喚起情報を対応する撮影者に提供する情報提供部31と、注意喚起情報の提供を受けた撮影者の反応の有無及び反応がなされた場合における反応内容に関する情報を含む反応情報を取得する反応情報取得部32と、反応情報の内容に応じて撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤りと判定された場合に当該撮影者嗜好情報及び/又は対応する関係性情報の内容を修正する情報修正部33とを備える。
【0054】
注意喚起情報生成部30は、撮影者嗜好情報に対応した注意喚起情報を生成するためのものである。注意喚起情報とは、撮影者の注意を促す情報を総称したものであり、その内容は、対象となる撮影者に関する撮影者嗜好情報に基づき生成され、非経済的・経済的な行動に対する撮影者の注意喚起を目的としたものである。たとえば、注意喚起情報に含まれていた嗜好内容と整合する撮影スポットを紹介する情報であってもよいし、嗜好内容に整合するネットサービスや商品の購入を促す内容の情報であってもよい。より好ましくは、注意喚起情報生成部30は、注意喚起情報とは別に、当該注意喚起情報を受けた撮影者が起こすであろう反応内容の予測情報も別途作成することとする。また、注意喚起情報の内容として、撮影者の積極的な注意を促す情報の他、消極的な注意すなわち撮影者において無関心な反応が生ずるような情報を生成することとしてもよい。
【0055】
反応情報取得部32は、撮影者嗜好情報を受領した撮影者の反応に関する情報である反応情報を取得するためのものである。反応情報には特に定まった項目・形式等がなく、注意喚起情報に対応して撮影者が起こした、あるいは起こさなかった行動に関する情報全般を含むものとする。たとえば、サービス・商品の購入を促す注意喚起情報に対する購入申込み等の反応の他、撮影スポット紹介に対し実際にそのスポットにて新たな撮影行動を行ったという情報であってもよい。また、積極的な反応を行った場合のみならず、何ら反応しなかった、あるいは敵対的な反応等をした場合の情報も反応情報に含まれる。
【0056】
情報修正部33は、提供した注意喚起情報と取得した反応情報を比較対照等することによって、注意喚起情報の作成根拠となっていた撮影者嗜好情報の正誤判定を行い、誤り判定が出た際には撮影者嗜好情報及びこれに対応する関係性情報の内容を修正するためのものである。具体的には、情報修正部33は、提供した注意喚起情報について、元となる撮影者嗜好情報から予想される反応内容と、実際に撮影者から得られた反応情報(反応情報が返ってこなかった場合を含む)の内容を比較し、一致又は相違点が想定範囲内にとどまる場合は撮影者嗜好情報が「正」であると判定する。他方で、情報修正部33は、予想される反応内容と反応情報(反応情報が返ってこなかった場合を含む)の内容が一定レベル以上相違する場合には、注意喚起情報の作成元である撮影者嗜好情報に「誤り」があるとして誤り判定を行う。誤り判定した場合、情報修正部33は、注意喚起情報と実際に得られた反応情報が相互に整合するよう、撮影者嗜好情報の内容を修正し、修正後の撮影者嗜好情報をトランザクション生成部6に出力する。トランザクション生成部6は、修正後の撮影者嗜好情報を含むトランザクションを生成し、電子署名とあわせて、撮影者に対応した分散型台帳に出力させる。また、情報修正部33は、今後同様の誤りが生じることのないよう、撮影者嗜好情報の生成に用いられる関係性情報についても修正を行う。具体的には、情報修正部33は、関係性情報データベース26にアクセスして、誤り判定がなされた撮影者嗜好情報の導出に用いられた関係性情報を検出し、当該関係性情報について、今後は正しい(=情報修正部33が修正したような)内容の撮影者嗜好情報が生成されるよう、関係性情報における嗜好内容について修正を行う。
【0057】
図3は、本実施の形態2にかかる撮影行動分析システムにおける、撮影者嗜好情報の修正処理の内容を示すフローチャートである。まず、注意喚起情報生成部30により撮影者嗜好情報に基づく注意喚起情報が生成され(ステップS201)、情報提供部31により撮影者に対し提供される(ステップS202)。その後、反応情報取得部32は、注意喚起情報が提供された撮影者における反応(何も反応しない場合を含む)に関する情報を探索し反応情報を生成する(ステップS203)。情報修正部33は、撮影者嗜好情報の内容から導出される撮影者の反応予想と、実際に得られた反応情報に含まれる撮影者の反応内容を比較する(ステップS204)。反応予想と実際の反応内容が一致あるいは相違レベルが想定範囲内に留まる場合(ステップS204、No)、実施の形態2にかかる撮影行動分析システムの処理は終了する。反応予想と実際の反応内容の相違レベルが想定範囲外であった場合(ステップS204、Yes)、情報修正部33は、注意喚起情報と実際の反応内容が整合するよう撮影者嗜好情報を修正する(ステップS205)。さらに情報修正部33は、今後著作者嗜好情報を生成する際に誤った内容となることを抑制するため、関係情報データベースにアクセスし、誤りが発生した原因となる関係性情報を抽出し、当該関係性情報の嗜好内容について修正を行う(ステップS206)。
【0058】
次に、本実施の形態2にかかる撮影行動分析システムの利点について説明する。本実施の形態2にかかる撮影行動分析システムでは、一旦生成された撮影者嗜好情報の正誤を確認し、誤りと判定された場合に撮影者嗜好情報の内容を修正する構成を採用することで、より正確な撮影者嗜好情報を生成できるという利点を有する。特に、本実施の形態2にかかる撮影行動分析システムでは、一般的な宣伝広告情報を注意喚起情報の一環として扱うことが可能であるから、検査用に注意喚起情報をわざわざ生成しなくとも、撮影者嗜好情報を取得した企業等が自社製品・サービスの宣伝のために情報提供し、それに対する反応が想定と異なるような場合に撮影者嗜好情報の正誤判定等が可能であるという利点を有する。
【0059】
以上、実施の形態1、2にわたり本発明の内容について説明したが、もとより本発明の技術的範囲は実施の形態に記載した具体的構成に限定して解釈されるべきではない。本発明の機能を実現できるものであれば、上記実施の形態に対する様々な変形例、応用例についても、本発明の技術的範囲に属することはもちろんである。たとえば、実施の形態2では分散型台帳に記録されたトランザクションにアクセスして撮影者嗜好情報を取得することを前提としているが、撮影者嗜好情報生成部4にて生成された撮影者嗜好情報をそのまま記憶しておき、注意喚起情報生成の際に当該記憶した情報を参照することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、画像の撮影者に関する行動分析を行うことで撮影者の嗜好を推定する技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 撮影内容判定部
2 撮影態様判定部
3 活用態様判定部
4 撮影者嗜好情報生成部
5 トークン生成部
6 トランザクション生成部
7 電子署名生成部
8 出力部
9 撮影者嗜好情報取得部
11 撮影画像入力部
12 目的物特定部
13 種別判定部
14 画像内容情報生成部
15 撮影地判定部
16 撮影状況判定部
17 撮影機器判定部
18 撮影態様情報生成部
20 活用画像入力部
21 加工内容判定部
22 出力態様判定部
23 公開範囲判定部
24 活用態様情報生成部
26 関係性情報データベース
27 嗜好性抽出部
28 情報生成部
30 注意喚起情報生成部
31 情報提供部
32 反応情報取得部
33 情報修正部
【要約】
【課題】SNS等で広く公開されている画像に関して、画像の閲覧者ではなく画像の撮影者に関する行動分析を行うことで撮影者の嗜好を推定できる技術を提供する。
【解決手段】撮影者が撮影した画像の内容を分析する撮影内容判定部1と、当該画像の撮影時における撮影者の撮影態様について分析する撮影態様判定部2と、撮影者による当該画像の活用態様について分析する活用態様判定部3と、撮影内容判定部1、撮影態様判定部2及び活用態様判定部3における分析結果に基づき、当該画像の撮影者の嗜好に関する情報である撮影者嗜好情報を生成する撮影者嗜好情報生成部4と、撮影者と対応関係にある非代替性トークンである撮影者トークンを生成するトークン生成部5とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3