(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】サイレントブロックブッシュ
(51)【国際特許分類】
F16F 1/387 20060101AFI20250107BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F16F1/387 A
F16F15/08 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020205334
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】201921051330
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】520488388
【氏名又は名称】スジャン・コンティテック・エイブイエス・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】バギャラージ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス・エム
(72)【発明者】
【氏名】ヘマント・カンブル
(72)【発明者】
【氏名】佐鳥 和俊
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-210407(JP,A)
【文献】特開平6-129461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/387
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイレントブロックブッシュであって、前記サイレントブロックブッシュが、
外側チューブの両端部のところに配置される頂部フランジおよび底部フランジを含む少なくとも2つのフランジであって、前記フランジが前記サイレントブロックブッシュの軸方向の変位を制限する、少なくとも2つのフランジと、
組み立て中の前記サイレントブロックブッシュの変形を回避するための、ならびに、荷重の押し込みのときにおよび前記荷重の押し出しのときに堅牢性を確保するように円筒度を制御するための、前記底部フランジのところに配置される1組のリブと、を備えるサイレントブロックブッシュ。
【請求項2】
前記底部フランジの直径が前記頂部フランジの直径より小さい、請求項1に記載のサイレントブロックブッシュ。
【請求項3】
前記円筒度が、前記底部フランジのところに配置される前記リブの数に基づいてさらに制御され、前記リブがさらに、前記頂部フランジおよび前記底部フランジに同じ剛性を付与する、請求項1に記載のサイレントブロックブッシュ。
【請求項4】
プラスチックで作られる前記外側チューブの厚さが、前記荷重の押し込みのときにおよび前記荷重の押し出しのときに円筒度を低減して堅牢性を確保するように、変化させられる、請求項1に記載のサイレントブロックブッシュ。
【請求項5】
前記頂部フランジ、前記底部フランジ、および前記リブが、前記頂部フランジおよび前記底部フランジの両方に等しい剛性を付与し、それにより円筒度を低減し、前記底部フランジが軸方向の変位の制限を補う、請求項1に記載のサイレントブロックブッシュ。
【請求項6】
前記荷重の押し込みのときのおよび前記荷重の押し出しのときの前記円筒度の制御を強化して堅牢性を確保するための、プラスチック製の前記外側チューブの中央付近に配置される1組のリブをさらに備える、請求項1に記載のサイレントブロックブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動車製造のブッシュに関し、より詳細には、その幾何形状内に空隙を有するサイレントブロックブッシュ(silent block bushing)に関する。
【背景技術】
【0002】
現況技術において自動車産業は、特には自動車の製造に関連する構成要素のデザインおよび重量を原因とする、排出制御および燃料効率に関する問題に直面している。そのデザインの重量を低減するために、低排出を誘発するために、および自動車製造の燃料効率を向上させるために、鋼鉄の代替物としてアルミニウムおよびプラスチックが使用される。しかし、プラスチックの使用には、製造および組み立てにおける工程関連の複数の問題が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上で言及したように方法、設計、および材料の種類に関連するような、自動車製造の従来の方法においては、本発明者らは、一定の壁厚を有するようにデザインが形成される場合に非円筒化(non-cylindricity)または楕円化(ovality)の問題に直面している。これはサイレントブロックブッシュの設計においてより見られるものであり、ここでは、サイレントブロックブッシュの組み立てには、組立体が外側チューブに一体化されるときの軸方向における位置合わせの制限に関連する問題が伴う。
【0004】
ここで、プラスチック材料で作られる外側スリーブを有するサイレントブロックブッシュの種類の断面図を示す従来の
図1(A)~1(C)を参照する。振動低減システム(anti-vibration system)内では、本発明者らは、道路およびパワートレインからの振動を分離するための複数のサイレントブロックブッシュを使用する必要がある。これらの従来技術の設計は、組み立てを困難にする非円筒化または楕円化の問題に直面している。したがって、非円筒化の問題を解消するブロックブッシュのデザインが必要とされる。
【0005】
添付図面と併せて読まれる以下の詳細な説明から、本発明のこれらのおよび他の利点が容易に明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本主題は、クレードルをボディに固定するために自動車産業で使用されるクレードルブッシュに関連し、より具体的には、サイレントブロックブッシュに関連する。クレードルブッシュの主要な機能は、クレードルをボディに連結することおよびボディへの振動を減衰させることである。
【0007】
本明細書で開示されるクレードルブッシュまたは「サイレントブロックブッシュ」は、非円筒化の問題を解消するという上で言及した要求に対処するものである。サイレントブロックブッシュが少なくとも2つのフランジおよび1組のリブを備える。フランジが、外側チューブの両端部のところに配置される頂部フランジおよび底部フランジを備え、ここでは、フランジがサイレントブロックブッシュの軸方向の変位を制限する。組み立て中のサイレントブロックブッシュの変形を回避するための、ならびに荷重の押し込みのときにおよび荷重の押し出しのときに堅牢性(consistency)を確保するように円筒度を制御するためのリブが、底部フランジのところに配置される。実施形態では、底部フランジの直径が頂部フランジの直径より小さい。実施形態では、円筒度が、底部フランジのところに配置されるリブの数に基づいてさらに制御され、ここでは、リブがさらに、頂部フランジおよび底部フランジに同様の剛性(stiffness)を提供する。
【0008】
実施形態では、プラスチックで作られる外側チューブの厚さが、荷重の押し込みのときにおよび荷重の押し出しのときに円筒度を低減して堅牢性を確保するように、変化させられる。実施形態では、頂部フランジ、底部フランジ、およびリブが、頂部フランジおよび底部フランジの両方に等しい剛性を提供し、それにより円筒度を低減し、ここでは、底部フランジが軸方向における制限を補う(recompense)。実施形態では、サイレントブロックブッシュが、荷重の押し込みのときのおよび荷重の押し出しのときの円筒度の制御を強化して堅牢性を確保するための、プラスチック外側チューブの中央付近に配置される1組のリブをさらに備える。
【0009】
本発明の例示の実施形態を開示する、付属の図面と共に読まれる以下の詳細な説明から、当業者には、本発明の他の態様、利点、および顕著な特徴が明らかとなろう。ここで、本発明の考えられる一実施形態を非限定的に例として示す添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図面は、本発明のシステムおよび方法を可能にするための具体的な実施例を例示するものであり、方法および機構のうち一部の方法および機構を説明するものであり、本発明の範囲を限定することを意図されない。図面は正確な縮尺ではなく(特に明記しない限り)、以下の詳細な記述内の説明と併せて使用されることを意図される。
【0011】
【
図1】
図1(A)は、従来技術で既知の、サイレントブロックブッシュの種類を示す断面図である。
図1(B)は、従来技術で既知の、サイレントブロックブッシュの種類を示す断面図である。
図1(C)は、従来技術で既知の、サイレントブロックブッシュの種類を示す断面図である。
【
図2A】本開示の実施形態として、サイレントブロックブッシュを示す正面斜視図である。
【
図2B】本開示の
図2Aに示される実施形態として、サイレントブロックブッシュを示す部分切欠図である。
【
図3】本開示の実施形態として、サイレントブロックブッシュの別の実施形態を示す正面斜視図である。
【0012】
図内の要素が単純となるようにかつ見やすくなるように示されており、システムの両方のハードウェアコンポーネントを表すことができる、ことを当業者であれば認識するであろう。さらに、本開示の種々の例示の実施形態の理解を改善するのを補助するために、図内の要素のうちの一部の要素の寸法が他の要素より誇張されている可能性がある。
【0013】
図面を通して、同じまたは類似の要素、特徴、および構造を描くのに同様の参照符号が使用されていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照する以下の説明は、本発明の例示の実施形態を徹底的に理解するのを補助するために提供されるものである。以下の説明はこのような理解を補助するために種々の具体的な詳細を含むが、これらの具体的な詳細は単に例示であるとみなされるべきである。したがって、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書で説明される実施形態に対して多様な変更形態および修正形態が作られ得ることが当業者には認識されよう。また、よく知られている機能および構成の説明が見やすさのためおよび簡潔さのために省略される。
【0015】
以下の説明で使用される用語および単語は書誌的意味(bibliographical meaning)のみに限定されるものではなく、単に、本発明を明瞭にかつ整合的に理解するのを可能にするために本発明者によって使用される。したがって、本発明の例示の実施形態の以下の記述が説明のみを目的として提供されるものであることが当業者には明らかであろう。
【0016】
特に明記しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数の指示対象も含む、ことを理解されたい。
【0017】
図1(A)~
図1(C)が、従来技術で既知の、サイレントブロックブッシュ100a、100b、および100cの種類の断面図を示す。これらのサイレントブロックブッシュ100a、100b、および100cが、プラスチック材料で作られる外側スリーブを有する。振動低減システム内で、これらの複数のサイレントブロックブッシュ100a、100b、および100cが、道路およびパワートレインからの振動を分離するのに利用される必要がある。しかし、これらの従来技術は、組み立てを困難にする非円筒化または楕円化の問題に直面している。
【0018】
図2Aがサイレントブロックブッシュ200の正面斜視図であり、
図2Bが、本開示の
図2Aに示される実施形態としての、サイレントブロックブッシュ200の部分切欠部である。当技術分野で知られているように、クレードルブッシュまたは「サイレントブロックブッシュ」の主要な機能は、クレードル(cradle)をボディに連結することおよびボディへの振動を減衰させることである。サイレントブロックブッシュ200が、プラスチック外側チューブ206の両端部のところに配置される2つのフランジ202および204を備え、底部フランジ204の直径210aが頂部フランジ202の直径210bより小さい。フランジ202および204が、サイレントブロックブッシュ200の軸方向の変位を制限するのに使用される。1組のリブ208が底部フランジ204のところに配置され、1組のリブ208が、組み立て中のサイレントブロックブッシュ200の変形を回避するように、ならびに荷重を押し込むときに/荷重を押し出すときに堅牢性を確保するように円筒度を制御するように、構成される。実施形態では、円筒度が、フランジ204のところに配置されるリブ208の数に基づいてさらに制御され、ここでは、リブ208がさらに、頂部フランジ202および底部フランジ204に同じ剛性を提供する。
【0019】
図2Bに示されるように、プラスチック外側チューブ206の厚さ212が、荷重を押し込むときに/荷重を押し出すときに円筒度を制御して堅牢性を確保するように、変化させられる。プラスチック外側チューブ206のこの変化可能な厚さ212がさらに、円筒度を低減するのに寄与する。言い換えると、サイレントブロックブッシュ200は非円筒化の問題を解消するように設計される。
図2Aに示されるように、頂部フランジ202、底部フランジ204、およびリブ208が、フランジ202および204の両方に等しい剛性を提供し、これが円筒度を低減するのに寄与する。底部フランジ204のデザインがさらに、軸方向における任意の制限を補い、さらには組み立てにも好都合である。
【0020】
図3が、本開示の実施形態としての、サイレントブロックブッシュ300の別の実施形態の正面斜視図である。
図3に示されるように、1組のリブ302がやはりプラスチック外側チューブの中間付近に配置され、荷重を押し込むときに/荷重を押し出すときに円筒度を制御するのを強化して堅牢性を確保する。
【0021】
説明のために、本開示の複数の方法および実施形態の上記の記述を提供した。これは、包括的であること、または本発明を開示される正確なステップおよび/または形態のみに限定することを意図されない。明らかなこととして、上記の説明に照らして多くの修正形態および変形形態が可能である。
【符号の説明】
【0022】
100a サイレントブロックブッシュ
100b サイレントブロックブッシュ
100c サイレントブロックブッシュ
200 サイレントブロックブッシュ
202 頂部フランジ
204 底部フランジ
206 プラスチック外側チューブ
208 1組のリブ
210a 底部フランジの直径
210b 頂部フランジの直径
212 プラスチック外側チューブの厚さ
300 サイレントブロックブッシュ
302 1組のリブ