(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】カプセルトイ用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/30 20060101AFI20250107BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20250107BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B65D1/30 BSE
B65D1/30 BSF
B65D1/30 BRQ
B65D1/00 110
B65D43/16 300
(21)【出願番号】P 2021565417
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2020043926
(87)【国際公開番号】W WO2021124823
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019229216
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020149140
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595030295
【氏名又は名称】株式会社タカラトミーアーツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 剛太郎
(72)【発明者】
【氏名】福本 始用
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-095229(JP,A)
【文献】米国特許第02675160(US,A)
【文献】特開2016-216077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0057381(US,A1)
【文献】実開昭54-018331(JP,U)
【文献】特開2013-227064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265019(US,A1)
【文献】特表2008-531400(JP,A)
【文献】米国特許第04098453(US,A)
【文献】米国特許第04096986(US,A)
【文献】特開2014-144612(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180072(JP,U)
【文献】特開平06-134898(JP,A)
【文献】実開昭62-031011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00-1/48
B65D 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具を収容する
カプセルトイ用容器であって、
パルプを含む紙製であり、
略半球状の一対の収容部
と、前記一対の収容部を連結する連結部と、を有し、
前記一対の収容部の少なくとも一方は、当該収容部の他の部分に対して外側への凸状に形成された補強部を有
し、
前記補強部は、前記収容部の外面に沿った曲面を有する、
ことを特徴とする
カプセルトイ用容器。
【請求項2】
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結する
、
ことを特徴とする
請求項1に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項3】
前記一対の収容部の一方は、開口縁部のうち前記連結部が連結された位置とは
当該開口縁部の中心を介して反対側の位置に、係止突起を有し、
前記一対の収容部の他方は、開口縁部のうち前記連結部が連結された位置とは
当該開口縁部の中心を介して反対側の位置に、前記係止突起が係止される係止孔を有する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項4】
前記係止突起は、先端部が前記係止孔の幅よりも広い幅に形成されている、
ことを特徴とする
請求項3に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項5】
前記係止突起は、前記一対の収容部の互いの開口縁部を合わせた状態で、屈曲させて前記係止孔に挿入されるように構成されている、
ことを特徴とする
請求項3又は4に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項6】
前記係止突起は、前記係止孔に挿入された状態で、前記一対の収容部をリビングヒンジ状に連結する、
ことを特徴とする
請求項5に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項7】
略半球状の一対の収容部を有し、
前記一対の収容部の一方は、屈曲可能な第1突起部を開口縁部に有し、
前記一対の収容部の他方は、前記第1突起部を係止可能な第1係止部を開口縁部に有する、
ことを特徴とする請求項
1~6のいずれか一項に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項8】
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結
し、
前記第1突起部及び前記第1係止部の各々は、前記一対の収容部それぞれの開口縁部のうち、前記連結部の位置と
、当該開口縁部の中心を介して前記連結部
とは反対側の位置とを除く位置に、複数配置されている、
ことを特徴とする
請求項7に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項9】
前記一対の収容部の少なくとも一方は、指を係止可能な指掛け部を開口縁部周辺に有する、
ことを特徴とする
請求項7又は8に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項10】
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結
し、
前記指掛け部は、前記一対の収容部の少なくとも一方の開口縁部のうち、
当該開口縁部の中心を介して前記連結部
とは反対側の位置の周辺に配置されている、
ことを特徴とする
請求項9に記載の
カプセルトイ用容器。
【請求項11】
前記補強部は、前記収容部の外側の表面が、円柱面又は平面を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトイ用容器。
【請求項12】
前記一対の収容部に収容された玩具を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトイ用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具を収容するカプセルトイ用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプセルトイなどに用いられるカプセル状の玩具用容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の玩具用容器は、一部が紙製のものもあるが(例えば、特許文献2参照)、PP(ポリプロピレン)などのプラスチック(合成樹脂)製のものが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-150055号公報
【文献】実用新案登録第3128732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自然分解しないプラスチックは環境負荷が高い。特許文献2に記載のカプセルでは、紙製の部分が一部のみに限定されており、他の部分はやはりプラスチック製である。
そこで、本発明は、地球環境に優しいカプセルトイ用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、玩具を収容するカプセルトイ用容器(玩具用容器)であって、
パルプを含む紙製であり、
略半球状の一対の収容部と、前記一対の収容部を連結する連結部と、を有し、
前記一対の収容部の少なくとも一方は、当該収容部の他の部分に対して外側への凸状に形成された補強部を有し、
前記補強部は、前記収容部の外面に沿った曲面を有することを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段において、
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結することを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第2の手段において、
前記一対の収容部の一方は、開口縁部のうち前記連結部が連結された位置とは当該開口縁部の中心を介して反対側の位置に、係止突起を有し、
前記一対の収容部の他方は、開口縁部のうち前記連結部が連結された位置とは当該開口縁部の中心を介して反対側の位置に、前記係止突起が係止される係止孔を有することを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第3の手段において、
前記係止突起は、先端部が前記係止孔の幅よりも広い幅に形成されていることを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第3又は第4の手段において、
前記係止突起は、前記一対の収容部の互いの開口縁部を合わせた状態で、屈曲させて前記係止孔に挿入されるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
第6の手段は、第5の手段において、
前記係止突起は、前記係止孔に挿入された状態で、前記一対の収容部をリビングヒンジ状に連結することを特徴とする。
【0013】
第7の手段は、第1~第6のいずれか一の手段において、
略半球状の一対の収容部を有し、
前記一対の収容部の一方は、屈曲可能な第1突起部を開口縁部に有し、
前記一対の収容部の他方は、前記第1突起部を係止可能な第1係止部を開口縁部に有することを特徴とする。
【0014】
第8の手段は、第7の手段において、
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結し、
前記第1突起部及び前記第1係止部の各々は、前記一対の収容部それぞれの開口縁部のうち、前記連結部の位置と、当該開口縁部の中心を介して前記連結部とは反対側の位置とを除く位置に、複数配置されていることを特徴とする。
【0015】
第9の手段は、第7又は第8の手段において、
前記一対の収容部の少なくとも一方は、指を係止可能な指掛け部を開口縁部周辺に有することを特徴とする。
【0016】
第10の手段は、第9の手段において、
前記連結部は、前記一対の収容部の開口縁部をリビングヒンジ状に連結し、
前記指掛け部は、前記一対の収容部の少なくとも一方の開口縁部のうち、当該開口縁部の中心を介して前記連結部とは反対側の位置の周辺に配置されていることを特徴とする。
第11の手段は、第1の手段において、
前記補強部は、前記収容部の外側の表面が、円柱面又は平面を含むことを特徴とする。
第12の手段は、第1の手段において、
前記一対の収容部に収容された玩具を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の手段によれば、玩具用容器が所定量のパルプを含む紙製であるので、自然分解しないプラスチック製であった従来に比べ、玩具用容器を地球環境に優しいものとすることができる。
【0018】
また、第1の手段によれば、略半球状の一対の収容部の少なくとも一方が、当該収容部の他の部分に対して凸状に形成された補強部を有するので、この補強部により、変形に対する収容部の強度を向上できる。
【0019】
第11の手段によれば、補強部は収容部の外側の表面が円柱面又は平面を含んでいる。そのため、この補強部の表面にラベルを貼ったり直接印字したりして、当該表面を情報表示面として利用できる。
【0020】
第7の手段によれば、一対の収容部の開口縁部を合わせた状態で第1突起部を屈曲させて第1係止部に係止させることで、開口縁部の合わせ面に隙間ができるのを抑制して一対の収容部を固定できる。したがって、紙製の一対の収容部を好適に固定することができる。
【0021】
第8の手段によれば、第1突起部及び第1係止部の各々が、一対の収容部それぞれの開口縁部のうち、一対の収容部を連結する連結部の位置と、当該開口縁部の中心を介して連結部とは反対側の位置とを除く位置に複数配置されている。これにより、開口縁部の合わせ面に隙間ができるのをより確実に抑制し、一対の収容部をより好適に固定できる。
【0022】
第9の手段によれば、一対の収容部の少なくとも一方が指を係止可能な指掛け部を開口縁部周辺に有するので、玩具収容状態の玩具用容器において当該指掛け部に指を掛けて一対の収容部を引き離すことで、玩具用容器を容易に開放できる。
【0023】
第10の手段によれば、指掛け部が収容部の開口縁部のうち当該開口縁部の中心を介して連結部とは反対側の位置の周辺に配置されているので、連結部を支点として一対の収容部が開く方向に力を加えやすく、玩具用容器をより容易に開放できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態における玩具用容器の斜視図である。
【
図2A】第1実施形態における玩具用容器の平面図である。
【
図2B】第1実施形態における玩具用容器の側面図である。
【
図3B】
図2Aの矢印Dの方向から見た玩具用容器の側面図である。
【
図4A】第1実施形態における玩具収容状態の玩具用容器の斜視図である。
【
図4C】第1実施形態における玩具収容状態での開口縁部の部分断面図である。
【
図5】第2実施形態における玩具用容器の斜視図である。
【
図6A】第2実施形態における玩具用容器の平面図である。
【
図6B】第2実施形態における玩具用容器の側面図である。
【
図7B】
図6Aの矢印Gの方向から見た玩具用容器の側面図である。
【
図8A】第2実施形態における玩具収容状態の玩具用容器の斜視図である。
【
図9】
図8Aの矢印Jの方向から見た玩具用容器の側面図である。
【
図10】
図8Aの矢印Kの方向から見た玩具用容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1.第1実施形態]
以下、本発明に係る玩具用容器の第1実施形態について説明する。
【0026】
<1-1.玩具用容器の構成>
図1は、第1実施形態に係る玩具用容器1の斜視図であり、
図2A、
図2Bは、玩具用容器1の平面図及び側面図である。
図3Aは、
図2AのC-C線での玩具用容器1の断面図であり、
図3Bは、
図2Aの矢印Dの方向から見た玩具用容器1の側面図である。なお、
図1~
図3では、成形状態(成形後のままの状態)の玩具用容器1を示している。
【0027】
図1~
図3に示すように、第1実施形態に係る玩具用容器1は、カプセル状に形成され、その内部に商品(玩具;図示省略)を取出し可能に収容する。この玩具用容器1は、商品が収容された状態で、例えば商品排出装置(図示せず)の内部に複数収納される。商品排出装置は、コイン投入口から硬貨が投入されてハンドルが回動操作されると、内部に収納された複数の玩具用容器1のうちの一つを取出口に排出する。
【0028】
玩具用容器1は紙製であり、後述の製造工程により、全体が紙で一体成形されている。材料の紙は、所定量(例えば50wt%以上)のパルプ(植物繊維)を含有するものであればよい。ただし、主にリサイクル性の観点から、接着剤の含有量が一定量以下であることが好ましい。
【0029】
具体的に、玩具用容器1は、一対の収容部2(第1収容部2A及び第2収容部2B)と、当該一対の収容部2を連結する連結部3とを備えている。
一対の収容部2の各々は、同じ大きさの略半球状に形成され、内部に略半球状の収容空間を有している。
連結部3は、一対の収容部2の開口縁部をリビングヒンジ状に連結している。より詳しくは、成形状態の玩具用容器1では、一対の収容部2が互いの開口部を同じ方向に向けて並んだ状態で、一対の収容部2の開口縁部から鍔状に延出した連結部3が、当該一対の収容部2を連結している。
【0030】
また、一対の収容部2の各々は、その外側へ突出する補強部21を有している。本実施形態の補強部21は、当該収容部2と同程度の半径を有する所定幅の柱面状に形成され、連結部3と繋がった開口縁部の一端から頂部を経て開口縁部の他端に至るように延在している。
補強部21の幅方向の両端は、収容部2の他の球状部分に対し、段付き状に外側へ突出している。そのため、変形に対する収容部2の強度が向上する。また、補強部21が柱面状であるため、その外側の表面にラベルを貼ったり直接印字したりして、当該表面を、例えば収容した玩具の情報等を示す情報表示面とすることができる。ラベルを貼る場合には、紙製のラベル(紙テープ等)を用いるのが好ましい。
なお、補強部21は、収容部2の他の部分に対して凹状又は凸状に形成されていれば、その具体形状は特に限定されない。例えば、収容部2の頂部から放射状に複数延在していたりしてもよい。ただし、補強部21の外側の表面を情報表示面とするには、当該表面が可展面(伸縮することなしに平面に展開することができる面)を含むことが好ましく、柱面又は平面を含むことがより好ましい。さらに、補強部21は、一対の収容部2のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
その他の補強部21の例としては、例えば、一端が収容部2の縁に接しているものや、矩形状などの表面を有する小型のものを複数設けたもの、ハニカム構造を有するもの、凹凸を紙の厚みの変化で形成したものなどが挙げられる。
【0031】
また、一対の収容部2の各々は、複数の貫通孔22を有している。本実施形態では、各収容部2のうち、補強部21を挟んだ両側の球状部分に、貫通孔22が2つずつ形成されている。ただし、複数の貫通孔22の大きさや位置、数量は、特に限定されない。
これら複数の貫通孔22により、玩具用容器1が誤嚥された場合にも気道が確保される。
【0032】
一対の収容部2のうち、第1収容部2Aは、係止突起23を有している。係止突起23は、第1収容部2Aの開口縁部のうち、連結部3が連結された位置とは反対側の位置に設けられている。係止突起23は、平面視で略円形状の第1収容部2Aの開口縁部に対し、その半径方向外側へ鍔状に延出している。係止突起23は、先端部が後述の係止孔24の幅よりも広い幅に形成されている、具体的に、係止突起23は、先端に向かって所定の幅で延出するとともに、その先端側には、段付き状に幅広になった後に先端に向かうに連れて次第に幅が狭まるフック部23aを幅方向の両側に有している。
【0033】
一方、第2収容部2Bは、第1収容部2Aの係止突起23が係止される係止孔24を有している。係止孔24は、第2収容部2Bの開口縁部のうち、連結部3が連結された位置とは反対側の位置に設けられており、本実施形態では補強部21上に設けられている。この係止孔24は、係止突起23の先端及び基端側の幅よりも広く、フック部23aの最大幅よりも狭い幅に形成されている。
【0034】
また、一対の収容部2の各々は、略円形状の開口縁部から外側に張り出す鍔部25を、開口縁部の略全周に亘って有している。
さらに、一対の収容部2のうち、第2収容部2Bの鍔部25には、その外周縁から開口縁部の開口方向に立設された立壁25aが設けられている。この立壁25aは、鍔部25のうち、平面視で補強部21を挟んだ両側の略全範囲に亘って設けられている。
【0035】
<1-2.玩具収容状態>
図4Aは玩具収容状態の玩具用容器1の斜視図であり、
図4Bは
図4AのE-E線での玩具用容器1の断面図であり、
図4Cは玩具収容状態における開口縁部の部分断面図である。
玩具用容器1は、成形状態から一対の収容部2の開口を互いに閉塞させることにより、玩具収容状態とされる。具体的には、
図4A、
図4Bに示すように、成形状態から、連結部3を屈曲させつつ、一対の収容部2の互いの開口縁部(鍔部25)を合わせるようにして、当該一対の収容部2の開口を閉塞させる。こうして、玩具用容器1は、略球状の玩具収容状態とされる。このときには、一対の収容部2の内部の収容空間に商品(玩具)を収容しておく。
【0036】
そして、第1収容部2Aの係止突起23を、第2収容部2Bの鍔部25を挟むようにして第2収容部2B側に屈曲させ、第2収容部2Bの係止孔24内に挿し込む。このとき、係止突起23は、フック部23aが係止孔24に挿通されて収容空間内に入るまで挿し込まれる。これにより、係止突起23のフック部23aが係止孔24に係止され、一対の収容部2が開口を閉塞させた玩具収容状態が保持される。係止突起23は、係止孔24に挿入された状態では、一対の収容部2をリビングヒンジ状に連結している。
また、この玩具収容状態では、
図4Cに示すように、一対の収容部2の互いの開口縁部(鍔部25)間の隙間Sが、第2収容部2Bの鍔部25に設けられた立壁25aによって覆われている。これにより、隙間Sから内部(の商品)が視認されたりゴミが混入したりすることなどを防止できる。
【0037】
ユーザが玩具収容状態の玩具用容器1から商品(玩具)を取り出すときには、例えば係止突起23(又は連結部3)を手で破って(千切って)玩具用容器1を開放させればよい。係止突起23(連結部3)は紙製なので簡単に破ることができる。係止突起23(又は連結部3)は破りやすいようにその側部に切込みを設けておいてもよい。
【0038】
<1-3.玩具用容器の製造方法>
続いて、玩具用容器1の製造方法(製造工程)について簡単に説明する。
まず、原料のパルプを水と混ぜて液状の成形材料にする。
次に、液状の成形材料を玩具用容器1の雄型(成形型)で掬い、雌型(成形型)で挟む。このとき、成形型の表面にある穴から水分を吸い出す。この工程で玩具用容器1の凡その形状が成形される。
次に、成形材料を成形型で挟んだままの状態で、熱をかけて水分を蒸発させながら圧縮する。
そして、乾燥した成形材料を雄型に嵌めた状態で、抜き刃で周りの余分な部分をカットする。
こうして、
図1に示す成形状態の玩具用容器1が完成する。
【0039】
<1-4.第1実施形態の技術的効果>
以上のように、第1実施形態によれば、玩具用容器1が所定量のパルプを含む紙製であるので、自然分解しないプラスチック製であった従来に比べ、玩具用容器1を地球環境に優しいものとすることができる。また、プラスチック製であった従来に比べて、印刷や着色を容易に行える。
【0040】
また、第1実施形態によれば、略半球状の一対の収容部2の少なくとも一方が、当該収容部2の他の部分に対して凹状又は凸状に形成された補強部21を有するので、この補強部21により、変形に対する収容部2の強度を向上できる。
【0041】
また、第1実施形態によれば、補強部21は収容部2の外側の表面が平面又は柱面を含んでいる。そのため、この補強部21の表面にラベルを貼ったり直接印字したりして、当該表面を情報表示面として利用できる。
【0042】
[2.第2実施形態]
続いて、本発明に係る玩具用容器の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付している。
【0043】
<2-1.玩具用容器の構成>
図5は、第2実施形態に係る玩具用容器4の斜視図であり、
図6A、
図6Bは、玩具用容器4の平面図及び側面図である。
図7Aは、
図6AのF-F線での玩具用容器4の断面図であり、
図7Bは、
図6Aの矢印Gの方向から見た玩具用容器4の側面図である。なお、
図5~
図7では、成形状態(成形後のままの状態)の玩具用容器4を示している。
【0044】
図5~
図7に示すように、第2実施形態に係る玩具用容器4は、上記第1実施形態に係る玩具用容器1と同様に、カプセル状に形成され、その内部に商品(玩具;図示省略)を取出し可能に収容する。この玩具用容器4は、商品が収容された状態で、例えば商品排出装置(図示せず)の内部に複数収納される。商品排出装置は、コイン投入口から硬貨が投入されてハンドルが回動操作されると、内部に収納された複数の玩具用容器4のうちの一つを取出口に排出する。
【0045】
玩具用容器4は紙製であり、後述の製造工程により、全体が紙で一体成形されている。材料の紙は、所定量(例えば50wt%以上)のパルプ(植物繊維)を含有するものであればよい。ただし、主にリサイクル性の観点から、接着剤の含有量が一定量以下であることが好ましい。
【0046】
具体的に、玩具用容器4は、一対の収容部5(第1収容部5A及び第2収容部5B)と、当該一対の収容部5を連結する連結部3とを備えている。
一対の収容部5の各々は、上記第1実施形態の収容部2と同様に、同じ大きさの略半球状に形成され、内部に略半球状の収容空間を有している。
連結部3は、一対の収容部5の開口縁部をリビングヒンジ状に連結している。より詳しくは、成形状態の玩具用容器4では、一対の収容部5が互いの開口部を同じ方向に向けて並んだ状態で、一対の収容部5の開口縁部から鍔状に延出した連結部3が、当該一対の収容部5を連結している。
【0047】
また、一対の収容部5の各々は、その外側へ突出する補強部21を有している。本実施形態の補強部21は、上記第1実施形態のものと同様に構成されている。すなわち、補強部21は、当該収容部5と同程度の半径を有する所定幅の柱面状に形成され、連結部3と繋がった開口縁部の一端から頂部を経て開口縁部の他端に至るように延在している。
補強部21の幅方向の両端は、収容部5の他の球状部分に対し、段付き状に外側へ突出している。そのため、変形に対する収容部5の強度が向上する。また、補強部21が柱面状であるため、その外側の表面にラベルを貼ったり直接印字したりして、当該表面を、例えば収容した玩具の情報等を示す情報表示面とすることができる。ラベルを貼る場合には、紙製のラベル(紙テープ等)を用いるのが好ましい。
なお、補強部21は、収容部5の他の部分に対して凹状又は凸状に形成されていれば、その具体形状は特に限定されない。例えば、収容部5の頂部から放射状に複数延在していたりしてもよい。ただし、補強部21の外側の表面を情報表示面とするには、当該表面が可展面(伸縮することなしに平面に展開することができる面)を含むことが好ましく、柱面又は平面を含むことがより好ましい。さらに、補強部21は、一対の収容部5のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
その他の補強部21の例としては、例えば、一端が収容部5の縁に接しているものや、矩形状などの表面を有する小型のものを複数設けたもの、ハニカム構造を有するもの、凹凸を紙の厚みの変化で形成したものなどが挙げられる。
【0048】
また、一対の収容部5の各々は、複数の貫通孔22を有している。本実施形態では、各収容部5のうち、補強部21を挟んだ両側の球状部分に、貫通孔22が2つずつ形成されている。ただし、複数の貫通孔22の大きさや位置、数量は、特に限定されない。これら複数の貫通孔22により、玩具用容器4が誤嚥された場合にも気道が確保される。
また、一対の収容部5の各々は、略円形状の開口縁部から外側に張り出す鍔部25を、開口縁部の略全周に亘って有している。なお、鍔部25に上記第1実施形態の立壁25aを設けてもよい。
【0049】
一対の収容部5のうち、第1収容部5Aは、係止突起23を有している。係止突起23は、上記第1実施形態のものと同様に構成されている。すなわち、係止突起23は、第1収容部5Aの開口縁部のうち、連結部3が連結された位置とは反対側の位置(連結部3の対向位置)に設けられている。係止突起23は、平面視で略円形状の第1収容部5Aの開口縁部に対し、その半径方向外側へ鍔状に延出している。係止突起23は、先端部が後述の係止孔24の幅よりも広い幅に形成されている、具体的に、係止突起23は、先端に向かって所定の幅で延出するとともに、その先端側には、段付き状に幅広になった後に先端に向かうに連れて次第に幅が狭まるフック部23aを幅方向の両側に有している。
【0050】
また、第1収容部5Aは、後述する第2収容部5Bのロック部27を係止可能な係止凹部26を有している。係止凹部26は、本発明に係る第1係止部の一例である。係止凹部26は、第1収容部5Aの開口縁部のうち、連結部3の位置と連結部3の対向位置(係止突起23の位置)とを含めて平面視で当該開口縁部を4等分するように、互いに対向する側方の2箇所に配置されている。各係止凹部26は、開口縁部の鍔部25を所定幅で切り欠いた形状に形成されている。各係止凹部26の開口幅は一様ではなく、開口縁部の半径方向外側(鍔部25の先端側)に向かって狭窄するように形成されている。
なお、係止凹部26の位置や数量は特に限定されないが、第1収容部5Aの開口縁部のうち連結部3の位置と連結部3の対向位置とを除く位置に、複数設けられるのが好ましい。
【0051】
一方、第2収容部5Bは、第1収容部5Aの係止突起23を係止可能な係止孔24を有している。係止孔24は、上記第1実施形態のものと同様に構成されている。すなわち、係止孔24は、第2収容部5Bの開口縁部のうち、連結部3が連結された位置とは反対側の位置(連結部3の対向位置)に設けられており、本実施形態では補強部21上に設けられている。この係止孔24は、係止突起23の先端及び基端側の幅よりも広く、フック部23aの最大幅よりも狭い幅に形成されている。
【0052】
また、第2収容部5Bは、ロック部27を有している。ロック部27は、本発明に係る第1突起部の一例である。ロック部27は、第1収容部5Aの係止凹部26に対応した位置に設けられている。具体的に、ロック部27は、第2収容部5Bの開口縁部のうち、連結部3の位置と連結部3の対向位置(係止孔24の位置)とを含めて平面視で当該開口縁部を4等分するように、互いに対向する側方の2箇所に配置されている。各ロック部27は、鍔部25よりも開口縁部の半径方向外側へ鍔状に延出しており、その両側の鍔部25が切り欠かれている。各ロック部27は、基端部の幅がその先端側よりも狭く形成されている。そして、この基端部の幅が第1収容部5Aの係止凹部26の最大幅と同程度又は僅かに狭く形成され、基端部よりも先端側の幅が第1収容部5Aの係止凹部26の最大幅よりも少し広く形成されている。これにより、各係止凹部26は、基端部で屈曲可能となっており、後述するように、玩具収容状態で第1収容部5Aの係止凹部26に係止される。
なお、ロック部27の位置や数量は特に限定されないが、第2収容部5Bの開口縁部のうち連結部3の位置と連結部3の対向位置とを除く位置に、複数設けられるのが好ましい。ただし、第1収容部5Aの係止凹部26と対応した位置に配置されるのは勿論である。例えば、連結部3の対向位置に係止孔24(係止突起23)を設けずに、第2収容部5B(第1収容部5A)の開口縁部を平面視で3等分するように、ロック部27(係止凹部26)を当該開口縁部の3箇所に配置してもよい。
【0053】
また、一対の収容部5の各々は、指を係止可能な指掛け部28を有している。指掛け部28は、各収容部5の開口縁部のうち、連結部3の対向位置(すなわち、係止突起23又は係止孔24の位置)の周辺に配置されており、本実施形態では補強部21上に設けられている。各指掛け部28は、指を挿通可能な大きさであって、補強部21よりも少し幅の狭い横長の孔状(穴状)に形成されている。各指掛け部28の孔形状は、開口縁部側が中央部ほど大きな穴になるように緩やかに湾曲し、その反対側が直線状に形成された、略部分円弧状に形成されている。
なお、指掛け部28は、一対の収容部5の両方に設けられていなくともよく、一対の収容部5の少なくとも一方に設けられていればよい。指掛け部28の位置は、開口縁部周辺であれば特に限定されないが、連結部3の対向位置の周辺であるのが好ましい。指掛け部28の形状は、指を係止可能であれば孔状に限定されず、例えば凹凸状(複数の小さな凹凸部を有するもの等を含む)であってもよい。また、その正面視形状等も本実施形態のものに限定されない。
【0054】
<2-2.玩具収容状態>
図8Aは玩具収容状態の玩具用容器4の斜視図であり、
図8Bは
図8AのH-H線での玩具用容器4の断面図である。また、
図9及び
図10は、
図8Aの矢印J及び矢印Kの方向から見た玩具用容器4の側面図である。
玩具用容器4は、上記第1実施形態の玩具用容器1と同様に、成形状態から一対の収容部5の開口を互いに閉塞させることにより、玩具収容状態とされる。具体的には、
図8~
図10に示すように、成形状態から、連結部3を屈曲させつつ、一対の収容部5の互いの開口縁部(鍔部25)を合わせるようにして、当該一対の収容部5の開口を閉塞させる。こうして、玩具用容器4は、略球状の玩具収容状態とされる。このときには、一対の収容部5の内部の収容空間に商品(玩具)を収容しておく。
【0055】
そして、第1収容部5Aの係止突起23を、第2収容部5Bの鍔部25を挟むようにして第2収容部5B側に屈曲させ、第2収容部5Bの係止孔24内に挿し込む。このとき、係止突起23は、フック部23aが係止孔24に挿通されて収容空間内に入るまで挿し込まれる。これにより、係止突起23のフック部23aが係止孔24に係止され、一対の収容部5が開口を閉塞させた玩具収容状態が保持される。係止突起23は、係止孔24に挿入された状態では、一対の収容部5をリビングヒンジ状に連結している。
【0056】
さらに、第2収容部5Bの2つのロック部27を、基端部で第1収容部5A側に屈曲させ、第1収容部5Aの2つの係止凹部26内に半径方向外側から挿し込むと、各ロック部27が係止凹部26に係止される。すなわち、各ロック部27は、挿し込まれた係止凹部26の先端側部分に半径方向に係止され、係止凹部26から半径方向に脱落して伸長状態に戻ることが防がれる。また、各ロック部27は、挿し込まれた係止凹部26により、一対の収容部5が開く方向(
図10の上下方向)にも係止され、係止凹部26から当該方向に脱落することが防がれる。これにより、一対の収容部5が開口を閉塞させた玩具収容状態がより強固に保持される。
【0057】
ユーザが玩具収容状態の玩具用容器4から商品(玩具)を取り出すときには、まず、一対の収容部5の2つの指掛け部28に両手の指(例えば人差し指と中指の2本ずつ)を差し込む。そして、連結部3の対向位置から開くように一対の収容部5を両手で引き離して玩具用容器4を開放させればよい。玩具収容状態を保持する係止突起23(又は連結部3)やロック部27は紙製なので、指掛け部28に指を掛けて力を込めて一対の収容部5を開くことで、比較的に簡単に破ることができる。
あるいは、係止突起23(又は連結部3)やロック部27を個別に手で破って(千切って)玩具用容器4を開放させてもよい。係止突起23(又は連結部3)やロック部27には、破りやすくなるようにその側部に切込みを設けておいてもよい。
【0058】
<2-3.玩具用容器の製造方法>
玩具用容器4は、上記第1実施形態の玩具用容器1と同様の製造方法(製造工程)により製造される。
【0059】
<2-4.第2実施形態の技術的効果>
以上のように、第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態によれば、第2収容部5Bが屈曲可能なロック部27を開口縁部に有し、第1収容部5Aがロック部27を係止可能な係止凹部26を開口縁部に有する。
これにより、一対の収容部5の開口縁部を合わせた状態でロック部27を屈曲させて係止凹部26に係止させることで、開口縁部の合わせ面に隙間ができるのを抑制して一対の収容部5を固定できる。したがって、紙製の一対の収容部5を好適に固定することができる。
【0060】
また、第2実施形態によれば、ロック部27及び係止凹部26の各々が、一対の収容部5それぞれの開口縁部のうち、連結部3の位置と当該連結部3の対向位置とを除く位置に複数(本実施形態では2つ)配置されている。
これにより、開口縁部の合わせ面に隙間ができるのをより確実に抑制し、一対の収容部5をより好適に固定できる。
【0061】
また、第2実施形態によれば、一対の収容部5の少なくとも一方が、指を係止可能な指掛け部28を開口縁部周辺に有する。
これにより、玩具収容状態の玩具用容器4において、当該指掛け部28に指を掛けて一対の収容部5を引き離すことで、玩具用容器4を容易に開放できる。
【0062】
また、第2実施形態によれば、指掛け部28が収容部5の開口縁部のうち連結部3の対向位置の周辺に配置されているので、連結部3を支点として一対の収容部5が開く方向に力を加えやすく、玩具用容器4をより容易に開放できる。
[3.変形例]
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、一対の収容部2、5の各々が略半球状であることとしたが、当該一対の収容部2、5は互いに組み合わさって収容空間を画成するものであれば、その形状は特に限定されない。例えば、各収容部2、5が半球状ではない凹状に形成されていてもよいし、一方の収容部2、5が大きな収容空間を有し、他方の収容部2、5がその開口を閉塞する蓋状であってもよい。
また、一対の収容部2、5は、ヒンジで連結されていない別体のものであってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、係止突起23を係止孔24に係止させることで、一対の収容部2、5の開口を閉塞させた玩具収容状態を保持させることとした。しかし、一対の収容部2、5の開口を閉塞させる手法はこれに限定されず、例えば、一対の収容部2、5の互いの開口縁部(鍔部25)を糊付けしてもよいし、紙テープで接合してもよい。この場合、第1実施形態における収容部2の少なくとも一方には、第2実施形態の収容部5に設けた指掛け部28を設けておくことが好ましい。
また、係止突起23は、収容部2、5の外側からではなく、収容部2、5の内側から係止孔24に挿入されるように構成されていてもよい。
また、係止突起23は、係止孔24に挿入しやすいように、例えば先端などに切込みが形成されていてもよい。
また、各収容部2、5の開口縁部には鍔部25がなくてもよい。この場合、玩具収容状態では、一対の収容部2、5の互いの開口縁部が接する。
また、係止突起23及び係止孔24は、第2実施形態のロック部27及び係止凹部26と同じ係止構造であってもよい。
【0065】
また、上記第2実施形態では、第1収容部5Aに係止凹部26が設けられ、第2収容部5Bにロック部27が設けられることとしたが、第1収容部5Aにロック部27が設けられ、第2収容部5Bに係止凹部26が設けられてもよい。また、当該ロック部27及び係止凹部26は、上記第1実施形態の一対の収容部2に設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、玩具用容器1、4が一対(2体)の収容部2、5から構成されることとしたが、3体以上で組を成す収容部から構成されることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明は、地球環境に優しい玩具用容器を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0068】
1、4 玩具用容器
2、5 収容部
2A、5A 第1収容部
2B、5B 第2収容部
3 連結部
21 補強部
22 貫通孔
23 係止突起
23a フック部
24 係止孔
25 鍔部
25a 立壁
26 係止凹部(第1係止部)
27 ロック部(第1突起部)
28 指掛け部
S 隙間