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特許7614119X線マーカーをステントに取り付ける方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】X線マーカーをステントに取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20250107BHJP
【FI】
A61F2/82
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021568272
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020066595
(87)【国際公開番号】W WO2021004734
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】19185654.1
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512238276
【氏名又は名称】バイオトロニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッシュ、ファビアン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016259(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/153300(WO,A1)
【文献】特開2018-121936(JP,A)
【文献】国際公開第2016/201317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線マーカー(1)をインプラント、特にステント(2)の基体(20)に接続するための方法であって、
ステント(2)の基体(20)を提供するステップであって、前記基体(20)は、X線マーカー(1)を受け入れるためのレセプタクル、特に貫通開口部(21)を含むようにする、ステップと、
可撓性膜(3)とX線マーカー(1)を提供するステップであって、前記膜(3)の少なくとも1つのセクション(30)を、前記レセプタクル、特に前記貫通開口部(21)を含む前記基体(20)と、前記X線マーカー(1)との間に配置する、ステップと、
前記膜(3)を介在させながら、前記X線マーカー(1)を前記基体(20)の前記レセプタクル、特に前記貫通開口部(21)に押し込むステップであって、前記X線マーカー(1)が塑性変形し、前記膜(3)と共に、前記レセプタクル、特に前記貫通開口部(21)に圧力ばめ方式で固定されるようにするステップと
を含み、前記膜(3)が、前記X線マーカー(1)と前記基体(20)との接触を防止する、方法。
【請求項2】
前記レセプタクルは、空洞または貫通開口部(21)として設計されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記X線マーカー(1)は、前記X線マーカー(1)が、円周方向外側(1a)で、前記膜(3)と接触するように、前記膜(3)を介在させながら、前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれ、次に前記膜の円周セクション(31)が、前記X線マーカー(1)と前記基体(20)との間に配置されるように、前記空洞の又は前記貫通開口部(21)の円周方向内側に支えられている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記X線マーカー(1)は、前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれた後、前記空洞または前記貫通開口部(21)の開口面に沿って延在し、前記空洞または前記貫通開口部に押し込まれる前記膜(3)の前記円周セクション(31)に接続されている、前記膜(3)のセクション(32)によって覆われている表面(1b)を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記空洞または前記貫通開口部(21)から突出する前記膜(3)のセクション(33)は、前記膜(3)の円周セクション(31)の端部が前記基体(20)の片側で前記基体(20)の表面(20a)と同一平面になるように除去される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記膜(3)は、前記押し込むステップを操作した後、前記膜(3)が、前記基体(20)の片側で、前記基体(20)の前記空洞または前記貫通開口部(21)から突出しないように寸法付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記X線マーカー(1)は、前記貫通開口部(21)に押し込まれる前に球形または円筒形であり、および/または前記X線マーカー(1)は、前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれた後、その塑性変形の結果として、半殻形または円盤形となる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記X線マーカー(1)は、前記膜(3)と共に、2つのプレスジョー(4)によって前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれ、前記X線マーカー(1)は、前記膜(3)と共に、前記プレスジョー(4)の間に配置され、前記プレスジョー(4)は、前記X線マーカー(1)および膜(3)を前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込むために互いに向かって移動され、その結果、少なくとも1つの前記X線マーカー(1)は、両側に係合するプレスジョー(4)によって塑性変形し、プロセス内で前記空洞または前記貫通開口部(21)に圧力ばめ方式で固定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記X線マーカー(1)の最終的な厚さ(D)が前記基体(20)の壁の厚さ(W)に一致するように、前記プレスジョー(4)の互いに向かう動きが制御される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記膜(3)は、プラスチック材料、ポリマー、ポリウレタン、電界紡糸プラスチック、電界紡糸ポリウレタン、PTFE、またはシリコーンのうちの1つを含むか、またはこれらの材料のうちの1つから作製される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記X線マーカー(1)は、前記基体(20)が作製される金属材料よりも貴な金属材料で作製される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記X線マーカー(1)は、放射線不透過性金属材料、金、金合金、白金、または白金合金のうちの1つから作製されるか、またはこれらの材料のうちの1つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの前記X線マーカー(1)が押し込まれた後に前記膜(3)は融合される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記膜(3)は、少なくとも1つの前記X線マーカー(1)として融合され、前記膜(3)は、前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記可撓性膜(3)および前記X線マーカー(1)は、
前記膜(3)が、複数の穴(50)を含む穴あきプレート(5)上に配置され、前記X線マーカー(1)および他のX線マーカーが、それぞれ、穴(50)を覆う膜セクション(34)上に配置されて固定され、その下に配置された前記穴あきプレート(5)の前記穴(50)によって、それぞれの前記膜セクション(34)に湾曲部(35)が形成され、その上に固定されたX線マーカー(1)を含む前記膜セクション(34)の湾曲部(35)は、前記X線マーカー(1)が前記基体(20)の前記空洞または前記貫通開口部(21)に押し込まれる前に、前記空洞または前記貫通開口部(21)内に配置されるように提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記可撓性膜(3)および前記X線マーカー(1)は、
前記X線マーカー(1)および他のX線マーカー(1)が、並べて配置され、前記膜を形成するために電界紡糸法を使用したプラスチック材料、好ましくはポリウレタンでコーティングされるように
提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記可撓性膜(3)および前記X線マーカー(1)は、
前記X線マーカー(1)および他のX線マーカー(1)が、前記膜(3)を形成する膜(3)の2つの層の間に配置されるように
提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線マーカーをインプラント、特にステントの基体に接続する方法に関するものである。本発明は、主に、ステントのX線マーカーの例に基づいて説明されるが、それに限定されるものではない。本発明は、マーカーを、ステント、閉塞器、フィルター、心臓弁プロテーゼ(特にステントベースの大動脈弁プロテーゼ)、または他の血管支持デバイスなどの任意の、特に生分解性の、インプラントに接続するために使用される。
【背景技術】
【0002】
そのような方法では、X線マーカーはもともと、例えば、接着またはプレスによってステントに接続されていた。
【0003】
接着の場合、一方では比較的少量の接着剤を正確に計量することが困難であり、他方では接着剤量の正確な配置が別の課題を提示するという問題が生じる。原則として、接着の問題はさらに、処理時間(ポットライフ)が制限されることである。さらに、溶剤ベースの接着剤を使用する場合、これらがインプラントまたはステントに悪影響を及ぼさないことを保証する必要がある。
【0004】
さらに、プレスの場合の問題は、本質的に、貴金属(金または白金など)で作製されたX線マーカーが頻繁に使用され、それがベースメタルで作製されたステントの基体と組み合わされて、接触腐食を作ることである。特に生分解性ステントでは、これは分解の望ましくない加速をもたらす可能性がある。また、X線マーカーはステントから抜け出す可能性があるため、X線マーカーと基体との直接接触を防ぐ必要がある。これは、直接接触によるすべての接合方法(ネジによる接合、リベット留めなど)に当てはまる。
【0005】
特許文献1は、ステントがコーティングされるときに、X線マーカーとステントとの間の空間をポリマーで満たすことができる、X線マーカーをステントに押し込む方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0228267号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これから進めて、本発明の目的は、潜在的な接触腐食が最初から回避され得る、インプラントに、特にステントに、単純で信頼できる方法でX線マーカーを接続することである。特に、接着剤による接着は、このプロセスでは省くことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の構成を有する方法によって達成される。この方法の有利な実施形態は、対応する従属請求項に提供され、以下に説明される。
【0009】
請求項1によれば、X線マーカーをインプラント、特にステントの基体に接続するための方法であって、X線マーカーを受け入れるためのレセプタクル、特に貫通開口部を含むインプラントの基体を提供するステップと、可撓性膜とX線マーカーを提供するステップであって、膜の少なくとも1つのセクションが、レセプタクル、特に貫通開口部を含む基体と、X線マーカーとの間に配置されるようにする、ステップと、膜を介在させながら、X線マーカーを基体のレセプタクル、特に貫通開口部に押し込むステップであって、X線マーカーは塑性変形し、膜と共に、レセプタクル、特に貫通開口部に圧力ばめ方式で固定されるようにするステップとを含み、膜は、X線マーカーと基体との間の接触を防止する、方法が開示される。
【0010】
このように実装されたX線マーカーとインプラントの基体との間の接続は、インプラントの基体の小さな変形を補償することができるように、プロセスにおいて十分に弾性的である。さらに、押し込み操作は、基体の壁の厚さが押し込まれたX線マーカーによって増加しないように有利に構成することができる。
【0011】
レセプタクルは、好ましくは空洞として、または特に好ましくは貫通開口部として設計される。
【0012】
基体は、円周方向の格子構造を形成する、相互に接続された複数の支柱を含むことができる。そのような基体は、例えばレーザーによって、管状ブランクから個々の領域を切り出すことによって提供することができる。特に好ましい一実施形態によれば、基体は、マグネシウム合金、特に、Mg-Zn-Ca、Mg-Zn-Al、またはMg-Al合金で作製される。
【0013】
この方法の一実施形態によれば、X線マーカーは、X線マーカーが、円周方向外側で、膜と接触するように、膜を介在させながら、空洞または貫通開口部に押し込まれ、次に膜の円周セクションが、X線マーカーと基体との間に配置されるように、空洞のまたは貫通開口部の円周方向内側に支えられていることが提供される。
【0014】
本出願の範囲内で、空洞は、インプラントの基体における少なくとも片側の開口部を意味すると理解されるべきである。
【0015】
この方法の一実施形態によれば、X線マーカーは、空洞/貫通開口部に押し込まれた後、空洞/貫通開口部の開口面に沿って延在し、貫通開口部に押し込まれる膜の円周セクションに接続されている、膜のセクションによって覆われている表面を有することがさらに提供される。したがって、言い換えれば、X線マーカーは、押し込まれた後、膜に埋め込まれ、膜で覆われた表面とは反対側を向いているX線マーカーのさらなる表面のみが露出される。
【0016】
この方法の一実施形態によれば、空洞/貫通開口部から突出する膜のセクションは、膜の円周セクションが基体の片側で、好ましくは基体の表面と同一平面で終端を迎えるか、またはそれと同一平面に配置されるように切り取られることがさらに提供される。
【0017】
この方法の別の一実施形態によれば、膜の突出するセクションは、押し込み操作中にスタンピング作用によって除去または切断されることが提供される。この方法の代替の一実施形態によれば、膜の突出セクションは、その後、押し込み操作のために、例えばトリミングによって除去または切断されることが提供される。
【0018】
本発明に係る方法の代替の一実施形態によれば、膜は、X線マーカーが基体に押し込まれた後、膜が、基体の片側で、空洞/貫通開口部から突出しないように寸法づけられていることが提供される。
【0019】
この方法の一実施形態によれば、X線マーカーは、貫通開口部に押し込まれる前に球形または円筒形であることがさらに提供される。この方法の一実施形態によれば、X線マーカーは、空洞/貫通開口部に押し込まれた後、その塑性変形の結果として、半殻形/円盤形となり、その2つの表面が互いに反対を向くように、好ましくは、基体の隣接する表面と同一平面になるように設計されることがさらに提供される。
【0020】
X線マーカーは、膜と共に、プレスジョー(押圧顎部)の間に配置され、プレスジョーは、X線マーカーおよび膜を空洞/貫通開口部に押し込むために互いに向かって移動され、その結果、少なくとも1つのX線マーカーは、両側に係合するプレスジョーによって塑性変形し、プロセス内で空洞/貫通開口部に圧力ばめ方式で固定される。一実施形態によれば、少なくとも1つのX線マーカーのプレス方向の最終的な厚さが基体の壁の厚さに一致するように、プレスジョーの互いに向かう動きを制御することができる(上記を参照)。
【0021】
使用される膜は、好ましくは、引き裂くことなく、X線マーカーが押し込まれているときに生じる力を吸収することができるように、弾性的または塑性的に変形可能であるように設計される。
【0022】
この方法の一実施形態によれば、膜は、以下の材料:プラスチック材料、ポリマー、ポリウレタン、電界紡糸プラスチック、電界紡糸ポリウレタン、PTFE、またはシリコーンのうちの1つを含むか、またはこれらの材料のうちの1つから作製されることが提供される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、X線マーカーは、基体が作製される金属材料よりも貴(不活性)な金属材料で作製されることがさらに提供される。一実施形態によれば、X線マーカーは、以下の材料:放射線不透過性金属材料、金、金合金、白金、または白金合金のうちの1つから作製され得るか、またはこれらの材料のうちの1つを含み得る。
【0024】
この方法の別の実施形態によれば、少なくとも1つのX線マーカーが押し込まれた後、例えば、膜の切断端を丸めるために、または少なくとも1つのX線マーカーの周りの環状ギャップに均一に膜の材料を分配するために、膜が融合されることが提供される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、膜は、少なくとも1つのX線マーカーとして融合され、膜は、空洞/貫通開口部に押し込まれていることがさらに提供される。この目的のために、例えば、少なくとも1つのX線マーカーおよび膜がプレスジョーによって貫通開口部に押し込まれることによって、プレスジョーを加熱することができる。
【0026】
この方法の別の一実施形態によれば、X線マーカー、または複数のX線マーカー、および膜が、事前に製造されていることが提供される。
【0027】
この方法の一実施形態によれば、この点に関して、可撓性膜およびX線マーカーが、押し込まれる前に、X線マーカーが、他のX線マーカーと共に、膜上に配置され、そこに適切に固定されるように提供されることが提供される。その後、個々のX線マーカーを押し込むことができる。
【0028】
一実施形態によれば、この点に関して、可撓性膜およびX線マーカーは、押し込まれる前に、膜が、複数の穴を含む穴あきプレート上に配置され、X線マーカーおよび他のX線マーカーが、穴を覆うそれぞれの膜セクション上に配置されてそこに固定され、その下に配置された穴あきプレートの穴の結果として、それぞれの膜セクションに湾曲部が形成され(曲率が与えられ、上に固定されたX線マーカーを含む膜セクションの湾曲部は、X線マーカーが基体の空洞/貫通開口部に押し込まれる前に、少なくとも1つの貫通開口部内に配置されるように提供されることが提供される。
【0029】
この方法の別の代替の一実施形態によれば、可撓性膜およびX線マーカーは、押し込まれる前に、X線マーカーおよび他のX線マーカーが、並べて配置され、膜を形成するために電界紡糸法を使用したプラスチック材料、好ましくはポリウレタンでコーティングされるように提供されることが提供される。
【0030】
電界紡糸は、電界中のプラスチックまたはポリマー溶液から薄いプラスチックまたはポリマー繊維を作成することを意味すると理解されるべきである。溶液は、電極と対向電極の間でこの目的のために加速されることができ、溶液は複雑なプロセスで微細な繊維に処理され、それらは最終的に対向電極に堆積し、X線マーカーは、電界紡糸を使用してこれらを膜材料で直接コーティングできるように、プロセス中、対向電極として機能することができる。
【0031】
この方法の別の代替の一実施形態によれば、可撓性膜およびX線マーカーは、押し込まれる前に、X線マーカーおよび他のX線マーカーが、膜を形成する膜の2つの層の間に配置され、膜に固定されるように提供されることが提供される。
【0032】
本発明の別の一態様は、基体と、基体のレセプタクル、特に貫通開口部に配置され、本発明に係る方法によって基体に接続されたX線マーカーとを含むインプラント、特にステントに関するものである。
【0033】
本発明の実施形態ならびにさらなる構成および利点は、以下において図に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】貫通開口部、貫通開口部の上方に配置された球形X線マーカー、およびマーカーと共に貫通開口部に押し込まれる、マーカーと基体との間に配置された膜を含む、ステントの基体の断面の概略断面図を示す。
図1B】膜のセクションと共に基体の貫通開口部内に配置されている、図1Aに係るX線マーカーの概略断面図を示す。
図2】X線マーカー、膜、および基体の概略断面図を示し、X線マーカーを膜と共に貫通開口部に押し込むために2つのプレスジョーが互いに向かって変位される。
図3】プレスジョーによる図2に係るX線マーカーの塑性変形を示す。
図4】プレスジョーによる図2に係るX線マーカーの塑性変形を示す。
図5】基体の貫通開口部に押し込まれたX線マーカーを示し、押し込まれた後、膜の一部が貫通開口部から突き出ている。
図6】貫通開口部から突出している膜の一部が取り除かれた、X線マーカーが基体の貫通開口部に押し込まれた後のX線マーカー、膜、および基体の概略断面図を示している。
図7A】電界紡糸されたポリウレタンで作製された膜中の金で作製された押し込まれたX線マーカーのSEM画像を示す。
図7B】基体の外側から見た、溶融ポリウレタン中の押し込まれたX線マーカーのSEM画像を示す。
図7C】基体の内側から見た、溶融ポリウレタン中の押し込まれたX線マーカーのSEM画像を示す。
図8A】穴あきプレート上の膜へのX線マーカーの事前取り付けの概略断面図を示す。
図8B】穴あきプレート上の膜へのX線マーカーの事前取り付けの概略断面図を示す。
図8C】穴あきプレート上の膜へのX線マーカーの事前取り付けの概略断面図を示す。
図9A図8A図8Cに係るX線マーカーの基体の貫通開口部への概略挿入図を示す。
図9B図8A図8Cに係るX線マーカーの基体の貫通開口部への概略挿入図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1Aおよび図1Bは、図2図6に関連して、X線マーカー1をステント2の基体20に接続するための本発明に係る方法の一実施形態を示し、ステント2の基体20が提供され、基体20は、X線マーカー1を受け入れるための貫通開口部21を含み、可撓性膜およびX線マーカー1が提供され、膜3の少なくとも1つのセクション30が、貫通開口部21を含む基体20とX線マーカー1との間に配置されるようにし、最終的に、X線マーカー1が、膜3を介在させながら、基体20の貫通開口部21に押し込まれ、X線マーカー1は塑性変形し、膜3と共に、貫通開口部21に圧力ばめ方式で固定されるようにし、膜3は、X線マーカー1と基体20との間の接触を防止し、それにより、接触腐食を防ぐ。
【0036】
したがって、本発明は、ステント2におけるX線マーカー1の代替の取り付けの選択肢を説明する。従来、これらは接着剤投与を使用して接着されている。一方、本発明は、接着剤を投与することなく、マーカー1と基体20との間にプラスチックまたはポリマーの接続を確立することを可能にする。
【0037】
したがって、使用される膜3は、好ましくは、弾性変形可能であり、引き裂くことなく、マーカー1が押し込まれているときに生じる力を吸収できるように設計されている。例えば、電界紡糸ポリウレタンは、これらの特性を有する1つの膜材料である。原則として、すべての電界紡糸可能なプラスチック材料、または単層または多層のPTFEまたはシリコーン膜を使用できる。
【0038】
図1Aによれば、そのような膜3は、ステント2の基体20上に配置される。基体20、特に、マーカー穴またはアイレットとも呼ばれる、予め形成された1つまたは複数の貫通開口部21は、マーカー1が上方からブラインド方式で配置され得るように位置合わせされ、これは、関連する貫通開口部21が膜3を通して見える必要がないことを意味する。電界紡糸ポリウレタンで作製された膜は、一般的にあまり透明ではない。別の方法として、例えば、光源を貫通開口部21の下方に配置することができる。次に、特定の貫通開口部21の位置は、投影された対応する影から見えるようになる。さらに、カウンタープランジャーを特定の貫通開口部に押し込むことができ、これは次に、プレス操作中にマーカー1をガイドする。図1Bは、図2図4に示される押し込み操作の前に、膜3と共に、貫通開口部21内に配置されたX線マーカー1を示している。
【0039】
その後、最初は球形であり、例えば、金(または白金などの別の非常に放射線不透過性で軟質の金属)で作製することができるX線マーカー1は、膜3と共に、プレスジョー4によって貫通開口部21に押し込まれる。クランプジョーの変位制御された動きを使用して、マーカーディスク1の最終的な厚さDがステント2の基体20の壁の厚さWに一致することを確実にするために制御が実行される。このようにして、プレス動作によって基体が損傷されないこと、また1つまたは複数のX線マーカー1が基体の縁部を超えて突出しないことを確実にすることができる。
【0040】
膜3は適切なサイズを有することができるので、プレス操作後に突出した膜セクション33は存在しない。そうでなければ、膜3の突出した残り部33は除去される。これは、プレス中または押し込み操作後のスタンピング動作によって、例えば、膜3の突出セクション33を切断することによって達成することができる(図5および6を参照)。
【0041】
図6によれば、X線マーカーは、円周方向の外側1aによってX線マーカー1が膜3と接触し、次に、貫通開口部21の円周方向内側21aに支えられ、その結果、膜の円周セクション31は、X線マーカー1と基体20との間に配置されるか、またはマーカー1と基体20との間の対応する環状ギャップを埋めるように、膜3を介在させながら、最終的に好ましくは貫通開口部21に押し込まれる。
【0042】
図6によれば、貫通開口部21に押し込まれた後、X線マーカー1は、貫通開口部21の開口面に沿って延在し、貫通開口部21に押し込まれる膜3の円周セクション31に接続された膜3のセクション32によって覆われる表面1bを有することがさらに提供される。
【0043】
さらに、押し込まれた膜3はまた、その後、溶融され得る。これは、例えば、膜3の切断縁部を丸くするために、または膜材料(ポリウレタンなど)を環状ギャップ内に均一に分配するために行われる。溶融は、例えば、加熱可能なプレスジョー4を使用することによって、プレス動作に統合することができる。
【0044】
例えば、フラットノーズプライヤーは、機械的に制限されたプレス動作を有するプレスジョーとして使用することができ、その結果、ステントの壁の厚さを超えてプレスすることは不可能となる。
【0045】
プレス動作は、圧着の既存のプロセスステップに統合することもできる。本出願の範囲内で、圧着は、ステントが拡張手段(例えば、バルーンカテーテルの拡張可能なバルーン)の周りに配置され、ステントの直径が体内へ挿入するための直径に減少するプロセスステップを意味すると理解されるべきである。ステントはバルーン上に圧縮される。
【0046】
図8A図9に例として示されている代替の一実施形態では、例えば、アセンブリは、実際の取り付けステップ、またはマーカー1を基体20の関連する貫通開口部21に押し込むステップの前に作成され、マーカー1は、膜3上に予め位置決めされ、特にそこに固定される。
【0047】
例えば、複数のX線マーカー1は、(例えば、穴あき金属シートの形態の)穴あきプレート上で、例えば膜ストリップ3の形態の膜3に事前に取り付けられており(図8Aを参照)、それぞれのX線マーカー1が、穴あきプレート5の1つの穴50を覆い、同じものの中に押し込まれる膜セクション34上に配置され、それによって、膜3の湾曲部35が、マーカー1を収容する各々の場合をもたらす(図8Bおよび図8Cを参照)。
【0048】
次に、これらの湾曲部35は、図9Aおよび図9Bに従って、基体20の関連する貫通開口部21内に、内部に配置されたそれぞれのX線マーカー1と共に、特に容易に配置することができる。その後、プレス操作は、例えば、図2図6に従って実行することができる(上記を参照)。
【0049】
さらに、電界紡糸によって複数のX線マーカー1を適切なプラスチック材料/ポリマー(ポリウレタンなど)で直接コーティングすることにより、マーカー1および膜3を含むそのようなアセンブリを作成することが可能である。その1つの代替として、両側の複数のX線マーカー1を膜層(ポリウレタンなど)で覆う選択肢が存在し、その結果、マーカー1は、少なくとも2つの膜層から構成される膜3に包まれる。
【0050】
図7A図7Cは、本発明を使用して図示のステントに押し込まれたX線マーカーのSEM画像を示す。
【0051】
本発明の利点は、接着剤の投与(付随する欠点とともに、上記を参照)を完全に省くことができることである。公差を狭くする必要がないため、元の状態(球形)で費用効果の高いX線マーカーを使用することができる。取り付けステップは、圧着プロセスにさらに統合することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図6
【図 】
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B