(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20250107BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20250107BHJP
E05D 15/16 20060101ALI20250107BHJP
E06B 3/44 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E05F17/00 C
E05D13/00 L
E05D15/16 A
E06B3/44
(21)【出願番号】P 2021144254
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2024-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 猛
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-260819(JP,A)
【文献】特開平8-218731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0230331(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0186484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E05D 15/16
E05F 17/00
E06B 3/42-3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦建材及び上下の横建材によって構成される枠体に室内側の障子及び室外側の障子がそれぞれ上下に移動可能に配設され、前記縦建材に滑車が回転可能に設けられているとともに、前記障子の相互間を連結する索状体が前記滑車に巻き掛けられることにより、前記障子が上下を逆にして連動する建具であって、
前記縦建材には前記室内側の障子と前記室外側の障子との間に仕切り壁部が設けられ、前記仕切り壁部には前記滑車を取り付ける位置に連通孔が設けられ、
前記滑車は、支持軸を介してベースに回転可能に支持され、前記仕切り壁部の連通孔を貫通した状態で前記ベースが前記縦建材の見込み面に取り付けられており、
前記ベースには、下方となる部分に前記仕切り壁部が嵌合する嵌合溝が設けられ、かつ上方となる部分には前記縦建材の見込み面と前記連通孔の内壁面との間に嵌め込まれる突出部が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記嵌合溝は、前記仕切り壁部に嵌合する一定の幅を有し、かつ下端部が下方に向けて漸次幅が拡大するテーパ溝に連続していることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記ベースは、前記滑車よりも外周となる部分にネジ挿通孔を有し、前記ネジ挿通孔を介して前記縦建材に取付ネジを螺合することによって取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記枠体の見込み方向に沿った寸法は、前記障子が設けられる部分に比べて外周部分が小さく構成され、かつ前記縦建材は、前記障子が設けられる部分と前記外周部分とで室内に臨む見付け面が同一平面上に位置したものであり、
前記ベースには、前記仕切り壁部よりも室内側に位置する部分にのみ前記取付ネジが螺合されていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に室内側の障子及び室外側の障子がそれぞれ上下に移動可能に配設され、障子の間を連結する索状体が滑車に巻き掛けられることにより、2つの障子が上下を逆にして連動する建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玄関ドア等の面材には、上げ下げ窓と称される建具が内蔵されたものがある。上げ下げ窓は、室内側の内障子及び室外側の外障子がそれぞれ上下に移動可能に配設されたものである。この種の上げ下げ窓には、内障子及び外障子の間をワイヤー等の索状体によって連結するとともに、枠体に滑車を配設し、索状体を滑車に巻き掛けることにより、内障子及び外障子が上下を逆にして連動するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の滑車は、ベースを介して取付ネジにより縦枠等の建材に取り付けられるのが一般的である。しかしながら、内障子及び外障子を移動させる場合には、上述の滑車に繰り返し外力が加えられるため、使用が長期にわたると取付ネジが弛緩して障子の開閉動作が不良となる懸念がある。こうした問題を解決するため例えば取付ネジの本数を増大することも考えられるが、取付作業が煩雑化するのは否めない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、取付作業を煩雑化することなく障子の動作不良を防止することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、左右の縦建材及び上下の横建材によって構成される枠体に室内側の障子及び室外側の障子がそれぞれ上下に移動可能に配設され、前記縦建材に滑車が回転可能に設けられているとともに、前記障子の相互間を連結する索状体が前記滑車に巻き掛けられることにより、前記障子が上下を逆にして連動する建具であって、前記縦建材には前記室内側の障子と前記室外側の障子との間に仕切り壁部が設けられ、前記仕切り壁部には前記滑車を取り付ける位置に連通孔が設けられ、前記滑車は、支持軸を介してベースに回転可能に支持され、前記仕切り壁部の連通孔を貫通した状態で前記ベースが前記縦建材の見込み面に取り付けられており、前記ベースには、下方となる部分に前記仕切り壁部が嵌合する嵌合溝が設けられ、かつ上方となる部分には前記縦建材の見込み面と前記連通孔の内壁面との間に嵌め込まれる突出部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベースの嵌合溝に仕切り壁部が嵌合することによって縦建材に対するベースの見込み方向の移動が制限され、ベースの突出部が連通孔の内壁面に当接することによって縦建材に対するベースの離隔する方向への移動が制限される。従って、例えば取付ネジの本数を増大することなく縦建材に対するベースの移動を制限することができるため、取付作業を煩雑化することなく障子の動作不良を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である建具を適用した玄関ドアを室内が輪から見た図である。
【
図4】
図1に示した玄関ドアを示すもので、(a)は2つの障子が閉じた状態の斜視図、(b)は2つの障子が開いた状態の斜視図である。
【
図5】
図1に示した玄関ドアにおいて2つの障子に対する滑車の位置を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示した玄関ドアに適用する滑車を示すもので、(a)はベースに支持された状態の斜視図、(b)はベースに支持された状態の正面図である。
【
図7】
図6に示した滑車及びベースを縦建材に取り付けた状態を示すもので、(a)は要部側面図、(b)は要部横断面図である。
【
図8】
図6に示した滑車及びベースを縦建材に取り付けた状態を示す要部斜視図である。
【
図9】
図6に示した滑車及びベースを縦建材に取り付けた状態を示すもので、(a)は下方側から見た要部斜視図、(b)は上方側から見た要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1~
図4は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、玄関ドアのドアパネルとして用いられるものである。玄関ドアは、上枠1、下枠2及び左右の縦枠3を四周枠組みして構成したドア枠体4の内部にヒンジ5を介してドアパネル6を開閉可能に支持させたものである。ドアパネル6は、枠体10及び2つの障子20A,20Bを備えて構成してある。
【0011】
枠体10は、上ドア枠(横建材)11、下ドア枠(横建材)12及び左右の縦ドア枠(縦建材)13を四周枠組みすることによって構成したものである。上ドア枠11、下ドア枠12及び左右の縦ドア枠13は、例えばアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では、それぞれ略長方形断面の中空状を成す外周部分11a,12a,13aと、見込み方向に沿った寸法が外周部分11a,12a,13aよりも大きく構成した内周部分11b,12b,13bとを一体に成形した上ドア枠11、下ドア枠12及び縦ドア枠13を例示している。外周部分11a,12a,13aと内周部分11b,12b,13bとは、室内側となる見付け面がほぼ同一の平面上に位置するように構成してある。縦ドア枠13の内周部分13bには、それぞれ内周側となる見込み面に仕切り壁部14が設けてある。仕切り壁部14は、縦ドア枠13の内周部分13bを見込み方向に二等分する位置から内周側に突出した薄板状を成すものである。図中の符号7は、一方の縦ドア枠13に設けたドアハンドルである。また符号8は、室外側に設けた網戸である。
【0012】
2つの障子20A,20Bは、それぞれ四角形状を成す複層ガラス21の四周に上框22、下框23及び左右の縦框24を装着することによって構成したものである。上框22、下框23及び左右の縦框24は、例えばアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。一方の障子(以下、区別する場合に内障子20Aという))は、枠体10の内部において仕切り壁部14よりも室内側となる部分に上下に移動可能に配設してある。他方の障子(以下、区別する場合に外障子20Bという)は、枠体10の内部において仕切り壁部14よりも室外側となる部分に上下に移動可能に配設してある。本実施の形態では、内障子20Aを下方に配置するとともに外障子20Bを上方に配置した場合に外障子20Bの下框23と内障子20Aの上框22とが互いに見込み方向に並設され、枠体10の開口を閉塞することができるようにそれぞれ障子20A,20Bの寸法が設定してある。図には明示していないが、これら内障子20A及び外障子20Bは、縦框24の下端部間がワイヤー等の索状体25によって連結してある。索状体25は、内障子20Aの左側の縦框24と外障子20Bの左側の縦框24の間及び内障子20Aの右側の縦框24と外障子20Bの右側の縦框24の間を個別に連結するもので、それぞれの中間部が縦ドア枠13に設けた滑車30に巻き掛けてある。
【0013】
滑車30は、
図6~
図9に示すように、支持軸31を介してベース32に回転可能に支持させたもので、縦ドア枠13の内周側となる見込み面にベース32を介して取り付けてある。滑車30の外周面には、索状体25が巻き掛けられるガイド溝30aが設けてある。ベース32は、長方形状の外形を有したベース本体32aと、ベース本体32aの一端部から直角方向に向けて屈曲した突出板部(突出部)32bと、ベース本体32aの一端両側縁部から突出板部32bと同じ方向に屈曲した2つの規制板部32cとを一体に成形したものである。ベース本体32aには、ほぼ中央となる部分に突出板部32bと同じ方向に突出した円錐台状を成す軸支持部32dが設けてあり、軸支持部32dの中心部に支持軸31が配設してある。ベース本体32aの長手寸法は、滑車30の外径よりも大きく設定してある一方、ベース本体32aの短手寸法は、滑車30の外径よりも小さい。ベース本体32aにおいて滑車30よりも外周となる部分には、支持軸31を中心とした円周上となる4位置にネジ挿通孔32eが設けてある。ベース本体32aの他端部には、嵌合溝32f及びテーパ溝32gが設けてある。嵌合溝32fは、縦ドア枠13に設けた仕切り壁部14が嵌合することのできる寸法に形成した長方形状の切欠であり、ベース本体32aの長辺から互いに等距離となる位置に形成してある。テーパ溝32gは、嵌合溝32fよりもベース本体32aの基端部側において嵌合溝32fに連続し、ベース本体32aの基端部に向けて漸次幅が拡大するもので、ベース本体32aの基端縁に開口している。突出板部32bは、ベース本体32aからの突出寸法が滑車30の軸方向に沿った寸法よりも大きく設定してあり、支持軸31に支持させた滑車30の端面よりも突出している。規制板部32cは、それぞれの先端部が滑車30の周面に当接するように設けてあり、ガイド溝30aから索状体25が逸脱するのを防止するように機能するものである。
【0014】
上述の滑車30は、縦ドア枠13の仕切り壁部14に設けた連通孔14aを介して滑車30の周面がそれぞれ仕切り壁部14よりも室外側及び室内側のそれぞれに露出した状態でベース本体32aを介して縦ドア枠13の見込み面に取り付けてある。より具体的に説明すると、仕切り壁部14の連通孔14aは、長方形状を成すもので、滑車30を取り付けた状態のベース32を横から挿入することができる寸法に形成してある。縦ドア枠13の見込み面から連通孔14aにおいて縦ドア枠13の見込み面に対向する内周壁面14a1までの寸法は、ベース32においてベース本体32aの裏面から突出板部32bの突出端面までの寸法よりもわずかに大きく設定してある。連通孔14aにベース32を配置するには、例えばベース32を斜めにしてテーパ溝32gの間に仕切り壁部14を挿入し、その後、ベース32の姿勢が鉛直に沿うように回転させながら嵌合溝32fに仕切り壁部14を嵌合させれば良い。嵌合溝32fに仕切り壁部14が嵌合した後においては、ベース本体32aにおいて仕切り壁部14よりも室内側に配置されるネジ挿通孔32eを介して縦ドア枠13に取付ネジ33が螺合してある。滑車30を取り付ける位置は、内障子20A及び外障子20Bを閉じた場合に互いに並設される外障子20Bの下框23と内障子20Aの上框22とのほぼ中間となる部分である。滑車30に巻き掛けられる索状体25の寸法は、内障子20A及び外障子20Bが閉じた状態にある場合、内障子20Aの縦框24から上方に延在した後、滑車30で反転して下方に延在し、外障子20Bの縦框24に緩み無く連結するように設定してある。
【0015】
上記のように構成したドアパネル6では、内障子20A及び外障子20Bが閉じられた状態から内障子20Aを上方に移動させると、滑車30が回転することで仕切り壁部14よりも室内側に位置する索状体25の長さが減少する一方、仕切り壁部14よりも室外側に位置する索状体25の長さが増加し、外障子20Bが下方に移動することになる。この結果、枠体10の上方部及び下方部が開放するため、ドア枠体4に対してドアパネル6を閉じた状態においても室内の換気を行うことが可能となる。この状態から内障子20Aを下方に移動させると、滑車30が回転することで仕切り壁部14よりも室内側に位置する索状体25の長さが増加する一方、仕切り壁部14よりも室外側に位置する索状体25の長さが減少することになり、外障子20Bが上方に移動することによって枠体10が閉じられた状態に復帰する。
【0016】
これらの間、上述のドアパネル6では、索状体25を通じて滑車30に繰り返し外力が加えられることになり、ベース32と縦ドア枠13との間を螺合する取付ネジ33が弛緩する懸念がある。しかしながら、このドアパネル6では、ベース32の下端部に設けた嵌合溝32fに縦ドア枠13の仕切り壁部14が嵌合した状態にあり、縦ドア枠13に対するベース32の見込み方向に沿った移動が制限されている。また、連通孔14aに配置したベース32の突出板部32bは、突出端面が連通孔14aにおいて縦ドア枠13の見込み面に対向する内周壁面14a1に近接して配置された状態となっている。従って、縦ドア枠13に対するベース32の離隔する方向への移動が制限されることになる。これらの結果、仮に取付ネジ33が弛緩したとしても、縦ドア枠13に対するベース32の移動を制限することができるため、障子20A,20Bの動作不良を防止することが可能となる。さらに、取付ネジ33としては、仕切り壁部14よりも室内側となる部分にのみ設けるようにしている。これにより、取付ネジ33の螺合作業が少なくなり、滑車30を縦ドア枠13に取り付ける際の作業を容易化することができるようになる。加えて、仕切り壁部14よりも室外側となる部分に取付ネジ33を螺合していないため、縦ドア枠13としては障子20A,20Bが設けられる内周部分11b,12b,13bと外周部分11a,12a,13aとで室内に臨む見付け面が同一平面上に位置したものを適用しても、取付ネジ33の軸部が枠体10の外部に露出する事態を招来することがない。
【0017】
なお、上述した実施の形態では、玄関ドアのドアパネルとして用いられる建具を例示しているが、必ずしも玄関ドアのドアパネルである必要はない。また、滑車30を支持するベース32として、4つのネジ挿通孔32e及びテーパ溝32gが左右で対称となるように形成したものを適用しているため、右側の縦ドア枠13と左側の縦ドア枠13とで共通のものを使用することができ、部品点数の削減を図ることができる。しかしながら、本発明は必ずしもこれに限定されず、ネジ挿通孔32eは仕切り壁部14の片側にのみ設ければ良く、テーパ溝32gについても片側のみが傾斜するように形成したものであっても構わない。さらに、突出部として板状を成す突出板部32bを例示しているが、必ずしも板状である必要はなく、縦建材に取り付けた場合に挿入孔の内壁面に近接して配置されるものであればその他の形状のものであっても構わない。
【0018】
以上のように、本発明に係る建具は、左右の縦建材及び上下の横建材によって構成される枠体に室内側の障子及び室外側の障子がそれぞれ上下に移動可能に配設され、前記縦建材に滑車が回転可能に設けられているとともに、前記障子の相互間を連結する索状体が前記滑車に巻き掛けられることにより、前記障子が上下を逆にして連動する建具であって、前記縦建材には前記室内側の障子と前記室外側の障子との間に仕切り壁部が設けられ、前記仕切り壁部には前記滑車を取り付ける位置に連通孔が設けられ、前記滑車は、支持軸を介してベースに回転可能に支持され、前記仕切り壁部の連通孔を貫通した状態で前記ベースが前記縦建材の見込み面に取り付けられており、前記ベースには、下方となる部分に前記仕切り壁部が嵌合する嵌合溝が設けられ、かつ上方となる部分には前記縦建材の見込み面と前記連通孔の内壁面との間に嵌め込まれる突出部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、ベースの嵌合溝が仕切り壁部に嵌合することによって縦建材に対するベースの見込み方向の移動が制限され、ベースの突出部が連通孔の内壁面に当接することによって縦建材に対するベースの離隔する方向への移動が制限される。従って、例えば取付ネジの本数を増大することなく縦建材に対するベースの移動を制限することができるため、取付作業を煩雑化することなく障子の動作不良を防止することが可能となる。
【0019】
また本発明は、上述した建具において、前記嵌合溝は、前記仕切り壁部に嵌合する一定の幅を有し、かつ下端部が下方に向けて漸次幅が拡大するテーパ溝に連続していることを特徴としている。
この発明によれば、テーパ溝によって仕切り壁部に対する嵌合溝の位置決めが行われるため、仕切り壁部に対して嵌合溝を嵌合する際の作業を容易化することができる。
【0020】
また本発明は、上述した建具において、前記ベースは、前記滑車よりも外周となる部分にネジ挿通孔を有し、前記ネジ挿通孔を介して前記縦建材に取付ネジを螺合することによって取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、予めベースに滑車が取り付けられた状態で枠体の内周側から取付ネジを螺合することができ、取付作業の容易化を図ることが可能となる。
【0021】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体の見込み方向に沿った寸法は、前記障子が設けられる部分に比べて外周部分が小さく構成され、かつ前記縦建材は、前記障子が設けられる部分と前記外周部分とで室内に臨む見付け面が同一平面上に位置したものであり、前記ベースには、前記仕切り壁部よりも室内側に位置する部分にのみ前記取付ネジが螺合されていることを特徴としている。
この発明によれば、仕切り壁部よりも室内側に位置する部分にのみ取付ネジが螺合されているため、枠体の室内に臨む見付け面が同一平面上に位置しても螺合した取付ネジの軸部が枠体の外部に露出する事態を招来するおそれがない。
【符号の説明】
【0022】
6 ドアパネル、10 枠体、11 上ドア枠、12 下ドア枠、13 縦ドア枠、11a,12a,13a 外周部分、11b,12b,13b 内周部分、14 仕切り壁部、14a 連通孔、14a1 内周壁面、20A,20B 障子、25 索状体、30 滑車、31 支持軸、32 ベース、32b 突出板部、32e ネジ挿通孔、32f 嵌合溝、32g テーパ溝、33 取付ネジ