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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】無線装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/103 20060101AFI20250107BHJP
   H01P 1/165 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H01P5/103 G
H01P1/165
H01P5/103 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021042574
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142420
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】星 遼子
(72)【発明者】
【氏名】村上 利幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀典
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222438(JP,A)
【文献】特開平07-221501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/103
H01P 1/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏波を伝播する第1導波管と、
前記第1偏波と角度が異なる第2偏波を伝播する第2導波管と、
互いに同じ形状を有する2つの同軸導波管変換アタッチメントと、
それぞれが同軸端子を含み、前記第1偏波及び前記第2偏波の伝播方向に垂直な断面が同じ形状及び向きを成す2つの部品と
を備え、
前記同軸導波管変換アタッチメントはそれぞれ、
前記第1偏波又は前記第2偏波の何れかを軸対称である同軸ケーブルを伝搬可能な形態との間で変換する第3導波管を含み、
前記第3導波管の一端において、前記第1導波管と前記第2導波管の何れにも着脱可能であるように、前記第1導波管又は前記第2導波管の何れかに接続させ、
前記部品との接続時に前記第3導波管の前記同軸端子の側の他端が前記同軸端子に接続するように、前記部品に着脱可能に接続される
無線装置。
【請求項2】
前記第3導波管は、前記同軸端子と前記第3導波管を接続する導体部が前記第3導波管の長さ方向にステップ形状を成す同軸導波管変換器である
請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記第1導波管及び前記第2導波管はそれぞれ、矩形導波管又は楕円導波管である
請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記部品は、前記第3導波管に対向する面に第1ネジ穴を有し、
前記第3導波管は、前記部品に対向する面に、第1貫通孔、及び前記第1貫通孔が前記第1偏波と前記第2偏波の角度差だけ回転させられた位置に配置された第2貫通孔を有し、
前記第3導波管は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の何れかを介して前記第1ネジ穴にネジ止め可能な
請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記部品は、前記第3導波管に対向する面に、第1ネジ穴、及び前記第1ネジ穴が前記第1偏波と前記第2偏波の角度差だけ回転させられた位置に配置された第2ネジ穴を有し、
前記第3導波管は、前記部品に対向する面に第1貫通孔を有し、
前記第3導波管は、前記第1貫通孔を介して前記第1ネジ穴及び前記第2ネジ穴の何れにもネジ止め可能な
請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
前記第1偏波と前記第2偏波の角度差は90度である
請求項1乃至5の何れか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
入力電波を分離した直交偏波のそれぞれを前記第1導波管又は前記第2導波管の何れか一方へ出力する直交偏波分離器
を更に備えた請求項6に記載の無線装置。
【請求項8】
前記部品は、低雑音増幅器である
請求項7に記載の無線装置。
【請求項9】
前記2つの部品は、互いに同じ形状を有し、
前記2つの部品がそれぞれ同じ面において接するヒートパイプ
を更に備えた請求項1乃至8の何れか1項に記載の無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を偏波毎に処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛星通信において、HTS(High Throughput Satellite)衛星による通信容量の大容量化に伴い、1衛星あたりのLNA(Low Noise Amplifier、低雑音増幅器)等の搭載機器数が増加している。搭載機器数の増加に伴い、効率よく、省スペースで搭載機器を配置することが求められると共に、搭載機器の構成の単純化及び特性の均一化も求められている。
【0003】
人工衛星において、アンテナで受信された電波は直交偏波分離器(OMT:Ortho-Mode Transducer)によって互いに直交する二つの偏波に分離された後に、LNAに入力されることがある。この場合、LNAは偏波の向きに合わせて回転されてOMTに接続されることが多い。
【0004】
図5は、本発明で参照する無線装置の構成の一例を示す斜視図である。図5では、図を分かり易くするために、構成要素間の接続を取り外した状態を図示している。図5に示すように、本発明で参照する無線装置608は、アンテナフィーダー400と、OMT208と、垂直接続用のLNA381と、水平接続用のLNA382とを含む。無線装置608は、例えば、無線受信装置又は無線送信装置である。OMT208は、垂直接続用の第1導波管218と水平接続用の第2導波管228とを含む。ここで、垂直接続用の第1導波管218と水平接続用の第2導波管228は、電波の進行方向について互いに90度回転された断面形状を有する。その結果、垂直接続用のLNA381と水平接続用のLNA382は、同じ形状を有するならば、電波の進行方向(図5ではY方向)について互いに90度回転された向きに配置される。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているパラボラアンテナの給電部は、ホーンアンテナと、ポーラライザと、偏波分波器(OMT)と、垂直偏波用コンバータと、水平偏波用コンバータとを含む。ホーンアンテナは、パラボラ反射鏡で反射された直線偏波が入力されて伝播される。ポーラライザは、ホーンアンテナに連接して設けられ、直線偏波の偏波面を切り換え可能である。偏波分波器は、ポーラライザから出力される直線偏波を、垂直偏波成分と水平偏波成分とに分離する。垂直偏波用コンバータは、偏波分波器により分離された垂直偏波成分を周波数変換する。水平偏波用コンバータは、偏波分波器により分離された水平偏波成分を周波数変換する。偏波分波器の円形導波管部の内部に、水平方向に延伸する分離板が内蔵されている。水平偏波成分は、分離板によって反射されて、水平偏波用の矩形導波管を介して水平偏波用コンバータに導かれる。又、垂直偏波成分は、分離板を通過して、垂直偏波用の矩形導波管を介して垂直偏波用コンバータに導かれる。ここで、水平偏波用の矩形導波管と垂直偏波用の矩形導波管とは、電波の進行方向について互いに90度回転された断面形状を有する。その結果、水平偏波用コンバータと垂直偏波用コンバータは、同じ形状を有するならば、電波の進行方向について互いに90度回転された向きに配置される。
【0006】
図6は、本発明で参照する別の無線装置の構成の一例を示す斜視図である。図6では、図を分かり易くするために、構成要素間の接続を取り外した状態を図示している。図6に示すように、本発明で参照する無線装置609は、無線装置608の構成に加えて、導波管191及び導波管192(ツイスト導波管)を更に含む。ツイスト導波管は、偏波面を(図6の例では90度)回転させる導波管である。垂直接続用のLNA391及び水平接続用のLNA392は、同じ形状を有する。そして、無線装置609では、ツイスト導波管によって、垂直接続用のLNA391及び水平接続用のLNA392は、互いに同じ向きに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平09-312519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
直交する2つの直線偏波は方向が90度異なる。本発明で参照する無線装置608の部品(LNA381、382)の入力端は、一方の方向の直線偏波にしか対応していなかった。そのため、直交2偏波各々を同じ種類の部品(LNA381、382)で扱おうとすると、部品の向きを互いに90度だけ変えて配置する必要があった。
【0009】
その結果、例えば、同じ形状を成す複数の部品(LNA等)を互いに異なる向きに配置すると、部品を同じ向きに配置する場合に比べて、部品を収容するために必要なスペース(例えば、1つの直方体を成すスペース)が増加することがあるという問題があった。
【0010】
又、例えば、垂直接続用のLNA381及び水平接続用の382の放熱を1枚の板状のヒートパイプ(不図示)で行う場合、LNA381とLNA382が、互いに形状が異なる面でヒートパイプに接触する。その結果、無線装置608には、LNA381とLNA382における放熱が不均一であるという問題があった。
【0011】
複数の部品(LNA等)を互いに同じ向きに配置するためには、本発明で参照する無線装置609の導波管及びツイスト導波管のように、新たな種類の構成要素の追加が必要であるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、電波を偏波毎に処理する装置において、構成要素の多種類化を抑制しながら、偏波の伝播方向に垂直な断面が同じ形状を有する各偏波用の部品を同じ向きに配置することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様において、無線装置は、第1偏波を伝播する第1導波管と、第1偏波と角度が異なる第2偏波を伝播する第2導波管と、互いに同じ形状を有する2つの同軸導波管変換アタッチメントと、それぞれが同軸端子を含み、第1偏波及び第2偏波の伝播方向に垂直な断面が同じ形状及び向きを成す2つの部品とを含み、同軸導波管変換アタッチメントはそれぞれ、第1偏波又は第2偏波の何れかを軸対称である同軸ケーブルを伝搬可能な形態との間で変換する第3導波管を含み、第3導波管の一端において、第1導波管と第2導波管の何れにも着脱可能であるように、第1導波管又は第2導波管の何れかに接続させ、部品との接続時に第3導波管の同軸端子の側の他端が同軸端子に接続するように、部品に着脱可能に接続される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電波を偏波毎に処理する装置において、構成要素の多種類化を抑制しながら、偏波の伝播方向に垂直な断面が同じ形状を有する各偏波用の部品を同じ向きに配置できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態における無線装置の構成の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態における第3導波管の構成の一例を示す2面図である。
図3】本発明の第2実施形態における無線装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態における無線装置の動作を示す斜視図である。
図5】本発明で参照する無線装置の構成の一例を示す斜視図である。
図6】本発明で参照する別の無線装置の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の各実施形態の基本である、本発明の第1実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態における構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態における無線装置の構成の一例を示す斜視図である。図1以降の図、及び以降の説明において、無線装置が設置される向きは一例であり、実際に無線装置が設置される向きは任意の向きであってよい。図1以降の図、及び以降の説明において、ある方向から見て、無線装置の、幅(左右)方向を「X」で示し、奥行き(前後)方向を「Y」で示し、高さ(上下)方向を「Z」で示すこととする。即ち、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する方向である。X方向、Y方向、Z方向それぞれにおいて、右方向、奥方向、上方向を「正方向」と称し、左方向、手前方向、下方向を「負方向」と称することとする。又、以降の説明において、X方向における正方向側を「X+」側と、X方向における負方向側を「X-」側と、Y方向における正方向側を「Y+」側と、Y方向における負方向側を「Y-」側と、Z方向における正方向側を「Z+」側と、Z方向における負方向側を「Z-」側とも称することとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態における無線装置600は、第1導波管210と、第2導波管220と、同軸導波管変換アタッチメント101、102と、2つの部品301、302とを含む。
【0020】
第1導波管210は、第1偏波(図1の例ではX-Y平面に平行な偏波面を有する直線偏波)を伝播する。
【0021】
第2導波管220は、第1偏波と角度が異なる第2偏波(図1の例ではY-Z平面に平行な偏波面を有する直線偏波)を伝播する。第1偏波及び第2偏波は、例えば、直線偏波又は楕円偏波である。又、第2偏波は、例えば、第1偏波と90度の角度差を有する。又、第1導波管210及び第2導波管220は、例えば、矩形導波管又は楕円導波管である(図1の例では矩形導波管)。
【0022】
図1では、図を分かり易くするために、第1導波管210及び第2導波管220の内側面を図示している。第1導波管210及び第2導波管220は、例えば、直交偏波分離器(不図示;第2実施形態を参照)に含まれる。この場合、直交偏波分離器は、入力電波を分離した直交偏波のそれぞれを第1導波管210又は第2導波管220の何れか一方へ出力する。
【0023】
部品301、302は、第1偏波及び第2偏波の伝播方向に垂直な断面が互いに同じ形状及び向きを成す。又、部品301、302はそれぞれ、同軸端子310を有する。部品301、302は、同軸導波管変換アタッチメント101、102に着脱可能に接続される。部品301、302は、例えば、低雑音増幅器である。
【0024】
同軸導波管変換アタッチメント101、102は、互いに同じ形状を有する。同軸導波管変換アタッチメント101、102はそれぞれ、第3導波管104を含む。
【0025】
同軸導波管変換アタッチメント101、102は、第3導波管104の第1導波管210又は第2導波管220側の一端を、第1導波管210と第2導波管220の何れにも着脱可能であるように、第1導波管210又は第2導波管220の何れかに接続させる。着脱機構は、図1では省略されているが、例えば、第3導波管104と、第1導波管210又は第2導波管220を接続するネジである(第2実施形態を参照)。図1では、図を分かり易くするために、第3導波管104と、第1導波管210又は第2導波管220の間に隙間を開けて図示している。
【0026】
第3導波管104は、第1偏波及び第2偏波の何れかを軸対称である同軸ケーブルを伝搬可能な形態との間で変換する。図1では、図を分かり易くするために、第3導波管104の内側面のみを図示している。図1では、第3導波管104は、第1導波管210又は第2導波管220のX-Z平面に平行な断面形状が向きを保ってY方向へ延伸されるように、第1導波管210又は第2導波管220に接続されている。第3導波管104は、例えば、長さ方向にステップ形状の導体を有する同軸導波管変換器である。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態における第3導波管の構成の一例を示す2面図である。図2において、上側は同軸導波管変換アタッチメント102に含まれる第3導波管104の上面図を示し、下側は同軸導波管変換アタッチメント102に含まれる第3導波管104の側面図を示す。図2では、第3導波管104の内部を透視して示している。図2は、第3導波管104と同軸端子310を接続する導体部が、第3導波管104の長さ方向にステップ形状の導体を有する同軸導波管変換器である場合を例示している。第3導波管104は、部品302の同軸端子310(同軸ケーブルの芯線)と第3導波管104の内側面とを電気的に接続する階段状の隔壁(ステップ部106)を有する。図2では、ステップ部106の段数が3段である場合を例示している。第3導波管104の内側の寸法やステップ部106の形状や寸法は、電波の周波数等に応じて変化してよい。図2に示した同軸導波管変換器である第3導波管104は、このような構成によって、第1偏波及び第2偏波の何れかと、軸対称である同軸ケーブルを伝搬可能な形態の間で変換する。長さ方向にステップ形状の導体を有する同軸導波管変換器は、例えば、特開2012-222438号公報に開示されているので、詳細な説明を省略する。
【0028】
再び、図1を参照して説明する。同軸導波管変換アタッチメント101、102は、部品301、302との接続時に、第3導波管104の同軸端子310側の他端が同軸端子310に接続するように、部品301、302に着脱可能である。着脱機構は、図1では省略されているが、例えば、第3導波管104と、部品301、302を接続するネジである(第2実施形態を参照)。より具体的には、例えば、部品301、302は、第3導波管104に対向する面に第1ネジ穴(不図示)を有する。そして、第3導波管104は、部品301、302に対向する面に、第1貫通孔(不図示)、及び第1貫通孔が第1偏波と第2偏波の角度差だけ回転させられた位置に配置された第2貫通孔(不図示)を有する。そして、第3導波管104は、第1貫通孔及び第2貫通孔の何れかを介して第1ネジ穴にネジ止め可能である。あるいは、例えば、部品301、302は、第3導波管104に対向する面に、第1ネジ穴(不図示)、及び第1ネジ穴が第1偏波と第2偏波の角度差だけ回転させられた位置に配置された第2ネジ穴(不図示)を有する。そして、第3導波管104は、部品301、302に対向する面に、第1貫通孔(不図示)を有する。そして、第3導波管104は、第1貫通孔を介して第1ネジ穴及び第2ネジ穴の何れにもネジ止め可能であってよい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態における無線装置600では、同軸導波管変換アタッチメント101、102は、第1偏波又は、第1偏波と角度が異なる第2偏波の何れかを、軸対称である同軸ケーブルを伝搬可能な形態との間で変換する。又、同軸導波管変換アタッチメント101、102は、互いに同じ形状を有し、第3導波管104の第1導波管210又は第2導波管220側の一端を、第1導波管210と第2導波管220の何れにも着脱可能であるように、第1導波管210又は第2導波管220の何れかに接続させる。又、同軸導波管変換アタッチメント101、102は、部品301、302との接続時に第3導波管104の同軸端子310側の他端が、所定の向きに配置された部品301、302が有する同軸端子310に接続するように、部品301、302に着脱可能である。その結果、無線装置600は、ツイスト導波管を必要としない。従って、本実施形態における無線装置600は、電波を偏波毎に処理する装置において、構成要素の多種類化を抑制しながら、偏波の伝播方向に垂直な断面が同じ形状を有する各偏波用の部品を同じ向きに配置できるという効果を奏する。
【0030】
尚、本実施形態では、無線装置600は、ヒートパイプ500を更に含んでもよい。そして、2つの部品301、302はそれぞれ、互いに同じ形状を有し、同じ面においてヒートパイプ500に接してよい。この場合、無線装置600は、部品301、302における放熱が均一になるという効果を奏する。
(第2実施形態)
本発明の第1実施形態を基本とする、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態における無線装置は、無線受信装置であり、例えば、HTS衛星等に搭載される。そして、無線装置に含まれるLNAが安価で高密度に実装される。
【0031】
本実施形態における構成について説明する。
【0032】
図3は、本発明の第2実施形態における無線装置の構成の一例を示す斜視図である。図3では、図を分かり易くするために、構成要素間の接続を取り外した状態を図示している。
【0033】
図3に示すように(後述する図4も参照)、本実施形態における無線装置605は、アンテナフィーダー400と、OMT208と、垂直接続用のLNA391と、水平接続用のLNA392と、同軸導波管変換アタッチメント151、152と、ヒートパイプ500とを含む。
【0034】
OMT208は、垂直接続用の第1導波管218と水平接続用の第2導波管228とを含む。ここで、第1導波管218は、電波の進行方向(図3ではY方向)に垂直な方向(図3ではZ方向)に長い矩形(長方形)の断面を有する。又、第2導波管228は、電波の進行方向(図3ではY方向)について、及び第1導波管218の断面が90度回転された断面を有する。
【0035】
同軸導波管変換アタッチメント151は、第1導波管218が電波の進行方向(図3ではY方向)に延伸された形状の第3導波管104を含む。尚、同軸導波管変換アタッチメント151は、電波の進行方向(図3ではY方向)について90度回転されれば、第2導波管228が電波の進行方向(図3ではY方向)に延伸された形状の導波管である。同軸導波管変換アタッチメント151は、第1導波管218及び第2導波管228の何れにも接続可能である。図3に示した例では、同軸導波管変換アタッチメント151、152は第1開口部103(図4)側に貫通孔110を有し、OMT208はネジ穴230を有する。そして、貫通孔110とネジ穴230の間はネジ(不図示)によって着脱可能に接続される。又、同軸導波管変換アタッチメント151は、LNA391に接続可能であり、更に電波の進行方向(図3ではY方向)に90度回転されることによってLNA392に接続可能である。図3に示した例では、同軸導波管変換アタッチメント151、152は第2開口部105側に貫通孔120を有し、LNA391、392はネジ穴330(図4)を有する。そして、貫通孔120とネジ穴330の間はネジ(不図示)によって着脱可能に接続される。同軸導波管変換アタッチメント152は、同軸導波管変換アタッチメント151と同じ形状を有する。
【0036】
本実施形態における動作について説明する。
【0037】
図4は、本発明の第2実施形態における無線装置の動作を示す斜視図である。図4では、図を分かり易くするために、構成要素間の接続を取り外した状態を図示している。
【0038】
図4に示すように、同軸導波管変換アタッチメント151、152は、電波の進行方向(図4ではY方向)について90度単位で回転させることによって、LNA391とLNA392の何れにも接続可能である。図4に示した例では、同軸導波管変換アタッチメント151、152のY+側の側面は、LNA391又はLNA392のY-側の側面に90度単位で回転させた状態でネジ留め可能である。
【0039】
又、同軸導波管変換アタッチメント151、152は、第1導波管218及び第2導波管228の何れにも接続可能である。その結果、垂直接続用のLNA391と水平接続用のLNA392は、同じ形状を有するならば、電波の進行方向(図4ではY方向)に対する回転について同じ向きに配置可能である。図3に示した例では、同軸導波管変換アタッチメント151、152のY-側の側面は、OMT208のY+側の側面に90度単位で回転させた状態でネジ留め可能である。
【0040】
以上説明したように、本実施形態における無線装置605では、同じ形状を有する同軸導波管変換アタッチメント151、152が、OMT208に対するLNA391、392の垂直接続及び水平接続の違いによる配置の違いを吸収する。ここで、無線装置605では、ツイスト導波管が不要である。これにより、無線装置605では、構成要素の多種類化を抑制しながら、機器の質量及びサイズを抑制することが可能である。
【0041】
又、無線装置605では、LNA391及び392の放熱を1枚の板状のヒートパイプで行う場合に、水平接続用のLNA392と垂直接続用のLNA391が、互いに形状が同じ面でヒートパイプ500に接触する。その結果、無線装置605では、LNA391とLNA392における放熱が均一になる。
【0042】
従って、本実施形態における無線装置605は、電波を偏波毎に処理する装置において、構成要素の多種類化を抑制しながら、同じ形状を有する各偏波用の部品を同じ向きに配置できるという効果を奏する。
【0043】
上述の説明では、無線装置605がLNAを含む場合について説明した。しかしながら、無線装置605が含む機器はLNAに限定されず、一般的なRF(Radio Frequency)機器であってよい。導波管でRF信号が入出力されるRF機器では、通常、同軸導波管変換器を用いて、導波管と同軸ケーブル間が接続される。同軸導波管変換器は、通常、RF機器と一体構造である。垂直偏波及び水平偏波それぞれの信号が処理される場合には、RF機器及び同軸導波管変換器はそれぞれ2台必要である。本実施形態では、同軸導波管変換器を、インライン型で且つ着脱可能なアタッチメント(同軸導波管変換アタッチメント151、152)にすることによって、同一の向きに配置された同一構成の2台のRF機器を用いて両偏波に対応可能である。本実施形態におけるRF機器は、例えば、周波数変換器、固体電力増幅器(SSPA:Solid State Power Amplifier)等であってもよい。
【0044】
以上、本発明を、上述した各実施形態及びその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態及びその変形例に記載した範囲に限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、導波管を用いた電波の処理に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
101、102、151、152 同軸導波管変換アタッチメント
103 第1開口部
104 第3導波管
105 第2開口部
106 ステップ部
110 貫通孔
120 貫通孔
191、192 導波管
208 OMT
210、218 第1導波管
220、228 第2導波管
230 ネジ穴
301、302 部品
381、382、391、392 LNA
310 同軸端子
320 同軸コネクタ
330 ネジ穴
400 アンテナフィーダー
500 ヒートパイプ
600、605 無線装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6