(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】配管接続装置
(51)【国際特許分類】
F16L 21/06 20060101AFI20250107BHJP
F16L 23/08 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F16L21/06
F16L23/08
(21)【出願番号】P 2021065649
(22)【出願日】2021-04-08
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本継手株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】今久保 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓博
(72)【発明者】
【氏名】唐冶谷 繁則
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-304060(JP,A)
【文献】特開2000-035180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/06
F16L 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続すべき合成樹脂管の対の間のいずれかの箇所である接続箇所の外周面をシールするためのシールリングと、
前記シールリングの外周面を挟着する複数のハウジングと、
前記複数のハウジングの端部間を締め付けることにより、前記シールリングを前記接続箇所に圧接する締付手段と備える配管接続装置であって、
前記接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち、前記複数のハウジングの端部間が前記締付手段によって締め付けられることに伴い前記複数のハウジングのいずれかが接触し得る前記箇所を被覆するように配置される保護体をさらに備え
、
前記接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち前記複数のハウジングのいずれかが接触し得る前記箇所に合成樹脂製の流路が形成されており、
前記合成樹脂製の流路が形成されている前記箇所と前記保護体との間に隙間が形成されていることを特徴とする配管接続装置。
【請求項2】
前記保護体が、
外嵌筒状部と、
前記外嵌筒状部のうち前記接続箇所に対向する一端部の位置から見た前記複数のハウジングのいずれかが接触し得る前記箇所の向こう側の外周面から突出し前記外嵌筒状部と一体である環状突出部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の配管接続装置。
【請求項3】
前記環状突出部が、前記外嵌筒状部の前記外周面のうち前記一端部とは反対側である他端部よりも前記一端部に近い位置において突出していることを特徴とする請求項2に記載の配管接続装置。
【請求項4】
前記保護体が、前記外嵌筒状部のうち前記環状突出部の位置から見た他端部側の外周面から突出し前記外嵌筒状部と一体である他端側突出部をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の配管接続装置。
【請求項5】
前記配管接続装置が、前記接続箇所から前記接続箇所の前記隣を経て前記合成樹脂管の対の一方にわたって配置され、かつ、前記合成樹脂管の対の前記一方の端に融着されるための融着用筒状体をさらに備え、
前記融着用筒状体が、
前記合成樹脂管の対の前記一方の内部に連通する空間を形成する空間形成部と、
前記空間形成部の外周のうち前記接続箇所側の端部から突出し前記空間形成部と一体であり前記シールリングが直接密着する密着環状部と、
前記保護体を挟んで前記密着環状部と対向する面を形成する対向面形成部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の配管接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気融着管継手を開示する。この電気融着管継手は、熱可塑性樹脂製の管継手本体と、加熱線と、インピーダンス素子とを備える。加熱線は、管継手本体の内部又は内表面に設けられる。インピーダンス素子は加熱線の両端部に接続される。
【0003】
特許文献2は、継手部を開示する。この継手部は、対向する二つのシモクと、ガスケットと、フランジとを備える。これら二つのシモクには合成樹脂管が1対1で接続される。ガスケットは二つのシモクの間に挟まれる。フランジは二つのシモクを締め付ける。
【0004】
特許文献3は、配管接続装置を開示する。この配管接続装置は、建造物等に配管された上下水道配管等を接続するものである。この配管接続装置は、シールリングと、ハウジング型管継手と、係止突条と、締付手段とを備える。シールリングは、互いに接続すべき管の接続端部外周面をシールする。ハウジング型管継手は、環状体を円周方向に分割することにより形成される。ハウジング型管継手は、複数のハウジングにより構成される。それら複数のハウジングは、シールリングの外周面を挟着する。係止突条は、管の接続側端部外周面に環状に突設される。係止突条は、ハウジングの内周側開口縁に内側より係合することにより、ハウジングより管が抜けるのを防止する。締付手段は、ハウジングの端部間を締め付けることにより、シールリングを管の接続端部外周面に圧接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-166325号公報
【文献】実願平1-116068号(実開平3-55986号)のCD-ROM
【文献】特開2020-16246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電気融着管継手には、融着に要する電力が多いことと融着後の養生のための時間の長さとが施工上の制約になりやすいという問題点がある。
【0007】
特許文献2に開示された継手部は、特許文献1に開示された電気融着管継手の問題点を解決できる。しかしながら、特許文献2に開示された継手部には、ガスケットによる密封機能が低下しやすいという問題点がある。
【0008】
特許文献3に開示された配管接続装置は、特許文献2に開示された継手部の問題点を解決できる。しかしながら、特許文献3に開示された配管接続装置には、管の素材が合成樹脂であるときその管内に湯が流れることによってその管が膨張しかつ変形し易くなると、その管の接続端部付近が破損する恐れが生じるという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、合成樹脂管の接続端部付近が破損する恐れを低減できる配管接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図面に基づいて本発明の配管接続装置が説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0011】
上述された目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、配管接続装置10は、シールリング20と、複数のハウジング22,22と、締付手段24とを備える。シールリング20は、接続箇所の外周面をシールするためのものである。接続箇所は、互いに接続すべき合成樹脂管200,200の対の間のいずれかの箇所である。複数のハウジング22,22は、シールリング20の外周面を挟着する。締付手段24は、複数のハウジング22,22の端部間を締め付けることにより、シールリング20を接続箇所に圧接する。配管接続装置10が、保護体62をさらに備える。保護体62は、接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち、複数のハウジング22,22の端部間が締付手段24によって締め付けられることに伴い複数のハウジング22,22のいずれかが接触し得る箇所102を被覆するように配置される。
【0012】
保護体62は、接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち次に述べられる箇所102に配置される。その箇所は、複数のハウジング22,22の端部間が締付手段24によって締め付けられることに伴い複数のハウジング22,22のいずれかが接触し得る箇所である。保護体62は、その箇所102を被覆するように配置される。これにより、合成樹脂管200内に湯が流れることによってその合成樹脂管200が膨張しかつ変形し易くなっても、複数のハウジング22,22のいずれかが合成樹脂管200の接続端部付近を破壊する恐れは低減される。
【0013】
また、上述された保護体62が、外嵌筒状部80と、環状突出部82とを有していることが望ましい。環状突出部82は、外嵌筒状部80のうち接続箇所に対向する一端部100の位置から見た複数のハウジング22,22のいずれかかが接触し得る箇所102の向こう側の外周面から突出する。環状突出部82は、外嵌筒状部80と一体である。
【0014】
環状突出部82は、外嵌筒状部80のうち接続箇所に対向する一端部100の位置から見た複数のハウジング22,22のいずれかかが接触し得る箇所102の向こう側の外周面から突出する。環状突出部82は、外嵌筒状部80と一体である。これにより、複数のハウジング22,22がシールリング20の外周面を挟着するに伴って複数のハウジング22,22のいずれかかが外嵌筒状部80に接触しても、環状突出部82によって補強された外嵌筒状部80は変形し難くなる。その結果、合成樹脂管200の接続端部付近が破損する恐れをより低減できる。
【0015】
もしくは、上述された環状突出部82が、他端部104よりも一端部100に近い位置において突出していることが望ましい。他端部104は、外嵌筒状部80の外周面のうち一端部100とは反対側である。この場合、環状突出部82がハウジング22に近くなるため、例え複数のハウジング22,22のいずれかかが外嵌筒状部80に接触しても、外嵌筒状部80がより変形し難くなる。その結果、合成樹脂管200の接続端部付近が破損する恐れをより低減できる。
【0016】
もしくは、上述された保護体62が、他端側突出部86をさらに有していることが望ましい。他端側突出部86は、外嵌筒状部80のうち環状突出部82の位置から見た他端部104側の外周面から突出している。他端側突出部86は、外嵌筒状部80と一体である。この場合、環状突出部82と他端側突出部86との間で周知の固定具により配管接続装置10を固定しても、環状突出部82と他端側突出部86とで補強された外嵌筒状部80は変形し難くなる。その結果、配管接続装置10が固定された際にこれ自体が破損する恐れを低減できる。
【0017】
また、上述された配管接続装置10が融着用筒状体60をさらに備えていることが望ましい。融着用筒状体60は、接続箇所から接続箇所の隣を経て合成樹脂管200,200の対の一方にわたって配置される。融着用筒状体60は、合成樹脂管200の対の一方の端に融着されるためのものである。この場合、融着用筒状体60が、空間形成部120と、密着環状部122と、対向面形成部124とを有していることが望ましい。空間形成部120は、合成樹脂管200,200の対の一方の内部に連通する空間を形成する。密着環状部122は、空間形成部120のうち接続箇所側の端部から突出する。密着環状部122は、空間形成部120と一体である。密着環状部122には、シールリング20が直接密着する。対向面形成部124は、保護体62を挟んで密着環状部122と対向する面を形成する。
【0018】
密着環状部122は、空間形成部120のうち接続箇所側の端部から突出する。密着環状部122は、空間形成部120と一体である。密着環状部122には、シールリング20が直接密着する。対向面形成部124は、保護体62を挟んで密着環状部122と対向する面を形成する。この場合、保護体62は密着環状部122と対向面形成部124との間に挟まれることとなる。これにより、保護体62は融着用筒状体60から抜け落ち難くなる。その結果、保護体62が紛失する恐れを低減できる。
【0019】
また、上述された接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち複数のハウジング22,22のいずれかが接触し得る箇所102に合成樹脂製の流路が形成されている。この場合、合成樹脂製の流路が形成されているその箇所と保護体62との間に隙間130が形成されている。この場合、合成樹脂管200内を流れた湯がその流路内に流れ込みのその流路が膨張しかつ変形し易くなったときに保護体62が融着用筒状体60の外周面に食い込む恐れは低くなる。その結果、合成樹脂管200の接続端部付近が破損する恐れをより低減できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、合成樹脂管の接続端部付近が破損する恐れを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる配管接続装置の全体図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかる配管接続装置の内部構造が示される図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかるシモクの内部構造が示される図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかる融着用筒状体の全体図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる保護体の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0023】
[配管接続装置の構成]
図1は、本実施形態にかかる配管接続装置10の全体図である。
図2は、本実施形態にかかる配管接続装置10の内部構造が示される図である。
図2において、本実施形態にかかる配管接続装置10には2本の合成樹脂管200,200が接続されている。
図2において、配管接続装置10の一部は切り欠かれている。以下、
図1および
図2に基づき、本実施形態にかかる配管接続装置10の構成が説明される。
【0024】
本実施形態にかかる配管接続装置10は、合成樹脂管200,200の対の接続に用いられる。
図1から明らかなように、本実施形態にかかる配管接続装置10は、Uボルト250その他の周知の固定具によって固定可能である。本実施形態にかかる配管接続装置10は、シールリング20と、ハウジング22,22の対と、締付手段24の対と、シモク26,26の対とを備える。
【0025】
シールリング20は、接続箇所をシールするためのものである。本実施形態の場合、接続箇所は、シモク26,26の対が対向して接している箇所である。これにより、互いに接続すべき合成樹脂管200,200の対の間がシールリング20によってシールされることとなる。
【0026】
ハウジング22,22の対は、シールリング20を固定するために用いられる。本実施形態の場合、これらハウジング22,22の対は、シールリング20の外周面を挟着する。ハウジング22の構成は周知のものと同一である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0027】
締付手段24は、ハウジング22,22の端部間を締め付けることにより、シールリング20を接続箇所に圧接する。本実施形態の場合、締付手段24は、周知のボルトとナットにより実現される。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0028】
シモク26は、合成樹脂管200,200の対の一方と他方とを互いに接続するための部材である。シモク26,26の対は、合成樹脂管200,200の対へ1対1で接続される。
【0029】
図3は、本実施形態にかかるシモク26の内部構造が示される図である。以下、
図1乃至
図3に基づき、本実施形態にかかるシモク26の構成が説明される。
図3から明らかなように、本実施形態にかかるシモク26は融着用筒状体60と保護体62とを有している。
【0030】
融着用筒状体60は、合成樹脂管200の端に融着されるためのものである。また、本実施形態の場合、合成樹脂管200の先端は融着用筒状体60の中に挿入される。その状態のまま、合成樹脂管200の先端部の外周面は融着用筒状体60の内周面に融着される。これにより、シモク26の一方の融着用筒状体60は、接続箇所から接続箇所の隣を経て合成樹脂管200,200の対の一方にわたって配置されることとなる。また、融着用筒状体60は、合成樹脂管200の内部を流れる湯その他の流体が流れる流路を形成することとなる。また、その流路は、接続箇所の隣のいずれかの箇所のうち、複数のハウジング22,22のいずれかの箇所(本実施形態の場合であれば
図2に示される内周側開口縁170)が接触し得る箇所(本実施形態の場合であれば後述される接触想定箇所102)に配置されることとなる。シモク26の他方の融着用筒状体60は、接続箇所から接続箇所の隣を経て合成樹脂管200,200の対の他方にわたって配置されることとなる。本実施形態の場合、融着用筒状体60の素材は合成樹脂管200の素材と同一である。これにより、融着用筒状体60の素材は合成樹脂管200の端に融着可能な合成樹脂となっている。その結果、融着用筒状体60は合成樹脂製の流路を形成することとなる。
【0031】
保護体62は、融着用筒状体60の外周に嵌められる。保護体62は、融着用筒状体60のうち後述される接触想定箇所102を被覆するように配置される。本実施形態の場合、保護体62の素材は金属である。
【0032】
また、
図3から明らかなように、融着用筒状体60の外周面のうち保護体62が配置されている箇所とその保護体62との間には隙間130が形成されている。
【0033】
図4は、本実施形態にかかる融着用筒状体60の全体図である。
図4において、融着用筒状体60の一部は切り欠かれている。以下、
図4に基づき、本実施形態にかかる融着用筒状体60の構成が説明される。本実施形態の場合、融着用筒状体60が、空間形成部120と、密着環状部122と、対向面形成部124と、管端収容部126とを有している。
【0034】
空間形成部120は、合成樹脂管200の内部に連通する円柱状の空間を形成する。本実施形態の場合、空間形成部120が形成する空間の直径は、合成樹脂管200の内径と同一である。
【0035】
密着環状部122は、空間形成部120のうち接続箇所側の端部から突出する。本実施形態の場合、密着環状部122は空間形成部120と一体である。本実施形態の場合、密着環状部122には、シールリング20が直接密着する。シールリング20は、互いに接している状態である融着用筒状体60,60の対の外周面に密着する。これにより、上述された接続箇所がシールされることとなる。
【0036】
対向面形成部124は、保護体62を挟んで密着環状部122と対向する面を形成する。これにより、保護体62は密着環状部122とこれに対向する面との間に挟まれることとなる。
【0037】
管端収容部126は、合成樹脂管200が収容される空間を形成する。本実施形態の場合、管端収容部126が形成する空間の直径は、合成樹脂管200の外径より小さい。これは、合成樹脂管200の先端をシモク26の融着用筒状体60内に挿入する際、合成樹脂管200の先端の外周面を予め溶融させるためである。そのため、合成樹脂管200の外径は、溶融することが想定されている層の厚さの分だけ管端収容部126が形成する空間の直径より大きくなっている。
【0038】
図5は、本実施形態にかかる保護体62の全体図である。
図5において、保護体62の一部は切り欠かれている。以下、
図5に基づき、本実施形態にかかる保護体62の構成が説明される。本実施形態の場合、保護体62が、外嵌筒状部80と、環状突出部82と、一端側突出部84と、他端側突出部86とを有している。
【0039】
外嵌筒状部80は、環状突出部82の基部となる筒状の部分である。外嵌筒状部80のうち接続箇所に対向する端部が一端部100である。外嵌筒状部80の外周面のうち次に述べられる箇所が接触想定箇所102である。その箇所は、複数のハウジング22,22のいずれかの箇所(本実施形態の場合であれば
図2に示される内周側開口縁170)が接触し得る箇所である。外嵌筒状部80のうち一端部100とは反対側の端部が他端部104である。
【0040】
環状突出部82は、外嵌筒状部80のうち一端部100の位置から見て接触想定箇所102の向こう側の外周面から突出する。本実施形態の場合、環状突出部82は、外嵌筒状部80の外周面のうちハウジング22の内周側開口縁170と隣り合う位置において突出している。その結果、環状突出部82の位置は他端部104よりも一端部100に近い。本実施形態の場合、環状突出部82の形状は円環状である。
【0041】
一端側突出部84は、外嵌筒状部80の外周面のうち一端部100の位置から突出している。本実施形態の場合、一端側突出部84の形状も円環状である。
【0042】
他端側突出部86は、外嵌筒状部80の外周面のうち他端部104の位置から突出している。これにより、他端側突出部86は、環状突出部82の位置から見た他端部104側の位置から突出していることとなる。本実施形態の場合、他端側突出部86の形状も円環状である。
【0043】
[配管接続装置の製造方法]
本実施形態にかかる配管接続装置10の製造方法は以下の通りである。まず、製造者は、シールリング20と、ハウジング22,22の対と、締付手段24と、保護体62とを周知の方法で製造する。これらが製造されると、製造者は、保護体62を図示されない金型に収容する。この金型は融着用筒状体60を製造するための金型である。保護体62がその金型に収容されると、製造者は、その金型に合成樹脂を注入する。注入された合成樹脂が固化すると、製造者はその金型からシモク26を取り出す。すなわち、本実施形態にかかるシモク26はインサート成形により製造される。そのインサート成形のためのより具体的な手順は周知である。したがってその詳細な説明は繰り返されない。シモク26,26の対が製造されると、製造者は、シールリング20と、ハウジング22,22の対と、締付手段24と、シモク26,26の対とを組み立てる。これにより、本実施形態にかかる配管接続装置10が完成する。
【0044】
[配管接続装置の使用方法]
本実施形態にかかる配管接続装置10の使用方法は以下の通りである。予め、作業者は、合成樹脂管200,200の対の一方とシモク26,26の対の一方の融着用筒状体60とを接続し、かつ、合成樹脂管200,200の対の他方とシモク26,26の対の他方の融着用筒状体60とを接続しておく。そのために、まず、作業者は、合成樹脂管200の先端の外周面を周知の方法により予め溶融させた上で、その合成樹脂管200の先端をシモク26の融着用筒状体60内に挿入する。合成樹脂管200の先端の溶融した外周面が固化することで、その合成樹脂管200と融着用筒状体60とが融着する。次に、作業者は、シモク26,26の対の融着用筒状体60同士を突き合わせ、それらの密着環状部122の外周面にシールリング20を密着させる。シールリング20が密着すると、作業者は、ハウジング22,22の対をそのシールリング20に被せる。ハウジング22,22の対がシールリング20に被せられると、作業者は、締付手段24によりハウジング22,22の端部間を締め付ける。これにより、本実施形態にかかる配管接続装置10によって合成樹脂管200,200の対が互いに接続される。
【0045】
[本実施形態にかかる効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる配管接続装置10において、保護体62は、融着用筒状体60の外周面のうち接触想定箇所102に嵌められる。保護体62は、接触想定箇所102を被覆するように嵌められる。これにより、融着用筒状体60内に湯が流れることによってその融着用筒状体60が膨張しかつ変形し易くなっても、複数のハウジング22,22のいずれかが融着用筒状体60を破壊する恐れは低減される。
【0046】
また、本実施形態にかかる配管接続装置10の場合、環状突出部82は、外嵌筒状部80のうち接触想定箇所102の向こう側の外周面から突出する。環状突出部82は、外嵌筒状部80と一体である。これにより、複数のハウジング22,22がシールリング20の外周面を挟着するに伴って複数のハウジング22,22のいずれかかが外嵌筒状部80に接触しても、環状突出部82によって補強された外嵌筒状部80は変形し難くなる。その結果、融着用筒状体60が破損する恐れはより低減される。
【0047】
しかも、本実施形態にかかる配管接続装置10の場合、環状突出部82がハウジング22に近くなるため、例え複数のハウジング22,22のいずれかかが外嵌筒状部80に接触しても、外嵌筒状部80がより変形し難くなる。その結果、融着用筒状体60が破損する恐れはより低減される。
【0048】
しかも、本実施形態にかかる配管接続装置10の場合、環状突出部82と他端側突出部86との間で周知の固定具により配管接続装置10を固定しても、環状突出部82と他端側突出部86とで補強された外嵌筒状部80は変形し難くなる。その結果、配管接続装置10が固定された際にこれ自体が破損する恐れは低減される。
【0049】
また、本実施形態にかかる配管接続装置10の場合、融着用筒状体60は予め合成樹脂管200に接続しておくことが可能である。その結果、融着用筒状体60を合成樹脂管200に接続することが施工上の制約になる可能性は低減される。
【0050】
しかも、本実施形態にかかる配管接続装置10の場合、保護体62は密着環状部122と対向面形成部124との間に挟まれることとなる。これにより、保護体62は融着用筒状体60から抜け落ち難くなる。その結果、保護体62を紛失する恐れは低減される。
【0051】
[変形例]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述された実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、上述された実施形態に対して本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更がなされ得る。
【0052】
例えば、融着用筒状体60には対向面形成部124が形成されていなくてもよい。
【0053】
また、シールリング20によってシールされる具体的な箇所は上述されたものに限定されない。その箇所は、互いに接続すべき合成樹脂管200,200の対の間のいずれかの箇所であればよい。したがって、合成樹脂管200,200の対の端部同士が直接シールリング20によってシールされてもよい。この場合、保護体62,62の対は合成樹脂管200,200の対に1対1で嵌められることとなる。
【符号の説明】
【0054】
10…配管接続装置
20…シールリング
22…ハウジング
24…締付手段
26…シモク
60…融着用筒状体
62…保護体
80…外嵌筒状部
82…環状突出部
84…一端側突出部
86…他端側突出部
100…一端部
102…接触想定箇所
104…他端部
120…空間形成部
122…密着環状部
124…対向面形成部
126…管端収容部
130…隙間
170…内周側開口縁
200…合成樹脂管
250…Uボルト