(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】包装内に剤形を形成する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61K 9/20 20060101AFI20250107BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20250107BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20250107BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20250107BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20250107BHJP
B29C 64/336 20170101ALI20250107BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250107BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250107BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20250107BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20250107BHJP
【FI】
A61K9/20
A61J3/06 A
A61J3/06 P
A61K9/00
B29C64/165
B29C64/209
B29C64/336
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2021545285
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 US2019056323
(87)【国際公開番号】W WO2020081561
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518059060
【氏名又は名称】アプレシア・ファーマスーティカルズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ローレン・イー・ビーチ-ヘレラ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エフ・ボルト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ブラッドベリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・カブラル
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・イー・カプート
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・アール・グロス
(72)【発明者】
【氏名】マンヒー・リー
(72)【発明者】
【氏名】マヘンドラ・アール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】アリース・エム・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・エス・トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジー・ウェスト
(72)【発明者】
【氏名】ジェドク・ユー
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-298394(JP,A)
【文献】特表2018-526289(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0141275(US,A1)
【文献】特表2005-507723(JP,A)
【文献】特表2010-538002(JP,A)
【文献】3D Printing in Pharmaceutical and Medical Applications - Recent Achievements and Challenges,Pharm Res,2018年07月11日,35:176,pp.1-22,https://doi.org/10.1007/s11095-018-2454-x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
B29C 64/165
B29C 64/209
B29C 64/336
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 40/00
B33Y 80/00
A61J 3/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤形を包装の剤形用部分内に形成する方法であって:
1)少なくとも1つのくぼみを含む、包装の剤形用部分を提供する工程であり、くぼみが側壁を含む、工程と、
2)粒子を含む所定の第1の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させて実質的に均一の第1の粉末層にする工程であり、側壁が、くぼみ深さを有し、実質的に均一の第1の粉末層の厚さが、くぼみ深さの少なくとも5%から最大50%である、工程と、
3)少なくとも1つのくぼみ内の第1の粉末層上に結合液をパターンをなして堆積させ、第1の粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させて、第1の増分湿潤粉末層を形成する工程と、
4)粒子を含む所定の第2の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内で第1の湿潤粉末層上に堆積させて実質的に均一の第2の粉末層にする工程であり、実質的に均一の第2の粉末層の厚さが、くぼみ深さの少なくとも5%から最大50%である、工程と、
5)少なくとも1つのくぼみ内の第2の粉末層上に結合液をパターンをなして堆積させ、第2の粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させて、第2の増分湿潤粉末層を形成する工程と、
6)場合により工程4)および5)を少なくとも1回またはそれ以上の回数だけ順に繰り返し、
それによって剤形を包装の剤形用部分内に形成する工程とを含む前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つのくぼみは、固定の形状および容積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
包装はシートを含み、該シートは、該シート内に形成された複数のくぼみを含み、該くぼみ内の側壁は、シートから閉端まで延びる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程4)は、少なくとも3回繰り返される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
粉末材料は、結合材料の粒子を含み、結合液は、結合材料の粒子を結合させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程2)に先行して、少なくともくぼみの閉端に結合液の量を堆積させる工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
結合液は、揮発性溶剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程3)後、揮発性溶剤の一部分を第1の増分湿潤粉末層から蒸発によって除去して、第1の増分結合粉末層を形成する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程5)後、揮発性溶剤の一部分を第2の増分湿潤粉末層から蒸発によって除去する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのくぼみは、離型剤を含む内面を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
堆積された結合液のパターンは、くぼみの内面で粉末層に付加される結合液の周辺パターンを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
結合液は、剤形を形成するようにインクジェット印刷によって堆積される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
堆積させる工程2)は:
1)粒子を含む所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させることと、
2)堆積された所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内で実質的に均一の粉末層に形成することとを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
形成する工程は、最後の堆積された所定の量の粉末材料を締め固めて、上面を有する最後の形成された粉末層にすることを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
締め固める工程は、スタンプを利用し、上面は凸面である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
結合粉末剤形のうち、1つまたはそれ以上のくぼみの内面に対向する周辺部分が、追加の量の結合液を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
粉末材料および結合液の少なくとも1つは、医薬品有効成分(API)を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
剤形および少なくとも1つのくぼみの上
の前記包装の部分に蓋
シートを付加して、剤形のための封止包装を形成する工程をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品または他の活性成分のための剤形または錠剤形の製造分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品生産者は、医薬品錠剤の形成および分注の両方で使用するためのブリスターパックを使用するようになってきた。これらのブリスターパックは通常、ブリスターシートまたはブリスターフィルム、および蓋シートからなる。ブリスターシートは、錠剤、カプセル、ピルなどを含む個々の投与量を収容するための空間くぼみを含む。
【0003】
フリーズドライした錠剤を製造する標準的なプロセスでは、液体状の単一の投与量をブリスターシートの各くぼみに導入する。次いでブリスターシートを液体投与量とともに冷蔵環境に入れ、そこで投与量を低温にかけて凍結させる。次いでブリスターシートは凍結乾燥器へ伝達され、そこで昇華によって氷が除去される。フリーズドライが完了すると、シートは乾燥チャンバから取り出されて接着性の蓋シートによって覆われ、この蓋シートが固体投与量を個々のくぼみ内へ封止する。特許文献1は、とりわけブリスターパッケージ内にフリーズドライした錠剤を製造する周知のプロセスの教示として、参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
それにもかかわらず、フリーズドライまたは凍結乾燥方法は、製品活性、貯蔵性、ならびにバッチの一貫性および再現性に著しい負の影響を与える可能性がある。このプロセスは本質的に、エネルギーおよびマンパワー資源の点から高価であり、品質管理および規制要件に関してさらなる難題が示されている。いくつかの場合、フリーズドライまたは凍結乾燥方法は、特定の薬物または医薬品にとってまったく不適当である。
【0005】
ラピッドプロトタイピングは、物体の3次元プロトタイプをその物体のコンピュータモデルから製作する様々な技法を示す。1つの技法は3次元印刷であり、3次元印刷では、プリンタを使用して複数の2次元の層から3Dプロトタイプを製作する。特に、3D物体のデジタル表現が、コンピュータメモリ内に記憶される。コンピュータソフトウェアは、この物体の表現を複数の別個の2D層に区分する。別法として、各増分層に対する命令のストリーム(順次連続)、たとえば画像の連続を、直接入力することもできる。次いで3Dプリンタが、ソフトウェアによって区分された各2D画像層に対して、薄い結合材料層を製作する。これらの層はともに重ねて印刷され、互いに接着して、所望のプロトタイプを形成する。
【0006】
粉末液体3次元印刷技術を使用して、医薬品剤形、機械プロトタイプおよび概念モデル、機械部材を鋳造するための鋳型、骨成長促進インプラント、電子回路基板、組織工学のためのスキャフォールド、応答性生物医学用複合剤、組織成長促進インプラント、歯科修復物、宝飾品、流体フィルタ、ならびに他のそのような物品などの物品が準備されている。
【0007】
3次元印刷は、固体の自由形式製作技法/ラピッドプロトタイピング技法を含むことができ、そのような技法では、薄い粉末層が表面に広げられ、粉末の選択領域が液体の制御堆積(「印刷」)によってともに結合される。この基本動作が層ごとに繰り返され、前に印刷された層の上に各々の新しい層が形成されて接着し、最終的に未結合の粉末床内に3次元物体を作製する。印刷された物体が十分な凝集力を有するとき、それらの物体を未結合粉末から分離することができる。
【0008】
物品の3次元印刷のためのシステムおよび機器アセンブリは、他社によって、たとえば:Massachusetts Institute of Technology Three-Dimensional Printing Laboratory(Cambridge、MA)、Z Corporation(現在は3D Systemsの一部)の3DPおよびHD3DP(商標)システム(Burlington、MA)、The Ex One Company,L.L.C.(Irwin、PA)、Soligen(Northridge、CA)、Specific Surface Corporation(Franklin、MA)、TDK Corporation(日本、千葉県)、Therics L.L.C.(Akron、OH、現在はIntegra Lifesciencesの一部)、Phoenix Analysis&Design Technologies(Tempe、AZ)、Stratasys,Inc.のDimension(商標)システム(Eden Prairie、MN)、Objet Geometries(Billerica、MAまたはRehovot、Israel)、Xpress3D(Minneapolis、MN)、ならびに3D SystemsのInvision(商標)システム(Valencia、CA)によって、市販または使用されている。
【0009】
粉末および結合液を用いる3次元印刷システムは、典型的には、順次付加された個々の粉末層に結合液を堆積させることによって、物品を形成する。結合液は、各粉末層内の粉末の所定の領域にパターンをなして付加され、未結合粉末材料がパターンの外周部に残る。未結合粉末は、典型的には、形成されている印刷物品を取り囲む。次いで、結合粉末を含む印刷物品が、相当な量の未結合粉末から分離される。そのようなプロセスは、未結合粉末の無駄または再利用を必要とするため望ましくない。未結合粉末の無駄または再利用の必要を実質的に低減または解消するための機器アセンブリ、システム、および方法を提供することが、当分野における実質的な改善になるはずである。
【0010】
開示を参照により本明細書に組み入れる特許文献2が、空洞3次元印刷によって物品を準備するための製造システム、機器アセンブリ、およびその使用について記載している。空洞は、機械上の構築モジュールの一部とすることができ、それらの空洞内に、空洞の周辺部を模倣した物品が形成される。物品は、空洞内に形成された複数の増分層の連続によって形成される。完了後、3DP物品が空洞から放出される。3DP物品は、場合により乾燥され、場合により脱塵され、かつ/または場合により包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開WO/1994/012142
【文献】米国特許出願公開第2018/0141275号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、改善されたより好都合な医薬品剤形およびその作製方法が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、包装材料のくぼみの容積内に結合粉末または結合粒子物品を形成するための方法およびシステム、ならびにその包装のくぼみ内にその場で形成された製造物品を提供する。いくつかの実施形態では、物品は剤形であり、固体の経口処方薬物を含む、薬剤、薬物、または医薬品錠剤もしくはピルとすることができる。本明細書に記載する方法はまた、くぼみ3次元印刷またはくぼみ3DPとも呼ばれる。包装は、1つまたはそれ以上のくぼみを含むことができ、いくつかの実施形態では、複数のくぼみのパターンを含むことができる。方法およびシステムは、最小の製品損失、高い効率、および高い製品再現性で高処理量の連続、半連続、またはバッチ製造に使用することができる。
【0014】
本明細書に記載する実施形態および構成は、医薬品および薬物を含む錠剤をブリスターパックなどの包装内に直接形成する方法を提供し、特定の実施形態では、使い捨ての単一用量ブリスターパック内に急速に分解する医薬品錠剤を作製する方法を提供する。
【0015】
本明細書に記載する実施形態は、他の3次元印刷(3DP)プロセスと比較すると、無駄または再利用可能な未結合粉末の大幅な低減または解消を提供することができる。くぼみ3DPは、くぼみに入る粒子材料のほとんど、実質的にすべて、またはすべてが、対応する単一の3D印刷剤形に組み込まれることを提供する。
【0016】
本明細書に記載する実施形態は、剤形を包装の剤形用部分内に形成する方法を提供する。この方法は:1)少なくとも1つのくぼみを含む、包装の剤形用部分を提供する工程と;2)粒子を含む所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させて粉末層にする工程と;3)少なくとも1つのくぼみ内の粉末層上に結合液をパターンをなして堆積させ、粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させて、増分結合層を形成する工程と;4)工程2)および3)を少なくとも1回またはそれ以上の回数だけ順に繰り返し、それによって剤形を包装の剤形用部分内に形成する工程とを含む。
【0017】
本明細書に記載する実施形態はまた、剤形を包装の剤形用部分内に形成する方法を提供し、この方法は、1)少なくとも1つの空間くぼみを含む、包装の剤形用部分を提供する工程と、2)粒子を含む所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させて粉末層にする工程と、3)少なくとも1つのくぼみ内の粉末層上に結合液をパターンをなして堆積させ、粉末層の粒子の少なくとも一部分を結合させて、増分湿潤層を形成する工程と、4)工程2)および3)を少なくとも1回またはそれ以上の回数だけ順に繰り返し、それによって剤形を包装の剤形用部分内に形成する工程とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、堆積された粉末層は、実質的に均一の粉末層である。
【0019】
上記の方法のいずれかまたは両方において、粉末材料は、装置またはシステムアセンブリの粉末堆積領域(またはシステム)内で、少なくとも1つのくぼみに堆積させることができ、粉末材料は、装置またはシステムアセンブリの粉末堆積領域(またはシステム)または専用の粉末平坦化領域(またはシステム)内で、粉末材料の増分層に層化または形成することができる。結合液は、レセプタクルが装置またはシステムアセンブリの結合液付加領域(またはシステム)にあるとき、増分粉末層に付加することができる。粉末材料または湿潤材料層の成形または締固めは、装置もしくはシステムアセンブリの粉末堆積領域(またはシステム)もしくは粉末平坦化領域(またはシステム)で、または装置もしくはシステムアセンブリの専用の成形領域(またはシステム)で完了することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上のくぼみを含む剤形包装は、上述した領域(またはシステム)の任意の2つまたはそれ以上の間で任意の順序で可動とすることができる。いくつかの非限定的な実施形態では、レセプタクルは:a)粉末堆積領域から結合液付加領域へ繰返し動き、次いで場合により成形領域へ動き;b)粉末層化領域から成形領域へ、次いで結合液付加領域へ動き;c)粉末層化領域から結合液付加領域へ、次いで再び粉末層化領域へ、次いで成形領域へ動き;またはd)粉末層化領域から平坦化領域へ、次いで結合液付加領域へ、次いで乾燥領域へ動く。粉末層化領域、結合液付加領域、成形領域、および/または乾燥領域の後に、放出領域を配置することができる。
【0021】
製品パッケージは、1つまたはそれ以上のくぼみを有し、1つまたはそれ以上のくぼみが、1つまたはそれ以上のくぼみ内に形成された成形済みの結合粉末剤形を収容する、フィルム材料と、1つまたはそれ以上のくぼみ内に剤形を密閉するようにフィルム材料に接着された可剥性または取外し可能なカバーシートとを含むことができる。
【0022】
一実施形態では、剤形は、1つまたはそれ以上のくぼみ内に堆積された粉末を結合液で結合させることによって、1つまたはそれ以上のくぼみ内に形成された結合粉末マトリックスである。
【0023】
一実施形態では、成形済みの結合粉末マトリックスの一部分が、1つまたはそれ以上のくぼみの内面に共形となる。
【0024】
一実施形態はまた、1つまたはそれ以上のくぼみを有し、1つまたはそれ以上のくぼみが、1つまたはそれ以上のくぼみ内に形成された成形済みの結合粉末マトリックスを収容する、フィルム材料と、1つまたはそれ以上のくぼみ内に結合粉末マトリックスを密閉するようにフィルム材料に接着された可剥性カバーシートとを含むパッケージを提供することができる。
【0025】
一実施形態では、結合粉末マトリックスは、1つまたはそれ以上のくぼみ内に堆積された粉末を結合液で結合させることによって、1つまたはそれ以上のくぼみ内に形成される。成形済みの結合粉末マトリックスの一部分が、1つまたはそれ以上のくぼみの内面に共形となることができる。結合粉末マトリックスのうち、1つまたはそれ以上のくぼみの内面に対向する周辺部分は、追加の量の結合液を含むことができる。
【0026】
一実施形態では、結合粉末マトリックスは、3D印刷された急速分散性の投与量を含み、1つまたはそれ以上のくぼみ内に堆積された粉末を結合液で結合させることによって、1つまたはそれ以上のくぼみ内に形成することができる。
【0027】
一実施形態では、結合粉末マトリックスは、医薬品有効成分(API)を含む。
【0028】
別の実施形態では、結合粉末マトリックスのうち、1つまたはそれ以上のくぼみの内面に対向する周辺部分は、追加の量の結合液を含む。
【0029】
一実施形態では、少なくとも1つのくぼみは、包装の通常の使用および取扱い状態下で変化または変動しない固定の形状および容積を有する。
【0030】
一実施形態では、包装は、1つまたはそれ以上のブリスター、カップ、ポッド、または他のレセプタクルを含む。
【0031】
一実施形態では、包装は、投与量形成プロセスの前に事前形成および/または事前切断される。
【0032】
一実施形態では、包装はシートを含み、シートは、シート内に形成された複数のくぼみを含み、くぼみは、シートから閉端まで延びる側壁を含む。
【0033】
一実施形態では、工程4)は、少なくとも3回繰り返される。
【0034】
一実施形態では、粉末材料の一部分が、結合材料の粒子を含み、結合液は、結合材料の粒子を結合させる。
【0035】
一実施形態では、この方法は、工程2)に先行して、少なくともくぼみの閉端に結合液の量を堆積させる工程を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1つのくぼみは、離型剤を含む内面を含む。
【0037】
一実施形態では、結合液は、揮発性溶剤を含み、この方法は、揮発性溶剤の一部分を増分結合層から蒸発によって除去する工程を含むことができる。
【0038】
一実施形態では、側壁は、くぼみ深さを有し、各粉末層の厚さは、くぼみ深さの少なくとも5%から最大約100%、いくつかの実施形態では最大約50%である。
【0039】
いくつかの実施形態では、くぼみ内に堆積されて増分結合粉末層に形成された粉末層の数は、2つもしくはそれ以上の層、3つもしくはそれ以上の層、4つもしくはそれ以上の層、5つもしくはそれ以上の層、6つもしくはそれ以上の層、7つもしくはそれ以上の層、または8つもしくはそれ以上の層から、最大50もしくはそれ以下の層、40もしくはそれ以下の層、30もしくはそれ以下の層、20もしくはそれ以下の層、18もしくはそれ以下の層、16もしくはそれ以下の層、14もしくはそれ以下の層、12もしくはそれ以下の層、10もしくはそれ以下の層、8つもしくはそれ以下の層、6つもしくはそれ以下の層、または4つもしくはそれ以下の層を任意の組合せで含む、1つまたは複数の層とすることができる。
【0040】
増分粉末層は、所定の厚さ(垂直高さ)の標的または重量平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、所定の厚さは、0.005~0.015インチ、0.008~0.012インチ、0.009~0.011インチ、約0.01インチ、100~300μm、100~500μm、約200μm、または約250μmで変動させることができる。いくつかの実施形態では、増分粉末層の厚さは、100~400ミクロン、150~300ミクロン、または200~250ミクロンの範囲である。一実施形態では、粉末層厚さは200ミクロンである。別の実施形態では、粉末層厚さは250ミクロンである。
【0041】
いくつかの実施形態では、所定の厚さは、少なくとも0.05インチ、少なくとも0.008インチ、少なくとも0.010インチ、少なくとも0.012インチ、少なくとも0.014インチ、または少なくとも0.016インチから、最大0.020インチ、最大0.018インチ、最大0.016インチ、最大0.014インチ、最大0.012インチ、または最大0.010インチである。使用される増分層が厚ければ厚いほど、層の平面内および層同士の間の両方で十分な結合を確保するためにその層上に堆積される印刷流体の量が増大する。逆に、増分層が薄ければ薄いほど、同じ程度の結合を得るために堆積される印刷流体の量が小さくなる。層ごとに堆積される所与の量の印刷液に対して、より大きい層厚さを使用することで、剤形の取扱い性が低減(悪化)され、分散時間が低減(改善)される。所与の量の流体に対して厚すぎる層が使用された場合、層の平面に沿った剤形のたやすい破損(層間剥離)を引き起こす層欠陥が形成されたり、剤形自体が取扱いに十分な強度をまったくもたなくなったりする可能性がある。
【0042】
本明細書に記載する3DPプロセスによって作製された剤形は、直径(非円形区域の同等の直径)約13~14mmから約20~25mm、および高さ(総厚さ)約5~6mmから約8~10mmの範囲とすることができる。
【0043】
一実施形態では、粉末層上に堆積された結合液のパターンは、包装の側壁に当たってまたは接触して配置された周辺部を有する。
【0044】
一実施形態では、粉末層上に堆積された結合液のパターンは、円環および円からなる群から選択される形状を有する。
【0045】
一実施形態では、この方法は、剤形および少なくとも1つのくぼみの上に蓋層を付加して、剤形のための封止包装を形成する工程を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、結合液は、湿潤または結合粉末層を形成するようにインクジェット印刷によって堆積される。
【0047】
一実施形態では、粒子を含む所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させて実質的に均一の粉末層にする工程2)は:1)粒子を含む所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内に堆積させることと、2)堆積された所定の量の粉末材料を少なくとも1つのくぼみ内で実質的に均一の粉末層に形成することとを含む。
【0048】
一実施形態では、形成する工程は、堆積された所定の量の粉末材料を成形し/または締め固めて、上面を有する形成済みの粉末層にすることを含む。別の実施形態では、形成する工程は、最後の堆積された所定の量の粉末材料を締め固めて、上面を有する最後の形成された粉末層にすることを含む。
【0049】
一実施形態では、この方法は、少なくとも1つのくぼみ内の粉末層上に結合液をパターンをなして堆積させる工程に続いて、増分湿潤層を成形しかつ/または締め固めて、成形されまたは締め固められた湿潤層にする工程を含む。形成された湿潤層の上面は、一実施形態では平坦または平面であり、別の実施形態では凸面または凹面である。
【0050】
一実施形態では、この方法は、複数の増分湿潤層を、複数の湿潤層を含むより湿潤な構造に形成することに続いて、複数の湿潤層を成形しかつ/または締め固めて、成形されまたは締め固められた湿潤構造にする工程を含む。
【0051】
一実施形態では、成形しかつ/または締め固める工程は、スタンプまたはタンパを利用する。いくつかの実施形態では、スタンプは、凹状の下面を有する。
【0052】
一実施形態では、粉末材料は、1つまたはそれ以上のタイプの薬物含有粒子を含むことができる。
【0053】
本発明はまた、たとえば剤形包装に関連して、くぼみまたはくぼみのパターンを提供して位置決めし、くぼみ内に3DP剤形を形成する3DP機器システムおよびアセンブリを提供することができる。機器システムおよびアセンブリは、限定されるものではないが、粉末堆積領域内に配置された粉末堆積システム、粉末平坦化領域内に配置された粉末平坦化システム、結合液付加領域内に配置された結合液付加システム、成形領域内に配置された成形システム、および乾燥領域内に配置された乾燥システムを含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、3DP機器アセンブリは、1つまたはそれ以上のコンピュータ化コントローラと、1つまたはそれ以上のコンピュータと、1つまたはそれ以上のコンピュータ向けの1つまたはそれ以上のユーザインターフェースとを含む制御システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、機器アセンブリの1つまたはそれ以上の構成要素は、コンピュータ制御される。いくつかの実施形態では、3DP構築システムの1つまたはそれ以上の構成要素は、コンピュータ制御される。いくつかの実施形態では、粉末堆積システム、粉末平坦化システム、結合液付加システム、成形領域内に配置された成形システム、および乾燥システムは、コンピュータ制御される。
【0055】
いくつかの実施形態では、3DP機器アセンブリはまた、1つまたはそれ以上のハーベスティングシステム、1つまたはそれ以上の液体除去システム、1つまたはそれ以上の粉末回収システム、1つまたはそれ以上の物品伝達システム、1つまたはそれ以上の検査システムを含むことができる。3DP機器アセンブリ、装置、またはシステムは、上記のシステムのいくつかまたはすべてを含むことができる。たとえば、空洞3DP機器アセンブリ、装置、またはシステムの特定の実施形態では、くぼみに入る粉末材料の実質的にすべてが、くぼみ内に形成されるそれぞれの剤形に組み込まれており、分離のための余分な粉末はほとんどまたはまったく存在しないため、ハーベスティングシステムを有する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】くぼみ内に配置された剤形を示している、蓋シートの一部分を剥がした状態のブリスターパックを示す図である。
【
図2】蓋シートによって覆われたくぼみ内の剤形の横断面図である。
【
図3】蓋シートが取り外された状態のくぼみ内の剤形の横断面図である。
【
図4】剤形が取り出されたくぼみの横断面図である。
【
図5】くぼみの閉端上へ堆積されている結合液を示す図である。
【
図6】粉末源からくぼみ内へ粉末材料のパイルを堆積させることを示す図である。
【
図7】それだけに限定されるものではないが、所定の質量重量および所定の体積を含めて、ブリスター型包装のくぼみ内に所定の量の粉末材料を送達することができる投与装置の一例を示す図である。
【
図8】所定の量の粉末材料をブリスター型包装のくぼみ内の結合粉末層上へ堆積させるように位置する
図7の投与装置の横断面図である。
【
図9】所定の量の粉末材料を収容する充填空洞が粉末供給から分離されている、
図7の投与装置を示す図である。
【
図10】所定の量の粉末材料がくぼみ内へ堆積されている、
図7の投与装置を示す図である。
【
図11】ブリスターシート2内のくぼみ内へ粉末材料を分注するための回転投与装置を示す図である。
【
図12A】
図11の回転投与装置およびブリスターシートの拡大断面図である。
【
図12B】回転投与装置およびブリスターシートの別の実施形態の拡大断面図である。
【
図13】容積分注ポケットを含む、投与パッケージ内の複数のくぼみを充填するための自動投与装置を示す図である。
【
図14】
図13の自動投与装置および容積分注ポケットの拡大断面図である。
【
図15】粉末ビンおよび充填ポケットが粉末材料で充填されている、
図14の自動投与装置および容積分注ポケットの拡大断面図である。
【
図16】充填済みポケットが充填位置から分注位置に向かって動かされ、充填済みポケットが分注開口部に部分的に重複している、
図15の自動投与装置を示す図である。
【
図17】粉末材料が充填ポケットから空になり、位置合わせされたくぼみ内へ分注されている、
図16の自動投与装置を示す図である。
【
図18】ブリスターシートの空のくぼみが分注開口部に位置合わせされている、
図17の自動投与装置を示す図である。
【
図19】容積分注ポケットおよびタンパを含む、投与パッケージ内の複数のくぼみを充填するための自動投与装置の別の実施形態を示す図である。
【
図20】
図19の自動投与装置および容積分注ポケットの拡大断面図である。
【
図21】粉末ビンおよび充填ポケットが粉末材料で充填されている、
図20の自動投与装置および容積分注ポケットの拡大断面図である。
【
図22】粉末材料が充填ポケットから実質的に空になり、位置合わせされたくぼみ内へ分注されている、
図21の自動投与装置を示す図である。
【
図23】タンパが充填ポケットおよび分注開口部を通って延びている、
図22の自動投与装置を示す図である。
【
図24】タンパが後退し、ブリスターシートの空のくぼみが分注開口部に位置合わせされている、
図23の自動投与装置を示す図である。
【
図25】くぼみを揺さぶりかつ/または振動させることによって、粉末材料のパイルを実質的に均一の層に広げるための様々な手段を示す図である。
【
図26】ブリスターパックに対するくぼみのパターンと位置合わせされた開口部を有する支持板を示す図である。
【
図27】ブリスターパックに対するくぼみのパターンと位置合わせされた開口部を有する支持板、およびブリスターシートを支持板に固定するための真空手段を示す図である。
【
図28】ブリスターシートのくぼみ内で粉末材料を平坦化するための横方向に振動する振動装置を示す図である。
【
図29】
図28のくぼみ内で粉末のパイルを平坦化する際に使用するためのブラシアセンブリを示す図である。
【
図30】粉末のパイル内へ下降されている
図29のブラシアセンブリを示す図である。
【
図31】粉末の粒子をくぼみの壁に向かって径方向外方へ動かしている、
図29のブラシアセンブリを示す図である。
【
図32】粉末のパイルが実質的に均一の粉末層に形成された後、くぼみ内から取り出されたブラシアセンブリを示す図である。
【
図33】粉末ホッパから粉末材料の量を収集するように位置する層堆積装置を示す図である。
【
図34】
図33の層堆積装置の内部に真空を印加して、粉末ホッパからの粉末の体積で入口端を充填することを示す図である。
【
図35】層堆積装置が粉末ホッパから持ち上げられた後、印加された真空が層堆積装置の入口内で粉末の体積を保持することを示す図である。
【
図36】層堆積装置がくぼみの上に位置しながら、粉末の体積を保持していることを示す図である。
【
図37】粉末の体積が入口で保持された状態で、層堆積装置がくぼみ内に位置することを示す図である。
【
図38】真空が除去され、層堆積装置がくぼみから持ち上げられた後、粉末の体積がくぼみ内に均一の粉末層として堆積されていることを示す図である。
【
図39】粉末取込み容積の周辺部に追加の粉末容積を提供する層堆積装置の代替実施形態を示す図である。
【
図40】くぼみ内に位置する
図39の層堆積装置を示す図である。
【
図41】真空が除去され、層堆積装置がくぼみから持ち上げられた後、粉末の体積および追加の周辺体積がくぼみ内に均一の粉末層として堆積されていることを示す図である。
【
図42】均一の粉末層上へ結合液を付加して湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図43】湿潤粉末層に熱を印加して余分の溶剤液を除去し、湿潤粉末層を乾燥させて結合粉末層を形成するいくつかの手段を示す図である。
【
図44】湿潤粉末層から湿気および溶剤を蒸発させるための加熱空気乾燥器を示す図である。
【
図45】くぼみ内へ粉末材料を堆積させて、第1の結合粉末層の上に第2の実質的に均一の粉末層を形成することを示す図である。
【
図46】第2の実質的に均一の粉末層の上に結合液を付加して、第2の湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図47】前に堆積させて湿潤および乾燥させた増分結合粉末層の上に、最も上の実質的に均一の粉末層を形成することを示す図である。
【
図48】最も上の実質的に均一の粉末層に結合液を付加して、最も上の湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図49】最も上の湿潤粉末層を乾燥させて最も上の結合層にし、くぼみ内の完成した剤形の上に蓋シートを付加して封止することを示す図である。
【
図50】結合液が第2の実質的に均一の粉末層の周辺部分にのみ付加され、湿潤/結合されていない粉末の中心部分を残す代替実施形態を示す図である。
【
図51】
図50に示す湿潤および結合されていない粉末の中心部分を有する第2の層の上に、第3の実質的に均一の粉末層を付加することを示す図である。
【
図52】第3の実質的に均一の粉末層の上に結合液を付加して、湿潤および結合されていない粉末の中心部分を有する第2の層の上に、第3の湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図53】第3の最も上の湿潤粉末層を乾燥させて第3の結合層にすることを示す図である。
【
図54】第1の粉末層の周辺部分にのみ結合液を付加して、第1の粉末層の周辺部分または縁部に外側コーティングを形成する代替実施形態を示す図である。
【
図55】第1の粉末層の中心部分の上に結合液を付加して、第1の粉末層の周辺部分または縁部のコーティングによって取り囲まれた第1の湿潤粉末部分を形成することを示す図である。
【
図56】最も上の実質的に均一の粉末層の周辺部分に結合液を付加して、最も上の粉末層の周辺部分または縁部に外側コーティングを形成することを示す図である。
【
図57】最も上の実質的に均一の粉末層の頂部部分に結合液を付加して、周辺外側コーティングを有する最も上の湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図58】最も上の湿潤粉末層を乾燥させて最も上の結合層にし、最も上の粉末層の頂部部分に結合液を付加して、湿潤コーティングを形成することを示す図である。
【
図59】最も上の粉末層の頂部部分で湿潤コーティングを乾燥または硬化させて、増分結合粉末層を取り囲む外側コーティングを形成した後の完成した剤形を示す図である。
【
図60】くぼみ内の粉末材料の頂層の上に位置する凹面状の底面を有するタンパを示す図である。
【
図61】くぼみ内に位置し、粉末層の上面を押下しているタンパを示す図である。
【
図62】タンパによって成形された最も上の粉末層の凸面状の上面を示す図である。
【
図63】凸面状の粉末材料の上に結合液を堆積させて、最後の成形された湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図64】最も上の粉末層を湿潤させて、最も上の湿潤粉末層を形成することを示す図である。
【
図65】
図64の最も上の湿潤粉末層を成形するために使用されるタンパを示す図である。
【
図66】粉末層をブリスターシートのくぼみのパターンをなして締め固めるためのタンパを有する回転締固め装置を示す図である。
【
図67】
図66の回転締固め装置およびブリスターシートの拡大断面図である。
【
図68】粉末ビンおよび回転投与装置、粉末平坦化デバイス、印刷デバイス、ならびに乾燥装置を含む線形3DP機器アセンブリを示す図である。
【
図69】2つのアセンブリを直列に有し、各アセンブリが、粉末ビンおよび回転投与装置、粉末平坦化装置、印刷装置、ならびに乾燥装置を含む連続するループ内に配置されている、3DP機器アセンブリを示す図である。
【
図70】連続ループコンベヤを有し、ループ状コンベヤの異なる部分に粉末ビンおよび回転投与装置、粉末平坦化装置、印刷装置、ならびに乾燥装置を含む、3DP機器アセンブリを示す図である。
【
図71】第1および第2の連続ループを有し、共通のコンベヤ部分が粉末ビンおよび回転投与装置、ならびに印刷装置を含む、3DP機器アセンブリを示し、粉末平坦化装置および乾燥装置が、それぞれ第1および第2の連続ループの外側ループに沿って位置している、図である。
【
図72】共通のコンベヤ部分を共用する第1および第2の連続ループを有する3DP機器アセンブリ505を示し、第1の連続ループが、外側部分に沿って粉末分注装置および平坦化装置を含み、第2の連続ループが、印刷装置および1対の乾燥装置を含む、図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
定義
本明細書では、「くぼみ」という用語は、剤形のために包装の一部分に形成された空間空洞を指す。包装のくぼみ部分の非限定的な例には、粉末または液体などの流動性材料を受け取って収容することが可能なブリスター、カップ、ポッド、または他の包装レセプタクルが含まれる。
【0058】
本明細書では、「3DP」とは、3次元印刷する、3次元印刷される、または他のそのような活用型を意味する。
【0059】
本明細書では、「締固め」という用語は、粉末の塊の体積を低減させる力を受けて、粉末の塊の体積の有孔率または孔容積を低減させる動作に関する。締固めは、タンパシステムによって行うことができ、それによってくぼみ内に形成される1つまたはそれ以上の増分形成粉末層の体積が成形および/または低減される。
【0060】
本明細書では、「成形」とは、増分材料層の1つもしくはそれ以上の表面の形状、または1つもしくは複数の層の複数の形状を変更する動作を指す。形状を変更することは、成形工程において、表面全体または表面の一部分のみ、典型的には上面とすることができる。変更後の形状は、平坦もしくは平面、凸面、凹面、または所望される場合は任意の他の形状とすることができる。上面の変更後の形状は、下面の形状とは異なることができる。
【0061】
本発明のプロセスは、1つもしくはそれ以上の締固め工程、1つもしくはそれ以上の成形工程、および/または1つもしくはそれ以上の印付け工程を含むことができる。
【0062】
本明細書では、「3次元印刷構築システム」または「3DP構築システム」は概して、粉末材料をくぼみ内で増分粉末層に堆積および/または層化させる粉末層化システム(領域)、ならびに所定のパターンに応じて増分粉末層に結合液を付加し、それによって部分的または完全な結合粉末層(増分印刷層)を形成する印刷システム(領域)を含む。
【0063】
図1は、ブリスターシート2を含むブリスターパック1を示し、従来の冷間形成によって、所望の数のくぼみ4が所望のフィルムまたはラミネート材料のシート6内に形成される。シート6に封止された蓋シート8が示されており、蓋シート8は、剤形10を収容するくぼみの上に箇所3を含む(
図2の断面図にも示されている)。ブリスターパック1の前部は、シート6の上から剥がされた蓋シート8を示し、くぼみ4内に配置された剤形10が露出されている状態(
図3の断面図に示す)、または剤形10がくぼみ4から取り出された状態(
図4の断面図に示す)を示す。くぼみ4のサイズおよび形状は、形成予定の錠剤のサイズおよび性質ならびに当業者にはよく知られている他の考慮によって決定することができる選択の問題である。ブリスターシート2内のくぼみ4の数および配置は、錠剤の投与量および投与継続時間、経済的側面、ならびに薬物または医薬品錠剤の場合に有効なAPIのタイプ、ならびに当業者にはよく知られている他の考慮に基づいて行うことができる選択の問題である。フィルムまたはラミネートシート6は、1つまたはそれ以上のくぼみを形成することができる形成可能な材料を含む。一実施形態では、フィルムまたはラミネートシート6は、熱形成可能なプラスチック層、たとえばポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、または他のそのような物質を含むポリマー物質を含むことができる。別の実施形態では、フィルムまたはラミネートシート6は、アルミニウムフィルムなどの冷間形成可能な金属箔を含むことができる。ラミネート材料は、同じまたは異なる材料および同じまたは異なる厚さから作ることができる2つまたはそれ以上の層を含むことができる。フィルムまたはラミネート材料は、25~100ミクロン(μm)の厚さを有することができる。
【0064】
図4は、剤形のためのブリスター型包装の単一の部分を示し、この部分は、シート6内に形成されたくぼみ4からなり、くぼみ4は、くぼみ4内に空間5を画成する閉端7および外壁9を有する。非限定的な実施形態において、ブリスターシート2内のくぼみ4は、円形の平面形状を有し、シートから閉端7に向かって内方へ先細りする外壁を有することが示されている。ブリスターシート包装内のくぼみのいくつかの実施形態は、細長い形状または複雑な形状を有する。いくつかの実施形態は、包装シートに対して円形、弓形、または直角の外壁を有す。いずれのタイプ、形状、またはサイズの包装材料またはくぼみのいずれの実施形態も、本明細書に記載する本発明の任意の他の実施形態と直接かつ明確に組み合わせることができることが、当業者には認識および理解されよう。
【0065】
図5は、いくつかの実施形態では任意選択であるが、結合液の最初の層31をくぼみ4の底端または閉端7に堆積させて、くぼみ4内へ堆積された最初の粉末材料20の結合を提供する最初の工程を示す。結合液の最初の層31は、たとえばインクジェット印刷ノズルアセンブリ33の印刷ノズル32から結合液の液滴30を噴霧することによって堆積させることができる。結合液の最初の層または膜は、剤形10の底面が底面12に沿って粒子にしっかりと結合することを確実にする。いくつかの実施形態では、少なくとも粉末材料の粒子をともに結合させるのに十分な量より多い余分な量の結合液を使用して、湿潤コーティングを形成し、湿潤コーティングは、乾燥または硬化されると、堅い弾性の底部コーティングを形成する。いくつかの実施形態では、湿潤コーティングを形成するために使用される結合液は、結合粉末層を形成するために使用される結合液とは異なる液体である。
【0066】
図6~
図24は、ブリスター型包装の1つまたはそれ以上のくぼみ内に粉末材料を堆積させる方法および装置を示す。
【0067】
図6は、くぼみ4内に、または複数のくぼみ4の各々に、粒子を含む粉末材料20の第1の所定の量40を堆積させる工程を示す。粉末20は、供給容器またはホッパ22から、粉末投与装置24を通って放出される。粉末投与装置24は、所定の量40の粉末を供給容器22から分注するように設計および構成され、供給容器22は、所定の体積量の粉末または所定の質量の粉末を含むことができる。図示の実施形態では、所定の量40の粉末が、くぼみ4の閉端7上へ粉末のパイル40の形で堆積されている。
図5に見られるように、粉末20の第1の堆積パイル40の底部を、結合液の任意選択の最初の層31によって湿潤させて、剤形の底部12にコーティング50を形成する。
【0068】
一実施形態では、所定の量40の粉末は、所定の体積の粉末材料とすることができ、粉末材料はおそらく実質的に均一の粉末密度を有し、したがって所定の体積が実質的に固定された質量重量の粉末材料を送達する。堆積される粉末材料量の質量重量が正確かつ再現可能であることは、粉末材料の2つまたはそれ以上の堆積物からなる完成した剤形が、一貫した正確な量の総粉末材料を有することを確実にするのに重要である。粒子医薬品または薬物など、粉末材料が活性成分を粒子の形で含み、粉末材料が1つまたはそれ以上の他の粒子材料を含む実施形態では、粒子活性成分が他の粒子材料から分離しないことが好ましい。
【0069】
別の実施形態では、所定の量の粉末は、所定の質量重量の粉末材料とすることができる。この場合も、実質的に均一の粉末密度を想定すると、所定の質量重量は、実質的に固定された体積の粉末材料を送達する。図示の実施形態では、所定の質量重量の粉末材料は、くぼみ4内の利用可能な空間の底部内に、固定された体積の実質的に均一の粉末層を形成するのに十分な体積の粉末材料を提供する。くぼみ4内の利用可能な空間の底部のサイズおよび形状に応じて、所定の深さの実質的に均一の粉末層からなる第1の粉末層が形成される。
【0070】
図7に、投与装置24の代表例が手動投与デバイス75として示されている。手動投与デバイス75は、粉末材料20のバルク供給を収容する供給容器またはホッパ71と、ホッパ71の底部に取り付けられており、ホッパ71と連通する上部開口部、および下部開口部173を有する外側シリンダ73と、
図7に回転矢印R-Rによって示すように、外側シリンダ73内で軸方向に回転する内側シリンダ79とを含む。内側シリンダ79は、
図8に示す充填回転位置と、
図10に示す分注回転位置との間を、外側シリンダ73内で回転するように構成される。内側シリンダ79は、内側シリンダ79の円筒形の壁の中に形成された円筒形の充填空洞77を有し、充填空洞77は、
図8に示す充填回転位置へ回転すると、供給ホッパ71の容積内へ開き、
図10に示す分注回転位置へ回転すると、外側シリンダ73の下部開口部173へ開く。
【0071】
図8は、
図7の手動投与デバイス75の線8-8に沿って切り取った断面図を示す。充填位置で、内側シリンダ79の充填空洞77は、ホッパ71の内部空間と連通しており、粉末20が重力によって、所定の体積の粉末177を有する充填空洞77の容積内へ流れて完全に充填することを可能にする。充填空洞77の容積は、1つの粉末堆積層に必要とされる粉末材料の必要な体積を保持するための所定の容積である。いくつかの実施形態では、内側シリンダ79およびその充填空洞77は、異なる所定の体積の粉末を堆積させるために異なるサイズの充填空洞を有する別の内側シリンダに置き換えることができる。本発明の別の実施形態では、システムは、異なる所定の体積の最初および増分の粉末層の形成に対応するために、または異なる特有の密度を有する粉末材料に対応して粉末材料の標的質量を実現するために、異なる容積サイズの充填空洞を有する第2(またはそれ以上)の手動投与デバイスを含むことができる。
【0072】
図9は、内側シリンダ79が充填回転位置と分注回転位置との間の分離された回転位置にあることを示し、充填空洞77内の粉末材料177は、ホッパ71から分離されている。
図10は、内側シリンダ79が分注回転位置へ回転して、重力によって所定の体積の粉末177(破線)を、充填空洞77から外側シリンダ73の底部の開口部173を通ってくぼみ4の空間5の底部へ、粉末材料のパイル40として放出することを示す。その後、内側シリンダ79および空になった充填空洞77を再び分離された回転位置へ回転させ、次いで再び
図8に示す充填回転位置へ回転させることによって、手動投与デバイス75の位置を変え、充填空洞77を粉末20で再充填することができる。くぼみ4内への重力による粉末の堆積により、
図6に示すように、第1の結合粉末層61の頂面に、典型的には必ずしも一貫した再現可能な形状ではないが、粉末のパイル40が作成され、パイル40は典型的には、粉末材料の静止角に基づいて先細りした形状を有する。粉末材料のパイル40の頂上は、典型的には、粉末投与装置24の放出開口部173の下に位置し、粉末表面はくぼみ4の外壁9に向かって先細りしている。
【0073】
投与パッケージ内の複数のくぼみを充填する自動投与装置の一例は、
図11に示す回転投与装置である。回転投与装置224は、粉末材料20の供給を収容するホッパ271と、ブリスターシート2内の複数のくぼみ4を充填するのに十分な数の複数の充填空洞277が形成された外面276を有する回転ドラム275とを含む。所望の数のくぼみ4を有するブリスターシート2は、回転投与装置224の下で、くぼみ4と位置合わせされたポート277を有する回転ドラム275の回転と同期した速度で動かされる(矢印)。
【0074】
ビン271は、充填空洞277内へ粉末材料を供給する、3つ分注ポートとして示されている複数の分注ポートを含む。
図12Aは、分注ゲート278を示している、ホッパ271および回転ドラム275の断面図を示す。摺動ゲート279が、装置224の充填点272に配置された分注ゲート278を通って、粉末材料を分注する。回転ドラム275が回転するにつれて、各充填空洞277が充填点272の方へ回る。充填空洞277が充填点272に接近すると、分注ゲート278のスロット内で摺動ゲート279が開かれて(小さい矢印)、粉末材料の一部分が通過して充填空洞277を充填することが可能になる。摺動ゲート279は、回転ドラム275の回転軸100に対して横断方向に(図示のとおり)、ブリスターシート2の運動方向に対して反対(または同じ)方向に開かれるように向けることができ、または回転軸100に平行に開かれるように向けることができる。
【0075】
回転投与装置224はまた、シェル274を含み、シェル274は、摺動ゲート279と装置224の放出点273との間で円筒形の外面276に対向する弓形の内面を有し、充填済み空洞277f(粉末材料20で充填された充填空洞277)を覆って、粉末材料がこぼれるのを防止する。シェル274の前縁部は、充填空洞277内へ分注された余分の粉末を一掃し、充填済み空洞277f内で粉末の表面を平坦化する手段を提供する。
【0076】
回転投与装置のいくつかの実施形態では、充填空洞277内へ充填された粉末材料を維持することを支援するために、充填空洞277の内面に真空を印加する真空システムを含むことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、各充填空洞は、粉末材料20の層を保持してブリスターシート2の各くぼみ4内へ分注し、粉末層61を形成するのに十分なサイズおよび深さである。
図12Bは、回転投与装置375を示し、各充填空洞377は、くぼみ内に粉末層を形成するために必要とされる粉末の量を超えた粉末の体積を保持するのに十分なサイズである。そのような実施形態では、装置224はまた、余分なサイズの充填空洞内への粉末材料の所定の体積を計測するために、容積分注ポケットを含む。容積分注ポケットの一例は、
図13~
図18に示されており、本明細書で後に論じる。
【0078】
いくつかの実施形態では、充填空洞377内への粉末材料の体積量は、摺動ゲートまたはビン271からの粉末材料の流れを制限するための他のよく知られている手段を使用して絞ることができる。制限手段の非限定的な例は、分注ゲート278である。
【0079】
充填済み空洞277f(または377f)の各々が、その粉末材料をブリスターシート2の空のくぼみ4に堆積させた後、回転ドラム275の充填空洞277(または377)およびブリスターシート2は、位置合わせされて同じ線形速度で前進する。空になった後、充填空洞は充填点272に向かって前進する。いくつかの実施形態では、回転ドラム275の回転およびブリスターシート2の前進は常に進行しており、いくつかの実施形態では、回転ドラム275の回転およびブリスターシート2の前進は、充填空洞が充填点および/または放出点に到達すると一時的に停止される。
【0080】
図13~
図18は、投与パッケージ内の複数のくぼみを充填するための自動投与装置225の別の実施形態を示す。
図13は、粉末材料20を収容する細長いビン271を示す。ビン271は、ブリスターシート2の幅に沿って、投与装置225の下のブリスターシート2の運動方向に対して横断方向に向けられている。
図14は、容積分注ポケット282に供給する底部分注開口部を有する空のビン271を示す。容積分注ポケット282は、遠位端に細長い空洞285および分注開口部284を有する支持フレーム283を含む。細長い空洞285内にはポケットゲート286が配置されており、ポケットゲート286は、遠位部分内のポケット孔287と、近位部分から延びる操作手段とを有し、操作手段は、支持フレーム283内の後方開口部を通って延びる軸288として示されている。ポケットゲート286は、細長い空洞285内で操作手段を介して、
図15に示す充填位置と
図17に示す分注位置との間で可動である。
図15で、粉末材料20は重力を受けて流れ、ポケット孔287を完全に充填する。並行して、ブリスターシート2は、支持フレーム283の細長い空洞284の下に空のくぼみ4を位置合わせするように、容積分注ポケット282の下に位置決めされる。
【0081】
図16で、操作手段は、軸288にかけられる力として示されており、ポケットゲート286および充填済みポケット孔287を遠位に動かす(摺動させる)。ポケットゲート286が遠位に動くと、ポケットゲート286の本体の近位部分の上面が、細長いビン271の底部分注開口部を覆って閉鎖する。ポケットゲート286が引き続き遠位に動くと、ポケットゲート286の充填済みポケット孔287が、分注開口部284と位置合わせされる方へ動く。
図16に示すように、充填済みポケット287がフレームの分注開口部284と重複して位置合わせされ始めると、ポケット孔287の粉末材料が空になり始め、分注開口部284を通って、位置合わせされたくぼみ4に入る。
図17に示すように、ポケットゲート286が分注開口部284と位置合わせされた後、本質的に粉末材料全体が、ポケット孔287から分注開口部284を通ってくぼみ4に落下している。ポケット孔287が空になった後、
図18に示すように、ブリスターシート2は前進し、次の空のくぼみ4を分注開口部284の下に位置合わせする。同時または同時期に、軸288にかけられる力として示されている操作手段は、ポケットゲート286および空になったポケット孔287を近位に動かし(摺動させ)て、
図15に示す充填位置に戻す。
【0082】
くぼみの位置合わせおよび充填、ならびに充填位置と分注位置との間のポケット孔の動きは、細長いビン271に沿って横方向に他のくぼみおよび容積分注ポケット282内で同時または同時期に行われることを理解されたい。
【0083】
図19~
図24は、投与パッケージ内の複数のくぼみを充填するための自動投与装置226の別の実施形態を示す。
図19で、
図13に示す実施形態と同様に、粉末材料20を収容する細長いビン271は、ブリスターシート2の幅に沿って、投与装置226の下のブリスターシート2の運動方向に対して横断方向に向けられている。
図20は、
図14に示す実施形態と同様に、容積分注ポケット282に類似した容積分注ポケット292に供給する底部分注開口部を有する空のビン271を示す。容積分注ポケット292は、遠位端に細長い空洞295および分注開口部294を有する支持フレーム293を含む。細長い空洞295内にはポケットゲート296が配置されており、ポケットゲート296は、遠位部分内のポケット孔297と、近位部分から延びる操作手段とを有し、操作手段は、支持フレーム293内の後方開口部を通って延びる軸298として示されている。ポケットゲート296は、細長い空洞295内で操作手段を介して、
図21に示す充填位置と
図22に示す分注位置との間で可動である。
図21で、粉末材料20は重力を受けて流れ、ポケット孔297を完全に充填する。並行して、ブリスターシート2は、支持フレーム293の空洞294の下に空のくぼみ4を位置合わせするように、容積分注ポケット292の下に位置決めされる。
【0084】
図22で、軸298にかけられる力として示されている操作手段は、ポケットゲート296および充填済みポケット孔297を遠位に動かし(摺動させ)て、分注開口部294と位置合わせさせる。ポケットゲート296が遠位に動くと、ポケットゲート296の本体の近位部分の上面が、細長いビン271の底部分注開口部を覆って閉鎖する。
図22に示すように、ポケットゲート296が分注開口部294と位置合わせされた後、典型的に粉末材料全体が、ポケット孔297から分注開口部284を通ってくぼみ4に落下している。いくつかの実施形態および状況では、空になったポケット孔297内の粉末材料の一部分が残り、ポケット孔297の縁にくっつきまたは接着している。粉末材料全体がくぼみに分注されることを確実にするために、縁89および下面87を有するタンパ88が設けられており、タンパ88は、分注開口部294の上に分注開口部294と軸方向に位置合わせされて垂直に配置される。
図23に示すように、タンパ88が位置合わせされてポケット孔297および分注開口部294を通って下降されると、縁89および下面87は、ポケット孔297内からくぼみ4へすべての粉末材料を一掃する。いくつかの実施形態では、タンパ88の縁89は、下面87をくぼみ4内へ延ばして粉末層61に接触させるのに十分に延びる。いくつかの実施形態では、タンパ88は、本明細書で以下にさらに詳細に説明するように、粉末層を平坦化しかつ/または締め固めるのに十分である。
【0085】
ポケット孔297が空になった後、
図24に示すように、ブリスターシート2は前進し、次の空のくぼみ4を分注開口部294の下に位置合わせする。同時または同時期に、軸298にかけられる力として示されている操作手段は、ポケットゲート296および空になったポケット孔297を近位に動かし(摺動させ)て、
図21に示す充填位置に戻す。
【0086】
いくつかの実施形態では、3DPシステムおよび装置が、2つ(またはそれ以上)のソース、タイプ、および組成の粉末材料を含む剤形を形成するために、異なる第2の粉末材料を含む第2の粉末材料をくぼみに分注するための第2またはそれ以上の投与装置を含むことができる。
【0087】
機械式投与および/または計測装置の他の非限定的な例は、開示を全体として参照によって組み入れる、米国特許第9,409,699号および第9,828,119号、ならびに米国特許出願公開第2017/0322068号および第2018/0031410号に記載されている。圧電性針分注装置が、圧電アクチュエータによって駆動される定常波を使用して、粉末材料をステンレス鋼管に通すことによって動かされる粉末を分注する。針の分注先端部で、定常波は粉末材料を排出する働きをする。これらのデバイスは、固定された低レベルの粉末材料を精密に送達するのに効果的である。
【0088】
機械式投与および/または計測装置の他の非限定的な例は、開示を全体として参照によって組み入れる、ChemSpeed Technologies(https://www.chemspeed.com/flex-powderdose/)から利用可能な重量測定式粉末分注/粉末投与装置を含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法およびシステムは、くぼみ内で粉末材料のパイルを平坦化する手段を含む。
図25は、くぼみ4内で所定の量の粉末材料20のパイル40を平坦化して実質的に均一の粉末層41にする工程を示す。平坦化手段を使用して、粉末材料20のパイル40または他の形状の堆積物が、実質的に均一の粉末層41に変形される。
図25の図示の実施形態では、平坦化手段は、粉末のパイル40をくぼみ4の空間5の底面積全体にわたって外方へ分散させて広げ、いくつかの実施形態では実質的に均一の粉末層41にするのに十分な振動数および速度で、くぼみ4およびくぼみ4内に収容された粉末のパイル40を横方向、軌道方向、および垂直方向に振動させるいずれか1つまたは組合せを含む方法を含む。この方法は、所定の層厚さまたは高さ「h」を有する第1の実質的に均一の粉末層41を形成する。手動システムでは、包装およびそのくぼみ部分を手動でまたは振動台で揺さぶることができる。機械式振動台、コンベヤの非限定的な例は、開示を参照によって組み入れる、Tinsley Equipment Company、https://www.tinsleycompany.com/bulk-process-equipment/vibratory-process-equipment/vibrating-tables/から利用可能である。
【0090】
いくつかの実施形態では、くぼみ内に準備された粉末材料層は、くぼみの底面に平行をなす平坦な平面を有する。いくつかの実施形態では、くぼみ内に準備された粉末材料層は、公差のある均一の厚さを有することができる。そのような実施形態では、わずかに不均一の厚さであるが公差の範囲内の粉末材料層の厚さを結合液によって結合し、結合粉末剤形にすることができる。いくつかの実施形態では、粉末材料層の平坦化の不均一性は、重量平均または標的厚さからの粉末層の厚さの分散によって定義することができる。粉末層の最小厚さおよび粉末層の最大厚さは、重量平均厚さに対する分散を有することができ、ここで分散は最大約25%の分散である。いくつかの実施形態では、この分散は、最大約20%の分散、最大約15%の分散、いくつかの実施形態では最大約10%の分散であり、この分散は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の分散とすることができる。たとえば、0.50mmの重量平均(標的)厚さを有する粉末材料層は、公差20%の厚さを有することができ、粉末層は、結合液による粉末材料の結合が引き続き有効である限り、0.40mm~0.6mmの最小および最大厚さを有する。別の例では、1.0mmの重量平均(標的)厚さを有する粉末材料層は、公差15%の厚さを有することができ、粉末層は、結合液による粉末材料の結合が引き続き有効である限り、0.85mm~1.15mmの最小および最大厚さを有する。
図26は、それだけに限定されるものではないが、粉末の堆積および層化、結合液の堆積、溶剤の除去、ならびに方法およびシステムの任意の他のプロセス工程中を含めて、ブリスターパック1の1つまたはそれ以上のくぼみ4を固定および支持するために使用することができる支持板15を示す。支持板15内のポートまたは開口部16は、支持板15の上面17にくぼみ4およびブリスターパック1を受け取って支持するためのレセプタクルを提供する。いくつかの実施形態では、くぼみのパターンを支持板15内の開口部16のパターンに位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、開口部16のパターンは、複数の行および複数の列を含む。いくつかの実施形態では、開口部16は、支持板15の厚さ全体にわたって延びる。いくつかの実施形態では、開口部16は、支持板15の厚さを通って部分的にのみ延び、止まり穴を提供する。
【0091】
図27は、上面117を通って開口部116のパターンを含む支持板115の一実施形態を示し、このパターンは、支持板115に止まり穴を形成している。支持板115は、3列および4行の止まり穴116を有しており、一連の長手方向の入口孔118が、支持板115の端縁部114から延び、中間孔119が、4つの止まり穴116からなる列に沿って厚さを通って、隣接する各開口部116間の材料を通って延びており、それによって入口孔118および中間孔119が、その列の各止まり開口部116に連通している。入口孔118に真空を印加すると、中間孔119を介して各止まり開口部116に連通し、ブリスターパック1を支持板115の上面117に引き寄せて固定する。
【0092】
図28では、粉末平坦化手段の非限定的な例が、ブリスターシート2内のくぼみ4の横方向の振動を提供する際に使用するための振動装置230として示されている。図示の実施形態では、ブリスターシート2は、支持板15内に支持される。装置は、u字形を有するタッピングアーム232を有し、タッピングアーム232の近位端は、旋回ポスト231に取り付けられており、旋回ポスト231は、軸「a」の周りで振動し、それによりU字形タッピングアーム232のベース233を支持板15の側縁部へ横方向「b」に振動させる。横方向のタッピングにより、平坦化が提供され、くぼみ内の粉末層への粉末材料の均一性が改善される。旋回ポスト231の回転振動「a」の振動数および程度は、くぼみから粉末を排出したりくぼみ内で粉末を不均一に浮遊させたりすることなく、粉末層の効果的な平坦化を提供するために、支持板15に対するベース233の振動の振動数および衝撃力を提供するように制御される。
【0093】
くぼみ内で粉末のパイルを平坦化して実質的に均一の粉末層にするための代替装置が、
図29~
図32に示されている。
【0094】
図29~
図32は、くぼみ4内で粉末20のパイル40を平坦化して実質的に均一の粉末層にするための代替平坦化装置を示す。端部が開いたくぼみ4の上の位置に配置された平坦化デバイス80が示されており、くぼみ4内では、所定の量の粉末材料20のパイル40が第1の結合粉末層61の中心に堆積している。平坦化デバイス80は、不均一に配置された粉末材料のパイル40から、実質的に均一の粉末材料層を形成するために用いられる。層化デバイス80は、電動回転手段(図示せず)によって駆動される垂直回転軸82を含む。そのような電動回転手段の非限定的な例には、サーボモータが含まれる。粉末平坦化部材は、回転軸82の底部から実質的にくぼみ4の半径である遠位端へ水平方向および径方向に延びる。粉末平坦化部材は、粉末材料のパイル40へ下降しながら、回転軸82の軸の周りで回転し、くぼみ4内に実質的に均一の粉末層を形成する。
【0095】
図29に示すように、粉末平坦化部材は、中心で回転軸82の下端に取り付けられた円形ディスク84を含むブラシアセンブリを含むことができ、回転軸82の軸の周りで回転するように構成される。1つの非限定的な実施形態では、円形ディスク84は、円形ディスク84の下面81に取り付けられて下面81から下へ延びている複数のブラシ86を含む。複数のブラシ86は、典型的には、円形ディスク84の重力の中心を回転軸82に対するその取付け点で維持するようなパターンをなして位置する。代替実施形態では、単一の円形パッドを円形ディスク84の下面81に取り付けることができる。複数の層化ブラシ86は、動作中にくっつくのを回避するために粉末材料の粒子の接着を回避する材料から作られる。一実施形態では、複数の層化ブラシ86によって定められる上から見た直径は、くぼみ4内の空間5の底部の上から見た表面積と同じまたは実質的に同じ直径サイズである。
【0096】
回転軸82はまた、粉末材料の平坦化中に粉塵バリアを作成するように、円形ディスク84の外周部に延びるハウジングまたはシュラウド(図示せず)内で一体に組み立てることができる。
【0097】
図30および
図31に示すように、ブラシアセンブリが回転してくぼみ4内へ下降すると、回転円形ディスク84の中心区域85内の複数のブラシまたはパドル86が、パイル40の頂上および上部に接触し、粉末20の粒子を部分的にくぼみ4の壁9に向かって径方向外方へ動かす。回転円形ディスク84が、
図31に示す終点高さに向かって下降した後、くぼみ4の中心における粉末材料のパイル40の高くなった部分が壁9に向かって動かされまたは分散され、パイル40内の粉末材料の頂面が実質的に平坦化されて平面になり、実質的に均一の粉末層42を形成する。粉末の粒子に接触するブラシまたは他の材料のタイプおよび復元力、回転円形ディスク84の回転速度、ならびにくぼみ内への平坦化デバイス80の降下速度は、余分な量の粒子をくぼみの壁9の内面へ動かすことを回避するように選択および制御されるべきである。余分な量の粒子がくぼみの壁9の内面へ動くと、壁9に沿って粉末の余分な蓄積を引き起こすおそれがある。実質的に均一の粉末材料層42が形成された後、
図32に示すように、層化デバイス80をくぼみ4内の空間5から持ち上げることができる。
【0098】
代替実施形態では、粉末平坦化部材は、羽根または棒を使用することを含めて、単一の水平部材を含むことができる。
【0099】
別の実施形態では、粉末平坦化部材は、回転平面内に湾曲を有することができる。
【0100】
別の実施形態では、粉末平坦化部材は、粉末材料のパイルの表面を掃引して、同じ表面プロファイルを有する粉末材料層にするために、湾曲した非線形の、たとえば凹面または凸面の下縁部を有することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、投与装置24は、所定の量の粉末材料を分注し、その粉末をくぼみ内で実質的に均一の粉末層に形成する装置を含むことができる。そのような装置の一例が、
図33~
図41に示されている。
【0102】
図33~
図38は、所定の量の粉末材料20を分注し、その粉末をくぼみ4内で実質的に均一の粉末層に形成する代替装置を示す。図示の層堆積装置90は、所定の量の粉末材料20を分注する工程と、その粉末をくぼみ4内で実質的に均一の粉末層に形成する工程とを同時に実行することができる。層堆積装置の一例は、開示を全体として参照により本明細書に組み入れる、米国特許第10,071,372号および米国特許出願公開第2017/0312179号に記載されている。
【0103】
層堆積装置90は、
図33で、粉末で充填された粉末ホッパ91から必要な体積量の粉末材料を収集するための位置に示されている。層堆積装置90は、円筒形の吸引本体92を含み、本体92は、出口吸引端93と、入口縁96を有する入口粉末端94とを有する。本体92内では、粉末端94に、本体92の内部の断面を横切って延びる多孔質板95が位置する。多孔質板95は、織布もしくは不織布スクリーン材料または有孔性を有する材料とすることができ、その入口に面した表面からその真空に面した表面へつながる多数の通路を有し、通気性媒体を形成する。これらの通路は、動作中に自由な空気の流れを可能にしながら、粉末材料20がその中に入ることを防止するのに十分に小さいサイズである。
【0104】
多孔質板95の入口に面した表面は、円筒形の粉末取込み容積97を画成するように、入口縁96から距離または深さ「h」をあけて軸方向に位置する。一実施形態では、多孔質板95の軸方向位置を入口縁96の方へまたは入口縁96から離れる方へ動かして、円筒形の粉末取込み容積97を所定の形で変動させ、実質的に均一の粉末層を形成する所定の量の粉末材料を実現することができる。
【0105】
図34にも示すように、「真空」という単語とともに矢印によって示すように、遠隔真空源によって本体92の内部に吸引が印加される。真空源は、制御可能な量の真空を提供することができる当技術分野で周知の任意のデバイスによって調節することができる。本体92内の真空の結果、多孔質板95を通過する入口端94を通って空気が取り込まれる。
【0106】
図34は、入口端94を粉末ホッパ91に入れることによって、粉末取込み容積97を粉末20で充填する工程を示す。真空により、入ってくる空気が粉末材料20の粒子を槽91から入口端94内へ引き寄せ、粒子は入口端94から粉末取込み容積97内へ引き込まれて蓄積される。真空が維持される限り、
図35に示すように層堆積装置90が粉末ホッパ91から取り出されて、
図36に示すようにくぼみ4の上の位置へ動かされるとき、粉末取込み容積97内の粉末の体積140は、入ってくる空気によって多孔質板95の方へ引き寄せられたままである。
【0107】
図36~
図38は、粉末材料20の体積140をくぼみ4の空間5に堆積させる充填デバイス90を示す。図示の実施形態では、本体92の入口端94は、粉末の堆積および層化中にくぼみ4に挿入されるように構成される。一実施形態では、
図37に示すように、本体92の入口端94は、粉末の堆積および層化中、くぼみ4内の最後の結合粉末層、ここでは結合粉末層61の真上に配置される。入口端94が最後の結合粉末層61に向かって下降するとき、真空の印加は、入ってくる空気流が結合粉末層61の粉末および結合剤のマトリックスを損傷または妨害するリスクを低減させるように慎重に制御および低減される。本体92への真空の印加が除去された後、粉末取込み容積97内の粉末20の量140が、重力によって最後の第1の結合粉末層61の上面に「落下」し、充填デバイス90がくぼみ4から離れる方へ上方に引き上げられると、
図38に示すように第2の粉末層42を形成する。
【0108】
本体92は、堆積された粉末量42とくぼみ4の壁9の内側との間で壁が占める空間が最小になるように、入口端94において薄くかつ/または先細りした壁によって構成することができる。それにもかかわらず、入口端94における壁の余分の厚さの結果、堆積された粉末層42の横方向の直径(幅)が、くぼみの内壁9の直径(幅)より小さくなる可能性があり、それによって堆積された粉末層42の周辺壁は、
図38に示すように、それらの間の間隙に剥がれ落ちる可能性がある。
【0109】
代替実施形態では、粉末取込み容積97の内径は、空間5の底部でくぼみ4の内壁9の直径と同じ直径に整合させることができる。この実施形態では、図示しないが、本体92の入口端94が、くぼみ4内の最後の結合粉末層61の上に十分離れて位置決めされる。本体92への真空の印加が除去されると、粉末取込み容積97内の粉末20の量140が、重力によって最後の結合粉末層61の上面に短い距離だけ落下し、粉末区域は最後の結合粉末層61の頂面区域に整合する。この実施形態は、上述した実施形態の間隙を回避するが、粉末体積が空気空間を通って自由に落下することで、乱流を生み出す可能性があり、その結果得られる堆積された粉末層の均一性に影響を及ぼす可能性がある。
【0110】
図39~
図41に示す代替実施形態は、粉末の体積が最後の結合粉末層42の頂面に自由に落下することによって引き起こされる問題を回避しながら、前述の実施形態の間隙の問題に対処する。別の実施形態では、
図39に示す多孔質板195は、上向きの環状の周辺堆積を有するように構成され、それにより粉末取込み容積97の周辺部に追加の環状の粉末容積197を作成し、粉末取込み容積197内への粉末240の取込みにより、容積197内に追加の環状の粉末量297を含むことを可能にする。
図40に示すように、入口端194がくぼみ4内の最後の結合粉末層61の真上に配置された状態で、追加の環状の粉末容積197内の追加の粉末の外径を示す垂直の破線198が、破線199によって示すくぼみ4の壁9の内径の内側に位置する。それにもかかわらず、追加の環状の粉末容積197内の環状の粉末297の結果、直径198および199間の環状の間隙が十分に充填され、その結果、
図41に示すように、実質的に均一の粉末層42が堆積する。
【0111】
図42は、空間5および第1の粉末層41(
図25)に結合液を付加する工程を示す。好ましい実施形態では、結合液は、開示を全体として参照によって組み入れる、米国特許第6,471,992号、第6,945,638号、第7,300,668号、第7,875,290号、および第8,088,415号に記載されているような3D印刷方法および技法を使用して付加される。図示の実施形態では、第1の所定の数量の結合液が、インクジェット印刷ノズルアセンブリ33の印刷ノズル32から液体の液滴30を噴霧することによって堆積される。結合液の液滴30は、粉末材料の粒子を結合させて、凝集性のある粉末液体マトリックスにし、第1の湿潤粉末層51を実質的に均一の層に形成する。
【0112】
典型的な実施形態では、結合液は、その結果得られる湿潤粉末層51内で余分の溶剤の量を含み、好ましくはこの溶剤は、完成した結合粉末層を形成するために除去される。
図43は、湿潤粉末層からの溶剤除去プロセス中に支持板15のポートまたは開口部16内に配置されたくぼみ4を示す。
【0113】
液体除去システムが提供され、くぼみ内に収容された1つもしくはそれ以上の湿潤粉末層または完成した3DP剤形を有する1つまたはそれ以上のブリスターシートを受け取り、そこから液体を除去するように適用される。液体除去システムは、ブリスターシートの1つまたはそれ以上が案内されるプロセス区域とすることができる。たとえば、液体除去システムは、プロセス中の3DP剤形の増分印刷層から液体を除去または低減することができる。別法として、液体除去システムは、3次元印刷ブリスターシートが周囲条件下に配置されて乾燥される一時的な保持または収納区域など、3次元印刷システムに直接関連しない別のプロセス区域とすることができる。いくつかの実施形態では、液体除去システムは、1つまたはそれ以上の乾燥器である。
【0114】
図43は、くぼみ4内に形成された湿潤粉末層51を加熱しまたは湿潤粉末層51に熱を印加し、概して余分の液体溶剤をガスまたは蒸気に蒸発させて乾燥粉末層から取り去ることによって余分の溶剤液を除去するいくつかの手段を示す。液体溶剤を除去する図示の手段は、湿潤粉末層内の余分の溶剤を加熱して余分の溶剤液をガスまたは蒸気Vに蒸発させる様々な形態を含むことができる。図示の手段は:たとえば開示を全体として参照により本明細書に組み入れる、米国特許第6,990,748号、第6,047,484号、および第4,631,837号に記載されているように、湿潤粉末層51に向かって上下に運ばれる加熱空気35を使用する対流熱伝達;くぼみ4の下面で加熱液体36または加熱空気などの加熱液体を使用してくぼみ4のシート材料および湿潤粉末層51に熱38を伝導する伝導熱伝達;ならびにくぼみに伝わりかつ/またはくぼみ4のシート材料を通って湿潤粉末層51に伝わる好適な赤外光源からの赤外放射39を使用する放射加熱のうちの1つまたはそれ以上から選択することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、乾燥装置は、ブリスターシート2の上面に向かって赤外エネルギーを放出するようにパターンをなして配置された多数の赤外発光源を含む。くぼみ内に配置された湿潤粉末材料を含むブリスターシート2は、ハウジング内へ通され、所定の座標に位置する。いくつかの実施形態では、湿潤粉末材料の上面のパターンおよび座標は、乾燥プロファイルを形成するように検出されてマッピングされる。赤外(IR)光源は、IR光を湿潤粉末材料の上面に排他的に放出するように照明および制御される。放出されるIR光の時間および強度は、上面を加熱して蒸発させ、湿潤粉末材料のための容積から湿気および他の溶剤を蒸発させるように維持される。いくつかの実施形態では、湿潤粉末へ放出されるIR光は、IRエネルギーの通過を許可する成形開口部のパターンを有するマスクを使用して制御される。いくつかの実施形態では、マスクを通って放出された光は、屈折材料、たとえばレンズを使用して集束される。いくつかの実施形態では、IR光源は、IR光のパターンを放出するように制御される高分解能IR光エミッタを含む。
【0116】
図44は、液体除去システムとして好適な乾燥器415の一実施形態を示す。乾燥器はハウジング416を含み、ハウジング416内に、複数の加熱要素417およびコンベヤシステム418が収容される。ハウジングは、入口420および出口419を含み、入口420および出口419を通って、3DPブリスターシート422、および場合によりそれぞれの支持板が、コンベヤによって運ばれる。いくつかの実施形態では、乾燥器は、入口および/または出口に対して1つまたはそれ以上のカバー421を含む。乾燥器は場合により、蒸気を除去するための排気システム423、および/または乾燥器に加熱空気を提供するための加熱空気源424を含む。
【0117】
図45~
図49は、実質的に均一の粉末層として堆積または形成された追加の所定の量の粉末20の堆積を示す。
図45は、くぼみ4内の第1の結合粉末層61の上に配置された第2の実質的に均一の粉末層42を示し、
図47は、前に形成された4つの結合粉末層61、62、63、および64の上に堆積された第5の実質的に均一の粉末層45を示す。結合液の液滴30または流れが、粉末層の上に堆積されて、追加の湿潤粉末層を形成し、追加の湿潤粉末層は、
図46に示す第2の湿潤粉末層52と、
図48に示す前に形成された4つの結合粉末層61、62、63、および64の上に配置された第5の湿潤粉末層55とを含む。
【0118】
連続する各湿潤粉末層がくぼみ内に形成された後、上述したように、結合液からの余分の溶剤を1つまたはそれ以上の湿潤粉末から除去することができる。
図49は、余分の溶剤が最も上の湿潤粉末層55から除去された後の第5の最も上の結合粉末層65を示す。完成した剤形10が印刷された後、剤形は蓋シート8で覆われて包装のくぼみ4内に封止され、
図49にさらに示す投与量ブリスター1aを形成する。
【0119】
いくつかの実施形態では、湿潤粉末層のいくつかまたはすべてを順に形成することができ、溶剤除去のためにいくつかまたはすべての湿潤粉末層で単一の乾燥工程を実行することができる。特定の実施形態では、材料堆積中に連続または並行して、余分の溶剤の除去を実行することができる。
【0120】
図49で、5つの結合粉末層61~65からなる結合粉末マトリックス10を含む完成した剤形は、くぼみ4に対する内部空間に実質的に共形となる形状およびサイズを有する。
【0121】
本発明の一実施形態では、くぼみ4を形成する包装シート6の内面は、離型剤を含むことができる。離型剤は、くぼみ4の壁9および閉端7の内面にそれぞれ対向する剤形10の外壁11および底面12(
図1参照)が、それらの内面から剤形10を容易に解放し、またはそれらの内面に剤形10が接着することを回避するための手段を提供する。離型剤は、投与量の印刷前にくぼみの内面に付加される化合物とすることができる。非限定的な例は、残留の化合物がくぼみ4に残ることなく剤形を解放するテフロン(登録商標)のコーティングである。離型剤はまた、耐接着性を有するシートの内面に積層されたプラスチックフィルムなど、パッケージシート6のプラスチック材料の化合物、固有の特性、または応用機能とすることができる。
【0122】
特定の実施形態では、離型剤は、堆積液体の表面張力と比較すると、表面エネルギーが低いことを特徴とすることができ、それによってくぼみの内面の湿潤の程度を制限または調節し、剤形の周辺部に沿った結合液の移動を抑制することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、40~50mN/mの範囲内の表面張力を有する結合液を堆積させるために、くぼみの内面は、望ましくは、40mN/m未満、より詳細には35mN/m未満の表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、30~40mN/mの範囲内の表面張力を有する結合液を堆積させるために、くぼみの内面は、望ましくは29mN/m以下、より詳細には25mN/m未満の表面エネルギーを有する。多層の空洞材料が使用される場合、たとえばポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン(PVC/PCTrFE)が選択された場合、望ましくは、PCTrFE薄片(30.9mN/m)がくぼみの内面に配置され、PVC薄片(41.5mN/m)がくぼみの外面に配置される。
【0124】
概して、離型剤(またはプラスチック)の表面エネルギーは、望ましくは、堆積流体の表面張力より、1mN/m~5mN/m、または5mN/m~10mN/m、または10mN/mもしくはそれ以上小さい。表1は、一般的なポリマーおよびそれらの固体表面エネルギーに関するデータの一覧を示す(出典:http://surface-tension.de/solid-surface-energy.htm)。
【0125】
離型剤がくぼみを形成する包装シートに付加されたさらなる材料である場合、水性結合液を用いるとき、離型剤は消費に好適であり、油、ワックス、または脂肪酸、脂肪酸の金属塩、もしくは脂肪酸エステルからなる群から選択することができる。好適な離型剤は、USP/NF、賦形剤ガイド、GRAS(Generally Recognized As Safe)の材料の一覧、または食品添加物規制などの概要に関連して挙げられる材料から選択することができる。例示的な離型剤には、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ジパルミトステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、ジベヘン酸グリセリル、モノおよびジグリセリド混合物、モノステアリン酸グリセロール、蜜蝋、カルナウバ蝋、セチルエステルワックス、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0126】
単一のくぼみ4内の単一の剤形10の形成について示すが、本明細書に記載する方法およびデバイスを使用して、
図1に示すように、ブリスターシートなどの包装材料のそれぞれのくぼみ内に複数の剤形を形成することができる。ブリスター型のくぼみのアレイは、当技術分野ではよく知られているくぼみ4の任意の配置またはパターンを含むことができる。
【0127】
【0128】
別の実施形態では、
図50~
図53に示すように、3D印刷アセンブリの印刷ヘッドおよびノズルは、実質的に均一の粉末層のいずれかの特有の部分に結合液の液滴30を付加するように構成することができる。
図50で、結合液は、第2(または後続もしくは任意)の粉末材料層42の側方部分48にのみ付加されて、湿潤粉末58の周辺部分を形成し、湿潤されていない未結合粉末の中心部分71を残す。湿潤粉末58を乾燥させて結合粉末68の周辺部分にした後、追加の粉末層を付加することができる。
図51は、側方部分58は結合粉末材料を含むが、中心粉末部分49は結合液を含まない層の上に、第3の粉末層43を付加することを示す。
図52に示すように、結合液の液滴30が第3の粉末層43に堆積されて、湿潤粉末層53を形成するが、第2の粉末材料層42内の湿潤されていない未結合粉末の中心部分49に貫入するほど大量の液体は付加しない。そのような実施形態では、
図53に示す結合粉末のうち、第2の結合粉末層62の周辺部分68、ならびに/またはその上の湿潤(または結合)粉末層63およびその下の第1の結合粉末層61の部分が、その結果得られる剤形10の構造的完全性を維持しながら、中心粉末部分49などの粉末のみの体積を収容するのに十分な弾性構造を提供する。
【0129】
図54~
図59は、ブリスター型包装1のくぼみ4内に剤形を形成する方法の代替実施形態を示し、剤形は、
図59に示すようにコア106を取り囲む堅い弾性の結合剤コーティング120を有する成形済み結合粉末コア106を含む。
【0130】
図54は、くぼみ4内で、くぼみ4の内部空間5の閉端で下部結合剤液コーティングの上に堆積された第1の均一の粉末材料層41を示し、それによって閉端7の内面を覆う底面湿潤粉末層50を形成し、その上に粉末層41の残り部分を形成する。3D印刷アセンブリ33の選択されたノズル132は、結合液の液滴または流れ34を第1の粉末層41の周縁部に選択的に付加するように構成され、それによって粉末層41の周縁部の粉末を湿潤させ、湿潤周辺コーティング151を形成する。図示の実施形態では、粉末層41の中心部分は第2の結合液の液滴34によって湿潤されていない。第2の結合液は、均一の粉末層を湿潤させるための上述した結合液と同じであっても異なってもよい。典型的には、周辺部分151に付加される第2の結合液の濃度は、粉末層を湿潤させるために付加される濃度より大きい。一実施形態では、結合液の量は、粉末の粒子の実質的にすべてをコーティングして覆い、液体の連続する湿潤粉末を形成するのに十分な量である。
【0131】
一実施形態では、液滴34は、インクジェット印刷システム33を使用して付加され、そのような印刷システム33では、多数の印刷ノズル132がアレイで、典型的にはノズル132の1つまたはそれ以上の線形の行で位置合わせされる。粉末層41を収容するくぼみ4、およびノズル132のアレイは、結合液の液滴34が粉末層41の周辺部分にのみ付加されるように、互いに対して動かされ、液滴34が時限式の所定のパターンをなして堆積されている間に、くぼみ4はノズル132のアレイの下を水平に進む。一実施形態では、ノズル132のアレイは静止しており、1つまたはそれ以上のくぼみ4が、ノズル132の下で水平に動かされる。代替実施形態では、くぼみ4は静止しており、ノズル132のアレイがくぼみ4の上を水平に通過される。くぼみ4がノズル132のアレイの下を通っているとき、アレイ33に沿ったノズルのうち選択されたノズルが起動されて、粉末層41の対応部分が下を通過するときのみ液滴34を表し、その結果得られる液滴34の表現が、粉末層41の周辺部分の上に液体結合剤151の環状のパターンを形成する。
【0132】
図示されていない別の実施形態では、粉末層41を収容するくぼみ4がノズルの下に配置されている間に、液滴34は固定および均一のパターンの液体噴霧ノズルから付加される。くぼみ4およびノズルは、典型的には、どちらも静止しているが、代替実施形態では、どちらも同時にかつ同期して動くことができる。典型的な実施形態では、ノズルは、液滴の環状のパターンを中空の円錐として放出する。
【0133】
別の実施形態では、液滴34は、インクジェットノズルの精密な液滴サイズの制御なしに第2の結合液の体積を堆積させるように構成された液体流ノズルを使用して付加される。典型的には、そのような液体流ノズルの液滴の噴霧速度は、インクジェット噴霧システムの速度より大幅に遅い。液体流ノズルの非限定的な例には、Sonotek Corporation、Milton NYからAccuMist(商標)システムとして利用可能な超音波堆積ノズルが挙げられる。これらの噴霧ノズルの結果、液滴の速度が遅くなり、粉末材料の乱れが少なくなり、過剰噴霧が最小になり、広範囲の体積量および中心液滴サイズ(直径)が得られる。噴霧パターンは、広い円錐形パターンおよび狭い円錐形パターンの両方、ならびに集束された線形の流れを含む、様々なパターンをなして利用可能である。
【0134】
図55は、上述したように、第1の結合液の液滴30を第1の粉末層41の中心部分に付加し、それによって第1の湿潤粉末層51を形成することを示す。湿潤周辺部分151は、典型的には、湿潤粉末層51の中心湿潤部分を取り囲んで覆う。いくつかの実施形態では、第1に粉末層41の中心部分に結合液を付加して湿潤粉末部分を形成し、それに続いて第2の結合液を付加して湿潤周辺部分151を形成することによって、結合液を付加する順序を逆にすることができる。
【0135】
乾燥させた後、湿潤周辺部分151は、
図56に示すように、安定した固められたまたは弾性の周辺コーティング部分161に形成され、周辺コーティング部分161内に結合粉末層部分61が位置する。このサイクルを繰り返して、3つの追加の均一の粉末を堆積させ、各粉末を、それぞれ第2、第3、および第4の粉末層の周縁部で第2の結合液の液滴または流れ34によって湿潤させ、粉末層のそれぞれの中心部分内で湿潤させて、湿潤粉末層を形成する。各層は、別個に、または2つもしくはそれ以上の層のグループで処理して、余分の結合剤溶剤を除去し、それによって
図56に示す固められたまたは弾性の周辺コーティング部分162、163、および164をそれぞれ有する第2、第3、および第4の結合粉末層62、63、および64を形成することができる。
図56にさらに示すように、第5の均一の粉末層45が堆積された後、3D印刷アセンブリ33の選択されたノズル132は、第5の最も上の粉末層45の周縁部で第2の結合液の液滴または流れ34を付加し、周縁部で粉末を湿潤させて、湿潤周辺コーティング155を形成するように構成される。
図57で、最も上の均一の粉末層45の残り部分は、第1の結合溶液の液滴30に接触して、湿潤周辺コーティング155を有する湿潤粉末層55の中心部分を形成する。
【0136】
代替実施形態では、第5の均一の粉末層45の残りの非湿潤部分を結合液で湿潤させる前に、湿潤周辺コーティング155をまず処理して、湿潤周辺コーティング155から余分の結合剤溶剤を除去し、固められたまたは弾性の周辺コーティング部分165を形成することができる。
【0137】
図58に示すように、第2の結合液の液滴または流れ34を最も上の第5の粉末層55の頂部中心部分に堆積させ、固められたまたは弾性の周辺コーティング部分165に接触して重複し、湿潤コーティング158を形成する。次いで
図59は、最も上の結合粉末層65の頂部部分の湿潤コーティング158を乾燥または硬化させた後の完成した剤形110を示し、完成した剤形110は、成形済みの結合投与量コア106を取り囲む外側コーティング120の形成を完成する頂部弾性コーティング168を有する。
【0138】
別の実施形態では、
図60は、タンパ88の断面図を示し、タンパ88は、くぼみ4内の粉末材料の頂層45に位置合わせされるように調整された空洞および対応する縁89を画成する下面87を有する。タンパ88の横断面形状、したがって空洞の下面87の形状は、作製されている所望の剤形の形状に整合するように構成される。タンパの非限定的な例は、開示を全体として参照によって組み入れる、国際公開WO2017/034951に記載されている。図示の実施形態では、空洞形状は凹面の円であるが、他の実施形態では、凹面の楕円形、正方形、または任意の他の幾何形状とすることができる。縁89は、
図61に示すように、矢印によって示すように頂部粉末層45の上面に当たったとき、くぼみ4の内壁9内に位置合わせされて、
図62に示すように、成形済みの頂部粉末層46の上面を、対応する凸面の逆形状に形成するように構成される。堆積された緩い粉末上へタンパ88を下降させて(
図61の下向き矢印)、その表面に平滑化、輪郭付け、または修正を加えることができる。いくつかの実施形態では、タンパ88を一度下降させて持ち上げ、または2つもしくはそれ以上の回数だけ、同じもしくは異なる深さまで下降させて、1つもしくは一連の締固め工程を行うことができる。いくつかの実施形態では、タンパは、線形(垂直)移動距離に基づいて、下降させて粉末に接触させ、下方へ前進させることができ、線形の移動距離の大きさが、堆積された粉末層の締固めおよび/または平坦化の程度に影響する。
【0139】
締固めのレベルまたは程度は、粉末材料または湿潤粉末材料の面密度の増大をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、粉末材料を最大約33%締め固めることによって、粉末材料の密度を増大させることができる。いくつかの実施形態では、粉末材料の締固めによってもたらされる密度の増大は、最大約30%、または最大約25%、または最大約20%であり、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%とすることができる。所望のまたは実際の密度の増大は、粉末材料、および/または剤形のうち締め固められた粉末材料が形成する部分の組成に基づいて変更または選択することができる。いくつかの実施形態では、締固めにより、少なくとも1.0g/ccを含めて、少なくとも0.05グラム/立法センチメートル(g/cc)から、最大約1.0g/ccを含めて、最大約1.5g/ccに、堆積された粉末材料層の密度を増大させることができる。いくつかの実施形態では、締固めにより、少なくとも0.05g/ccを含めて少なくとも0.03グラム/立法センチメートル(g/cc)の湿潤粉末材料の密度、少なくとも1.0g/cc、および最大約1.0g/ccを含めて最大約1.5g/ccの湿潤粉末材料の密度を増大させることができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、検出または測定されたタンパにかかる線形の力または圧力に基づいて、タンパを下降させて粉末に接触させ、前進させることができ、線形の力または圧力の大きさが、堆積された粉末層の締固めおよび/または平坦化の程度に影響する。いくつかの実施形態では、タンパ88は、
図61に示すように、タンパが下降されるにつれて、1つの回転方向に回転される。タンパ88を下降させながら回転させることで、粉末層の深さの均一性および粉末の面の締固めの均一性が改善される。タンパ88の動きは、当技術分野では知られている任意の制御システムによって制御することができる。
図63に示すように、タンパ88が持ち上げられた後、結合粉末層および成形済みの頂部粉末層46を収容するくぼみ4を印刷領域へ動かすことができ、そこで凸面状の粉末材料層46に結合液を付加して、最後の最も上の結合粉末層157を形成することができる。
【0141】
プロセス中の3DP物品に接触しているタンパ88の下面が、凹面の円形形状として示されているが、タンパの下面は、平坦または他の非平坦な形状とすることができ、これは所望される場合、成形される(または輪郭が付けられる)ことを意味する。
【0142】
図64および
図65に示す代替実施形態では、タンパを使用して、最も上の湿潤粉末層を成形することができる。第5の均一の粉末層45が堆積した後、3D印刷アセンブリ33の選択されたノズルは、
図64に示すように、結合液の液滴30を第5の最も上の粉末層45に付加して粉末を湿潤させ、最も上の湿潤粉末層46を形成するように構成される。いくつかの実施形態では、最も上の湿潤粉末層46は、タンパを使用して成形、締固め、または印付けを行うことができる。タンパ88は、
図65に示すように、矢印によって示すように、下降させて最も上の湿潤粉末層46の上面に当て、最も上の結合粉末層157を形成することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、タンパおよびタンパシステムを使用して、一連の締め固められた粉末層などの1つもしくはそれ以上の締め固められた粉末層、または締め固められた湿潤粉末層を、くぼみ内に形成することができる。1つまたはそれ以上の締め固められた粉末層は、均一または不均一に締め固めることができ、その結果、1つもしくはそれ以上の均一もしくは不均一に高密度化された粉末層、または1つもしくはそれ以上の均一もしくは不均一に高密度化された湿潤粉末層が得られる。
【0144】
いくつかの実施形態では、1つのタイプまたは形状のタンパを、1つまたはそれ以上の粉末層または湿潤粉末層上で使用することができ、異なるタイプまたは形状の第2のタンパを、異なる1つまたはそれ以上の粉末層または湿潤粉末層上で使用することができ、その結果得られる剤形に異なる美的または性能作用または特性を提供することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、回転締固めデバイスが、横方向に延びる円筒形の外面を含むことができ、タンパのパターンが、円筒形の表面から径方向外方へ延びる。タンパの位置を軸方向に動かして、各タンパが外面から延びる距離を調整し、タンパが異なる距離だけくぼみ内へ延びることを可能にすることができる。
【0146】
分注された複数の粉末層をくぼみ内で締め固めるために、自動締固め装置を設けることができる。
図66に示す回転締固め装置の一例が、
図67にブリスターシート2にわたって断面図に示されている。回転締固め装置284は回転ドラム285を含み、回転ドラム285の外面286には、ブリスターシート2内で複数のくぼみ4の各々を締め固めるのに十分な数の複数のタンパ287が配置されている。所望の数のくぼみ4を有するブリスターシート2が、タンパ287がくぼみ4と位置合わせされた状態で、回転締固め装置の下で、回転ドラム285の回転と同期した速度で動かされる(横方向の矢印)。タンパは、各くぼみ内へ延びて各くぼみ4内で粉末材料層41を締め固め、締め固められた粉末層47を形成するのに十分なサイズおよび形状である。
【0147】
様々なサイズ、形状、および輪郭の他のタンパ面が企図される。タンパ面は、浮出し(または場合によりくぼみ)文字、数字、または他の記号を含むことができ、3DP物品の外部または内部増分層内に、タンパ面の輪郭を逆に反映した刻印を提供することができる(すなわち、タンパ面の浮出し機能は増分層に凹み機能を作成し、逆も同様である)。タンパ面は、3DP物品の内部または外部増分層に作成および刻印するという類似の目標で、特有のパターンまたはテキスチャを含むことができる。特定の実施形態では、タンパ面上の機能のパターンまたはテキスチャにより、2つ以上の増分層からの粉末が3DP物品の同じ水平スライス内で混ざることが可能になる。たとえば、各粉末がその独自のそれぞれの層内に実質的に残っているのではなく、2つの順次増分層が異なるそれぞれの粉末を有する場合、一方または両方の粉末が、浮出しまたはくぼみ機能を有する平滑でないタンパ面の作用によって変位されたとき、上方または下方へ移動して隣接する増分層に入る可能性がある。特定の実施形態では、これは、第1の粉末から構成された即座の増分層内に作成されたくぼみを含むことができ、この増分層が、後に次の粉末分配工程で第2の粉末によって充填され、またはこれは、第1の粉末から構成された即座の増分層内に浮出し区域を含むことができ、この増分層が、第2のそれぞれの粉末を有する次の増分層に割り当てられた空間内へ延び、または両方の組合せを含むことができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、タンパシステムは、対応するくぼみのパターンに位置合わせされたタンパのパターンからなる。いくつかの実施形態では、タンパのパターンは、くぼみの底面に直交して垂直方向に動く。いくつかの実施形態では、タンパのパターンは、アセンブリとして一斉に動くが、いくつかの実施形態では、各タンパは、他のタンパから独立して動く。いくつかの実施形態では、タンパのパターンが横方向位置で固定されており、くぼみのパターン(たとえば、くぼみ4のパターンを有するブリスター型包装シート)を操作することによって、くぼみのパターンとの位置合わせが提供される。いくつかの実施形態では、くぼみのパターンが横方向位置で固定されており、タンパのパターンを操作することによって、タンパのパターンとの位置合わせが提供される。いくつかの実施形態では、タンパのパターンおよびくぼみのパターンはどちらも、他方と位置合わせされるように独立して操作することができる。
【0149】
概して、3DP機器アセンブリおよび/または装置は、1つまたはそれ以上の3次元印刷構築システム、および場合により1つまたはそれ以上の液体除去システムを含む様々なサブシステムを含むことができる。システムは、1つまたはそれ以上の3次元印刷構築システム、1つまたはそれ以上の液体除去(乾燥)システム、および場合により1つまたはそれ以上の他のシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、機器アセンブリは、1つまたはそれ以上の上部タンパシステム、1つまたはそれ以上の制御システム、および1つまたはそれ以上の検査システムからなる群から選択される1つまたはそれ以上の(サブ)システムを含むことができる。たとえば、くぼみ3DPシステムの特定の実施形態では、くぼみに入る粉末材料の実質的にすべてが、くぼみ内のそれぞれの剤形に組み込まれるため、ハーベスティングシステムを有する必要はない。同様に、くぼみ3DPシステムの特定の実施形態では、錠剤が包装内のその場で形成されるため、形成済みの錠剤を排出、輸送、および/または送出して別個の包装に入れる必要はない。
【0150】
図68は、線形機器アセンブリ501からなる3DP機器アセンブリの第1の非限定的な実施形態を示す。コンベヤシステム511が、典型的に支持板上に支持されているブリスターシートを動かすように構成される。コンベヤの非限定的な例は、開示を全体として参照によって組み入れる、米国特許出願公開第2014/0065194号(Aprecia Pharmaceuticals Company)に記載されており、そこに記載されている構築モジュールは、1つまたはそれ以上のブリスターシートが支持された支持板、または支持板を輸送するためのモジュールを含むことができる。
【0151】
機器アセンブリ501は、本明細書に記載する粉末ビン521および回転投与装置531、または粉末材料をくぼみに分注するための本明細書に開示する他の実施形態を含む。機器アセンブリ501は、振動板として示されている平坦化デバイスもしくは装置541、または本明細書に記載する粉末平坦化手段、デバイス、もしくは装置の他の実施形態を含む。機器アセンブリ501は、本明細書に記載するインクジェット印刷システムなどの印刷デバイスまたは装置551を含む。機器アセンブリ501は、放射加熱装置として示されている乾燥装置561、または本明細書に記載する乾燥装置の他の実施形態を含む。
【0152】
図69は、直列に配置された少なくとも2つのアセンブリ551および552からなる3DP機器アセンブリ502の第2の非限定的な実施形態を示す。アセンブリ551および552の各々は、連続ループ内に配置されており、この連続ループ上および連続ループから、支持されたブリスターシート215を運ぶことができる。アセンブリ551は、粉末ビン521および回転投与装置531、平坦化装置541、印刷装置551、ならびに乾燥装置561を含む。アセンブリ552は、粉末ビン522および回転投与装置532、平坦化装置542、印刷装置552、ならびに乾燥装置562を含む。いくつかの実施形態では、支持されたブリスターシート215は、1回もしくはそれ以上の回数だけ第1のアセンブリ551を通過させることができ、または1回もしくはそれ以上の回数だけ第2のアセンブリ552を通過させることができ、または1回もしくはそれ以上の回数だけ第1のアセンブリ551および第2のアセンブリ552の両方を通過させることができる。いくつかの実施形態では、粉末ビン521から分注される粉末材料は、粉末ビン522から分注される粉末材料とは異なる。いくつかの実施形態では、粉末分注装置は、異なる粉末分注装置とすることができ、第1のアセンブリ551の分注装置は、第2のアセンブリ552の分注装置とは異なることができる。いくつかの実施形態では、第1のアセンブリ551の粉末平坦化装置541は、第2のアセンブリ552の粉末平坦化装置542とは異なることができる。いくつかの実施形態では、印刷装置551から粉末材料に付加される結合液は、印刷装置552から粉末材料に付加される結合液とは異なる。いくつかの実施形態では、乾燥装置561は、乾燥装置562とは異なる。
【0153】
図70は、連続ループ512からなる3DP機器アセンブリ503の第3の非限定的な実施形態を示し、連続ループ512上および連続ループ512から、支持されたブリスターシート215を運ぶことができる(緑色の矢印によって示す)。アセンブリ553は、ループ状コンベヤ512の第1の部分に沿って、粉末ビン521および回転投与装置531、ならびに粉末平坦化装置541を含み、ループ状コンベヤ512の第2の部分に印刷装置551および乾燥装置561を含む。ループ状コンベヤ512の第1の部分に沿って、支持されたブリスターシート215をシステム503に入れることができ、システム503から取り出すことができる。
【0154】
図71は、第1の連続ループ512および第2の連続ループ513からなる3DP機器アセンブリ504の第4の非限定的な実施形態を示し、2つのループ512および513は、共通のコンベヤ部分514を共用している。アセンブリ504は、共通のコンベヤ部分514に沿って、粉末ビン521および回転投与装置531、ならびに印刷装置551を含む。印刷装置551を退出した後、支持されたブリスターシート215は、第1の連続ループ512の外側ループに沿って、または第2の連続ループ513の外側ループに沿って誘導することができる。粉末平坦化装置541が、第1の連続ループ512に沿って配置され、乾燥装置561が、第2の連続ループ513に沿って配置される。支持されたブリスターシート215は、共通のコンベヤ部分514に沿って、粉末分注装置(粉末ビン521および回転投与装置531)および印刷装置551を通過し、くぼみ内に湿潤粉末層を形成することができる。この動作は、支持されたブリスターシート215を平坦化装置541または乾燥装置561へ誘導することを選択することができる。いくつかの実施形態では、支持されたブリスターシート215は、結合液を付加することなく印刷装置551を通過することができ、それによって、粉末分注システムで堆積された粉末材料のパイルを第1の連続ループ512に沿って平坦化システム541へ運び、粉末材料を平坦化し、再び共通のコンベヤ部分514に沿って印刷装置551を通過させ、くぼみ内に湿潤粉末層を形成する。
【0155】
図72は、第1の連続ループ512および第2の連続ループ513からなる3DP機器アセンブリ505の第5の非限定的な実施形態を示し、2つのループ512および513は、共通のコンベヤ部分514を共用している。アセンブリ505は、ループ状コンベヤ512の外側部分に沿って、粉末分注装置(粉末ビン521および回転投与装置531)および平坦化装置541を含み、ループ状コンベヤ513の外側部分に沿って、印刷装置551と、第1の乾燥装置561および第2の乾燥装置562からなる1対の乾燥装置とを含む。第1の連続ループ512は、支持されたブリスターシート215のくぼみに粉末材料を分注して平坦化することを提供し、第2の連続ループ513は、結合液を粉末層に分注し、形成された錠剤から残留結合液(またはその中の溶剤)を乾燥させることを提供する。第1の乾燥装置561および第2の乾燥装置562は、本明細書に記載する乾燥装置の実施形態のいずれかから、独立して選択することができる。第1の乾燥装置561は、第2の乾燥装置562とは異なることができる。
【0156】
粉末は、医薬品または非医薬品の用途に好適な1つまたはそれ以上の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、粉末は、1つもしくはそれ以上の医薬品賦形剤、1つもしくはそれ以上の医薬品活性剤、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、3次元印刷品は、医薬品剤形、医療デバイス、医療インプラント、または記載する他のそのような物品である。3次元印刷品に含むことができる例示的なタイプの医薬品賦形剤には、限定されるものではないが例として、キレート剤、防腐剤、吸着剤、酸性化剤、アルカリ化剤、消泡剤、緩衝剤、着色剤、電解質、香味料、研磨剤、塩、安定剤、甘味料、張性調節剤、接着防止剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤、潤滑剤、不透明化剤、研磨剤、可塑剤、他の医薬品賦形剤、またはこれらの組合せが含まれる。
【0157】
結合粉末マトリックスには、1つまたはそれ以上の結合剤を含むことができる。結合剤は、粉末材料または結合液に含むことができる。結合剤は、事例ごとに独立して選択される。粒子の結合剤への接着および/または結合剤による接着は、結合剤が印刷ヘッドからの結合液によって接触されたとき、または結合液中に存在する(すなわち、可溶性である)ときに生じる。結合剤は、好ましくは水に溶け、水性流体に溶け、部分的に水に溶け、または部分的に水性流体に溶ける。いくつかの実施形態では、印刷流体は、結合剤の1~20重量%、5~15重量%、または8~12重量%を構成する。いくつかの実施形態では、バルク粉末は、結合剤の0.1~10重量%、5~15重量%、0~15重量%、8~14重量%、または9~11重量%超を構成する。いくつかの実施形態では、印刷マトリックスは、結合剤の1~20重量%、5~14重量%、または8~12重量%を構成する。いくつかの実施形態では、結合剤は、印刷流体に存在せず、またはバルク材料に存在しない。好適な結合剤には、水溶性合成ポリマー、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、アルファ化デンプン、加工デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが含まれる。好ましい結合剤には、ポリビニルピロリドン、たとえばPVP K30、加工デンプン(たとえば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)、マンニトール、またはこれらの組合せが挙げられる。限定されるものではないが、PVP K25およびPVP K90を含めて、30とは異なるK値を有するPVPを使用することもできる。
【0158】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の粉末層の各々に含まれる粉末材料は、組成上同じ粉末材料である。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の粉末層内の粉末材料は、別の粉末層内の粉末材料とは異なる。そのような実施形態では、異なる組成の粉末材料は、異なる医薬品有効成分(API)もしくはAPIプラシーボを含むことができ、またはAPI成分を含まなくてもよい。
【0159】
医薬品活性剤は概して、動物、細胞、組織、臓器、人間以外、および人間に全身的または局所的な1つまたはそれ以上の作用をもたらす生理学的または薬理学的活性物質を含む。
【0160】
記載するときはいつでも、別段の指定がない限り、「活性剤」という用語は、中性、イオン、塩、塩基、酸性、天然、合成、ジアステレオマ、異性体、鏡像異性的純粋、ラセミ体、水和物、溶媒和物、キレート、誘導体、類似体、光学活性、光学強化、遊離塩基、遊離酸、位置異性体、非晶質、無水、および/または結晶質の形態を含めて、活性剤のすべての形態を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、粉末層内の粉末材料組成は、同じにすることができる。いくつかの実施形態では、粉末層の1つの領域は、粉末層の別の領域内に含まれる粉末とは組成上異なる粉末材料を含むことができる。
【0162】
3次元印刷剤形は、1つ、2つ、またはそれ以上の異なる活性剤を含むことができる。活性剤の特定の組合せを提供することができる。活性剤のいくつかの組合せには:1)第1の薬効分類からの第1の薬物、および同じ薬効分類からの異なる第2の薬物;2)第1の薬効分類からの第1の薬物、および異なる薬効分類からの異なる第2の薬物;3)第1のタイプの生物活性を有する第1の薬物、およびほぼ同じ生物活性を有する異なる第2の薬物;4)第1のタイプの生物活性を有する第1の薬物、および異なる第2のタイプの生物活性を有する異なる第2の薬物が含まれる。活性剤の例示的な組合せは、本明細書に記載されている。
【0163】
活性剤は、抗生物質製剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、抗アメーバ剤、抗トリコモナス剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗喘息剤、抗血液凝固剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗腫瘍剤、抗精神病剤、神経弛緩剤、抗高血圧剤、催眠剤、鎮静剤、不安緩解剤、抗パーキンソン剤、筋弛緩剤、抗マラリア剤、ホルモン剤、避妊剤、交感神経様作用剤、血糖降下剤、抗脂血剤、眼科用剤、電解質剤、診断用剤、運動促進剤、胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤、整腸剤、抗失禁剤、心臓血管作用剤、またはこれらの組合せなどの活性剤から、事例ごとに独立して選択することができる。有用な薬物の上記その他の分類に関する説明、および各分類内の種類の一覧は、開示を全体として参照により本明細書に組み入れる、Martindale 37th Edition (2017)、The Extra Pharmacopoeia、31ST Ed(The Pharmaceutical Press、London 1996)に見ることができる。
【0164】
粉末材料に含むことができる例示的なタイプの非医薬品賦形剤には、限定されるものではないが例として、灰、粘土、セラミック、金属、ポリマー、生物物質、プラスチック、無機材料、塩、他のそのような材料、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、粉末は、1つもしくはそれ以上、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、7つもしくはそれ以上、8つもしくはそれ以上、9つもしくはそれ以上、10個もしくはそれ以上、または複数の構成要素を含み、各構成要素は、事例ごとに独立して選択される。いくつかの実施形態では、機器アセンブリは、1つもしくはそれ以上、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、7つもしくはそれ以上、8つもしくはそれ以上、9つもしくはそれ以上、10個もしくはそれ以上、または複数の粉末(または固体構成要素)供給リザーバを含む。
【0166】
粉末に付加される結合液は、溶液または懸濁液とすることができる。液体は、水性担体、非水性担体、有機担体、またはこれらの組合せを含むことができる。水性担体は、水もしくは水性緩衝剤、または水と1つもしくはそれ以上のアルコールの組合せとすることができる。非水性担体は、有機溶剤、低分子量ポリマー、油、シリコーン、他の好適な材料、アルコール、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ポリ(エチレングリコール)、グリコール、他のそのような材料、またはこれらの組合せとすることができる。液体、結合液、印刷流体、結合流体、および液体という用語は、3DPの一部として送達される液体を指すために区別なく使用することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、機器アセンブリは、1つもしくはそれ以上、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、または複数の液体リザーバを含む。液体は、色付けされていても色付けされていなくてもよい。液体は、顔料、塗料、染料、着色料、インク、またはこれらの組合せを含むことができる。液体は、中に溶けた1つまたはそれ以上の溶質を含むことができる。粉末および/または液体は、1つまたはそれ以上の結合剤を含むことができる。一実施形態では、結合液はまた、結合剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体は、活性成分を含むことができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、結合液は、粉末層の上面にパターンをなして、または表面全体に堆積させることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、円環、円、多角形、または任意の他の所望の形状からなる群から選択された形状を有する。いくつかの実施形態では、粉末層の上面にパターンをなして付加される結合液の濃度(単位面積当たりの質量)は均一であるが、他の実施形態では、パターンの1つまたはそれ以上の部分に付加される結合液の濃度は、他の部分に付加される結合液の濃度より高くまたは低い。いくつかの実施形態では、粉末層は、表面積にわたって厚さの分散を有し、粉末層のうち正の厚さ分散を有する(重量平均厚さより厚い)部分には、より高い濃度の結合液を付加することができ、粉末層のうち負の厚さ分散を有する(重量平均厚さより薄い)部分には、より低い濃度の結合液を付加することができる。この段落の実施形態のいずれか1つを、本明細書に記載する任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0169】
粉末材料および結合液の非限定的な例は、開示を参照により本明細書に組み入れる、米国特許第9,339,489号、第9,492,380号、および第9,314,429号に記載されている。本明細書に記載するあらゆる実施形態は、水(蒸留水および/または脱イオン水を含むことができる)、1~3個の炭素原子を有する任意の低級の直鎖または分岐アルコールから選択することができるアルコール、可溶性結合剤、抗酸化剤、グリセリン、および界面活性剤または乳化剤を含む結合液を用いることができる。印刷流体は、少なくとも1つの有機溶剤、好適にはアルコールの1~25%重量、5~20%重量、または10~15%重量を構成することができる。好適なアルコールは、エタノール、メタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノール、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、結合液中のグリセリンの含量は、少なくとも0.5%、少なくとも1.0%、および少なくとも1.5%を含めて、少なくとも約0.1重量%から、最大約20重量%および最大約5重量%を含めて、最大約10%の範囲である。いくつかの実施形態では、剤形の最終重量に基づく剤形中のグリセリンの含量は、少なくとも0.1%および少なくとも0.5%を含めて、少なくとも約0.05重量%から、最大約3%、最大約2%、および最大約1.0重量%を含めて、最大約5%の範囲である。
【0171】
上記は、本発明の特定の実施形態に関する詳細な説明である。本発明の特有の実施形態について、説明の目的で本明細書に記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができることが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて限定されるものではなく、本明細書に記載する実施形態のあらゆる要素または構成を組み込む特許請求の範囲に対するあらゆる補正が、出願日において、本明細書の説明から直接および明確に導出されるものとして、当業者には認識される。本明細書に開示および特許請求する実施形態はすべて、本開示に照らして、過度の実験なく実施および実行することができる。