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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】建設機械の表示装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20250107BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E02F9/26 C
B60R11/02 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021104316
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003247
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2024-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 淳宏
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140551(JP,A)
【文献】特開2019-173363(JP,A)
【文献】特開2003-323869(JP,A)
【文献】特開2015-217937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0067595(US,A1)
【文献】特開2017-108429(JP,A)
【文献】特開2014-136943(JP,A)
【文献】特開2012-096777(JP,A)
【文献】特開2019-004483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
B60R 11/02
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
E02F 9/24
E02D 7/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の運転室内に設置され、運転操作を行う運転者に向けて前記建設機械の運転状態を表示する運転者側表示部と、該運転者側表示部と同じ運転室内の窓際に設置され、前記建設機械の周囲で作業に従事する作業者に向けて前記運転者側表示部の表示と同じ表示を行う作業者側表示部とを備えている表示装置において、
前記作業者側表示部は、運転操作レバーの前方に設けられた取付ブラケットと、該取付ブラケットにヒンジを介して連結されたクレードルと、該クレードルに着脱自在に装着された携帯情報端末とを有し、
前記クレードルは、携帯情報端末装着面を前記携帯情報端末の背面と対面させてなる装着状態を作り、前記ヒンジを回動中心として、前記携帯情報端末が前記運転操作レバーの移動線上に進入した上向きの着脱位置と、前記移動線上から退出した下向きの使用位置とを取り得る上下方向の回動域を有していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ヒンジは、前記着脱位置から前記使用位置へと向かう前記携帯情報端末をその自重の作用で回動させる一方、前記使用位置から前記着脱位置へと向かう逆方向の回動に対しては抵抗トルクを付与するワンウェイトルクヒンジであり、
前記取付ブラケット及び前記クレードルの少なくとも一方には、前記携帯情報端末を前記使用位置に保持するための弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の表示装置に関し、詳しくは、運転室内に配置したモニタ画面に建設機械の運転状態を表示させる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベルやクレーンなどの建設機械は、運転者の操作席に表示用モニタを備えている。運転者は、モニタの画面を見ることで、その時の建設機械の運転状態を確認することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
建設機械のなかでも、地中で作業が進行する杭打機や地盤改良機などでは、モニタ画面の情報(施工情報)を機外の作業者や現場管理者など、運転者以外の者も確認したいというニーズがある。そのため、こうした杭施工用の建設機械では、運転室内の窓際に外部表示モニタを設置し、このモニタに運転者の見ている画面と同じ画面を表示させる対応がとられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-105569号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】一般社団法人 鋼管杭・鋼矢板技術協会、”JASPP Technical Library - 施工 - 4回転杭工法施工管理要領 [Edition 1.0] ”、P.48、写真-5.2 小型杭打ち機モニター写真の例、[online]、平成29年3月、[令和3年5月17日検索]、インターネット<http://www.jaspp.com/shiryou/pdf/kaiten_2017mar.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、建設工事現場におけるIT活用が進み、スマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末があれば、簡単な手続きで運転者の見ているモニタ画面と同じ画面を表示させることができる。こうした携帯型の表示装置は、非特許文献1に記載された据付型の表示装置と相互補完的な面が強く、利用者のその時々の状況に応じて使い分けができると便利である。しかしながら、建設機械の運転席は、通常、運転操作に必要な最低限のスペースからなり、持ち出しも可能な兼用モニタとして、着脱のための作業スペースを求めると、それだけ配置的な条件が厳しくなる。逆に着脱性ばかりに注目して配置をすれば、機外からの視認性を低下させる要因ともなる。
【0007】
そこで本発明は、運転室内の限られた領域において着脱性と視認性との両立を図り、安定した使用が可能な建設機械の表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械の表示装置は、建設機械の運転室内に設置され、運転操作を行う運転者に向けて前記建設機械の運転状態を表示する運転者側表示部と、該運転者側表示部と同じ運転室内の窓際に設置され、前記建設機械の周囲で作業に従事する作業者に向けて前記運転者側表示部の表示と同じ表示を行う作業者側表示部とを備えている表示装置において、前記作業者側表示部は、運転操作レバーの前方に設けられた取付ブラケットと、該取付ブラケットにヒンジを介して連結されたクレードルと、該クレードルに着脱自在に装着された携帯情報端末とを有し、前記クレードルは、携帯情報端末装着面を前記携帯情報端末の背面と対面させてなる装着状態を作り、前記ヒンジを回動中心として、前記携帯情報端末が前記運転操作レバーの移動線上に進入した上向きの着脱位置と、前記移動線上から退出した下向きの使用位置とを取り得る上下方向の回動域を有していることを特徴としている。
【0009】
また、前記ヒンジは、前記着脱位置から前記使用位置へと向かう前記携帯情報端末をその自重の作用で回動させる一方、前記使用位置から前記着脱位置へと向かう逆方向の回動に対しては抵抗トルクを付与するワンウェイトルクヒンジであり、前記取付ブラケット及び前記クレードルの少なくとも一方には、前記携帯情報端末を前記使用位置に保持するための弾性体が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建設機械の表示装置によれば、運転室内の窓際に設置した作業者側表示部が運転操作レバーの前方で上下方向の回動域を有するクレードルを備え、該クレードルに装着された携帯情報端末を運転操作レバーの移動線上に対して進退可能に構成しているので、運転停止状態では利用されないスペースを有効活用しながら携帯情報端末の着脱性と視認性との両立を図ることができる。すなわち、着脱位置では、運転席から容易に手の届くスペースを利用して、携帯情報端末の着脱を無理のない姿勢で行うことができる。一方、使用位置では、レバー操作に基づいた運転を可能にして、運転者だけでなく機外の作業者に対しても必要な表示を行うことができる。
【0011】
しかも、クレードルを上向きにした着脱位置では、装着面に対して携帯情報端末の取り付けや取り外しが容易かつ安定して行え、落下防止の点でも好ましい。一方、クレードルを下向きにした使用位置では、太陽光の下で表示が見にくくなるなどの不具合を防止でき、さらには、運転席が高位置にある大型建設機械への適用も可能であることから、建設機械の表示装置としてその適用の幅を広げることができる。
【0012】
また、回動機構にワンウェイトルクヒンジを採用しているので、携帯情報端末を着脱位置から少ない力で移動する機能と、移動先の使用位置で拘束して保持する機能とを、ヒンジの回転抵抗差に基づいた一連の機能として果たすことができる。とりわけ、ゴム座等の弾性体の弾性力で携帯情報端末への衝撃を吸収し、ひとたびゴム座等の弾性体を介して載置すれば抵抗トルクが作用して機体の強い振動に負けずに使用位置に保持できることから、より安定した使用状態を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一形態例を示す表示装置が適用される杭打機の側面図である。
図2】携帯情報端末を装着した状態の作業者側表示部を示す図である。
図3図2のIII-III矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図3は、本発明を建設機械の一例である小型杭打機に適用した一形態例を示すものである。杭打機11は、図1に示すように、クローラを備えた下部走行体12の上部に、上部旋回体13が旋回可能に設けられており、上部旋回体13の前部中央には、リーダ14や該リーダ14の前面に沿って昇降するオーガ(回転駆動装置)15などの杭打用の作業装置が設けられている。また、上部旋回体13のフレーム上には、右側部に運転室(キャブ)16が、左側部にエンジンや油圧ポンプを収納したエンジン室がそれぞれ設けられている。さらに、上部旋回体13の前後左右の4箇所に安定用のジャッキ17が設けられるとともに、上部旋回体13の後端部には機体のバランスをとるためのカウンタウエイト18が搭載されている。
【0015】
杭打機11を鋼管杭の埋設を目的として使用する場合には、施工部材に鋼管杭が使用される。鋼管杭(図示せず)は、ドライブロッド19の下端に設けられたキャップロッド20を介して連結され、ドライブロッド19を回転させながらオーガ15を下降させることによって地中に圧入される。また、杭打機11を地盤改良を目的として使用する場合には、施工部材に中空ロッド(図示せず)が使用される。中空ロッドは、上端がオーガ15の上方でスイベルと連結されるとともに下端が撹拌ロッドと連結される。この中空ロッドを回転させながら、中空ロッドを通じて撹拌ロッドの先端から噴射したセメントミルクなどの地盤改良剤が地盤内に注入される。
【0016】
こうした杭の埋設や地盤改良などの各種工法を行うために、箱形の運転室16内には、走行や旋回、オーガ15の昇降・回転駆動などを行うための複数の運転操作レバーやペダル、スイッチなどの機器が操作性を考慮して運転席の近傍に集約配置されており、さらに、これらの機器や杭打機11の運転状態検出手段(センサ)などと電気的に接続された施工管理装置が設置されている。
【0017】
施工管理装置は、各種工法制御のための施工管理プログラムを実行して、データ処理や判定などの演算処理を行うCPUを中心に構成されており、施工管理プログラムを記憶するFLASH ROMや処理中の各種データを一時的に記憶するRAM、さらには、施工現場における杭の埋設予定位置、目標深度などを設定した施工計画データ及び施工管理プログラムの実行により作成された実施工データの各種データを記憶するハードディスクなどを備えている。また、運転室16内には、施工管理プログラムの実行で得られる深度やトルクなどの施工情報を表示画面で確認したり、タッチパネル操作でデータ入力を行ったりする表示装置(モニタ)が設置されている。
【0018】
表示装置は、運転室16内の2箇所に互いに異なる向きとなるように配置された表示部を備えており、一方は、運転操作を行う運転者に対面したインストルメントパネルなどに設置され、該運転者に向けて前記施工情報(運転状態)を表示する運転者側表示部である。他方は、運転室16内の窓際に設置され、杭打機11の周囲で作業に従事する作業者(管理者を含む)に向けて前記運転者側表示部の表示と同じ表示を行う作業者側表示部である。そして、施工管理装置との間で、運転者側表示部は有線にて、作業者側表示部は無線にてそれぞれ接続が可能とされている。
【0019】
施工管理装置と作業者側表示部との間の通信は、例えば、無線LANなどの近距離通信手段を介してなされ、施工管理装置に組み込まれた送信機から、運転者側表示部に表示された画面情報と同じ情報を送信するものである。送信した画面情報は、図2及び図3に示すように、作業者側表示部21を構成するタブレット型の携帯情報端末22で受信される。これにより、携帯情報端末22の表示画面22aには、運転者側表示部に表示された画面と同じ画面が表示されるようになっている。
【0020】
作業者側表示部21は、運転室16内に設置されたレバー操作式の運転操作装置23に取り付けられており、前後方向(図3の紙面方向)に傾動自在に配置された横並びの運転操作レバーL1~L4のうち、車幅方向外側(図3の左側)にある2本(L1,L2)の前方に設けられた取付ブラケット24と、該取付ブラケット24にヒンジ25を介して連結されたクレードル26と、該クレードル26に着脱自在に装着された前記携帯情報端末22とを有している。
【0021】
取付ブラケット24は、2つのL字状板27a,27bを組み合わせてなる基部27と、該基部27に立設されてヒンジ25の水平軸が配される支持部28とからなり、L字状板27a,27bの内面を操作装置本体23a上部の外側隅部にあてがった状態で、すなわち、前後方向と車幅方向との位置を確定した状態で、ボルト止めにて組み付けられている。また、基部27の外側角部(外縁)には、クレードル26を載置するゴム座29が設けられている。
【0022】
クレードル26は、車載用タブレットホルダとして周知のもので、本体部26aをヒンジ25の回動部材に取り付けるとともに、携帯情報端末装着面SFを外側に向けた状態で、上下方向に回動可能に設けられている。本体部26aの外形寸法は、例えば、13インチの画面サイズのタブレットを保持可能な寸法に設定されている。本体部26aの底座に載置した携帯情報端末22をフック26bで上方から挟持すると、携帯情報端末22の背面と本体部26aの装着面SFとが対面した装着状態が作られる。
【0023】
このような装着状態において、クレードル26は、ヒンジ25を回動中心として、携帯情報端末22が最外側の運転操作レバーL1の移動線上に進入した着脱位置(図3の想像線)と、その移動線上から退出した使用位置(図3の実線)とを取り得る上下方向の回動域を有している。こうした姿勢変更についての必要な操作は、使用位置から着脱位置へと向かう回動に対しては人手により持ち上げることとなるが、着脱位置で手を離せば、携帯情報端末22の装着有無にかかわらず、クレードル26の重心移動により使用位置まで自然に下がるようになっている。これにより、携帯情報端末装着面SFがやや幅広い仕様のクレードル26でも、運転中にレバー操作の邪魔にならない状態での配置が可能となる。
【0024】
ここで、着脱位置にある携帯情報端末22は、上下回動域の上限位置でその下端部が横窓SWに接近し、表示画面22aを、例えば、真横から略20度上向きに傾けた状態で、前窓FWと横窓SWとからなる室内隅部に配置される。このとき、クレードル26のフック26bが運転操作レバーL1の移動線上の先(前方)に位置し、図3からも想像できるように、運転操作レバーL1越しのアクセスにより、例えば、右手で携帯情報端末22を掴み、左手でフック26bを操作するなどの無理のない着脱態様が可能となる。
【0025】
一方、使用位置にある携帯情報端末22は、上下回動域の下限位置でクレードル26がゴム座29に載置され、表示画面22aを、地上の作業者が視認しやすい状態、例えば、真横から略10度下向きに傾けた状態で、室内隅部における横窓SWのそばに配置される。このとき、レバー操作によって運転操作レバーL1が中立位置から最大前傾角度(θmax)の位置まで移動すると、図2から見てとれるように、携帯情報端末22との間で一部重なり合った状態に見えることとなる。しかしこの状態でも、図3から見てとれるように、運転操作レバーL1と携帯情報端末22とは互いに車幅方向に離れており、レバー操作によって両者が互いに干渉し合うことはない。
【0026】
このように構成された作業者側表示部21は、その使用環境下において、振動による影響を受けやすいことから、クレードル26を使用位置に保持するための保持機能を備えている。この機能は、ヒンジ25を、いわゆるワンウェイトルクヒンジとすることで達成している。ワンウェイトルクヒンジは、例えば、摩擦抵抗式であって、軸回りの一方向の回転時には抵抗トルクを付与せず、逆方向の回転時には抵抗トルクを付与するものである。本実施形態におけるヒンジ25は、ワンウェイトルクヒンジの回転抵抗差に基づいて、着脱位置から使用位置へと向かう携帯情報端末22をその自重の作用で回動させ、その一方で、使用位置から着脱位置へと向かう逆方向の回動に対しては抵抗トルクを付与するように構成されている。
【0027】
これにより、着脱位置から使用位置へと回動させる場合、クレードル26がゴム座29に当接して止まると、ゴム座29の反発に抗してヒンジ25の抵抗トルクが作用し、使用位置においてガタつきなく携帯情報端末22が保持される。一方、使用位置から着脱位置へと回動させる場合、抵抗トルクは付与されるものであるが、回動中心であるヒンジ25から遠いフック26bや携帯情報端末22の上端部に手をかけて行えば、少ない力であっても回動可能である。
【0028】
このように構成された杭打機11の表示装置を使用して施工を行う場合、作業者側表示部21では、上述の着脱態様によって、未装着状態のクレードル26に対して携帯情報端末22が装着される。こうした作業は、例えば、建設会社などが所有するストック施設において事前になされ、すぐに使用可能な状態で杭打機11と一体で現場へ配送される。このとき、携帯情報端末22にはクレードル26に内蔵のインターフェースモジュールを介して電力が供給されている。
【0029】
現場において施工管理装置の電源を起動すると、基本プログラムが実行され、運転者側表示部には施工画面が表示される。このとき、表示された施工画面と同じ画面が携帯情報端末22の表示画面22aにも表示される。現場管理者の運転指示のもとで杭打ち作業を開始すると、オーガ15の運転操作に従って作成された実施工データは、施工画面に数値やグラフ形式でリアルタイムに表示され、運転者は地盤調査で得た情報から支持層の位置をある程度予測しながら、目標深度に対して計画通りに杭打ち作業を進める。
【0030】
ところで、地盤調査地点から離れた地点では、設計時の目標深度と実際の深度との間にギャップが生じやすくなる。こうした状況下で、万一、杭長の過不足が発生した場合には、作業の中断や現場管理者への報告など、非定常的な作業が発生することとなる。このような場合、現場管理者は、携帯情報端末22の表示画面22aを通じて運転者と情報共有を図ることにより、問題の解決にあたって必要な判断が行えるようになる。また、現場事務所などにおいて協議が必要な場合には、上述の着脱態様によって携帯情報端末22をその場で取り外せば、表示状態を維持したまま運転室16の外部に持ち出せるようになる。
【0031】
このように、本発明の建設機械の表示装置によれば、運転室16内の窓際に設置した作業者側表示部21が運転操作レバーL1の前方で上下方向の回動域を有するクレードル26を備え、該クレードル26に装着された携帯情報端末22を運転操作レバーL1の移動線上に対して進退可能に構成しているので、運転停止状態では利用されないスペースを有効活用しながら携帯情報端末22の着脱性と視認性との両立を図ることができる。すなわち、着脱位置では、運転席から容易に手の届くスペースを利用して、携帯情報端末22の着脱を無理のない姿勢で行うことができる。一方、使用位置では、レバー操作に基づいた運転を可能にして、運転者だけでなく機外の作業者に対しても必要な表示を行うことができる。
【0032】
しかも、クレードル26を上向きにした着脱位置では、装着面SFに対して携帯情報端末22の取り付けや取り外しが容易かつ安定して行え、落下防止の点でも好ましい。一方、クレードル26を下向きにした使用位置では、太陽光の下で表示が見にくくなるなどの不具合を防止でき、さらには、運転席が高位置にある大型建設機械への適用も可能であることから、建設機械の表示装置としてその適用の幅を広げることができる。
【0033】
また、回動機構にワンウェイトルクヒンジ25を採用しているので、携帯情報端末22を着脱位置から少ない力で移動する機能と、移動先の使用位置で拘束して保持する機能とを、ヒンジ25の回転抵抗差に基づいた一連の機能として果たすことができる。とりわけ、ゴム座29の弾性力で携帯情報端末22への衝撃を吸収し、ひとたびゴム座29を介して載置すれば抵抗トルクが作用して機体の強い振動に負けずに使用位置に保持できることから、より安定した使用状態を作り出すことができる。
【0034】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、作業者側表示部の設置は、使用目的に合わせて、運転操作装置周辺のスペースを無駄にせず活用できればよく、運転室の構造や操作レバーの形状、携帯情報端末の仕様などに応じて適宜変更を加えることができる。また、ゴム座は取付ブラケットに設けるように記載したが、クレードル側に設けてもよく、そのような場合はクレードルの本体部下面にゴム板を接着した安価な構成が考えられる。本明細書では、弾性体の一例としてゴム座を例示したが、ゴムに限らず、スポンジなどの発泡体、エラストマーなどでもよい。さらに、実施例では、小型杭打機を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、3点支持式の杭打機のような大型建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…リーダ、15…オーガ、16…運転室、17…ジャッキ、18…カウンタウエイト、19…ドライブロッド、20…キャップロッド、21…作業者側表示部、22…携帯情報端末、22a…表示画面、23…運転操作装置、23a…操作装置本体、24…取付ブラケット、25…ヒンジ、26…クレードル、26a…本体部、26b…フック、27…基部、27a,27b…L字状板、28…支持部、29…ゴム座
図1
図2
図3