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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20250107BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R11/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021138121
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2022158818
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2021063676
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 和久
(72)【発明者】
【氏名】清水 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】田端 隆伸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 典文
(72)【発明者】
【氏名】小野木 文寛
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031138(JP,A)
【文献】特開2018-034715(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04128663(DE,A1)
【文献】米国特許第09855918(US,B1)
【文献】特開2006-044567(JP,A)
【文献】米国特許第05940120(US,A)
【文献】特開2020-189618(JP,A)
【文献】特開2020-117172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0061782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員に対して情報を表示可能な表示面を備えた表示部と、
前記表示面に表示される前記情報と、当該表示面において当該情報が表示される表示面積と、を設定可能な表示制御部と、
駆動することで前記表示部を車室内に配置された内装部材に対して出し入れ可能とされた駆動部と、
前記表示面における前記内装部材から露出した露出面積と前記表示面積とが比例するように前記駆動部を制御可能な駆動制御部と、
を有し、
前記車両の自動運転を制御する自動運転制御部をさらに備え、
前記車両の自動運転中又は当該車両の駐車中において、前記表示制御部は、前記表示面の全面に前記情報を表示可能とし、
前記車両の手動運転中において、前記駆動制御部は、前記表示部が車両上下方向において前記乗員の視界に収まる所定の範囲の外側に位置するように前記駆動部の駆動量を制御すると共に、前記表示制御部は、前記露出面積に基づき前記表示面積を設定すると共に、
前記車両の位置を検出可能な車両位置検出装置をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記車両位置検出装置で検出された前記車両が位置する国又は地域で設定された前記所定の範囲に応じて前記駆動量を制御可能とされている、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記車両の走行中において当該車両の周辺状況を取得可能な外部センサからの信号に基づいて前記情報と、前記表示面積を設定可能とされ、
前記表示制御部は、前記周辺状況の緊急度が低い場合には、前記表示面積を第1表示面積に設定し、当該周辺状況の緊急度が高い場合には、当該表示面積を当該第1表示面積よりも大きい第2表示面積に設定することが可能とされている、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記車両の開錠時において、前記情報としての所定の文言の表示及び前記表示面からの所定の照明の照射の少なくとも一方が可能とされている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記表示面が前記車両の車室内を照らす照明として機能する照明モードに移行可能とされ、
前記表示部の前記照明モードへの移行と、前記表示面から発する光の光度の設定及び前記露出面積の設定の少なくとも一方と、を前記乗員による操作に基づいて行うことが可能とされている、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記乗員を撮像可能な車内カメラをさらに備え、
前記表示部は、前記表示面に前記車内カメラによる前記乗員の映像を表示するミラーモードに移行可能とされ、
前記表示部のミラーモードへの移行と、前記露出面積の設定と、を前記乗員による操作に基づいて行うことが可能とされている、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示部が前記ミラーモードにある状態において、前記表示面の周縁部が白色光を発する発光部に設定されている、
請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えると共に、フィルム状とされている、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用表示装置に関する発明が開示されている。この車両用表示装置では、乗員に対して表示される情報量に応じて、第1表示形態と、第1表示形態よりも表示される情報が少ない第2表示形態とをとるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-155540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術において、第1表示形態では、第1表示パネルを用いており、第2表示形態では、第1表示パネルよりも表示面が小さい第2表示パネルを用いている。つまり、上記先行技術では、乗員に対して表示される情報の多寡に応じて、乗員に対して情報を表示する表示部を変更する必要がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、情報の多寡に応じて乗員に対して情報を表示する表示部を変更することなく、乗員に対して適切に情報を表示することができる車両用表示装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両用表示装置は、車両の乗員に対して情報を表示可能な表示面を備えた表示部と、前記表示面に表示される前記情報と、当該表示面において当該情報が表示される表示面積と、を設定可能な表示制御部と、駆動することで前記表示部を車室内に配置された内装部材に対して出し入れ可能とされた駆動部と、前記表示面における前記内装部材から露出した露出面積と前記表示面積とが比例するように前記駆動部を制御可能な駆動制御部と、を有し、前記車両の自動運転を制御する自動運転制御部をさらに備え、前記車両の自動運転中又は当該車両の駐車中において、前記表示制御部は、前記表示面の全面に前記情報を表示可能とし、前記車両の手動運転中において、前記駆動制御部は、前記表示部が車両上下方向において前記乗員の視界に収まる所定の範囲の外側に位置するように前記駆動部の駆動量を制御すると共に、前記表示制御部は、前記露出面積に基づき前記表示面積を設定すると共に、前記車両の位置を検出可能な車両位置検出装置をさらに備え、前記駆動制御部は、前記車両位置検出装置で検出された前記車両が位置する国又は地域で設定された前記所定の範囲に応じて前記駆動量を制御可能とされている
【0007】
請求項1に記載の本発明によれば、表示部を備えており、当該表示部の表示面では、車両の乗員に対して種々の情報を表示することができる。そして、表示面に表示される情報と、当該表示面において当該情報が表示される表示面積とが、表示制御部で設定されるようになっている。
【0008】
ところで、表示部の表示面の有効利用の観点において、情報が表示される表示面積が小さい場合には、乗員が視認可能な表示面の面積が小さいことが好ましく、当該表示面積が大きい場合には、乗員が視認可能な表示面の面積が大きいことが好ましい。これを鑑みて、表示面の大きさが異なる表示部を複数設置するような構成が考えられるが、このような構成では、乗員に対して表示される情報の多寡に応じて、情報が表示される表示部を適宜変更する必要がある。
【0009】
ここで、本発明では、駆動部が駆動することで、表示部を車室内に配置された内装部材に対して出し入れすることができる。また、駆動部が駆動制御部によって制御されることで、表示面における内装部材から露出した露出面積と情報が表示される表示面積とが比例するようになっている。
【0010】
このため、本発明では、一つの表示部において、情報が表示される表示面積が小さい場合には、乗員が視認可能な表示面の面積を小さくし、情報が表示される表示面積が大きい場合には、乗員が視認可能な表示面の面積を大きくすることができる。つまり、本発明では、一つの表示部において、乗員が視認可能な表示面の面積を、情報が表示される表示面積に応じて設定することができる。
また、本発明によれば、自動運転制御部を備えており、当該自動運転制御部によって、車両の自動運転が制御される。そして、車両の自動運転中又は当該車両の駐車中において、表示制御部は、表示面の全面に情報を表示可能としている。このため、本発明では、車両の自動運転中又は当該車両の駐車中において、乗員が視認可能な表示面の面積を確保することができる。
一方、車両の手動運転中において、駆動制御部は、表示部が、車両上下方向において乗員の視界に収まる所定の範囲の外側に位置するように駆動部の駆動量を制御する。これにより、車両の自動運転中又は当該車両の駐車中に比し、表示面の露出面積が制限されることとなる。そして、表示制御部は、表示面の露出面積に基づき表示面積を設定する。
このため、本発明では、車両の手動運転中において表示面が乗員の視界を遮ることを抑
制しつつ、当該乗員に対して当該表示面を介して各種情報を表示することができる。
また、本発明によれば、車両位置検出装置を備えており、当該車両位置検出装置で車両の位置を検出することができる。そして、駆動制御部は、車両位置検出装置で検出された車両が位置する国又は地域で設定された所定の範囲すなわち、車両上下方向において乗員の視界に収まる範囲に応じて駆動部の駆動量を制御し、表示部を当該所定の範囲の外側に位置させることができる。
このため、本発明では、車両の手動運転中において、表示部の位置を、車両が位置する国又は地域の法令や規則に準じるように設定することができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る車両用表示装置は、請求項1に記載の発明において、前記表示制御部は、前記車両の走行中において当該車両の周辺状況を取得可能な外部センサからの信号に基づいて前記情報と、前記表示面積を設定可能とされ、前記表示制御部は、前記周辺状況の緊急度が低い場合には、前記表示面積を第1表示面積に設定し、当該周辺状況の緊急度が高い場合には、当該表示面積を当該第1表示面積よりも大きい第2表示面積に設定することが可能とされている。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、車両の走行中において、外部センサによって当該車両の周辺状況が取得される。そして、表示制御部は、外部センサからの信号に基づいて、表示面に表示される情報と、当該情報が表示される表示面積とを設定することができる。このため、本発明では、車両の周辺状況に基づく情報を表示面に表示することができると共に、当該周辺状況に応じて当該情報の表示面積を設定することができる。
【0013】
そして、本発明では、周辺状況の緊急度が低い場合には、表示制御部によって、当該周辺状況に基づく情報の表示面積を第1表示面積に設定し、当該周辺状況の緊急度が高い場合には、当該表示面積を第1表示面積よりも大きい第2表示面積に設定することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る車両用表示装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記表示部は、前記車両の開錠時において、前記情報としての所定の文言の表示及び前記表示面からの所定の照明の照射の少なくとも一方が可能とされている。
【0015】
請求項3に記載の本発明によれば、車両の開錠時において、表示部の表示面によって、所定の文言の表示又は所定の照明の照射の少なくとも一方が行われる。このため、本発明では、乗員の車両への乗車時において、例えば、表示部への乗員のスケジュールの表示や、表示部のウェルカムライトとしての利用が可能となる。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係る車両用表示装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記表示部は、前記表示面が前記車両の車室内を照らす照明として機能する照明モードに移行可能とされ、前記表示部の前記照明モードへの移行と、前記表示面から発する光の光度の設定及び前記露出面積の設定の少なくとも一方と、を前記乗員による操作に基づいて行うことが可能とされている。
【0017】
請求項4に記載の本発明によれば、乗員による操作に基づいて、表示部が照明モードに移行可能とされており、照明モードにおいて、表示面が車室内を照らす照明として機能する。また、本発明では、乗員による操作に基づいて、表示面から発する光の光度の設定及び当該表示面の露出面積の設定の少なくとも一方を行うことができる。このため、本発明では、表示部の周辺に別途照明を設けることなく、車室における表示部周辺の光源を確保することができると共に、照明光の調整を行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る車両用表示装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記乗員を撮像可能な車内カメラをさらに備え、前記表示部は、前記表示面に前記車内カメラによる前記乗員の映像を表示するミラーモードに移行可能とされ、前記表示部のミラーモードへの移行と、前記露出面積の設定と、を前記乗員による操作に基づいて行うことが可能とされている。
【0019】
請求項5に記載の本発明によれば、車内カメラを備えており、当該車内カメラによって乗員が撮像される。そして、本発明では、乗員による操作に基づいて、表示部がミラーモードに移行可能とされており、ミラーモードにおいて、表示面に車内カメラによる乗員の映像が表示される。このため、本発明では、表示部の表示面を鏡として使用することができる。
【0020】
さらに、本発明では、乗員による操作に基づいて、表示面の露出面積の設定を行うことができ、その結果、乗員が必要な範囲において、当該乗員の鏡像を表示面に表示することができる。
【0021】
請求項6に記載の本発明に係る車両は、請求項5に記載の発明において、前記表示部が前記ミラーモードにある状態において、前記表示面の周縁部が白色光を発する発光部に設定されている。
【0022】
請求項6に記載の本発明によれば、表示部がミラーモードにある状態において、表示面の周縁部が発光部に設定されており、当該発光部からは、白色光が照射される。このため、本発明では、ミラーモードにおいて、表示面の周縁部をミラーライトとして機能させることができる。
【0023】
請求項7に記載の本発明に係る車両用表示装置は、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記表示部は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えると共に、フィルム状とされている。
【0024】
請求項7に記載の本発明によれば、表示部が、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えると共に、フィルム状とされており、当該表示部を収納するときに、当該表示部を曲げて変形させることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用表示装置は、情報の多寡に応じて乗員に対して情報を表示する表示部を変更することなく、乗員に対して適切に情報を表示することができるという優れた効果を有する。
また、本発明に係る車両用表示装置は、手動運転時の乗員の視界の確保しつつ、乗員に対して適切に情報を表示することができるという優れた効果を有する。
さらに、本発明に係る車両用表示装置は、所定の国又は地域の法令や規則に応じて、手動運転時の乗員の視界を確保することができるという優れた効果を有する。
【0033】
請求項2に記載の本発明に係る車両用表示装置は、乗員が車両の周辺状況の緊急度を表示部の表示面の大きさで把握することができるという優れた効果を有する。
【0034】
請求項3に記載の本発明に係る車両用表示装置は、乗車時の乗員に対する利便性を高めることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項4に記載の本発明に係る車両用表示装置は、表示部に情報の表示機能と照明機能とを集約し、車室内の構成の簡略化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0036】
請求項5に記載の本発明に係る車両用表示装置は、車室内に鏡を設置することなく、乗員が視認可能な位置に、乗員の鏡像を映すことができるという優れた効果を有する。
【0037】
請求項6に記載の本発明に係る車両用表示装置は、表示面に表示される乗員の鏡像をより明確なものにすることができるという優れた効果を有する。
【0038】
請求項7に記載の本発明に係る車両用表示装置は、表示部に液晶ディスプレイを採用するような構成に比し、表示部の収納に必要なスペースの拡大を抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両の構成を模式的に示す側面図である。
図2】第1実施形態に係る車両用表示装置の構成を模式的に示す車両幅方向から見た断面図である。
図3】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された機器の関係を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部において通常時の表示例を示す正面図である。
図6】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部においてミラーモード時の表示例を示す正面図である。
図7】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部において警告の表示例を示す正面図である。
図8】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部において警告の表示例を示す正面図である。
図9】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部において緊急度が低い時の周辺状況の表示例を示す正面図である。
図10】第1実施形態に係る車両用表示装置の表示部において緊急度が高い時の周辺状況の表示例を示す正面図である。
図11】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された制御装置で乗員の乗車時に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された制御装置で警告表示時に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第1実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された制御装置で物体接近時に行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る車両用表示装置の構成を模式的に示す正面図である。
図15】第3実施形態に係る車両用表示装置において乗員の視界と表示部の出代との関係を模式的に示す側面図である。
図16】第3実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された機器の関係を示すブロック図である。
図17】第4実施形態に係る車両用表示装置の要部の構成を模式的に示す車両幅方向から見た断面図である。
図18】第4実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両に搭載された機器の関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
<第1実施形態>
以下、図1図13を用いて、本発明に係る車両用表示装置の第1実施形態について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは、本実施形態に係る「車両用表示装置10」が搭載された「車両12」の車両前方側を示しており、矢印UPは、車両12の車両上方側を示しており、矢印OUTは、車両12の車両幅方向外側を示している。
【0043】
まず、図1を用いて、車両12の概略構成について説明する。この車両12は、「車室14」の主な部分を構成する車体16を備えており、車体16の車両上方側の部分がルーフ部18で構成されていると共に、車体16の車両下方側の部分がフロア部20で構成されている。
【0044】
ルーフ部18は、車両前後方向及び車両幅方向に延在すると共に車両12の意匠面の一部を構成するルーフパネル22を備えており、ルーフパネル22は、内装部材としての「ルーフトリム24」によって車両下方側から覆われている。このルーフトリム24は、図2にも示されるように、車室14の天井面を構成すると共に車両前後方向及び車両幅方向に延在する天井面部24Aと、天井面部24Aの車両前方側の周縁部から車両上方側に延出された前壁部24Bとを含んで構成されている。
【0045】
図2に示されるように、ルーフパネル22は、車両前後方向に間隔をあけて配置された複数のルーフリインフォースメント26で補強されている。このルーフリインフォースメント26は、車両幅方向に延在すると共に、ルーフパネル22と共に車両幅方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造部を構成している。なお、最も車両前方側に位置するルーフリインフォースメント26は、ルーフパネル22の車両前方側の周縁部に沿って配置されている。なお、ルーフリインフォースメント26には、図示しないファスナー等の取付部材によって、ルーフトリム24が取り付けられている。
【0046】
図1に戻り、フロア部20には、乗員28が着座するシート30が配置されている。このシート30は、シートクッション32と、シートバック34と、ヘッドレスト35とを含んで構成されている。また、シートバック34は、その下端部がシートクッション32の後端部に対して回動可能とされている。
【0047】
シート30の前方側、すなわち車体16の車両前方側の部分には、フロントウインドシールド36が配置されている。このフロントウインドシールド36は、透明なガラス板で構成されており、車両幅方向から見てルーフ部18の車両前方側の周縁部から車両前方下側に延びている。
【0048】
なお、フロントウインドシールド36の車両下方側には、内装部材としての樹脂製の「インストルメントパネル156(図14参照)」が配置されている。このインストルメントパネル156は、図示しないHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニットを車両後方側から覆っている。
【0049】
ここで、本実施形態では、図2に示されるように、ルーフパネル22とルーフトリム24との間に車両用表示装置10の一部を構成する表示部としての「ディスプレイ38」が配置されている点に第1の特徴がある。また、図3に示される車両用表示装置10の一部を構成する制御装置40によって、車両用表示装置10の各種制御が可能となっている点に第2の特徴がある。以下、ディスプレイ38並びに制御装置40の構成を中心にして、車両用表示装置10の構成について詳細に説明することとする。
【0050】
ディスプレイ38は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えると共に、平面視で矩形のフィルム状とされており、図5等に示されるように、乗員28に対して情報を表示可能な「表示面42」を備えている。このディスプレイ38は、図示しない配線を介して制御装置40と電気的に接続されており、制御装置40から出力された信号によって駆動されることで、後述するように、表示面42に種々の映像等を表示することが可能とされている。そして、ディスプレイ38は、駆動部としての「ディスプレイ駆動部44」及びディスプレイ支持部46によって、車体16に対して支持されている。
【0051】
詳しくは、ディスプレイ駆動部44は、一対のラック48、一対のピニオン50、一対のマウント52、一対のガイド54、モータ56及び図示しないモータドライバを含んで構成されている。ラック48は、可撓性を有する材質で構成されており、ディスプレイ38の車両幅方向両側の端部38Aのそれぞれに配置されると共に、端部38Aの車両上方側の部分に車両前後方向に沿って設けられている。つまり、ラック48は、ディスプレイ38の端部38Aの一部を構成しているとみなすことができる。
【0052】
ピニオン50は、ディスプレイ38の端部38Aのそれぞれに対して配置されており、ラック48に係合されている。また、車両幅方向一方側のピニオン50は、モータ56の図示しない出力軸に連結されており、制御装置40からの制御信号に基づいてモータ56が作動することで、ピニオン50が車両幅方向に延びる回動軸S1周りに回動し、ディスプレイ38を車両前後方向に移動させることが可能となっている。なお、モータ56は、車両幅方向一方側のマウント52に支持されており、このマウント52は、最も車両前方側に位置するルーフリインフォースメント26に設けられたウエルドナット58に図示しない締結部材で固定されている。
【0053】
また、マウント52には、ガイド54も取り付けられており、ガイド54によってディスプレイ38が車両下方側から支持されている。なお、車両幅方向他方側のピニオン50は、その軸部が車両幅方向他方側のマウント52に図示しない軸受を介して取り付けられている。そして、ディスプレイ38がピニオン50の回動によって車両前方側に送り出されるときには、ディスプレイ38がガイド54で案内されることで、ディスプレイ38におけるガイド54から車両前方側の部分が車両前方下側に延出されるようになっている。
【0054】
一方、ルーフトリム24の天井面部24Aと前壁部24Bとの境界部には、車両上方側に凹んだ凹部60が設けられている。そして、凹部60の車両後方側の部分には、ディスプレイ38を挿通可能なスリット部62が設けられており、ディスプレイ38は、スリット部62からルーフトリム24の外側に延出されるようになっている。
【0055】
また、凹部60の車両下方側には、凹部60を車両下方側から覆うことが可能な板状のカバー部64が配置されている。このカバー部64は、蝶番66を介して凹部60の車両上方側の部分を構成する上壁部60Aに取り付けられている。また、カバー部64は、通常時において、蝶番66に取り付けられた捩じりばね68によって、その板厚方向を車両上下方向とされた閉状態で保持されている。そして、カバー部64は、スリット部62から延出されたディスプレイ38で押圧されることで車両幅方向に延びる蝶番66の回動軸S2周りに回動して、開状態となるようになっている。また、ディスプレイ38がスリット部62から収納されるときには、カバー部64は、捩じりばね68の復元力によって、閉状態となるようになっている。
【0056】
一方、ディスプレイ支持部46は、主にディスプレイ38の車両後方側の部分を支持可能とれており、一対のガイドレール70及び一対のレールマウント72を含んで構成されている。
【0057】
ガイドレール70は、ディスプレイ38の端部38Aのそれぞれに対して配置されており、車両前後方向に延在すると共に、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向内側に開放されたU字状とされている。このガイドレール70には、ラック48を含むディスプレイ38の端部38Aを挿入可能とされており、ガイドレール70は、ディスプレイ38を車両前後方向に案内することが可能となっている。そして、ガイドレール70は、レールマウント72を介して、マウント52が固定されたものよりも車両後方側に位置するルーフリインフォースメント26に取り付けられている。なお、レールマウント72は、ルーフリインフォースメント26に設けられたウエルドナット58に図示しない締結部材で固定されている。
【0058】
次に、図3を用いて、制御装置40の構成について説明する。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)74、ROM(Read Only Memory)76、RAM(Random Access Memory)78、ストレージ80、通信I/F(Inter Face)82及び入出力I/F84を含んで構成されている。そして、CPU74、ROM76、RAM78、ストレージ80、通信I/F82及び入出力I/F84は、バス86を介して相互に通信可能に接続されている。
【0059】
CPU74は、中央演算処理ユニットとされており、各種プログラムの実行によって各種機器の制御が可能とされている。具体的には、CPU74は、ROM76からプログラムを読み出し、RAM78を作業領域としてプログラムを実行可能とされている。そして、ROM76に記憶された実行プログラムが、CPU74で読み出されて実行されることで、制御装置40は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0060】
より詳しくは、ROM76には、ディスプレイ38に表示される映像の制御並びにディスプレイ駆動部44の制御等に関する各種プログラム及び各種データが記憶されている。一方、RAM78は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することが可能となっている。
【0061】
ストレージ80は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを記憶可能とされている。
【0062】
通信I/F82は、制御装置40と種々のネットワークとの接続に用いられるインターフェースとされており、図示しないサーバ等と通信することが可能とされている。このインターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。また、通信I/F82は、無線装置を備えていてもよい。
【0063】
入出力I/F84は、制御装置40が車両12に搭載された各種機器と通信するためのインターフェースとされている。そして、制御装置40は、入出力I/F84を介して後述する各装置に相互に通信可能に接続されている。
【0064】
制御装置40に接続される機器には、車両状態検出センサ88、外部センサ90、車内カメラ92、アンテナ94、上述したディスプレイ38、上述したディスプレイ駆動部44、時刻計測部96、ディスプレイ操作装置98及び室内機器100が挙げられる。
【0065】
車両状態検出センサ88は、車室14内の異常の検出に用いられるセンサ群とされている。この車両状態検出センサ88には、例えば、車両12の図示しないドアの開閉状態を検出するドア開閉センサ及び図示しないシートベルトの装着状態を検出するシートベルトセンサ等が含まれる。そして、車両状態検出センサ88によって車室14内の異常が検出された場合には、車両状態検出センサ88から制御装置40に、車室14内の異常を示す異常信号が出力されるようになっている。
【0066】
外部センサ90は、車両12の周辺環境の検出に用いられるセンサ群とされている。この外部センサ90には、例えば、所定範囲を撮像するカメラ、所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ及び所定範囲をスキャンするライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)等が含まれる。そして、外部センサ90で取得されたデータは、制御装置40に送信されて、ストレージ80に一時的に記憶されるようになっている。
【0067】
車内カメラ92は、図1に示されるように、車室14内において乗員28の顔を撮像可能な位置に配置されている。この車内カメラ92で取得された映像データは、制御装置40に送信されて、ストレージ80に一時的に記憶されるようになっている。
【0068】
図3に戻り、アンテナ94は、乗員28の携帯する電子キー等の図示しない携帯機器102の検出に用いることが可能とされている。詳しくは、アンテナ94は、アンテナ94を中心とする所定の範囲内において、リクエスト信号を発信可能とされている。一方、携帯機器102は、リクエスト信号を受信すると、キーIDを含むレスポンス信号をアンテナ94に送信可能とされている。そして、アンテナ94が、携帯機器102からのレスポンス信号を受信した場合には、アンテナ94から制御装置40に、携帯機器102の検出を示す検出信号が出力されるようになっている。
【0069】
ディスプレイ38は、詳しくは後述するが、制御装置40の制御に基づいて、車室14内の異常を示す警告、車両12の外部の異常を示す警告、車両12の外部の映像、時刻等の標準情報、乗員28の画像及び所定の文言を表示可能とされている。
【0070】
ディスプレイ駆動部44は、制御装置40の制御に基づいて駆動されることで、ディスプレイ38を駆動させ、ディスプレイ38の表示面42におけるルーフトリム24から露出した露出面積を調整可能とされている。
【0071】
時刻計測部96は、時刻を計測して、当該時刻に基づく信号を制御装置40に出力可能とされている。なお、時刻計測部96は、標準電波を受信可能なアンテナを備えると共に、標準電波に基づいて時刻を補正可能な構成とされていてもよい。
【0072】
ディスプレイ操作装置98は、乗員28の操作に基づく入力を信号に変換し、当該信号を制御装置40に入力することで、ディスプレイ38を、後述する標準情報表示モード、照明モード及びミラーモードに移行させることが可能となっている。また、ディスプレイ操作装置98は、上記各モードにおいて、乗員28による操作をディスプレイ38に反映させることが可能となっており、例えば、ディスプレイ38の表示面42の露出面積を調整可能とされている。
【0073】
室内機器100には、車室14内に配置された機器群とされている。この室内機器100には、例えば、上述したHVACユニット及びオーディオ機器等が含まれる。そして、空調の設定温度やオーディオ機器の設定音量等の室内機器100の設定に関するデータは、制御装置40に送信されて、ストレージ80に一時的に記憶されるようになっている。
【0074】
次に、図4を用いて制御装置40の機能構成について説明する。制御装置40は、CPU74がROM76に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、モード切替制御部104、照明制御部106、表示制御部としての「標準情報表示制御部108」、「設定情報表示制御部110」、「ミラー表示制御部112」、「警告表示制御部114」及び駆動制御部としての「ディスプレイ駆動制御部116」の集合体として機能する。
【0075】
モード切替制御部104は、乗員28のディスプレイ操作装置98への入力に基づき、ディスプレイ38を照明モード、標準情報表示モード及びミラーモードの何れか1つに切り替え可能とされている。
【0076】
照明制御部106は、モード切替制御部104によって、ディスプレイ38が照明モードに移行されると、ディスプレイ38を、ディスプレイ操作装置98によって操作可能な照明として機能させるようになっている。具体的には、照明制御部106は、乗員28のディスプレイ操作装置98への入力に基づいてディスプレイ駆動部44を制御することで、表示面42の露出面積を調整することが可能とされている。そして、照明制御部106は、ディスプレイ38を制御して、表示面42における露出部から発光させることが可能となっている。また、照明制御部106は、乗員28のディスプレイ操作装置98への入力に基づいて、表示面42から発する光の光度を設定することが可能とされている。
【0077】
標準情報表示制御部108は、モード切替制御部104によってディスプレイ38が標準情報表示モードに移行された状態において、表示面42に標準情報を表示するようになっている。詳しくは、標準情報表示制御部108は、時刻計測部96から取得した時刻及び室内機器100から取得した各機器の設定等に基づき表示面42に表示される標準情報及び当該標準情報を表示する表示面積を設定し、当該標準情報を、図5に示されるように表示面42に表示する。
【0078】
なお、表示面42に表示される標準情報は、所定の標準情報に設定されていてもよいし、乗員28によるディスプレイ操作装置98の操作によって設定されるようになっていてもよい。また、本実施形態では、一例として、ディスプレイ38が標準情報表示モードである状態が、ディスプレイ38の通常状態に設定されており、図示しないイグニッションスイッチがONポジションとされたことを示す所定の信号が制御装置40に入力されると、ディスプレイ38が標準情報表示モードとなるようになっている。一方、イグニッションスイッチがOFFポジションとされたことを示す所定の信号が制御装置40に入力されると、ディスプレイ38は、全てが収納位置に収納されるようになっている。
【0079】
設定情報表示制御部110は、乗員28がディスプレイ操作装置98で入力した設定情報、当該設定情報が表示される時機等に基づき、表示面42に表示される設定情報、当該設定情報を表示する表示面積及び当該設定情報が表示される時機を設定し、当該設定情報を、図6に示されるように表示面42に表示する。
【0080】
また、設定情報表示制御部110は、アンテナ94から検出信号が入力されたとき、すなわち乗員28がアンテナ94の所定範囲内に接近したときに、表示面42に設定情報の表示を所定時間行うように設定されている。
【0081】
なお、本実施形態では、一例として、乗員28が車両12に乗車するときに、表示面42に「WELCOME」と表示されると共に、表示された文言の車両幅方向両側の部分が発光するように設定されている。また、乗員28の誕生日において、初めて乗員28が車両12に乗車するときに、表示面42に「HAPPY BIRTHDAY」と表示されるように設定されていてもよい。さらに、乗員28が車両12に乗車するときに、表示面42にディスプレイ操作装置98で入力された乗員28のスケジュールが表示されるように設定されていてもよい。加えて、設定情報表示制御部110は、乗員28に対して表示する設定情報が設定されていない場合には、乗員28の乗車時において、表示面42を発光させ、ディスプレイ38をウェルカムライトとして機能させることが可能となっている。
【0082】
ミラー表示制御部112は、モード切替制御部104によって、ディスプレイ38がミラーモードに移行された状態において、表示面42を鏡として機能させるようになっている。具体的には、ミラー表示制御部112は、車内カメラ92で取得された乗員28の映像データに基づき、図7に示されるように、乗員28の鏡像を表示面42に表示するようになっている。また、本実施形態では、一例として、ディスプレイ38がミラーモードに移行された状態において、表示面42の周縁部のうち車両幅方向外側の部分が白色光を発する「発光部118」に設定されている。なお、発光部118は、表示面42の周縁部の全部に設定されていてもよいし、当該周縁部の車両上下方向両側の部分に設定されていてもよい。
【0083】
また、ミラー表示制御部112は、乗員28のディスプレイ操作装置98への入力に基づいてディスプレイ駆動部44を制御することで、表示面42の露出面積を調整することが可能とされている。
【0084】
警告表示制御部114は、車両状態検出センサ88及び外部センサ90から取得したデータに基づき表示面42に警告を表示するようになっている。具体的には、警告表示制御部114は、ドア開閉センサやシートベルトセンサから異常信号が入力されると、当該異常信号に基づき表示面42に表示される警告及び当該警告を表示する表示面積を設定し、当該異常信号が入力されなくなるまで、当該警告を図8に示されるように表示面42に表示する。
【0085】
また、警告表示制御部114は、車両12の走行中において、外部センサ90から取得したデータに基づき車両12に接近する物体、例えば、車両12に接近する後続車の有無を判定する。そして、警告表示制御部114は、車両12に対して接近傾向にある物体が有ると判定した場合には、図9に示されるように、表示面42の4分の1程度を第1表示面積として設定し、当該物体と当該物体の接近を知らせる警告とを表示面42に表示するようになっている。
【0086】
一方、警告表示制御部114が車両12に対して衝突する可能性が高い物体が有ると判定した場合には、図10に示されるように、表示面42の全て(全面)を第2表示面積として設定し、当該物体と当該物体との衝突を知らせる警告とを表示面42に表示するようになっている。つまり、本実施形態では、走行中の車両12における周辺状況の緊急度の高さに応じて、表示面42の表示面積が設定されるようになっている。
【0087】
ディスプレイ駆動制御部116は、表示面42の露出面積と、上述した標準情報表示制御部108、設定情報表示制御部110及び警告表示制御部114で設定される表示面42の表示面積とが比例するように、ディスプレイ駆動部44のモータ56の駆動量を設定する。そして、ディスプレイ駆動制御部116は、この駆動量に基づく制御信号をディスプレイ駆動部44に送信することで、上記表示面積と表示面42の露出面積とが比例するように、ディスプレイ駆動部44を制御することが可能とされている。
【0088】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0089】
本実施形態では、図1に示されるように、ディスプレイ38を備えており、図5等に示されるように、ディスプレイ38の表示面42では、車両12の乗員28に対して種々の情報を表示することができる。そして、表示面42に表示される情報と、表示面42において当該情報が表示される表示面積とが、標準情報表示制御部108、設定情報表示制御部110及び警告表示制御部114で設定されるようになっている。
【0090】
ところで、ディスプレイ38の表示面42の有効利用の観点において、情報が表示される表示面積が小さい場合には、乗員28が視認可能な表示面42の面積が小さいことが好ましく、当該表示面積が大きい場合には、乗員28が視認可能な表示面42の面積が大きいことが好ましい。これを鑑みて、表示面の大きさが異なる表示部を複数設置するような構成が考えられるが、このような構成では、乗員28に対して表示される情報の多寡に応じて、情報が表示される表示部を適宜変更する必要がある。
【0091】
ここで、本実施形態では、図2に示されるように、ディスプレイ駆動部44が駆動することで、ディスプレイ38を車室14内に配置されたルーフトリム24に対して出し入れすることができる。また、ディスプレイ駆動部44がディスプレイ駆動制御部116によって制御されることで、表示面42におけるルーフトリム24から露出した露出面積と情報が表示される表示面積とが比例するようになっている。
【0092】
このため、本実施形態では、一つのディスプレイ38において、情報が表示される表示面積が小さい場合には、乗員28が視認可能な表示面42の面積を小さくし、情報が表示される表示面積が大きい場合には、乗員28が視認可能な表示面42の面積を大きくすることができる。つまり、本実施形態では、一つのディスプレイ38において、乗員28が視認可能な表示面42の面積を、情報が表示される表示面積に応じて設定することができる。したがって、本実施形態では、情報の多寡に応じて乗員28に対して情報を表示するディスプレイ38を変更することなく、乗員28に対して適切に情報を表示することができる。
【0093】
また、本実施形態では、車両12の走行中において、外部センサ90によって車両12の周辺状況が取得される。そして、警告表示制御部114は、外部センサ90からの信号に基づいて、表示面42に表示される情報と、当該情報が表示される表示面積とを設定することができる。このため、本実施形態では、車両12の周辺状況に基づく情報を表示面42に表示することができると共に、当該周辺状況に応じて当該情報の表示面積を設定することができる。
【0094】
そして、本実施形態では、周辺状況の緊急度が低い場合には、図9に示されるように、警告表示制御部114によって、当該周辺状況に基づく情報の表示面積を第1表示面積に設定し、当該周辺状況の緊急度が高い場合には、図10に示されるように、当該表示面積を第1表示面積よりも大きい第2表示面積に設定することができる。したがって、本実施形態では、乗員28が車両12の周辺状況の緊急度をディスプレイ38の表示面42の大きさで把握することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、図6に示されるように、車両12の開錠時において、ディスプレイ38の表示面42によって、所定の文言の表示又は所定の照明の照射の少なくとも一方が行われる。このため、本実施形態では、乗員28の車両12への乗車時において、例えば、ディスプレイ38への乗員28のスケジュールの表示や、ディスプレイ38のウェルカムライトとしての利用が可能となる。したがって、本実施形態では、乗車時の乗員28に対する利便性を高めることができる。
【0096】
以下、図11図13に示されるフローチャートを主に用いて、制御装置40による車両用表示装置10の制御についてより詳しく説明することとする。
【0097】
まず、図11を用いて、設定情報がディスプレイ38の表示面42に表示されるときの制御フローについて説明する。この制御フローは、制御装置40がアンテナ94から、乗員28の携帯機器102の検出を示す検出信号を受け付けることで開始される。
【0098】
この制御フローが開始されると、ステップS100では、制御装置40のCPU74が設定情報表示制御部110として機能し、乗員28がディスプレイ操作装置98で入力した設定情報、当該設定情報が表示される時機等に基づき、表示面42に表示される設定情報、当該設定情報を表示する表示面積及び当該設定情報が表示される時機が設定され、ステップS101に進む。
【0099】
ステップS101では、CPU74がディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の露出面積と、ステップS100で設定された表示面42の表示面積とが同じ面積になるように、ディスプレイ駆動部44のモータ56の駆動量を設定し、ステップS102に進む。
【0100】
ステップS102では、CPU74が、設定情報表示制御部110及びディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の露出面積がステップS101で設定された露出面積となるようにディスプレイ駆動部44を駆動させて、ステップS100で設定された設定情報を所定時間表示面42に表示させる。そして、CPU74の制御によって、ディスプレイ38が通常状態まで収納され、制御フローは終了する。
【0101】
次に、図12を用いて、車両状態検出センサ88に基づく警告情報がディスプレイ38の表示面42に表示されるときの制御フローについて説明する。この制御フローは、制御装置40が車両状態検出センサ88から異常信号を受け付けることで開始される。
【0102】
この制御フローが開始されると、ステップS200では、制御装置40のCPU74が警告表示制御部114として機能し、ドア開閉センサやシートベルトセンサから入力された異常信号に基づき表示面42に表示される警告及び当該警告を表示する表示面積を設定し、ステップS201に進む。
【0103】
ステップS201では、CPU74がディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の露出面積と、ステップS200で設定された表示面42の表示面積とが同じ面積になるように、ディスプレイ駆動部44のモータ56の駆動量を設定し、ステップS202に進む。
【0104】
ステップS202では、CPU74が、警告表示制御部114及びディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の露出面積がステップS201で設定された露出面積となるようにディスプレイ駆動部44を駆動させてステップS200で設定された警告を表示面42に表示し、ステップS203に進む。
【0105】
ステップS203では、CPU74が、警告表示制御部114及びディスプレイ駆動制御部116として機能し、異常信号の入力の有無を判定する。そして、異常信号の入力が継続している場合(ステップS203:YES)、ステップS202に戻る。一方、異常信号が入力されていない場合(ステップS203:NO)、CPU74の制御によって、ディスプレイ38が通常状態まで収納され、制御フローは終了する。
【0106】
次に、図13を用いて、外部センサ90に基づく警告情報がディスプレイ38の表示面42に表示されるときの制御フローについて説明する。この制御フローは、制御装置40が所定時間毎に所定の信号を受け付けることで開始される。
【0107】
ステップS300では、制御装置40のCPU74が警告表示制御部114として機能し、外部センサ90から取得したデータに基づき車両12に接近する物体の有無を判定する。そして、車両12に接近する物体が有る場合(ステップS300:YES)、ステップS301に進み、車両12に接近する物体が無い場合(ステップS300:NO)、制御フローは終了する。
【0108】
ステップS301では、制御装置40のCPU74が警告表示制御部114として機能し、車両12に接近する物体と車両12との衝突の可能性の高低を判定する。そして、車両12に接近する物体と車両12との衝突の可能性が低い場合(ステップS301:YES)、ステップS302に進み、車両12に接近する物体と車両12との衝突の可能性が高い場合(ステップS301:NO)、ステップS303に進む。
【0109】
ステップS302では、制御装置40のCPU74が警告表示制御部114及びディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の表示面積を第1表示面積に設定する。そして、CPU74は、表示面42の露出面積が第1表示面積となるようにディスプレイ駆動部44を駆動させて、物体と当該物体の接近を知らせる警告とを表示面42に表示し、ステップS300に戻る。
【0110】
ステップS303では、制御装置40のCPU74が警告表示制御部114及びディスプレイ駆動制御部116として機能し、表示面42の表示面積を第2表示面積に設定する。そして、CPU74は、表示面42の露出面積が第2表示面積となるようにディスプレイ駆動部44を駆動させて、物体と当該物体との衝突を知らせる警告とを表示面42に表示し、制御フローは終了する。
【0111】
また、本実施形態によれば、図4に示されるように、乗員28による操作に基づいて、ディスプレイ38が照明モードに移行可能とされており、照明モードにおいて、表示面42が車室14内を照らす照明として機能する。また、本実施形態では、乗員28による操作に基づいて、表示面42から発する光の光度の設定及び表示面42の露出面積の設定の少なくとも一方を行うことができる。このため、本実施形態では、ディスプレイ38の周辺に別途照明を設けることなく、車室14におけるディスプレイ38周辺の光源を確保することができると共に、照明光の調整を行うことができる。したがって、本実施形態では、ディスプレイ38に情報の表示機能と照明機能とを集約し、車室14内の構成の簡略化を図ることができる。
【0112】
また、本実施形態では、図1に示されるように、車内カメラ92を備えており、車内カメラ92によって乗員28が撮像される。そして、本実施形態は、乗員28による操作に基づいて、図7に示されるように、ディスプレイ38がミラーモードに移行可能とされており、ミラーモードにおいて、表示面42に車内カメラ92による乗員28の映像が表示される。このため、本実施形態では、ディスプレイ38の表示面42を鏡として使用することができる。さらに、本実施形態では、乗員28による操作に基づいて、表示面42の露出面積の設定を行うことができ、その結果、乗員28が必要な範囲において、乗員28の鏡像を表示面42に表示することができる。したがって、本実施形態では、車室14内に鏡を設置することなく、乗員28が視認可能な位置に、乗員28の鏡像を映すことができる。
【0113】
また、本実施形態では、ディスプレイ38がミラーモードにある状態において、表示面42の周縁部が発光部118に設定されており、発光部118からは、白色光が照射される。このため、本実施形態では、ミラーモードにおいて、表示面42の周縁部をミラーライトとして機能させることができる。したがって、本実施形態では、表示面に表示される乗員の鏡像をより明確なものにすることができる
【0114】
加えて、本実施形態では、図2に示されるように、ディスプレイ38が、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えると共に、フィルム状とされており、ディスプレイ38を収納するときに、ディスプレイ38を曲げて変形させることができる。したがって、本実施形態では、ディスプレイ38に液晶ディスプレイを採用するような構成に比し、ディスプレイ38の収納に必要なスペースの拡大を抑制することができる。
【0115】
<第2実施形態>
以下、図14を用いて、本発明に係る車両用表示装置の第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0116】
本実施形態に係る「車両用表示装置150」は、第1実施形態に係る車両用表示装置10と基本的に同様の構成とされている。しかしながら、本実施形態では、ディスプレイ38の代わりに表示部としての「液晶ディスプレイ152」を備えている点及びディスプレイ駆動部44の代わりに駆動部としての「ボールねじ装置154」備えている点が上述した車両用表示装置10と異なっている。
【0117】
具体的には、液晶ディスプレイ152は、非使用時において、インストルメントパネル156に車両上方側及び車両後方側から覆われている。そして、インストルメントパネル156の車両上方側の部分には、液晶ディスプレイ152を挿通可能な図示しない被挿通部が形成されている。
【0118】
一方、ボールねじ装置154は、ベース部158、モータ160、カップリング162、一対の軸受け164、ねじ部166、ナット部168及び一対のガイドレール170を含んで構成されている。
【0119】
より詳しくは、モータ160は、カップリング162を介してねじ部166に連結されており、モータ160の駆動力をねじ部166に伝達することが可能となっている。また、ねじ部166は、車両上下方向に延在すると共に、その両端部が軸受け164によってベース部158に固定されている。そして、ねじ部166には、ナット部168が係合されており、このナット部168には、液晶ディスプレイ152が固定されている。また、ナット部168は、ガイドレール170によって、車両上下方向に案内されるようになっている。
【0120】
このような構成によれば、ボールねじ装置154を制御装置40で制御することで、液晶ディスプレイ152を車両上下方向に駆動させ、液晶ディスプレイ152の「表示面172」におけるインストルメントパネル156から露出した露出面積を調整可能とされている。このため、本実施形態によっても、表示部が有機エレクトロルミネッセンス素子を含んで構成されていることによる作用並びに効果を除き、上述した第1実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。
【0121】
<第3実施形態>
以下、図15及び図16を用いて、本発明に係る車両用表示装置の第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0122】
本実施形態では、車両12が自動運転可能とされると共に、車両12の手動運転中において、本実施形態に係る「車両用表示装置180」によって、ディスプレイ38のルーフトリム24からの出代Lが制限可能とされている点に特徴がある。
【0123】
具体的には、図16に示されるように、車両用表示装置180は、第1実施形態に係る車両用表示装置10と基本的に同様の構成とされているものの、制御装置40の通信I/F82に自動運転制御部としての「自動運転ECU182(以下、ECU182と称する。)」が電気的に接続されている。なお、ECU182には、制御装置40を介して外部センサ90で取得されたデータが送信されるようになっている。
【0124】
ECU182は、乗員28による図示しない切替スイッチの操作によって、車両12が手動運転モードから自動運転モードに切り替えられた状態において、車両12に搭載された自動運転システムを制御可能とされている。そして、ECU182には、車両位置検出装置としての「GPS(Global Positioning System)装置184」と、駆動アクチュエータ186とが電気的に接続されている。
【0125】
GPS装置184は、車両12の現在位置を測定する装置であり、図示しないGPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを備えている。なお、GPS装置184は、制御装置40に直接接続されていてもよい。
【0126】
駆動アクチュエータ186は、それぞれ図示しない操舵アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ及びパワーユニットアクチュエータを備えている。そして、操舵アクチュエータは、図示しないモータを含んで構成されると共に、ECU182から出力される信号に基づいて図示しない操舵装置を駆動させ、自動運転時において、ECU182による制御を図示しない操舵輪の舵角に反映させるようになっている。
【0127】
ブレーキアクチュエータは、図示しないモータを含んで構成されると共に、ECU182から出力される信号に基づいて図示しないブレーキ装置を駆動させ、自動運転時において、ECU182による制御を車両12の制動に反映させるようになっている。
【0128】
パワーユニットアクチュエータは、図示しないモータを含んで構成されると共に、ECU182から出力される信号に基づいて図示しないパワーユニットを駆動させ、自動運転時において、ECU182による制御を車両12の駆動に反映させるようになっている。
【0129】
また、本実施形態では、制御装置40のストレージ80に、所定の国又は地域と、これに対応する出代Lの値とが対応付けられた表示部管理テーブルが格納されている。なお、ここでいう出代Lとは、図15に示されるように、ディスプレイ38の車両前方側の端部38Bが車両上下方向において乗員28の視界に収まる所定の範囲Zの直上に位置するときにおけるディスプレイ38のルーフトリム24からの延出長さを意味している。
【0130】
ここで、範囲Zは、車両上下方向において、着席基準点Rから車両上方側に所定の距離H1離れた車両前後方向及び車両幅方向に延在する平面V1と、着席基準点Rから車両上方側に距離H1よりも短い所定の距離H2離れた車両前後方向及び車両幅方向に延在する平面V2との間の領域を意味している。なお、範囲Zは、車両12の各仕様並びに各国又は地域の法令や規則に基づいて定められる。
【0131】
そして、出代Lの値は、ディスプレイ38が通常状態から端部38Bが範囲Zの直上に位置するまで延出するのに必要なディスプレイ駆動部44におけるモータ56の回転数として、ストレージ80に記憶されている。つまり、出代Lの値は、車両12の各仕様並びに各国又は地域の法令や規則に対応して設定されている。
【0132】
ここで、本実施形態では、車両12が手動運転モードにある状態において、制御装置40がECU182を介してGPS装置184から車両12の位置情報を取得するようになっている。そして、制御装置40が、ストレージ80から車両12の位置に対応する出代Lの値を読み出すと共に、警告表示制御部114及びディスプレイ駆動制御部116として機能することで、出代Lに応じて表示面42の露出面積が調整されると共に、当該露出面積に基づいて第2表示面積が設定されるようになっている。
【0133】
このような構成によれば、自動運転モード時において、ECU182によって、車両12の自動運転が制御される。そして、車両12の自動運転中又は車両12の駐車中において、警告表示制御部114は、表示面42の全面に情報を表示可能としている。このため、本実施形態では、車両12の自動運転中又は車両12の駐車中において、乗員28が視認可能な表示面42の面積を確保することができる。
【0134】
一方、車両12の手動運転中において、ディスプレイ駆動制御部116は、ディスプレイ38が、車両上下方向において乗員28の視界に収まる所定の範囲Zの外側に位置するようにディスプレイ駆動部44の駆動量を制御する。これにより、車両12の自動運転中又は車両12の駐車中に比し、表示面42の露出面積が制限されることとなる。そして、警告表示制御部114は、表示面42の露出面積に基づき第2表示面積を設定する。
【0135】
このため、本実施形態では、車両12の手動運転中において表示面42が乗員28の視界を遮ることを抑制しつつ、乗員28に対して表示面42を介して各種情報を表示することができる。したがって、本実施形態では、手動運転時の乗員28の視界の確保しつつ、乗員28に対して適切に情報を表示することができる。
【0136】
<第4実施形態>
以下、図17及び図18を用いて、本発明に係る車両用表示装置の第4実施形態について説明する。なお、上述した第2実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0137】
本実施形態では、本実施形態に係る「車両用表示装置190」が接触センサ196を備えており、接触センサ196によって、ディスプレイ38のルーフトリム24からの出代Lが制限可能とされている点に特徴がある。
【0138】
具体的には、図17に示されるように、ディスプレイ38の車両後方側の端部38Cには、板厚方向を車両上下方向とされると共に車両上下方向から見て矩形の板状とされたストッパベース192が取り付けられている。このストッパベース192は、その車両幅方向両側の端部192Aのそれぞれがガイドレール70に挿入されており、ガイドレール70に沿ってスライド移動可能とされている。
【0139】
また、ストッパベース192の車両後方側の部分には、車両前後方向に間隔をあけて複数の被嵌合部193が設けられており、これらのうちの一つには、四角柱状のストッパ194が嵌合されている。そして、ストッパ194は、ストッパベース192から車両下方側に突出した状態となっている。
【0140】
一方、接触センサ196は、ルーフトリム24の天井面部24Aの車両上方側の面に取り付けられたセンサ本体198と、センサ本体198の車両後方側の面に取り付けられたプッシュスイッチ200とを備えている。この接触センサ196は、図18に示されるように、制御装置40の入出力I/F84と電気的に接続されており、プッシュスイッチ200が押圧されることで停止信号を制御装置40に送信するようになっている。
【0141】
そして、制御装置40は、接触センサ196から停止信号を受信するとディスプレイ駆動部44を制御し、ディスプレイ38の車両前方側への送り出しを停止させると共に、このときの表示面42の露出面積を最大表示面積として設定し、ストレージ80に記憶するようになっている。
【0142】
このような構成によれば、ディスプレイ38が車両前方側へ送り出されるとストッパ194によってプッシュスイッチ200が押圧されて、所定の位置において、ディスプレイ38の送り出しが停止することとなる。そして、ストッパ194が嵌合される被嵌合部193を適宜選択することで、出代Lを各国又は地域の法令や規則に対応して設定することができる。このため、本実施形態では、ミラーモード時の表示面積が制限されることを除き、上述した第3実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。
【0143】
また、本実施形態では、GPS装置184から車両12の位置情報を取得することなく、ストッパ194の位置の変更のみによって出代Lを調整することができる。
【0144】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、表示部を内装部材に対して出し入れする駆動部として、ラックアンドピニオンピニオン機構やボールねじ機構を備えた装置が採用されていたが、駆動部に採用可能な機構は、これに限らない。例えば、車両12の仕様等に応じて、パンタグラフ機構を備えた装置を駆動部として採用してもよい。
【0145】
(2) また、上述した第1実施形態では、表示部に有機エレクトロルミネッセンスディスプレイが採用されていたが、これに限らない。例えば、車両12の仕様等に応じて、小型の液晶ディスプレイを複数連結させたものを表示部として採用してもよい。
【0146】
(3) 加えて、上述した第3実施形態及び第4実施形態では、第1実施形態と同様に有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたフィルム状の表示部を採用していたが、これに限らない。すなわち、上述した第3実施形態及び第4実施形態は、第2実施形態と同様にインストルメントパネルから車両上方側に延出される液晶ディスプレイを採用することも可能である。この場合には、液晶ディスプレイのインストルメントパネルからの出代は、液晶ディスプレイの車両上方側の端部が範囲Zの直下に位置する値に設定される。
【符号の説明】
【0147】
10 車両用表示装置
12 車両
14 車室
24 ルーフトリム(内装部材)
38 ディスプレイ(表示部)
42 表示面
44 ディスプレイ駆動部(駆動部)
108 標準情報表示制御部(表示制御部)
110 設定情報表示制御部(表示制御部)
112 ミラー表示制御部(表示制御部)
114 警告表示制御部(表示制御部)
116 ディスプレイ駆動制御部(駆動制御部)
118 発光部
150 車両用表示装置
152 液晶ディスプレイ(表示部)
154 ボールねじ装置(駆動部)
156 インストルメントパネル(内装部材)
172 表示面
180 車両用表示装置
182 自動運転ECU(自動運転制御部
184 GPS装置(車両位置検出装置)
190 車両用表示装置
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