(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】溶存キャリアガス及び酸素含有量が低減されたアンモニア溶液を生成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 646
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2021559684
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020027086
(87)【国際公開番号】W WO2020210243
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-28
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505477121
【氏名又は名称】エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブランマー、ウルリッヒ アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ジーヴェルト、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ル ティエック、クリスティアーネ
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0133665(US,A1)
【文献】特表2020-514012(JP,A)
【文献】特開2004-273799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水とアンモニアガスとを含むリンス液を供給するためのシステムであって、
接触器と流体連通するとともに前記接触器に超純水を供給するように構成された超純水源と、
前記接触器と流体連通するとともにアンモニアガスおよびキャリアガスを前記接触器に供給するように構成されたガス混合物源と、
前記接触器と流体連通する制御ユニットであって、前記接触器の作動圧力が圧力閾値より低く保たれるように、超純水の流量を調整するように構成された制御ユニットと、
前記接触器と流体連通するとともに前記接触器から残留移送ガスを除去するように構成されたコンプレッサと、
リンス液を生成するように構成され、前記リンス液は超純水およびその中に溶解した濃度のアンモニアガスを含む前記接触器と、
前記接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプであって、前記圧力閾値よりも低いガス分圧を含むリンス液を前記アウトレットに送るように構成されたポンプと、を備えたシステム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記接触器のインレットにおける超純水の流量を調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接触器の液位は、前記キャリアガスの流量を調整することによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記接触器の液位は、前記残留移送ガスの流量を調整することによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記接触器の作動圧力は、約0.4~約0.95bar(約40~約95kPa)の範囲の圧力(絶対圧)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記接触器の作動圧力は、約0.6bar(約60kPa)の圧力(絶対圧)を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧力閾値は
、大気圧である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記リンス液はウエハに送られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アウトレットに流体連通するノズルをさらに備え、前記ノズルは、前記リンス液をウエハに送るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記アウトレットと流体連通する膜接触器をさらに備え、前記膜接触器は、リンス液から酸素を
除去するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記接触器と流体連通する圧力センサをさらに備え、前記圧力センサは、前記接触器の作動圧力を監視するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ガス混合物源は、アンモニアガス源およびキャリアガス源を含み、前記アンモニアガス源はアンモニアガスを前記接触器に供給するように構成され、前記キャリアガス源はキャリアガスを前記接触器に供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記超純水、前記アンモニアガス、および前記キャリアガスは前記接触器に入る前に混合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記接触器は、パックドカラムまたはパックドタワータイプの接触器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
大気圧より低いガス分圧を有するとともに所望の濃度のアンモニアガスが溶解した超純水を含むリンス液を供給する方法であって、
超純水と、アンモニアガスおよびキャリアガスを含むガス混合物とを接触器に供給することと、
前記接触器と流体連通する圧力センサを使用して前記接触器の作動圧力を監視することと、
前記超純水とその中に溶解した濃度のアンモニアガスとを含むリンス液を前記接触器内で生成することと、
前記接触器の作動圧力が大気圧より低く保たれるように、前記圧力センサと流体連通する制御ユニットを使用して前記超純水の流量を調整することと、
前記接触器と流体連通するコンプレッサを使用して前記接触器から残留移送ガスを除去することと、
前記接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプを使用して、大気圧より低いガス分圧を含む前記リンス液を前記アウトレットに送ることと、を備える方法。
【請求項16】
前記接触器は、パックドカラムまたはパックドタワータイプの接触器である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アウトレットと流体連通するとともに前記アウトレットを介して第1の酸素濃度を含むリンス液を
受け取るように構成された膜接触器と、
前記膜接触器と流体連通する窒素ガス源であって、前記膜接触器に窒素ガスを供給するように構成された窒素ガス源と、
前記膜接触器と流体連通するノズルであって、前記窒素ガスの流量を調整するように構成されたノズルと、
をさらに備え、
前記膜接触器は、受け取った前記リンス液から前記第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度を含
むリンス液
を生成するように
、受け取った前記リンス液から酸素を除去するように構成され
る、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記アウトレットを第1アウトレットとすると、
前記システムは、前記膜接触器と
第2アウトレットとの間を流体連通するポンプをさらに含み、前記ポンプは、
前記膜接触器で生成された前記第2の酸素濃度を含む前記リンス液を前記
第2アウトレットに送るように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記膜接触器と前記第2アウトレットとの間を流体連通する前記ポンプは真空ポンプである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記真空ポンプは、化学的に不活性なダイアフラムポンプまたは水リングポンプである、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、半導体デバイスの製造時のウェットクリーニング作業で使用されるシステムおよび方法に関する。特に、本願は、半導体製造プロセスで使用するために、所望の濃度のNH3を有する脱イオン水を生成して送るためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ、リソグラフィマスク、フラットパネル、及びソーラーパネルの処理には、さまざまな化学薬品によるウェット処理が含まれる。これらの化学物質は、扱われたウエハ又はパネルを乾燥させる前に洗い流す必要がある。脱イオン水(DI水)及び超純水(本明細書では同義で使用される)は、リンス又はウェットクリーニング作業のために半導体デバイス製造プロセスで一般的に使用される。
【0003】
しかし、半導体製造プロセスでDI水などの実質的に非導電性の液体を使用すると、ウエハの表面に電荷が蓄積する可能性がある。このことは、回転するウエハツールを使用する製造プロセスで特に問題になる。なぜなら、ウエハとクリーニング作業に使用されるDI水との接触によって生成される電気浸透効果は、電荷蓄積及び、結果として起こる静電気放電事象を引き起こす可能性があるからである。これらの放電事象は、ウエハ上の構造体を損傷または破壊したり、汚染物質や望ましくない粒子をウエハに付着させたりする可能性がある。したがって、リンス処理中の静電荷の発生を回避するために、超純水よりも高い導電率を有するリンス液を使用することが望ましい。
【0004】
既存のシステムでは、しばしば、ウェットクリーニング作業中のウエハ上の電荷の蓄積を低減するために導電性のクリーニング液を使用する。例えば、二酸化炭素(CO2)等のガスをDI水に溶解して、脱イオン炭酸(DI-CO2)水を生成することができる。しかし、DI-CO2水の酸度は、ウエハ製造の配線工程(BEOL)段階で一般的に使用される銅、コバルト、及びその他の金属等の酸に敏感な材料を望ましくない形でエッチングする可能性がある。
【0005】
別のアプローチでは、CO2の代わりにアンモニア(NH3)を使用する。例えば、DI水におけるNH3の希薄溶液は、金属層が露出したウエハまたはパネルに一般的に使用される。NH3をDI水に溶解することにより、ウェットクリーニング作業に使用するために、DI-CO2よりも実質的に低いエッチング速度のアルカリ性溶液を作ることができる。
【0006】
しかし、処理マシン(たとえば、シングルウエハスピンツール)は通常、各ウエハを別々のチャンバでリンスし、製造施設は、各マシンが、ウエハリンス用のDI水供給等の製造中に使用されるリソースの共通ソースに接続されているにもかかわらず、複数の処理マシンを独立して操作し得る。さらに、各チャンバの処理が同期することはめったになく、その結果、リンス液の需要がランダムに変化する。
【0007】
正確な量のNH3が溶解した、新たに調製した導電性リンス液を供給することは、非同期処理ツールのサービスに必要なランダムに変化する流量を考えると、複雑になるだけの技術的課題をもたらす可能性がある。例えば、NH3は濃縮溶液またはガスとして供給することができる。NH3のDI水への高い溶解性のため、NH3をその気相で使用すると、NH3がDI水に全て吸収される。しかし、NH3ガスはDI水に反応性が高すぎるので、NH3の流量が十分に低い場合、DI水がNH3ガス供給ライン及びNH3バルブに逆流する危険性が高い。バルブの流動特性は、ガスで満たされたバルブと水で満たされたバルブとで大きく異なるため、これは深刻な制御の問題につながる可能性がある。したがって、このような条件下で、特に製造プロセスの通常の過程でガスの流れが中断された場合、DI水中へのNH3ガスの安定した流れを維持することは困難である。少量でありながら正確な量のアンモニアガスがDI水に溶解しているリンス液を製造することはさらに困難である。
【0008】
特許文献1は、ウェットクリーニング作業などの半導体製造プロセスに使用されるときにウエハ表面に電荷が蓄積するのを防ぐために、溶解した所望の濃度のNH3を有するDI水を含む導電性クリーニング液を生成して送るための装置を開示する。NH3のDI水への吸収によって引き起こされる上記の課題に対処するために、窒素などのキャリアガスを使用して溶解プロセスを促進することができる。得られたリンス液は、キャリアガスにより分圧が大気圧以上である。
【0009】
このガス分圧は、特定のアプリケーションでは問題になる。供給ノズルによる圧力降下により、ウエハ表面にリンス液を塗布した瞬間に気泡が発生することがある。これらの気泡はウエハ表面に付着し、その上に形成された構造体に損傷を与える可能性がある。別の問題は、ウエハ上に形成された金属構造体を腐食させ得るリンス液中の溶存酸素に起因し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2018/0133665号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に照らして、大気圧より低いガス分圧を有するとともに溶解した所望の濃度のNH3を有するDI水を含むリンス液を生成して送るためのシステムおよび方法に対する継続的なニーズが存在する。さらに、リンス液から溶存酸素を低減および/または除去するためのシステムおよび方法のニーズが存在する。本明細書に記載の技術は、キャリアガス流を制御することにより、ガス分圧の正確な制御を可能にする。さらに、本明細書に記載の概念は、アンモニアストリッピングを軽減しながら、リンス液中の酸素含有量を低減する酸素低減システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この技術は、一態様では、超純水およびアンモニアガスを含むリンス液を供給するためのシステムを特徴とする。システムは、接触器と流体連通する超純水源を含む。超純水源は、接触器に超純水を供給するように構成される。システムは、接触器と流体連通するガス混合物源をさらに含む。ガス混合物源は、アンモニアガスおよびキャリアガスを接触器に供給するように構成される。システムは、接触器と流体連通する制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、接触器の作動圧力が圧力閾値より低く保たれるように、超純水の流量を調整するように構成される。システムは、接触器と流体連通するコンプレッサをさらに含む。コンプレッサは、接触器から残留移送ガス(residual transfer gas)を除去するように構成される。接触器は、超純水とその中に溶解した濃度のアンモニアガスとを有するリンス液を生成するように構成される。システムは、接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプをさらに含む。ポンプは、圧力閾値よりも低いガス分圧を有するリンス液をアウトレットに送るように構成される。
【0013】
この技術には、次の特徴のいずれかをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、接触器の作動圧力を制御するために、接触器のインレットにおける超純水の流量を調整するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、接触器の液位(liquid level)は、キャリアガスの流量を調整することによって制御される。
いくつかの実施形態では、接触器の液位は、残留移送ガスの流量を調整することによって制御される。
【0015】
いくつかの実施形態では、接触器の作動圧力は、約0.4~約0.95bar(約40~約95kPa)の範囲の圧力(絶対圧)である。例えば、いくつかの実施形態では、接触器の作動圧力は、約0.6bar(60kPa)の圧力(絶対圧)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、圧力閾値はほぼ大気圧である。
いくつかの実施形態では、リンス液はウエハに送られる。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、アウトレットに流体連通するノズルをさらに含む。ノズルは、リンス液をウエハに送るように構成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、アウトレットと流体連通する膜接触器をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、膜接触器は、リンス液から酸素をストリップ(strip)するように構成され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、システムは、接触器と流体連通する圧力センサをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、圧力センサは、接触器の作動圧力を監視するように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ガス混合物源は、アンモニアガス源およびキャリアガス源を含む。例えば、いくつかの実施形態では、アンモニアガス源は、アンモニアガスを接触器に供給するように構成される。いくつかの実施形態では、キャリアガス源は、キャリアガスを接触器に供給するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、超純水、アンモニアガス、およびキャリアガスは、接触器に入る前に混合される。
いくつかの実施形態では、接触器は、パックドカラムまたはパックドタワータイプの接触器である。
【0021】
この技術は、別の態様では、大気圧より低いガス分圧を有するとともに所望の濃度のアンモニアガスが溶解した超純水を含むリンス液を供給する方法を特徴とする。方法は、超純水およびガス混合物を接触器に供給することを含む。ガス混合物は、アンモニアガスおよびキャリアガスを含む。方法は、接触器と流体連通する圧力センサを使用して接触器の作動圧力を監視することをさらに含む。方法はまた、接触器内でリンス液を生成することを含む。リンス液は、超純水およびその中に溶解した濃度のアンモニアガスを含む。さらに、方法は、接触器の作動圧力が大気圧より低く保たれるように、圧力センサと流体連通する制御ユニットを使用して超純水の流量を調整することを含む。方法はまた、接触器と流体連通するコンプレッサを使用して、接触器から残留移送ガスを除去することを含む。方法は、接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプを使用してアウトレットにリンス液を送ることをさらに含む。リンス液は、大気圧より低いガス分圧を有する。
【0022】
この技術は、別の態様では、リンス液を供給するためのシステムを特徴とする。システムは、膜接触器と流体連通するリンス液源を含む。リンス液源は、第1の酸素濃度を有するリンス液を供給するように構成される。システムは、膜接触器と流体連通する窒素ガス源をさらに含む。窒素源は、膜接触器に窒素ガスを供給するように構成される。システムはまた、膜接触器と流体連通するノズルを含む。ノズルは、窒素ガスの流量を調整するように構成される。さらに、システムは、ストリップされたリンス液をリンス液から生成するように構成された膜接触器を含む。ストリップされたリンス液は、第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度を有する。
【0023】
この技術には、次の特徴のいずれかをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、膜接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプをさらに含む。ポンプは、ストリップされたリンス液をアウトレットに送るように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプは真空ポンプである。例えば、いくつかの実施形態では、ポンプは、化学的に不活性なダイアフラムポンプまたは水リングポンプである。
【0024】
本明細書に記載のシステム及び方法の利点は、さらなる利点とともに、添付図面と併せて以下の説明を参照することによりさらによく理解されるであろう。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ記載された実施形態を例としてのみ図解するために強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の技術の実施形態による、大気圧より低いガス分圧を有するとともに溶解した所望の濃度のNH
3を有するDI水を含むリンス液を供給するための例示的なシステムのブロックダイアグラムである。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の技術の実施形態による、ディスペンシングノズルからウエハ上にディスペンスされるリンス液によって引き起こされる気泡の発生を示すダイアグラムである。
【
図3】
図3は、本明細書に記載の技術の実施形態による、リンス液中の気泡発生を理解および軽減するための例示的なシステムのブロックダイアグラムである。
【
図4】
図4は、本明細書に記載の技術の実施形態によるシステムを使用して特徴付けられた、3つの異なる設計のデバイスを使用した試験の結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本明細書に記載の技術の実施形態による、螺旋形状に形成された例示的なチューブを示す。
【
図6】
図6は、本明細書に記載の技術の実施形態による、酸素除去ユニットを使用する場合と使用しない場合の、所望の濃度のNH
3が溶解したDI水を含む導電性クリーニング液を生成して送るための装置のアウトレットにおける酸素濃度の比較を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本明細書に記載の技術の実施形態による、アウトレット内の酸素濃度に対するN
2ガス流の影響を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本明細書に記載の技術の実施形態による、酸素含有量が低減された所望の濃度のNH
3が溶解したDI水を含むリンス液を供給するための例示的なシステムのブロックダイアグラムである。
【
図9】
図9は、本明細書に記載の技術の実施形態による、所望の濃度のNH
3が溶解したDI水を含むリンス液を供給するための方法900のフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、大気圧より低いガス分圧を有するとともに溶解した所望の濃度のNH3を有するDI水を含むリンス液を生成して送るための1つまたは複数のメカニズムまたは方法を含むことができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、リンス液から溶存酸素を低減および/または除去するための1つまたは複数のメカニズムまたは方法を含むことができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、キャリアガス流を制御することによってガス分圧を正確に制御するための1つまたは複数のメカニズムまたは方法を含むことができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、アンモニアストリッピングを軽減しながら、リンス液中の酸素含有量を低減する酸素低減システムのための1つまたは複数のメカニズムまたは方法を含むことができる。
【0027】
図1は、大気圧より低いガス分圧を有するとともに溶解した所望の濃度のNH
3を有するDI水を含むリンス液を供給するための例示的なシステム100のブロックダイアグラムである。システム100は、少なくとも1つの超純水源102、少なくとも1つのキャリアガス源104、及び少なくとも1つのアンモニアガス源106を含む。任意選択で、いくつかの実施形態では、キャリアガス源104及びアンモニアガス源106は、ガス混合物源を含む。キャリアガス104およびアンモニアガス106は、接触器110に入る前に超純水102に加えることができるが、当業者は、キャリアガス104および/またはアンモニアガス106を、システム100内の超純水のどこにでも加えることができることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、接触器110は、パックドカラム又はパックドタワータイプの接触器である。任意選択で、任意の種類、数、またはタイプの接触器110を使用することができる。
【0028】
接触器110は、大気圧より低い圧力で作動する。接触器110内の作動圧力は、少なくとも1つの圧力センサ120によって監視される。圧力センサ120は、超純水102の流量などの作動変数を調整する制御ユニット(図示せず)に接続されている。したがって、圧力センサ120は、作動圧力を維持するためにインレットに構成され得るが、当業者は、圧力センサ120を接触器110の他の場所に構成され得ることを理解するであろう。システム100は、排気142で接触器110から残留移送ガスを除去するように構成され得る少なくとも1つのコンプレッサ140を含む。一実施形態では、システム100は、接触器110内の液位を監視するように構成され得るレベルセンサ125を含む。
【0029】
システム100は、少なくとも1つのポンプ150を含む。一実施形態では、ポンプ150は、必要な圧力でリンス液160をウエハまたはパネル処理機に送るように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ150は、遠心ポンプを含み得る。例えば、ポンプ150は選択的に作動可能であり、ポンプ150が、キャリアガス、アンモニアガス、残留ガス、超純水、および/またはリンス液のうちの少なくとも1つで十分に満たされていない場合に作動しないように構成され得る。例えば、システム100の始動時には、ポンプ150が液体で満たされていない可能性がある。したがって、接触器110は、いくらかの水が接触器110からポンプ150へ流れることを可能にするように、始動手順中に一時的に加圧され得る。接触器110が必要な液位を有し、最小の液体の流れが達成されると、始動段階は終了する。
【0030】
接触器110内の圧力は、接触器への水流を調整することによって制御され得る。いくつかの実施形態では、接触器110の内部の制御された圧力は、約0.4~約0.95bar(約40kPa~約95kPa)(絶対圧)の範囲であるが、当業者は、接触器110が任意の様々な圧力で作動できることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、接触器110の内部の制御された圧力は、0.6bar(60kPa)(絶対圧)である。いくつかの実施形態では、キャリアガス104は、窒素(N2)ガスである。任意選択で、任意の様々な代替ガスを使用することができる。
【0031】
接触器110内の圧力の下限は、液体を加圧して圧力を供給するポンプ150の作動によって決定される。低圧はポンプ150の内部にキャビテーションを引き起こす。このキャビテーションは液体中の粒子につながる可能性があるため、回避することが望ましい。粒子は、製造中にウエハ上に形成された構造体を汚染および損傷する可能性があるため、半導体プロセスでは不必要である。いくつかの実施形態では、ポンプ150は、磁気浮上の原理に基づいて作動するベアリングレスポンプである。このタイプのポンプは、キャビテーションが発生する圧力が非常に低い。このようなポンプは、本願に有利である。一例では、ポンプ150は、Levitronix BPS 2000のポンプシステムである。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポンプ150は、流出する液体に熱を導入することができる。これは、ポンプ150の下流で温度が著しく高くなる可能性がある低い液流量でのシステム100の作動に大きな影響を与え得る。液体の温度が変化すると、液体の導電率が変化し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポンプ150のポンプ作用による温度上昇は、一定の導電率を達成するために応じてNH3の供給速度を調整するコントローラへのフィードバックとして使用される。いくつかの実施形態では、流出する液体の温度を制御するために熱交換器が使用され、ここで、冷却流は温度制御される。いくつかの実施形態では、流出する液体の温度を制御するためにペルチェ素子が使用される。
【0034】
接触器110の内圧が非常に低い状態で作動させることは欠点があり得る。たとえば、より高いポンプエネルギーが必要であるため、低流量でコストが高くなり、温度が上昇する。
【0035】
接触器110内の圧力の上限は、液体が単一ウエハ処理ツール内のウエハ上にディスペンスされるときに気泡の発生を引き起こす可能性があるキャリアガス104によって及ぼされる分圧によって与えられる。気泡の発生を引き起こす重要な要因の1つは、液体中の溶存ガスの分圧である。液体中の泡核形成は、ガス分圧が液体静圧よりも高い場合に発生し得る。泡核形成は、気泡核として粒子で発生し得る。超純水中の粒子濃度が低いため、このメカニズムが阻害され得る。
【0036】
気泡の発生を引き起こし得る別のメカニズムは、例えば乱流における液体流の変動である。これは、液体圧力が非常に低い局所的な状態を短期間発生させ得、それは、自発的な気泡の核形成を引き起こすのに十分に低い。
【0037】
さらに、ノズルの形状が気泡の発生を引き起こし得る。滑らかなノズルは、雰囲気圧力以下のキャリアガス分圧を有するリンス液中に気泡を生じさせない。しかし、鋭利なノズルの使用は、溶存キャリアガスの分圧が低いときに気泡の発生を生じさせ得る。
【0038】
接触器110は、液体からキャリアガスを除去できるようにするために、液体中のキャリアガスによって及ぼされる所望の分圧よりも低い圧力を必要とする。さらに、本明細書に記載の技術は、低いガス分圧を有する液体を供給することにより、液体ディスペンサでの気泡の発生を回避することができる。以下で説明する
図2は、ディスペンシングノズルからウエハ上にディスペンスされるリンス液によって引き起こされる気泡の発生を示すダイアグラム200である。約0.95bar(約95kPa)の圧力(絶対圧)は、実質的に最適な条件下でディスペンスノズルでの気泡を回避できる。一実施形態では、接触器110の内部における0.6bar(60kPa)の圧力は、好ましくない条件下でも安定した作動を可能にする。液体流速の急激な勾配を回避するディスペンサの形状を選択することにより、気泡の発生をさらに減らすことができる。リンス液中の気泡発生を理解および軽減するための構成を、
図3に関連して以下に説明する。
【0039】
システム100を通るキャリアガス(例えば、N2)の流れは、特定の制約を有することができる。例えば、キャリアガス104の高流量は、排気ガス142にストリップされるNH3の量を増加させるが、これは望ましくない。さらに、キャリアガス104の高流量は、コンプレッサ140がより大きなダイアフラムを有するポンプを使用することを必要とし、これは望ましくないコストを付加する。さらに、接触器110の内部のガスは、その作動原理のために、多かれ少なかれ水蒸気で飽和している。このようなガスの圧力が上昇すると、水蒸気の圧力が飽和圧力を超えて上昇し、その結果、水の凝縮が起こる。
【0040】
特定のタイプのコンプレッサは、潤滑のためにオイルを必要とし、流出ガスのオイル汚染を引き起こす。このようなオイル汚染は望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、オイルフリーダイアフラムポンプが、排気ガスを圧縮するためにコンプレッサ140に使用される。ダイアフラムポンプは、腐食性ガスに使用でき、湿気のあるガスに耐える堅牢なデバイスである。
【0041】
排気ガス流は、コンプレッサ140のアウトレットにおいて、望ましくない水滴を含む。いくつかの実施形態では、排気ガス142は、乾燥ガスで希釈される。乾燥ガスは、ノズル130とコンプレッサ140との間、またはコンプレッサ140の下流に付加され得る。付加される乾燥ガスの量は、圧縮排気ガスの相対湿度が100%未満になるように選択され得る。
【0042】
他の実施形態では、排気ガスは、熱交換器または加熱されたチューブによって、達成された温度において相対湿度が100%未満になるような量まで加熱される。
キャリアガス104は、NH3106を接触器110に移送するように作用する。一般に、時間遅延は、対応するガスパイプの長さの関数として発生する。液体の流量が動的に変化する場合、液体中の溶存NH3の濃度の安定性に影響を与えるため、大きな時間遅延は望ましくない。結果として生じるリンス液のNH3濃度のオーバーシュートまたはアンダーシュートを回避するために、液体の流量が動的に変化する場合は、高速のシステム反応が必要である。圧力が上昇すると、DI水がガスラインに送られる。これは望ましくない。なぜならば、NH3ガスはDI水に反応性が高すぎるので、NH3の流量が十分に低い場合、DI水がNH3ガス供給ライン及びNH3バルブに逆流する危険性が高いからである。したがって、このケースを検出して対応するバルブを閉じるには、ある程度の反応時間が必要である。
【0043】
いくつかの実施形態では、キャリアガスの流量は、1slmと20slmとの間に設定される。いくつかの実施形態では、キャリアガスの流量は、接触器110内の0.6bar(60kPa)の圧力(絶対圧)において2slmである。
【0044】
上記のシステムおよび技術を使用して、ディスペンスされたリンス液160内のキャリアガスによって及ぼされる分圧を、雰囲気圧力より低くすることができる。いくつかの実施形態では、システム100は、典型的な単一ウエハツールまたは例えばフラットパネルの表面をリンスする他のツールのためのリンス液160の需要に応じることができる。リンス液160の流量は、毎分0.5リットル~毎分100リットルの範囲であり得る。特定の実施形態では、毎分最大140リットルまでのより高い液体出口流を達成するために、少なくとも第2のDI水の流れが接触器110を通る流れに混合される。
【0045】
図2を参照すると、ダイアグラム200は、ディスペンシングノズル220からウエハ240上にディスペンスされるリンス液210によって引き起こされる気泡発生230を示している。上記のように、単一のウエハツールは複数のチャンバを使用できる。単一のディスペンスノズル220を使用して、各チャンバのウエハ240に液体を供給することができる。いくつかの実施形態では、各チャンバ内のディスペンスされた流れは、リンス液210を使用するチャンバの実際の数とは無関係であり得る。これは、通常、液体分配チューブ内を流れる液体の圧力降下よりも大きい、ディスペンスノズル220または上流バルブにおける圧力降下によって達成され得る。
【0046】
図3は、リンス液中の気泡発生を理解および軽減するためのシステム300のブロックダイアグラムである。酸素が溶解している液体は、オゾン水供給システム305を使用して作成され、DIO
3として液体Outで供給される。いくつかの実施形態では、オゾン水供給システム305は、オゾン生成なしで動作するMKS Instruments Inc.のLIQUOZONデバイスであるが、代替のオゾン水供給システムを使用することができる。
【0047】
液体は、多孔膜デバイス310を通って流れ、次いで、試験対象デバイス320に供給される。膜デバイス310の内部のガスは、バルブ330及び332との間に封入されている。ガス圧は、膜デバイス310を通って流れる液体のガス分圧と時間とともに等しくなる。圧力計340は、液体の分圧を直接測定するために使用される。
【0048】
試験対象デバイス320の下流の圧力は、圧力計342、PIDコントローラ350、および流量調整弁360からなる制御ループによって一定に保たれる。液体中の気泡含有量は、2つのデバイス370及び372で測定される。図示の実施形態では、2つのデバイス370及び372は、任意の様々なデバイスを使用することができるが、光学測定デバイスを含む。
【0049】
図4は、システム300を使用して特徴付けられた、3つの異なる設計の試験対象デバイス320を使用した結果を示すグラフである。(1)Gemu Groupの滑らかな膜バルブ、(2)Futurestar Corporationの鋭いエッジを持つバルブ、(3)約0.25インチ(6.35mm)の外径および約0.15インチ(3.95mm)の内径を有する曲がったチューブ。
【0050】
特性評価のために、バルブ330及び332は、規定された圧力降下で同じ流量になるように調整された。チューブの長さは、この圧力降下でほぼ同じ流量になるように選択された。
図4の結果を参照すると、過飽和は、測定された圧力の差、すなわち、圧力計342によって測定された圧力から圧力計340によって測定された圧力を引いたものとして定義される。正の過飽和は、ガス分圧が液体の圧力よりも高いことを意味する。負の過飽和は、液体の圧力がガス分圧よりも高いことを意味する。
【0051】
試験対象デバイス320から流れる液体の気泡含有量は、デバイス370を用いて光学的に測定された。示されるように、曲がったチューブおよびGemu Groupの滑らかな膜バルブは、気泡の発生量が最も少ない。いくつかの実施形態では、圧力降下を設定するために膜値が使用される。任意選択では、圧力降下を設定するために、螺旋形状に形成されたチューブが使用される。
図5は、螺旋形状に形成された例示的なチューブ500を示す。圧力降下は、適切な巻き数と適切な螺旋の直径とを選択することで実現できる。
【0052】
製造プロセスが進化し、フィーチャー形状が増加し続け、複雑さが増し、サイズが減少するにつれて、露出した金属層を備えたウエハのリンスは、実質的により要求が厳しく、正確なプロセスになっている。シリコンウエハのリンスは、しばしば、表面の汚染に対する感受性を低下させるために表面の酸化と組み合わされる。ウエハの反対側の金属のリンスは、表面の酸化を回避する必要がある。なぜならば、これは、望ましくない、リンス液中における金属の腐食およびエッチングを引き起こす可能性があるためである。
【0053】
本明細書に記載の技術は、リンス液の酸素含有量を低下させる。リンス液の酸素汚染の原因を分析した。リンス処理中に引き起こされる酸素汚染の2つの原因は、リンス液自体と、ウエハ上のリンス液の流れの影響である。
【0054】
リンス液中の主な酸素源は、リンス液を構成する液体化学物質中の酸素である。液体化学物質は、しばしば、金属汚染を避けるためにプラスチック容器に保管される。プラスチック容器は、保管中に酸素が液体に浸透することを可能にする。そのため、液体化学物質は時間の経過とともに大気中の酸素で飽和し得る。本明細書に記載のシステムでは、リンス液の生成に液体化学物質が使用されないため、リンス液中のこの酸素源は回避される。例えば、本明細書に記載のシステムは、クリーンガス及び超純水を使用する。ガスは、大気中の酸素が浸透しない金属製の容器やパイプで処理される。
【0055】
一般に、超純水(UPW)は、半導体製造施設で利用できる酸素濃度が最も低い液体である。UPWは通常、使用直前に準備され、UPWが半導体製造施設のさまざまな処理ツールに分配される前に酸素が除去される。
【0056】
これらの要因および条件を考えると、酸素汚染の残りの原因は、リンス液の取り扱い及び分配に使用されるパイプ及びチューブへの酸素の浸透である。このように、酸素汚染の原因が特徴付けられている。
【0057】
プラスチックパイプやチューブへの酸素の浸透は、既知のプロセスに従って発生する。一実施形態では、パーフルオロアルコキシ(PFA)から作られたチューブが使用され得る。この材料は、その高い不活性のために、半導体製造プロセスで使用されるアグレッシブで反応性の高い液体のために選択される。PFAはほとんどの化学薬品と互換性があり、高温で使用できる。この材料で形成されたチューブ及びフィッティングは容易に入手できる。しかし、PFAには、ガスの透過係数が比較的高いという欠点がある。任意選択で、チューブは、高い不活性および可用性を提供するさまざまな材料から製造され得る。
【0058】
半導体製造施設のUPW分配チューブは、通常、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作られる。PVDFの酸素透過係数はPFAよりもはるかに低い。したがって、UPW自体は、半導体製造ツールに接続するために使用される最後のラインを除く分配パイプ全体で低酸素含有量を維持する。この接続部は、柔軟性が高いため、PFAによってしばしば形成される。それは、PVDFにより形成されたメインの分配チューブよりも、チューブ表面と液体流との比率が高い。
【0059】
これらのラインは、ツールのメンテナンスやシャットダウンの場合にも、流れが停滞し得る。この分析の結果は、小径のPFAチューブの酸素汚染への全体的な貢献が測定可能な効果を有しているということである。したがって、本明細書に記載の技術は、窒素パージされた二重封じ込めを、NH3溶解デバイスのPFAインレットおよびアウトレットチューブに使用する。この構成は、リンス液への酸素の浸透を回避するのに効果的であり、実施および実現するために適度な労力を必要とするだけである。
【0060】
酸素除去をNH
3溶解システム100と組み合わせることにより、酸素含有量のさらなる低減を達成することができる。
図6は、酸素除去ユニットを使用する場合と使用しない場合の、所望の濃度のNH
3が溶解したDI水を含む導電性クリーニング液を生成して送るための装置(特許文献1に記載されている装置など)のアウトレットにおける酸素濃度の比較を示すグラフである。
【0061】
いくつかの実施形態では、酸素除去ユニットは、市販の膜接触器 タイプ3M(登録商標) Liqui-Cel(登録商標) EXF-4×28シリーズであるが、任意の種類および数の酸素除去ユニットを使用することができる。それは雰囲気圧力で28slmのN2ガス流で作動できる。N2の質は実質的にグレード5.6であり得る。
【0062】
このようなモジュールの酸素除去能力は、一部のプロセスで効果を発揮するのに十分な高さである。ただし、酸素除去能力がより低いN
2ガス流量でも操作される場合、酸素除去能力を高めることができる。
図7は、アウトレット内の酸素濃度に対するN
2ガス流の影響を示すグラフである。膜接触器を真空圧で操作する必要はない。これは真空ポンプに望ましくないコストを追加する。
【0063】
膜接触器は、液体流に対する圧力損失が低く、NH3溶液と化学的に適合性があるように選択される。液体流に対する圧力損失が低いことは、ポンプのポンプ作用による液体へのエネルギー入力を回避するために重要である。ポンピングに高エネルギーを必要とすることは、望ましくない液体の温度変化を引き起こす。
【0064】
図8は、酸素含有量が低減された所望の濃度のNH
3が溶解したDI水を含むリンス液860を供給するための例示的なシステム800のブロックダイアグラムである。システム100と同様に、システム800は、超純水源802、キャリアガス源804、アンモニアガス源806、接触器810、圧力センサ820、レベルセンサ825、および排気842を含む。システム800は、
図1に関連して上で説明された、システム100などのNH
3溶解システムと組み合わせた膜接触器870を含む。システム800はまた、窒素ガス源880およびポンプ850を含む。
【0065】
膜接触器870からの湿ったオフガスを回避するために、膜接触器870は、雰囲気圧力を超える圧力で作動できる。窒素ガス源880からのN2流量は、2つの固定ノズル890および892によって調整することができる。ノズル890および892の内径は、接触器810内のN2圧力が、雰囲気圧力より高く、かつ接触器810内の液体圧力より低くなるように選択される。ノズル890でのN2ガスの膨張は、飽和点よりN2の相対湿度を低下させ、膜接触器870のガスアウトレットでの液体水を回避する。
【0066】
場合によっては、リンス液860内のガス分圧を雰囲気圧力より低くすることが好ましいことがあり得る。したがって、膜接触器870は、雰囲気圧力より低いN2圧力で作動することができ、真空ポンプ850は、膜接触器870のガスアウトレットで使用することができる。真空ポンプ850は、化学的に不活性なダイアフラムポンプまたは水リングポンプであり得る。
【0067】
上記のように、NH3の溶解度は他の溶存ガスの溶解度と比較して高い。したがって、膜接触器870におけるNH3のストリッピング効果は驚くほど低い。N2の流量は、十分に高い酸素除去率を維持しながら、NH3の損失が1%未満になるように調整できる。
【0068】
図9は、本明細書に記載の技術の実施形態による、大気圧より低いガス分圧を有するとともに所望の濃度のアンモニアガスが溶解した超純水を含むリンス液を供給するための方法900のフローダイアグラムである。超純水とガス混合物とが接触器に供給され得る(902)。いくつかの実施形態では、接触器は、パックドカラムまたはパックドタワータイプの接触器である。
【0069】
図1に関連して上で説明したように、ガス混合物は、アンモニアガスおよびキャリアガスを含む。例えば、システム100を使用して、超純水源102は超純水を接触器110に供給することができ、キャリアガス源104はキャリアガスを接触器110に供給することができ、アンモニアガス源106はアンモニアガスを接触器110に供給することができる。いくつかの実施形態では、超純水、アンモニアガス、およびキャリアガスは、接触器に入る前に混合される。
【0070】
接触器の作動圧力は、接触器と流体連通する圧力センサを使用して監視できる(904)。例えば、システム100を使用して、接触器110の作動圧力は、圧力センサ120を使用して監視することができる。
【0071】
リンス液は、接触器内で生成され得る(906)。
図1に関連して上で説明したように、リンス液は、超純水およびその中に溶解した濃度のアンモニアガスを含む。例えば、システム100を使用して、接触器110内でリンス液160が生成され得る。
【0072】
超純水の流量は、圧力センサと流体連通する制御ユニットを使用して調整され得る(908)。
図1に関連して前述したように、超純水の流量は、接触器の作動圧力が大気圧より低く保たれるように調整され得る。例えば、システム100を使用して、超純水源102によって供給される超純水の流量は、圧力センサ120と流体連通する制御ユニットを使用して調整され得る。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、接触器110のインレットにおける超純水の流量を調整するように構成される。いくつかの実施形態では、接触器110の作動圧力は、キャリアガスの流量を調整することによって制御される。他の実施形態では、接触器110の作動圧力は、残留移送ガスの流量を調整することによって制御される。
【0073】
いくつかの実施形態では、接触器110の作動圧力は、約0.4~約0.95bar(約40~約95kPa)の範囲の圧力(絶対圧)である。例えば、いくつかの実施形態では、接触器の作動圧力は、約0.6bar(約60kPa)の圧力(絶対圧)である。
【0074】
残留移送ガスは、接触器と流体連通しているコンプレッサを使用して接触器から除去され得る(910)。例えば、システム100を使用して、残留移送ガスは、コンプレッサ140を使用して接触器110から除去され得る。
【0075】
次に、リンス液は、接触器とアウトレットとの間を流体連通するポンプを使用して、アウトレットに送られ得る(912)。上述したように、リンス液は、大気圧より低いガス分圧を有する。例えば、システム100を使用して、リンス液160は、ポンプ150を使用してアウトレットに送られ得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、リンス液160はウエハに送られる。例えば、いくつかの実施形態では、アウトレットに流体連通しているディスペンシングノズル220は、リンス液210をウエハ240に送るように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態では、システム800を使用して、アウトレットと流体連通している膜接触器870は、リンス液860から酸素をストリップするように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、ストリップされたリンス液860を供給するためのシステム800は、膜接触器870と流体連通するリンス液源を含み得る。リンス液源は、第1の酸素濃度を有するリンス液を供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム800は、膜接触器870と流体連通する窒素ガス源880を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、窒素ガス源880は、膜接触器870に窒素ガスを供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム800は、膜接触器870と流体連通するノズル890を含むことができる。例えば、ノズル890は、窒素ガスの流量を調整するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム800は、2つのノズル890および892を含むことができ、両ノズル890および892は、窒素ガスの流量を調整するように構成され得る。いくつかの実施形態では、膜接触器870は、ストリップされたリンス液860を、供給されたリンス液から生成するように構成され得る。
図8に関連して上述したように、ストリップされたリンス液860は、第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度を有する。
【0078】
上で詳細に説明したように、特許文献1に記載されているような装置は、製造リンスプロセスで使用するための非常に希薄なアンモニア溶液を供給することができる。この溶液は、アンモニアガスを水に直接溶解することによって調製できる。装置内部のアンモニア噴水効果を回避するために、アンモニアガスは窒素ガスで希釈される。アンモニア噴水効果は、水とアンモニアガスとが接触し、水がアンモニアを吸収し、真空が生じたときに発生する。付加的な溶存窒素および酸素ガスの痕跡は無視できず、製造プロセスに影響を与える可能性がある。例えば、溶存窒素はウエハ表面にマイクロバブルを引き起こし、ウエハ上の構造に欠陥を引き起こし、液体中の酸素の痕跡が金属を腐食させる可能性がある。上記で詳細に説明したシステムおよび方法は、リンス液のガス分圧を正確に制御し、ウエハに塗布する前にリンス液から酸素含有量をストリッピングすることにより、これらの懸念に対処する。
【0079】
本明細書に記載のものの変更、改変及び他の実施態様は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。したがって、本発明は、前述の例示的説明のみに限定されるものではない。