(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】鋼鉄四角下地柱とアルミカバー材の固定構造及び固定方法
(51)【国際特許分類】
E06B 11/02 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
E06B11/02 Q
(21)【出願番号】P 2021051698
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000107985
【氏名又は名称】セイコー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 智裕
(72)【発明者】
【氏名】穂谷 彩
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-360956(JP,A)
【文献】特開平08-218755(JP,A)
【文献】実開昭52-038940(JP,U)
【文献】特開平08-135162(JP,A)
【文献】特開平06-193194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼鉄四角下地柱の周囲を囲むアルミカバー材の建ちを出すための当該鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造であって、
前記鋼鉄四角下地柱の外形状より僅かに大きい四角形状であるアルミカバー材を縦長方向に沿って中央で2分割したとみなして形成される断面が長片とこの
長片の両端から同方向に直角に折れ曲った2つの短片からなる略コの字形の2つの半アルミカバーと、
前記鋼鉄四角下地柱の相
対向する側から前記2つの半アルミカバーを被せて互いの短片の分割端縁が密着するようにして前記2つの半アルミカバーの長片同士を前記鋼鉄四角下地柱及び前記長片を貫通して前記鋼鉄四角下地柱の上下方向の複数個所で前記鋼鉄四角下地柱及び前記長片を締め付け固定するボルトと、
前記2つの半アルミカバーのそれぞれの短片及び長片に螺合してその先端を前記鋼鉄四角下地柱の外周面方向に突出し、前記鋼鉄四角下地柱4つの外周面と前記短片及び長片の間のクリアランスを調整する調整ねじと、を具備する、
前記鋼鉄四角下地柱の周囲を囲むアルミカバー材の建ちを出すための鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造。
【請求項2】
前記鋼
鉄四角下地柱の外周面と前記半アルミカバーの長片の内面との間に
、前記ボルト
に貫通
されるスペーサーを介在させたことを特徴とする請求項1に記載の鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造。
【請求項3】
前記半アルミカバーの短片又は該短片を延長して取付片を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造。
【請求項4】
前記短片又は取付片に構築部材を固定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造。
【請求項5】
前記構築部材が、外壁パネル材を取付けた枠体であることを特徴とする請求項4に記載の鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は地中に立設された鋼鉄四角下地柱とこの鋼鉄四角下地柱に建ちを出して固定するアルミカバーとの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、建造物の玄関先等に門柱などを建造する場合には、地面に立設した鋼鉄製の外形が四角形などからなる下地柱に建ちを出したアルミカバーを取り付けて見栄えを良くするようにしているが、この場合の最も簡単な施工としては、
図7に示されるように、鋼鉄四角下地柱1の上方からやや大きい相似形状のアルミカバー100を上方から被せて部材の中央を貫通したボルト5、ナット5aで締め付け固定して連結した構造のもがある。又、
図8に示されるように、前記構造のボルト連結部の鋼鉄四角下地柱1とアルミカバー100の間に位置するようにスペーサー6を固定して連結したものもある。しかし、前者の場合には、ボルト5をナット5aで締め付けるとアルミカバー100変形してしまい、また、鋼鉄四角下地柱1の建ちに左右されたり或いは鋼鉄四角下地柱1とアルミカバー100の間にクリアランスが生じてガタツキが発生し強度が弱くなる欠点がある。更に、後者の場合には、スペーサー6を鋼鉄四角下地柱1に取付けたことで、クリアランスが少なく鋼鉄四角下地柱1の建ちが出し難くそのために施工が困難で鋼鉄四角下地柱1の建ちに左右されるという欠点がある。
【0003】
このような欠点を是正すべく、特許文献1の従来技術においては、鋼鉄四角下地柱の周囲を覆う柱カバーを縦割りに2分割した柱カバー半体の両端部をそれぞれ取付け金具などの固着具により固着する柱カバーの取付け構造が開示されている。又、特許文献2の従来技術においては、角形鋼管柱からなる構造柱を囲む化粧柱カバーを、対向する一対の断面コ字状の柱カバー分割体で構成し、構造柱の表面の相対抗する2面にカバー取付下地材を取付け、両柱カバー分割体の互いの分割部に噛合継手を形成し、この噛合継手を貫通した固定具をカバー取付下地材にねじ込んで柱カバー分割体を固定した構造が開示されている。そして、柱カバー分割体の内面には中間脚片を突設して鋼鉄四角下地柱に沿わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-97038号公報
【文献】特開平7-292950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1によると、建ちが出ていない鋼鉄四角下地柱の外周囲を縦割りに2分割した柱カバーを、鋼鉄四角下地柱に取付けている取付け金具にそれぞれの端部をねじによって連結固定し建ちを出しただけのものであるから、鋼鉄四角下地柱の装飾的効果はあるものの、取付け金具は強度的には弱いために、柱カバーに重量のある構造部材や外壁材等を固定することができないという問題点がある。特許文献2についても同様に鋼鉄四角下地柱への2つに分割した化粧カバーの取付けは、鋼鉄四角下地柱の外面に固定したカバー取付下地材にそれぞれの分割した化粧カバーの端縁で噛み合って重なり合った個所を固定具で固定し、他の2面については中間脚片で鋼鉄四角下地柱の外周面に当接させるか又は同じように固定具で固定しただけの構造であるので、固定強度が弱くかつ建ちも出し難いという問題点がある。更に、これら2つの特許文献に記載の従来技術は、下鋼鉄四角下地柱の外観を美しく見せるための化粧カバーの取付け構造に関するものであって、化粧カバー自体に他の建材などを固定して荷重がかかることを想定したものではないので、取付け強度を考慮に入れていなく、用途が限られるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものである。即ち、
鋼鉄四角下地柱の周囲を囲むアルミカバー材の建ちを出すための当該鋼鉄四角下地柱への
アルミカバー材の固定構造であって、
前記鋼鉄四角下地柱の外形状より僅かに大きい四角形状であるアルミカバー材を縦長方向に沿って中央で2分割したとみなして形成される断面が長片とこの長片の両端から同方向に直角に折れ曲った2つの短片からなる略コの字形の2つの半アルミカバーと、前記鋼鉄四角下地柱の相対向する側から前記2つの半アルミカバーを被せて互いの短片の分割端縁が密着するようにして前記2つの半アルミカバーの長片同士を前記鋼鉄四角下地柱及び前記長片を貫通して前記鋼鉄四角下地柱の上下方向の複数個所で前記鋼鉄四角下地柱及び前記長片を締め付け固定するボルトと、前記2つの半アルミカバーのそれぞれの短片及び長片に螺合してその先端を前記鋼鉄四角下地柱の外周面方向に突出し、前記鋼鉄四角下地柱4つの外周面と前記短片及び長片の間のクリアランスを調整する調整ねじと、を具備する、前記鋼鉄四角下地柱の周囲を囲むアルミカバー材の建ちを出すための鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造としたことにある。
又、前記鋼鉄四角下地柱の外周面と前記半アルミカバーの長片の内面との間に、前記ボルトに貫通されるスペーサーを介在させたことことにある。
更にまた、前記半アルミカバーの短片又は該短片を延長して取付片を設けたことにある。
更に、前記短片又は取付片に構築部材を固定したことにある。
又、前記構築部材が、外壁パネル材を取付けた枠体であることにある。
【発明の効果】
【0007】
上記したこの発明によると、前記鋼鉄四角下地柱の4面の外周囲を2つの半アルミカバーで囲んで、互いに向かい合っている長辺同士を真ん中にして前記鋼鉄四角下地柱を挟んでボルトで締付固定するので、前記鋼鉄四角下地柱と2つの半アルミカバーは強固に連結される。一方、2つの半アルミカバーの1つの長辺と2つの短辺のそれぞれ上下方向の複数個所には調整ねじが設けられているので、これらの調整ねじを正逆回転させることによって、前記鋼鉄四角下地柱の4つの外面と2つの半アルミカバーの長辺及び短辺のクリアランスを変えることができることで、前記鋼鉄四角下地柱に建ちが出ていない場合であっても、アルミカバー材には建ちを出すことができる。しかも、それぞれの長辺と短辺の上下方向の複数個所において調整ねじが設けられているので、よりきめ細かく建ちの調整が出来る。このような調整ねじの調整によってアルミカバー材の建ちが出てから、前記のボルトをナットで本締めして確固に連結することで、鋼鉄四角下地柱へのアルミカバー材の固定構造が完了するので、全体を通しての作業も簡単である。
【0008】
前記鋼鉄四角下地柱の外周面と前記半アルミカバーの長片の内面との間に前記ボルトを貫通するスペーサーを介在させると、鋼鉄四角下地柱の外周面と前記半アルミカバーの長片の内面との間のクリアランスが確保できるために、建ちの調整範囲が大きくなり、鋼鉄四角下地柱の傾き角度が大きい場合であっても、アルミカバー材に建ちを出すことができる。
【0009】
半アルミカバーの短片又は該短片を延長して取付片を設けた場合には、この短辺や取付片は建ちが出されているので地面に対して垂直であることから、装飾物、構造部材などを連結固定しても見栄えが損なわれない。
【0010】
前記構造部材が、外壁パネル材を取付けた枠体である場合には、鋼鉄四角下地柱の建ちが出ていない時であっても、垂直方向に外壁パネルを容易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の要部の実施形態の上方部分の分解斜視図
【
図4】門柱へ本発明を応用した場合の具体的実施形態の施工図
【
図8】他の従来技術の分解斜視図と組立後平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の鋼鉄四角形下地柱とアルミカバー材の固定構造について、
図1乃至
図6に基づいて説明する。鋼鉄四角下地柱1は、鋼鉄製の断面が正方形の空洞の角柱であって装飾物や構造部材を地面に固定するために用いる構造部材であり、地盤に対して垂直に施工されなければならないが、即ち建ちを出しておかなければならないが、実際は施工の過程で建ちが出ていないことが多く、そのためにこの鋼鉄四角下地柱1を立て直すことなく建ちを出すために、鋼鉄四角下地柱1の周囲を囲むカバー材であるアルミカバー材2に建ちを出してこのアルミカバー材2に装飾を施したり、構造部材としての役目を果たすようにしている。
【0013】
図1に示すように、下端部を地盤にコンクリートで固めて固定された鋼鉄四角下地柱1の地上部分に、該鋼鉄四角下地材1の外形状より僅かに大きい筒状四角形柱を縦方向に沿って中央で2分割したのと同じ2つの断面が略コの字形の半アルミカバー3を有している。この分割は中央から外れて2つに分割されていてもよい。前記半アルミカバー3は、前記鋼鉄四角下地柱1の相対向する2つの外周面に被せる長辺31とこの長片31の両端を同方向に直角に折り曲げて前記2つの外周面に隣接する他の2つの外周面に面する2つの短片32を有している。更に、この半アルミカバー3の短片32の延長上には、必要に応じてこの短片32の長さと同じか少し短い取付片33を具備しているが、取付片33の長さは限定されるものではない。又、短辺32に任意の角度で固定してもよく、このように設けた取付片33に短辺32と同様に他の部材を取付け固定して取付けた構造部材等に建ちを出すことが出来るようにしている。長辺31の長さは鋼鉄四角下地柱1の長さとほぼ同じであり、この長片31の両端の短片32の間に鋼鉄四角下地柱1が挿入できるようにしている。このような長辺31、短辺32及び取付片33により、半アルミカバー3の縦方向の曲げ強度が強いものとなっている。
【0014】
前記半アルミカバー3は、
図1~
図3からも判るように、鋼鉄四角下地柱1の相対向する両側方から被せるようにして固定して使用する。鋼鉄四角下地柱1への半アルミカバー3の固定は、相対向する長辺31の中央位置と鋼鉄四角下地柱1に予め形成しているボルト孔4に一方の長辺31のボルト孔4から差し込んだボルト5の他方の長辺31から突出したネジにナット5aで締付固定することによって行う。これらのボルト5による締付固定位置は鋼鉄四角下地柱1及び半アルミカバー3の縦方向の複数個所好ましくは上中下位置の3カ所で行えるようにそれぞれにボルト孔4が設けられている。鋼鉄四角下地柱1の外周面と半アルミカバー3の長辺31の内面の間にスペーサ6を介在させて建ち調整をし易くするためのクリアランスを設けてことが望ましい。これによって、2つの半アルミカバー3の端縁同士が鋼鉄四角下地柱1の相対向する外面の中央で密着して鋼鉄四角下地柱1の全外周囲がアルミカバー材2によってカバーされる。
【0015】
前記長辺31の鋼鉄四角下地柱1へのボルト5の固定位置のやや上方位置には、
図1によく表れているように、その先端を鋼鉄四角下地柱1の外周面に向けて小ねじなどからなる調整ねじ7が各半アルミカバー3のそれぞれの長辺31と短辺32に螺合固定されている。この調整ねじ7の緩め又は締付によって調整ねじ7の鋼鉄四角下地柱1の外周面と長辺31及び短辺32の内面との間隔距離が一周で6カ所において自在に調整できる。調整ねじ7の取付位置は特に限定されるものではないが、長片31、短片32の幅方向の中央位置で、鋼鉄四角下地柱1の縦方向の上中下の3か所で一周の同じ高さ位置で調整できるようにするのが望ましい。このようにすると、一周で6か所を上中下の3か所で合計18か所において調整ねじ7を鋼鉄四角下地柱1の四方から緩締して、不陸を調整し、ガタつきを止める。これにより、建ちの調整が行えることになり、精度が向上できる。しかし、上下方向の3か所に限定されることなく、その設定は求める建ちの精度如何によって変更可能である。この調整ねじ7の緩締によるクリアランスの調整時には、前記ボルト5のナット5aによる締付を緩めておき、半アルミカバー3が鋼鉄四角下地柱1の外周面に対して離接近自在として置いて2つの半アルミカバー3からなるアルミカバー材2としての建ちが出たことを確認してからナット5aによる本締めをするようにする。
【0016】
次に、上記のようにして建ちの出ていない鋼鉄四角下地柱1であってもその外周囲に建ちが出るように2つの半アルミカバー3からなるアルミカバー材2が取り付けられるが、この具体的施工例について
図4乃至
図6に基づいて説明する。図においては、住宅の玄関先の
図6に示す門柱10を建設する場合の施工例を示す。門柱10の具体的実施態様は、宅配BOX設置用の開口部11を左上方に有するものであって、表面部材としてタイル模様等の壁部材12が設けられ、一つの門柱10には、門柱10の内部の両端と中央に合計3本の鋼鉄四角下地柱1が骨格として地盤にコンクリートで下端部分が固められて立設している。この門柱10は、
図5で示すで左端の鋼鉄四角下地柱1にはユニット端部13と中間ユニット14の一方端が連結され、同様に真ん中の鋼鉄四角下地柱1には前記中間ユニット14の他方端と第2中間ユニット17の一方端が連結され、右端の鋼鉄四角下地柱1には第2中間ユニット17の他方端ともう一つの第2ユニット端18が連結されている。
【0017】
図4には左端の鋼鉄四角下地柱1を介して,一端側の細長いユニット端部13と連結固定される宅配BOX取付用の開口部11を有する中間ユニット14の一端部との接合部分が斜視図として示されている。これらユニット端部13及び中間ユニット14の鋼鉄四角下地柱1を介しての接合端部側には、夫々半アルミカバー3の短辺32側が向くように対になって配置され、これら向い合った短辺32の間に鋼鉄四角下地柱1が収納される。又、夫々の半アルミカバー3の取付片33にはユニット端部13の枠体15、中間ユニット14の枠体16が向かい合って当接するように固定され、更に、半アルミカバー3を挟むようにして嵌め込み固定されている。前記枠体15は、ユニット端部13側においては短辺32より凹んだ側に位置し、枠体16は中間ユニット14側においては短辺32より突出した側に位置しているので、2つの半アルミカバー3が鋼鉄四角下地柱1を相対向する両側から挟んで外周囲をカバーした際には、枠体15と枠体16とが嵌め合って接合されるようになっており、この時には、鋼鉄四角下地柱1は枠体14、15の内側に隠れて外部からは見えなくなっている。以上のことから、この実施形態では、半アルミカバー3は装飾用ではなく、門柱10の構造材としての作用を有している。
【0018】
次に、
図4に示されるように、ユニット端部13側の枠体15の間から、半アルミユニット3の長辺31のボルト孔4から鋼鉄製四角形下地柱1及び対となっているもう一つの半アルミカバー3の長辺31のボルト孔4を突き抜ける迄ボルト5を差し込んでから、ナット5aで緩く仮留めしてゆく。同様に残りの中、下方の2箇所の重なり合ったそれぞれのボルト孔4にもボルト5を差し込んでナット5aで緩く仮留めして行く。そして、2つの半アルミカバー3の建ちを出してボルト5の長辺31の入口及び出口の上方位置にある2つの調整ねじ7、同高さにある4つの短辺32の調整ねじ7を締付け固定して行く。このようにして、ほぼ同じ高さの一回り6個の調整ねじ7を締付固定してから、他の高さ位置にある調整ねじ7を順次又は並行して締付固定し行き、全ての調整が終わっ建ちが出た段階でボルト5をナット5aで本締めして取付を完了する。この段階で、なおアルミカバー材2に建ちが出ていない場合には、部分的に調整ねじ7やナット5aを緩めるなどして調整を図る。
【0019】
ユニット端部13と中間ユニット14とが左端の鋼鉄四角形下地柱1の両側で建ちを出した状態で固定されると、次には、この中間ユニット14の反対側の端部と中央位置にある2つ目の鋼鉄四角下地柱1との建ちを出して連結固定を行うが、この時は、中間ユニット14の反対側の端部ともう一つの前記第2中間ユニット17の一端側とを鋼鉄四角下地柱1を挟んで連結固定する。この場合には、第2中間ユニット17を持ち上げて上方から真ん中と右端の鋼鉄四角下地柱1の間にから挿入してから、真ん中の鋼鉄四角下地柱1を挟んで中間ユニット14と連結固定する。そして、右端の鋼鉄四角下地柱1を挟むようにしてもう一つの第2ユニット端部18と連結固定する。これらの鋼鉄四角下地柱1を挟むようにしての連結固定は、前記したのと同様に、夫々の調整ねじ7及びボルト5、ナット5aを用いて建ちを出すように調整しながら施工するだけでよい。最後の仕上げとして、枠体15,16の上方に天板部材219を固定して、門柱10の上面を塞いでおく。
【0020】
これによって、3つの鋼鉄四角下地柱1全ての建ちが出ていない時であっても、鋼鉄四角下地柱1を挟む2つの半アルミカバー3からなるアルミカバー材2の建ちが出る。しかも、この建ちが出ているアルミカバー材2の一部部分である短片32や取付片33、そしてこれに固定されている枠体15,16に連結固定される壁パネルなどの壁部材12も建ちが出て、人の目には真直ぐに建造された建造物として見栄えが良くなるのである。しかも、アルミカバー材2は鋼鉄四角下地柱1にボルト5、ナット5aにより確固に固定されているので、強風や衝撃に対しても十分に耐え得ることができる。
【0021】
以上の実施形態においては、下地柱として中空上の鋼鉄製の四角形下地柱を用いたが、これに代えて鋼鉄製円柱下地柱、多角形下地柱などをであっても良い。これらの形状の場合にも、それら下地柱より若干大きい相似形中空状の管体を縦方向に2分割したものを用いて、同様の手段でカバー材に建ちを出すことが可能である。又、この実施形態では、建ちの出たアルミカバー材1を構造仕上げ部材である壁部材12によって囲まれて隠れてしまっているが、単なる装飾物としての利用の場合には、建ちに出たアルミカバー材2に装飾を施して用いた場合にも有効に活用することが出来る。更に又、この実施形態においては、カバー材として、軽量で加工し易く適宜の硬度のある金属であるアルミを使用した例について述べたが、銅、真鍮、ステンレス鋼などの金属であっても良い。更には、単に装飾的に使用する場合には、合成樹脂製の材料を使用することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、建ちの出ていない下地柱の外周を覆って、その覆ったカバー部材の建ちを出すようにし、しかもそのカバー部材に荷重が掛かっても耐え得る構造としたので、門柱のみならず多くの建造物の色々な種類の外構物にも応用し適用できる。従って、応用範囲が広く、建築、建設業界における新工法としての活用が期待される。
【符号の説明】
【0023】
1 鋼鉄製四角形下地柱
2 アルミカバー材
3 半アルミカバー
31 長辺
32 短辺
33 取付片
4 ボルト孔
5 ボルト
6 スペーサー
7 調整ねじ
10 門柱
11 開口部
12 壁部材
13 ユニット端部
14 中間ユニット
15 枠体(ユニット端部)
16 枠体(中間ユニット)
17 第2中間ユニット
18 第2ユニット端部
19 天板部材