IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹中工務店の特許一覧

特許7613887情報処理システム、及び情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20250107BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20250107BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20250107BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/13
G06Q50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020184766
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074605
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】今枝 賢志朗
(72)【発明者】
【氏名】松田 耕
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010413(JP,A)
【文献】特開2001-084277(JP,A)
【文献】特開2011-053999(JP,A)
【文献】特開2012-068698(JP,A)
【文献】特開2004-145522(JP,A)
【文献】特開2020-160700(JP,A)
【文献】中川まゆ ほか,3次元で設計がサクサクはかどるRevitまるごと体験,CAD&CG MAGAZINE,日本,株式会社エクスナレッジ,2007年10月01日,第9巻, 第11号,第39-40頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G06Q 50/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも建物を表示する二次元図面の画像である建物二次元画像を示す二次元図面情報に関する情報処理を行う情報処理システムであって、
前記二次元図面情報が示す前記建物二次元画像と前記建物の三次元構造とを相互に関連付けるための関連付情報が格納されている格納手段と、
前記格納手段に格納されている前記関連付情報に基づいて、前記二次元図面情報に関する情報処理を行う処理手段と、を備え、
前記関連付情報は、前記建物二次元画像上の位置を示す情報と、前記三次元構造を基準とした三次座標情報とを相互に関連付けた情報である、
情報処理システム。
【請求項2】
前記二次元図面情報は、相互に共通する共通領域を少なくとも一部において表示している第1図面情報及び第2図面情報を含み、
前記処理手段は、前記第1図面情報における前記共通領域を表示する部分を、ユーザからの命令に基づいて編集した場合、前記第2図面情報における前記共通領域を表示する部分も編集する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1図面情報及び前記第2図面情報は、相互に異なる種類の前記二次元図面を表示している、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記格納手段には、
前記二次元図面情報における複数の位置と、前記建物の三次元構造を基準とした三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報が、前記関連付情報として格納されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記複数の位置を示す第1入力情報と、前記三次元座標情報を示す第2入力情報とが前記情報処理システムに入力された場合に、前記第1入力情報が示す前記複数の位置と前記第2入力情報が示す前記三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報を、前記関連付情報として前記格納手段に格納する格納制御手段、を更に備える、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
少なくとも建物を表示する二次元図面の画像である建物二次元画像を示す二次元図面情報に関する情報処理を行う情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記二次元図面情報が示す前記建物二次元画像と前記建物の三次元構造とを相互に関連付けるための関連付情報が格納されている格納手段に格納されている前記関連付情報に基づいて、前記二次元図面情報に関する情報処理を行う処理手段、として機能させ、
前記関連付情報は、前記建物二次元画像上の位置を示す情報と、前記三次元構造を基準とした三次座標情報とを相互に関連付けた情報である、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元CAD等に関する三次元図形生成システムが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-15083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的には、三次元CAD等については、三次元構造の図面情報に関する操作が煩雑で限られたユーザのみしか取り扱うことができないという現状があった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みなされたもので、三次元構造に関連する図面情報の利便性を向上させることが可能となる情報処理システム及び情報処理プログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の情報処理システムは、少なくとも建物を表示する二次元図面の画像である建物二次元画像を示す二次元図面情報に関する情報処理を行う情報処理システムであって、前記二次元図面情報が示す前記建物二次元画像と前記建物の三次元構造とを相互に関連付けるための関連付情報が格納されている格納手段と、前記格納手段に格納されている前記関連付情報に基づいて、前記二次元図面情報に関する情報処理を行う処理手段と、を備え、前記関連付情報は、前記建物二次元画像上の位置を示す情報と、前記三次元構造を基準とした三次座標情報とを相互に関連付けた情報である。
【0007】
請求項2に記載の報処理システムは、請求項1に記載の情報処理システムにおいて、前記二次元図面情報は、相互に共通する共通領域を少なくとも一部において表示している第1図面情報及び第2図面情報を含み、前記処理手段は、前記第1図面情報における前記共通領域を表示する部分を、ユーザからの命令に基づいて編集した場合、前記第2図面情報における前記共通領域を表示する部分も編集する。
【0008】
請求項3に記載の情報処理システムは、請求項2に記載の情報処理システムにおいて、前記第1図面情報及び前記第2図面情報は、相互に異なる種類の前記二次元図面を表示している。
【0009】
請求項4に記載の情報処理システムは、請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記格納手段には、前記二次元図面情報における複数の位置と、前記建物の三次元構造を基準とした三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報が、前記関連付情報として格納されている。
【0010】
請求項5に記載の情報処理システムは、請求項4に記載の情報処理システムにおいて、前記複数の位置を示す第1入力情報と、前記三次元座標情報を示す第2入力情報とが前記情報処理システムに入力された場合に、前記第1入力情報が示す前記複数の位置と前記第2入力情報が示す前記三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報を、前記関連付情報として前記格納手段に格納する格納制御手段、を更に備える。
【0011】
請求項6に記載の情報処理プログラムは、少なくとも建物を表示する二次元図面の画像である建物二次元画像を示す二次元図面情報に関する情報処理を行う情報処理プログラムであって、コンピュータを、前記二次元図面情報が示す前記建物二次元画像と前記建物の三次元構造とを相互に関連付けるための関連付情報が格納されている格納手段に格納されている前記関連付情報に基づいて、前記二次元図面情報に関する情報処理を行う処理手段、として機能させ、前記関連付情報は、前記建物二次元画像上の位置を示す情報と、前記三次元構造を基準とした三次座標情報とを相互に関連付けた情報である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の情報処理システム、及び請求項6に記載の情報処理プログラムによれば、関連付情報に基づいて二次元図面情報に関する情報処理を行うことにより、例えば、いわゆる三次元CAD等のアプリケーションを用いずに、建物の三次元構造に関連付けて二次元図面情報に関する情報処理を行うことができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の情報処理システムによれば、第1図面情報における共通領域を表示する部分を、ユーザからの命令に基づいて編集した場合、第2図面情報における共通領域を表示する部分も編集することにより、例えば、共通領域に関して同期して編集することができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の情報処理システムによれば、第1図面情報及び第2図面情報は、相互に異なる種類の二次元図面を表示しているので、例えば、相互に異なる二次元図面に関して同期して編集することができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の情報処理システムによれば、二次元図面情報における複数の位置と、建物の三次元構造を基準とした三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報が、関連付情報として格納されていることにより、例えば、三次元座標情報にユーザが入力した情報(例えば、撮像画像又はテキスト情報等)を関連付けた場合に、二次元図面情報を代えたとしても、代えられた二次元図面情報における適切な位置に、ユーザが入力した情報を表示することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の情報処理システムによれば、第1入力情報が示す複数の位置と第2入力情報が示す三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報を、関連付情報として格納することにより、例えば、二次元図面情報と三次元構造とを適切に関連付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る情報処理システムを機能概念的に示すブロック図である。
図2】本実施の形態が適用される建物を示す斜視図である。
図3】建物の1階部分を示す図である。
図4】建物の2階部分を示す図である。
図5】建物モデルを例示した図である。
図6】建物図面特定情報を例示した図である。
図7】建物図面画像を例示した図である。
図8】建物図面画像を例示した図である。
図9】対象物特定情報を例示した図である。
図10】入力情報特定情報を例示した図である。
図11】撮像画像を例示した図である。
図12】建物図面画像の表示例である。
図13】建物図面画像の表示例である。
図14】建物図面画像の表示例である。
図15】建物モデルを例示した図である。
図16】建物図面画像を例示した図である。
図17】建物図面画像を例示した図である。
図18】建物図面画像の表示例である。
図19】情報表示処理フローチャートである。
図20】建物図面画像の表示例である。
図21】建物図面画像の表示例である。
図22】建物図面画像の表示例である。
図23】建物モデルを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る情報処理システム及び情報処理プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。本発明に係る情報処理システムは、二次元図面情報に関する情報処理を行うためのシステムであり、例えば、格納手段、及び処理手段を備え、任意で、格納制御手段を備える。
【0020】
「二次元図面情報」とは、少なくとも建物を表示する二次元図面を示す情報であり、例えば、画像データ(一例としては、JPEG形式、PNG形式、TIF形式等のデータ)、ベクターデータ、及びPDFデータ等の任意の種類のデータを含む概念である。
【0021】
「二次元図面」とは、建物の少なくとも一部を二次元的に表示する図面であり、例えば、任意で当該建物の周囲も二次元的に表示する図面であり、一例としては、平面図、立面図、断面図、及び斜視図等を含む概念である。
【0022】
「格納手段」とは、関連付情報が格納されている手段等を含む概念である。「関連付情報」とは、二次元図面情報と建物の三次元構造とを相互に関連付けるための情報等を含む概念であり、例えば、二次元図面情報における複数の位置と、建物の三次元構造を基準とした三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報等を含む概念である。
【0023】
「処理手段」とは、格納手段に格納されている関連付情報に基づいて、二次元図面情報に関する情報処理を行う手段等を含む概念である。「二次元図面情報に関する情報処理」とは、例えば、表示する処理、様々な情報を関連付ける処理、あるいは、編集する処理等を含む概念である。そして、「処理手段」とは、例えば、第1図面情報における共通領域を表示する部分を、ユーザからの命令に基づいて編集した場合、第2図面情報における共通領域を表示する部分も編集する手段等を含む概念である。
【0024】
「格納制御手段」とは、複数の位置を示す第1入力情報と、三次元座標情報を示す第2入力情報とが情報処理システムに入力された場合に、第1入力情報が示す複数の位置と第2入力情報が示す三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報を、関連付情報として格納手段に格納する手段等を含む概念である。
【0025】
そして、以下に示す実施の形態においては、例えば、情報処理システム及び情報処理プログラムを、工事中の建物に関する情報に適用する場合について説明する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
(構成)
まず、図1は、本実施の形態に係る情報処理システムを機能概念的に示すブロック図であり、図2は、本実施の形態が適用される建物を示す斜視図であり、図3は、建物の1階部分を示す図であり、また、図4は、建物の2階部分を示す図である。なお、以下の説明では、図2に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であり、X方向及びY方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、図2に例示する方角に対応しているものとして説明する。
【0028】
(構成‐建物)
図2の建物900は、二次元図面によって表示される対象となる建物であり、例えば、工事の対象となっている建物である。この建物900は、例えば、5階建の建物であり、図3に示す101号室及び102号室等を有する1階部分、図4に示す各部屋等を有する2階部分等を有している。
【0029】
(構成‐情報処理システム)
図1の情報処理システム100は、例えば、端末装置1、及びサーバ装置2を備え、これらの各装置が相互に通信可能となっている。なお、情報処理システム100においては、各種ユーザ(作業員、検査員、管理者等)に携帯される複数の端末装置が含まれているが、本実施の形態では、代表して図1において1個の端末装置1として図示して説明する。
【0030】
(構成‐情報処理システム‐端末装置)
図1の端末装置1は、ユーザによって携帯される装置であり、例えば、タブレット端末であり、一例としては、通信部11、タッチパッド12、ディスプレイ13、カメラ14、記録部15、及び制御部16を備える。
【0031】
通信部11は、外部機器(例えば、サーバ装置2)との間で通信を行う通信手段である。タッチパッド12は、ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。ディスプレイ13は、各種の画像を表示する画像表示手段であり、例えば、上記のタッチパッド12と当該ディスプレイ13とがタッチパネルとして一体形成されている。カメラ14は、撮像を行って画像を取得する撮像手段である。記録部15は、プログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。制御部16は、端末装置1を制御する制御手段であり、例えば、CPU、RAM、及びROM等の内部メモリ等を用いて構成されている。
【0032】
(構成‐情報処理システム‐サーバ装置)
図1のサーバ装置2は、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0033】
(構成‐情報処理システム‐サーバ装置‐通信部)
図1の通信部21は、外部機器(例えば、端末装置1)との間で通信を行う通信手段である。
【0034】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-記録部)
図1の記録部22は、サーバ装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部22は、例えば、建物三次元モデル特定情報データベース221(以下、データベースを「DB」と称する)、建物図面特定情報DB222、対象物特定情報DB223、及び入力情報特定情報DB224を備える。
【0035】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-記録部-建物三次元モデル特定情報DB)
図1の建物三次元モデル特定情報DB221は、建物三次元モデル特定情報を格納する格納手段である。「建物三次元モデル特定情報」とは、建物の三次元構造(外部構造及び内部構造を含む)を示す三次元モデルを特定する情報であり、例えば、いわゆるBIM(Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング))の技術が適用される情報等を含む概念である。
【0036】
図5は、建物モデルを例示した図である。図5の建物モデルM900は、図2の建物900の三次元構造(外部構造及び内部構造を含む)を示す三次元モデルであり、例えば、任意の位置(図5の場合、「(0,0,0)」と図示されている位置)を原点としたXYZ軸からなる直交座標系を基準とした三次元座標情報が設定されている三次元モデルである。
【0037】
この座標系については、当該建物モデルM900が示す図2の建物900の寸法に対応するように、例えば、座標における「1」が1mmに対応するように設定されている場合について説明する。すなわち、例えば、図5の「(0,0,0)」は、図2の建物900上の点31に対応する位置を示す三次元座標情報であり、また、図5の「(30000,0,0)」は、図2の建物900上の点32に対応する位置を示す三次元座標情報であるので、この各三次元座標情報を参照することにより、図2の点P32が点P31に対して30000mm分だけ東側に離れていることを特定することが可能となる。
【0038】
そして、図1の建物三次元モデル特定情報DB221においては、例えば、図5の建物モデルM900を特定する情報が、建物三次元モデル特定情報として格納されているものとする。なお、この建物三次元モデル特定情報は、例えば、サーバ装置2に各種情報を入力することにより格納される。
【0039】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-記録部-建物図面特定情報DB)
図1の建物図面特定情報DB222は、建物図面特定情報を格納する格納手段である。図6は、建物図面特定情報を例示した図である。「建物図面特定情報」とは、建物900の図面に関する情報であり、例えば、図6に示す各項目の情報が相互に関連付けられている。項目「建物図面ID」の情報は、建物900の図面を一意に識別するための建物図面IDである。項目「建物図面画像情報」の情報は、前述の二次元図面情報であり、建物900の二次元図面の画像である建物二次元画像(建物図面画像)を表示するための建物図面画像情報である。図7及び図8は、建物図面画像を例示した図である。この建物図面画像情報としては、例えば、図7及び図8の「B001.jpg」(1階部分の平面図を表示するための情報)及び「B003.jpg」(東側の立面図を表示するための情報)等が格納されている。項目「建物図面種別情報」の情報は、建物図面画像の種類を示す建物図面種別情報である。項目「建物図面位置基準情報」の情報は、前述の関連付情報であって、建物図面画像上の位置(例えばピクセル)と、建物900の三次元構造を基準とした三次元座標情報(図5の建物モデルM900上の三次元座標情報)とを相互に関連付けられた情報である。図6では、ピクセルについては、「P11」等と便宜上図示されている。なお、この建物図面特定情報の具体的な格納手法については後述する。
【0040】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-記録部-対象物特定情報DB)
図1の対象物特定情報DB223は、対象物特定情報を格納する対象物特定情報格納手段である。図9は、対象物特定情報を例示した図である。「対象物特定情報」とは、建物900に配置される対象となる対象物(仮設足場等)を特定する情報であり、例えば、図9に示す各項目の情報が相互に関連付けられている。項目「対象物ID」の情報は、対象物を一意に識別するための対象物IDである。項目「対象物種別等情報」の情報は、対象物の種別及び三次元の寸法(XYZ軸方向における寸法)を示す対象物種別等情報である。なお、この対象物特定情報は、例えば、各情報をサーバ装置2に入力することにより格納される。
【0041】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-記録部-入力情報特定情報DB)
図1の入力情報特定情報DB224は、入力情報特定情報を格納する入力情報特定情報格納手段である。図10は、入力情報特定情報を例示した図である。「入力情報特定情報」とは、ユーザによって入力された情報に関する情報であり、例えば、図10に示す各項目の情報が相互に関連付けられている。図11は、撮像画像を例示した図である。項目「入力情報」の情報は、ユーザによって入力された入力情報である。この入力情報は任意であるが、例えば、ユーザによって撮像された図11の撮像画像(壁のシミを示すシミ画像G300が写っている撮像画像)を示す「R601.jpg」、及びユーザによって入力された「塗装作業確認」というテキスト情報を示す「R602.txt」等が格納されている。項目「位置情報」に対応する情報は、入力情報が関連付けられている位置を示す位置情報(三次元座標情報)である。なお、この入力情報特定情報の具体的な格納手法については後述する。
【0042】
(構成‐情報処理システム-サーバ装置-制御部)
図1の制御部23は、サーバ装置2を制御する制御手段であり、機能概念的には、例えば、処理部231、及び格納制御部232を備える。処理部231とは、前述の処理手段である。格納制御部232とは、前述の格納制御手段である。なお、この制御部23の各部によって行われる処理については、後述する。
【0043】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る情報処理システム100によって実行される処理について説明する。例えば、建物図面特定情報格納処理、建物図面画像情報編集処理、入力情報特定情報格納処理、情報表示処理について説明する。
【0044】
(処理‐建物図面特定情報格納処理)
建物図面特定情報格納処理について説明する。建物図面特定情報格納処理とは、図6の建物図面特定情報を格納するための処理である。ここでは、図6の最上段の情報を格納する場合について説明する。この処理においては、まず、例えば、図7の建物図面画像を、スキャナでスキャンしたり、いわゆるCADシステムから取得したりして、サーバ装置2に入力した場合に、サーバ装置2の格納制御部232が、図6の「建物図面ID」=「ID001」(一意となる自動生成の情報)及び「建物図面画像情報」=「B001.jpg」(入力された建物図面画像を示す情報)を格納する。
【0045】
図12は、建物図面画像の表示例である。次に、ユーザが端末装置1に対して所定操作を行った場合に、当該端末装置1の制御部16が、サーバ装置2にアクセスして図6の「建物図面画像情報」=「B001.jpg」を取得して、ディスプレイ13に図12の建物図面画像を表示する。
【0046】
次に、ユーザが、図12の建物図面画像における点81をタップして、当該タップした点81に対応する三次元座標情報として「(0,0,0)」を入力し、また、点82をタップして「(30000,20000,0)」を入力し、また、表示されている図面の種別として「平面図」を入力した場合に、端末装置1は、前述の入力又はタップに基づく情報をサーバ装置2に送信する。
【0047】
ここでは、例えば、端末装置1は、「P11-(0,0,0)」、「P12-(30000,20000,0)」、及び「平面図」をサーバ装置2に送信し、サーバ装置2の格納制御部232は、この送信された情報に基づいて、図6に例示されている「平面図」及び「P11-(0,0,0),P12-(30000,20000,0)」を格納する。
【0048】
なお、サーバ装置2に送信される「P11」及び「P12」は、図12の建物図面画像におけるユーザにタップされた点81及び点82のピクセル示している。また、これらが「第1入力情報」に対応するものと解釈してもよい。また、サーバ装置2に送信される「(30000,20000,0)」及び「(30000,20000,0)」は、三次元座標情報である。また、これらが「第2入力情報」に対応するものと解釈してもよい。これにて、建物図面特定情報格納処理の説明を終了する。
【0049】
(処理‐建物図面画像情報編集処理)
建物図面画像情報編集処理について説明する。建物図面画像情報編集処理とは、図6の建物図面画像情報を編集して更新する処理である。図13及び図14は、建物図面画像の表示例であり、図15は、建物モデルを例示した図であり、図16及び図17は、建物図面画像を例示した図である。
【0050】
この処理においては、まず、ユーザが端末装置1に対して所定操作(所望する建物画像を表示するための操作)を行った場合に、当該端末装置1の制御部16が、サーバ装置2にアクセスして図6の「建物図面画像情報」=「B001.jpg」(つまり、ユーザが所望する建物画像を示す建物図面画像)を取得して、ディスプレイ13に図13の建物図面画像を表示する。
【0051】
次に、ユーザが端末装置1に対して、配置する対象物を示す情報を入力することにより、表示されている建物図面画像を示す建物図面画像情報を編集する。なお、ここで入力する情報は任意であるが、例えば、図9の対象物特定情報で特定される対象物を示す情報を入力することとし、一例としては、「1800×1200×1600」の寸法の仮設足場、当該仮設足場を配置する位置、スパン数(水平方向における個数)、及び段数(鉛直方向における個数)を示す情報を入力する。ここでは、例えば、「1800×1200×1600」の寸法の仮設足場、図14において一点鎖線で図示されている位置を示す情報、「スパン数」=「4」、及び「段数」=「2」を入力する。
【0052】
なお、仮設足場を配置する位置を示す情報については、例えば、図14の一点鎖線の部分を指でなぞることにより入力されるように構成してもよいし、あるいは、始点又は終点に対応する位置をタップすることにより入力されるように構成してもよい。
【0053】
次に、端末装置1の制御部16は、入力された各情報をサーバ装置2に送信し、サーバ装置2の処理部231は、当該送信された情報を受信し、受信した情報に基づいて建物図面画像情報を編集する。ここでは、例えば、サーバ装置2の処理部231は、端末装置1から送信された「1800×1200×1600」の寸法の仮設足場、図14において一点鎖線で図示されている位置、「スパン数」=「4」、及び「段数」=「2」の情報を受信し、受信した情報に基づいて、図14の建物図面画像において、ユーザに入力された対象物を示す情報に対応する対象物図面画像G1(4スパン分の「1800×1200×1600」の寸法の仮設足場を示す画像)(図16)を追加する編集を行い、当該編集された建物図面画像を示す情報を格納して更新する。
【0054】
また、サーバ装置2の処理部231は、上述の編集に加えて、ユーザによって直接的に情報が入力された建物図面画像(「B001.jpg」が示す図14の画像)以外の建物図面画像の内の、入力された対象物を示す情報が配置される領域を含んでいる建物図面画像(「B003.jpg」が示す図8の画像)も、前述の直接的に情報が入力された建物図面画像に対応する編集(ここでは、地上レベルから積み重ねられた2段分の「1800×1200×1600」の寸法の仮設足場を示す画像である図17の対象物図面画像G2を追加する編集)を行い、当該編集された建物図面画像を示す情報を格納して更新する。
【0055】
なお、ここでは、例えば、図6の建物図面位置基準情報において、建物図面画像の所定の位置に配置されている2個のピクセルと三次元座標情報とが相互に関連付けられているので、この情報を参照することにより、建物図面画像におけるあらゆる位置の三次元座標情報を把握でき、図14の一点鎖線で図示されている領域が、図17の対象物図面画像G2が図示されている領域と共通していることも把握できる。このことに基づいて上述の処理を行ってもよい。あるいは、この場合、図15に示すように、入力された対象物を示す情報に対応する対称物モデルM901を仮想的に配置して、上述の処理を行ってもよい。
【0056】
すなわち、例えば、ユーザが図14の建物図面画像において対象物を配置する編集を行うことにより、サーバ装置2の処理部231は、図7の画像を示す図6の「B001.jpg」を図16の画像を示す情報に編集して更新し、また、図8の画像を示す図6の「B003.jpg」を図17の画像を示す情報に編集して更新することになる。
【0057】
なお、図16及び図17の建物図面画像を表示する建物図面画像情報が「第1図面情報」又は「第2図面情報」に対応するものと解釈してもよく、また、図16及び図17において対象物図面画像G1、G2が図示されている領域に対応する領域が「共通領域」に対応するものと解釈してもよい。これにて、建物図面画像情報編集処理の説明を終了する。
【0058】
(処理‐入力情報特定情報格納処理)
入力情報特定情報格納処理について説明する。入力情報特定情報格納処理とは、図10の入力情報特定情報を格納するための処理である。図18は、建物図面画像の表示例である。
【0059】
この処理においては、まず、ユーザが端末装置1に対して所定操作(所望する建物画像を表示するための操作)を行った場合に、当該端末装置1の制御部16が、前述の処理を行って、図18の建物図面画像を表示する。
【0060】
次に、ユーザが、建物900の101号室(図3)で、カメラ14にて図11の撮像画像を撮像し、当該撮像画像を関連付ける画像上の位置(撮像した位置に対応する位置)として、図18の点901をタップした場合、端末装置1の制御部16は、点901に対応するピクセルを示すピクセル情報と撮像画像とをサーバ装置2に送信する。
【0061】
次に、サーバ装置2の処理部231は、端末装置1からのピクセル情報及び撮像画像を受信し、図6の建物図面特定情報を参照して、端末装置1に表示されている画像を示す建物図面画像情報に関連付けられている建物図面位置基準情報を取得し、取得した建物図面位置基準情報に基づいて、前述の受信したピクセル情報が示すピクセルに対応する三次元座標情報を特定し、図10の入力情報特定情報において、前述の受信した撮像画像を示す情報を入力情報として格納し、また、前述の特定した三次元座標情報を位置情報として格納する。
【0062】
ここでは、例えば、サーバ装置2の処理部231は、図18の点901に対応するピクセル情報及び図11の撮像画像(R601.jpg)を受信し、図6の建物図面特定情報を参照して、端末装置1に表示されている画像を示す「B001.jpg」に関連付けられている「P11-(0,0,0),P12-(30000,20000,0)」を取得し、当該取得した情報に基づいて、「B001.jpg」が示す画像のあらゆる位置(つまり、あらゆるピクセル)の三次元座標情報を特定可能となるので、図18の点901のピクセルに対応する三次元座標情報として「(0,Y3,0)」を特定した上で、図10の最上段の情報を格納する。
【0063】
また、例えば、ユーザが端末装置1において、図18の点902をタップした後に、「塗装作業確認」というテキスト情報を入力した、前述と同様な処理を行うことにより、図10の2段目の情報が格納されることになる。これにて、入力情報特定情報格納処理の説明を省略する。
【0064】
(処理‐情報表示処理)
情報表示処理について説明する。図19は、情報表示処理フローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。情報表示処理は、作業員であるユーザが携帯する端末装置1に対して各種情報を表示する処理である。この情報表示処理については、ユーザが、タッチパッド12を介して、自己が所望する建物図面画像を示す情報を入力した場合、端末装置1が当該入力された情報を送信し、サーバ装置2が当該情報を受信した場合に起動することとし、処理が起動したところから説明する。
【0065】
ここでは、例えば、図6の「B001.jpg」が前述のようにして編集されており、ユーザがこの「B001.jpg」を入力し、サーバ装置2が当該情報を受信した場合を例示して説明する。
【0066】
図19のSA1においてサーバ装置2の処理部231は、ユーザが所望する建物図面画像を表示する。例えば、図6の建物図面特定情報を参照して、情報表示処理の起動時に受信した情報に対応する建物図面画像情報及び建物図面位置基準情報を特定し、また、図10の入力情報特定情報を参照して、前述の建物図面位置基準情報に基づいて、前述の特定した建物図面画像情報が示す画像上の位置が位置情報となっている入力情報を特定し、特定した建物図面画像情報が示す建物図面画像において、特定した入力情報の位置を示す画像を表示するための画像情報を生成し、生成した画像情報を端末装置1に送信することにより、当該画像情報に対応する画像をディスプレイ13に表示する。
【0067】
図20は、建物図面画像の表示例である。ここでは、例えば、図6の建物図面特定情報を参照して、情報表示処理の起動時に受信した「B001.jpg」の情報に対応する「B001.jpg」及び「P11-(0,0,0),P12-(30000,20000,0)」を特定する。なお、この場合、「P11-(0,0,0),P12-(30000,20000,0)」に基づいて、「B001.jpg」が示す画像のあらゆる位置(つまり、あらゆるピクセル)の三次元座標情報を特定可能となる。次に、図10の入力情報特定情報を参照して、前述の特定した「B001.jpg」が示す図16の建物図面画像上の位置が位置情報となっている入力情報として、「R601.jpg」及び「R602.txt」を特定する。次に、特定した「B001.jpg」が示す図16の建物図面画像において、「R601.jpg」及び「R602.txt」の位置(つまり、「(0,Y3,0)」及び「(X4,Y4,0)」)を示す画像(図20の情報通知画像G901、G902)を表示するための画像情報を生成し、生成した画像情報を端末装置1に送信することにより、当該画像情報に対応する図20の建物図面画像をディスプレイ13に表示する。
【0068】
図19のSA2においてサーバ装置2の処理部231は、入力情報を表示する。例えば、ユーザが図20の情報通知画像G901又はG902をタップした場合に、端末装置1がタップした情報通知画像を示す情報を送信し、サーバ装置2が当該情報を受信した場合に、図10の入力情報特定情報を参照して、受信した情報に対応する入力情報を取得し、取得した入力情報を端末装置1に送信することにより、ディスプレイ13に表示する。
【0069】
図21図22は、建物図面画像の表示例である。ここでは、例えば、ユーザが情報通知画像G901をタップした場合、図21に示すように、「R601.jpg」(図10)が示す撮像画像をディスプレイ13に表示する。また、例えば、ユーザが情報通知画像G902をタップした場合、図22に示すように、「R602.txt」(図10)が示すテキスト情報をディスプレイ13に表示する。これにて、情報表示処理の説明を終了する。
【0070】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、関連付情報(建物図面位置基準情報)に基づいて二次元図面情報(建物図面画像情報)に関する情報処理を行うことにより、例えば、いわゆる三次元CAD等のアプリケーションを用いずに、建物900の三次元構造に関連付けて二次元図面情報に関する情報処理を行うことができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0071】
また、第1図面情報における共通領域を表示する部分を、ユーザからの命令に基づいて編集した場合、第2図面情報における共通領域を表示する部分も編集することにより、例えば、共通領域に関して同期して編集することができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0072】
また、第1図面情報及び第2図面情報は、相互に異なる種類(平面図と立面図)の二次元図面を表示しているので、例えば、相互に異なる二次元図面に関して同期して編集することができるので、利便性を向上させることが可能となる。
【0073】
また、二次元図面情報における複数の位置(ピクセル)と、建物900の三次元構造を基準とした建物モデルM900の三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報が、関連付情報として格納されていることにより、例えば、三次元座標情報にユーザが入力した情報(例えば、撮像画像又はテキスト情報等)を関連付けた場合に、二次元図面情報を代えたとしても、代えられた二次元図面情報における適切な位置に、ユーザが入力した情報を表示することが可能となる。
【0074】
また、第1入力情報が示す複数の位置(ピクセル)と第2入力情報が示す三次元座標情報とが相互に関連付けられた情報を、関連付情報として格納することにより、例えば、二次元図面情報と三次元構造とを適切に関連付けることが可能となる。
【0075】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0076】
(空間の定義について)
上記実施の形態の三次元座標情報と空間の名称とを相互に関連付けてもよい。図23は、建物モデルを例示した図である。例えば、図3の101号室に対応する図23の点線で図示されている空間を「101号室」と定義し、当該点線で図示されている空間内の三次元座標を「101号室」と対応付けてもよい。この場合、例えば、図11の撮像画像(つまり、図10の「R601.jpg」が示す撮像画像)を「101号室」と関連付けることができるので、図21の建物図面画像において撮像画像を表示する場合に、当該撮像画像の端に「101号室」とテキスト情報を更に表示してもよい。
【0077】
また、図9の対象物特定情報において、対象物に関する他の情報(例えば、重量を示す情報等)も関連付けて格納してもよい。また、図20の建物図面画像において、全部又は一部の対象物図面画像G1をユーザがなぞって選択した場合、サーバ装置2の処理部231が、当該選択された対象物図面画像G1が示す対象物である仮設足場の個数及び重量等を出力するように構成してもよい。
【0078】
また、図1の建物三次元モデル特定情報DB221に格納されている建物三次元モデル特定情報として、BIMの技術が適用される情報以外の情報を用いてもよく、例えば、建物の概略的な構造を示す情報(BIMよりも粗い情報)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 端末装置
2 サーバ装置
11 通信部
12 タッチパッド
13 ディスプレイ
14 カメラ
15 記録部
16 制御部
21 通信部
22 記録部
23 制御部
31 点
32 点
81 点
82 点
100 情報処理システム
221 建物三次元モデル特定情報DB
222 建物図面特定情報DB
223 対象物特定情報DB
224 対象画像等特定情報DB
231 処理部
232 格納制御部
900 建物
901 点
902 点
G1 対象物図面画像
G2 対象物図面画像
G300 シミ画像
G901 情報通知画像
G902 情報通知画像
M900 建物モデル
M901 対象物モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23