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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】解体準備積立金の管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20250107BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024162089
(22)【出願日】2024-09-19
【審査請求日】2024-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520480016
【氏名又は名称】株式会社ADソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岩根 康朗
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-030304(JP,A)
【文献】特開2007-079999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅について、将来の解体に係る解体費用見積もり額を示すデータ、前記区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータを含む解体情報を管理する解体情報管理部と、
前記区分所有者それぞれについて、前記解体に係る立退料を見積もる立退料見積部と、
前記区分所有者それぞれに係る解体準備積立金を、前記解体情報及び前記立退料に基づいて算出する積立金算出部と、
を備え、
前記積立金算出部は、前記解体費用見積もり額に前記立退料の総額を加えた額から前記売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用に、区分所有者に係る専有面積の総面積に対する比率を乗じる手順を含む処理により、当該区分所有者に係る前記解体準備積立金を算出する、
土地付き集合住宅に係る解体準備積立金の管理装置。
【請求項2】
前記解体情報管理部は、前記土地付き集合住宅に関する外構の解体に係る外構解体費用見積もり額を示すデータをさらに含む解体情報を管理し、
前記積立金算出部は、前記土地付き集合住宅に関する外構がある場合に、前記差し引き解体費用の算出において前記外構解体費用見積もり額をさらに加える手順を含む処理により、当該区分所有者に係る前記解体準備積立金を算出する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記立退料見積部は、前記区分所有者に係る引越費用に基づいて前記立退料を見積もる、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記土地付き集合住宅の構造に基づいて前記解体費用見積もり額を見積もる解体費用見積部をさらに備える、請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記土地付き集合住宅の予想解体時期及び前記解体準備積立金に基づいて、前記差し引き解体費用の支払いに用いられる解体保険の掛金を算出する解体保険算出部をさらに備える、請求項1に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体準備積立金の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(「分譲マンション」とも称する。)が住居として利用されている。ところで、日本等の先進国において、少子高齢化の進行に伴う人口減少が続いている。高齢化した住民は、解体費用の分担金を支払えないとの事情から、分譲マンションが老朽化して解体を要するようになっても、解体に反対する可能性がある。これにより、解体の決定に必要な賛同者数を集められなくなり、老朽化した分譲マンションが解体されずそのまま残ってしまう可能性がある。また、人口減少が進むことによる空き部屋の増加によって、老朽化した分譲マンションの解体費用を分担する住民が減ってしまうことも懸念される。そのため、老朽化した分譲マンションの適切な解体を支援する技術が求められている。
【0003】
従来のサービス及び従来技術等における、老朽化した分譲マンションの適切な解体を支援する技術等に関し、特許文献1は、所定の端末装置から第1建物の区分所有権者であるユーザの情報を受け付け、IDを付して記憶するユーザ情報記憶手段と、前記ユーザ情報記憶手段に、前記各IDに対応付けて前記第1建物の建て替え後の建物である第2建物の区分所有権を優先的に取得できる権利である優先取得権の有無を登録する優先取得権登録手段と、前記ユーザ情報記憶手段に優先取得権が登録されている各ユーザに対して、優先取得権の内容を送信する優先取得権情報送信手段と、前記各ユーザの端末から、優先取得権を行使するか行使しないかの情報を含む回答情報を受け付け、前記IDと対応させて記憶する回答情報記憶手段と、前記回答情報記憶手段が記憶した回答情報が、前記優先取得権を行使するという情報である場合に、前記優先取得権を確定させる権利確定手段と、を備えることを特徴とする建替支援サーバを開示している。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、劣化が進行した分譲マンションなどの建物を建て替える際に、各区分所有権者から譲渡された土地に建設される計画マンションの一区画を、優先的に特別価格で取得できる優先取得権を各区分所有者に付与すること等により、当該建物の各区分所有権者の負担を可能な限り軽減して、再建・建て替えを円滑に行うようにし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-010460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、少子高齢化の進行に伴う人口減少が進む状況では、老朽化した分譲マンションに住む住民が減少又は高齢化している場合がある。このような場合、解体時において、優先取得権の付与を希望する住民が少ないことがあり得る。また、そもそも老朽化した分譲マンションが分譲マンションとして建替えられない場合もあり得る。特許文献1に記載の技術は、老朽化した分譲マンションが建替えられる場合であり、かつ、建替え後の分譲マンションに関する優先取得権の付与を希望する住民が十分に多い場合において、各区分所有者の負担を軽減し得るに留まる。よって、特許文献1に記載の技術は、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても老朽化した分譲マンションを適切に解体することを支援する点において、さらなる改良の余地がある。
【0007】
本発明の課題は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援する技術的手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、解体費用見積もり額に立退料の総額を加えた額から売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用を区分所有者に係る専有面積に応じて振り分けること等により、必要最小限かつ十分な解体準備積立金等を算出することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の一態様は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅について、将来の解体に係る解体費用見積もり額を示すデータ、前記区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータを含む解体情報を管理する解体情報管理部と、前記区分所有者それぞれについて、前記解体に係る立退料を見積もる立退料見積部と、前記区分所有者それぞれに係る解体準備積立金を、前記解体情報及び前記立退料に基づいて算出する積立金算出部と、を備え、前記積立金算出部は、前記解体費用見積もり額に前記立退料の総額を加えた額から前記売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用に、区分所有者に係る専有面積の総面積に対する比率を乗じる手順を含む処理により、当該区分所有者に係る前記解体準備積立金を算出する、土地付き集合住宅に係る解体準備積立金の管理装置を提供する。
【0010】
少子高齢化の進行等により、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)の解体を行う際、解体費用を負担する住民が少なくなっている場合がある。また、住民が減少したために分譲マンションとして建替えられず、建替え後の分譲マンションに関する優先取得権の付与と引き換えに解体費用を調達できない場合もある。このような場合、当該住宅の解体に係る費用を調達し、当該住宅を適切に解体することは、容易ではない。
【0011】
本発明の当該態様は、解体情報管理部により管理される、解体費用見積もり額、区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータ並びに立退料見積部により見積もられた立退料に基づいて、積立金算出部が、区分所有者それぞれに係る解体準備積立金を見積もる。これにより、当該態様は、この見積もりに基づいて解体準備積立金を予め集金することを可能とする。そして、当該態様は、上述のような困難がある場合であっても分譲マンションの解体費用を当該解体準備積立金によって賄うことを可能とする。よって、当該態様は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援する技術的手段を提供できる。
【0012】
そのほか、本発明は、外構解体費用見積もり額をさらに加えて集合住宅の外構の解体をも適切に支援する態様、区分所有者に係る引越費用に基づいて立退料を適切に見積もる態様、土地付き集合住宅の構造に基づいて解体費用見積もり額を適切に見積もる態様、予想解体時期を踏まえて解体保険の掛金を算出し、解体準備積立金が十分に集まっていないタイミングでの解体に係る費用調達を支援する態様等によって例示される各種態様を取り得る。これらの各種態様は、それぞれ特有の構成によって、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援することに寄与する。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援する技術的手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、解体情報データベース131の一例である。
図3図3は、積立金データベース132の一例である。
図4図4は、本実施形態の管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図5図5は、前図から続くフローチャートである。
図6図6は、前図から続くフローチャートである。
図7図7は、前図から続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず初めに、以下の開示、図表、及び/又は請求項等が、単独であるか、又は1つ以上の他の側面との組み合わせとして記述されていると説明されているものの、即時開示の主題はそのように限定されることを意図していない。つまり、即時開示、図表、及び請求項は、ここで記載されている様々な側面を、それぞれ単独であるか、又はお互いと1つ以上の組み合わせで包含することを意図する。例えば、即時開示が第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態を、第1実施形態が特に第2実施形態に関連して記述及び図示されるか、第2実施形態が第3実施形態に関連してのみ記述及び図示されるような方法で記述及び図示する場合でも、即時開示と図示はそのように限定されるものではなく、第1実施形態のみ、第2実施形態のみ、第3実施形態のみ、又は第1、第2及び/又は第3実施形態の1つ以上の組み合わせ、例えば第1実施形態と第2実施形態、第1実施形態と第3実施形態、第2実施形態と第3実施形態、又は第1、第2、及び第3実施形態が含まれることがある。
【0016】
本文中でのフレーズ「又は」の使用は、明示的に指定されていない限り、「排他的ではない」取り決めを意味するものとする。例えば、「項目xがA又はBである」と言う場合、次のいずれかを意味するものとする:(1)項目xがA又はBのどちらか一方のみである、(2)項目xがAとBの両方である。言い換えれば、単語「又は」は、「排他的」な取り決めを定義するために使用されない。
【0017】
また、本文中で用いられるフレーズ「少なくとも1つを含む」や「以下の少なくとも1つを含む」は、システム又は要素と組み合わせて使用される場合、そのシステム又は要素がフレーズの後に列挙された要素の1つ以上を含むことを意味する。例えば、要素が第1要素から第3要素の3種類である場合、フレーズ「少なくとも1つを含む」や「以下の少なくとも1つを含む」は、次のような構造的配置のいずれかとして解釈する:第1要素を含むデバイス、第2要素を含むデバイス、第3要素を含むデバイス、第1要素と第2要素を含むデバイス、第1要素と第3要素を含むデバイス、第2要素と第3要素を含むデバイス、又は第1要素、第2要素、第3要素を含むデバイス。
【0018】
本文中で「以下の少なくとも1つで使用されている」というフレーズが使用される場合も同様の解釈が意図されている。さらに、本文中で使用される「及び/又は」は、言語的な接続詞として用いられ、記載された要素や条件の1つ以上が含まれるか発生することを示すために使用されている。例えば、第1要素、第2要素、及び/又は第3要素を含むデバイスは、次の構造的配置のいずれかとして解釈される:第1要素を含むデバイス、第2要素を含むデバイス、第3要素を含むデバイス、第1要素と第2要素を含むデバイス、第1要素と第3要素を含むデバイス、第2要素と第3要素を含むデバイス、又は第1要素、第2要素、第3要素を含むデバイス。
【0019】
なお、本文中でのフレーズ「及び/又は」の使用が「排他的ではない」取り決めを意味することは、日本産業規格(JIS)の「規格票の様式及び作成方法 JIS Z 8301」にも規程されている。
【0020】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0021】
<システムS>
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のシステムSは、土地付き集合住宅に係る解体準備積立金の管理システムである。システムSは、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援すべく、解体準備積立金を管理する。
【0022】
システムSは、土地付き集合住宅に係る解体準備積立金の管理装置1を含んで構成される。管理装置1は、ネットワークNを介して端末Tと通信するよう構成される。システムSは、管理装置1の管理者等が利用する端末Tをさらに含んで構成されてもよい。
【0023】
〔管理装置1〕
管理装置1は、制御部11、記憶部13、及び通信部14を備える。管理装置1の種類は、特に限定されず、例えば、サーバ装置、クラウドサーバ等で良い。
【0024】
[制御部11]
制御部11は、Central Processing Unit(CPU)、Random Access Memory(RAM)、及びRead Only Memory(ROM)等を備える。
【0025】
制御部11は、必要に応じて、記憶部13及び通信部14のうち、少なくともいずれか一方と協働する。そして、制御部11は、管理装置1で実行される本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素である、解体情報管理部111、解体費用見積部112、立退料見積部113、積立金算出部114、積立金管理部115、解体保険算出部116、解体保険管理部117等を実現する。
【0026】
[記憶部13]
記憶部13は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によってデータを非一時的に格納するストレージ部を有する。記憶部13には、マイクロコンピューターで実行されるプログラム、解体情報データベース131、積立金データベース132等が格納されている。
【0027】
(解体情報データベース131)
解体情報データベース131は、土地付き集合住宅の解体に係る解体情報が格納されるデータベースである。解体情報データベース131は、解体情報管理部111により管理される。データベース操作を容易にするために、解体情報は、解体ID等によって例示される解体情報を特定する情報と関連付けられて格納されることが好ましい。
【0028】
解体情報は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅について、将来の解体に係る解体費用見積もり額を示すデータ、区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータを含む。外構の解体を含めた土地付き集合住宅の解体を支援するために、解体情報は、土地付き集合住宅に関する外構の解体に係る外構解体費用見積もり額を示すデータをさらに含むことが好ましい。ここでいう外構は、例えば、建物と別に設けられた擁壁等を含む。土地付き集合住宅の構造に基づいて解体費用見積もり額を見積もることを可能にするために、解体情報は、土地付き集合住宅の構造を示すデータをさらに含むことが好ましい。解体保険の掛金の算出に活用するために、解体情報は、予想解体時期を示すデータをさらに含むことが好ましい。
【0029】
土地付き集合住宅の管理に係る実務を行いやすいようにすべく、解体情報は、上述のデータのほかに、土地付き集合住宅の名称、所在、住戸数、階数、又は管理会社等によって例示される当該実務に必要な諸情報を示すデータをさらに含むことが好ましい。
【0030】
図2は、解体情報データベース131の一例である。当該例のデータベースには、解体ID「D0001」により特定される第1解体情報及び「D0002」により特定される第2解体情報等が格納されている。
【0031】
第1解体情報は、名称「△△マンション」、所在「さいたま市△△区△△2丁目△-△」、住戸数「60戸」、階数「10階建」、構造「軽量鉄骨」、予想解体時期「20△△年」、解体費用見積もり額「△億円」、住戸それぞれの専有面積、及び土地の売却益見積もり額「△△△△万円」等を示すデータを含んでいる。第1解体情報において、住戸それぞれの専有面積は、「住戸101」の専有面積「△△平方メートル」、「住戸102」の専有面積「△△平方メートル」等を含んでいる。
【0032】
第2解体情報は、名称「△△タワー」、所在「さいたま市△△区△△3丁目△-△」、住戸数「300戸」、階数「15階建」、構造「鉄筋コンクリート」、予想解体時期「20△△年」、解体費用見積もり額「△億円」、住戸それぞれの専有面積、土地の売却益見積もり額「△億円」、及び外構解体費用見積もり額「△△△△万円」等を示すデータを含んでいる。第2解体情報において、住戸それぞれの専有面積は、「住戸201」の専有面積「△△平方メートル」、「住戸202」の専有面積「△△平方メートル」等を含んでいる。
【0033】
解体情報データベース131にこれらの情報が格納されることにより、管理装置1は、解体費用、専有面積、及び土地の売却益見積もり額等に応じて、区分所有者それぞれが負担する解体費用の負担額を見積れる。また、第2解体情報のように外構解体費用見積もり額がさらに格納されることにより、管理装置1は、上述の諸元に加えて外構解体費用見積もり額をも加味した負担額を見積れる。
【0034】
解体情報データベース131に構造を含む解体情報が格納されることにより、管理装置1は、構造に基づいて解体費用を見積れる。解体情報データベース131に予想解体時期を含む解体情報が格納されることにより、管理装置1は、当該時期に基づいて解体保険の掛金を算出できる。
【0035】
(積立金データベース132)
積立金データベース132は、区分所有者に係る解体準備積立金に関する積立金情報が格納されるデータベースである。解体準備積立金は、土地付き集合住宅の解体に備えて、当該土地付き集合住宅の区分所有者それぞれが解体前に積み立てる資金である。積立金データベース132は、積立金管理部115により管理される。データベース操作を容易にするために、積立金情報は、積立金ID等によって例示される積立金情報を特定する情報と関連付けられて格納されることが好ましい。
【0036】
解体準備積立金の支払状況を区分所有者ごとに管理するために、積立金情報は、例えば、区分所有者の名前、関連する住戸、当該区分所有者に係る立退料、解体準備積立金の総額、解体準備積立金の支払い済額、及び解体準備積立金の残額等を示すデータを含む。
【0037】
解体保険の状況を管理するために、積立金データベース132には、区分所有者に係る解体準備積立金のほかに、解体保険の掛金に係るデータ(解体保険情報)をさらに含むことが好ましい。解体保険は、天災及び事故等によって例示される不測の事態により解体時期が早まった場合に、解体費用のうち、積立済の解体準備積立金で支払えない不足額の一部又は全部を賄うための保険である。解体保険の掛金に係るデータは、例えば、保険会社に対して定期的に支払われる掛金の金額を示すデータ及び掛金の支払状況、保険会社名、及び担当者名等を含む。これにより、管理装置1は、解体準備積立金のみならず解体保険についても管理できる。よって、管理装置1は、不測の事態においても解体費用を調達できるよう支援できる。
【0038】
図3は、積立金データベース132の一例である。当該例のデータベースには、積立金ID「F0001」により特定される第1積立金情報、「F0002」により特定される第2積立金情報、及び、「F0003」により特定される第1解体保険情報等が格納されている。
【0039】
第1積立金情報は、区分所有者の名前「田中 △△」、関連する住戸「△△マンション 101号室」、立退料「△△万円」、解体準備積立金の総額「△△△万円」、解体準備積立金の支払い済額「△△万円」、及び解体準備積立金の残額「△△△万円」を含む。
【0040】
第2積立金情報は、区分所有者の名前「佐藤 △△」、関連する住戸「△△タワー 201号室」、立退料「△△△万円」、解体準備積立金の総額「△△△万円」、解体準備積立金の支払い済額「△△△万円」、及び解体準備積立金の残額「△△万円」を含む。
【0041】
第1解体保険情報は、保険会社名「△△保険」、担当者名「鈴木 △△」、土地付き集合住宅名「△△マンション」、当該土地付き集合住宅に係る解体情報の解体ID「D0001」、及び掛金の月額「△△△万円」を含む。
【0042】
積立金データベース132にこれらの積立金情報が格納されることにより、管理装置1は、区分所有者それぞれについて、解体準備積立金の支払状況を管理できる。また、積立金データベース132に上述のような解体保険情報が格納されることにより、管理装置1は、解体保険の状況を管理できる。
【0043】
[通信部14]
通信部14は、管理装置1をネットワークNに接続して通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部14として、例えば、イーサネット規格に対応したネットワークカード、無線LANに対応した通信機器等が挙げられる。
【0044】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、管理装置1等を通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNの種類は、例えば、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0045】
〔端末T〕
端末Tは、土地付き集合住宅の管理会社等により利用される。端末Tは、利用者の入力に基づいて解体情報データベース131に係る各種データを管理装置1に登録する処理、利用者の入力に基づいて解体準備積立金の支払状況に係るデータを更新するよう管理装置1に指令する処理、管理装置1から取得したデータに基づいて解体準備積立金の集金に係るデータを表示する処理、利用者の入力に基づいて解体保険の状況に係るデータを更新するよう管理装置1に指令する処理、管理装置1から取得したデータに基づいて解体保険の掛金支払に係るデータを表示する処理等を実行する。端末Tの種類は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の携帯端末、デスクトップパソコン等の据置端末等である。
【0046】
〔管理処理のメインフローチャート〕
図4は、本実施形態の管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。図5は、前図から続くフローチャートである。図6は、前図から続くフローチャートである。図7は、前図から続くフローチャートである。以下は、図4から図7を用いた、本実施形態の管理処理の好ましい流れの一例の説明である。
【0047】
管理処理は、解体情報の管理に係る一連の処理を含む。ステップS1からステップS8は、当該処理の一例である。
【0048】
[ステップS1:解体情報を更新するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、解体情報管理部111を実行する。そして、制御部11は、解体情報管理部111により、解体情報を更新するか判別する処理を実行する(解体情報更新判別ステップ)。制御部11は、更新すると判別したならば処理をステップS2に移し、しなかったならば処理をステップS9に移す。
【0049】
解体情報更新判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから解体情報の更新に係る指令が行われた場合に、解体情報を更新すると判別する。
【0050】
管理装置1の利用者において、土地付き集合住宅の構造等に基づいて解体費用を算出することが難しい場合がある。このような利用者を支援すべく、管理処理は、解体費用の見積もりに係る一連の処理を含むことが好ましい。ステップS1からステップS4は、当該処理の一例である。
【0051】
[ステップS2:解体費用を見積もるか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、解体費用見積部112を実行する。そして、制御部11は、解体費用見積部112により、解体費用を見積もるか判別する処理を実行する(解体費用見積判別ステップ)。制御部11は、見積もると判別したならば処理をステップS3に移し、しなかったならば処理をステップS5に移す。
【0052】
解体費用見積判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから解体費用の見積もりに係る指令が行われた場合に、解体費用を見積もると判別する。
【0053】
[ステップS3:見積もりに係る情報を取得]
制御部11は、解体費用見積部112により、解体費用の見積もりに係る情報を取得する処理を実行する(解体費用見積情報取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS4に移す。
【0054】
解体費用見積情報取得ステップにおいて解体費用見積部112が取得する解体費用の見積もりに係る情報は、例えば、土地付き集合住宅の構造及び土地付き集合住宅の総面積を含む情報である。
【0055】
[ステップS4:解体費用を見積もる]
制御部11は、解体費用見積部112により、解体費用見積情報取得ステップで取得された情報に基づいて、解体費用を見積もる情報を取得する処理を実行する(解体費用見積ステップ)。制御部11は、処理をステップS5に移す。
【0056】
解体費用見積ステップにおいて解体費用見積部112は、例えば、土地付き集合住宅の構造に基づいて解体費用見積もり額を見積もる。具体的に、解体費用見積部112は、例えば、土地付き集合住宅の構造に応じた解体費用の面積単価の相場を記憶部13から取得し、当該相場に土地付き集合住宅の総面積を乗じることで、解体費用見積もり額を見積もる。
【0057】
そのほか、解体費用見積部112は、例えば、土地付き集合住宅の構造を含む当該住宅に係る諸元を機械学習モデルに入力し、解体費用見積もり額を出力される処理によって、解体費用見積もり額を見積ってもよい。このとき、類似の解体案件から得られる知見に基づく見積もりを行うべく、当該機械学習モデルは、土地付き集合住宅の構造を含む当該住宅に係る諸元を説明変数として含み、解体費用見積もり額を目的変数として含む学習データを用いた事前学習が行われたモデルであることが好ましい。
【0058】
解体に係る総費用に立退料を含めるために、管理装置1は、区分所有者それぞれについて、解体に係る立退料を見積もる一連の処理を実行する。ステップS5からステップS7は、当該処理の一例である。
【0059】
[ステップS5:立退料を見積もるか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、立退料見積部113を実行する。そして、制御部11は、立退料見積部113により、立退料を見積もるか判別する処理を実行する(立退料見積判別ステップ)。制御部11は、見積もると判別したならば処理をステップS6に移し、しなかったならば処理をステップS8に移す。
【0060】
立退料見積判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから立退料の見積もりに係る指令が行われた場合に、立退料を見積もると判別する。
【0061】
[ステップS6:見積もりに係る情報を取得]
制御部11は、立退料見積部113により、立退料の見積もりに係る情報を取得する処理を実行する(立退料見積情報取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS7に移す。
【0062】
解体費用見積情報取得ステップにおいて解体費用見積部112が取得する解体費用の見積もりに係る情報は、例えば、区分所有者に係る引越費用を含む情報である。解体費用見積部112は、記憶部13から当該情報を取得するほか、例えば、インターネット上で公開されている引越費用に係るデータを取得してもよい。
【0063】
[ステップS7:立退料を見積もる]
制御部11は、立退料見積部113により、立退料見積情報取得ステップで取得された情報に基づいて、立退料を見積もる情報を取得する処理を実行する(立退料見積ステップ)。制御部11は、処理をステップS8に移す。
【0064】
立退料見積ステップにおいて立退料見積部113は、例えば、区分所有者に係る引越費用に基づいて立退料を見積もる。具体的に、立退料見積部113は、例えば、引越費用に基づいて、立退料を見積もる。このとき、立退料見積部113は、インターネット上で公開されている引越費用に係るデータに基づいて引越費用を推定してもよい。
【0065】
[ステップS8:解体情報を更新]
制御部11は、解体情報管理部111により、解体費用見積ステップにおいて見積もられた解体費用、又は、立退料見積ステップに基づいて見積もられた立退料に基づいて、解体情報を更新する処理を実行する(解体情報更新ステップ)。制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0066】
管理装置1は、上述の手順によって更新された解体情報に基づいて、解体積立金を算出する一連の処理を実行する。ステップS9からステップS10は、当該処理の一例である。
【0067】
[ステップS9:解体積立金を算出するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、積立金算出部114を実行する。そして、制御部11は、積立金算出部114により、解体積立金を算出するか判別する処理を実行する(積立金算出判別ステップ)。制御部11は、算出すると判別したならば処理をステップS10に移し、しなかったならば処理をステップS11に移す。
【0068】
積立金算出判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、端末Tから解体積立金の見積もりに係る指令が行われた場合に、解体積立金を見積もると判別する。
【0069】
[ステップS10:解体積立金を算出]
制御部11は、積立金算出部114により、解体積立金を算出する処理を実行する(積立金算出ステップ)。制御部11は、処理をステップS11に移す。
【0070】
積立金算出ステップにおいて、積立金算出部114は、上述の解体費用見積もり額に上述の立退料の総額を加えた額から土地売却に係る売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用に、区分所有者に係る専有面積の総面積に対する比率を乗じる手順を含む処理により、当該区分所有者に係る解体準備積立金を算出する。これにより、管理装置1は、専有面積に応じた公平なものとなるよう、区分所有者ごとの解体準備積立金を算出できる。
【0071】
積立金算出部114は、土地付き集合住宅に関する外構がある場合に、上述の差し引き解体費用の算出において外構解体費用見積もり額をさらに加える手順を含む処理により、当該区分所有者に係る解体準備積立金を算出することが好ましい。これにより、管理装置1は、外構の解体を含めた土地付き集合住宅の解体を支援できる。
【0072】
[解体準備積立金表示ステップ]
管理装置1は、積立金算出ステップにおいて算出された区分所有者ごとの解体準備積立金を示す表示を行うよう端末Tに指令する解体準備積立金表示ステップを実行することが好ましい。これにより、管理装置1は、算出された解体準備積立金を土地付き集合住宅の管理者、区分所有者等に示し、その支払いを促せる。
【0073】
[ステップS11:解体積立金を更新するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、積立金管理部115を実行する。そして、制御部11は、積立金管理部115により、積立金データベース132に格納された解体積立金のデータを更新するか判別する処理を実行する(積立金更新判別ステップ)。制御部11は、更新すると判別したならば処理をステップS12に移し、しなかったならば処理をステップS13に移す。
【0074】
積立金更新判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、解体積立金の更新に係る指令を端末Tから受信した場合、又は、解体積立金の支払いに係るデータを端末Tから受信した場合に、解体積立金を更新すると判別する。
【0075】
[ステップS12:解体積立金を更新]
制御部11は、積立金管理部115により、積立金データベース132に格納された解体積立金のデータを更新する処理を実行する(積立金更新ステップ)。制御部11は、処理をステップS13に移す。当該ステップにおいて、積立金管理部115は、例えば、支払い済額に上述のデータが示す支払額を加算し、当該支払額を残額から減算する。
【0076】
解体費用又は土地売却益を増減させる環境の変化に適応するために、積立金管理部115は、差し引き解体費用が変化したときに、積立金総額を再計算し、積立金総額及び残額を更新する一連の処理を実行することが好ましい。
【0077】
不測の事態においても解体費用を調達できるよう支援するために、管理装置1は、解体保険の管理に係る一連の処理を実行することが好ましい。ステップS13からステップS16は、当該処理の一例である。
【0078】
[ステップS13:解体保険の掛金を算出するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、解体保険算出部116を実行する。そして、制御部11は、解体保険算出部116により、解体保険の掛金を算出するか判別する処理を実行する(掛金算出判別ステップ)。制御部11は、算出すると判別したならば処理をステップS14に移し、しなかったならば処理をステップS15に移す。
【0079】
掛金算出判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、掛金の算出に係る指令を端末Tから受信した場合に、掛金を算出すると判別する。
【0080】
[ステップS14:解体保険の掛金を算出]
制御部11は、解体保険算出部116により、土地付き集合住宅の予想解体時期及び解体準備積立金に基づいて、差し引き解体費用の支払いに用いられる解体保険の掛金を算出する処理を実行する(掛金算出判別ステップ)。制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0081】
解体保険算出部116は、例えば、差し引き解体費用から支払済の解体準備積立金を差し引いた不足額に、予定外の解体が生じるリスクに応じた額を加える手順等によって、解体保険の掛金を算出する。上述のリスクは、例えば、予想解体時期までの年月に基づいて推定される。
【0082】
[掛金表示ステップ]
管理装置1は、掛金算出ステップにおいて算出された掛金を示す表示を行うよう端末Tに指令する掛金表示ステップを実行することが好ましい。これにより、管理装置1は、算出された掛金を土地付き集合住宅の管理者、保険会社等に示して、解体保険の管理を支援できる。
【0083】
[ステップS15:掛金を更新するか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働して、解体保険管理部117を実行する。そして、制御部11は、解体保険管理部117により、解体保険の掛金を更新するか判別する処理を実行する(掛金更新判別ステップ)。制御部11は、更新すると判別したならば処理をステップS16に移し、しなかったならば処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS16の処理を繰り返す。
【0084】
掛金更新判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、掛金の更新に係る指令を端末Tから受信した場合等に掛金を算出すると判別する。これにより、管理装置1は、解体費用の変動又は土地売却益の変動等があった場合においても、適切な掛金が支払われるようにできる。また、掛金更新判別ステップにおいて、制御部11は、例えば、掛金の支払いに係るデータを端末Tから受信した場合等に掛金を算出すると判別する。これにより、管理装置1は、掛金の支払状況を反映させることができる。
【0085】
[ステップS16:掛金を更新]
制御部11は、解体保険管理部117により、解体保険の掛金を更新する処理を実行する(掛金更新ステップ)。制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS16の処理を繰り返す。当該ステップにおいて、解体保険管理部117は、例えば、掛金の支払状況を更新する。
【0086】
[管理処理の効果]
上述の管理処理を実行することにより、本実施形態の管理装置1は、解体情報管理部111により管理される解体費用見積もり額、区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータ並びに立退料見積部113により見積もられた立退料に基づいて、積立金算出部114が、区分所有者それぞれに係る解体準備積立金を算出する(ステップS1からステップS10)。これにより、当該態様は、この見積もりに基づいて解体準備積立金を予め集金することを可能とする。立退料は、例えば、区分所有者に係る引越費用に基づいて適切に見積もられる(ステップS5からステップS7)。
【0087】
少子高齢化の進行等により、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)の解体を行う際、解体費用を負担する住民が少なくなっている場合がある。また、住民の減少により分譲マンションとして建替えられず、建替え後の分譲マンションに関する優先取得権の付与と引き換えに解体費用を調達できない場合がある。加えて、分譲マンションが超高層建築の場合、建物の規模に対して土地が狭いことから、土地売却益が解体費用を大きく下回り、解体費用の調達が難しくなることが懸念される。土地価格が都心部より低い地方においても、同様に、土地売却益が解体費用を大きく下回り、解体費用の調達が難しくなることが懸念される。これらのような場合には、当該住宅の解体に係る費用を調達し、適切に解体することは、容易ではない。そこで、本実施形態の管理装置1は、上述の処理により、当該住宅の解体に係る費用に充てる解体準備積立金を事前に準備して当該住宅を適切に解体することに寄与する。
【0088】
また、上述の管理処理は、差し引き解体費用に外構解体費用見積もり額をさらに加えて集合住宅の外構の解体をも適切に支援する態様を含み得る(ステップS9)。これにより、本発明は、外構の解体を含めた土地付き集合住宅の解体に係る費用を事前に準備することを介して、外構の解体を含めた土地付き集合住宅の適切な解体を支援できる。
【0089】
ところで、解体費用の見積もりは、容易ではない。上述の管理処理は、土地付き集合住宅の構造に基づいて解体費用見積もり額を適切に見積もることもできる(ステップS3からステップS4)。これにより、本発明は、解体費用の見積もりも含めた、土地付き集合住宅の解体に係る費用の事前準備を支援できる。
【0090】
解体準備積立金を準備していても、天災等の不測の事態により解体時期が早まり、解体費用を賄えない場合がある。例えば、不測の事態によって十分な積立金が積み立てられる前に解体を行う場合、集金済の解体準備積立金だけでは解体費用の全額を賄えない。上述の管理処理は、予想解体時期を踏まえて解体保険の掛金を算出し、これを管理する態様を取り得る(ステップS13からステップS16)。当該保険は、解体準備積立金が十分に集まっていないタイミングにおいて解体を必要とする不測の事態が生じた場合に、解体費用の不足分の一部又は全部を支払うことができる保険である。よって、本発明は、解体準備積立金が十分に集まっていないタイミングでの解体に係る費用調達を支援できる。
【0091】
以上より、上述の管理処理を実行する管理装置1は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅(分譲マンション等)が老朽化等したときに、住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても当該住宅を適切に解体することを支援する技術的手段を提供できる。
【0092】
<使用例>
以下は、本実施形態の管理装置1の使用例である。
【0093】
〔解体情報の登録〕
土地付き集合住宅の管理者等は、端末Tを介して、管理装置1において管理されている解体情報を更新する。具体的に、管理者等は、将来の解体に係る解体費用見積もり額を示すデータ、前記区分所有者に係る住戸それぞれの専有面積を示すデータ、及び土地の売却益見積もり額を示すデータ等を含む解体情報を管理装置1に送信する。管理装置1は、受信したデータに基づいて解体情報データベース131に格納された解体情報を更新する。そのほか、管理者等は、立退料に係るデータ、外構の解体費用に係るデータ等をさらに登録してもよい。
【0094】
〔積立金の算出〕
管理者等は、端末Tを介して、積立金の算出を管理装置1に指令する。管理装置1は、登録されたデータに基づいて、区分所有者ごとの解体準備積立金を算出する。このとき、管理装置1は、解体費用見積もり額等の解体に係る総費用に立退料の総額を加えた額から売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用に、区分所有者に係る専有面積の総面積に対する比率を乗じる手順を含む処理により、専有面積に応じて公正に定められた解体準備積立金を算出する。
【0095】
〔積立金の準備〕
管理者等は、管理装置1からの指令に基づいて端末Tに表示された積立金の金額を参照して、各区分所有者から積立金を集金する。区分所有者は、自らの端末Tに当該区分所有者に係る積立金の金額を表示させるよう管理装置1に指令してもよい。これにより、区分所有者は、管理者等の手を煩わせることなく、自らが積み立てるべき積立金を把握できる。
【0096】
〔解体保険〕
管理者等は、端末Tを介して、解体保険の掛金の算出を管理装置1に指令する。管理装置1は、登録されたデータに基づいて、解体保険の掛金を算出する。管理者等は、解体準備積立金から掛金に相当する額を保険会社に支払う。保険会社は、解体を必要とする不測の事態が生じた場合に、当該保険によって、解体費用の不足分の一部又は全部を支払う。
【0097】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
S システム
1 管理装置
11 制御部
111 解体情報管理部
112 解体費用見積部
113 立退料見積部
114 積立金算出部
115 積立金管理部
116 解体保険算出部
13 記憶部
131 解体情報データベース
132 積立金データベース
14 通信部
N ネットワーク
T 端末
【要約】
【課題】老朽化等したときに住居として再利用されない場合又は住居として再利用されるか不明である場合においても分譲マンション等を適切に解体することを支援する技術的手段を提供する。
【解決手段】本発明に係る解体準備積立金の管理装置1は、複数の区分所有者により所有される土地付き集合住宅について各種データを含む解体情報を管理する解体情報管理部111と、区分所有者それぞれについて、解体に係る立退料を見積もる立退料見積部113と、区分所有者それぞれに係る解体準備積立金を、解体情報及び立退料に基づいて算出する積立金算出部114と、を備え、積立金算出部114は、解体費用見積もり額に立退料の総額を加えた額から売却益見積もり額を差し引いて得られた差し引き解体費用に、区分所有者に係る専有面積の総面積に対する比率を乗じる手順を含む処理により、当該区分所有者に係る解体準備積立金を算出する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7