(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20250107BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20250107BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 062
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2022145825
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】友定 宏介
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-180807(JP,U)
【文献】特開2015-119530(JP,A)
【文献】特開平08-256416(JP,A)
【文献】実開昭49-074496(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02963909(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部により形成され、導電性を有する配索材が挿通される収納空間部と、当該収納空間部と外部とを連通する開口部とを有するベース部材と、
前記ベース部材に組み付けられることで前記開口部を閉鎖可能なカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記収納空間部側に突出して形成され、当該収納空間部に収納された前記配索材に当接する位置決め部を有し、
前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の位置を矯正可能であ
り、
前記壁部は、前記開口部の開口方向に沿って当該開口部と対向して位置する底壁部と、当該底壁部の両端からそれぞれ延在し、前記開口方向と交差する幅方向に沿って相互に対向する一対の側壁部とを含み、
前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記幅方向に対して前記一対の側壁部の間に渡って延在し、かつ、前記開口方向に対して前記側壁部の各々に沿って形成される突起部分と、当該突起部分に設けられ、先端側から基端側に向かって形成される切り欠き部分とを有し、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の各々を前記切り欠き部分の内側に配置することを特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
導電性を有する配索材と、
壁部により形成され、前記配索材が挿通される収納空間部、当該収納空間部と外部とを連通する開口部を有するベース部材、及び、前記ベース部材に組み付けられることで前記開口部を閉鎖するカバー部材を有するプロテクタとを備え、
前記カバー部材は、前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記収納空間部側に突出して形成され、当該収納空間部に収納された前記配索材に当接する位置決め部を有し、
前記位置決め部は、
前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の位置を矯正可能であ
り、
前記壁部は、前記開口部の開口方向に沿って当該開口部と対向して位置する底壁部と、当該底壁部の両端からそれぞれ延在し、前記開口方向と交差する幅方向に沿って相互に対向する一対の側壁部とを含み、
前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記幅方向に対して前記一対の側壁部の間に渡って延在し、かつ、前記開口方向に対して前記側壁部の各々に沿って形成される突起部分と、当該突起部分に設けられ、先端側から基端側に向かって形成される切り欠き部分とを有し、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の各々を前記切り欠き部分の内側に配置することを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、樋状に延びるプロテクタ本体(ベース部材)と、プロテクタ本体に組み付けられる蓋体(カバー部材)とを備えるプロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のプロテクタは、ベース部材で配索材を保持することはできるものの、ベース部材内の所定の位置に配索材を配置することは難しく、ベース部材にカバー部材を組み付ける際に、配索材がベース部材の開口部から飛び出したりする虞があった。そのため、配索材をベース部材内の適正な位置で保持し、収納することができる構成が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正な位置で配索材を保持し、収納することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、壁部により形成され、導電性を有する配索材が挿通される収納空間部と、当該収納空間部と外部とを連通する開口部とを有するベース部材と、前記ベース部材に組み付けられることで前記開口部を閉鎖可能なカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記収納空間部側に突出して形成され、当該収納空間部に収納された前記配索材に当接する位置決め部を有し、前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の位置を矯正可能であり、前記壁部は、前記開口部の開口方向に沿って当該開口部と対向して位置する底壁部と、当該底壁部の両端からそれぞれ延在し、前記開口方向と交差する幅方向に沿って相互に対向する一対の側壁部とを含み、前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記幅方向に対して前記一対の側壁部の間に渡って延在し、かつ、前記開口方向に対して前記側壁部の各々に沿って形成される突起部分と、当該突起部分に設けられ、先端側から基端側に向かって形成される切り欠き部分とを有し、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の各々を前記切り欠き部分の内側に配置することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、壁部により形成され、前記配索材が挿通される収納空間部、当該収納空間部と外部とを連通する開口部を有するベース部材、及び、前記ベース部材に組み付けられることで前記開口部を閉鎖するカバー部材を有するプロテクタとを備え、前記カバー部材は、前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記収納空間部側に突出して形成され、当該収納空間部に収納された前記配索材に当接する位置決め部を有し、前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の位置を矯正可能であり、前記壁部は、前記開口部の開口方向に沿って当該開口部と対向して位置する底壁部と、当該底壁部の両端からそれぞれ延在し、前記開口方向と交差する幅方向に沿って相互に対向する一対の側壁部とを含み、前記位置決め部は、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記幅方向に対して前記一対の側壁部の間に渡って延在し、かつ、前記開口方向に対して前記側壁部の各々に沿って形成される突起部分と、当該突起部分に設けられ、先端側から基端側に向かって形成される切り欠き部分とを有し、前記カバー部材が前記ベース部材に組み付けられた状態で、前記配索材の各々を前記切り欠き部分の内側に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、適正な位置で配索材を保持し、収納することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す上面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示すワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0012】
ワイヤハーネスWHは、複数の配索材Wと、プロテクタ1と、プロテクタ1に組み付けられるキャタピラ状の外装材Cとを備える。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、固定具、コネクタ等を含んで構成されてもよい。
【0013】
配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。なお、配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。また、配索材Wは、導電性を有する金属棒を絶縁被覆部によって被覆した絶縁金属棒であってもよい。
【0014】
外装材Cは、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成され、多数連結されることで長尺状になるものであり、
図1に示すようにプロテクタ1の端部に取り付けられ、その内部に配索材Wを挿通させることで当該配索材Wを保護するものである。配索材Wは、スライドドア、スライドシート、サンルーフなどの可動部品に接続され、当該可動部品の動きに併せて、その延在方向が変化する。キャタピラ状の外装材Cは、配索材Wを直線状態や屈曲状態で保持しつつ、当該配索材Wをプロテクタ1から可動部品まで案内することができる部材として使用される。
【0015】
プロテクタ1は、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成され、配索材Wを収納することで当該配索材Wを保護するものである。プロテクタ1は、車両に固定されることで、配索材Wの配索経路を規制する部材として使用される。
図1に示すように、プロテクタ1は、配索材Wが挿通される収納空間部10Sを有するベース部材10と、当該ベース部材10に組み付けられるカバー部材20とを備える。
【0016】
そして、本実施形態のプロテクタ1は、配索材Wを適正な位置で保持し、収納するための構造として、カバー部材20に位置決め部200を設けることで、ベース部材10に組み付けた際に、配索材Wの位置を矯正することできる構成を実現したものである。以下、
図1~
図3を参照してプロテクタ1の各構成について詳細に説明する。
【0017】
なお、以下の説明では、互いに直交する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「長さ方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。長さ方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。長さ方向Xは、典型的には、プロテクタ1に対する配索材Wの挿通方向等に相当する。また、高さ方向Zは、ベース部材10に対するカバー部材20の着脱方向、ベース部材10の開口部14(後述にて説明する)の開口方向等に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態での方向として説明する。
【0018】
また、高さ方向Zにおいて上側とは、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態でカバー部材20が位置する側等に相当し、高さ方向Zにおいて下側とは、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態でベース部材10が位置する側等に相当する。
【0019】
ベース部材10は、
図1~
図3に示すように、壁部10Kとして、底壁部11、及び、側壁部12、13を含んで構成される。ベース部材10は、底壁部11、及び、側壁部12、13が一体となって、高さ方向Zに沿った断面形状がU字状に形成される。そのため、ベース部材10は、内部空間としての収納空間部10S(
図1、
図3を参照)と、高さ方向Zに開口する開口部14(
図1、
図3を参照)と、長さ方向Xに開口する挿通開口部15A、15B(
図2を参照)とを有している。
【0020】
底壁部11は、軸方向X及び幅方向Yに沿って延在し、高さ方向Zが板厚方向となる略矩形板状に形成され、開口部14の開口方向である高さ方向Zに沿って、当該開口部14と間隔をあけて配置され、対向して位置する。
【0021】
側壁部12、13は、軸方向X及び高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる略矩形板状に形成され、開口部14の開口方向と交差する幅方向Yに沿って間隔をあけて配置され、相互に対向して位置する。また、側壁部12、13は、底壁部11の幅方向Yの両端部にそれぞれ接続される。より詳しく言えば、側壁部12は、底壁部11の幅方向Yの一方の端部から高さ方向Zに沿って立設し、側壁部13は、底壁部11の幅方向Yの他方の端部から高さ方向Zに沿って立設する。なお、ここでいう側壁部12、13は、それぞれが凹状部位、凸状部位、湾曲部位、又は、屈曲部位等を含む様々な形状をなしている。
【0022】
収納空間部10Sは、底壁部11、及び、一対の側壁部12、13によって区画、形成される部分である。プロテクタ1は、長さ方向Xの端部に位置する挿通開口部15A、15Bを介して、収納空間部10Sに配索材Wを挿通させることで、配索材Wを長さ方向Xに沿って配索することができる。なお、ここでいう収納空間部10Sとは、底壁部11、側壁部12、側壁部13のいずれかによって配索材Wを保持することができる部分を意味する。そのため、収納空間部10Sは、複数の壁部によって囲まれる空間、対向して位置する壁部によって区画される空間、一の壁部の壁面に沿って位置する空間などを含む。
【0023】
開口部14は、一対の側壁部12、13によって区画、形成される部分であり、各側壁部12、13の高さ方向Zにおいて上側に位置する端部によって挟まれる部分である。本実施形態のプロテクタ1は、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられると、カバー部材20によって開口部14の一部が塞がれ、当該開口部14に対応して位置する収納空間部10Sの一部が覆われる。そのため、プロテクタ1は、ベース部材10の壁部10Kと、カバー部材20の壁部20K(後述にて説明する)によって囲われる内部空間に配索材Wを収容することで、当該配索材Wを保持する部分と、壁部10Kのみで配索材Wを保持する部分を有している。
【0024】
挿通開口部15A、15Bは、一対の側壁部12、13によって区画、形成される部分であり、各側壁部12、13の長さ方向Xにおいて基端側(
図2でいう左側)、先端側(
図2でいう右側)に位置する端部によって挟まれる部分である。
【0025】
一方で、カバー部材20は、
図1~
図3に示すように、壁部20Kによって構成される。カバー部材20は、ベース部材10に組み付けられた状態で、一方の側壁部12から他方の側壁部13にかけて延在し、ベース部材10の開口部14を幅方向Yに閉塞可能な大きさに形成される。また、カバー部材20は、開口部14を長さ方向Xに沿って部分的に閉塞させることができ、当該開口部14を閉塞させた状態(
図2等を参照)で、高さ方向Zが板厚方向となる板状に形成される。このとき、カバー部材20は、ベース部材10の各側壁部12、13に対して係止機構30を介して係止されることによって、ベース部材20の開口部14を閉塞させる閉塞位置で保持され、高さ方向Zに沿って、底壁部11と間隔をあけて配置され、対向して位置する。
【0026】
なお、係止機構30は、ベース部材10の各側壁部12、13に設けられる複数の係止片31と、各係止片31に対応するようにカバー部材20に設けられる被係止片32とを含んで構成される(
図1、
図3等を参照)。ベース部材10は、各係止片31に形成された孔部が、カバー部材20の被係止片32に形成された突起部を係止することで、係止機構30を介してカバー部材20を係止することができる。
【0027】
次に、カバー部材20に設けられる位置決め部200の構成について説明する。
【0028】
位置決め部200は、カバー部材20の内面側から突出して形成される部分である。位置決め部200は、
図3に示すように、突起部分210と、当該突起部分210の先端部に設けられる押圧平面部220とを有している。
【0029】
突起部分210は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、長さ方向Xに沿って延在し、かつ、幅方向Yに対して一対の側壁部12、13の間に渡って延在する。また、突起部分210は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、各側壁部12、13の各々に沿って高さ方向Zに形成される。そのため、カバー部材20がベース部材10に組み付けられると、ベース部材10は、突起部分210によって、収納空間部10Sが狭められる。
【0030】
押圧平面部220は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、軸方向X及び幅方向Yに沿って延在し、ベース部材10の底壁部11と向かい合って位置する。そのため、カバー部材20がベース部材10に組み付けられると、ベース部材10は、突起部分210の押圧平面部220によって収納空間部10Sの高さが狭められ、当該高さ(底壁部11から押圧平面部220までの距離)は、配索材Wの各々を挿通可能な所定の高さまで狭められる。
【0031】
次に、プロテクタ1の組み付け時の動作について説明する。
【0032】
まず、作業者は、複数の配索材Wをベース部材10に組み付ける。そして、作業者は、ベース部材10の収納空間部10Sに配索材Wの各々を挿通させた状態で、当該ベース部材10にカバー部材20を組み付ける。このとき、カバー部材20の位置決め部200は、ベース部材10の開口部14から挿入されると、収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々に押圧平面部220を当接させながら、ベース部材10の底壁部11側に向かって押し込まれる。そのため、カバー部材20は、位置決め部200を介して、収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々をベース部材10の底壁部11側に寄せることができる。したがって、このようにカバー部材20がベース部材10に組み付けられるプロテクタ1によれば、カバー部材20の位置決め部200とベース部材10の底壁部11との間に、配索材Wの各々を配置し、当該配索材Wを位置決め部200と底壁部11とで挟持することで、収納空間部10S内の配索材Wの位置を矯正することができる。さらに言えば、プロテクタ1は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられると、突起部分210の押圧平面部220によって、収納空間部10Sの高さが狭められ、当該高さは、配索材Wの高さと同等になるまで狭められる。そのため、プロテクタ1は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、配索材Wの各々を幅方向Yに沿って横に並べて配置することができる(
図3を参照)。
【0033】
また、プロテクタ1は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられるときに、カバー部材20の位置決め部200によってベース部材10の開口部14を幅方向Yに対して塞ぐことができる。そのため、カバー部材20は、収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々が開口部14に向かって移動し、当該開口部14から外部へ飛び出すことを防止することができる。
【0034】
以上で説明したワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、壁部10Kにより形成され、配索材Wが挿通される収納空間部10S、当該収納空間部10Sと外部とを連通する開口部14を有するベース部材10、及び、当該ベース部材10に組み付けられることで開口部14を閉鎖するカバー部材20を有するプロテクタ1とを備える。また、カバー部材20は、ベース部材10に組み付けられた状態で、収納空間部10S側に突出して形成され、当該収納空間部10Sに収納された配索材Wに当接する位置決め部200を有し、位置決め部200は、ベース部材10に組み付けられた状態で、配索材Wの位置を矯正することができる。
【0035】
このような構成によれば、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、カバー部材20の位置決め部200をベース部材10の開口部14から押し込むことで、収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々を開口部14側から押さえることができる。したがって、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、収納空間部10S内の適正な位置で配索材Wを保持し、収納することができる。
【0036】
さらに、以上で説明したワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1のベース部材10は、壁部10Kとして、開口部14の開口方向(高さ方向Z)に沿って当該開口部14と対向して位置する底壁部11と、当該底壁部11の両端からそれぞれ延在し、高さ方向Zと交差する幅方向Yに沿って相互に対向する一対の側壁部12、13とを含む。また、位置決め部200は、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、幅方向Yに対して一対の側壁部12、13の間に渡って延在し、かつ、高さ方向Zに対して側壁部12、13の各々に沿って形成される突起部分210と、当該突起部分210の先端部に設けられ、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、底壁部11と向かい合って位置する押圧平面部220とを有し、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、配索材Wの各々を押圧平面部220と底壁部11との間に幅方向Yに沿って並べて配置する。このような構成によれば、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、位置決め部200の突起部分210を介して、収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々を底壁部11側に寄せることで、当該配索材Wが開口部14に向かって移動し、当該開口部14から外部へ飛び出すことを防止することができる。また、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、突起部分210の押圧平面部220を介して、収納空間部10S内で配索材Wの各々が所定の方向に沿って配置されるように、当該配索材Wの位置を矯正することができる。そのため、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、配索材Wの接続先である可動部品が稼働した際に、各配索材Wが収納空間部10S内で動くことによって、配索材W同士が絡まることを防止することができる。したがって、ワイヤハーネスWH、及び、プロテクタ1は、収納空間部10S内の適正な位置で配索材Wを保持し、収納することができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るワイヤハーネスWHAについて説明する。ワイヤハーネスWHAは、プロテクタ1Aのカバー部材20Aに設けられる位置決め部200Aの形状の点で、上記第1実施形態に係るワイヤハーネスWH、プロテクタ1と異なる。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
位置決め部200Aは、カバー部材20Aの内面側から突出して形成される部分である。位置決め部200Aは、
図4に示すように、突起部分210と、当該突起部分210の先端側に設けられる切り欠き部分230とを有している。
【0039】
切り欠き部分230は、突起部分210の先端側から基端側に向かって形成され、カバー部材20がベース部材10に組み付けられた状態で、ベース部材10の底壁部11側から開口部14側に向かって形成される溝部である。当該溝部が形成された突起部分210は、高さ方向Zに沿った断面形状がU字状に形成され、切り欠き部分230を挟んで両側に一対の突起が形成される。そのため、カバー部材20がベース部材10に組み付けられると、ベース部材10は、突起部分210によって収納空間部10Sが狭められ、当該納空間部10Sは、切り欠き部分230によって囲まれる空間部分(切り欠き部分230の内側)となる。
【0040】
このような構造によれば、ワイヤハーネスWHA、及び、プロテクタ1Aは、ベース部材10の収納空間部10Sに収納された配索材Wの各々を切り欠き部分230の内側に誘導し、収納空間部10Sの中心側に寄せることで、当該配索材Wが開口部14に向かって移動し、当該開口部14から外部へ飛び出すことを防止することができる。したがって、ワイヤハーネスWHA、及び、プロテクタ1Aは、収納空間部10S内の適正な位置で配索材Wを保持し、収納することができる。
【0041】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ1、1A、及び、ワイヤハーネスWH、WHAは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、位置決め部は、長さ方向Xに形成され、ベース部材にカバー部材が組み付けられた際に、ベース部材が形成する一方の挿通開口部から他方の挿通開口部にかけて形成されているものとして説明したが、長さ方向Xに対する位置決め部の位置は、特に限定されない。
【0043】
また、位置決め部は、押圧平面部を有していなくてもよく、切り欠き部を有していなくてもよい。
【0044】
本実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1、1A プロテクタ
10 ベース部材
10K ベース部材の壁部
10S 収納空間部
11 底壁部
12 一方の側壁部
13 他方の側壁部
14 開口部
20、20A カバー部材
20K カバー部材の壁部
200、200A 位置決め部
210、210A 突起部分
220 押圧平面部
230 切り欠き部分
W 配索材
WH、WHA ワイヤハーネス
X 長さ方向
Y 幅方向
Z 高さ方向