(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20250107BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/00 L
(21)【出願番号】P 2020172088
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149148(JP,A)
【文献】特開2018-022961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を撮像する撮像部と、
前記撮像部により媒体が撮像された入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出するエッジ画素検出部と、
前記エッジ画素検出部により検出された複数の前記副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出し、前記検出した範囲の端部を媒体の先端又は後端の主走査方向における端部
として検出する端部検出部と、
前記検出された端部に関する情報を出力する出力制御部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記端部検出部は、主走査方向における一定範囲内における前記副走査方向のエッジ画素の数又は割合に基づいて、前記
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記端部検出部は、主走査方向において連続して検出された前記副走査方向のエッジ画素に基づいて、前記
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記端部検出部は、前記複数の副走査方向のエッジ画素の間の副走査方向における距離に基づいて、前記
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記端部検出部は、複数の主走査方向のライン毎の副走査方向のエッジ画素の頻度に基づいて、前記
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記エッジ画素検出部は、前記入力画像内で主走査方向における一定間隔毎に前記副走査方向のエッジ画素を検出する、請求項1~5の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記端部検出部により検出された端部に基づいて、媒体幅を検出する媒体幅検出部をさらに有する、請求項1~6の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記端部検出部により検出された端部に基づいて、媒体の側辺を検出する側辺検出部をさらに有する、請求項1~7の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
媒体を搬送する搬送部をさらに有し、
前記撮像部は、前記搬送部により搬送される媒体を撮像する、請求項1~8の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記撮像部を移動させるモータをさらに有する、請求項1~9の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部を有する画像読取装置の制御方法であって、
前記入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出し、
前記検出された複数の前記副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出し、前記検出した範囲の端部を媒体の先端又は後端の主走査方向における端部
として検出し、
前記検出された端部に関する情報を出力する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部を有する画像読取装置の制御プログラムであって、
前記入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出し、
前記検出された複数の前記副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、
主走査方向において媒体の先端又は後端に対応する範囲を検出し、前記検出した範囲の端部を媒体の先端又は後端の主走査方向における端部
として検出し、
前記検出された端部に関する情報を出力する、
ことを前記画像読取装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、画像から媒体の端部を検出する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿等の媒体の画像を読み取るスキャナ等の画像読取装置は、読み取った画像から媒体が含まれる領域を切り出すために、読み取った画像において媒体が含まれる領域を特定する機能を有している。そのために、画像読取装置は、媒体の端部を精度良く検出することが求められている。
【0003】
デジタル画像データからエッジ部分を取得する画像読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。この画像読取装置は、デジタル画像データにおいて、背景色から色が変化する画素をエッジ部分として検出し、エッジ部分として検出した画素を「1」、エッジ部分として検出しなかった画素を「0」とする。画像読取装置は、主走査方向の位置毎に副走査方向に論理和演算を行い、主走査方向の画素毎に、1度でもエッジ画像が検出された画素を「1」、1度もエッジが検出されない画素を「0」とする演算結果をエッジ情報として算出する。画像読取装置は、エッジ情報を主走査方向の両方向から1画素ずつ順に確認して、エッジ情報において、値が「1」に設定された画素が所定数連続した場合に、その先頭の画素をエッジ部分と判断する。
【0004】
スキャン画像データにおいて、原稿の搬送経路の幅方向の中央線に対応する基準線の両側に位置する二つの検出ライン上で検出された原稿のエッジに基づき、原稿のサイズを推定する画像読取装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【0005】
読取画像中の背景部分と原稿画像の部分との境界座標値を取得する画像読取装置が開示されている(特許文献3を参照)。この画像読取装置は、読取画像を副走査方向に走査して、読取画像の副走査方向に関する微分情報を取得し、微分情報値が閾値を超えた場合は1とし、それ以外を0とする2値化情報を取得する。画像読取装置は、各横ラインにおいて2値化情報が1となる画素のうち1番小さいx座標値を有する画素のx座標値と、1番大きいx座標値を有する画素のx座標値とを、背景部分と原稿画像の部分との境界座標値として取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-92561号公報
【文献】特開2011-35530号公報
【文献】特開2008-124828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像読取装置では、画像から媒体の端部をより高精度に検出することが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、画像から媒体の先端又は後端の主走査方向における端部をより高精度に検出することが可能な画像読取装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、媒体を撮像する撮像部と、撮像部により媒体が撮像された入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出するエッジ画素検出部と、エッジ画素検出部により検出された複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、媒体の先端又は後端の主走査方向における端部を検出する端部検出部と、検出された端部に関する情報を出力する出力制御部と、を有する。
【0010】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部を有する画像読取装置の制御方法であって、入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出し、検出された複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、媒体の先端又は後端の主走査方向における端部を検出し、検出された端部に関する情報を出力する。
【0011】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部を有する画像読取装置の制御プログラムであって、入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出し、検出された複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、媒体の先端又は後端の主走査方向における端部を検出し、検出された端部に関する情報を出力することを画像読取装置に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムは、画像から媒体の先端又は後端の主走査方向における端部をより高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る画像読取装置100を示す斜視図である。
【
図2】画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図5】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】上端エッジ画素について説明するための模式図である。
【
図9】ヒストグラム900について説明するための模式図である。
【
図10】グループ化について説明するための模式図である。
【
図11A】他の画像読取装置200を示す斜視図である。
【
図11B】他の画像読取装置200を示す斜視図である。
【
図13】他の画像読取装置における処理回路350の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一側面に係る画像読取装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、イメージスキャナとして構成された画像読取装置100を示す斜視図である。画像読取装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード又はパスポート等である。カードは、例えばプラスチック製の樹脂カードである。特に、カードは、ISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)7810で規定されるID(Identification)カードである。なお、カードは、他の種類のカードでもよい。画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
【0016】
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0017】
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、下側筐体101に係合している。載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図2は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0020】
画像読取装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第2媒体センサ116、第1撮像装置117a、第2撮像装置117b、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを総じて撮像装置117と称する場合がある。
【0021】
下側筐体101の上面は媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体の搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体の搬送方向A1の下流のことをいう。
【0022】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。
【0023】
給送ローラ112及びブレーキローラ113は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115より上流側に設けられる。給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置される。
【0024】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側に設けられる。第1搬送ローラ114は、下側筐体101に設けられる。第2搬送ローラ115は、上側筐体102に設けられ、第1搬送ローラ114と対向して配置される。給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、搬送部の一例であり、媒体を撮像装置117に搬送する。
【0025】
第2媒体センサ116は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115より下流側且つ撮像装置117より上流側に配置される。第2媒体センサ116は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ116は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して出力する。第2媒体センサ116の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0026】
第1撮像装置117aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、一定間隔毎に、搬送部により搬送される媒体の表面のラインセンサと対向する領域を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。即ち、ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
【0027】
第2撮像装置117bは、第1撮像装置117aと対向して第1撮像装置117aの上方に配置される。第2撮像装置117bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、一定間隔毎に、搬送部により搬送される媒体の裏面のラインセンサと対向する領域を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。
【0028】
第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bは、撮像部の一例である。なお、画像読取装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0029】
第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119は、撮像装置117より下流側に設けられる。第3搬送ローラ118は、下側筐体101に設けられる。第4搬送ローラ119は、上側筐体102に設けられ、第3搬送ローラ118と対向して配置される。
【0030】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0031】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。撮像装置117により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0032】
図3は、画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0034】
モータ131は、1つ又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119を回転させて媒体を搬送させる。
【0035】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0036】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0037】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、処理回路150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0038】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ116、撮像装置117、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、撮像装置117により撮像された画像に基づいて媒体の端部を検出する。
【0039】
図4は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0040】
図4に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、画像取得プログラム142、エッジ画素検出プログラム143、端部検出プログラム144、媒体幅検出プログラム145、側辺検出プログラム146及び出力制御プログラム147等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151、画像取得部152、エッジ画素検出部153、端部検出部154、媒体幅検出部155、側辺検出部156及び出力制御部157として機能する。
【0041】
図5及び
図6は、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0042】
以下、
図5及び
図6に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。
図5及び
図6に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0043】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0044】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0045】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0046】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動して給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ114、115、118及び119を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS103)。
【0047】
次に、画像取得部152は、搬送された媒体を撮像装置117に撮像させて、ライン画像を取得する(ステップS104)。なお、画像取得部152は、第2媒体センサ116から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したか否かを判定し、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過した時に撮像装置117に撮像を開始させてもよい。画像取得部152は、第2媒体センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したと判定する。
【0048】
次に、画像取得部152は、端部検出部154により、媒体の先端の主走査方向における端部が検出済みであるか否かを判定する(ステップS105)。媒体の先端の主走査方向における端部は、後述するステップS109において検出される。媒体の先端の主走査方向における端部が検出済みである場合、画像取得部152は、処理をステップS111に移行する。
【0049】
一方、媒体の先端の主走査方向における端部が未検出である場合、画像取得部152は、撮像装置117から所定数のライン画像を取得したか否かを判定する(ステップS106)。所定数は、媒体の先端の主走査方向における端部が確実に含まれると考えられる1又は複数の値(例えば100)に予め設定される。所定数は、媒体全体が含まれる値に設定されてもよい。画像読取装置100は、所定数が大きい程、確実に端部を検出することができ、所定数が小さい程、早期に端部を検出することができる。所定数のライン画像をまだ取得していない場合、画像取得部152は、処理をステップS104に戻し、ステップS104~S106の処理を繰り返す。
【0050】
一方、所定数のライン画像を取得した場合、画像取得部152は、所定数のライン画像を合成して入力画像を生成する(ステップS107)。即ち、入力画像は、撮像装置117により媒体が撮像されて、画像取得部152により生成された画像である。なお、撮像装置117が所定数のライン画像を合成して入力画像を生成し、画像取得部152は撮像装置117から入力画像を取得してもよい。
【0051】
【0052】
図7に示す入力画像700には、媒体701が含まれており、さらに背景部分に縦筋ノイズ702、703及び突発ノイズ704、705が含まれている。縦筋ノイズ702、703は、撮像装置117の撮像面(ガラス面)上に付着した紙粉、埃、のり等の異物、又は、ラインセンサの感度ムラ等により発生するノイズである。突発ノイズは、撮像装置117内で撮像素子から出力された電気信号を増幅する際に発生するノイズ、又は、部品毎の特性の違いに起因して発生するノイズ等である。
【0053】
次に、エッジ画素検出部153は、入力画像から副走査方向のエッジ画素を検出する(ステップS108)。エッジ画素検出部153は、入力画像内で主走査方向の位置が相互に同一であり且つ副走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、副走査方向のエッジ画素を検出する。
【0054】
エッジ画素検出部153は、入力画像内で、垂直方向(副走査方向)に延伸する垂直ライン毎に、上端側から順に、各垂直ライン内の各画素の垂直方向の両隣の画素の階調値の差の絶対値(以下、隣接差分値と称する)を算出する。エッジ画素検出部153は、各垂直ライン内で隣接差分値が階調閾値を越える画素をエッジ画素として検出する。エッジ画素検出部153は、各垂直ライン内で最初に検出されたエッジ画素、即ち最も上側に位置する画素を上端エッジ画素とし、副走査方向のエッジ画素として検出する。階調値は、輝度値又は色値(R値、G値又はB値)等である。階調閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定される。
【0055】
なお、エッジ画素検出部153は、入力画像内の各画素から垂直方向に所定距離だけ離れた二つの画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、エッジ画素検出部153は、入力画像内の各画素の階調値を閾値と比較することによりエッジ画素を検出してもよい。例えば、エッジ画素検出部153は、特定の画素の階調値が閾値未満であり、その特定の画素に対して垂直方向に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素の階調値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素として検出する。
【0056】
また、エッジ画素検出部153は、入力画像内の全ての画素について副走査方向のエッジ画素を検出するのでなく、入力画像内で主走査方向における一定間隔(例えば4画素)毎に副走査方向のエッジ画素を検出してもよい。エッジ画素検出部153は、入力画像内の垂直ラインの中から、一定間隔毎に、副走査方向のエッジ画素を検出する対象ラインを抽出し、抽出した対象ラインについて、副走査方向のエッジ画素を検出する。これにより、エッジ画素検出部153は、媒体の端部の検出に要する時間を低減させ、媒体読取処理の処理時間及び処理負荷を低減させることが可能となる。
【0057】
図8は、上端エッジ画素について説明するための模式図である。
【0058】
図8には、
図7に示した入力画像700が示される。
図8において、垂直方向に延伸する点線は対象ラインとして抽出された垂直ラインを示す。
図8に示す例では、画素T1~T14が上端エッジ画素として検出されている。上端エッジ画素T1、T2は、それぞれ突発ノイズ704、705に対応する画素である。上端エッジ画素T3は、媒体の左辺に対応する画素である。上端エッジ画素T4~T14は、媒体の上辺に対応する画素である。
図8に示すように、各縦筋ノイズ702、703は垂直方向に延伸し且つ各縦筋ノイズ702、703内の各画素の階調値は一定範囲内であるため、各縦筋ノイズ702、703に対応する画素は上端エッジ画素として検出されない。なお、読取途中(媒体搬送途中)に発生又は消滅した縦筋ノイズは、その端部で階調値の変化を有するため、突発ノイズ704、705と同様に検出される。このような読取途中(媒体搬送途中)に発生又は消滅した縦筋ノイズは、後述処理において突発ノイズ704、705と同様に処理され、媒体の端部として誤って検出されない。
【0059】
次に、端部検出部154は、副走査方向のエッジ画素に基づいて、媒体の先端の主走査方向における端部を検出する(ステップS109)。端部検出部154は、エッジ画素検出部153により検出された複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係に基づいて、媒体の先端の主走査方向における端部を検出する。
【0060】
例えば、端部検出部154は、複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係として、主走査方向における一定範囲内における副走査方向のエッジ画素の数又は割合、即ち主走査方向における一定範囲内における副走査方向のエッジ画素の密度を算出する。端部検出部154は、垂直ラインから抽出された対象ライン毎に、各対象ラインから一定範囲内に位置する対象ラインの中で、副走査方向のエッジ画素が検出された対象ラインの数又は割合を算出する。一定範囲は、数又は割合の算出対象が2以上の所定数(例えば5)となるように設定される。端部検出部154は、算出した数が閾値(例えば3)以上である対象ライン、又は、算出した割合が閾値(例えば0.6)以上である対象ラインが相互に隣接して連続する対象ライン群を抽出する。
【0061】
端部検出部154は、抽出した対象ライン群の内、含まれる対象ラインの数が最も多い対象ライン群の主走査方向の範囲を、主走査方向における媒体の先端範囲として検出する。なお、端部検出部154は、検出した範囲から所定のマージンだけ縮小させた範囲、又は、検出した範囲を所定のマージンだけ拡大させた範囲を主走査方向における媒体の先端範囲として検出してもよい。端部検出部154は、主走査方向における媒体の先端範囲として検出した対象ライン群の両端の位置を、媒体の先端の主走査方向における端部として検出する。
【0062】
図8に示す例では、上端エッジ画素T3を含む対象ラインから、上端エッジ画素T14を含む対象ラインまでの範囲が媒体の先端範囲として検出される。そして、上端エッジ画素T3を含む対象ラインと、上端エッジ画素T14を含む対象ラインとが媒体の先端の主走査方向における端部として検出される。即ち、縦筋ノイズ702、703に対応する画素は、上端エッジ画素として検出されないため、媒体の先端範囲に含まれない。また、突発ノイズ704、705に対応する上端エッジ画素T1、T2を含む対象ラインは離散的に位置するため、媒体の先端範囲に含まれない。また仮に、媒体の先端に対応する対象ラインの内の一部の対象ラインで背景と媒体の階調値の差が小さく、上端エッジ画素が検出されなかった場合でも、その周囲の対象ラインで上端エッジ画素が検出された場合、その一部の対象ラインも媒体の先端範囲に含まれる。端部検出部154は、一定範囲内における副走査方向のエッジ画素の数又は割合を用いることにより、ノイズの影響、及び、上端エッジ画素の検出漏れの影響を低減させて、媒体の先端範囲及びその端部を高精度に検出することができる。
【0063】
なお、端部検出部154は、複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係として、主走査方向において連続して検出された副走査方向のエッジ画素を検出してもよい。その場合、端部検出部154は、主走査方向において連続して検出された副走査方向のエッジ画素の数(連続数)を算出する。端部検出部154は、副走査方向のエッジ画素が検出された対象ラインが相互に隣接して所定数(例えば3つ)以上連続する対象ライン群を抽出する。
【0064】
端部検出部154は、抽出した対象ライン群の内、含まれる対象ラインの数が最も多い対象ライン群の主走査方向の範囲を、主走査方向における媒体の先端範囲として検出する。なお、端部検出部154は、検出した範囲から所定のマージンだけ縮小させた範囲、又は、検出した範囲を所定のマージンだけ拡大させた範囲を主走査方向における媒体の先端範囲として検出してもよい。端部検出部154は、主走査方向における媒体の先端範囲として検出した対象ライン群の両端の位置を、媒体の先端の主走査方向における端部として検出する。
【0065】
図8に示す例では、上端エッジ画素T3を含む対象ラインから、上端エッジ画素T14を含む対象ラインまでの範囲が媒体の先端範囲として検出される。そして、上端エッジ画素T3を含む対象ラインと、上端エッジ画素T14を含む対象ラインとが媒体の先端の主走査方向における端部として検出される。即ち、縦筋ノイズ702、703に対応する画素は、上端エッジ画素として検出されないため、媒体の先端範囲に含まれない。また、突発ノイズ704、705に対応する上端エッジ画素T1、T2を含む対象ラインは離散的に位置するため、媒体の先端範囲に含まれない。この場合、仮に、媒体の先端に対応する対象ラインの内の一部の対象ラインで上端エッジ画素が検出されなかった場合、媒体の先端範囲が正しく検出されない。しかしながら、副走査方向のエッジ画素の連続数は、一定範囲内における副走査方向のエッジ画素の数又は割合より、短時間に算出される。したがって、端部検出部154は、主走査方向において連続して検出された副走査方向のエッジ画素に基づくことにより、ノイズの影響を低減させつつ、媒体の先端範囲及びその端部をより短時間且つ低負荷に検出することができる。
【0066】
また、端部検出部154は、複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係として、副走査方向の位置の近似性を算出してもよい。例えば、端部検出部154は、副走査方向の位置の近似性として、複数の副走査方向のエッジ画素の間の副走査方向における距離を算出する。端部検出部154は、副走査方向のエッジ画素が検出された対象ラインが主走査方向において相互に第1距離内に位置し且つ各対象ラインで検出された副走査方向のエッジ画素が副走査方向において第2距離内に位置する対象ライン群を抽出する。第1距離は、例えば相互に隣接する対象ライン間の距離の所定倍(例えば2倍)に設定される。第2距離は、例えば相互に隣接する対象ライン間の距離の所定倍(例えば2倍)に設定される。
【0067】
端部検出部154は、抽出した対象ライン群の内、含まれる対象ラインの数が最も多い対象ライン群の主走査方向の範囲を、主走査方向における媒体の先端範囲として検出する。なお、端部検出部154は、検出した範囲から所定のマージンだけ縮小させた範囲、又は、検出した範囲を所定のマージンだけ拡大させた範囲を主走査方向における媒体の先端範囲として検出してもよい。端部検出部154は、主走査方向における媒体の先端範囲として検出した対象ライン群の両端の位置を、媒体の先端の主走査方向における端部として検出する。
【0068】
図8に示す例では、上端エッジ画素T4を含む対象ラインから、上端エッジ画素T14を含む対象ラインまでの範囲が媒体の先端範囲として検出される。即ち、縦筋ノイズ702、703に対応する画素は、上端エッジ画素として検出されないため、媒体の先端範囲に含まれない。また、突発ノイズ704、705に対応する上端エッジ画素T1、T2を含む対象ラインは離散的に位置するため、媒体の先端範囲に含まれない。また、媒体701の左辺に対応する上端エッジ画素T3は、副走査方向において近傍に位置する上端エッジ画素T4、T5に対して、主走査方向において離間しているため、上端エッジ画素T3を含む対象ラインは媒体の先端範囲に含まれない。また仮に、主走査方向において媒体の近傍に突発ノイズが発生した場合でも、副走査方向においてその突発ノイズが媒体の先端と離間していれば、その突発ノイズは媒体の先端範囲に含まれない。端部検出部154は、副走査方向のエッジ画素の間の副走査方向における距離を用いることにより、ノイズの影響、及び、媒体の側辺の影響を低減させて、媒体の先端範囲及びその端部を高精度に検出することができる。
【0069】
また、端部検出部154は、副走査方向の位置の近似性として、複数の主走査方向のライン毎の副走査方向のエッジ画素の頻度を算出してもよい。端部検出部154は、主走査方向のライン毎に、その主走査方向のライン上で副走査方向のエッジ画素が検出された数を算出する。端部検出部154は、各主走査方向のラインの副走査方向の位置を階級とし、各主走査方向のラインについて算出された数を頻度とするヒストグラムを生成する。端部検出部154は、生成したヒストグラムにおいて、頻度が頻度閾値以上である階級範囲内で、副走査方向のエッジ画素が検出された対象ラインを対象ライン群として抽出する。頻度閾値は、予め所定の値(例えば3)に設定される。なお、頻度閾値は、生成したヒストグラムに応じて動的に設定されてもよい。その場合、頻度閾値は、例えば最大頻度の1/2等に設定される。
【0070】
端部検出部154は、抽出した対象ライン群の主走査方向の範囲を、主走査方向における媒体の先端範囲として検出する。なお、端部検出部154は、検出した範囲から所定のマージンだけ縮小させた範囲、又は、検出した範囲を所定のマージンだけ拡大させた範囲を主走査方向における媒体の先端範囲として検出してもよい。端部検出部154は、主走査方向における媒体の先端範囲として検出した対象ライン群の両端の位置を、媒体の先端の主走査方向における端部として検出する。
【0071】
図9は、端部検出部154により生成されるヒストグラム900について説明するための模式図である。
【0072】
図9には、
図7に示した入力画像700から生成されたヒストグラム900が示される。
図9において、縦軸は各主走査方向のラインの副走査方向の位置(階級)を示し、横軸は各主走査方向のラインについて算出された数(頻度)を示す。
図9に示す例では、副走査方向において、媒体の上辺に対応する上端エッジ画素T4~T14が存在する範囲で頻度が高くなっている。一方、突発ノイズ704、705に対応する上端エッジ画素T1、T2、及び、媒体の左辺に対応する上端エッジ画素T3が存在する位置では頻度が低くなっている。
【0073】
したがって、
図8に示す例では、上端エッジ画素T4を含む対象ラインから、上端エッジ画素T14を含む対象ラインまでの範囲が媒体の先端範囲として検出される。即ち、突発ノイズ704、705に対応する上端エッジ画素T1、T2を含む対象ライン、及び、媒体701の左辺に対応する上端エッジ画素T3を含む対象ラインは媒体の先端範囲に含まれない。端部検出部154は、主走査方向のライン毎の副走査方向のエッジ画素の頻度を用いることにより、ノイズの影響、及び、媒体の側辺の影響を低減させて、媒体の先端範囲及びその端部を高精度に検出することができる。
【0074】
次に、媒体幅検出部155は、端部検出部154により検出された媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて、媒体幅を検出する(ステップS110)。媒体幅検出部155は、例えば媒体の先端の主走査方向における両方の端部の間のユークリッド距離を媒体幅として検出する。媒体幅検出部155は、以下の式(1)に従って、媒体の先端の主走査方向における両方の端部の間のユークリッド距離Wを算出する。
【数1】
ここで、(x
1、y
1)は、入力画像において主走査方向をx軸、副走査方向をy軸とした座標系における媒体の先端の主走査方向における一方の端部の座標であり、(x
2、y
2)は、その座標系における媒体の先端の主走査方向における他方の端部の座標である。なお、画像読取装置100は、各端部の座標とユークリッド距離との間の関係を示すテーブルを予め記憶しておき、媒体幅検出部155は、そのテーブルを参照してユークリッド距離を取得してもよい。
【0075】
なお、媒体幅検出部155は、媒体の先端の主走査方向における両方の端部の間の主走査方向における距離を媒体幅として検出してもよい。その場合、媒体幅検出部155は、以下の式(2)に従って、媒体の先端の主走査方向における両方の端部の間の主走査方向における距離Wを算出する。
【数2】
【0076】
次に、画像取得部152は、媒体全体が撮像されたか否かを判定する(ステップS111)。画像取得部152は、例えば、第2媒体センサ116から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過したか否かを判定する。画像取得部152は、第2媒体センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ116の位置を通過したと判定する。画像取得部152は、媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過してから所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置117の撮像位置を通過し、媒体全体が撮像されたと判定する。なお、画像取得部152は、予め定められた数のライン画像を撮像装置117から取得したときに、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。
【0077】
まだ搬送された媒体の全体が撮像されていない場合、画像取得部152は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S111の処理を繰り返す。
【0078】
一方、搬送された媒体の全体が撮像された場合、画像取得部152は、取得した全てのライン画像を結合することにより、読取画像を生成する(ステップS112)。なお、入力画像に含まれるライン数(所定数)が、媒体全体が含まれる値に設定されている場合、画像取得部152は、入力画像を読取画像として使用してもよい。
【0079】
次に、側辺検出部156は、読取画像から主走査方向のエッジ画素を検出する(ステップS113)。側辺検出部156は、読取画像内で副走査方向の位置が相互に同一であり且つ主走査方向の距離が相互に所定範囲内である複数の画素の階調値に基づいて、主走査方向のエッジ画素を検出する。
【0080】
側辺検出部156は、読取画像内で、水平方向(主走査方向)に延伸する水平ライン毎に、左端側から順に、各水平ライン内の各画素の水平方向の両隣の画素の階調値の差の絶対値(以下、隣接差分値と称する)を算出する。側辺検出部156は、各水平ライン内で隣接差分値が階調閾値を越える画素をエッジ画素として検出する。側辺検出部156は、各水平ライン内で最初に検出されたエッジ画素、即ち最も左側に位置する画素を左端エッジ画素とし、各水平ライン内で最後に検出されたエッジ画素、即ち最も右側に位置する画素を右端エッジ画素とする。なお、側辺検出部156は、右端側から順に、エッジ画素を検出し、各水平ライン内で最初に検出されたエッジ画素を右端エッジ画素としてもよい。側辺検出部156は、左端エッジ画素及び右端エッジ画素を主走査方向のエッジ画素として検出する。
【0081】
なお、側辺検出部156は、読取画像内の各画素から水平方向に所定距離だけ離れた二つの画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、側辺検出部156は、読取画像内の各画素の階調値を閾値と比較することによりエッジ画素を検出してもよい。例えば、側辺検出部156は、特定の画素の階調値が閾値未満であり、その特定の画素に対して水平方向に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素の階調値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素として検出する。
【0082】
また、側辺検出部156は、読取画像内の全ての画素について主走査方向のエッジ画素を検出するのでなく、読取画像内で副走査方向における一定間隔(例えば4画素)毎に主走査方向のエッジ画素を検出してもよい。側辺検出部156は、読取画像内の水平ラインの中から、一定間隔毎に、主走査方向のエッジ画素を検出する対象ラインを抽出し、抽出した対象ラインについて、主走査方向のエッジ画素を検出する。これにより、側辺検出部156は、媒体の端部の検出に要する時間を低減させることが可能となり、媒体読取処理の処理時間及び処理負荷を低減させることが可能となる。
【0083】
図10は、左端エッジ画素及び右端エッジ画素について説明するための模式図である。
【0084】
図10には、
図7に示した入力画像700が示される。
図10において、水平方向に延伸する点線は対象ラインとして抽出された水平ラインを示す。
図10に示す例では、画素L1~L15が左端エッジ画素として検出され、画素R1~R15が右端エッジ画素として検出されている。左端エッジ画素L1、L3、L6、L10、L12、L13は、それぞれ縦筋ノイズ702に対応する画素である。左端エッジ画素L2、L5、L7、L8、L11、L14は、それぞれ媒体の左辺に対応する画素である。左端エッジ画素L4、L9は、それぞれ突発ノイズ704、705に対応する画素である。左端エッジ画素L15は、媒体の下辺に対応する画素である。右端エッジ画素R1は、媒体の上辺に対応する画素である。右端エッジ画素R2、R4、R5、R7、R8、R14、R15は、それぞれ媒体の右辺に対応する画素である。右端エッジ画素R3、R6、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ縦筋ノイズ703に対応する画素である。
【0085】
次に、側辺検出部156は、主走査方向のエッジ画素、及び、端部検出部154により検出された媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて、媒体の側辺を検出する(ステップS114)。
【0086】
側辺検出部156は、まず、抽出した左端エッジ画素及び右端エッジ画素をそれぞれグループ化する。例えば、側辺検出部156は、特定の直線の周辺に位置する左端エッジ画素、及び、特定の直線の周辺に位置する右端エッジ画素をそれぞれ同一のグループにまとめる。
【0087】
例えば、側辺検出部156は、抽出した左端エッジ画素の内、最も上端側に位置する左端エッジ画素を注目画素に設定する。側辺検出部156は、左端エッジ画素を下端側に向けて走査し、注目画素と特定の左端エッジ画素を通る直線の傾きが所定角度(例えば45°)以下である場合、その特定の左端エッジ画素を候補画素として抽出し、その直線を候補直線に設定する。側辺検出部156は、候補画素よりさらに下端側に候補直線との距離が所定距離以下である左端エッジ画素が存在する場合、注目画素、候補画素及び候補直線との距離が所定距離以下である左端エッジ画素を一つのグループにまとめる。側辺検出部156は、候補画素が抽出されなかった場合、又は、候補画素より下側に候補直線との距離が所定距離以下である左端エッジ画素が存在しなかった場合、その注目画素についてはグループ化しない。側辺検出部156は、グループにまとめられていない左端エッジ画素について同様の処理を繰り返す。また、側辺検出部156は、右端エッジ画素についても同様の処理を実行する。
【0088】
図10に示す例では、左端エッジ画素L1、L3、L6、L10、L12、L13は、略直線状に配置され、同一の直線の周辺に位置するため、同一のグループにまとめられる。同様に、左端エッジ画素L2、L5、L7、L8、L11、L14は、略直線状に配置され、同一の直線の周辺に位置するため、同一のグループにまとめられる。左端エッジ画素L4、L9、L15については、他の二つ以上の左端エッジ画素が周辺に位置する直線が存在しないため、グループ化されない。
【0089】
また、右端エッジ画素R2、R4、R5、R7、R8、R14、R15は、略直線状に配置され、同一の直線の周辺に位置するため、同一のグループにまとめられる。同様に、右端エッジ画素R3、R6、R9、R10、R11、R12、R13は、略直線状に配置され、同一の直線の周辺に位置するため、同一のグループにまとめられる。右端エッジ画素R1は、他の二つ以上の右端エッジ画素が周辺に位置する直線が存在しないため、グループ化されない。
【0090】
次に、側辺検出部156は、各グループの内、候補直線と、端部検出部154により検出された媒体の先端の主走査方向における端部との距離が最も小さいグループを、媒体の側辺に対応するグループとして抽出する。側辺検出部156は、最小二乗法を用いて、抽出したグループに含まれる各エッジ画素を通過する直線を媒体の側辺として検出する。なお、側辺検出部156は、ハフ変換を用いて、抽出したグループに含まれる各エッジ画素を通過する直線を媒体の側辺として検出してもよい。
【0091】
図10に示した例では、左端エッジ画素L2、L5、L7、L8、L11、L14のグループと、右端エッジ画素R2、R4、R5、R7、R8、R14、R15のグループとが、それぞれ媒体の側辺に対応するグループとして抽出される。このように、側辺検出部156は、端部検出部154により検出された媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて、媒体の側辺を検出することにより、縦筋ノイズ等の影響を受けることなく、媒体の側辺を高精度に検出することができる。即ち、側辺検出部156は、検出した媒体の側辺の信頼性を向上させることができる。
【0092】
なお、側辺検出部156は、他の方法により、媒体の側辺を検出してもよい。例えば、側辺検出部156は、主走査方向において、端部検出部154により検出された媒体の先端の主走査方向における二つの端部から所定距離内の領域内で、左端エッジ画素及び右端エッジ画素を検出する。側辺検出部156は、検出した左端エッジ画素を通過する直線、及び、検出した右端エッジ画素を通過する直線を媒体の側辺として検出する。この場合も、側辺検出部156は、縦筋ノイズ等の影響を受けることなく、媒体の側辺を高精度に検出することができる。
【0093】
次に、端部検出部154は、媒体の後端の主走査方向における端部を検出する(ステップS115)。エッジ画素検出部153は、ステップS108の処理と同様にして、入力画像又は読取画像内でエッジ画素を検出し、各垂直ライン内で最も下側に位置する画素を下端エッジ画素(副走査方向のエッジ画素)として検出する。端部検出部154は、ステップS109の処理と同様にして、下端エッジ画素に基づいて、媒体の後端の主走査方向における端部を検出する。
【0094】
次に、出力制御部157は、読取画像から媒体の領域を切り出した切り出し画像を生成する(ステップS116)。出力制御部157は、最小二乗法又はハフ変換を用いて、上端エッジ画素を通過する直線を媒体の上辺として検出し、下端エッジ画素を通過する直線を媒体の下辺として検出する。出力制御部157は、検出した上辺及び下辺と、側辺検出部156により検出された媒体の二つの側辺とで囲まれた領域を媒体の領域として検出する。出力制御部157は、検出した媒体の領域を切り出して切り出し画像を生成する。
【0095】
次に、出力制御部157は、生成した切り出し画像をインタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS117)。出力制御部157は、生成した切り出し画像を表示装置106に表示することにより出力してもよい。切り出し画像における媒体の側辺は、端部検出部154により検出された媒体の先端の端部に基づいて検出されており、切り出し画像は、端部検出部154により検出された端部に関する情報の一例である。なお、出力制御部157は、切り出し画像を生成せずに読取画像を情報処理装置に送信し、読取画像内で端部検出部154により検出された媒体の先端の端部の位置を示す座標を、端部に関する情報として情報処理装置に送信してもよい。その場合、情報処理装置が、受信した座標に基づいて読取画像から切り出し画像を生成する。
【0096】
また、出力制御部157は、ステップS109において、端部検出部154により検出された媒体の先端の端部に基づいて、媒体がカードであるか用紙であるかを判定してもよい。その場合、出力制御部157は、媒体の先端の端部間の距離が閾値以下である場合、媒体がカードであると判定し、媒体の先端の端部間の距離が閾値より大きい場合、媒体が用紙であると判定する。閾値は、例えばISO/IEC7810で規定されるカードの長手方向のサイズにマージンを加えた値に設定される。出力制御部157は、媒体がカードであるか用紙であるかを示す情報を、媒体の端部に関する情報として情報処理装置に送信する。この場合、情報処理装置は、媒体がカードであるか用紙であるかに応じて、受信した画像を分類する。また、出力制御部157は、不図示の超音波センサから出力される超音波信号に基づいて、搬送される媒体の重送が発生したか否かを定期的に判定し、媒体の重送が発生した場合に、媒体の搬送を停止させてもよい。その場合、出力制御部157は、媒体がカードであるときは、媒体の重送が発生していないと判定してもよい。これにより、出力制御部157は、カードが搬送された時に、媒体の重送が発生したと誤って判定することを抑制できる。
【0097】
また、出力制御部157は、端部検出部154により検出された媒体の先端の端部に基づいて媒体のサイズを検出し、検出した媒体のサイズに応じて第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119の回転速度(媒体の排出速度)を変更してもよい。その場合、出力制御部157は、媒体の先端の端部間の距離を媒体のサイズとして検出する。そして、出力制御部157は、ステップS111において媒体全体が撮像されたと判定された場合、検出した媒体のサイズに応じて第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119の回転速度を変更するようにモータ131の回転速度を変更する。出力制御部157は、媒体のサイズが小さい程、回転速度が低く(遅く)なり、媒体のサイズが大きい程、回転速度が高く(速く)なるように、モータ131の回転速度を変更する。これにより、画像読取装置100は、サイズが小さい媒体が勢いよく排出されて、排出台104上で媒体が散らばってしまうことを抑制でき、排出台104における媒体の整列性を向上させることができる。
【0098】
また、出力制御部157は、ステップS109において、端部検出部154により検出された媒体の先端の端部に基づいて、媒体のスキューが発生したか否かを判定してもよい。その場合、画像読取装置100は、媒体のスキューが発生したとみなされる、媒体の先端の端部の位置の範囲と、媒体の先端の傾き(主走査方向に対する角度)の範囲とが設定されたテーブルを予め記憶装置140に記憶しておく。出力制御部157は、端部検出部154により検出された媒体の先端の二つの端部を通過する直線の傾きを算出する。出力制御部157は、端部検出部154により検出された媒体の先端の二つの端部と、算出した傾きとが、予め設定された範囲に含まれるか否かにより、媒体のスキューが発生したか否かを判定する。出力制御部157は、媒体のスキューが発生したと判定した場合、モータ131を停止して媒体の搬送を停止させ、媒体の搬送異常が発生したことを示す情報を、媒体の端部に関する情報として出力し、利用者に通知する。
【0099】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS118)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S118の処理を繰り返す。
【0100】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、モータ131を停止し(ステップS119)、一連のステップを終了する。
【0101】
なお、ステップS110の処理は省略されてもよい。また、ステップS113~S116の処理が省略され、ステップS117において、出力制御部157は読取画像を出力してもよい。
【0102】
以上詳述したように、画像読取装置100は、複数の副走査方向のエッジ画素の間の位置関係(主走査方向の密度、主走査方向の連続数、副走査方向の位置の近似性)に基づいて、媒体の先端の主走査方向における端部を検出する。即ち、画像読取装置100は、複数の副走査方向のエッジ画素のグループ性に基づいて、媒体の先端の主走査方向における端部を検出する。これにより、画像読取装置100は、縦筋ノイズ及び突発ノイズ等による影響を低減させて、画像から媒体の先端又は後端の主走査方向における端部をより高精度に検出することが可能となった。
【0103】
特に、画像読取装置100は、媒体読取中に撮像装置117に対して異物が付着又は剥離した場合のように、事前に取得していた基準画像を用いて画像内の異物を除去できない場合でも、縦筋ノイズによる影響を低減させることが可能となった。
【0104】
また、画像読取装置100は、所定数のライン画像を含む入力画像に基づいて、媒体全体が撮像される前に媒体の先端の主走査方向における端部を検出するため、早期に(リアルタイムに)媒体の先端の主走査方向における端部を検出することが可能となった。
【0105】
図11A及び
図11Bは、他の実施形態に従った画像読取装置200を示す斜視図である。
図11Aは、カバー202が閉じた状態の画像読取装置200の斜視図であり、
図11Bは、カバー202が開いた状態の画像読取装置200の斜視図である。
【0106】
図11A及び
図11Bに示すように、画像読取装置200は、例えばフラットベッドタイプのスキャナ装置等である。画像読取装置200は、筐体201及びカバー202等を有する。
【0107】
筐体201は、ガラス板203等を有する。ガラス板203は、媒体を載置する部材であり、筐体201の上面に設けられる。ガラス板203は、媒体の載置面を形成する。
【0108】
カバー202は、基準部材204等を有する。カバー202は、筐体201に対して開閉可能に設けられ、開いた状態では筐体201のガラス板203上に媒体を載置可能となり、閉じた状態では基準部材204がガラス板203の下部(筐体201内)に設けられた撮像装置と対向する。
【0109】
図12は、カバー202を閉じた状態の画像読取装置200の、
図11AにおけるA-A’線断面図である。
【0110】
図12に示すように、筐体201は、撮像装置205を有する。撮像装置205は、ガラス板203をはさんで、閉じた状態のカバー202に設けられた基準部材204と対向する位置に設けられる。撮像装置205は、ガラス板203と平行であり且つ
図12の矢印A21の方向と直交する方向(主走査方向)において、ガラス板203の一端から他端まで撮像できるように延伸している。また、撮像装置205は、矢印A21の方向(副走査方向)に沿って、ガラス板203の一端から他端まで撮像できるように移動可能に設けられる。
【0111】
撮像装置205は、撮像部の一例であり、ガラス板203上に載置された媒体を撮像する。撮像装置205は、画像読取装置100の撮像装置117と同様の構造を有する。
【0112】
画像読取装置200は、
図3に示した、画像読取装置100が有する各部を有する。但し、画像読取装置200は、第1媒体センサ111及び第2媒体センサ116を有さず、撮像装置117の代わりに、撮像装置205を有する。また、画像読取装置200において、モータ131は、媒体を搬送させるためのローラを回転させるのでなく、プーリ、ベルト、ギア、ラック及びピニオン等の移動機構を介して撮像装置205を移動させるように設けられる。
【0113】
処理回路150は、
図5及び
図6に示した媒体読取処理を実行する。但し、ステップS102の処理は省略され、制御部151は、操作信号を操作装置105から受信した場合、ステップS103へ処理を移行する。ステップS103において、制御部151は、モータ131を駆動して撮像装置205を移動させる。また、ステップS111において、画像取得部152は、副走査方向の全幅にわたる撮像装置205の移動が完了したときに、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定する。また、ステップS118の処理は省略され、制御部151は、一つの媒体の読み出しが完了した場合、ステップS119へ処理を移行する。ステップS119において、制御部151は、モータ131を停止して撮像装置205を停止させる。
【0114】
以上詳述したように、画像読取装置200は、撮像装置205を移動させて媒体を撮像する場合も、画像から媒体の先端又は後端の主走査方向における端部をより高精度に検出することが可能となった。
【0115】
図13は、さらに他の実施形態に係る画像読取装置における処理回路350の概略構成を示す図である。処理回路350は、画像読取装置100又は200の処理回路150の代わりに使用され、媒体読取処理を実行する。処理回路350は、制御回路351、画像取得回路352、エッジ画素検出回路353、端部検出回路354、媒体幅検出回路355、側辺検出回路356及び出力制御回路357等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0116】
制御回路351は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路351は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から媒体検出信号を受信し、受信した各信号に応じてモータ131を駆動し、媒体の搬送又は撮像装置205の移動を制御する。
【0117】
画像取得回路352は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路352は、第2媒体センサ116から第2媒体信号を受信し、撮像装置117又は撮像装置205からライン画像を受信して入力画像を生成し、ライン画像及び入力画像を記憶装置140に記憶する。
【0118】
エッジ画素検出回路353は、エッジ画素検出部の一例であり、エッジ画素検出部153と同様の機能を有する。エッジ画素検出回路353は、記憶装置140から入力画像を読み出し、入力画像から副走査方向のエッジ画素を検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0119】
端部検出回路354は、端部検出部の一例であり、端部検出部154と同様の機能を有する。端部検出回路354は、記憶装置140から入力画像及び副走査方向のエッジ画素の検出結果を読み出し、副走査方向のエッジ画素に基づいて、媒体の先端の主走査方向における端部を検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0120】
媒体幅検出回路355は、媒体幅検出部の一例であり、媒体幅検出部155と同様の機能を有する。媒体幅検出回路355は、記憶装置140から媒体の先端の主走査方向における端部の検出結果を読み出し、媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて、媒体幅を検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0121】
側辺検出回路356は、側辺検出部の一例であり、側辺検出部156と同様の機能を有する。側辺検出回路356は、記憶装置140からライン画像及び媒体の先端の主走査方向における端部の検出結果を読み出し、媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて、媒体の側辺を検出し、検出結果を記憶装置140に記憶する。
【0122】
出力制御回路357は、出力制御部の一例であり、出力制御部157と同様の機能を有する。出力制御回路357は、記憶装置140からライン画像を読み出して読出画像を生成する。また、出力制御回路357は、媒体の先端の主走査方向における端部の検出結果を読み出し、媒体の先端の主走査方向における端部に基づいて切り出し画像を生成し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
【0123】
以上詳述したように、画像読取装置は、処理回路350を用いる場合においても、画像から媒体の先端又は後端の主走査方向における端部をより高精度に検出することが可能となった。
【符号の説明】
【0124】
100 画像読取装置
112 給送ローラ
113 ブレーキローラ
114 第1搬送ローラ
115 第2搬送ローラ
117、205 撮像装置
131 モータ
153 エッジ画素検出部
154 端部検出部
155 媒体幅検出部
156 側辺検出部
157 出力制御部