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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】電動シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20250107BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20250107BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/17 Z
E06B9/58 Z
E06B9/72
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021202875
(22)【出願日】2021-12-14
(65)【公開番号】P2023088178
(43)【公開日】2023-06-26
【審査請求日】2024-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】山本 理史
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義貴
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-196358(JP,A)
【文献】特開2003-221987(JP,A)
【文献】特開2012-233313(JP,A)
【文献】特開2014-163178(JP,A)
【文献】特開2018-138754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/58
E06B 9/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側板の内表面相互間に巻取軸が配設され、電動モータの駆動により前記巻取軸の周囲に対してシャッターカーテンの巻き取り及び繰り出しを行う電動シャッター装置であって、
前記側板の内表面には複数のスラットガイドが前記巻取軸を取り囲むように周方向に並設され、
前記複数のスラットガイドの少なくとも一つは、一方の端部を介して前記側板に連結され、かつ一方の端部が前記側板に連結された状態で他方の端部が前記側板に対して離隔移動可能であり、
前記スラットガイドの他方の端部と前記側板との間には、前記電動モータとの間を接続するケーブルが収容されていることを特徴とする電動シャッター装置。
【請求項2】
前記スラットガイドの他方の端部と前記側板との間には、前記ケーブルを着脱可能に連結するコネクタが収容されていることを特徴とする請求項1に記載の電動シャッター装置。
【請求項3】
前記巻取軸には、前記電動モータが内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の電動シャッター装置。
【請求項4】
前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記巻取軸よりも躯体側に位置する部分を含むように設けられた内方スラットガイドを有し、
前記内方スラットガイドの他方の端部と前記側板との間に前記コネクタが収容されていることを特徴とする請求項2に記載の電動シャッター装置。
【請求項5】
前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記巻取軸よりも室外側に位置する部分を含むように設けられた外方スラットガイドを有し、
前記外方スラットガイドは、前記巻取軸の周囲に確保した前記シャッターカーテンの巻き取り空間よりも外周となる部分に前記側板との連結部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電動シャッター装置。
【請求項6】
前記外方スラットガイドは、前記内方スラットガイドの他方の端部に近接した基端部にのみ前記側板との連結部が設けられ、かつ前記内方スラットガイドの他方の端部が前記側板から離隔する方向の移動を制限する状態で前記基端部が前記内方スラットガイドに係合されていることを特徴とする請求項5に記載の電動シャッター装置。
【請求項7】
前記側板の内表面には、それぞれ前記巻取軸を前記外方スラットガイドによって覆われる方向に移動させた場合に前記巻取軸の着脱が可能となる軸支持部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電動シャッター装置。
【請求項8】
前記巻取軸の内部には、前記電動モータの回転方向及び回転速度を制御するためのコントロールユニットが内蔵され、
前記外方スラットガイドは、内部に収容空間を有した中空状を成すものであり、
前記外方スラットガイドの収容空間には、前記コントロールユニットを外部機器に接続するための通信機器が収容されるとともに、下方に向いた部分に前記通信機器の入出力端子が外部に露出するように設けられ、
前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記入出力端子を覆う部分を含むように設けられた下方スラットガイドを有することを特徴とする請求項5に記載の電動シャッター装置。
【請求項9】
前記外方スラットガイドは、前記内方スラットガイドの他方の端部に近接した基端部にのみ前記側板との連結部が設けられ、
前記外方スラットガイドの先端部は、前記側板からの離隔する方向の移動が制限された状態で前記下方スラットガイドに係合されていることを特徴とする請求項8に記載の電動シャッター装置。
【請求項10】
前記下方スラットガイドは、前記外方スラットガイドの先端部に近接する部分にのみ前記側板との連結部が設けられ、かつ前記内方スラットガイドに近接する部分は前記側板から離隔する方向の移動が制限された状態で前記内方スラットガイドの一端部に係合されていることを特徴とする請求項8に記載の電動シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータの駆動により巻取軸の周囲に対してシャッターカーテンの巻き取り及び繰り出しを行う電動シャッター装置においては、巻取軸を支持するシャッターケースの側板と巻取軸に巻き取られたシャッターカーテンとの間の隙間に、電動モータに対して電源を供給するケーブルが設けられる。このため、この種の電動シャッター装置では、側板の内表面にスラットガイドを配設することによって側板とスラットガイドとの間に収容空間を構成し、この収容空間にケーブルを配設することにより、ケーブルとシャッターカーテンとが接触する事態を防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-196358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電動シャッター装置によれば、スラットガイドによってケーブルとシャッターカーテンとが接触する事態を防止することが可能となる。しかしながら、ケーブルを配設する際には、スラットガイドを側板から取り外さなければ実施することができず、電動シャッター装置の取り付け、取り外し作業を煩雑化する要因となり得る。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、取り付け作業や取り外し作業を煩雑化することなく、ケーブルを配設することのできる電動シャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電動シャッター装置は、2つの側板の内表面相互間に巻取軸が配設され、電動モータの駆動により前記巻取軸の周囲に対してシャッターカーテンの巻き取り及び繰り出しを行う電動シャッター装置であって、前記側板の内表面には複数のスラットガイドが前記巻取軸を取り囲むように周方向に並設され、前記複数のスラットガイドの少なくとも一つは、一方の端部を介して前記側板に連結され、かつ一方の端部が前記側板に連結された状態で他方の端部が前記側板に対して離隔移動可能であり、前記スラットガイドの他方の端部と前記側板との間には、前記電動モータとの間を接続するケーブルが収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケーブルを収容するスラットガイドは、一方の端部が側板に連結された状態で他方の端部が側板に対して離隔移動可能である。このため、当該スラットガイドについては一方の端部と側板との連結状態を解除することなくケーブルを配設する作業を実施することが可能となり、取り付け作業や取り外し作業を煩雑化する事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である電動シャッター装置の縦断面図である。
図2図1に示した電動シャッター装置を室外側から見た分解斜視図である。
図3図1に示した電動シャッター装置の構成要素を示すもので、(a)はシャッターケースの斜視図、(b)はシャッターケースを構成する側板の一方を示す斜視図、(c)はシャッターケースを構成する側板のもう一方の示す斜視図である。
図4図1に示した電動シャッター装置の構成要素を示すもので、(a)は周囲に巻取ロールを配設した状態の巻取軸の斜視図、(b)は巻取軸の一方の端部となるモータケースの要部拡大斜視図である。
図5図1に示した電動シャッター装置において側板と巻取軸との連結部分を示す要部斜視図である。
図6図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを示すもので、(a)はすべてのスラットガイドが取り付けられた状態の斜視図、(b)は外方スラットガイドを取り外した状態の斜視図、(c)は下方スラットガイドを取り外し板状態の斜視図である。
図7図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを示すもので、(a)はすべてのスラットガイドが取り付けられた状態を内表面側から見た図、(b)は下方スラットガイドを取り外した状態の図、(c)は(b)の状態からさらに外方スラットガイドを取り外した状態の図、(d)は(c)の状態からさらに巻取軸を取り外した状態の図である。
図8図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを水平面に沿って一部を破断して上方から見た斜視図である。
図9図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを水平面に沿って一部を破断して下方から見た斜視図である。
図10図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを鉛直面に沿って一部を破断して室外側から見た斜視図である。
図11図1に示した電動シャッター装置の側板及び複数のスラットガイドを示すもので、(a)はすべてのスラットガイドが取り付けられた状態を内表面側から見た図、(b)は外方スラットガイド及び下方スラットガイドを取り外した状態の図、(c)は(b)の状態からさらに巻取軸を取り外した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る電動シャッター装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、電動シャッター装置の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、上枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である電動シャッター装置を示すものである。ここで例示する電動シャッター装置は、引き違い窓等の建具の枠体10を対象としてその上部に付設するものである。電動シャッター装置が取り付けられる建具の枠体10には、上枠11よりも上方となる部分にシャッターボックス20が構成してある。シャッターボックス20は、電動シャッター装置を収容して支持するためのもので、左右の縦枠12の上端部を上枠11よりも上方に延在し、延在した縦枠12の上端部間にルーフ板21を架設することによって横長直方体状に構成してある。
【0011】
上述のシャッターボックス20に配置する電動シャッター装置は、シャッターケース30に設けた巻取軸31の周囲に対してシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しを行うものである。シャッターケース30は、図2及び図3に示すように、背板33の両側にそれぞれ互いに対向するように側板34を設けて構成したものである。シャッターケース30において左右の側板34の間の上方側及び室外側となる部分は、フロントカバー35aによって着脱可能に覆ってある。側板34の互いに対向する部分には、巻取軸31を支持するためのブラケット(軸支持部)36が取り付けてある。巻取軸31は、電動モータ37及びそのコントロールユニット38を内蔵するとともに、外周部に巻取ロール39を回転可能に支持するもので、電動モータ37の駆動により巻取ロール39を相対的に双方向に回転させることが可能である。コントロールユニット38は、後述するリモコンや室内端末機器(図示せず)から与えられた指令に基づいて電動モータ37の回転方向及び回転速度を制御するものである。
【0012】
本実施の形態では、図4に示すように、巻取ロール39の一方の端部からシャフト31aが突出し、かつ他方の端部からモータケース31bが突出した巻取軸31を適用しており、シャフト31a及びモータケース31bをそれぞれブラケット36に連結することにより、左右の側板34の間に巻取軸31が取り付けてある。より具体的に説明すると、ブラケット36は、図3(b)、図3(c)に示すように、それぞれが支持壁部36aと、支持壁部36aの両側に設けた2つの側壁部36bとを有したもので、側壁部36bの間の支持開口36cが室外に向けて斜め上方に開口する状態で側板34の内表面34aにおいてほぼ中央となる部分に取り付けてある。2つの側壁部36bの相互間隔は、巻取軸31のシャフト31aを収容することのできる寸法に形成してある。巻取軸31のシャフト31aは、支持壁部36a及び2つの側壁部36bの間にシャフト31aを配置した状態で側壁部36b及びシャフト31aにわたって連結ピン(図示せず)を貫通させることによってブラケット36に着脱可能に連結してある。一方、巻取軸31のモータケース31bには、図4(b)に示すように、2つの側壁部36bの幅とほぼ同じ幅を有した凹部31cが周面及び端面に開口するように形成してある。モータケース31bは、ブラケット36を凹部31cに嵌合させた状態でモータケース31b及び側壁部36bにわたって連結ピン(図示せず)を貫通させることにより、ブラケット36に着脱可能に連結してある。ブラケット36とシャフト31aとの間に貫通した連結ピン(図示せず)及びブラケット36とモータケース31bとの間に貫通した連結ピン(図示せず)を抜き去れば、側壁部36bの間の支持開口36cに向けて巻取軸31を径方向に移動させることにより、側板34の間から巻取軸31を取り外すことが可能である。
【0013】
シャッターカーテン32は、図1に示すように、複数のスラット32aを相互に連結することによって構成したもので、一方の端部が巻取ロール39に連結してある。電動モータ37の駆動により巻取軸31に対して巻取ロール39が回転すると、巻取ロール39の周囲に対してシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しを行うことが可能である。図1及び図2に示すように、左右の縦枠12には、室外側となる部分にそれぞれガイドレール13が設けてある。巻取ロール39から繰り出されたシャッターカーテン32は、両側の縁部がガイドレール13に挿入された状態にあり、枠体10の開口部を閉塞することが可能である。図1に示すように、巻取ロール39の外周面と背板33及びフロントカバー35aとの間には、巻取ロール39にシャッターカーテン32をすべて巻き取った場合にもシャッターカーテン32が背板33及びフロントカバー35aに接触しないように巻き取り空間32Aが確保してある。また、シャッターケース30の側板34の相互間には、シャッターカーテン32よりも大きな相互間隔が確保してあり、巻取ロール39に巻き取ったシャッターカーテン32が側板34の内表面34aに接触することもない。なお、図2中の符号35bは、側板34において縦枠12よりも室外側に突出した部分の外表面を覆うサイドカバーである。
【0014】
図5に示すように、一方の側板34(本実施の形態では室外側から見た場合に右側の側板)には、他方の側板34に対向する内表面34aに3つのスラットガイド40A,40B,40Cが巻取軸31を取り囲むように周方向に並設してある。より具体的に説明すると、巻取軸31のモータケース31bを支持する一方の側板34の内表面34aには、内方スラットガイド40A、外方スラットガイド40B、下方スラットガイド40Cがモータケース31bを取り囲むように設けてある。それぞれのスラットガイド40A,40B,40Cは、樹脂によって成形したものである。
【0015】
内方スラットガイド40Aは、図5図11に示すように、側板34の内表面34aにおいて巻取軸31の軸心を通過する仮想の鉛直面と背板33との間に位置する部分を覆うように設けた半円弧状を成すもので、内方表面部40A1及び内方周壁部40A2を有している。内方表面部40A1は、側板34の内表面34aに対してほぼ平行となるように配置される平板状を成す部分である。内方周壁部40A2は、内方表面部40A1の縁部から側板34の内表面34aに向けて突出したもので、側板34との間に内方収容空間40A3を構成している。この内方スラットガイド40Aは、下方において背板33に近接した隅部にのみネジ挿通孔(連結部)40A4を有しており、ネジ挿通孔40A4を介して側板34にネジSを螺合することによって側板34に取り付けてある。ネジ挿通孔40A4の位置は、上述した巻き取り空間32Aよりも外周側となる位置に設けてあり、巻取ロール39にすべてのシャッターカーテン32を巻き取った状態においてもシャッターカーテン32に覆われることはない。
【0016】
この内方スラットガイド40Aは、図からも明らかなように、左右方向の寸法に対して上下方向の寸法が大きくなるように構成したもので、適宜撓めることによりネジSを螺合した状態においても上端部を側板34から離隔させることが可能である。内方収容空間40A3の上端部には、図7に示すように、建物内部の電源を巻取軸31の電動モータ37及びコントロールユニット38に供給するための電源ケーブル(ケーブル)51及びそのコネクタ51aが収容してある。電源ケーブル51は、背板33に設けた挿通孔33aを経てシャッターケース30の内部に進入し、進入端部に設けたコネクタ51aが内方収容空間40A3の上端部に収容してある。電源ケーブル51のコネクタ51aは、巻取軸31のモータケース31bから引き出された接続ケーブル(ケーブル)52を電源ケーブル51に接続するためのものである。接続ケーブル52は、モータケース31bの背板33側に位置する部分から背板33に向けてほぼ水平に延在することによって内方収容空間40A3に収容された後、上方に向けて延在し、さらに室外に向けてほぼ水平に延在してあり、延在端部が電源ケーブル51のコネクタ51aに嵌合してある。
【0017】
外方スラットガイド40Bは、図5図11に示すように、側板34の内表面34aにおいて巻取軸31の軸心を通過する仮想の鉛直面と巻取軸31の下面を通過する仮想の水平面とによって囲まれる室外側の上方部分を覆うように設けた弧状を成すものである。すなわち、外方スラットガイド40Bは、側板34に設けたブラケット36において側壁部36bの間の支持開口36cの延長上となる部分を覆う位置に設けたものである。本実施の形態では、側板34に接する取付板部40B1と、もう一方の側板34に対向するガイド部40B2とを有し、互いの間に外方収容空間(収容空間)40B3を構成した外方スラットガイド40Bを適用している。ガイド部40B2の表面は、取付板部40B1を側板34の内表面34aに当接させた場合に、内方スラットガイド40Aの内方表面部40A1とほぼ同一の平面上に位置するように構成してある。この外方スラットガイド40Bは、上方において室外側となる隅部にのみネジ挿通孔(連結部)40B4を有しており、ネジ挿通孔40B4を介して側板34にネジSを螺合することによって側板34に取り付けてある。ネジ挿通孔40B4の位置は、上述した巻き取り空間32Aよりも外周側となる位置に設けてあり、巻取ロール39にすべてのシャッターカーテン32を巻き取った状態においてもシャッターカーテン32に覆われることはない。
【0018】
図8に示すように、外方スラットガイド40Bの上端部と内方スラットガイド40Aの上端部との間には、内外係合部40ABが設けてある。内外係合部40ABは、内方スラットガイド40Aが取り付けられた状態で側板34に外方スラットガイド40Bを取り付けた場合に互いに係合することにより、内方スラットガイド40Aの上端部が側板34から離隔する移動を制限するものである。本実施の形態では、内方スラットガイド40Aの内方表面部40A1において外方スラットガイド40Bに近接する部分に係合凹部40A5を設けるとともに、外方スラットガイド40Bのガイド部40B2において係合凹部40A5に対応する部分に外方係合片40B5を設け、係合凹部40A5の表面に外方係合片40B5を重ね合わせるように構成してある。また、内方スラットガイド40Aと外方スラットガイド40Bとは、巻取軸31の軸心を通過する仮想の鉛直面の上部において互いに隙間無く接しており、内方収容空間40A3と外方収容空間40B3とが相互に連通している。
【0019】
図5図11に示すように、外方スラットガイド40Bの外方収容空間40B3には、コントロールユニット38をリモコンや室内端末機器等の図示せぬ外部機器に接続するための通信機器53が配設してある。通信機器53は、操作ボタンを含んだ入出力端子53aを有するとともに、LED等の表示部53bを有したもので、入出力端子53aが外方スラットガイド40Bの下端部から下方に露出し、かつ表示部53bが外方スラットガイド40Bの室外に臨む表面から外部に露出した状態で外方スラットガイド40Bの内部に配設してある。通信機器53とコントロールユニット38との間は、モータケース31bから延在した通信ケーブル54のコネクタ54aを通信機器53に嵌合することにより、外方収容空間40B3の内部において接続してある。また、通信機器53には、建物内部の図示せぬ室内端末機器から延在された端末通信ケーブル55が接続してある。端末通信ケーブル55は、内方収容空間40A3の上端部を経て外方収容空間40B3に配設してあり、外方収容空間40B3の内部において通信機器53に接続してある。
【0020】
下方スラットガイド40Cは、側板34の内表面34aにおいて巻取軸31の軸心を通過する仮想の鉛直面と巻取軸31の下面を通過する仮想の水平面とによって囲まれる室外側の下方部分を覆うように設けた長方形状を成すものである。下方スラットガイド40Cにおいて背板33側に位置する部分は内方スラットガイド40Aの下端部に隙間無く接し、かつ下方スラットガイド40Cの上部は外方スラットガイド40Bの下端部に隙間無く接している。この下方スラットガイド40Cは、内方スラットガイド40Aと同様、下方表面部40C1及び下方周壁部40C2を有している。下方表面部40C1は、側板34の内表面34aに対してほぼ平行となるように配置される平板状を成す部分である。下方周壁部40C2は、下方表面部40C1の縁部から側板34の内表面34aに向けて突出したもので、下方表面部40C1が内方表面部40A1とほぼ同一の平面上に位置し、かつ側板34との間に下方収容空間40C3を構成している。下方収容空間40C3には、モータケース31bから延在したメンテナンスケーブル56が収容してある。メンテナンスケーブル56は、図示せぬメンテナンス用の端末機器を接続するためのもので、コネクタ56aを含む延在部分が内方収容空間40A3に配設してある。
【0021】
この下方スラットガイド40Cは、室外側となる部分にのみネジ挿通孔(連結部)40C4を有しており、ネジ挿通孔40C4を介して側板34にネジSを螺合することによって側板34に取り付けてある。ネジ挿通孔40C4の位置は、上述した巻き取り空間32Aよりも外周側となる位置に設けてある。従って、シャッターカーテン32が巻き取られた状態においても、下方スラットガイド40Cを取り外すことができ、メンテナンスケーブル56にメンテナンス用の端末機器を接続することが可能となる。側板34に下方スラットガイド40Cを取り付けた状態においては、外方スラットガイド40Bの下端部に設けた入出力端子53aが下方スラットガイド40Cによって覆われた状態となる。これにより、シャッターケース30の内部に雨水等の水が浸入した場合にも、入出力端子53aが水に晒されるおそれがない。
【0022】
図9図10に示すように、下方スラットガイド40Cと内方スラットガイド40Aとの間には下内係合部40ACが設けてあり、下方スラットガイド40Cと外方スラットガイド40Bとの間には下外係合部40BCが設けてある。下内係合部40ACは、内方スラットガイド40Aが取り付けられた状態で側板34に下方スラットガイド40Cを取り付けた場合に互いに係合することにより、下方スラットガイド40Cにおいて背板33側に位置する端部が側板34から離隔する移動を制限するものである。本実施の形態では、図9に示すように、内方スラットガイド40Aの内方収容空間40A3に挿入して内方表面部40A1に係合するように、下方スラットガイド40Cの下方表面部40C1に下内係合片40C5が設けてある。下外係合部40BCは、外方スラットガイド40Bが取り付けられた状態で側板34に下方スラットガイド40Cを取り付けた場合に互いに係合することにより、外方スラットガイド40Bの下端部が側板34から離隔する移動を制限するものである。本実施の形態では、図10に示すように、下方スラットガイド40Cの下方収容空間40C3に挿入して下方表面部40C1に係合するように、外方スラットガイド40Bのガイド部40B2に下外係合片40B6が設けてある。
【0023】
上記のように構成した電動シャッター装置では、図示せぬリモコンや室内端末機器を通じて建物の内部から操作を行えば、コントロールユニット38を通じて電動モータ37が操作に応じた方向及び回転速度で回転する。これにより、巻取軸31の巻取ロール39に対するシャッターカーテン32の巻き取り及び繰り出しが行われることになり、枠体10の開口部が適宜開閉されることになる。これらの動作の間、シャッターケース30の内部においては、シャッターカーテン32が移動することになる。しかしながら、電源ケーブル51、接続ケーブル52、通信ケーブル54、端末通信ケーブル55、メンテナンスケーブル56は、いずれも内方スラットガイド40A、外方スラットガイド40B、下方スラットガイド40Cと側板34との間に設けた内方収容空間40A3、外方収容空間40B3、下方収容空間40C3に配設してある。従って、シャッターカーテン32とこれらのケーブル51,52,54,55,56とが接触する事態を招来することがなく、断線等の問題を招来する懸念がない。しかも、3つのスラットガイド40A,40B,40Cは、それぞれが唯一ネジSを螺合すれば側板34に対して着脱することが可能となる。従って、側板34に3つのスラットガイド40A,40B,40Cが設けられることになるものの、製造作業やメンテナンス作業が煩雑化するおそれはない。
【0024】
加えて、電源ケーブル51と電動モータ37との間を接続するコネクタ51aは、内方スラットガイド40Aと側板34との間に設けた内方収容空間40A3の上端部に配設してある。従って、図11(b)に示す状態であれば、内方スラットガイド40Aと側板34との間を連結するネジSを螺合した状態のまま、内方スラットガイド40Aの上端部を側板34がから離隔させることで電源ケーブル51や接続ケーブル52を配設する作業やこれらの間のコネクタ51aの着脱作業を実施することが可能である。さらに、図11(a)に示すように、内方スラットガイド40Aが取り付けられた側板34に対して外方スラットガイド40Bを取り付けた状態においては、内外係合部40ABによって内方スラットガイド40Aの上端部が側板34から離隔する方向の移動が制限されることになり、内方スラットガイド40Aの上端部が不用意に側板34から離隔する事態を招来するおそれがない。外方スラットガイド40Bと側板34との連結部となるネジ挿通孔40B4は、巻き取り空間32Aよりも外周側となる部分に設けてある。従って、外方スラットガイド40Bを側板34に着脱する作業は、シャッターカーテン32が巻取軸31に巻き取られた状態においても実施可能である。外方スラットガイド40Bが側板34に取り付けられた状態から下方スラットガイド40Cを取り付けた場合には、下外係合片40B6によって外方スラットガイド40Bの下端部が側板34から離隔する方向の移動が制限されることになるとともに、下内係合片40C5によって下方スラットガイド40Cの背板33側に位置する端部が側板34から離隔する方向の移動が制限されることになる。
【0025】
さらに、図11(b)に示す状態においては、ブラケット36の側壁部36bの間の支持開口36cの延長上が開放されている。従って、内方スラットガイド40A(及び下方スラットガイド40C)を側板34に取り付けた状態のまま、図11(c)に示すように、ブラケット36に対して巻取軸31を着脱する作業を実施することができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
【0026】
なお、上述した実施の形態では、側板の内表面において巻取軸よりも躯体側に位置する部分を含むように設けられた内方スラットガイド40Aにケーブル51,52及びコネクタ51aを収容しているが、必ずしもコネクタ51aを収容する必要はなく、また収容するスラットガイドが内方スラットガイド40Aである必要はない。また、スラットガイドを3つ設けるようにしているが、2つ以上であれば必ずしも3つである必要はない。
【0027】
また、上述した実施の形態では、巻取軸として電動モータを内蔵したものを例示しているが、必ずしもこれに限らない。
【0028】
以上のように、本発明に係る電動シャッター装置は、2つの側板の内表面相互間に巻取軸が配設され、電動モータの駆動により前記巻取軸の周囲に対してシャッターカーテンの巻き取り及び繰り出しを行う電動シャッター装置であって、前記側板の内表面には複数のスラットガイドが前記巻取軸を取り囲むように周方向に並設され、前記複数のスラットガイドの少なくとも一つは、一方の端部を介して前記側板に連結され、かつ一方の端部が前記側板に連結された状態で他方の端部が前記側板に対して離隔移動可能であり、前記スラットガイドの他方の端部と前記側板との間には、前記電動モータとの間を接続するケーブルが収容されていることを特徴としている。
この発明によれば、ケーブルを収容するスラットガイドは、一方の端部が側板に連結された状態で他方の端部が側板に対して離隔移動可能である。このため、当該スラットガイドについては一方の端部と側板との連結状態を解除することなくケーブルを配設する作業を実施することが可能となり、取り付け作業や取り外し作業を煩雑化する事態を防止することができる。
【0029】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記スラットガイドの他方の端部と前記側板との間には、前記ケーブルを着脱可能に連結するコネクタが収容されていることを特徴としている。
この発明によれば、コネクタを着脱する際にもスラットガイドを取り外す必要がなく、作業性の点で有利となる。
【0030】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記巻取軸には、前記電動モータが内蔵されていることを特徴としている。
この発明によれば、電動モータを配設するスペースを別途確保する必要がなく、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0031】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記巻取軸よりも躯体側に位置する部分を含むように設けられた内方スラットガイドを有し、前記内方スラットガイドの他方の端部と前記側板との間に前記コネクタが収容されていることを特徴としている。
この発明によれば、巻取軸と建物の躯体側となる部分との間の内方スラットガイドにコネクタが収容されるため、ケーブルの全長が短くてすむ。
【0032】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記巻取軸よりも室外側に位置する部分を含むように設けられた外方スラットガイドを有し、前記外方スラットガイドは、前記巻取軸の周囲に確保した前記シャッターカーテンの巻き取り空間よりも外周となる部分に前記側板との連結部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、巻取軸の周囲にシャッターカーテンが巻き取られた状態であっても外方スラットガイドを取り外すことができる。
【0033】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記外方スラットガイドは、前記内方スラットガイドの他方の端部に近接した基端部にのみ前記側板との連結部が設けられ、かつ前記内方スラットガイドの他方の端部が前記側板から離隔する方向の移動を制限する状態で前記基端部が前記内方スラットガイドに係合されていることを特徴としている。
この発明によれば、内方スラットガイドを側板に対して着脱する場合には基端部に設けた連結部のみを操作すれば良く、作業性の点で有利となる。しかも、側板に外方スラットガイドを取り付けた状態においては、内方スラットガイドの他方の端部が外方スラットガイドに係合するため、内方スラットガイドの他方の端部が不用意に側板から離隔することがない。
【0034】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記側板の内表面には、それぞれ前記巻取軸を前記外方スラットガイドによって覆われる方向に移動させた場合に前記巻取軸の着脱が可能となる軸支持部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、外方スラットガイドを取り外すことにより、側板の相互間から巻取軸を取り外すことが可能となる。
【0035】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記巻取軸の内部には、前記電動モータの回転方向及び回転速度を制御するためのコントロールユニットが内蔵され、前記外方スラットガイドは、内部に収容空間を有した中空状を成すものであり、前記外方スラットガイドの収容空間には、前記コントロールユニットを外部機器に接続するための通信機器が収容されるとともに、下方に向いた部分に前記通信機器の入出力端子が外部に露出するように設けられ、前記複数のスラットガイドは、前記側板の内表面において前記入出力端子を覆う部分を含むように設けられた下方スラットガイドを有することを特徴としている。
この発明によれば、入出力端子が下方スラットガイドによって覆われるため、雨水等の水に晒されるおそれがない。
【0036】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記外方スラットガイドは、前記内方スラットガイドの他方の端部に近接した基端部にのみ前記側板との連結部が設けられ、前記外方スラットガイドの先端部は、前記側板からの離隔する方向の移動が制限された状態で前記下方スラットガイドに係合されていることを特徴としている。
この発明によれば、外方スラットガイドを側板に対して着脱する場合には基端部に設けた連結部のみを操作すれば良く、作業性の点で有利となる。しかも、側板に外方スラットガイドを取り付けた状態においては、外方スラットガイドの先端部が下方スラットガイドに係合するため、外方スラットガイドの先端部が不用意に側板から離隔することがない。
【0037】
また本発明は、上述した電動シャッター装置において、前記下方スラットガイドは、前記外方スラットガイドの先端部に近接する部分にのみ前記側板との連結部が設けられ、かつ前記内方スラットガイドに近接する部分は前記側板から離隔する方向の移動が制限された状態で前記内方スラットガイドの一端部に係合されていることを特徴としている。
この発明によれば、下方スラットガイドを側板に対して着脱する場合には外方スラットガイドに近接する部分に設けた連結部のみを操作すれば良く、作業性の点で有利となる。しかも、下方スラットガイドを側板に取り付けた状態においては内方スラットガイドに近接する部分が内方スラットガイドに係合するため、下方スラットガイドが不用意に側板から離隔することがない。
【符号の説明】
【0038】
31 巻取軸、32 シャッターカーテン、32A 巻き取り空間、34 側板、34a 内表面、36 ブラケット、37 電動モータ、38 コントロールユニット、40A,40B,40C スラットガイド、40A3 内方収容空間、40A4 ネジ挿通孔、40A5 係合凹部、40AB 内外係合部、40AC 下内係合部、40B3 外方収容空間、40B4 ネジ挿通孔、40B5 外方係合片、40B6 下外係合片、40BC 下外係合部、40C3 下方収容空間、40C4 ネジ挿通孔、40C5 下内係合片、51 電源ケーブル、51a コネクタ、52 接続ケーブル、53 通信機器、53a 入出力端子
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図11