(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】輝度分布の決定
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20250107BHJP
H04N 23/741 20230101ALI20250107BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/741
(21)【出願番号】P 2021564675
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020061737
(87)【国際公開番号】W WO2020221731
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-26
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ザンデ ビアンカ マリア イルマ
(72)【発明者】
【氏名】リンナーツ ヨハン パウル マリー ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】クロイシェルブリンク ティース
(72)【発明者】
【氏名】ロゼマン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ダンゴル ラジェンドラ
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0085534(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02582125(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00-23/959
H04N 5/222-5/257
G03B 15/00-15/035
G03B 15/06-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのイルミナントによって照らされるシーンの少なくとも1つの画像上の空間的な輝度分布を決定する方法であって、前記画像は、
各ピクセルのRGB
値を含み、当該方法は、
前記輝度分布を決定するために前記RGB
値の組み合わせを形成することであって、前記組み合わせは、前記RGB
値の各々についてのそれぞれの係数を含む係数のセットを有する、こと、
を含み、
前記係数は、
前記少なくとも1つのイルミナントのスペクトルパワー分布(SPD)を識別すること、及び
a)前記組み合わせによって重み付けされる前記識別されたSPDと、b)光度関数によって重み付けされる前記識別されたSPDとの間のスペクトルミスマッチを最小化する係数のセットの値を決定する
こと、
によって決定される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの画像は、低ダイナミックレンジ(LDR)画像のセットを含み、当該方法は、前記LDR画像のセットから高ダイナミックレンジ(HDR)画像を構築することを含み、前記組み合わせは、前記構築されたHDR画像に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペクトルパワー分布を識別することは、前記少なくとも1つの画像のガマットを決定することと、前記決定されたガマットと既知のスペクトルパワー分布について予め定められたガマットのセットとを比較することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガマットは、赤色-青色ガマットである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スペクトルパワー分布を識別することは、前記スペクトルパワー分布の所定のインディケーションを受けることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記組み合わせは、線形結合である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、前記輝度分布から少なくとも1つのライトパフォーマンスインジケータ(LPI)を決定することを含み、前記LPIは、前記輝度分布のエリアから導出される複合メトリックである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記LPIの少なくとも1つは、前記輝度分布のエリアにおける輝度値を示す輝度LPIである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記LPIの少なくとも1つは、前記輝度分布のエリアにおける輝度の差を示すコントラストLPIである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、ユーザの向きを識別することを含み、前記LPIの少なくとも1つは、前記ユーザの前方に位置するエリアに対応する前記輝度分布のエリアについて決定される、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記LPIの少なくとも1つは、ユーザが体験するグレアの量を示すグレアLPIであり、当該方法は、
前記輝度分布から、背景輝度及びグレア源の輝度を決定すること、
前記ユーザの視線からの前記グレア源のずれを推定すること、
前記ユーザからの前記グレア源に対する立体角を推定すること、及び
前記背景輝度、前記グレア源の前記輝度、前記ユーザの視線からの前記グレア源の前記推定されたずれ、及び前記ユーザからの前記グレア源に対する前記推定された立体角に基づいてグレアの量を決定すること、
によってグレア値を決定することを含む、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記LPIの少なくとも1つは、ユーザに対して予期される非視覚的効果を示す非視覚的LPIである、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は、前記輝度分布内の複数のタスクエリアを識別することと、各それぞれのタスクエリアについてLPIを決定することとを含む、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータ可読ストレージ媒体に具現化され、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されるコンピュータ実行可能コードを含む、コンピュータデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータデバイスと、カメラとを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度分布(luminance distribution)を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
環境内に存する全体的な照明(overall lighting)は、1つ以上のイルミナント(illuminant)を含む制御可能な照明システムによって大きく影響され得る。窓から入る自然光等、環境内には他の光源もあり得る。一般的に、全体的な照明は、制御可能な(照明システムの一部)成分及び制御可能でない(照明システムの一部ではない)成分を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高品質の照明を実現するために、照明システムのコントローラは、照明分布(lighting distribution)、方向性(directionality)、ダイナミクス(dynamics)、グレア(glare)、メラノピック等価昼光照度(melanopic equivalent daylight illuminance)、スペクトルの視覚的及び非視覚的部分(UVからIRまで)におけるスペクトルパワー密度等、環境内の照明品質面を考慮すべきである。そうするために、有用な第1のステップは、環境内の輝度分布を測定することである。なぜなら、輝度分布は、これらの照明品質面に関する多くの重要な情報を含み、高品質の照明を実現するために十分な情報を提供することができるからである。したがって、輝度分布測定デバイスは、照明品質制御システムにとって有用なデバイスである。
【0004】
輝度分布測定デバイスは、例えば、ワークスペース平面(workspace plane)の照明がある基準を確実に満たすようにするための、スタンドアロンの測定デバイス等、他のアプリケーションも有し得る。
【0005】
CN 108509887 Aは、ディスプレイの技術分野に関し、とりわけ、周囲照明情報を得るための方法及びデバイス、並びに電子機器を表示する。開示されている方法は、参照物体を含む画像から参照物体の実際に撮影されているカラー画像を切り出すステップと、参照物体のカラー画像に応じて、サンプリングにより観測点行列を生成するステップと、光源一次関数係数、転送行列及び観測点行列により形成される一次方程式セットに応じて、光源一次関数係数を解くステップと、光源一次関数係数に応じて、周囲照明情報を取得するステップとを含む。この方法を通じて、周囲環境の照明情報が、正確且つ効率的に計算されることができ、これは、実際の照明条件の下で実環境において仮想オブジェクトを写実的にレンダリングするための前提条件となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される第1の態様によれば、少なくとも1つのイルミナントによって照らされるシーンの少なくとも1つの画像上の空間的な輝度分布を決定する方法であって、画像は、RGBチャネルを含み、当該方法は、輝度分布を決定するためにRGBチャネルの組み合わせを形成することであって、組み合わせは、RGBチャネルの各々についてのそれぞれの係数を含む係数のセットを有する、ことを含み、係数は、少なくとも1つのイルミナントのスペクトルパワー分布(SPD:spectral power distribution)を識別すること、及び、a)組み合わせによって重み付けされる識別されたSPDと、b)光度関数(luminosity function)によって重み付けされる識別されたSPDとの間のスペクトルミスマッチ(spectral mismatch)を最小化する係数のセットの値を決定するためにサーチ(search)を行うことによって決定される、方法が提供される。
【0007】
一例では、少なくとも1つの画像は、低ダイナミックレンジ(LDR:low dynamic range)画像のセットを含み、当該方法は、LDR画像のセットから高ダイナミックレンジ(HDR:high dynamic range)画像を構築することを含み、組み合わせは、構築されたHDR画像に適用される。
【0008】
一例では、スペクトルパワー分布を識別することは、少なくとも1つの画像のガマット(gamut)を決定することと、決定されたガマットと既知のスペクトルパワー分布について予め定められたガマットのセットとを比較することとを含む。
【0009】
一例では、ガマットは、赤色-青色ガマットである。
【0010】
一例では、スペクトルパワー分布を識別することは、スペクトルパワー分布の所定のインディケーション(indication)を受けることを含む。
【0011】
一例では、組み合わせは、線形結合である。
【0012】
一例では、当該方法は、輝度分布から少なくとも1つのライトパフォーマンスインジケータ(LPI:Light Performance Indicator)を決定することを含み、LPIは、輝度分布のエリアから導出される複合メトリック(combined metric)である。
【0013】
一例では、LPIの少なくとも1つは、輝度分布のエリアにおける輝度値を示す輝度LPIである。
【0014】
一例では、LPIの少なくとも1つは、輝度分布のエリアにおける輝度の差を示すコントラストLPIである。
【0015】
一例では、当該方法は、ユーザの向きを識別することを含み、LPIの少なくとも1つは、ユーザの前方に位置するエリアに対応する輝度分布のエリアについて決定される。
【0016】
一例では、LPIの少なくとも1つは、ユーザが体験するグレアの量を示すグレアLPIであり、当該方法は、輝度分布から、背景輝度及びグレア源の輝度を決定すること、ユーザの視線からのグレア源のずれを推定すること、ユーザからのグレア源に対する立体角を推定すること、並びに、背景輝度、グレア源の輝度、ユーザの視線からのグレア源の推定されたずれ、及びユーザからのグレア源に対する推定された立体角に基づいてグレアの量を決定することによってグレア値を決定することを含む。
【0017】
一例では、LPIの少なくとも1つは、ユーザに対して予期される非視覚的効果(non-visual effect)を示す非視覚的LPIである。
【0018】
一例では、当該方法は、輝度分布内の複数のタスクエリアを識別することと、各それぞれのタスクエリアについてLPIを決定することとを含む。
【0019】
一例では、当該方法は、決定された少なくとも1つのLPIに基づいて少なくとも1つのイルミナントを制御することを含む。
【0020】
また、コンピュータ可読ストレージ媒体に具現化され、1つ以上のプロセッサによって実行された場合、第1の態様又はその任意の例の方法を実行するように構成されるコンピュータ実行可能コードを含む、コンピュータデバイスが提供される。
【0021】
また、コンピュータデバイスと、カメラとを含む、システムが提供される。
【0022】
また、制御可能な照明システムで使用するカメラベースのセンサデバイスであって、カメラベースのセンサは、通信インターフェースと、シーンの画像を撮像するためのカメラと、プロセッサとを含み、各画像は、ピクセルのアレイを含み、プロセッサは、カメラによって撮像される画像から少なくとも1つのライトパフォーマンスインジケータ(LPI)を決定し、LPIは、画像のピクセルのアレイの複数のピクセルから導出される複合メトリックである、及び、通信インターフェースを介して、決定された少なくとも1つのLPIを、LPIに基づいて制御決定を行う制御可能な照明システムによる使用のために、制御可能な照明システムに送信するように構成され、プロセッサは、シーンのいかなる画像も送信しない、カメラベースのセンサデバイスが述べられる。
【0023】
一例では、LPIの少なくとも1つは、カメラによって撮像される画像内の複数のピクセルにおける明るさ値を示す明るさLPIである。
【0024】
一例では、LPIの少なくとも1つは、カメラによって撮像される画像内の複数のピクセルにおける明るさの差を示すコントラストLPIである。
【0025】
一例では、LPIの少なくとも1つは、カメラによって撮像される画像内の複数のピクセルにおける色値(colour value)を示す色LPIである。
【0026】
一例では、色は、色温度であってもよい。
【0027】
一例では、LPIの少なくとも1つは、明るさ又は輝度と、色又は色温度との組み合わせを示す。特定の例では、LPIは、Kruithof(クルイトフ)のカーブに対する組み合わせの位置を示してもよい。
【0028】
一例では、LPIの少なくとも1つは、カメラによって撮像される画像内の複数のピクセルにおける色の差を示す色コントラストLPIである。
【0029】
一例では、LPIの少なくとも1つは、シーン内に存在するユーザに対して予期される非視覚的効果を示す非視覚的LPIである。非視覚的効果の例としては、メラノピック放射輝度(melanopic radiance)、s-錐体-opic放射輝度(s-cone-opic radiance)、m-錐体-opic放射輝度(m-cone-opic radiance)、l-錐体-opic放射輝度(l-cone-opic radiance)、ロドピック放射輝度(rhodopic radiance)等がある。
【0030】
一例では、プロセッサは、シーン内に存在するユーザのロケーション及び向きを決定するように構成され、LPIの少なくとも1つは、ユーザが体験するグレアの量を示すグレアLPIである。
【0031】
一例では、プロセッサは、ピクセルのアレイから輝度分布を決定するように構成され、LPIの少なくとも1つは、カメラによって撮像される画像内の複数のピクセルにおける輝度値を示す輝度LPIである。
【0032】
一例では、シーンは、複数のタスクエリアを含み、LPIは、各それぞれのタスクエリアについて決定される。
【0033】
一例では、プロセッサは、シーン内に存在する複数のユーザの各々についてLPIを決定するように構成される。
【0034】
一例では、プロセッサは、シーン内の複数の仮定されたユーザロケーションの各々について同じタイプのLPIを決定する、及び、複数のLPIから平均LPIを生成するように構成される。
【0035】
一例では、プロセッサは、シーン内に存在するユーザによって実行される現在のアクティビティを決定するように構成され、少なくとも1つのLPIは、決定された現在のアクティビティに依存する。
【0036】
また、制御可能な照明システムを制御する方法であって、当該方法は、カメラを使用してシーンの画像を撮像することであって、画像は、ピクセルのアレイを含む、ことと、カメラによって撮像される画像から少なくとも1つのライトパフォーマンスインジケータ(LPI)を決定することであって、LPIは、画像のピクセルのアレイの複数のピクセルから導出される複合メトリックである、ことと、決定された少なくとも1つのLPIを、LPIに基づいて制御決定を行う制御可能な照明システムによる使用のために、制御可能な照明システムに送信することであって、カメラからの画像は送信しない、こととを含む、方法が述べられる。
【0037】
一例では、当該方法は、制御可能な照明システムのコントローラで少なくとも1つのLPIを受けることと、制御可能な照明システム内のデバイスの設定を決定するために受けた少なくとも1つのLPIと対応するユーザプリファレンスとを比較することと、決定された設定に従ってデバイスを制御することとを含む。
【0038】
一例では、当該方法は、制御可能な照明システム内のデバイスの設定に対するユーザの満足さ(user satisfaction)を決定することと、対応するユーザプリファレンスを相応に(accordingly)修正することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本開示の理解を支援するために、及び、どのようにして実施形態が実施され得るかを示すために、例として、添付の図面が参照される。
【
図1】環境を照らすための例示的な照明システムを概略的に示す。
【
図2】より詳細に照明システムのカメラユニットを概略的に示す。
【
図3】本明細書で述べられる例による照明システムのハイレベルの機能を示す図である。
【
図4】カメラユニットのプロセッサによって実行される例示的な方法を示すフローチャートを概略的に示す。
【
図5】カメラユニットのプロセッサによって実行される他の例示的な方法を示すフローチャートを概略的に示す。
【
図6】カメラによって撮像される画像から決定される環境の例示的な輝度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
現在、人々は90%以上の時間を屋内で過ごしており、そのため、屋内環境は、人々の健康及び幸福にとって最も重要になっている。それゆえ、健康に良い建物の設計は、建物の所有者、規制機関、テナントにとってますます重要な課題となってきている。健康に良い建物の設計の傾向は、急速に成長することが示唆されている。昼光の有益な効果を考えると、その自然なリズムを反映し、健康及び幸福をサポートするために必要な光の栄養(light nutrition)を提供する人工照明スキームは、コンテキストアウェアで(context-aware)健康に良い屋内環境を作るための鍵である。それゆえ、照明のセンシング及びモニタリングは非常に重要である。
【0041】
制御可能な照明システムは、環境内の照明が、様々なセンサからの入力に応じて制御されることを可能にする。本明細書では、環境の画像を撮像するカメラベースのセンサは、プライバシ又はセキュリティの懸念につながり得ることを認識している。カメラベースのセンサは、それらが空間的情報を提供するという事実に起因して、赤外線モーションディテクタ等の他のタイプのセンサよりも多くの利点を提供することができるため、これはとりわけ問題となる。
【0042】
本開示は、ユーザのプライバシ及びデータセキュリティを維持しながら、カメラベースのセンサの使用を可能にするデバイス及び方法を述べる。これを実現するために、1つ以上の「ライトパフォーマンスインジケータ(Light Performance Indicator)」(LPI)が、カメラユニット(カメラベースのセンサデバイス)において導出される。LPIは、カメラユニットにおいてカメラによって撮影される1つ以上の画像から導出され、照明システムのコントローラが制御決定を行うために必要な情報を含む。各LPIは、画像のピクセルのアレイからの複数のアレイから導出される複合メトリック(combined metric)である。言い換えれば、LPIは、限られた数の識別子(identifier)しか含まず、人の追跡可能なピクチャ又は該人のアクティビティを含まない。この場合、カメラユニットからコントローラに送信されるのは、画像ではなく、これらLPIである。すなわち、画像自体はカメラユニットから出ないため、強化されたプライバシ及びセキュリティを提供する。言い換えれば、2つのステップが実行される。
ステップ1:測定された光分布をカメラユニット内部で計算されるLPIに変換する。
ステップ2:異なる光設定がLPIの値をどのように改善できるかを計算するために最適化関数/コスト関数を使用する。これは、カメラユニットの外で行われることができる。
【0043】
斯くして、カメラユニットは、画像はやり取りせず、LPIをやり取りするインターフェースを有する。言い換えれば、カメラユニットの通信インターフェースは、画像が決してやり取りされないプライバシ境界を定義する。一例では、カメラユニットは、(後述される、プロセッサ及びメモリとともに)カメラ及び通信インターフェースが同じハウジング内に組み込まれる、一体型カメラベースセンサデバイス(integrated camera-based sensor device)の形態で設けられる。これらの例では、通信インターフェースは、一体型カメラベースセンサデバイスから制御可能な照明システム等の外部システムにLPIを通信する(及び画像を通信しない)ように構成される。
【0044】
LPIの一部の例は、環境内の輝度分布に関する情報を利用してもよい。環境内の輝度分布を測定する既知のデバイスは、高価な、専用のデバイスである。このようなデバイスを使用する場合であっても、生の測定値から輝度分布を決定するための個々のステップは、手動で行われる必要がある。これは専門家レベルの技術を必要とする。これらの要因の両方が、輝度分布測定デバイスの物分かり(uptake)を限定的なものにしている。
【0045】
また、本開示は、カメラによって撮像される1つ以上の画像からの輝度分布の決定を可能にするデバイス及び方法も述べる。これは、実施形態において、低コストで、標準的なコンポーネントしか必要とせずに、実用的な精度が維持されることを可能にする。さらに、輝度分布測定は、完全に自動化されることができる。これは、照明制御システムに容易に組み込まれることを可能にする。
【0046】
図1は、環境110を照らすための例示的な照明システム100を概略的に示している。環境110は、例えば、壁で囲まれた部屋であってもよい。ユーザ111は、環境110内に示されている。
【0047】
照明システム100は、コントローラ120と、1つ以上のイルミナント121と、カメラユニット200とを含む。コントローラ120は、イルミナント121及びカメラユニット200の各々に、それぞれの有線接続又は無線接続によって動作可能に結合される。また、コントローラ120は、
図1に示されるようにネットワーク123に接続されてもよい。ネットワークの一例は、インターネットである。また、コントローラ120は、メモリ124に接続されてもよい。メモリ124は、コンピュータストレージデバイスである。メモリ124は、
図1に示されるようにコントローラ120に直接結合されてもよく(すなわち、ローカルメモリ)、又はネットワーク123を介してアクセス可能なリモートメモリであってもよい。例えば、メモリ124は、インターネットを介してコントローラ120によってアクセス可能なサーバであってもよい。
【0048】
イルミナント121は、光を発生するための(照明器具とも呼ばれる)光源である。コントローラ120は、環境110内の照明を制御するためにイルミナント121に制御コマンドを送るように構成される。
図1に示されるように、イルミナント121は、環境110内に配置される。すなわち、各イルミナント121は、環境110に可視光を発することにより環境110の少なくとも一部を照らすように構成される。この例では、天井に取り付けられたイルミナントである4つのイルミナント121が示されている。しかしながら、より多くの又はより少ないイルミナントが環境110内に存在してもよいことを理解されたい。また、異なるタイプのイルミナントが存在してもよいことを理解されたい。他のタイプのイルミナントの例としては、床置きのランプ、デスクランプ、スポットライト等がある。すべてのイルミナント121が同じタイプである必要はない。
【0049】
環境110は、それ自体が照明システム100の一部ではない1つ以上の光源を含んでもよい。このような光源の一例は、
図1に示されるように自然光源、例えば、窓112である。制御デバイス120は、他のタイプの制御可能なデバイスを用いてこれらのタイプの光源の影響を制御してもよい。一例は、窓112のための制御可能なシェード又はブラインドである。コントローラ120は、窓112を通って入る自然光の量を変更するために窓を覆う又は覆いをとるようにシェード又はブラインドを制御するように構成されてもよい。
【0050】
本明細書では、コントローラ120は、環境110内の照明に関する問題(issue)を特定すること及び是正することの両方に関連する機能を実行するものとして述べられる。しかしながら、これらのステップは、照明システム100内の別個のデバイスによって実行されてもよいことを理解されたい。具体的には、コントローラ120は、一部の例では、照明問題(例えば、照明が明るすぎる)を特定するだけで、それを是正するための責務を別個の制御デバイスに渡してもよい。そうする1つの理由は、照明問題の是正は望ましいが、消費電力の抑制等に起因して実現できない可能性があることである。この例では、コントローラ120は、照明設定に対する望ましい変更(例えば、明るさを増加する)を、それが制定されるのを妨げる可能性のある非照明ベースの要件(例えば、限られた電力消費)を意識する必要なく決定するように構成されてもよい。
【0051】
「明るさ(brightness)」は、単純に、画像内の1つ以上のRGB値の大きさであると考えられてもよいことに留意されたい。しかしながら、ユーザ111が体験する「明るさ」のより良い尺度は、輝度(luminance)である。以下では、画像から輝度値(輝度分布)を決定するための方法が述べられる。したがって、(より素朴な(more naive))輝度値の代わりに、(より洗練された(more sophisticated))輝度値が用いられてもよい。
【0052】
環境110は、1つ以上の物体113を含んでもよい。
図1は、環境110内に置かれた椅子を示している。椅子は、物体113の一例である。異なる物体は、異なる波長を異なる程度に吸収及び反射することにより、イルミナント121によって発せられる光に対する反応がさまざまである。
【0053】
図2は、より詳細に照明システム100のカメラユニット200を概略的に示している。
【0054】
カメラユニット200は、カメラ201と、プロセッサ202と、通信インターフェース203と、内部メモリ204とを含む。プロセッサ202は、カメラ201、通信インターフェース203、及び内部メモリ204の各々に動作可能に結合される。
【0055】
カメラ201は、環境110内のシーンの画像を撮像するように構成される。「シーン」という用語は、画像に捕捉される環境110の部分、すなわち、カメラ201の視野内の環境110の部分を指す。カメラユニット200は、環境110自体の内部又は外部に配置されてもよいことに留意されたい。いずれの場合も、カメラ201は、広角カメラであってもよい。広角カメラの有利な点は、結果としての画像が環境110の大きなエリア(より大きなシーン)を表すことである。カメラ201によって撮像されるシーンは、環境110の実質的にすべてであってもよい。例えば、カメラ201は、環境110の360度ビューを有する天井に取り付けられる広角カメラであってもよい。本明細書では、「シーン」及び「環境」という用語は、互換的に使用される。
【0056】
カメラ201は、RGB画像を撮像する。RGB画像は、RGB色空間において、赤色R、緑色G、及び青色Bチャネルの各々の個々の値によって表される。すなわち、カメラ201によって撮像される画像は、当該技術分野で知られているように、各ピクセルの(例えば、浮動小数点の)RGB値を含む。各チャネルは、スカラ(グレースケール)ピクセル値のアレイを含む。例えば、赤色チャネルは、画像内の各ポイントにおけるカメラ201の赤色センサの応答を表すグレースケール画像を含む。
【0057】
以下でより詳細に述べられるように、カメラユニット200のプロセッサ202は、カメラ201から画像を受け、1つ以上のライトパフォーマンスインジケータ(LPI: Light Performance Indicator)に変換するように構成される。LPIは、画像自体の代わりに、照明システム100のコントローラ120に送信される。LPIは、コントローラ120によって制御決定を行う際に使用される情報を含む。言い換えれば、プロセッサ202は、情報(画像)を、コントローラ120にとって依然として有用であるが、画像に関連するプライバシの懸念がないフォーマットに「ストリップダウン(strip down)」するように構成される。
【0058】
各LPIは、例えば、明るさ、グレア、コントラスト、色等、シーン内に存在する照明条件の人間の体験の尺度である。LPIは、照明条件の人間の体験をモデル化する関数、例えば、RGBチャネルの各々から取得されるた値に対する関数を使用して決定されてもよい。関数は、例えば、それぞれのパラメータによって各々パラメータ化される(例えば、それぞれの係数によって各々重み付けされる)、各ピクセルのRGB値の組み合わせを取ってもよい。プロセッサ202は、人間の体験を最良にモデル化する値、例えば、カメラシステムの応答と人間の目との間のスペクトルミスマッチ(spectral mismatch)を最小化する値を識別するためにパラメータ又は係数を調整するトレーニング又はサーチプロセスを実行してもよい。
【0059】
各LPIは、本質的に、人間が照明をどのように体験するかに関連する尺度(measure)又はメトリック(metric)である。本明細書では様々な例が述べられるが、これは網羅的なリストではないことを理解されたい。とりわけ、例の多くは、定量的なモデルで与えられる。しかしながら、本発明者らは、将来的には、より多くの例について、定量的なモデルが提案され、検証されることを想定している。多くの例では、パフォーマンスは、数値で、場合によっては、人間が光レベルを容認できる確率、部屋のユーザが光設定に介入する確率、主観的な解釈が定量化されること、平均満足度スコア(mean satisfaction score)、特定の光設定に対する作業者があるタスクを解決する際の生産性、1秒あたりのワードでの読書速度、医学的適応及び障害を持つ人々がそれでも安全にタスクを実行することができる程度、人々が疲労感を示す予想率、等として表現される。条件のよいラボ設定においてこれらのファクタの一部を決定することは可能であるかもしれないが、これは、専門家レベルの技術及び関与する変数の慎重な制御(例えば、特定のテスト条件を作り出すために光を設定すること)を必要とする。本明細書で述べられる技術は、純粋にカメラによって測定される光分布においてLPIを決定又は予測するという特定の課題に対処する。これは、ユーザ固有の入力(位置、向き等)等の他の入力を伴ってもよい。適切なモデルは、自動化されたシステムによって多くのLPIを数値的に計算することを可能にする。
【0060】
図3は、本明細書で述べられる例による照明システム100のハイレベルの機能(high-level functioning)を示している。
【0061】
図3は、カメラ201、カメラ201によって撮像される画像210、輝度分布215、例示的なLPI230、及びメモリ204を含むカメラユニット200示している。メモリ204は、ユーザデータ214及び環境データ224を格納することが示されている。ユーザデータ214の例としては、ユーザの位置、ユーザの向き、ユーザの注視(gaze)等がある。環境データの例としては、タスクエリア、壁エリア等がある。例示的なLPIは、全体的な明るさ230、グレア231、タスクエリア照明232、壁照明233等を含む。
【0062】
また、
図3は、メモリ124、コントローラ120、及び環境110を示している。メモリ124は、ユーザデータ125、照明システムデータ126、及びユーザプリファレンスデータ127を格納することが示されている。ユーザデータ125の例としては、ユーザアクティビティがある。照明システムデータ126の例としては、イルミナントの位置及びイルミナントの向きがある。環境110は、イルミナント121、また他の制御可能なデバイス122を含むことが示されている。他の制御可能なデバイス122の例としては、窓112を覆うシェード及びブラインドがある。また、ユーザ入力114が示されている。ユーザ入力の例としては、明示的及び黙示的なユーザ入力がある。これらは、以下でより詳細に説明される。ユーザがコントローラ120に入力を提供し得るやり方の例としては、(例えば、壁に取り付けられる)スイッチを介する、スマートフォン又はスマートウォッチを介する、等がある。
【0063】
上述したように、プロセッサ202は、少なくともカメラ201によって撮像される画像から1つ以上のLPIを決定するように構成される。
図3には、いくつかの例示的なLPIのみが示されていることに留意されたい。例示的なLPIのより大きなリストは、以下で後に与えられる。
【0064】
一部の例では、プロセッサ202は、1つ以上のLPIを決定する際に追加のファクタを考慮してもよい。
図3は、このような追加のファクタの2つの広義のカテゴリ、すなわち、環境データ及びユーザデータを示している。
【0065】
環境データは、環境110に関連する情報を指す。環境データの例としては、環境110内の関心エリアの位置及び任意選択的に向きがある。例えば、「タスクエリア」が、関心エリアであってもよい。タスクエリアは、ユーザ111又は他のユーザが典型的にはタスクを実行するエリア、例えば、デスクエリアである。タスクエリアの照明要件は、典型的には、環境110内の他のエリアの照明要件とは異なる。例えば、ユーザ111は、自身のデスク(タスクエリア)が、環境110の他の部分よりも明るい明るさで照明されることを望む可能性がある。
【0066】
ユーザデータは、ユーザの物理的属性等、ユーザに関連する情報を指す。ユーザデータの例としては、ユーザの位置データ、ユーザの向きデータ、ユーザの注視方向(user gaze direction)等がある。
【0067】
また、他のデータが、1つ以上のLPIを決定する際にプロセッサ202によって考慮されてもよい。例としては、環境110の占有、顔認識、アイトラッキング等がある。
【0068】
環境データ、ユーザデータ、及び他のデータは、a)予め決定され、メモリ204等のメモリに格納されてもよく、b)外部センサによって決定され、プロセッサ202によって受信されてもよく、c)カメラ201によって撮像される1つ以上の画像からプロセッサ202によって決定されてもよく、又は、d)これらの1つ以上の組み合わせであってもよい。とりわけ、1つ以上のセンサデバイスを使用してユーザの位置及び/又は向きを決定する技術は、当技術分野で知られており、例えば、ユーザのコンピュータデバイス(スマートフォン等)によって捕捉されるデータを使用する。
【0069】
プロセッサ202がユーザ111の位置及び/又は向きを決定できない場合であっても、プロセッサ202は、多くの「仮想的な(hypothetical)」ユーザ位置に対する1つ以上のLPIを決定し、これらの「仮想的な」位置の平均LPIを決定することができる。言い換えれば、メモリ204は、環境110内の1つ以上の所定のユーザ位置のインディケーションを格納してもよい。プロセッサ202は、メモリ204からこれらの所定のユーザ位置のうちの1つを取得し、本明細書で述べられるように、取得された位置を使用するように構成されてもよい。他の例では、プロセッサ202は、メモリ204から複数の所定のユーザ位置を取得するように構成されてもよい。このような場合、プロセッサ202は、1つ以上のLPIを決定するために各取得された位置を使用する、及び、コントローラ120に提供するための単一の出力LPIを決定するために結果としての複数のLPIを平均化してもよい。
【0070】
所定のユーザ位置は、コミッショニングプロセスの間にメモリ204に格納されてもよい。例えば、コミッショナは、プロセッサ202が現在の(実際の、現実の)ユーザ位置を決定できないような場合に使用されるべきユーザ位置を決定してもよい。所定のユーザ位置は、ユーザによって占有される可能性がより高い環境110内のロケーションに対応してもよい。このようなロケーションの一例は、デスクである。したがって、一例では、所定のユーザ位置は、環境110内のデスクの位置に対応する。
【0071】
また、メモリ204は、所定のユーザ位置に関連して上述したのと同様に、1つ以上の所定のユーザ向きを有するように構成されてもよい。この場合、プロセッサ202は、現在の(実際の、現実の)ユーザの向きを決定することができない場合、同様に、1つ以上の所定のユーザ向きを使用してもよい。
【0072】
プロセッサ202は、1つ以上のLPIを決定すると、LPIをコントローラ120に送信する。コントローラ120は、LPIの値を改善するために1つ以上のイルミナント121によって提供される照明を相応に調整することができる。例えば、コントローラ120は、LPIから、ユーザ111が作業しているタスクエリアが十分に照明されていないことを判断することができる。この場合、コントローラ120は、光出力を増加するように、当該タスクエリアに光を発する1つ以上のイルミナント121を制御することができる。
【0073】
そうするために、コントローラ120は、受信したLPIと、対応するユーザプリファレンスとを比較してもよい。ユーザプリファレンスは、メモリ124に格納されてもよい。LPIが、1つ以上のパラメータ(例えば、環境110内の全体的又は平均的な明るさ)の現在の値が、当該パラメータに対するユーザのプリファレンスと等しくないことを示す場合、コントローラ120は、相応に明るさを調整するためにイルミナント121を制御する。
【0074】
ユーザプリファレンスは、対応する許容範囲(tolerance)と関連付けられてもよい。所与のプリファレンス値に対するユーザの許容範囲(user tolerance)は、ユーザ111が当該値に対する所与の設定を受け入れる可能性のインディケーションである。これは、以下でより詳細に述べられる。
【0075】
一部のLPIは、より具体的であってもよい。例えば、LPIは、(例えば、タスクエリア識別番号によって識別される)特定のタスクエリアが照明不足であることを示してもよい。これを是正するために、コントローラ120は、照明システムデータを格納するデータベース(例えば、メモリ124)にアクセスしてもよい。ここで、「照明システムデータ」は、環境110内のイルミナント121の位置、及び任意選択的に向きに関連する情報を指す。したがって、この例では、コントローラ120は、どのイルミナント121が照明不足のタスクエリアを照らすように配置されているかを判断するためにメモリ124にアクセスしてもよい。その後、コントローラ120は、当該タスクエリア内の明るさを増加するために当該イルミナントを制御することができる。
【0076】
コントローラ120が、環境110内の照明に変更を加えることを決定するか否かは、さらに、ユーザ111によって現在行われているアクティビティに依存してもよい。例えば、ユーザ111が眠っている場合、コントローラ120は、受信したLPIが明るさが「低すぎる」ことを示しても、環境110内の明るさを増加しないように決定してもよい。一部の例では、ユーザ111の現在のアクティビティは、例えばメモリ124に格納される、所定のスケジュールに基づいて決定されてもよい。他の例では、ユーザ111の現在のアクティビティは、環境110内の1つ以上のデバイスからの入力に基づいて推定されてもよい。このようなデバイスの例としては、ユーザ111のスマートフォン及びユーザ111が装着するスマートウォッチがある。スマートフォン又はスマートウォッチからのデータは、コントローラ120によって(例えば、ネットワーク123を介して、又は直接、例えばBluetooth若しくはWiFiを介して)アクセス可能であってもよい。スマートウォッチ、スマートフォン、又は他のデバイスからのデータは、ユーザ111の現在のアクティビティを決定するために使用されてもよい。例えば、スマートウォッチからの心拍数データは、ユーザ111が運動している又はストレスを受けていることを示すことができ、スマートフォンからのアプリケーションデータは、ユーザ111がビデオを見ている又はメッセージ若しくは他のコンテンツを読んでいることを示すことができる。
【0077】
追加的又は代替的な例では、ユーザ111の現在のアクティビティは、カレンダー又はアジェンダデータに基づいて決定されてもよい。カレンダー又はアジェンダエントリは、ユーザ111が、例えば、会議中であるかどうかを示すことができる。環境110は、ユーザが予約可能な部屋であって、予約に関連するデータ(例えば、開始時間及び終了時間、出席者の人数等)が、部屋予約システムによって管理されてもよい。このような場合、部屋予約システムからのデータは、環境110にいる人の数を推定するために使用されてもよい。また、部屋予約システムからのデータは、例えば、プレゼンテーション、会話、討論等が現在進行中であるかどうかを示す場合、ユーザアクティビティを判断するために使用されてもよい。
【0078】
さらなる追加的又は代替的な例では、ユーザ111の現在のアクティビティは、例えばマイクを使用して、環境110内で捕捉される音声に基づいて決定されてもよい。一部の具体的な例では、ユーザ111の現在のアクティビティは、ユーザの気分又は興奮に関連してもよい。音声から気分又は興奮レベルを決定する技術は、当技術分野で知られている。
【0079】
ユーザプリファレンスは、異なるアクティビティ又は気分/興奮レベルによって異なり得る。
【0080】
コントローラ120は、ユーザ111から受ける明示的又は黙示的な入力に応答してユーザプリファレンスを更新するように構成されてもよい。これは、以下、後でより詳細に述べられる。
【0081】
一部のLPIは、ユーザ111の主観的な体験を考慮してもよい。ユーザ111の主観的な体験は、イルミナント121によって提供される照明のスペクトルだけでなく、それらの波長に対する人間の目の反応にも依存する。それゆえ、ユーザ111が環境110内の照明をどのように体験するかは、輝度値によって最良に述べられる。輝度は、人間の目の感度を考慮するという点で明るさの測光尺度(photometric measure)である。したがって、環境110内の異なるロケーションにおいて(ユーザ111によって)知覚された明るさを示す輝度分布は、照明システム100にとって貴重な情報である。
【0082】
それゆえ、1つ以上のLPIを決定することの一部として、カメラユニット200のプロセッサ202は、カメラ201によって撮像される1つ以上の画像から輝度分布を決定してもよい。
【0083】
カメラ201によって撮像される1つ以上の画像から輝度分布を決定する方法がまず述べられる。その後、様々な例示的なLPIが与えられる。LPIが輝度分布を必要とするものとして述べられる場合、輝度分布は、(以下すぐに述べられるように)カメラ201によって撮像される1つ以上の画像から決定されてもよく、又は、追加のセンサによって決定され、例えば、通信インターフェース203を介してプロセッサ202に提供されてもよい。
【0084】
カメラ201によって撮像される画像のRGB値は、成分の1つとして輝度を有し、典型的には他の成分として2つのクロミナンス成分(chrominance component)を有する異なる色空間に変換されてもよい。すなわち、輝度値は、RGB値の組み合わせとして決定されることができる。特に有利な色空間の一例は、CIE XYZ色空間である。なぜなら、これは、明所視(photopic vision)に対する人間の目の光感度曲線(luminous sensitivity curve)に類似する等色関数(colour matching function)V(λ)を持つように開発されたからである。RGBからXYZ(又は他の)色空間への変換は、カメラ201によって適用される白色点(white point)及び選択された色空間の原色への依存性を示す変換行列を用いて行われてもよい。したがって、式1に示されるように、輝度Yは、RGB値の線形結合として決定されてもよい。
式1
ここで、r、g及びbは、変換行列から抽出される、それぞれ、R、G及びBの値に対する重み付け係数である。
【0085】
RGB空間とXYZ空間又は他の空間との間を適切にマッピングするために使用される変換(それゆえ、重み付け係数)は、RGB画像が撮像されたときの照明(1つ以上のイルミナント121によって提供される照明のスペクトルパワー分布(SPD:spectral power distribution))に依存する。従来技術のシステムは、照明は、既知のSPDを有する標準的なイルミナントのものであると仮定している。例えば、sRGB色空間の場合、これは、標準イルミナントD65である。これらの仮定のため、従来技術のシステムは、変換のために固定の重み付け係数r、g及びbを使用する。
【0086】
本開示は、従来技術のシステムは、輝度値に変換する際の精度が悪いことに悩まされることを認識している。これにはいくつかの要因がある。第1に、現実の世界では、環境は、異なるSPDを有する多くの異なるタイプのイルミナントによって照らされる可能性がある。第2に、カメラ201の応答度は、標準的なsRGBの分光応答度と完全にマッチしない可能性がある。
【0087】
本開示は、環境に存在するイルミナントのSPDに依存して、与えられた画像から輝度分布を決定するための重み付け係数を適応する。この方法により、より正確な輝度値が、SPDを考慮するために使用される重み付け係数を最適化することによって決定されることができる。また、本明細書で述べられる方法は、標準的なsRGB分光応答度からのカメラ201の応答のずれを考慮する。
【0088】
この場合、タスクは、画像の所与のピクセルのRGB値から最も正確な輝度値Yを決定するr、g及びbの値を決定することである。これは、スペクトルマッチ(pectral match)及び輝度分布測定のパフォーマンスを向上させるように設計される。以下、理論の説明に続いて、
図4を参照し、例示的な実装形態がより詳細に述べられる。
【0089】
カメラ201の相対分光応答度(relative spectral responsivity)s
rel(λ)は、重要なことに、上記と同じ変換係数を用いる、赤色R(λ)、緑色G(λ)及び青色B(λ)チャネルの個々の応答の線形結合として定義される。
式2
ここで、k
r、g、b、は較正係数である。較正係数は、式3に示されるように、光度関数(luminosity function)Vの積分が、カメラの応答s
relの積分と等しくなるように選択される。
式3
【0090】
光度関数Vの選択は、特定の実装形態に依存する。これは、非視覚的効果(non-visual effect)との関連で以下で詳細に説明される。説明の便宜上、典型的な光度関数は、人間の明るさの視覚的認知(human visual perception of brightness)の平均分光感度(average spectral sensitivity)をモデル化する。このような光度関数の一つは、CIEフォトピック光度関数(CIE photopic luminosity function)V(λ)である。以下でより詳細に述べられるように、異なる光度関数が使用されてもよい。
【0091】
いずれの場合も、カメラ201によって検出されるトータルパワーは、画像から人間の目によって検出されたであろうトータルパワーに等しいはずである。したがって、両者を有意義に比較するために、まず、式4のように、カメラ201によって検出されるトータルパワーが人間の目によって検出されたであろうトータルパワーに等しくなるように、カメラ201の応答がスケーリングされる。
式4
ここで、s
*は、カメラのスケーリングされた応答であり、Φは、SPDである。SPDは、以下でより詳細に述べられるように、さまざまなやり方で決定されてもよい。
【0092】
その後、カメラ201のスケーリングされた応答s
*は、人間の目と直接比較されることができる。カメラ201と人間の目との差の絶対値は、式5に示されるように、スペクトルミスマッチ(spectral mismatch)の尺度である。
式5
【0093】
その後、一般的なスペクトルミスマッチ(general spectral mismatch)f
1
`が最小化されるように、すなわち、式6に示されるように、関数f
1
`を最小化するr、g及びbの値のセットを見つけるように、重み付け係数r、g、bが決定される。
式6
【0094】
その後、上記の方法によって得られる係数r、g、bは、上述の式1により画像の各ピクセルの輝度値を決定するために使用されてもよい。したがって、画像自体が、環境内の輝度分布を表す輝度値のアレイに変換されることができる。
【0095】
代替的な例では、一般的なスペクトルミスマッチは、式7に示されるように、SPDによって重み付けされる光度関数と、SPDによって重み付けされるカメラの応答との絶対差の二乗平均平方根として定義されることができる。
式7
【0096】
しかしながら、ひとたびスペクトルミスマッチが定義されると、式6の制約のもとでスペクトルミスマッチを最小化するという同じプロセスが適用される。その後、(スペクトルミスマッチを最小化する)結果としての係数値は、式1のように、輝度値を決定するために使用されることができる。
【0097】
上記のいずれの例でも、1つ以上の積分は、例えば1nmの増分(increment)ごとに、離散的に計算されてもよいことに留意されたい。また、積分の上下限は人間の視覚における可視スペクトルを示し、それゆえ、380~780nmという所与の範囲は一例に過ぎないことにも留意されたい。
【0098】
図4は、プロセッサ202によって実行される例示的な方法を示すフローチャートである。
【0099】
S401において、プロセッサ202は、カメラ201からRGB画像を受ける。
【0100】
S402において、プロセッサ202は、環境101内の照明のスペクトルパワー分布(SPD)を識別する。
【0101】
スペクトルパワー分布(SPD)は、各波長における放射パワーを表す。イルミナント121によって提供される照明のSPDは、上述のように、係数を決定するために必要とされる。
【0102】
上述したように、環境101における照明のSPDは、カメラ201によって撮像される色域に影響を与える。ガマットは、ある程度、シーンの表面色と関連する。例えば、白熱灯の下で撮像されるシーンは、赤色の値がより高いことが予期されるシーンを提供し、ゆえに、ガマットは、より高いRの値の近辺に位置することが予期される。いずれの光源も、それ自体のガマットを有することが予期されるが、同様のSPDを有する光源は、非常に似ているガマットを有することが予期される。このことが、異なる光源を区別するために利用されることができる。したがって、シーンのガマットに基づいて、イルミナント121のSPDが推定されることができる。
【0103】
メモリ204は、各々が予め定められたSPDに関連付けられる、予め定められたガマットのセットを格納してもよい。ガマットとSPDとの間の関連付けは、コミッショニングプロセスにおいて、既知のSPDを有する照明の下で環境の画像を撮像すること、及び、当該撮像された画像から関連するガマットを決定することによって決定されてもよい。
【0104】
したがって、プロセッサ202は、RGB画像からガマットを決定すること、及び、決定されたガマットに最も近くマッチする予め定められたガマットを識別するためにメモリ204にアクセスすることによってSPDを識別してもよい。その後、プロセッサ202は、識別された予め定められたガマットに関連付けられるメモリ204からのSPDを使用してもよい。
【0105】
環境が、複数の異なるSPDを有する光源(例えば、イルミナント121、自然光等)によって照明される場合、ガマットは、存在するすべてのSPDによって影響を受けることに留意されたい。言い換えれば、環境110内の光源のSPDは、足し合わされて(add together)全体的なSPDを生み出す。抽出されたガマットから推定されるのは、全体的なSPDである。したがって、(抽出されたガマットに最も似ている予め定められたガマットに関連する)推定された予め定められたSPDは、全体的なSPDに最も近くマッチする予め定められたSPDとなる。
【0106】
例えば、環境110が、50%の自然光とイルミナント121によって提供される50%のLED照明との組み合わせによって照明される場合、全体的なSPDは、自然光及びLED照明のSPDの組み合わせとなる。予め定められたガマットのいずれも、この正確なタイプの照明に関連付けられていない場合でも、プロセッサ202は、最も近いマッチを決定する。
【0107】
(メモリ204に格納される及びRGB画像から決定される)ガマットは、赤色-青色ガマット(カメラ201によって撮像される赤色及び青色チャネルに基づくガマット)であってもよい。赤色-青色ガマットは、画像内の色をとりわけ表すものであり、それゆえ、SPDを推定するために他のガマット(青色-緑色ガマット、緑色-赤色ガマット)よりもよく機能する。
【0108】
予め定められたガマットは、LED、蛍光灯及び昼光等、実生活のシナリオに存在する可能性の高いSPDのセットに基づく。各SPDについて、理論的なガマットが、カメラの分光応答度を用いて決定される。シーンの光源を推定するために、シーンの撮像されたガマットが、すべての予め定められたガマットと比較される。撮像されたガマットと予め定められたガマットとの相関関係に基づいて、プロセッサ202は、どのSPDが最も可能性が高いか、言い換えれば、どのSPDが最も確率が高いかを判断する。メモリ204からのどのガマットが識別されたガマットに最も近くマッチしたかは、ベイズ推定(Bayesian estimation)を用いて判断されてもよい。
【0109】
別の例では、SPDのインディケーションは、イルミナント121の1つによって通信インターフェース203を介してプロセッサ202に提供されることができる。SPDインディケーション(SPD indication)は、照明システム100の設置時等、コミッショニングプロセスにおいて、又はイルミナント121の製造プロセスにおけるステップとして定義されることができる。いずれの場合も、イルミナント121は、プロセッサ202に提供され得る当該イルミナントのSPDのインディケーションを格納するメモリを備える。代替的に、SPDインディケーションは、メモリ124等の別のメモリに格納されることができる。
【0110】
さらに別の例では、SPDは、照度分光光度計(illuminance spectrophotometer)を用いて直接測定されることができる。
【0111】
S403において、プロセッサ202は、画像のRGB値を輝度値に変換するための係数のセットr、g、bの値を決定する。
【0112】
最も可能性の高いSPDに基づいて、プロセッサ202は、上述したように、分布内の輝度値を最も正確に計算するためにR、G及びBに対する重み付け係数を決定する。重み付け係数は、上記の式4及び5に示されるように、R、G及びBの組み合わせの一般的なスペクトルミスマッチが最小化されるように決定される。これは、SPDによって重み付けされる光度関数が最も近似するように、所与のピクセルのR、G及びBの値が組み合わされることを意味する(式2参照)。式6又は式7で示される、この最適化の結果、対応する輝度値を最も正確に計算するために使用される、R、G及びBに対する3つの重み付け係数が得られる。
【0113】
S404において、プロセッサ202は、輝度分布を決定するためにステップS403からの係数値を使用する。これは、RGB画像の各ピクセル、又はその少なくとも一部の輝度値を、式8に示されるように、決定された係数値を有する当該ピクセルのRGB値の線形結合を取ることによって、決定することを伴う。
式8
【0114】
これは、個々のピクセルに対して行われる。その結果、あるエリアにおける各ピクセルの輝度値を含む輝度チャネルの画像、すなわち、輝度分布が得られる。輝度分布が形成されるエリアは、元の入力画像(又は複数の画像)のエリアの一部又はすべてを含んでもよい。
【0115】
また、このプロセスは、α-opics等、スペクトルの可視部分における他の感度に置き換えられることもできる。これは、以下でより詳細に述べられる。
【0116】
プロセッサ202は、上述の方法を用いて任意のRGB画像から輝度分布を決定することができるが、より正確な輝度分布を得るためには、RGB画像の各ピクセルのダイナミックレンジが可能な限り高いことが好ましい。これを実現する一つのやり方は、高ダイナミックレンジ(HDR:High Dynamic Range)画像を使用することである。
【0117】
HDR画像は、異なる露出を使用して、例えば、順次露出ブラケット(sequential exposure bracketing)を使用して撮像される複数の低ダイナミックレンジ(LDR:Low Dynamic Range)画像から構成される。LDR画像は、単一のHDR画像にマージされる。それゆえ、カメラ201は、一部の例では、環境101の複数のLDR画像を撮像するように構成される。その後、プロセッサ202は、これらのLDR画像をHDR画像にまとめる。その後、プロセッサ202は、本明細書で述べられるように、輝度分布を決定する際にHDR画像を使用することができる。すなわち、線形結合は、構成されたHDR画像に適用される。
【0118】
HDR画像の構築は、線形結合のための係数の決定と並行して行われることができる。これは、プロセッサ202によって実行される例示的な方法を示すフローチャートを示す
図5を参照して以下で説明される。この例では、メモリ204が、各々がそれぞれのSPDに関連付けられる、予め定められた色域のセットを格納する。
【0119】
S510において、プロセッサ202は、カメラ201からLDR画像のセットを受ける。各LDR画像は、RGB画像である。
【0120】
S511において、プロセッサ202は、受けたRGB画像の1つ以上から色域を抽出する。例えば、プロセッサ202は、LDR画像のうちの第1のLDR画像から色域を抽出してもよい。代替的に、プロセッサ202は、LDR画像の各々から色域を抽出し、平均ガマットを決定してもよい。
【0121】
S512において、プロセッサ202は、係数を決定する際に使用するSPDを識別する。そうするために、プロセッサ202は、S511で抽出されるガマットに最も近くマッチする予め定められた色域を決定するためにメモリ204にアクセスする。これは、ベイズ推定を用いて行われてもよい。SPDは、撮像された画像から識別される色域と最も近くマッチするメモリ204内のガマットに関連付けられるものであると仮定される。言い換えれば、SPDは、カメラ201によって撮像される画像からプロセッサ202によって推定されることができる。これは、イルミナント121によって提供される照明のSPDが、カメラ201によって撮像される色に影響を与えるという洞察を用いて行われる。
【0122】
S513において、プロセッサ202は、上述したように、光度関数及びSPDを用いて係数を決定する。
【0123】
S520において、プロセッサ202は、受けたLDR画像からHDR画像を構築する。
図5に示され、上述したように、これは、S511におけるガマット抽出、S512におけるSPD識別、及びS513における係数決定と並行して行われる。これに起因して、並行タスクは、別個のコントローラモジュールによって実行されてもよい。すなわち、プロセッサ202は、第1の制御モジュール及び第2の制御モジュールとして実装されてもよいことを理解されたい。第1の制御モジュールは、少なくともステップS511からS513を実行するように構成され、第2の制御モジュールは、少なくともステップS520を実行するように構成される。制御モジュールは、異なるプロセッサによって実装されてもよい。プライバシが懸念ではない場合、制御モジュールは、照明システム100のどこかに実装されてもよい。例えば、第2の制御モジュールは、カメラユニット200にローカルに実装され、第1の制御モジュールは、サーバ等照明システム100の他の場所に実装されてもよい。
【0124】
S530において、プロセッサ202は、決定している係数を用いて、構築されたHDR画像から輝度分布を決定する。
【0125】
照明制御システムに適用される従来技術のセンサは、一般的に、空間内のある特定のポイントの照度、すなわち、センサの視野内の照度を表すスカラ値という1つの情報(one piece of information)しか提供することができない。一方、輝度分布は、空間のエリア又はボリュームをカバーする完全なポイントのセット(撮像された画像の一部又はすべてにおける各ポイント)の輝度値(すなわち、輝度分布)を提供する。
図6は、上述のようにしてカメラ201によって撮像される画像から決定される環境110の例示的な輝度分布600を示している。
【0126】
この情報は、従来技術のセンサによって提供されるような単一のスカラ値と比較して、環境110内のユーザ111の知覚に関連する広範囲の貴重な洞察を可能にする。そうするために、本明細書で開示される実施形態によれば、プロセッサ202は、カメラ201によって撮像される画像から1つ以上のLPIを導出するように構成される。LPIは、明るさ、タスクエリア照明レベル、非視覚的効果、ダイナミクス等に関する。各LPIは、カメラ201によって撮像される画像内のピクセルのアレイからの複数のピクセルから導出される複合メトリックである。上述したように、これは、先ず各ピクセルを輝度値に変換することを伴ってもよく、伴わなくてもよい。
【0127】
ここで、LPIの様々な例が述べられる。
【0128】
タスクエリア照明レベルは、LPIの一例である。プロセッサ202は、カメラ201によって撮像される画像から1つ以上のタスクエリアを決定してもよい。例えば、タスクエリアは、環境110内のデスクの表面であってもよい。その後、プロセッサ202は、輝度分布から、タスクエリア内に存在する輝度値を決定することができる。一例では、プロセッサ202は、識別されたタスクエリアに対応する輝度分布の一部にわたる平均輝度値を取ってもよい。例えば、プロセッサ202は、各タスクエリア内の平均照度値を識別し、識別された照度をそれぞれのタスクエリアのインディケーションとともに(例えば、タスクエリア1 輝度=値1、タスクエリア2 輝度=値2、等)コントローラ120に提供してもよい。
【0129】
人は、自身のタスクエリア上のある照明レベルについてのプリファレンス、例えば、300ルクス又は500ルクスを有する傾向がある。したがって、タスクエリア照明レベルLPIは、(例えば、決定されたタスクエリア照明レベルと、当該タスクエリアの目標照明レベルとを比較することによって)タスクエリアが照明不足又は照明過剰であることを決定するためにコントローラ120によって使用されてもよい。その後、コントローラ120は、相応に当該タスクエリアの照明レベルを増加又は減少させるために1つ以上の対応するイルミナント121を制御してもよい。
【0130】
図7及び
図8は、
図3に関連して上述したようなユーザプリファレンスデータの例を示している。照度(Illuminance)及び輝度(Luminance)の両方の値が示されていることに留意されたい。環境110内の表面の反射率が既知である場合(表面がランバートリフレクタ(Lambertian reflector)であると仮定する)、照度は、輝度から抽出されることができる。コントローラ120は、例えばメモリ124から、ユーザプリファレンスデータにアクセスしてもよい。
【0131】
図7は、単一のユーザに関する。
図7では、環境110内の所与の照度が、ユーザによって不十分(Insufficient)701、満足(Satisfactory)702、又は過剰(Excessive)703と見なされる確率(Probability)が示されている。
【0132】
コントローラ120は、ユーザ満足度を決定するために受けたLPIとユーザプリファレンスデータとを比較してもよい。コントローラ120は、より複数のユーザのユーザ満足度を決定し、それによって、平均又は全体ユーザ満足度を決定してもよい。
【0133】
図8は、複数(この例では3人)のユーザ(User)801、802、803のプリファレンスに関する。各ユーザのプリファレンスのデータは、当該ユーザの好ましい照度で最大値を有し、当該ユーザの許容範囲を表す幅を有する曲線として表される。例えば、ユーザ801は、ユーザ803よりも低い照度を好むが、両者は、同様の許容範囲を有する。ユーザ802は、ユーザ801及びユーザ803の間の照度値を好むが、この好ましい値からのずれに対して他の2人のユーザ801、803よりも寛容である。
【0134】
複数のユーザがいる場合、コントローラ120は、当該特定のユーザのタスクエリアに基づいてユーザの満足さ(Satisfaction)を決定してもよい。すなわち、コントローラ120は、(受けたLPIに示される)特定のタスクエリアの現在の輝度値と、当該タスクに関連するユーザ(例えば、当該デスクで作業するユーザ)のプリファレンスデータとを比較してもよい。
【0135】
輝度以外の値に対するユーザプリファレンスデータが、上述したのと同様にコントローラ120によって表され、考慮されてもよい。例えば、異なるレベルのコントラストに対する各ユーザの満足さに関連するユーザプリファレンスデータが、メモリ124に格納されてもよい。
【0136】
グレアは、LPIの別の例である。プロセッサ202は、輝度分布から(潜在的な)グレア源を識別するように構成されてもよい。その後、プロセッサ202は、ユーザ111が体験するグレアの量を定量化してもよい。グレアは、ユーザ111によって視られるグレア源の輝度及び立体角、背景輝度、並びにグレア源に対するユーザ111の向きの関数である。一例として、グレアの有用な定義の一つは、Unified Glare Ratingである。Unified Glare Rating(UGR)は、1987年にSorensenによって提唱され、国際照明委員会(CIE:International Commission on Illumination)によって採用された、所与の環境におけるグレアの尺度である。これは、式9のように定義される。
式9
ここで、logは、対数基数(logarithm base)10であり、L
bは、背景輝度であり、L
nは、nで番号付けされる各光源の輝度であり、ω
nは、観察者から見た光源の立体角であり、p
nは、ユーザ111の視線からの距離に依存する、グースの位置指数(Guth position index)である。URGは一例として与えられているにすぎず、グレアの他のメトリックが使用されてもよいことに留意されたい。
【0137】
プロセッサ202は、輝度分布自体から背景輝度及びグレア源の輝度を決定してもよい。
【0138】
プロセッサ202は、当技術分野で知られている顔認識及び/又はアイトラッキング技術を使用して、グースの位置指標又はユーザ111の視線からのグレア源のずれ、及びグレア源に対する立体角を推定してもよい。とりわけ、このような技術は、サイネージ及びインタラクティブなショップウィンドウの分野で知られ、使用されている(ショップオーナは、どの製品が潜在的な顧客に注目されているかを知りたがっている)。本明細書で述べられる目的のために、これらの技術が、ユーザ(例えば、ユーザ111)がどの方向を見ている(視野角)を決定するために使用されることができる。その後、グレアLPIが、この視野角を使用して決定されることができる。ユーザ111の視野角に関する情報を必要とする他のLPIは、同様に、これらの技術を使用してもよい。
【0139】
グレアは一般的に望ましくない。したがって、コントローラ120は、グレアを低減するように照明システム100内の1つ以上のデバイスを制御してもよい。例えば、コントローラ120は、ユーザ111が体験するグレアの量がグレアの量の閾値を超えていることを示すLPIを受けることに応答してそうしてもよい。例えば、コントローラ120は、ユーザ111のコンピュータスクリーンから出るグレアの量が閾値量を超えていることを判断してもよい。コントローラ120は、この決定に応答して、過剰なグレアを是正するために照明システム100の1つ以上のデバイスを制御してもよい。これは、例えば、グレアの原因となっている1つ以上のイルミナント121の輝度設定を下げることによって達成されてもよい。
【0140】
コントローラ120は、グレアである/グレアの原因となっている1つ以上のイルミナント121を調光又はオフすることによってグレアを低減するために照明制御に介入する追加機能を有してもよい。グレアが、制御可能ではない光源(例えば、窓からの自然光)に起因する場合、コントローラ120は、この制御可能ではない光源の存在を低減するために異なるデバイスを制御してもよい。一例として、コントローラ120は、自然光が環境100に入ってくる窓の上にブラインド又はシェードを展開してもよい。
【0141】
グレア値は、上述の技術を用いて、タスクエリアごとに決定されてもよい。すなわち、プロセッサ202は、環境110内の各タスクエリアのグレア値を決定してもよい。
【0142】
(コントラストとも呼ばれる)均一性(uniformity)は、LPIの別の例である。「均一性」は、分布中の明るさの変化、すなわち、画像中の明るさのばらつきを指す。明るさは、画像のRGB値に基づいて決定されてもよい。例えば、プロセッサ202は、カメラ201によって撮像される画像の領域の明るさの差異又はばらつきを示すコントラストLPIを生成してもよい。同様の「輝度コントラスト」LPIが、輝度分布から生成されてもよい。
【0143】
本明細書で開示される技術は、(単一の輝度値とは対照的に)輝度分布が決定されることを可能にするため、他の例では、プロセッサ202は、環境内の輝度の均一性を決定する。
【0144】
言い換えれば、プロセッサ202は、画像中の明るさ又は輝度の変化を分析するように構成されてもよい。これは、プロセッサ202が、高コントラストのエリアを示すLPIを生成することを可能にする。その後、プロセッサ202は、このLPIをコントローラ120に送信してもよい。その後、コントローラ120は、不均一性(non-uniformity)の量が許容範囲内にあるかどうかを識別してもよい。例えば、(例えば、メモリ124からの)ユーザプリファレンスデータは、1人以上のユーザの許容可能なコントラスト範囲を示してもよい。一般的に、強すぎるコントラストは気を散らす(distracting)が、弱すぎるコントラストは退屈(dull)である。ユーザプリファレンスデータは、コントラストが許容できるか、高すぎるか、又は低すぎるかを判断するために、受けたコントラスト値と比較されてもよい。コントローラ120は、1人以上のユーザが体験するコントラストをより許容できるものにする(すなわち、低すぎる場合はコントラストを増加させ、高すぎる場合はコントラストを減少させる)ために照明システム100内の1つ以上のデバイスを制御するように構成されてもよい。
【0145】
色度(chromaticity)の均一性は、LPIの別の例である。環境110内の大きな色ばらつきは一般的に望ましくない。例えば、窓112を介して入る太陽光は、イルミナント121からの人工光とは異なる色を有する可能性がある。環境110内に均一な照明雰囲気を作り出すために太陽光の色とマッチするようにイルミナント121を制御することが一般的に望ましい。したがって、プロセッサ202は、カメラ201によって撮像される画像の領域の色の差異又はばらつきを示す色コントラストLPIを生成してもよい。
【0146】
色の均一性は、輝度の均一性に関連して上述したのと同様の技術を用いて決定されてもよい。個々の色チャネルに対する非線形演算が、色差(colour difference)を定量化するために好ましい。LPIは、これらの色の距離の絶対値又は二乗を含むことが好ましい。例えば、色の距離(colour distance)を算出するために、最初のステップとして、RGBから色三角形(colour triangle)内のXY色度位置への(非線形)変換が必要とされる。色の距離は、2つの異なって照明されるエリアの色度位置(chromaticity location)間の距離から得られることができる。
【0147】
その後、コントローラ120は、色の均一性を向上させるために照明システム100内の1つ以上のデバイスを制御してもよい。例えば、これは、イルミナント121を制御して、その色出力を太陽光の色出力とより近くマッチするように変更することを含んでもよい。
【0148】
LPIの他の例は、非視覚的効果に関する。照明(及び一般的に光)が非視覚的に人体に影響を与え得ることはよく知られている。例としては、覚醒(alertness)、メラトニン抑制(melatonin suppression)、瞳孔反射(pupillary reflex)、脳活動(brain activity)、心拍(heart rate)等の急性効果(acute effect)、睡眠-覚醒調節(sleep-wake regulation)等の概日効果(circadian effect)、うつ及び気分等の治療効果(therapeutic effect)等がある。
【0149】
上述の輝度分布を決定するための方法は、光度関数V(λ)の使用を伴っていたことに留意されたい。この光度関数は、人間の視覚が光の異なる波長に反応する様子(way)を記述したものである。しかしながら、同じ技術は、環境110内の照明の非視覚的効果をモデル化するために使用されることができる。
【0150】
そうするために、光度関数は、人間の目の望ましい非視覚的反応(desired non-visual response)を表す関数に単純に置き換えられる。このような関数は、α-opic作用スペクトル(α-opic action spectrum)と呼ばれ、それぞれの生理的効果(physiological effect)に関連する人間の目の異なる細胞タイプの反応を表す。適切な関数の例としては、メラノピック放射輝度(melanopic radiance)、s-錐体-opic放射輝度(s-cone-opic radiance)、m-錐体-opic放射輝度(m-cone-opic radiance)、l-錐体-opic放射輝度(l-cone-opic radiance)、ロドピック放射輝度(rhodopic radiance)等がある。
図9は、これらの関数のいくつかの異なる例を示している。各関数は、人間の目の特定のタイプの細胞の反応に関し、異なる波長に対する当該タイプの細胞に関連する効果の相対的強さ(relative strength)を表す。例えば、関数901によって表される反応を有する第1のタイプの細胞によって引き起こされる生理的効果は、関数902によって表される反応を有する第2のタイプの細胞によって引き起こされる生理的効果よりも短い波長に対して反応性が高い。
【0151】
特定の生理的効果を表すα-opicを用いることにより、環境110内の現在の照明によってユーザ111に誘発される当該効果の強さが推定されることができる。したがって、1つ以上のLPIは、特定の効果の推定された強さを示す非視覚的LPIであってもよい。
【0152】
効果の推定された強さは、現在の強さが許容可能であるかどうかを判断するために当該効果に対するユーザプリファレンスと比較されてもよい。ユーザプリファレンスは、時間に依存してもよい。例えば、ユーザプリファレンスは、朝よりも夜に低いメラノピック効果についてであってもよい。その後、コントローラ120は、効果を調整するために相応に照明システム100内の1つ以上のデバイスを制御してもよい。例えば、コントローラ120は、メラノピック効果を低減するために夜により少ない青色光を出力するようにイルミナント121を制御してもよい。
【0153】
他の例では、ユーザに対して予期される非視覚的効果は、画像からの色値を使用して単純に推定されることができる。例えば、画像の青い領域は、メラノピック効果を生み出すと仮定されてもよい。
【0154】
白色は、LPIの別の例である。色は、画像内の色と同等の色の光を放射する理想的な黒体放射体の温度である「色温度」として表現されることができる。カメラ201によって撮像される画像から色温度を算出するために、プロセッサ202は、RGB値をXYZ座標に変換する。これらは、標準化されたu、v色空間に変換され、CIE 1960 UCSに準拠した非線形マッピングが、色温度(Color Temperature)を与える。
【0155】
色調整可能な(colour-tunable)システム(すなわち、イルミナント121によって出力される光の色が制御可能である照明システム100)において、色及び色差(colour difference)に基づくLPIは、このような演算を含む。とりわけ、LPIは、色温度及び輝度の組み合わせがKruithof(クルイトフ)基準を満足するか否かを示すことができる。(非線形の)Kruithofのカーブ(Kruithof curve)は、観察者にとって快適又は心地よいと見なされることが多い照度レベル及び色温度の領域を記述する。とりわけ、低いレベルの冷たい光(cool light)又は高い強度の暖かい光(warm light)の組み合わせは、不快なものとして知覚される。
【0156】
照度及び色温度の許容可能な組み合わせを記述するKruithofのカーブ等の情報は、メモリ124に格納されることができる。これにより、コントローラ120は、現在の組み合わせが許容可能であるか否かを判断するために、色温度及び照度(これらは、別個のLPIであってもよい)を示す受けたLPIと、許容可能な組み合わせとを比較してもよい。
【0157】
コントローラ120は、現在の組み合わせが許容可能ではないと判断する場合、許容可能な値に達するように適宜色温度及び/又は照度を低くする又は高くするアクションを開始することができる。
【0158】
LPIのさらなる例は、時間生物学(chronobiology)から得られる。人間の睡眠は、主に、概日ペースメーカ(circadian pacemaker)及び恒常性睡眠欲求(homeostatic sleep drive)という2つのプロセスによって調節される。「Kronauerモデル」等、概日ペースメーカの多くの数学的モデルが知られている。光への暴露は、人間の体内時計に対する光暴露の瞬間に依存する多くの非線形方程式によって記述されることができるように人間の体内時計に影響を与える。これは、光暴露が予測可能である場合(例えば、自然光が主影響である)、時刻の関数に単純化されてもよい。光暴露は、人体時計、とりわけ、睡眠に対する重み付けされたインパクト(weighted impact)を有する。これは、典型的には、「光ドーズ反応曲線(light dose response curve)」のコンテキストで参照される。したがって、LPIの別の例は、ユーザ111の体内時計に対する照明のインパクトである。
【0159】
LPIの他の例は、薬物の有効性に対する照明のインパクトに関するメディカルLPIである。投薬の効果に関する研究において、光暴露量(amount of light exposure)が、特定の薬物の投与量の有効性に影響を与えることが知られている。したがって、プロセッサ202は、現在の照明が1つ以上の薬物の有効性に与えることが予期されるインパクトを決定し、これらをLPIとしてレポートするように構成されてもよい。さらなる例では、プロセッサ202は、現在の照明が薬物の有効性にどの程度影響するかを決定してもよい。その後、プロセッサ202は、LPIにおいて、照明によって誘発される有効性の変化を打ち消す投与量に対応する変更を示してもよい。代替的に、コントローラ120は、カメラユニット200からメディカルLPIを受けるとこのステップを実行してもよい。
【0160】
1つ以上のLPIは、コントローラ202によって、予め定められた時間間隔、例えば、1秒に1回、10秒に1回等で決定されてもよい。そうするために、カメラ201は、予め定められた時間間隔で画像をキャプチャし、コントローラ202に提供するように構成される。その後、コントローラ202は、カメラ201から受ける画像(又は画像のセット)の各々について、対応する輝度分布を決定するように構成されることができる。コントローラ220は、動的に(dynamically)決定された輝度分布から上述のLPIのいずれかを決定してもよい。
【0161】
HDR画像を構成する際に使用する複数のLDR画像を撮像するように構成される場合でも、カメラ201は、同様に、予め定められた時間間隔で画像を撮像するように構成されてもよい。このような場合、予め定められた時間間隔は、上記よりも長くてもよく、例えば、1分に1回、5分に1回等であってもよい。
【0162】
上述したように、
図3に示されるように、コントローラ120は、ユーザ111からの入力に応答してユーザプリファレンスデータを更新してもよい。入力は、明示的又は黙示的であってもよい。
【0163】
明示的なユーザ入力の一例は、ユーザ111が、1つ以上の照明条件を変更するために照明システム100内の1つ以上のデバイスを手動で制御することである。例えば、ユーザ111がイルミナント121を制御して(例えば、壁のスイッチを使用して、又は、ネットワーク123を介してコントローラ120に接続されるパーソナルコンピューティングデバイスを使用して)その明るさを増加させる場合、コントローラ120は、ユーザ111はより明るい照明を好むと判断してもよい。その後、コントローラ120は、メモリ124内のユーザプリファレンスデータを相応に更新してもよい。
【0164】
明示的な入力の他の例は、ユーザ111が、環境110内の現在の照明条件に対する満足度を明示的に示すことである。例えば、ユーザ111は、スマートフォン等のパーソナルコンピューティングデバイスを使用してネットワーク123を介してコントローラ120に自身の満足度のインディケーションを提供してもよい。
【0165】
黙示的な入力の一例は、ユーザ111が、照明設定の変更に対して否定的に反応しないことであり、例えば、コントローラ120が環境110内の明るさを増加させ、ユーザ111が手動で明るさを減少させるように介入しない場合、コントローラ120は、新しい明るさ設定はユーザ111にとって許容可能であると判断してもよい。すなわち、コントローラ120は、メモリ124内のユーザの明るさユーザプリファレンスデータを更新してもよい。
【0166】
様々な潜在的なユースケースが以下で述べられる。
【0167】
第1の例示的なユースケースは、DGP(Daylight Glare Probability)サンシェード(sunshading)コントローラである。
【0168】
自動サンシェード(automatic sun shading)は、快適性だけでなくエネルギパフォーマンスも向上させることができるため建物にますます実装されている。しかしながら、自動日よけデバイス(automatic shading device)は、「フォールスオン(FALSE ON)」及び「フォールスオフ(FALSE OFF)」によって不快感をもたらすため評判が悪い。一般的に、これらの日よけシステムは、建物の屋根に配置されるフォトセルによって制御される。第1に、フォトセルは、最も関連するロケーションに配置されていない。第2に、フォトセルは、センサに落ちる光を平均化することによって空間的情報を失う。
【0169】
グレアが、日よけを適用したい最も重要な理由である。それゆえ、実施形態は、サンシェードを制御するためにDGP測定デバイスを使用する。DGPは、本明細書で述べられるような低コストのコンポーネントを使用し、関連する部屋内で実行される、輝度分布測定に基づく。DGPは、当技術分野で知られている適切なソフトウェアを使用して抽出されることができる。グレアがある閾値を超える場合、サンシェードが作動される。
【0170】
その結果、部屋の居住者を悩ませることが予期される実際のグレアがある場合にのみ、サンシェードは作動される。それゆえ、不快感をもたらす日よけデバイスの必要のない動きが少なくなることが期待される。
【0171】
第2の例示的なユースケースは、照明品質コントローラの一部としてである。
【0172】
照明制御システムは、エネルギパフォーマンス又は単一の照明品質の態様(例えば、デスクトップ上の照度)を最適化する傾向がある。しかしながら、照明品質は、すべて関連する多くの態様を有する。単一の照明品質の態様を最適化することは、必ずしも高品質の照明を提供するわけではない。主な問題は、すべての態様が簡単に測定されるわけではなく、異なる測定デバイスを必要とすることが多いことである。
【0173】
本明細書では、輝度分布測定デバイスが、複数の関連する照明品質の態様に関する情報を同時に抽出することができることが認識されている。それゆえ、高品質な照明を提供する制御システムのための優れたセンサとなる。センサが部屋に配置される場合、天井が最も可能性が高く、高品質な照明を提供するように照明を最適化することができる閉ループ制御システムが開発されることができる。
【0174】
照度又はエネルギパフォーマンスのみを最適化することに代わり、光は、光の量(Quantity)、グレア(Glare)、分布(Distribution)、方向性(Directionality)、及びダイナミクス(Dynamics)の組み合わせてについて最適化されることができる。これは、制御システムが、逆効果になることなく、より正確に照明条件を設定することを可能にする。
【0175】
第3の例示的なユースケースは、デスクトップ照度センサである。
【0176】
光センサは、小さなエリアの輝度を測定することにより、デスクトップ上の、照明を制御するための、照度を近似する。輝度測定は、デスクトップの反射を用いる照度と関連する。しかしながら、測定エリアが非常に小さいため、このエリアがデスクトップ全体を表すことは保証されない。このエリアは、例えば、デスクトップとは全く異なる反射を有する紙によって覆われている可能性があり、その場合、照度近似値に大きな誤差を引き起こす。その結果、制御システムが誤った入力に基づいて誤った選択をするため、デスクトップ上の実際の照度の変化につながり得る。
【0177】
実施形態は、輝度分布測定デバイスを用いてこの問題に対処する。これは、開き角度(opening angle)が大幅に増加され、それゆえ、デスクトップ全体の輝度が測定されることができることを意味する。追加的に、輝度分布は画像を利用するため、デスクトップの障害物が、画像処理によって認識されることができる。遮蔽されるエリアを無視することにより、照度は、関連するエリアについてのみ測定される。
【0178】
この方法論に基づいて、照度は、必ずしも関連しない小さなエリアに代わり、障害物のない、関連するエリア全体について測定される。したがって、照明は、制御システムによってより正確に提供されることができる。
【0179】
第4の例示的なユースケースは、壁輝度制御である。
【0180】
視野内の非水平面(例えば、壁)の輝度及び均一性が、オフィス空間の視覚的及び心理的評価に影響を与えることが文献で示されている。さらに、デスクトップ上の好ましい光レベルは、不均一な壁輝度について低くなる。それゆえ、壁輝度を照明制御システムの対象として含めることは、快適性及びエネルギパフォーマンスを向上させる。しかしながら、壁は大きな表面を有し、それゆえ、現在の方式を用いては容易に測定されない。その結果、制御システムに含められることができない。
【0181】
本明細書で開示される実施形態では、壁の輝度分布が、カメラユニット200を用いて連続的に測定されることができる。カメラユニット200が相応に、最も可能性が高いのは垂直の向きに配置される場合、壁輝度が、デスクトップ輝度(照度)と同時に測定されることができる。これは、デスクトップ上のより低い照度が可能とされるように壁輝度を変更することによってエネルギが制限されることができるように、制御システム(閉ループ)に関連する連続データを提供する。
【0182】
カメラユニット200を用いて、関連するすべてのコンテンツが一度に測定される。測定に基づき、照明される環境は、壁輝度によって、デスクトップ照度が、エネルギが節約されることができるように下げられることを可能にするように設定される。
【0183】
第5の例示的なユースケースは、画面視認性(screen visibility)に関する。
【0184】
手術は、医師によって制御されるロボットで行われることがより多くなっている。医師は、ライブカメラ又はX線情報に基づいてロボットを制御する。医師がこの情報を可能な限り良く見ることができることが非常に重要である。示される映像が、視認性を向上させるためにエンハンスされることは可能であるが、医師が画像を見るのに最適な条件が提供されるように照明される環境を向上させることがより効果的であり得る。
【0185】
ある画面上の画像の視認性を高めるためには、輝度コントラストが最適化されるべきである。追加的に、反射グレア(veiling reflection)が防止されるべきである。いずれも、カメラユニット200で測定されることができる態様である。カメラユニット200の測定データ及び画像/映像を入力とした閉ループ制御システムを開発することにより、画面の視認性が高められるように条件が最適化されることができる。
【0186】
画像の向上は限界に達しており、多額の投資をしても、わずかな視認性の増加しか達成されることができない。カメラユニット200を含む閉ループシステムを開発することは、より効果的であり得る。さらに、カメラユニット200は、手術室内の異なるタスクに対して照明を最適化するためにも使用されることができる。
【0187】
第6の例示的なユースケースは、占有ベースの調光である。
【0188】
占有に基づいて照明器具を調光することはエネルギ効率が高い。しかしながら、オープンオフィスにおいて、占有ベースの調光は、人が去る又は着く場合に自動的に照明器具を切り替える又は調光することにより不快感にさせ得る。
【0189】
本明細書では、作業エリアの十分な照明を維持しながら背景ゾーンを調光することにより高い快適性を維持しながらエネルギが節約されることができることが認識されている。カメラユニット200を用いて、異なるエリアの輝度が、同時に測定されることができる。ゆえに、占有者が去る場合、光が、利用可能な背景、周囲及びタスクエリアに関する推奨を用いて部分的に調光されることができる。
【0190】
有利な点は、各々占有者が自身のエリアを有する、関連するすべてのエリアが測定されることができるが、依然1つの測定デバイスだけで測定されることができることである。さらに、占有感知は、カメラユニット200の測定に含められることができる。
【0191】
第7の例示的なユースケースは、非イメージ形成(NIF:Non-Image-Forming)効果のための指向性照明に見出される。
【0192】
本明細書では、ある角度から来る光が、人間に対してより刺激的効果(stimulating effect)を有することが認識されている。日中のある瞬間に刺激(stimulation)は必要とされ、別の瞬間には必要とされず、昼光も時間依存性があるように、刺激は非常に時間依存性がある。それゆえ、所要の刺激を達成するように照明及び遮光/反射デバイスを最適化することは複雑な問題である。
【0193】
カメラユニット200を用いて、非イメージ形成(NIF)効果は近似されることができる。輝度ピクチャと同様に、放射輝度マップ(radiance map)が、空間全体について決定されることができる。これに基づいて、カメラユニット200は、(魚眼レンズを使用した)イメージセンサの(刺激を与える)上半分が下半分に対してある比率を有するように光を最適化する閉ループ制御システムに実装されることができる。
【0194】
また、該デバイスを用いて、輝度分布がα-opicsと同時に測定されることができ、視覚的な快適さに悪影響を与えずに刺激効果が最適化されることができる。
【0195】
第8の例示的なユースケースは、非イメージ形成(NIF:Non-Image-Forming)対イメージ形成(IF:Image-Forming)の最適化である。
【0196】
非イメージ及びイメージ形成要件は、一日の中で変化する。しかしながら、ある時間に対するNIF要件とIF要件との関係を捉える比率が開発されることができる。この比率に基づいて、高品質の照明を維持しながら、照明が刺激的でありながら間違った瞬間ではないように、照明が最適化されることができる。
【0197】
実施形態では、カメラユニット200を用いて、非イメージ形成(NIF)効果が近似されることができる。輝度ピクチャと同様に、放射輝度マップが、空間全体について決定されることができる。これに基づいて、カメラユニット200は、NIF IF比率に従って光を最適化する閉ループ制御システムに実装されることができる。
【0198】
また、該デバイスを用いて、輝度分布がα-opicsと同時に測定されることができ、視覚的な快適さに悪影響を与えずに刺激効果が最適化されることができる。
【0199】
第9の例示的なユースケースは、両面照明品質最適化(two-sided lighting quality optimization)である。
【0200】
照明品質について、一般的には、視覚的態様のみが考慮される。しかしながら、非視覚的態様に対しても高品質の照明を区別することができる。問題は、視覚的に高品質な照明が、必ずしも非視覚的な品質を提供するとは限らないことである。それゆえ、両方を最適化することは困難である。
【0201】
特に、非視覚的態様は、非常に時間依存性があり、これは、非視覚的な照明品質は、日中のすべての瞬間に(for every moment)、関連しない、又はそれほど関連しないことを意味する。視覚的な照明は、それほど時間依存性がない。本明細書で開示される実施形態によれば、時間に基づいて、どちらのタイプの照明品質が最も関連性が高いか決定されることができ、その後、このタイプが最適化される。両方のタイプの照明品質は、カメラユニット200を使用して決定されることができる。
【0202】
カメラユニット200を用いて、両方の品質が同時に測定されることができる、ゆえに、部屋又は部屋のあるエリアを測定するために1つのデバイスしか必要とされない。さらに、デバイスは部屋の中に配置されるため、精度を向上させるために、閉ループセットアップが開発されることができる。この技術を使用して、照明は、これまで実現可能ではなかった多くの態様について制御されることができる。
【0203】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。