(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】耐火被覆構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20250107BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E04B1/94 E
E04B1/94 V
E04B1/64 Z
(21)【出願番号】P 2020196281
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-10-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年度日本建築学会大会学術講演梗概集 発行日 令和2年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 武
(72)【発明者】
【氏名】阿部 千尋
(72)【発明者】
【氏名】原 和泉
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-185128(JP,A)
【文献】特開2007-009607(JP,A)
【文献】特開2009-215721(JP,A)
【文献】特開2005-193621(JP,A)
【文献】特開2001-200597(JP,A)
【文献】特開平06-212714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に近接して対向配置される鉄骨柱または鉄骨梁の外側から前記壁体の表面にかけて連続的に設けられる無機系の耐火被覆材と、前記無機系の耐火被覆材の外側から内側への水蒸気の透過を抑制するために前記無機系の耐火被覆材の外側に設けられるとともに透湿抵抗が前記無機系の耐火被覆材の透湿抵抗よりも高い有機系のコーティング材とを備える耐火被覆構造を施工する方法であって、
シート状の
前記無機系の耐火被覆材の外側に
前記有機系のコーティング材を
吹付けることによってシート状の耐火被覆材を製造した後、このシート状の耐火被覆材を
前記鉄骨柱または
前記鉄骨梁の外側から
前記壁体の表面にかけて取り付けることを特徴とする耐火被覆構造の施工方法。
【請求項2】
前記有機系のコーティング材は、改質アスファルト系防水材、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防水材、超速硬化ウレタン防水材、高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材、超低汚染型NAD弾性ポリウレタン樹脂塗料、超低汚染型水性弾性ふっ素樹脂塗料のいずれかを主材とする材料により構成されることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆構造
の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防湿機能を有する耐火被覆構造およびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨造の建物において外壁近傍に鉄骨梁や鉄骨柱を設置する際に、鉄骨の耐火被覆を外壁との合成耐火構造とする場合が多い。合成耐火構造を採用する理由は、外壁と鉄骨が近接することにより鉄骨の外壁側の面の耐火被覆の施工性が極めて悪くなるためである。
【0003】
合成耐火構造の外壁面には、耐火認定上、結露対策用の断熱材等が設置することができないため、寒冷地や室内が高湿度となるIDC、病院、住宅、ホテル等の建物において当該外壁面に多量の結露が発生し実害に繋がる場合がある。
【0004】
合成耐火構造の結露は、例えば
図3に示すように、暖房等で発生する室内A側の水蒸気Wが鉄骨梁1を被覆する耐火被覆材2を透過して合成耐火構造の内部3に浸入し、外気4により冷却された外壁5の内面で露点に達することで発生する。このため、耐火被覆材2で透湿抵抗が確保できれば、この結露は抑制できると考えられる。しかし、現在市販されている耐火被覆材には結露対策に十分な透湿抵抗を保持できるものはない。なお、
図3において、符号6は結露防止用の発泡プラスチック系断熱材である。合成耐火構造においては、耐火認定上外壁5の内面にこうした断熱材を施工することはできない。
【0005】
従来の合成耐火構造の結露対策として、例えば防湿層付きマキベエ(「マキベエ」は登録商標)などの防湿層付きの巻付けロックウールフェルトを使用する方法や耐火被覆材の表面に現場発泡ウレタンを施工する方法がある。しかし、防湿層付きの巻付けロックウールフェルトは乾式工法のため、耐火被覆材端部及び耐火被覆を貫通する部材との取り合い部の防湿処理の施工性が悪いこと、現場発泡ウレタンは透湿抵抗が結露対策上十分とは言えないこと等が挙げられ、両者とも実用性および品質確保の面で難点がある。
【0006】
また、耐火被覆構造における他の結露防止技術として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1は、不燃性の外壁に対向して設けられる鉄骨柱に対する耐火性能を確保しつつ、鉄骨柱周りの断熱性能と気密性能を向上させることができる耐火被覆構造に関するものである。この耐火被覆構造は、鉄骨柱の外周のうち外壁に対向しない剥出部を覆う熱膨張性の耐火被覆シート層と、耐火被覆シート層の表面を覆う金属膜の気密層と、鉄骨柱の剥出部と耐火被覆シート層の間に設けられるフェノール樹脂発泡体を主材とする断熱層とを備えているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、柱・梁の合成耐火構造において好適な結露対策が求められていた。また、耐火被覆材端部及び耐火被覆を貫通する部材との取り合い部においても隙間のない安定した防湿層を形成することができる技術が求められていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、柱・梁の合成耐火構造の結露対策として好適な耐火被覆構造およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐火被覆構造は、壁体に近接して対向配置される鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて連続的に設けられる無機系の耐火被覆材を備える耐火被覆構造であって、無機系の耐火被覆材の外側から内側への水蒸気の透過を抑制するために無機系の耐火被覆材の外側に設けられるとともに透湿抵抗が無機系の耐火被覆材の透湿抵抗よりも高い有機系のコーティング材をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造は、上述した発明において、有機系のコーティング材は、改質アスファルト系防水材、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防水材、超速硬化ウレタン防水材、高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材、超低汚染型NAD弾性ポリウレタン樹脂塗料、超低汚染型水性弾性ふっ素樹脂塗料のいずれかを主材とする材料により構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る耐火被覆構造の施工方法は、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を設けることによってシート状の耐火被覆材を製造した後、このシート状の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法は、上述した発明において、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けることによってシート状の耐火被覆材を製造することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法は、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けた後、このシート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る耐火被覆構造によれば、壁体に近接して対向配置される鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて連続的に設けられる無機系の耐火被覆材を備える耐火被覆構造であって、無機系の耐火被覆材の外側から内側への水蒸気の透過を抑制するために無機系の耐火被覆材の外側に設けられるとともに透湿抵抗が無機系の耐火被覆材の透湿抵抗よりも高い有機系のコーティング材をさらに備えるので、柱・梁の合成耐火構造における結露の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、有機系のコーティング材は、改質アスファルト系防水材、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防水材、超速硬化ウレタン防水材、高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材、超低汚染型NAD弾性ポリウレタン樹脂塗料、超低汚染型水性弾性ふっ素樹脂塗料のいずれかを主材とする材料により構成されるので、防湿性を確保するとともに施工コストを低減することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る耐火被覆構造の施工方法によれば、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を設けることによってシート状の耐火被覆材を製造した後、このシート状の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けるので、結露の発生を抑制する柱・梁の合成耐火構造を容易に施工することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法によれば、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けることによってシート状の耐火被覆材を製造するので、複雑な下地形状においてもシームレスな防湿層の形成を簡単に実現することができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法によれば、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けた後、このシート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けるので、耐火被覆材の端部においても隙間のない安定した防湿層を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る耐火被覆構造およびその施工方法の実施の形態を示す断面図である。
【
図2】
図2は、各コーティング材の実測値と現場発泡ウレタンの透湿比抵抗を比較したテーブル図である。
【
図3】
図3は、従来の合成耐火構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る耐火被覆構造およびその施工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造10は、室内Aと室外Bを区画する外壁12(壁体)に近接して配置される鉄骨梁14に適用される。この耐火被覆構造10は、鉄骨梁14の室内A側の表面と、この表面から外壁12の内面にかけて連続的に設けられた無機系の耐火被覆材16を備える。耐火被覆材16の外側表面には、防湿コート18(有機系のコーティング材)が設けられる。
【0023】
外壁12は、例えば、プレキャスト鉄筋コンクリートパネル、ALC版、押出成形セメント板(ECP)などで構成することができる。鉄骨梁14は、ウェブ20と上下フランジ22、24を有するH形鋼からなる。鉄骨梁14の上フランジ22の上面には、鉄筋コンクリートスラブ、ALC版などの床26が設けられる。床26と外壁12との間には層間塞ぎ28が設けられる。この層間塞ぎ28の上側と、耐火被覆構造10の下側の外壁12の内面には、結露防止用の断熱材30が設けられる。断熱材30は、例えば発泡プラスチック系断熱材などで構成することができる。断熱材30から間隔をあけた室内側の位置には内装材32が設けられる。鉄骨梁14の下フランジ24の下側には、天井下地材34および天井材36が設けられる。
【0024】
耐火被覆材16は、例えば、吹付けロックウール、マキベエ(登録商標)、巻付けロックウールフェルトなどの無機系の耐火被覆材を用いて構成することができる。本実施の形態では、無機系の耐火被覆材16がシート状に成形されている場合を想定している。
【0025】
防湿コート18は、耐火被覆材16の外側から内側への水蒸気Wの透過を抑制するための有機系のコーティング材であり、例えば、改質アスファルト系防水材、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防水材、超速硬化ウレタン防水材、高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材、超低汚染型NAD弾性ポリウレタン樹脂塗料、超低汚染型水性弾性ふっ素樹脂塗料等の材料や、これらを主材とする材料で構成することができる。このような汎用の防水材を用いれば、防湿性を確保するとともに施工コストを低減することができる。ただし、防湿コート18はこれに限定されるものではなく、透湿抵抗が耐火被覆材16の透湿抵抗よりも高い有機性コーティング材であればいかなるものでもよい。耐火被覆材16の外側表面に防湿コート18を設けることで、室内Aの水蒸気Wが外壁12の内面に結露する事態を未然に防ぐことできる。
【0026】
この耐火被覆構造10を施工する場合には、例えば、シート状の無機系の耐火被覆材16を準備し、この耐火被覆材16の外側表面に防湿コート18を設け、シート状の耐火被覆材を製造する。その後、このシート状の耐火被覆材を鉄骨梁14の外側から外壁12の表面にかけて取り付ける。このようにすれば、結露の発生を抑制する耐火被覆構造10を容易に施工することができる。ここで、防湿コート18は耐火被覆材16の外側表面に吹付け施工してもよい。このようにすれば、複雑な下地形状においてもシームレスな防湿層の形成を簡単に実現することができる。
【0027】
また、このようにして施工する代わりに、シート状の無機系の耐火被覆材16を鉄骨梁14の外側から外壁12の表面にかけて取り付けた後、取り付けた耐火被覆材16の表面に防湿コート18を吹付け施工してもよい。このようにすれば、耐火被覆材16の端部においても隙間のない安定した防湿層を形成することができる。
【0028】
上記構成の動作および作用について説明する。
無機系の耐火被覆材16の透湿抵抗は低く室内側の水蒸気Wを透過してしまうが、耐火被覆材16の表面に透湿抵抗の高い防湿コート18を設けることで室内側の水蒸気Wの透過を抑制する。耐火被覆構造10によって形成される合成耐火構造の内部38へ浸入する水蒸気Wの量が減ることで、合成耐火構造の内部38の空気の露点温度が低下し、結露の発生が軽減される。
【0029】
したがって、本実施の形態によれば、鉄骨梁14の合成耐火構造の内部38における結露の発生を抑制することができる。また、防湿コート18を吹付け工法により施工することで、複雑な下地形状においてもシームレスな防湿層の形成を簡単に実現することができる。また、施工性を向上することができる。
【0030】
また、建築基準法における内装制限がかかる室(表面材を不燃材、準不燃材とする必要がある室)において、現し(天井なし)で耐火被覆材に防湿機能を担保することができる。このため、例えば機械室、倉庫など通常天井が設置されない室用途での適用価値が高いという効果を奏する。
【0031】
なお、上記の実施の形態においては、鉄骨梁の合成耐火構造に適用する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、鉄骨柱の合成耐火構造に適用することもできる。このようにしても上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。
防湿コートとして、改質アスファルト系防水材2種類(防水材A、B)、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防火ジョイントスプレー(有機系防水材)、2成分形の超速硬化ウレタン防水材、有機系断熱材(現場発泡ウレタン)を選定し、各材料の透湿抵抗値および透湿比抵抗を実測した。各防湿コートの実測値を
図2に示す。改質アスファルト系防水材が本発明の実施例に相当し、他の材料が比較例に相当する。なお、現場発泡ウレタンについては、実測せず参考文献1に記載の値を使用している。
【0033】
[参考文献1] 「建築の結露-その原因と対策」、山田雅士著、井上書院出版、1996年、p.286
【0034】
図2に示すように、現場発泡ウレタン等の防湿コートに比較して、本実施例の改質アスファルト系防水材の透湿抵抗が有意に高いことがわかる。したがって、合成耐火構造を構成する無機系の耐火被覆材の表面に本実施例の防湿コートを施すことによって合成耐火構造内部の結露の発生を抑制、軽減することができる。
なお、他の防水材及び防水性の高い塗料でも塗膜の膜厚を厚くすることで、本実施例の改質アスファルト系防水材と同様の防湿効果を確保することができる。
【0035】
以上説明したように、本発明に係る耐火被覆構造によれば、壁体に近接して対向配置される鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて連続的に設けられる無機系の耐火被覆材を備える耐火被覆構造であって、無機系の耐火被覆材の外側から内側への水蒸気の透過を抑制するために無機系の耐火被覆材の外側に設けられるとともに透湿抵抗が無機系の耐火被覆材の透湿抵抗よりも高い有機系のコーティング材をさらに備えるので、柱・梁の合成耐火構造における結露の発生を抑制することができる。
【0036】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、有機系のコーティング材は、改質アスファルト系防水材、アスファルト系エマルジョン防湿材、水溶性アクリル系防水材、超速硬化ウレタン防水材、高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材、超低汚染型NAD弾性ポリウレタン樹脂塗料、超低汚染型水性弾性ふっ素樹脂塗料のいずれかを主材とする材料により構成されるので、防湿性を確保するとともに施工コストを低減することができる。
【0037】
また、本発明に係る耐火被覆構造の施工方法によれば、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を設けることによってシート状の耐火被覆材を製造した後、このシート状の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けるので、結露の発生を抑制する柱・梁の合成耐火構造を容易に施工することができる。
【0038】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法によれば、シート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けることによってシート状の耐火被覆材を製造するので、複雑な下地形状においてもシームレスな防湿層の形成を簡単に実現することができる。
【0039】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造の施工方法によれば、上述した耐火被覆構造を施工する方法であって、シート状の無機系の耐火被覆材を鉄骨柱または鉄骨梁の外側から壁体の表面にかけて取り付けた後、このシート状の無機系の耐火被覆材の外側に有機系のコーティング材を吹付けるので、耐火被覆材の端部においても隙間のない安定した防湿層を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係る耐火被覆構造およびその施工方法は、柱・梁の合成耐火構造における耐火被覆に有用であり、特に、合成耐火構造の内部における結露の発生を抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0041】
10 耐火被覆構造
12 外壁(壁体)
14 鉄骨梁
16 耐火被覆材
18 防湿コート(コーティング材)
20 ウェブ
22 上フランジ
24 下フランジ
26 床
28 層間塞ぎ
30 断熱材
32 内装材
34 天井下地材
36 天井材
38 内部
A 室内
B 室外