(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20250107BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20250107BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20250107BHJP
F25B 45/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
F24F11/52
F25B45/00 Z
(21)【出願番号】P 2022124477
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 宏冶
(72)【発明者】
【氏名】多田 修平
(72)【発明者】
【氏名】李 政ミン
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-304226(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/195368(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/36
F25B 49/02
F24F 11/52
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の冷媒を利用する冷凍サイクル装置であって、
室内機と、
室外機と、
前記室外機の熱交換器に外気を送る送風機と、
前記送風機により送り出される風の進路上に配置され、前記冷凍サイクル装置内の前記冷媒を外部に放出する放出口と、
前記放出口から前記冷媒を放出させる場合において、前記送風機への給電が行われていない場合には、前記送風機への給電を開始させ、前記送風機を介して、送風を行う制御部と、
を備え
、
前記送風機及び前記放出口は、前記室外機内に設けられている、冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記室内機に接続された、前記冷媒の漏洩を検知する漏洩センサであって、前記冷凍サイクル装置に冷凍サイクルのための通電が行われない状態でも通電が行われる前記漏洩センサにおいて、前記室内機が設置された空間に前記冷媒が漏洩していることが検知された場合、前記冷凍サイクル装置に冷凍サイクルのための通電が行われているか否かに関わらず、前記空間に前記冷媒が漏洩していることをユーザに通知し、かつ、前記放出口から前記冷媒を放出させる、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記放出口から前記冷媒
を放出させる場合、前記送風機を介して、第1の時刻よりも後の第2の時刻において、前記第1の時刻における風量よりも少ない風量で送風を行う請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記空間に前記冷媒が漏洩していることを示す情報を前記ユーザの端末に送信することで、前記空間に前記冷媒が漏洩していることを前記ユーザに通知する請求項2または3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記空間に前記冷媒が漏洩していることを示す情報を前記室外機に設けられた出力部に出力させることで、前記空間に前記冷媒が漏洩していることを前記ユーザに通知する請求項2または3に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置の安全性を向上させる技術がある。特許文献1には、ポンプダウン運転において、冷媒漏洩を検出した場合に、凝縮器用ファンを動作させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地球温暖化防止のため、GWP(Global Warming Potential、地球温暖化係数)が従来よりも低い冷媒を用いることが推奨されている。ルームエアコン(RAC)等の室内機と室外機とを備える冷凍サイクル装置に利用する冷媒の候補には、従来の冷媒よりもGWPが低いR290等の可燃性の冷媒がある。しかし、可燃性の冷媒を用いる場合、冷媒が冷凍サイクル装置の外に出た際(例えば、冷媒の漏洩、放出等の際)に引火する可能性があり、安全性に問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、室内機と室外機とを備え、可燃性の冷媒を用いる冷凍サイクル装置における安全性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、可燃性の冷媒を利用する冷凍サイクル装置であって、室内機と、室外機と、前記室外機の熱交換器に外気を送る送風機と、前記送風機により送り出される風の進路上に配置され、前記冷凍サイクル装置内の前記冷媒を外部に放出する放出口と、前記放出口から前記冷媒が放出される場合において、前記送風機への給電が行われていない場合には、前記送風機への給電を開始させ、前記送風機を介して送風を行う制御部と、を備え、前記送風機及び前記放出口は、前記室外機内に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内機と室外機とを備え、可燃性の冷媒を用いる冷凍サイクル装置における安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、冷凍サイクル装置が空気調和機である場合について説明する。ただし、冷凍サイクル装置は、空気調和機に限定されず、例えば、ショーケースと室外機が分かれる別置型の冷凍装置などであってもよい。
図1は、実施形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機1を示す外観構成図である。空気調和機1は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う。空気調和機1で用いられる冷媒は、可燃性の冷媒である。以下では、空気調和機1で用いられる冷媒を利用冷媒とする。本実施形態では、利用冷媒は、プロパン(R290)であるとするが、他の例として、イソブタン(R600a)等の他の可燃性の冷媒であってもよい。
図1に示すように、空気調和機1は、室内(被空調空間)に設置される室内機10と、屋外(室外)に設置される室外機20と、ユーザによって操作されるリモコン30と、を備えている。
【0010】
室内機10は、リモコン通信部101を備えている。リモコン通信部101は、赤外線通信等によって、リモコン30との間で所定の信号を送受信する。例えば、リモコン通信部101は、運転/停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、タイマの設定等の信号をリモコン30から受信する。また、リモコン通信部101は、室内温度の検出値等をリモコン30に送信する。なお、
図1では省略しているが、室内機10と室外機20とは、冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0011】
図2は、実施形態に係る空気調和機1の冷媒回路Qを示す図である。なお、
図2に示す実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。また、
図2に示す破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
【0012】
室内機10は、リモコン通信部101のほかに、室内熱交換器102と、室内ファン104と、漏洩センサ105と、室内制御部106と、を備えている。室内熱交換器102において、その伝熱管を通流する冷媒と、室内ファン104から送り込まれる室内空気と、の間で熱交換が行われる。室内熱交換器102は、後述の四方弁205の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。室内ファン104は、室内熱交換器102の付近に設置されている。室内ファン104は、室内ファンモータ104aの駆動によって、室内熱交換器102に室内空気を送り込む。漏洩センサ105は、利用冷媒を検知するセンサであり、室内機10が設置されている室内の空間に漏洩する利用冷媒のガス、すなわち、冷媒回路Qにおける室内機10側から漏洩する利用冷媒のガスの検知に用いられる。以下では、室内機10が設置されている室内の空間を、室内空間とする。室内制御部106は、プロセッサ、記憶部及び通信部を備えた制御基板である。室内制御部106は、室内機10の全体を制御する。室内制御部106はさらに、後述の室外機20の室外制御部210と協働して、空気調和機1全体を制御する。
【0013】
室外機20は、圧縮機201と、室外熱交換器202と、送風機203と、室外膨張弁204(膨張弁)と、四方弁205と、阻止弁206と、阻止弁207と、開閉弁208と、放出部209と、室外制御部210と、を備えている。圧縮機201は、圧縮機モータ201aの駆動によって、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する。室外熱交換器202において、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、送風機203から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる。室外熱交換器202は、四方弁205の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。
【0014】
送風機203は、
図1に示すように、室外熱交換器202の付近に設置されている。送風機203は、室外ファン203aと室外ファンモータ203bとを備える。室外ファン203aは、室外ファンモータ203bの駆動によって、室外熱交換器202に外気を送り込む。室外膨張弁204は、「凝縮器」(室外熱交換器202及び室内熱交換器102の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、室外膨張弁204において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器202及び室内熱交換器102の他方)に導かれる。
【0015】
四方弁205は、空気調和機1の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。四方弁205の切り替えにより、冷房運転時には、破線矢印で示すように、圧縮機201、室外熱交換器202(凝縮器)、室外膨張弁204、及び室内熱交換器102(蒸発器)の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。また、四方弁205の切り替えにより、暖房運転時には、実線矢印で示すように、圧縮機201、室内熱交換器102(凝縮器)、室外膨張弁204、及び室外熱交換器202(蒸発器)の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。すなわち、圧縮機201、「凝縮器」、室外膨張弁204、及び「蒸発器」を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、前記した「凝縮器」及び「蒸発器」の一方は室外熱交換器202であり、他方は室内熱交換器102である。阻止弁206、207は、空気調和機1の据付作業後に開弁されることで、室外機に初期封入されている利用冷媒を冷媒回路Qの全体に行き渡らせるようにするための弁である。阻止弁206は、室外膨張弁204と室内機10との間に配置され、阻止弁207は、四方弁205と室内機10との間に配置される。
【0016】
開閉弁208は、冷媒回路Q内から冷媒回路Q外への利用冷媒の放出に用いられる弁であり、後述する室外制御部210の指示に応じて開閉を行う。本実施形態では、開閉弁208は、冷凍サイクル内において、室外膨張弁204と阻止弁206との間であって、利用冷媒が液状で流れている部分に配置されている。これにより、後述する放出部209へ効率よく利用冷媒を送ることができる。
【0017】
放出部209は、空気調和機1の外への利用冷媒の放出に用いられる管状の部材であり、本実施形態ではキャピラリー管である。放出部209の一方の端部は、開閉弁208に接続され、他方の端部は、開放されている。以下では、この他方の端部を、利用冷媒が放出される放出口とする。放出口は、送風機203の近傍で、送風機203により送り出される風の進路上の位置に配置されている。このため、送風機203が駆動している場合、放出口から利用冷媒が放出されると、即座に送風機203から送風された風により拡散される。放出部209は、開閉弁208の解放に応じて、放出部209の管内の広さに応じた放出速度で、利用冷媒を放出口から放出する。放出口は、所望の放出速度で、利用冷媒が放出されるようなサイズに形成されているものとする。放出速度とは、一定期間内にどれだけの量の利用冷媒が放出されるかを示す尺度であり、本実施形態では、kg(キログラム)/h(時間)の単位で表される。
【0018】
本実施形態では、開閉弁208が解放され、利用冷媒の放出が開始された場合における、利用冷媒の放出時の送風機の送風量は、予め設定されているものとする。送風機の送風量は、放出口から放出される利用冷媒の放出速度に応じて設定される。さらに、この放出速度は、予め求められている。以下では、開閉弁208が解放され、利用冷媒の放出が開始された場合における、放出口から放出される利用冷媒の放出速度について説明する。以下では、この放出速度を、mr(kg/h)で示す。本実施形態では、利用冷媒の爆発下限界(lower flammability limit、以下ではLFLで示す)は、2.1vol%である。また、気温20℃、大気圧の環境下において、利用冷媒(プロパン)の密度(以下では、dで示す)は、1.86kg/m3である。
【0019】
本実施形態では、送風機203は、放出部209の放出口から利用冷媒が放出される場合、室外制御部210からの指示に応じて送風を行うことで、外気中における利用冷媒の濃度をLFL以下にする。利用冷媒の放出が開始された場合に、放出される利用冷媒への引火を防ぐために要する送風機203の風量(以下では、Vairで示す)は、利用冷媒の放出速度mrに応じて以下の式1で求まる。ここで風量とは、一定期間内にどれだけの量の外気が風として送られるかを示す尺度であり、本実施形態では、m3(立法メートル)/h(時間)の単位で表される。式1のαは、安全係数を示し、既定の値であり、本実施形態では1である。ただし、αは、1以上の値であれば、2、3等の1と異なる値であってもよい。αは、大きいほど送風機203の送風量が増大するため、安全性が向上する。
Vair=α×mr/(d×LFL)=α×mr/(1.86×0.021)≒25.6×α×mr・・・・(式1)
このようにVairの風量で外気を送ることで、放出される利用冷媒の外気中での密度をLFL以下とできるため、放出される利用冷媒への引火が抑制できる。本実施形態においては、利用冷媒の放出時の放出速度mrが予め求められており、式1を利用することで、予め求められた放出速度から式1により得られるVairが算出される。そして、算出されたVairが、利用冷媒の放出時の送風量として予め空気調和機1において設定されているものとする。
【0020】
室外制御部210は、プロセッサ、RAM、ROM等を備え、室外機20を制御する。また、室外制御部210は、無線での通信に用いられる通信部を備え、室内空間の外部に存在するユーザが携帯する端末40と通信できる。このユーザとしては、空気調和機1の据付、修理、撤去等の作業を行う作業員であって、室外機20の近傍で作業を行う作業員が想定される。
【0021】
本実施形態では、空気調和機1への電力は、商用電源等の既定の電源(以下では、主電源とする)から供給される。空気調和機1が主電源と接続されている場合、室内制御部106は、空気調和機1の各要素への電力供給のオンオフを切り替える。本実施形態では、室内制御部106は、リモコン30等を介して冷凍サイクルの指示(室内空間における温度の調整の指示)を受け付けた場合、冷凍サイクルに用いられる各要素(以下では、冷凍サイクル部材)への電力供給をオンにする。本実施形態では、冷凍サイクル部材は、圧縮機モータ201a、室外ファンモータ203b、四方弁205、室内ファンモータ104aである。また、室内制御部106は、冷凍サイクル部材への電力供給がオンになっているか否かに関わらず、すなわち、冷凍サイクルのための通電が行われているか否かに関わらず、漏洩センサ105への電力供給をオンにする。これにより、空気調和機1の据付、修理、撤去の作業中において冷凍サイクルのための通電が行われていない場合でも、利用冷媒の漏洩を検知することができる。
【0022】
図3は、室内制御部106及び室外制御部210による漏洩通知処理を示すフローチャートである。本実施形態では、室内制御部106及び室外制御部210は、冷凍サイクル部材に電力が供給されているかどうかに関わらず、
図3の処理を行う。
【0023】
ステップS100において、室内制御部106は、漏洩センサ105から出力される信号を取得する。室内制御部106は、ステップS100の処理の完了後に、処理をステップS101に進める。
ステップS101において、室内制御部106は、ステップS100で取得した信号に基づいて、室内空間に利用冷媒が漏洩しているか否かを判定する。室内制御部106は、室内空間に利用冷媒が漏洩していると判定した場合、室外制御部210に
図4の放出制御処理の実行を指示し、処理をステップS102に進める。また、室内制御部106は、室内空間に利用冷媒が漏洩していないと判定した場合、処理をステップS100に進める。
【0024】
ステップS102において、室内制御部106は、室外制御部210に対して、利用空間に利用冷媒が漏洩していることを利用空間の外に存在するユーザに通知するよう指示する。この指示に応じて、室外制御部210は、端末40に対して、利用空間に利用冷媒が漏洩していることを示す情報を送信する。端末40は、この情報を受信し、受信した情報の表示部への表示、音声出力等により、受信した情報をユーザに提示する。
【0025】
図4は、室外機20の室外制御部210による放出制御処理を示すフローチャートである。室外制御部210は、室内制御部106、端末40等から利用冷媒の解放の指示を受け付けた場合に
図4の処理を開始する。
ステップS200において、室外制御部210は、送風機203の室外ファンモータ203bを駆動させ、送風量が規定の値(Vair)となるように送風を開始する。なお、室外制御部210は、室外ファンモータ203bへの給電が行われていない場合には、室外ファンモータ203bへの給電の開始を室内制御部106に指示し、給電を開始させた後で、送風機203を介した送風を開始する。室外制御部210は、ステップS200の処理の完了後に、処理をステップS201に進める。
ステップS201において、室外制御部210は、開閉弁208を開放し、放出部209の放出口から利用冷媒の放出を開始する。室外制御部210は、ステップS201の処理の完了後に、処理をステップS202に進める。
ステップS202において、室外制御部210は、空気調和機1内の利用冷媒が全て放出されるのにかかる期間として予め定められた期間(例えば、10分等)、送風を継続する。
【0026】
以上、本実施形態の空気調和機1は
図3の漏洩通知処理を実行することで、漏洩センサ105を介して室内空間への利用冷媒の漏洩を検知した場合、漏洩を示す情報を室内空間の外に存在するユーザに通知する。これにより、空気調和機1は、室内空間の外に存在するユーザに対して室内空間における利用冷媒の漏洩を知らせることができる。これにより、例えば、空気調和機1の据付、修理、撤去等の作業を行うユーザが室外機20の近傍で作業を行っている場合にも、室内機10側で利用冷媒の漏洩が生じたことを容易に把握でき、漏洩に対する迅速な対応が可能となる。このように、空気調和機1は、可燃性冷媒を用いる場合における安全性を向上できる。
【0027】
また、空気調和機1の据付、修理、撤去の際には、漏洩した利用冷媒による引火の可能性を低減するために、冷凍サイクル部材への電力供給を止める場合がある。本実施形態では、空気調和機1は、冷凍サイクル部材への電力供給(冷凍サイクルのための通電)が行われない状態でも、室内空間で利用冷媒が漏洩したことを示す情報を通知することで、安全性をより向上できる。
【0028】
また、本実施形態の空気調和機1は、放出口を送風機203により送りだされる風の進路上に配置し、
図4の放出制御処理を実行することで、安全に利用冷媒を外部へ放出できる。また、作業員であるユーザは、利用冷媒の放出の際に、利用冷媒の放出量の調整や送風機203の風量の調整等を行わずに済む。すなわち、空気調和機1は、ユーザの手間を低減できる。
また、本実施形態では、空気調和機1は、室内空間での利用冷媒の漏洩を検知した場合、放出口から利用冷媒を放出させるとした。このように、空気調和機1は、室内空間に利用冷媒が漏洩している状態で、利用冷媒を外部に放出することで、室内空間への利用冷媒の漏洩量を低減できる。
また、本実施形態では、空気調和機1は、開閉弁208を開放することで、利用冷媒の放出を開始する。これにより、ユーザは、手動で、利用冷媒を放出する作業を行わずにすむ。すなわち、空気調和機1は、ユーザの手間を低減できる。
【0029】
実施形態の第1の変形例について説明する。本実施形態では、漏洩センサ105は、空気調和機1に含まれるとした。ただし、漏洩センサ105は、空気調和機1の外部に設けられてもよい。例えば、利用冷媒のガスが空気よりも重く室内空間の下側にたまりやすい場合、
図5に示すように、漏洩センサ105が空気調和機1の外部であって室内空間の下部に配置されるとしてもよい。この場合、室内制御部106は、有線又は無線で、外部の漏洩センサ105と通信し、漏洩センサ105からの信号を取得する。
【0030】
第2の変形例について説明する。本実施形態では、室内制御部106は、室外制御部210に対して、利用冷媒の漏洩を示す情報の端末40への送信を指示することで、ユーザへの利用冷媒の漏洩を示す情報を通知するとした。ただし、この通知は、他の態様で行われてもよい。
例えば、室内制御部106は、通信部を備え、ステップS102で通信部を介して端末40に利用冷媒が室内空間に漏洩していることを示す情報を送信してもよい。
また、空気調和機1は、利用冷媒の漏洩を示す情報の端末40への送信を行わなくてもよい。例えば、室外制御部210又は室内制御部106は、室外機20に設けられた出力部(例えば、ランプ、表示パネル、スピーカ等)に、室内空間における利用冷媒の漏洩を示す情報を出力させてもよい。例えば、室外制御部210又は室内制御部106は、室外機20の筐体の外側に備えられた既定のランプ(室内空間における利用冷媒の漏洩を示すランプ)を点灯することで、ユーザへ室内空間での利用冷媒の漏洩を通知してもよい。また、室外制御部210又は室内制御部106は、室外機20の筐体の外側に備えられた表示パネルに漏洩の旨の情報を表示することで、室内空間における利用冷媒の漏洩をユーザに通知してもよい。また、室外制御部210又は室内制御部106は、室外機20に備えられたスピーカを介してアラーム音を出力することで、室内空間における利用冷媒の漏洩をユーザに通知してもよい。
【0031】
第3の変形例について説明する。本実施形態では、空気調和機1は、漏洩センサ105を介して利用冷媒の漏洩を検知した場合、利用冷媒の漏洩をユーザに通知するとした。空気調和機1は、さらに、漏洩センサ105を介して利用冷媒の漏洩を検知しなかった場合、室内空間において利用冷媒が漏洩していないことをユーザに通知してもよい。例えば、室内制御部106は、ステップS101で、利用冷媒の漏洩を検知していないと判定した場合、室外制御部210に、室内空間に利用冷媒の漏洩がないことを示す情報の端末40への送信を指示してもよい。また、室内制御部106は、室外制御部210を介さず、室内空間に利用冷媒の漏洩がないことを示す情報を端末40へ送信してもよい。また、室外制御部210又は室内制御部106は、室外機20の筐体の外側に備えられた既定のランプ(室内空間に利用冷媒の漏洩がないことを示すランプ)を点灯することで、室内空間における利用冷媒の漏洩がないことをユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは、室内空間において、利用冷媒の漏洩が起こっていないことを把握できる。
【0032】
第4の変形例について説明する。本実施形態では、室外制御部210は、開閉弁208の開放に応じた利用冷媒の放出の際には、一定の風量での送風を継続するとした。ただし、室外制御部210は、開閉弁208の開放に応じた利用冷媒の放出の際に、放出の開始後に、風量を低下させてもよい。すなわち、室外制御部210は、利用冷媒の放出の開始後の第1の時刻よりも後の第2の時刻において、第1の時刻よりも少ない風量での送風を行うよう送風機203を制御してもよい。開閉弁208が開放されると、放出口から利用冷媒の放出が開始される。利用冷媒の放出に応じて空気調和機1内の利用冷媒の圧力が低下してくるため、時間の経過に応じて利用冷媒の放出速度が低下してくる。すなわち、式1におけるmrの値が低下してくるため、放出される利用冷媒への引火を防ぐために要する風量Vairの値も低下してくる。そこで、室外制御部210は、利用冷媒の放出の開始後に、時間の経過に応じて、送風機203の風量を低下させることで、送風機203の駆動に係る電力を節約できる。
【0033】
例えば、開閉弁208が解放された場合において、利用冷媒の放出が開始されてから全ての利用冷媒が放出されるまでの間における利用冷媒の放出速度の変化は、予め実験により求められているとする。この場合、室外制御部210は、開閉弁208の開放した時点から既定の期間経過後に、送風機203の風量を、この期間経過後の放出速度をmrとして、式1で求まる風量Vairに更新するように、室外ファンモータ203bを制御してもよい。
【0034】
第5の変形例について説明する。本実施形態では、開閉弁208は、室外膨張弁204と阻止弁206との間に配置されているとした。ただし、開閉弁208は、他の位置に配置されてもよい。例えば、開閉弁208は、阻止弁206と室内機10との間に配置されてもよい。また、開閉弁208は空気調和機1に配置されなくてもよい。例えば、ユーザがチャージホース等を放出部209として、阻止弁206に接続して、放出部209の放出口を送風機203からの風の進路上に配置することで、利用冷媒の放出が開始してもよい。この場合、室外制御部210は、風量Vairでの送風の指示を受け付け、送風機203を介した風量Vairでの送風を開始してもよい。
【0035】
第6の変形例について説明する。本実施形態では、空気調和機1で用いられる電力は、主電源から供給されるとした。ただし、漏洩センサ105については、主電源と異なる電源(例えば、室内機10に備えられた内蔵電池等、以下では補助電源とする)から電力が供給されるとしてもよい。また、室内制御部106と室外制御部210とについては、主電源と接続されている場合には、主電源から電力が供給され、主電源と接続されていない場合には、補助電源から電力が供給されるとしてもよい。
【0036】
第7の変形例について説明する。本実施形態では、室外制御部210が、開閉弁208、送風機203の制御を行うとした。ただし、他の例として、室内制御部106が、開閉弁208、送風機203の制御を行うとしてもよい。
第8の変形例について説明する。本実施形態では、空気調和機1は、
図3の漏洩通知処理と、
図4の放出制御処理と、の双方を行うとした。ただし、他の例として、空気調和機1は、
図3の漏洩通知処理と、
図4の放出制御処理と、の何れかを行わないこととしてもよい。空気調和機1は、漏洩通知処理を行わない場合、漏洩センサ105を備えなくてもよい。この場合、外部の漏洩センサ等において、室内空間への利用冷媒の漏洩が検知されたら、ユーザは、端末40等を介して室外制御部210へ放出制御処理の実行を指示してもよい。また、空気調和機1は、放出制御処理を行わない場合、開閉弁208、放出部209を備えなくてもよい。この場合、例えば、ユーザは、利用冷媒の室内空間への漏洩が検知されたら、阻止弁206にチャージホース等を接続し、利用冷媒を放出してもよい。
【0037】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態、変形例の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 空気調和機
10 室内機
101 リモコン通信部
102 室内制御部
104 室内ファン
104a 室内ファンモータ
105 漏洩センサ
106 室内制御部
20 室外機
201 圧縮機
201a 圧縮機モータ
202 室外熱交換器
203 送風機
203a 室外ファン
203b 室外ファンモータ
204 室外膨張弁
205 四方弁
206 阻止弁
207 阻止弁
208 開閉弁
209 放出部
210 室外制御部
30 リモコン
40 端末
Q 冷媒回路