(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】反応容器及び自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20250107BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/10 G
G01N35/10 C
(21)【出願番号】P 2020218650
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌造
(72)【発明者】
【氏名】増渕 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴士
(72)【発明者】
【氏名】杉村 友弘
(72)【発明者】
【氏名】秋澤 康雄
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039546(JP,A)
【文献】特開2020-165821(JP,A)
【文献】特開2009-288503(JP,A)
【文献】特開昭56-013034(JP,A)
【文献】特開2006-349638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0095508(US,A1)
【文献】特開昭55-023417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置の測定で使用するものであり、測定する試料と試薬の混合液を収容する反応容器であって、
容器本体と、
前記容器本体
の一方の端部に設けられ、吸引された前記試料を前記容器本体の内部に流入させるための吸入口と、
を備え
、
前記試料は、前記容器本体と着脱可能な吸引装置により吸引され、
前記吸引装置は、
前記試料の吸引時において、前記試料と反応する試薬が分注される、前記容器本体の他方の端部に設けられた開口に接続され、
前記容器本体との接続後、前記試薬を吸引して、前記試薬を前記吸入口から前記容器本体の内部に流入させ、
前記試料の吸引後、前記容器本体から離脱する、
反応容器。
【請求項2】
前記試料と前記吸入口との接触を検知する検知部、
を更に備え、
前記吸引装置は、前記検知部が前記接触を検知すると、前記試料の吸引を開始する、
請求項
1に記載の反応容器。
【請求項3】
自動分析装置の測定で使用するものであり、測定する試料と試薬の混合液を収容する反応容器であって、
容器本体と、
前記容器本体の一方の端部に設けられ、吸引された前記試料を前記容器本体の内部に流入させるための吸入口と、
前記容器本体に設けられ、前記試料を吸引するための吸引装置と、
前記容器本体の内部に設けられ、前記試料と反応する試薬が収納された反応室と、
前記試料の吸引時に前記吸入口から前記反応室を経由して前記吸引装置までの流路を形成することにより、前記反応室内に前記試料を流入させ
、前記試料の吸引後に前記流路を閉鎖する流路制御部と、
を備える反応容器。
【請求項4】
前記吸引装置は、減圧室である、
請求項
3に記載の反応容器。
【請求項5】
前記減圧室は、第1減圧室と第2減圧室とを有し、
前記反応室は、第1試薬が収容された第1反応室と、第2試薬が収容された第2反応室とを有し、
前記流路制御部は、
前記吸入口から前記第1反応室を経由して前記第1減圧室までの前記流路である第1流路を形成することにより、前記第1反応室内に前記試料を流入させ、
前記第1流路の形成後、前記第1反応室から前記第2反応室を経由して前記第2減圧室までの第2流路を形成することにより、前記第2反応室内に前記試料と前記第1試薬との混合液を流入させる、
請求項
4に記載の反応容器。
【請求項6】
前記容器本体内に設けられた加圧室、
を更に備え、
前記反応室は、第1試薬が収容された第1反応室と、第2試薬が収容された第2反応室とを有し、
前記流路制御部は、
前記吸入口から前記第1反応室を経由して前記減圧室までの前記流路である第1流路を形成することにより、前記第1反応室内に前記試料を流入させ、
前記第1流路の形成後、前記加圧室から前記第1反応室を経由して前記第2反応室までの第2流路を形成することにより、前記第2反応室内に前記試料と前記第1試薬との混合液を流入させる、
請求項
4に記載の反応容器。
【請求項7】
前記吸入口には、前記容器本体の内部から外部の方向への逆流を防止する逆流防止部が設けられる、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項8】
前記反応容器は、当該反応容器内の混合液が測定された後に廃棄される、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の反応容器。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の反応容器と、
前記反応容器内の前記試料と前記試薬との混合液を測定する測定部と、
を備える自動分析装置。
【請求項10】
前記容器本体内に前記吸入口から前記試料を吸引するための吸引装置、
を更に備える請求項
9に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、反応容器及び自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動分析装置は、試料分注プローブに試料容器の試料を吸引させ、当該試料を反応容器に吐出させる。そして、自動分析装置は、試料が分注された反応容器に試薬を分注して、試料と試薬との混合液を測定する。また、自動分析装置は、洗浄槽において、試料分注プローブを試料の分注終了毎に洗浄する。
【0003】
しかし、試料分注プローブが試料を吸引して反応容器に吐出する方式では、試料分注プローブから試料が洗浄により充分に除去されず、キャリーオーバが発生し、正しい測定結果が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-228952号公報
【文献】特許第5287579号公報
【文献】特許第6058277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、測定効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る反応容器は、自動分析装置の測定で使用するものであり、測定する試料と試薬の混合液を収容する反応容器であって、容器本体と、吸入口とを備える。前記吸入口は、前記容器本体に設けられ、吸引された前記試料を前記容器本体の内部に流入させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の分析装置の構成の一例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図3C】
図3Cは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図3D】
図3Dは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図3E】
図3Eは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図3F】
図3Fは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、第1の実施形態に係る反応容器の第2の構成例を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第1の実施形態における吸引装置の第2の構成例を示す断面図である。
【
図4C】
図4Cは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例の接続図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5C】
図5Cは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5D】
図5Dは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5E】
図5Eは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5F】
図5Fは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図5G】
図5Gは、第1の実施形態に係る反応容器及び吸引装置の第2の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る反応容器の逆流防止部の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る反応容器の逆流防止部の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る反応容器の逆流防止部の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る反応容器の逆流防止部の具体例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る反応容器の逆流防止部の具体例を示す図である。
【
図11A】
図11Aは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図11C】
図11Cは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図11D】
図11Dは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図11E】
図11Eは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図11F】
図11Fは、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図12A】
図12Aは、第2の実施形態に係る反応容器の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図12B】
図12Bは、第2の実施形態に係る反応容器の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図12C】
図12Cは、第2の実施形態に係る反応容器の第1の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図13A】
図13Aは、第2の実施形態に係る反応容器の第2の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図13B】
図13Bは、第2の実施形態に係る反応容器の第2の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図13C】
図13Cは、第2の実施形態に係る反応容器の第2の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図14A】
図14Aは、第2の実施形態に係る反応容器の第3の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図14B】
図14Bは、第2の実施形態に係る反応容器の第3の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図14C】
図14Cは、第2の実施形態に係る反応容器の第3の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図14D】
図14Dは、第2の実施形態に係る反応容器の第3の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図14E】
図14Eは、第2の実施形態に係る反応容器の第3の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図15A】
図15Aは、第2の実施形態に係る反応容器の第4の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図15B】
図15Bは、第2の実施形態に係る反応容器の第4の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図15C】
図15Cは、第2の実施形態に係る反応容器の第4の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図15D】
図15Dは、第2の実施形態に係る反応容器の第4の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図15E】
図15Eは、第2の実施形態に係る反応容器の第4の構成例を示す断面図であり、吸引動作を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の分析装置の構成の一例を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図17B】
図17Bは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図17C】
図17Cは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図17D】
図17Dは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図17E】
図17Eは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【
図17F】
図17Fは、第2の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置の処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、反応容器及び自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る反応容器が適用される自動分析装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す自動分析装置100は、分析装置70と、駆動装置80と、処理装置90とを備えている。
【0010】
分析装置70は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(血液や尿などの生体試料)と、各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して、標準データや被検データを生成する。分析装置70は、試料の分注、試薬の分注等を行う複数のユニットを備え、駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。処理装置90は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
【0011】
処理装置90は、入力装置50と、出力装置40と、処理回路30と、記憶回路60とを有する。
【0012】
入力装置50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料の被検識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
【0013】
出力装置40は、プリンタと、ディスプレイとを備えている。プリンタは、処理回路30で生成されたデータの印刷を行う。ディスプレイは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶パネルなどのモニタであり、処理回路30で生成されたデータの表示を行う。
【0014】
記憶回路60は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
【0015】
処理回路30は、システム全体を制御する。例えば、処理回路30は、
図1に示すように、データ処理機能31及び制御機能32を実行する。制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。データ処理機能31は、分析装置70で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する。
【0016】
例えば、分析装置70により生成される標準データは、物質の量や濃度を判定するためのデータ(検量線あるいは標準曲線)を表し、分析装置70により生成される被検データは、被検試料を測定した結果のデータを表す。また、処理回路30から出力される検量データは、被検データと標準データとから導かれる物質の量や濃度などの測定結果を表すデータを表し、処理回路30から出力される分析データは、陽性又は陰性の判定結果を表すデータを表す。すなわち、検量データは、陽性又は陰性の判定結果を表す分析データを導くためのデータである。
【0017】
ここで、例えば、処理回路30の構成要素が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路60に記録されている。処理回路30は、各プログラムを記憶回路60から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路30は、
図1の処理回路30内に示された各機能を有することとなる。
【0018】
なお、
図1においては、単一の処理回路30にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0019】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路60に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路60にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る反応容器3が適用される自動分析装置100の分析装置70の構成の一例を示す図である。
【0021】
分析装置70は、複数の試料容器11を保持するサンプルラック5を備えている。試料容器11は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料を収容する。なお、
図2に示す例では、3個の試料容器11を収納するサンプルラック5が複数配列されている。ここで、サンプルラック5に収納される試料容器11の数は、3個に限定されない。
【0022】
分析装置70は、更に、円周上に配置される複数の反応容器3と、複数の反応容器3の各々を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。反応容器3は、使い捨ての反応容器であり、例えば、反応容器3内の混合液が測定された後に廃棄される。
【0023】
分析装置70は、更に、搬送装置110を備えている。搬送装置110は、供給部111と、移送部112とを備えている。供給部111は、投入された複数の反応容器3を貯留する貯留ユニットと、貯留ユニット内の反応容器3を移送部112に供給する駆動部とを有する。搬送装置110は、供給部111から供給された反応容器3を、移送部112により移動させる。移送部112は、後述するサンプルアーム10が反応容器3にアクセス可能な位置まで、当該反応容器3を移動させる。例えば、移送部112は、2本のレールを有している。2本のレールは、貯留ユニット側の始端から終端に向かって下方に傾斜している。反応容器3は、自重により、レールに沿って、終端に向けて移動する。
【0024】
分析装置70は、更に、サンプルアーム10を備えている。サンプルアーム10は、移送部112により移動された反応容器3を、サンプルラック5に移動させる。例えば、サンプルアーム10は、レールの終端まで移動した反応容器3にアクセスし、サンプルラック5に移動させる。その後、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料が反応容器3内に吸引される。例えば、後述する吸引装置により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料のうち、検査項目の分析パラメータとして設定された量の試料が反応容器3内に吸引される。サンプルアーム10は、試料を含む反応容器3を反応ディスク4に移動させる。
【0025】
分析装置70は、更に、複数の試薬容器6と、複数の試薬容器6の各々を格納する試薬庫1と、複数の試薬容器7と、複数の試薬容器7の各々を格納する試薬庫2とを備えている。試薬容器6、7は、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬を収容する。例えば、試薬容器6は、1試薬系の試薬又は2試薬系の第1試薬を収容し、試薬容器7は、各検査項目の2試薬系の試薬容器6内の試薬とは異なる第2試薬を収容する。試薬庫1は、各検査項目の試薬容器6を回転可能に保持するターンテーブルである試薬ラック1aを備えている。試薬庫2は、各検査項目の試薬容器7を回転可能に保持するターンテーブルである試薬ラック2aを備えている。
【0026】
分析装置70は、更に、試薬分注プローブ14と、試薬分注アーム8と、試薬分注ポンプ14aと、試薬検出器14bと、洗浄槽14cと、撹拌子17と、撹拌アーム18と、洗浄槽17aとを備えている。試薬分注プローブ14は、試薬容器6内の試薬の分注を行う。具体的には、試薬分注プローブ14は、試薬ラック1aに保持された各検査項目の試薬容器6内の試薬を吸引して、当該検査項目の分析パラメータとして設定された量の試薬を、試料を含む反応容器3内に吐出する。試薬分注アーム8は、試薬分注プローブ14を回転及び上下移動可能に支持する。試薬分注ポンプ14aは、試薬分注プローブ14に試薬の吸引及び吐出を行わせる。試薬検出器14bは、液面検知機能として、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の試薬の液面に、当該液面の上方から下降した試薬分注プローブ14の先端部が近接又は接触したときに、試薬容器6内の試薬を検出したと判定する。具体的には、試薬検出器14bは、試薬分注プローブ14と電気的に接続され、試薬分注プローブ14の先端部が試薬容器6内の試薬と近接又は接触したときの静電容量の変化により、試薬容器6内の試薬の液面を検出する。試薬容器6内の試薬の液面が検出されると、試薬分注ポンプユニット14aは、試薬分注プローブ14に試薬の吸引及び吐出を行わせる。洗浄槽14cは、試薬分注プローブ14を試薬の分注毎に洗浄する。撹拌子17は、反応容器3内の試料と試薬との混合液を撹拌する。撹拌アーム18は、撹拌子17を回転及び上下移動可能に支持する。洗浄槽17aは、撹拌子17を混合液の撹拌毎に洗浄する。
【0027】
分析装置70は、更に、試薬分注プローブ15と、試薬分注アーム9と、試薬分注ポンプ15aと、試薬検出器15bと、洗浄槽15cと、撹拌子19と、撹拌アーム20と、洗浄槽19aとを備えている。試薬分注プローブ15は、試薬容器7内の試薬の分注を行う。ここで、試薬分注プローブ15、試薬分注アーム9、試薬分注ポンプ15a、試薬検出器15b、洗浄槽15c、撹拌子19、撹拌アーム20、洗浄槽19aの機能は、それぞれ、試薬分注プローブ14、試薬分注アーム8、試薬分注ポンプ14a、試薬検出器14b、洗浄槽14c、撹拌子17、撹拌アーム18、洗浄槽17aの機能と同じであるため、説明を省略する。
【0028】
分析装置70は、更に、測定部13と、廃棄部120とを備えている。測定部13は、撹拌済みの混合液を収容する反応容器3に、光を照射することによって混合液を測定する。具体的には、測定部13は、回転している測定位置の反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の試料及び試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、測定部13は、検出した信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成して処理装置90の処理回路30に出力する。反応容器3は、使い捨ての反応容器であり、当該反応容器3内の混合液が測定された後に廃棄される。廃棄部120は、測定部13による測定が終了した反応容器3を廃棄するための容器である。例えば、サンプルアーム10は、測定が終了した反応容器3を廃棄部120に移動させることにより、反応容器3を廃棄する。
【0029】
駆動装置80は、分析装置70の各ユニットを駆動する。
【0030】
駆動装置80は、分析装置70のサンプルラック5を駆動する機構を備え、各試料容器11を移動させる。また、駆動装置80は、試薬庫1の試薬ラック1aを駆動する機構を備え、各試薬容器6を回転させる。また、駆動装置80は、試薬庫2の試薬ラック2aを駆動する機構を備え、各試薬容器7を回転させる。また、駆動装置80は、反応ディスク4を駆動する機構を備え、各反応容器3を回転させる。
【0031】
また、駆動装置80は、サンプルアーム10を回転及び上下移動させる機構を備え、サンプルアーム10を駆動することにより、反応容器3を、移送部112から、試料容器11を保持するサンプルラック5に移動させる。また、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、試料を含む反応容器3を、サンプルラック5から、反応ディスク4に移動させる。また、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、測定が終了した反応容器3を、反応ディスク4から、廃棄部120に移動させる。
【0032】
また、駆動装置80は、試薬分注アーム8、9を回転及び上下移動させる機構を備え、試薬分注プローブ14、15をそれぞれ試薬容器6、7と反応容器3との間で移動させる。また、駆動装置80は、試薬分注ポンプ14a、15aを駆動する機構を備え、試薬分注プローブ14、15に試薬を分注させる。すなわち、試薬分注プローブ14、15に試薬容器6、7の試薬を吸引させ、当該試薬を反応容器3に吐出させる。また、駆動装置80は、撹拌アーム18、20を駆動する機構を備え、撹拌子17、19を反応容器3内に移動させる。そして、駆動装置80は、撹拌子17、19を駆動する機構を備え、反応容器3内の試料及び試薬の撹拌を行わせる。
【0033】
処理装置90の制御機能32は、駆動装置80を制御して分析装置70の各ユニットを作動させる。
【0034】
自動分析装置では、一般的に、試料分注プローブが試料を吸引して反応容器に吐出し、試料の分注終了毎に試料分注プローブを洗浄している。しかし、試料分注プローブが試料を吸引して反応容器に吐出する方式では、試料を分注した試料分注プローブを洗浄したときに、当該試料が洗浄により充分に除去されず、キャリーオーバが発生する場合がある。キャリーオーバの発生により、例えば、次の測定で測定結果が異常に高い値となる現象が発生する。
【0035】
そこで、本実施形態の自動分析装置100で用いられる反応容器3は、測定効率を向上させることができるように、以下のように構成される。本実施形態に係る反応容器3は、自動分析装置100の測定で使用するものであり、測定する試料と試薬の混合液を収容する反応容器であって、容器本体と、吸入口とを備える。吸入口は、容器本体に設けられ、吸引された試料を容器本体の内部に流入させる。
【0036】
以下、第1の実施形態に係る反応容器3の構成例について、
図3~
図5を用いて説明する。
【0037】
図3A~
図3Fは、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第1の構成例を示す断面図である。
【0038】
図3Aに示すように、反応容器3は、上面に開口305が形成された容器本体300と、容器本体300の開口305側に設けられたフランジとを有し、フランジの外径は、容器本体300の外径よりも大きい。例えば、移送部112が有するレールによって、
図2の供給部111から供給された反応容器3を整列させるために、レール間の距離は、容器本体300の外径よりも長く、フランジの外径よりも短い。
【0039】
容器本体300には、吸引された試料130を容器本体300の内部に流入させるための吸入口310が設けられている。例えば、吸入口310は、容器本体300の底面部に設けられている。吸入口310には、容器本体300の内部から外部の方向への逆流を防止する逆流防止部320が設けられている。逆流防止部320の具体例については後述する。
【0040】
図3Aに示すように、試料容器11に収容された試料130は、容器本体300と着脱可能な吸引装置330により吸引される。すなわち、試料130は、吸引装置330の吸引により、容器本体300の底面部に設けられた吸入口310から容器本体300の内部に流入される。ここで、試料130と反応する試薬は、容器本体300の開口305から分注される。容器本体300の開口305は、容器本体300の底面部とは反対側の端部に形成される。
【0041】
吸引装置330は、反応容器3と着脱可能に形成された接続部331と、容器本体300内に吸入口310から試料130を吸引するための吸引ポンプ部332とを有する。接続部331の外径は容器本体300の内径と略同じであり、接続部331は、当該接続部331の先端側が容器本体300の開口305から当該容器本体300の内部に挿入することにより、反応容器3と接続される。ここで、吸引装置330は、例えば、自動分析装置100が保有している機構であり、サンプルアーム10の先端に取り付けられている。また、吸引ポンプ部332は、例えば、金属製のシリンダであり、サンプルアーム10の先端において、当該シリンダを上下に動作させる機構(図示しない)と接続されている。なお、吸引ポンプ部332を上下に動作させる例として、金属製のシリンダを挙げているが、例えば、水などの媒体を用いて、吸引ポンプ部332を上下に動作させてもよい。
【0042】
次に、
図3A~
図3Fを用いて、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第1の構成例における吸引動作について説明する。吸引動作は、処理装置90の制御機能32から出力される制御信号に応じて、駆動装置80がサンプルアーム10、及び、吸引装置330の吸引ポンプ部332等を駆動することにより行われる。ここで、吸引動作を含む自動分析装置100の処理の詳細については後述する。
【0043】
まず、
図3A、
図3Bにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端に取り付けられた吸引装置330の接続部331を、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3の容器本体300の開口305に接続させる。次に、
図3Cにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させ、当該吸引装置330に接続された反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。次に、
図3Dにおいて、駆動装置80が、吸引装置330の吸引ポンプ部332を上方に移動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130を、反応容器3の容器本体300の内部に流入させる。次に、
図3Eにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端の吸引装置330に接続された反応容器3を上昇させる。その後、
図3Fに示すように、駆動装置80が、吸引装置330の接続部331を、反応容器3の容器本体300から離脱させる。具体的には、駆動装置80が、反応容器3を反応ディスク4まで移動させたのちに、吸引装置330の接続部331を、反応容器3の容器本体300から離脱させる。
【0044】
このように、吸引装置330は、試料130の吸引時において、容器本体300の開口305に接続され、容器本体300との接続後、試薬130を吸引して、試薬130を吸入口310から容器本体300の内部に流入させ、試料130の吸引後、容器本体300から離脱する。
【0045】
図4A及び
図4Bは、それぞれ、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第2の構成例を示す断面図である。ここで、第2の構成例については、第1の構成例の変更点について説明する。
【0046】
図4Aに示すように、第2の構成例では、反応容器3は、第1の構成例におけるフランジを有しておらず、例えば、容器本体300は、当該容器本体300の開口305から中央部分にかけて先細りするようなテーパ構造である。すなわち、容器本体300の外径は、当該容器本体300の中央部分から開口305に向かって徐々に大きい。例えば、移送部112の2つのレールによって、供給部111から供給された反応容器3を整列させるために、レール間の距離は、反応容器3の容器本体300の中央部分の外径よりも長く、容器本体300の開口305の外形よりも短い。これにより、容器本体300は、テーパ構造により、吸引装置330と接続しやすく、より強固に接続できる。なお、容器本体300の底面部には、吸引された試料130を容器本体300の内部に流入させるための吸入口310が設けられている。
【0047】
図4Bに示すように、吸引装置330において、接続部331の先端側がテーパ構造となるように接続部331が形成されている。吸引装置330は、更に、試料130の吸引後に容器本体300から離脱するための離脱部333を有する。例えば、離脱部333は、接続部331の容器本体300と接続する先端側とは反対側の他端側に設けられている。離脱部333は、吸引装置330の接続部331を反応容器3の容器本体300から離脱させるための機構である。離脱部333の動作については後述する。
【0048】
図4Cは、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第2の構成例の接続図である。吸引装置330の接続部331が、反応容器3の容器本体300の開口305に接続された場合、吸引装置330の離脱部333の開口305側の端部が、容器本体300の開口305を形成する端部と対向する。
【0049】
図4Cに示すように、吸引装置330は、更に、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130の接触を検知する検知部334を有する。例えば、検知部334は、吸入口310よりも先に試料容器11内の試料130に接触するように形成され、検知部334は、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料の液面に、検知部334の先端部が接触したときに、試料容器11内の試料を検知したと判定する。具体的には、検知部334は、当該検知部334の先端部が試料容器11内の試料と接触したときの静電容量の変化により、試料容器11内の試料の液面を検知する。試料容器11内の試料の液面が検知されると、吸引ポンプ部332による吸引により、試料容器11内の試料130が、反応容器3の容器本体300の内部に流入される。
【0050】
このように、吸引装置330は、検知部334により試料130と吸入口310との接触を検知し、検知部334が接触を検知すると、試料130の吸引を開始する。
【0051】
次に、
図5A~
図5Gを用いて、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第2の構成例における吸引動作について説明する。
【0052】
まず、
図5Aにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端の吸引装置330の接続部331を、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3の容器本体300の開口305に接続させる。このとき、
図5Bにおいて、吸引装置330の離脱部333が、容器本体300の開口305を形成する端部に位置する。次に、
図5Cにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させ、当該吸引装置330に接続された反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。次に、
図5Dにおいて、駆動装置80が、吸引装置330の吸引ポンプ部332を上方に移動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130を、反応容器3の容器本体300の内部に流入させる。
【0053】
次に、
図5Eにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端の吸引装置330に接続された反応容器3を上昇させる。このとき、
図5Fにおいて、駆動装置80が、吸引装置330の吸引ポンプ部332を更に上方に移動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、反応容器3の吸入口310に残留する試料130を、反応容器3の容器本体300の内部に流入させる。その後、
図5Gにおいて、駆動装置80が、吸引装置330の離脱部333を下方に移動させて、反応容器3の容器本体300の開口305を形成する端部を離脱部333が押さえつけた状態で上昇することで、吸引装置330の接続部331を、反応容器3の容器本体300から離脱させる。具体的には、駆動装置80が、反応容器3を反応ディスク4まで移動させたのちに、吸引装置330の接続部331を、反応容器3の容器本体300から離脱させる。
【0054】
ここで、第1の実施形態に係る反応容器3及び吸引装置330の第1、第2の構成例において、吸引装置330の接続部331が、反応容器3の容器本体300の開口305に接続される際に、容器本体300の内部の気圧が高くなる場合は、吸引装置330の吸引ポンプ部332による吸引が行われてもよい。また、吸引装置330は、第2の構成例において、試料容器11内の試料130の接触を検知する検知部334を有しているが、これに限定されず、第1の構成例においても検知部334を有してもよい。また、吸引装置330は検知部334を有しておらず、試料130の液面を予め測定しておき、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を、測定した試料130の液面までの距離と、吸引する試料の量(所定量)とを考慮した距離だけ下降させてもよい。
【0055】
ここで、第1の実施形態に係る反応容器3の逆流防止部320の具体例について、
図6~
図10を用いて説明する。
【0056】
例えば、
図6に示すように、逆流防止部320は、容器本体300から吸入口310の方向への逆流を防止する逆止弁321である。
図6の右側に示すように、逆止弁321は、容器本体300の内部の気圧が減少すると解放され、容器本体300の内部に試料130を吸引することが可能になる。
図6の左側に示すように、容器本体300の内部と外部の気圧が均等になった時点で、逆止弁321は閉じ、試料130の逆流を防止する。
【0057】
ここで、試料130の逆流を止める例として逆止弁321を挙げたが、容器本体300の内部の試料130の逆流を防止する機構であれば、逆流防止部320は、逆止弁321の形状に限らない。例えば、逆流防止部320は、
図7に示すようなフラップゲート型の弁322でもよい。フラップゲート型の弁322は、通常状態では、
図7の左側に示すように吸入口310を閉鎖している。そして、フラップゲート型の弁322は、試料130の吸引時に、
図7の右側に示すように吸入口310を解放する。
【0058】
あるいは、
図8に示すように、逆流防止部320は、吸入口310から容器本体300の方向への逆流を防止する流路閉鎖部323である。例えば、流路閉鎖部323は、容器本体300の底面部の吸入口310が設けられた回転体であり、当該流路閉鎖部323には貫通孔323Aが形成されている。流路閉鎖部323は、通常状態では、
図8の左側に示すように、吸入口310から貫通孔323Aを経由して容器本体300までの流路を形成し、試料130の吸引後に、
図8の右側に示すように、当該流路を閉鎖する。例えば、
図8において、駆動装置80が、試料130の吸引後に、機械動作や磁気により流路閉鎖部323を半回転させることによって、当該流路を閉鎖させる。
【0059】
ここで、試料130の逆流を止める例として流路閉鎖部323を挙げたが、容器本体300の内部の試料130の逆流を防止する機構であれば、逆流防止部320は、流路閉鎖部323の形状に限らない。例えば、逆流防止部320は、
図9に示すような流路閉鎖部324でもよい。例えば、流路閉鎖部324は、容器本体300の底面部内で左右方向にスライド可能に設けられた部材であり、当該流路閉鎖部324には貫通孔324Aが形成されている。流路閉鎖部324は、通常状態では、
図9の左側に示すように、吸入口310から貫通孔324Aを経由して容器本体300までの流路を形成し、試料130の吸引後に、
図9の右側に示すように、当該流路を閉鎖する。例えば、
図9において、駆動装置80が、試料130の吸引後に、流路閉鎖部324を設定量だけ左方向にスライドさせることにより、当該流路を閉鎖させる。
【0060】
なお、試料130の逆流を止める例として、弁や、流路を閉鎖する機構を挙げたが、容器本体300の内部の試料130の逆流を防止する機構であれば、逆流防止部320は、栓325でもよい。また、栓325で試料130の逆流を防止する形式の他に、吸入口310を熱や圧力により変形させ、流路を防ぐ形式でもよい。
【0061】
図11A~
図11Fは、第1の実施形態に係る反応容器3が適用される自動分析装置100の処理の手順を示す図である。
【0062】
まず、
図11Aにおいて、処理装置90の制御機能32は、反応容器3を移送部112から取り出すための第1制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第1制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、サンプルアーム10の先端を移送部112のレールの終端に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させて、当該吸引装置330の接続部331を、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3の容器本体300の開口305に接続させる。
【0063】
次に、
図11Bにおいて、処理装置90の制御機能32は、反応容器3をサンプルラック5に移動させるための第2制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第2制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端の吸引装置330を上昇させて、当該吸引装置330に接続された反応容器3を移送部112からサンプルラック5に移動させる。このとき、反応容器3が移送部112のレールの終端から取り出されたため、移送部112のレールに整列されている反応容器3は、当該反応容器3の自重によりスライドする。
【0064】
その後、処理装置90の制御機能32は、反応容器3の吸入口310を試料容器11内の試料130に接触させるための第3制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第3制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させて、当該吸引装置330に接続された反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。
【0065】
そして、処理装置90の制御機能32は、反応容器3の容器本体300の内部に試料容器11内の試料130を吸引するための第4制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第4制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端の吸引装置330の吸引ポンプ部332を上方に移動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130を、反応容器3の容器本体300の内部に流入させる。
【0066】
次に、
図11Cにおいて、処理装置90の制御機能32は、試料130を含む反応容器3を反応ディスク4に移動させるための第5制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第5制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端の吸引装置330に接続された反応容器3を上昇させて、試料130を含む反応容器3をサンプルラック5から反応ディスク4に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させて、サンプルアーム10の先端の吸引装置330の接続部331を、試料130を含む反応容器3から離脱させる。
【0067】
その後、反応ディスク4に移動された反応容器3には、当該反応容器3の容器本体300の開口305側から、試薬容器6、7内の試薬が分注される。測定部13は、測定位置の反応容器3に光を照射することにより、当該反応容器3内の試料130と試薬との混合液を測定する。又は、測定部13は、反応容器3内の混合液の電位を計測することにより、当該混合液を測定する。
【0068】
次に、
図11Dにおいて、処理装置90の制御機能32は、測定が終了した反応容器3を反応ディスク4から取り出すための第6制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第6制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、サンプルアーム10の先端を反応ディスク4上の測定が終了した反応容器3に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端の吸引装置330を下降させて、当該吸引装置330の接続部331を、測定が終了した反応容器3の容器本体300の開口305に接続させる。
【0069】
次に、
図11Eにおいて、処理装置90の制御機能32は、測定が終了した反応容器3を廃棄するための第7制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第7制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、測定が終了した反応容器3を反応ディスク4から廃棄部120に移動させて、サンプルアーム10に取り付けられた吸引装置330の接続部331を、測定が終了した反応容器3から離脱させる。すなわち、廃棄部120は、測定後の反応容器3を廃棄するための容器であるため、測定後の反応容器3を廃棄部120に収容することにより、測定後の反応容器3が廃棄される。
【0070】
その後、
図11Fにおいて、処理装置90の制御機能32は、再度、第1制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、上述と同様に、第1制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3を取り出す。
【0071】
このように、第1の実施形態に係る反応容器3は、容器本体300と、吸入口310とを備え、吸入口310は、容器本体300に設けられ、吸引された試料130を容器本体300の内部に流入させる。これにより、第1の実施形態では、試料分注プローブと、試料分注プローブに試料の吸引及び吐出を行わせる試料分注ポンプと、試料分注プローブを試料の分注終了毎に洗浄する洗浄槽とが不要になる。例えば、試料分注プローブが試料を吸引して反応容器に吐出する方式では、試料を分注した試料分注プローブを洗浄したときに、当該試料が洗浄により充分に除去されない場合、当該試料の影響により、キャリーオーバが発生する可能性がある。一方、第1の実施形態では、吸引された試料130を容器本体300の内部に流入させる方式であるため、試料分注プローブ、試料分注ポンプ、洗浄槽が不要になり、その結果、キャリーオーバが発生しない。自動分析装置100において、キャリーオーバが発生しないため、測定効率を向上させることができる。
【0072】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る反応容器3では、試料130を吸引するための吸引装置330が容器本体300に接続される場合について説明した。第2の実施形態に係る反応容器3では、試料130を吸引するための吸引装置が容器本体300内に設けられている。また、第2の実施形態に係る反応容器3では、容器本体300内に試薬を収納していることにより、試薬を格納する試薬容器が不要になる。以下、第2の実施形態に係る反応容器3の構成例について、
図12~
図15を用いて説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0073】
図12A~
図12Cは、第2の実施形態に係る反応容器3の第1の構成例を示す断面図である。
【0074】
反応容器3は、容器本体300と、吸引装置330と、反応室342と、流路制御部344とを有する。吸引装置330は、容器本体300に設けられ、第1の実施形態と同様に、試料130を吸引する。反応室342は、容器本体300の内部に設けられ、試料130と反応する試薬140が収納されている。試薬140は、例えば、1試薬系の試薬である。
【0075】
流路制御部344は、容器本体300の内部で左右方向にスライド可能に設けられた部材344A、344Bと、容器本体300の外側で部材344A、344Bを支持する部材344Cとを有する。部材344Bは部材344Aよりも上段に配置され、部材344A、344Bには貫通孔THが形成されている。
【0076】
次に、
図12A~
図12Cを用いて、第2の実施形態に係る反応容器3の第1の構成例における吸引動作について説明する。
【0077】
まず、
図12Aにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端を、移送部112上の反応容器3の吸引装置330に接続させる。次に、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端に接続された反応容器3を下降させ、当該反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。次に、
図12Bにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引時に、反応容器3の流路制御部344の部材344Cを設定量だけ右方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A、344Bを同時にスライドさせて、流路343を流路制御部344に形成させる。例えば、流路343は、
図12Bの斜線で示すように、吸入口310から部材344Aの貫通孔THと反応室342と部材344Bの貫通孔THとを経由して吸引装置330までの流路である。このとき、駆動装置80が、吸引装置330の吸引ポンプ部332を駆動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342に流入する。次に、
図12Cにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引後に、流路制御部344の部材344Cを設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343を閉鎖させる。これにより、試料130と試薬140との混合液150が反応容器3の反応室342内に収容される。
【0078】
図13A~
図13Cは、第2の実施形態に係る反応容器3の第2の構成例を示す断面図である。ここで、第2の構成例については、第1の構成例の変更点について説明する。
【0079】
第2の構成例では、反応容器3は、第1の構成例における吸引装置330に代えて、容器本体300の内部に設けられた吸引装置340を有する。吸引装置340は、大気圧よりも気圧が低い減圧室341である。
【0080】
次に、
図13A~
図13Cを用いて、第2の実施形態に係る反応容器3の第2の構成例における吸引動作について説明する。
【0081】
まず、
図13Aにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端を、移送部112上の反応容器3に接続させる。次に、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端に接続された反応容器3を下降させ、当該反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。次に、
図13Bにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引時に、反応容器3の流路制御部344の部材344Cを設定量だけ右方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A、344Bを同時にスライドさせて、流路343を流路制御部344に形成させる。例えば、流路343は、
図13Bの斜線で示すように、吸入口310から部材344Aの貫通孔THと反応室342と部材344Bの貫通孔THとを経由して減圧室341までの流路である。このとき、減圧室341による減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342に流入する。次に、
図13Cにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引後に、流路制御部344の部材344Cを設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343を閉鎖させる。これにより、試料130と試薬140との混合液150が反応容器3の反応室342内に収容される。
【0082】
図14A~
図14Eは、第2の実施形態に係る反応容器3の第3の構成例を示す断面図である。ここで、第3の構成例については、第2の構成例の変更点について説明する。
【0083】
第3の構成例では、反応容器3は、第2の構成例における減圧室341である減圧室341A、341Bと、第2の構成例における反応室342である反応室342A、342Bとを有する。反応室342A、342Bは、容器本体300の内部に設けられ、それぞれ、試料130と反応する試薬141、142が収納されている。例えば、試薬141、142は、それぞれ、試薬容器6、7内の試薬である。反応室342A、342Bは、それぞれ、第1反応室、第2反応室の一例であり、試薬141、142は、それぞれ、2試薬系の第1試薬、2試薬系の試薬とは異なる第2試薬の一例である。
【0084】
流路制御部344は、容器本体300の内部で左右方向にスライド可能に設けられた部材344A~344Cと、容器本体300の外側で部材344A~344Cを支持する部材344Dとを有する。部材344Bは部材344Aよりも上段に配置され、部材344Cは部材344Bよりも上段に配置されている。部材344A~344Cには、貫通孔TH1、TH2が形成されている。
【0085】
次に、
図14A~
図14Eを用いて、第2の実施形態に係る反応容器3の第3の構成例における吸引動作について説明する。
【0086】
まず、
図14Aにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端を、移送部112上の反応容器3に接続させる。次に、
図14Bにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端に接続された反応容器3を下降させ、当該反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。そして、駆動装置80が、試料130の吸引時に、反応容器3の流路制御部344の部材344Dを第1設定量だけ左方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A~344Cを同時にスライドさせて、流路343Aを流路制御部344に形成させる。例えば、流路343Aは、
図14Bの斜線で示すように、吸入口310から部材344Aの貫通孔TH1と反応室342Aと部材344Bの貫通孔TH1と部材344Cの貫通孔TH1とを経由して減圧室341Aまでの流路である。このとき、減圧室341Aによる減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342Aに流入する。次に、
図14Cにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引後に、流路制御部344の部材344Dを第2設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343Aを閉鎖させる。これにより、試料130と試薬141との混合液151が反応室342A内に収容される。流路343Aは、第1流路の一例である。
【0087】
次に、
図14Dにおいて、駆動装置80が、例えば、反応容器3の流路制御部344の部材344Dを第3設定量だけ左方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A~344Cを同時にスライドさせて、流路343Bを流路制御部344に形成させる。例えば、流路343Bは、
図14Dの斜線で示すように、吸入口310から部材344Aの貫通孔TH2と反応室342Aと部材344Bの貫通孔TH2と反応室342Bと部材344Cの貫通孔TH2とを経由して減圧室341Bまでの流路である。このとき、減圧室341Bによる減圧により、反応室342A内の混合液151が、反応室342Bに流入する。次に、
図14Eにおいて、駆動装置80が、流路制御部344の部材344Dを第4設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343Bを閉鎖させる。これにより、混合液151と試薬142との混合液152が反応室342B内に収容される。流路343Bは、第2流路の一例である。
【0088】
図15A~
図15Eは、第2の実施形態に係る反応容器3の第4の構成例を示す断面図である。ここで、第4の構成例については、第2の構成例の変更点について説明する。
【0089】
第4の構成例では、反応容器3は、第2の構成例に加えて、大気圧よりも気圧が高い加圧室345を有する。また、第4の構成例では、第2の構成例における反応室342である反応室342A、342Bを有する。第4の構成例では、反応容器3は、更に、容器本体300内に設けられた逆流防止部320を有し、例えば、逆流防止部320として、反応室342Aから吸入口310の方向への逆流を防止する逆止弁と、反応室342Bから反応室342Aの方向への逆流を防止する逆止弁とが設けられている。また、容器本体300の底面部とは反対側の上面部には、当該上面部から容器本体300内の反応室342Bまで形成された貫通孔350が設けられている。
【0090】
流路制御部344は、容器本体300の内部で左右方向にスライド可能に設けられた部材344A、344Bと、容器本体300の外側で部材344A、344Bを支持する部材344Cとを有する。部材344Bは部材344Aよりも上段に配置されている。部材344Aには貫通孔TH1、TH2が形成され、部材344Bには貫通孔THが形成されている。
【0091】
次に、
図15A~
図15Eを用いて、第2の実施形態に係る反応容器3の第4の構成例における吸引動作を説明するための図である。
【0092】
まず、
図15Aにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端を、移送部112上の反応容器3に接続させる。次に、
図15Bにおいて、駆動装置80が、サンプルアーム10の先端に接続された反応容器3を下降させ、当該反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。そして、駆動装置80が、試料130の吸引時に、反応容器3の流路制御部344の部材344Cを第1設定量だけ左方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A、344Bを同時にスライドさせて、流路343Aを流路制御部344に形成させる。例えば、流路343Aは、
図15Bの斜線で示すように、吸入口310から反応室342Aと部材344Aの貫通孔TH1とを経由して減圧室341までの流路である。このとき、減圧室341による減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342Aに流入する。次に、
図15Cにおいて、駆動装置80が、試料130の吸引後に、流路制御部344の部材344Cを第2設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343Aを閉鎖させる。これにより、試料130と試薬141との混合液151が反応室342A内に収容される。流路343Aは、第1流路の一例である。
【0093】
次に、
図15Dにおいて、駆動装置80が、例えば、反応容器3の流路制御部344の部材344Cを第3設定量だけ左方向にスライドさせることにより、当該流路制御部344の部材344A、344Bを同時にスライドさせて、流路343Bを流路制御部344に形成させる。例えば、流路343Bは、
図15Dの斜線で示すように、加圧室345から部材344Bの貫通孔THと使用後の減圧室341と部材344Aの貫通孔TH2と反応室342Aと反応室342Bとを経由して貫通孔350までの流路である。このとき、加圧室345による加圧により、反応室342A内の混合液151が、反応室342Bに流入する。次に、
図15Eにおいて、駆動装置80が、流路制御部344の部材344Cを第4設定量だけ左方向にスライドさせることにより、流路343Bを閉鎖させる。これにより、混合液151と試薬142との混合液152が反応室342B内に収容される。流路343Bは、第2流路の一例である。
【0094】
ここで、第2の実施形態に係る反応容器3では、例えば、第1~第4の構成例において、反応室内に撹拌子の機構が設けられ、反応室内で試料及び試薬を撹拌させてもよい。また、第2の実施形態に係る反応容器3では、例えば、第1、第2の構成例において、1つの試薬が1つの反応室に収納されている場合について説明し、第3、第4の構成例において、2つの試薬がそれぞれ2つの反応室に収納されている場合について説明したが、3つ以上の試薬を用いる場合には、3つ以上の試薬をそれぞれ3つ以上の反応室に収納しておき、流路を順番に形成することにより実現可能である。
【0095】
図16は、第2の実施形態に係る反応容器3が適用される自動分析装置100の分析装置70’の構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る反応容器3では、試料を吸引することが可能である上に、容器本体300の内部で試料と試薬とを混合させることが可能であるため、第2の実施形態では、第1の実施形態よりも装置規模を縮小することができる。例えば、
図16の分析装置70’では、
図2の分析装置70の試薬庫1、試薬ラック1a、試薬庫2、試薬ラック2a、試薬容器6、7、試薬分注アーム8、9、試薬分注プローブ14、15、試薬分注ポンプ14a、15a、試薬検出器14b、15b、洗浄槽14c、15c、撹拌子17、19、洗浄槽17a、19a、撹拌アーム18、20が不要になる。
【0096】
図17A~
図17Fは、第2の実施形態に係る反応容器3が適用される自動分析装置100の処理の手順を示す図である。ここで、ここで、第2の実施形態では、第1の実施形態よりも装置規模を縮小することができるため、
図2の試薬庫1が配置されていた位置に、廃棄部120が配置されている。なお、
図17A~
図17Fに示す例では、移送部112が複数配列されている。
【0097】
まず、
図17Aにおいて、処理装置90の制御機能32は、反応容器3を移送部112から取り出すための第1制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第1制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、サンプルアーム10の先端を、複数の移送部112のうち、選択された移送部112のレールの終端に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端を下降させて、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3を取り出す。
【0098】
次に、
図17Bにおいて、処理装置90の制御機能32は、反応容器3をサンプルラック5に移動させるための第2制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第2制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端を上昇させて、反応容器3を移送部112からサンプルラック5に移動させる。
【0099】
その後、処理装置90の制御機能32は、反応容器3の吸入口310を試料容器11内の試料130に接触させるための第3制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第3制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端を下降させて、反応容器3の吸入口310を、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130に接触させる。
【0100】
そして、処理装置90の制御機能32は、反応容器3の容器本体300の内部に試料容器11内の試料130を吸引するための第4制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第4制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端から反応容器3の流路制御部344等を以下のように制御する。
【0101】
第1の構成例では、駆動装置80は、反応容器3の吸入口310から反応室342を経由して吸引装置330までの流路343を形成するように、反応容器3の流路制御部344を制御し、反応容器3の吸引装置330の吸引ポンプ部332を駆動させることで、当該吸引ポンプ部332による吸引により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130を、反応容器3の反応室342に流入させる。その後、駆動装置80は、流路343が閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、試料130と試薬140との混合液150が反応室342内に収容される。
【0102】
第2の構成例では、駆動装置80は、反応容器3の吸入口310から反応室342を経由して吸引装置330までの流路343を形成するように、反応容器3の流路制御部344を制御する。このとき、反応容器3の減圧室341による減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342に流入する。その後、駆動装置80は、流路343が閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、試料130と試薬140との混合液150が反応室342内に収容される。
【0103】
第3の構成例では、駆動装置80は、反応容器3の吸入口310から反応室342Aを経由して減圧室341Aまでの流路343Aを形成するように、反応容器3の流路制御部344を制御する。このとき、減圧室341Aによる減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342Aに流入する。その後、駆動装置80は、流路343Aが閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、試料130と試薬141との混合液151が反応室342A内に収容される。そして、駆動装置80は、吸入口310から反応室342Aと反応室342Bとを経由して減圧室341Bまでの流路343Bを形成するように、流路制御部344を制御する。このとき、減圧室341Bによる減圧により、反応室342A内の混合液151が、反応室342Bに流入する。その後、駆動装置80は、流路343Bが閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、混合液151と試薬142との混合液152が反応室342B内に収容される。
【0104】
第4の構成例では、駆動装置80は、反応容器3の吸入口310から反応室342Aを経由して減圧室341までの流路343Aを形成するように、反応容器3の流路制御部344を制御する。このとき、減圧室341による減圧により、サンプルラック5に保持された試料容器11内の試料130が、反応容器3の反応室342Aに流入する。その後、駆動装置80は、流路343Aが閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、試料130と試薬141との混合液151が反応室342A内に収容される。そして、駆動装置80は、加圧室345から使用後の減圧室341と反応室342Aと反応室342Bとを経由して貫通孔350までの流路343Bを形成するように、流路制御部344を制御する。このとき、加圧室345による加圧により、反応室342A内の混合液151が、反応室342Bに流入する。その後、駆動装置80は、流路343Bが閉鎖するように流路制御部344を制御する。このとき、混合液151と試薬142との混合液152が反応室342B内に収容される。
【0105】
次に、
図17Cにおいて、処理装置90の制御機能32は、試料と試薬との混合液を含む反応容器3を反応ディスク4に移動させるための第5制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第5制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、当該サンプルアーム10の先端を上昇させて、試料130を含む反応容器3をサンプルラック5から反応ディスク4に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端を下降させて、サンプルアーム10の先端から、試料と試薬との混合液を含む反応容器3を離脱させる。
【0106】
その後、測定部13は、測定位置の反応容器3に光を照射することにより、当該反応容器3内の試料と試薬との混合液を測定する。又は、測定部13は、反応容器3内の混合液の電位を計測することにより、当該混合液を測定する。
【0107】
次に、
図17Dにおいて、処理装置90の制御機能32は、測定が終了した反応容器3を反応ディスク4から取り出すための第6制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第6制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、サンプルアーム10の先端を反応ディスク4上の測定が終了した反応容器3に移動させる。そして、駆動装置80は、サンプルアーム10の先端を下降させて、測定が終了した反応容器3を取り出す。
【0108】
次に、
図17Eにおいて、処理装置90の制御機能32は、測定が終了した反応容器3を廃棄するための第7制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、第7制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、測定が終了した反応容器3を反応ディスク4から廃棄部120に移動させて、サンプルアーム10の先端から、測定が終了した反応容器3を離脱させる。すなわち、測定後の反応容器3を廃棄部120に収容することにより、測定後の反応容器3が廃棄される。
【0109】
その後、
図17Fにおいて、処理装置90の制御機能32は、再度、第1制御信号を駆動装置80に出力する。この場合、上述と同様に、第1制御信号に応じて、駆動装置80は、サンプルアーム10を駆動することにより、移送部112のレールの終端に移動した反応容器3を取り出す。
【0110】
このように、第2の実施形態に係る反応容器3は、容器本体300と、吸入口310と、を備え、吸入口310は、容器本体300に設けられ、吸引された試料130を容器本体300の内部に流入させる。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、自動分析装置100において、キャリーオーバが発生しないため、測定効率を向上させることができる。
【0111】
更に、第2の実施形態に係る反応容器3は、容器本体300に設けられ、試料130を吸引するための吸引装置(吸引装置330又は吸引装置340)と、容器本体300の内部に設けられた反応室342と、流路制御部344とを備えている。反応室342は、試料130と反応する試薬140が収納され、流路制御部344は、吸入口310から反応室342を経由して吸引装置までの流路343を形成することにより、反応室342内に試料130を流入させる。これにより、第2の実施形態では、試料及び試薬を分注するプローブやポンプ、試料と試薬とを撹拌する撹拌子や撹拌アーム、プローブを洗浄する洗浄槽などが不要になる。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態よりも装置規模を縮小することができる。
【0112】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、測定効率を向上させることができる。
【0113】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
3 反応容器
100 自動分析装置
300 容器本体
310 吸入口