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特許7614172パワー半導体モジュールのベースプレートおよび冷却器を備える構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュールのベースプレートおよび冷却器を備える構成
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022504681
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020070989
(87)【国際公開番号】W WO2021014000
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】19188338.8
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マレキ,ミラド
(72)【発明者】
【氏名】トッレジン,ダニエレ
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225339(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021565(WO,A1)
【文献】特表2012-533868(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137009(WO,A1)
【文献】特開2017-98439(JP,A)
【文献】国際公開第2015/194259(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0287809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体モジュールのベースプレート(10)と冷却器(38)とを備える構成(46)であって
記冷却器(38)は、冷却剤流(24)を与えるように適合させた冷却チャネル(26)を提供し
記ベースプレート(10)は、少なくとも1つのパワー半導体デバイス(14)を含む電子回路を担持するように適合させた第1面(12)を備え
なくとも1つのパワー半導体デバイス(14)は、前記第1面(12)の上に少なくとも1つのデバイス領域(16)を形成し
記デバイス領域(16)は、前記パワー半導体デバイス(14)のフットプリントであり
記ベースプレート(10)は、前記第1面(12)の反対側に位置する第2面(18)をさらに備え
記ベースプレート(10)は、前記第2面(18)の上において、少なくとも1つのデバイス領域(16)の反対側の少なくとも1つの冷却領域(20)を備え
記少なくとも1つの冷却領域(20)は、前記冷却チャネル(26)内の前記冷却剤流(24)に前記冷却領域(20)を接触させることによって前記ベースプレート(10)から熱を放散させるように適合させたものであり
記ベースプレート(10)は、前記第2面(18)の上において、前記冷却領域(20)に隣接して配置された補助領域(22)をさらに備え
記補助領域(22)は、前記補助領域(22)における前記冷却剤流(24)の流量を低減するための流れガイド(28)を備え
記冷却チャネル(26)は、前記少なくとも1つの冷却領域(20)と前記少なくとも1つの流れガイド(28)とを収容するように適合させたものであり、
前記流れガイド(28)は、中空の矩形形状を有するリムで形成されている、
構成(46)。
【請求項2】
前記冷却領域(20)は冷却構造(30)を備え
記冷却構造(30)は、前記冷却チャネル(26)内に配置され前記冷却剤流(24)が前記冷却構造の中を流れるように適合させたものであることを特徴とする、請求項1に記載の構成(46)。
【請求項3】
前記冷却構造(30)は複数の冷却ピン(32)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の構成(46)。
【請求項4】
少なくとも1つの冷却領域(20)のサイズは少なくとも1つのデバイス領域(16)のサイズに実質的に対応することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の構成(46)。
【請求項5】
前記流れガイド(28)は、前記補助領域(22)の輪郭に対応するように配置された輪郭を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の構成(46)。
【請求項6】
前記流れガイド(28)の高さは前記冷却構造(30)の高さに対応することを特徴とする、請求項2に記載の構成(46)。
【請求項7】
前記流れガイド(28)は、ろう付け、溶接、または接着によって前記ベースプレート(10)の本体に固定されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の構成(46)。
【請求項8】
前記補助領域(22)と前記冷却領域(20)との合計の幅(44)は、前記冷却チャネル(26)の幅(44)に対応することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の構成(46)。
【請求項9】
前記補助領域(22)および前記冷却領域(20)は、前記冷却チャネル(26)の幅(44)に沿って並べられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の構成(46)。
【請求項10】
記冷却構造(30)および前記流れガイド(28)は、前記冷却チャネル(26)の底部(40)と機械的に接触していることを特徴とする、請求項2に記載の構成(46)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールのベースプレートと冷却器とを備える構成に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュールは、当該技術において一般的に広く知られている。パワー半導体モジュールのパワー半導体デバイスは、パワー半導体モジュールの機能を維持するために放散させる必要がある熱を生成する。パワー半導体モジュールのベースプレートから熱を放散させるためのさまざまな冷却技術があり、たとえば、ベースプレートに組み込まれた冷却構造を液体冷却剤の冷却剤流と直接接触させることが挙げられる。冷却剤流は冷却器の冷却チャネル内に与えることができる。
【0003】
ある好ましい冷却方法は、ピンフィンを冷却構造として使用することである。US2017/02877809には、ピンフィンヒートシンクが記載されており、複数のピンがベースプレートから延びており鍛造によってベースプレートと一体化するように形成されている。ピンフィールドが、長さ25mmの辺を有する矩形領域を画定する。
【0004】
US5,978,220Aには、冷却面上において隣り合うように配置されこの冷却面に溶融接着された複数の発熱サブモジュールを含むハイパワー半導体モジュールのための液体冷却装置において、改善された負荷サイクル抵抗がこの液体冷却装置によって実現されると記載されている。この液体冷却装置は、液体空間を取り囲む筐体を有し、冷却液はこの液体空間を通って流れ、筐体の上面が冷却面を形成し、液体冷却装置の筐体の、少なくとも冷却面の領域は、金属とセラミックとの複合材料からなり、その熱膨張係数が、セラミック基板のまたはサブモジュールのパワー半導体デバイスの熱膨張係数に適合するようにされ、冷却面と冷却液との間の熱伝達を改善するための追加手段が、液体冷却装置の液体空間に設けられている。
【0005】
US2003/227732A1には、熱伝達構造が、ダクトチャンバ内に複数の熱伝達部材を有する熱伝達モジュールを含むことが記載されており、熱伝達部材の密度は、冷却剤の流れの方向に増加し、熱伝達モジュールに熱的に接触するように装着された熱源の位置に隣接する部分の密度が最も高い。ダクトチャンバの輪郭を熱源の位置に合わせて調整することにより、熱源の直下にある冷却剤の速度を増し、温度調整が不要な領域への冷却剤の流れを部分的または完全に遮断する。熱伝達部材はピンフィンとして形成されてもよく、ピンフィンはばねから作製され、ばねは、ばねの長手方向軸に垂直な方向においておよび/または熱伝達モジュールの長手方向軸に平行に、予め定められた密度になるまで圧縮される。
【0006】
しかしながら、上記引用文献のような先行技術は、特にパワー半導体モジュールの効率的な冷却に関して、依然として改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの短所を少なくとも一部克服するための解決策を提供することである。特に、本発明の目的は、ベースプレート上の1つ以上のパワー半導体デバイスを一様にかつ効果的に冷却するための解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、少なくとも一部、独立請求項1の特徴を有する構成によって達成される。好都合な実施形態は、従属請求項、さらなる説明、および図面において提供され、記載されている実施形態は、単独で、またはそれぞれの実施形態の任意の組み合わせとして、本発明の特徴を、明らかに除外されていない限り、提供することができる。
【0009】
パワー半導体モジュールのベースプレートと冷却器とを備える構成について説明する。冷却器は、冷却剤流を与えるように適合させた冷却チャネルを提供し、ベースプレートは、少なくとも1つのパワー半導体デバイスを含む電子回路を担持するように適合させた第1面を備え、少なくとも1つのパワー半導体デバイスは、第1面の上に少なくとも1つのデバイス領域を形成し、デバイス領域は、パワー半導体デバイスのフットプリントであり、ベースプレートは、第1面の反対側に位置する第2面をさらに備え、ベースプレートは、第2面の上において、少なくとも1つのデバイス領域の反対側にある少なくとも1つの冷却領域を備え、少なくとも1つの冷却領域は、冷却チャネル内の冷却剤流に冷却領域を接触させることによってベースプレートから熱を放散させるように適合させたものであり、ベースプレートは、第2面の上において、冷却領域に隣接して配置された補助領域をさらに備え、補助領域は、補助領域における冷却剤流の流量を低減するための流れガイドを備え、冷却チャネルは、少なくとも1つの冷却領域と少なくとも1つの流れガイドとを収容するように適合させたものである。
【0010】
このような構成は、とりわけパワー半導体デバイスの効果的なおよび/または一様な冷却に関して、先行技術の解決策に勝る重要な利点を提供する。
【0011】
このように、本発明は、ベースプレートと冷却器とを備える構成に関し、ベースプレートは流れガイドを有する。ベースプレートは、パワー半導体モジュールの製造過程においてベースプレート上のパワー半導体デバイスのさまざまな構成に使用することができる。
【0012】
本発明のベースプレートは、少なくとも1つのパワー半導体デバイスを含む電子回路を担持するように適合させた、具体的にはこの電子回路を担持する第1面を有する。パワー半導体デバイスは、当該技術において周知の機能を有し得る。パワー半導体デバイスは、その機能を確実に実行するために、冷却される必要がある、すなわち、パワー半導体デバイスで発生した熱をパワー半導体デバイスから放散させる必要がある。
【0013】
パワー半導体デバイスは、ベースプレートの第1面の上にデバイス領域を形成する。本発明の場合、デバイス領域を形成することは、ベースプレートの第1面上の1つのパワー半導体デバイスまたは複数のパワー半導体デバイスの位置、サイズ、寸法、幾何学的形状および/または配置が、それぞれ、ベースプレートの第1面上の1つのデバイス領域または複数のデバイス領域の位置、サイズ、寸法、幾何学的形状および/または配置を定めることを、意味する。よって、パワー半導体デバイスが配置されたべースプレート上の領域、したがってパワー半導体デバイスとベースプレートとの接触領域は、デバイス領域に対応する。言い換えると、デバイス領域は、ベースプレートの第1面上のパワー半導体デバイスのフットプリントであってもよい。
【0014】
ベースプレートを、ベースプレートの第1面上において1つのパワー半導体デバイスを担持するように適合させることが可能である。この場合、1つのデバイス領域も存在し得る。
【0015】
ベースプレートを、ベースプレートの第1面上において2つ以上のパワー半導体デバイスを担持するように適合させることも可能である。たとえば、ベースプレートを、第1面上において、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のパワー半導体デバイスを担持するように適合させてもよい。この場合、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のデバイス領域も存在し得る。したがって、この場合、どのパワー半導体デバイスも1つのデバイス領域を形成する。
【0016】
パワー半導体デバイスをベースプレートの第1面上に配置する場合のレイアウトは、任意であってもよい。これに代えて、このレイアウトを、パワー半導体モジュールの機能を高めるために選択してもよく、たとえば、このレイアウトを、浮遊インダクタンスを低減するために、またはパワー半導体デバイスの高いスイッチング周波数を十分利用できるようにするために、選択してもよい。
【0017】
ベースプレートの第2面は、ベースプレートの第1面の反対側に位置する。ベースプレートの第2面は、ベースプレートの第1面に平行であってもよい。たとえば、ベースプレートの第1面は上面であってもよく、ベースプレートの第2面は下面であってもよい。
【0018】
ベースプレートの第2面は、第1面上の少なくとも1つのデバイス領域の反対側にある少なくとも1つの冷却領域を含む。冷却領域は、冷却チャネル内の冷却剤流に冷却領域を接触させることによってベースプレートから熱を放散させるように適合させたものであり、冷却チャネルは冷却器によって提供される。したがって、第1面上の1つ以上のパワー半導体デバイスで発生した熱は、ベースプレートから、したがって1つ以上のパワー半導体デバイスから、冷却剤中に放散させることができる。冷却チャネル内の冷却剤流は、ベースプレートからの放熱に影響を及ぼし得る特定の流量を有する。冷却チャネル内の冷却剤は、液体冷却剤、気体冷却剤、または超臨界冷却剤であってもよい。好ましくは、冷却剤は液体冷却剤であり、より好ましくは、冷却剤は水とグリコールとの混合物である。
【0019】
1つのパワー半導体デバイスまたは複数のパワー半導体デバイスを効率的に冷却するために、少なくとも1つの冷却領域の位置が、少なくとも1つのデバイス領域の位置に実質的に対応していてもよい。冷却領域は、デバイス領域の反対側にあるだけでなく、その位置がデバイス領域の位置に実質的に対応していてもよい。さらに、冷却領域のサイズは、デバイス領域のサイズの100%~500%の範囲であってもよく、したがって、少なくとも1つの冷却領域のサイズは少なくとも1つのデバイス領域のサイズに対応する。
【0020】
ベースプレート内である程度熱が拡散する可能性がある。特に、ベースプレートの第1面上のパワー半導体デバイスから注入された熱は、デバイス領域よりも大きい、ベースプレートの第2面上の領域にわたって拡散する可能性がある。したがって、十分な冷却効率のためには冷却領域をデバイス領域よりも大きくすることが有利になり得る。好ましくは、冷却領域は、デバイス領域にわたって対称に延在する。言い換えると、デバイス領域および冷却領域の双方が同一形状を有しているので、デバイス領域および冷却領域は、幾何学的に相似であってもよい。より好ましくは、冷却領域を、デバイス領域から、均一なスケーリングによって得てもよい。また、デバイス領域に対する冷却領域の対称構成の優先度が、冷却領域のサイズの優先度より高くてもよい。
【0021】
ベースプレートの第2面は、冷却領域に隣接した補助領域をさらに含み、したがってこれは特にデバイス領域とは異なる。特に、冷却領域に隣接するということは、第2面の、冷却領域に隣接する面内にあることを意味するものとする。いくつかの冷却領域がある場合、すべての冷却領域に隣接する補助領域があってもよい。これに代えて、いくつかの冷却領域のみに隣接する補助領域があってもよく、または、1つの冷却領域のみに隣接する補助領域があってもよい。補助領域は、補助領域における冷却剤流の流量を低減するための流れガイドを含む。補助領域は第2面上の冷却領域に隣接し冷却領域はデバイス領域の反対側にあるので、補助領域の反対側にある、ベースプレートの第1面上の領域は、デバイス領域の一部ではない可能性がある。したがって、ベースプレートは、ベースプレートの第1面上の、補助領域の反対側では、パワー半導体デバイスを担持しない可能性がある。そのため、冷却領域と同一の冷却速度で補助領域を冷却することは、パワー半導体デバイスの一様の冷却にとって逆効果である。したがって、補助領域における冷却剤流の流量を流れガイドによって低減することにより、パワー半導体デバイスを一様に冷却することができる。
【0022】
流れガイドは、補助領域における冷却剤流の流量を低減するように適合させた機械的部品であってもよい。この流量を、補助領域における高流量を防止することにより、または補助領域における冷却剤を強制移動させることにより、低減してもよい。言い換えると、補助領域は、冷却領域を迂回することになる冷却剤流の流量を低減するための流れガイドを含み得る。補助領域における流量が低減されるので、補助領域からの放熱も低減される。しかしながら、ベースプレートは、ベースプレートの第1面上の、補助領域と反対側において、パワー半導体デバイスを担持しなくてもよいので、この領域において放熱が減少してもパワー半導体モジュールの機能に悪影響を及ぼさない。逆に、冷却を必要としない領域において冷却剤の冷却能力が無駄に使用されないので、冷却を必要とする領域、すなわちデバイス領域の反対側の冷却領域において、すべての冷却能力を使用することができる。冷却能力は、補助領域よりも良好な冷却を必要とするその他任意の領域に使用されてもよい。
【0023】
したがって、流れガイドの使用により、冷却領域がより効果的に冷却され、パワー半導体デバイスからの放熱が促進される。このことは、パワー半導体デバイスのより信頼性の高い機能に、さらにはパワー半導体デバイスの寿命の延長にもつながり得る。
【0024】
冷却領域の効率的な冷却に関して、ベースプレートが提供されてもよく、冷却領域は冷却構造を含み、冷却構造は、冷却チャネル内に配置され冷却剤流が冷却構造の中を流れるように、適合させたものである。特に効率的な熱伝達を、冷却剤流と接触する冷却領域の表面を、特に平坦な表面よりも大きくすることにより、実現してもよい。したがって、冷却剤をその中に流すことができる冷却構造を用いることにより、特に高度な放熱を実現することができる。
【0025】
この点に関して、冷却構造が複数の冷却ピンを含むことが好ましい場合がある。好ましくは、冷却剤は、冷却構造の冷却ピンと直接接触する。冷却ピンは、ベースプレートの第2面から垂直に突出していてもよい。冷却剤は、冷却ピンの間を流れてもよい。したがって、冷却ピンは、冷却剤への熱伝達のための高い表面を提供するので、特に効率的な放熱方法である。冷却ピンは異なる断面を有していてもよい。たとえば、この断面は、円形、楕円形、または菱形であってもよい。
【0026】
たとえば、冷却構造のピンは、熱源の下、たとえばパワー半導体デバイスの下に配置されている場合に、最も効率が高い。ピンは、その配置された場所がパワー半導体デバイスから遠いほど、パワー半導体デバイスの冷却に対する寄与度が低いが、冷却剤流の圧力降下には十分に寄与する。そのため、冷却構造としてのピンフィールドは、有利には冷却領域とほぼ同じ領域にわたって延在する。
【0027】
しかしながら、ベースプレート上のパワー半導体デバイスの、したがって冷却を必要とする領域の、レイアウトは、異なり得る。たとえば、パワー半導体デバイスのレイアウトを交互配置にして浮遊インダクタンスを最小にするとともに高周波スイッチングを十分に利用できるようにする場合がある。このレイアウトは、パワー半導体デバイスの供給者の違いによって異なる場合もある。
【0028】
ベースプレート上のパワー半導体デバイスのレイアウトが異なっていても、パワー半導体モジュールを製造するために必要なさまざまな部品の数を減じるために、冷却器に対するインターフェイスを同一に保つことが魅力的である。これは、特に先行技術と比較して、本発明に従い、問題なく実現可能である。
【0029】
先行技術に従うと、パワー半導体デバイスのレイアウトに関係なく冷却器に対するインターフェイスを維持することは、すべての異なるレイアウトに対して冷却構造としてのピンフィールドの領域を一定に保つことによって可能である。冷却されないパワー半導体デバイスをなくすために、ピンフィールドは、すべての異なるレイアウトをカバーする領域にわたって延在している必要がある。したがって、レイアウトによっては、パワー半導体デバイスから遠く離れて配置されるピンが存在することになる。
【0030】
しかしながら、パワー半導体デバイスから遠く離れて配置されたピンは、パワー半導体デバイスの冷却に対する寄与度が非常に低い。しかしながら、パワー半導体デバイスから遠く離れて配置されたピンが他のピンと流体的に直列に接続される場合、これらのピンは、冷却剤流の圧力降下に十分に寄与する。パワー半導体デバイスから遠く離れて配置されたピンは冷却剤流の一部を消費するので、熱源の下に配備されたピンを冷却するために利用できる流量は減少する。よって、全体としての冷却性能は低下する。さらに、いくつかのパワー半導体デバイスは他のパワー半導体デバイスよりも多くのピンで囲まれているので、異なるパワー半導体デバイスに対する冷却速度は等しくない。この不均一な冷却は、パワー半導体デバイスの異なる温度につながる可能性があり、ひいてはパワー半導体デバイスの電気的特性に影響を及ぼす。不均一な冷却は、不均等な電流分布にもつながり得る。
【0031】
冷却チャネルの幾何学的形状を変更しない場合、パワー半導体デバイスから遠くに配置されたピンを省くことはよい考えではない。これらのピンを省くと、ピンフィールドは冷却チャネルよりも小さくなり、これは残りのピンを通過する冷却剤の著しいバイパス流につながる。そうすると、パワー半導体デバイスの冷却効率の低下につながるであろう。
【0032】
本発明に従うと、好ましくは、少なくとも1つの冷却領域のサイズ、特に位置は、先に述べたようなデバイス領域のサイズ、特に位置に対応するので、上記短所を克服することができる。補助領域の反対側にある、ベースプレートの第1面上の領域は、デバイス領域の一部ではない。したがって、冷却領域のサイズおよび位置がデバイス領域のサイズおよび位置に対応していることが、デバイス領域の非常に均一な冷却につながる。さらに、このようなベースプレートの、冷却器に対するインターフェイスは、ベースプレート上のパワー半導体デバイスの幾何学的形状および配置とは無関係である。したがって、このようなベースプレートは、パワー半導体モジュールを製造する過程において、ベースプレート上のパワー半導体デバイスのさまざまな構成に使用することができる。
【0033】
先に述べたように、補助領域は、補助領域における冷却剤流の流量を減じるための流れガイドを含む。一般的に、補助領域における流量の低減は、さまざまな設計の流れガイドで実現することができる。しかしながら、流れガイドが補助領域の輪郭に対応するように配置された輪郭を有することが好ましい場合がある。これにはいくつかの利点があり、その理由として、補助領域の輪郭が閉じた形態であることが挙げられる。閉じた形態の非限定的な例として、閉じた形態は、「o」の形態または矩形形状の形態を有し得る。さらに、流れガイドは、補助領域と実質的に同一のサイズ、輪郭および位置を有していてもよい。したがって、これは補助領域における冷却剤の流量を低減するだけである。
【0034】
これに従うと、流れガイドをリムで形成してもよい。好ましくは、リムは、ベースプレートの第2面から垂直に突出している。より好ましくは、流れガイドは中空であり、これは、リムによって囲まれた領域の内側に空洞が設けられることを意味する。これには、流れガイドを提供するために使用する必要がある材料が非常に少ないという利点がある。したがって、流れガイドを導入するために増加する重量およびコストも少ない。さらに、流れガイドの空洞内に存在し得る冷却剤の流量は、実質的にゼロの流量までの非常に低速の流量である。そのため、実質的に流れガイドは放熱に寄与せず、デバイス領域の極めて均一な冷却が実現する。流れガイドはさまざまな形態を有し得る。好ましくは、流れガイドの形態は、デバイス領域および/または補助領域を考慮して選択される。流れガイドの形態は、実質的に矩形であってもよく、たとえば、丸みを帯びた角部を有する矩形の形態を有していてもよい。丸みを帯びた形態、たとえば卵形または楕円形の形態を有していてもよい。これに代えて、流れガイドの形態は、実質的に四角形、台形/不等辺四辺形、多角または多角形であってもよい。これに代えて、流れガイドは、「U」または「L」または「H」の形態を有していてもよい、すなわち、リムは2つ以上の端部を有する。流れガイドの上記さまざまな形態は、これらの流れガイドが流れ遮断器の機能を持つことができるので、流れガイドを通る冷却剤流の抑制につながり得る。
【0035】
流れガイドは、大きく重い中実の部分で形成されていてもよい。したがって、流れガイドは中空ではない。補助領域ではすべての冷却剤がこの大きく重い中実の流れガイドによって強制移動させられる。これは、熱伝導率が低い軽量材料、たとえばプラスチックからなる流れガイドと組み合わせると特に有利である。
【0036】
流れガイドは、実質的に矩形形状の形態、U字型形態、またはL字型形態を有し得る。矩形形状の形態は、角部が丸くされたもしくは丸くされていない矩形の形態または平行四辺形の形態であってもよい。多くのパワー半導体デバイスは矩形形態を有するので、一様な冷却という点では流れガイドが矩形形状の形態で形成されていることが有利になり得る。
【0037】
流れガイドはU字型形態であってもよい。U字型形態は、矩形形状の形態の1辺を省略することで実現してもよい。U字型形態の流れガイドは、流れガイドの作製に使用される材料が少ないという利点を有し得る。
【0038】
さらに、別の実施形態において、流れガイドはL字型形態を有していてもよい。L字型形態は、矩形形状の形態の隣り合う2辺を省略することで実現してもよい。L字型形態の流れガイドは、流れガイドの作製に使用される材料が少ないという利点を有することができる。
【0039】
流れガイドを、鍛造により、冷却構造の冷却ピンとともに、ベースプレートの一部として、ベースプレートと一体的に作製することが可能である。この場合、流れガイドはベースプレートと同一材料で作られてもよい。好ましくは、ベースプレートは、銅もしくはその合金、アルミニウムもしくはその合金、および/または炭化ケイ素粒子を有するアルミニウムマトリックス(AlSiC)を含む金属マトリックス複合材料からなる。これに代えて、ベースプレートは、銅およびアルミニウムの層状化合物、アルミニウムの合金の層状化合物、および/または銅の合金の層状化合物からなるものであってもよい。
【0040】
加えて、流れガイドは、ろう付け、溶接または接着によってベースプレートの本体に固定されてもよい。たとえば、流れガイドは、ろう付けによって本体に固定されてもよい。流れガイドをベースプレートまたはその本体に接着することも可能性であり、その場合、流れガイドおよびベースプレートに異なる材料が使用されてもよい。たとえば、流れガイドはプラスチックから作ることができる。プラスチックは軽量であり非常に低い熱伝導率を有するので、プラスチックを使用することは好都合となり得る。したがって、プラスチックから作られた流れガイドは熱伝達にほとんど影響を及ぼさない。
【0041】
上記本体は、たとえば、プレートとして形成され支持体を形成するベースプレートの主要部分であってもよく、上記支持体は、たとえば流れガイドのためのものであり、任意で冷却ピンのためのものである。
【0042】
流れガイドの高さが冷却構造の高さに対応することがさらに好ましい場合がある。たとえば、流れガイドのリムの高さを、冷却構造の冷却ピンの高さに実質的に等しくなるようにすることができる。したがって、冷却構造および流れガイドは、同じ深さだけ冷却剤に浸漬される。これは、パワー半導体デバイスの冷却性能の向上につながり得る。上記同一の高さは、冷却構造の高さに対応する流れガイドの高さに関して、最大の高さを有する部分の+/-5%の範囲内の小さな偏差があってもよいことを含み得る。したがって、浸漬の深さに関して+/-5%の範囲内の小さな偏差があってもよい。
【0043】
冷却器は、冷却剤流を与えるように適合させた冷却チャネルを提供し、たとえばこの冷却チャネルを含む。冷却器は、ベースプレートに接続できる機械的部品であってもよく、この状態で冷却チャネルを形成してもよい。したがって、冷却チャネルは、1つの面が開放された冷却器の空間によって形成されてもよい。上記空間の開放端を有する、冷却器の面を、ベースプレートに密封固定して、この空間が冷却チャネルを形成するようしてもよい。接続された形態において、冷却器の冷却チャネルは、冷却領域を、特に少なくとも部分的にベースプレートの補助領域を囲んでいてもよい。好ましくは、冷却剤は、冷却器の冷却チャネルの中を流れる液体冷却剤である。冷却チャネルは、平坦な底部と、底部に対して実質的に垂直である2つの側壁とを有していてもよく、側壁は、先に述べたようにベースプレートに固定されてもよい。好ましくは、2つの側壁は、実質的に互いに平行である。この場合、冷却剤流に対して垂直な断面は、実質的に矩形の形態を有する。側壁の平行度および垂直度に関して、角度偏差+/-5%の範囲内の小さな偏差が起こり得るものであり本明細書に含まれてもよい。
【0044】
しかしながら、冷却チャネルの幾何学的形状に厳密な制限はない。冷却器の冷却チャネルは、冷却領域と少なくとも1つの流れガイドとを収容するように適合させたものである。したがって、この構成は、ベースプレートの第1面上に配置することができるパワー半導体デバイスを、効果的にかつ一様に冷却することができる。
【0045】
補助領域と冷却領域との合計幅が冷却チャネルの幅に対応することが好ましい場合がある。冷却チャネルの2つの側壁間の最短距離が冷却チャネルの幅を定める。冷却剤のバイパス流を低減するために、冷却チャネルの幅は、補助領域と冷却領域との合計幅に実質的に等しい。「対応する」という表現に関して、冷却チャネルの幅と補助領域と冷却領域との合計幅との間に、大きい方の値に対して+/-5%の範囲内に入り得る小さな偏差があってもよい。
【0046】
一方側の冷却構造と流れガイドとの合計幅と同様の冷却領域と補助領域との合計幅と、他方側の冷却チャネルの幅とが対応しているので、実質的に冷却チャネル内の冷却剤全体が冷却領域の冷却に寄与し、冷却領域の周囲にバイパス流はない。たとえば、冷却剤のほぼすべてが冷却領域内の冷却構造を通って流れてもよい。
【0047】
冷却剤の流れ方向は、冷却チャネルの幅に対して垂直である。ベースプレートからの高度な放熱を実現するために、補助領域および冷却領域が冷却チャネルの幅に沿って並べられた構成を提供してもよい。したがって、この補助領域および冷却領域の並びは冷却剤流の流れ方向に対して垂直であり、冷却剤流が流れガイドによって遮られないようにすることができる。補助領域および冷却領域を、冷却チャネルの幅に対して垂直に、したがって冷却剤流の流れ方向に沿って並べると、流れガイドが冷却剤流を妨げる可能性があり、したがって冷却領域における放熱に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0048】
先に述べたように、流れガイドがU字型の形態、矩形形状の形態、またはL字型の形態を有する構成が提供されてもよく、流れガイドの形態の長手方向軸は、冷却剤流の流れ方向に対して平行である。たとえば、流れガイドがU字型の形態を有する構成が提供されてもよく、U字型の形態の脚部分は冷却剤流の流れ方向に対して平行に配置される。好ましくは、U字型の形態の開口部は、冷却剤流の方向に向いており、したがって流れガイドの下流端にある。これに代わるものとして、U字型の形態の開口部は、冷却剤流と反対の方向に向いており、したがって流れガイドの上流端にある。流れガイドが実質的に矩形形状の形態を有し矩形形状の形態の長手方向軸を冷却剤流の流れ方向に対して平行にすることも可能であろう。さらに、流れガイドがL字型の形態を有しL字型の形態の長手方向軸を冷却剤流の流れ方向に対して平行にすることが可能であろう。L字形の構成部分の長さが異なる場合、L字型の形態の短い方の部分は、流れガイドの下流端にあっても上流端にあってもよい。
【0049】
この場合も、流れガイド形態の長手方向軸の、冷却剤流の流れ方向に対する平行度に関して、角度偏差+/-5%の範囲内の小さな偏差が起こり得るものであり本明細書に含まれてもよい。
【0050】
効果的な冷却に関して、冷却領域が冷却構造を含み冷却構造および流れガイドが冷却チャネルの底部と機械的に接触している構成が提供されてもよい。既に述べたように、流れガイドの高さが冷却構造の高さに対応する場合に有利となり得る。平坦な底部を有し得る冷却チャネルと組み合わせた場合、流れガイドおよび冷却構造が冷却チャネルの底部と機械的に接触していると、一層有利になる。したがって、実質的に冷却剤流全体が冷却構造を通って流れて冷却領域の冷却に寄与する。言い換えると、冷却構造と冷却チャネルの底部との間または流れガイドと冷却チャネルの底部との間に冷却剤のバイパス流は存在しない。したがって、非常に効果的な冷却が実現する。
【0051】
これまでの説明を要約すると、本発明は、ベースプレート上のパワー半導体デバイスを如何にして効果的におよび/または一様に冷却するかという重要な課題を解決する。
【0052】
本発明の上記およびその他の局面は、以下で説明する実施形態から明らかでありこれらの実施形態を参照しながら明らかにされるであろう。実施形態に開示されている個々の特徴は、単独でまたは組み合わせとして本発明のある局面を構成することができる。異なる実施形態の特徴をある実施形態から別の実施形態に引き継ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、パワー半導体モジュールのベースプレートの第1面の概略図を示す。
図2】本発明の第2の実施形態に係る、パワー半導体モジュールのべースプレートの第2面の概略図を示す。
図3】本発明に係る、図2のべースプレートおよび冷却器の構成の断面図を示す。
図4】本発明の他の実施形態に係る、ベースプレートおよび冷却器の他の構成の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態の説明
図1はパワー半導体モジュールのべースプレート10を示しており、参照符号10は特にベースプレート10の本体を指している。ベースプレート10は、少なくとも1つのパワー半導体デバイス14を含む電子回路を担持するように適合させた第1面12を含む。図1に示されるこの第1の実施形態において、ベースプレート10は4つのパワー半導体デバイス14を担持するように適合させたものである。パワー半導体デバイス14の各々は、ベースプレート10の第1面12の上にデバイス領域16を画定する。明確にするために、デバイス領域16は、デバイス14が実際に確定する領域よりもわずかに大きく示されており、デバイス領域16はパワー半導体デバイス14のフットプリントであることに注意する必要がある。ベースプレート10は、第1面12の反対側の第2面18をさらに含む。この実施形態において、第2面18はベースプレート10の下面であり第1面12に平行である。第2面18は、少なくとも1つのデバイス領域16の反対側の少なくとも1つの冷却領域20を含む。この第1の実施形態において、第2面18は、各デバイス領域16の反対側の冷却領域20を含む。したがって、第2面18は4つの冷却領域20を含む。各冷却領域20のサイズおよび位置は、各デバイス領域16の、したがって対応するパワー半導体デバイス14の、サイズおよび位置に対応する。第2面18は、冷却領域20に隣接して配置された補助領域22をさらに含む。この第1の実施形態では、2つの冷却領域20の間に位置する1つの補助領域22がある。
【0055】
図2に、ベースプレート10の他の実施形態が示されており、同一または同等の構成要素は図1と同一の参照番号で示されている。
【0056】
図2において、ベースプレート10はその第1面12を下にして示されている。そのため、第1面12上のデバイス領域16は図2では見えない。しかしながら、第2面18上の冷却領域20が示されている。この第2の実施形態において、第2面18は1つの冷却領域20を含む。冷却領域20は、冷却チャネル26内の冷却剤流24に冷却領域20を接触させることによってベースプレート10からの熱を放散させるように適合させたものであり、冷却チャネル26は図2には示されていないが図3に示されている。冷却領域20の隣に補助領域22がある。図2は、補助領域22が流れガイド28を含むことを示している。流れガイド28は、補助領域22における冷却剤流24の流量を減じるように適合させたものである。
【0057】
図2は、冷却領域20が冷却構造30を含むことも示しており、冷却構造30は、冷却チャネル26内に配置され、冷却剤流24が冷却構造の中を流れるように適合させたものである。この第2の実施形態において、冷却構造30は複数の冷却ピン32を含む。冷却ピン32は、ベースプレート10の第2面18から垂直に突出している。
【0058】
流れガイド28および冷却構造30はベースプレート10の一部として理解されてもよい。
【0059】
図2の本発明の第2の実施形態において、流れガイド28は、補助領域22の輪郭に対応して配置されたリム34で形成されている。流れガイド28は実質的に矩形形状の形態を有する。矩形形状のリム34のエッジは丸くされている。流れガイド28の高さ、したがってリム34の高さは、冷却構造30の高さに、したがって冷却ピン32の高さに対応する。流れガイド28の内部は中空である。よって、流れガイド28の製造に使用されるのはほんのわずかな材料である。流れガイド28の矩形形状の形態の長手方向軸36は、冷却剤流24の流れの方向に対して平行である。
【0060】
図3は、図2のベースプレート10および冷却器38の構成46を示す。冷却器38は、冷却剤流24を提供するように適合させた冷却チャネル26を含む。冷却チャネル26は、平坦な底部40と、底部40に対して実質的に垂直な2つの側壁42とを有する。冷却チャネル26の2つの側壁42間の最短距離が冷却チャネル26の幅44を定める。
【0061】
冷却器38の冷却チャネル26は、冷却構造30と少なくとも1つの流れガイド28とを収容するように適合させたものである。
【0062】
図2および図3からわかるように、補助領域22と冷却領域20との合計幅は、冷却チャネル26の幅44に対応する。補助領域22および冷却領域20は、冷却チャネル26の幅44に沿って並べられている。したがって、冷却領域22を通る冷却剤流24が流れガイド28によって遮られないようにすることができる。よって、非常に効率的で一様なデバイス14の冷却が実現する。さらに、冷却構造30および流れガイド28は、冷却チャネル26の底部40と機械的に接触している。これが、冷却チャネル26の底部40と冷却構造30または流れガイド28との間の冷却剤のバイパス流を効果的に防止する。
【0063】
図4は、ベースプレート10および冷却器38の構成を示す。この図は上から見たものなので、図4では冷却器38の側壁42のみが見えている。ベースプレート10は、12個のパワー半導体デバイス14を担持するように適合させたものである。12個のパワー半導体デバイス14がこのようにしてベースプレート10の第1面12に配置されているので、ベースプレートの第2面18には12個の冷却領域20が存在し、各冷却領域20は1つのデバイス領域16に対応する。しかしながら、12個の冷却領域20は、各々が6個の冷却領域20からなる2つのグループで配置され、6個の冷却領域20からなる各グループが、1つの連続領域を形成しているので、第2面18は2つの冷却領域20を含むと言うこともできる。さらに、第2面18は、補助領域22内に流れガイド28を含む。この実施形態において、流れガイド28はL字型である。流れガイド28のL字型形態の長手方向軸36は、冷却剤流24の流れ方向に対して平行である。
【0064】
本発明は図面および上記記載において詳細に示され説明されているが、このような図示および説明は、例示または具体例であって限定するものではないとみなされねばならず、本発明は開示されている実施形態に限定されない。開示されている実施形態のその他の変形は、当業者が、クレームされている発明を実施する際に、図面、本開示、および添付の請求項の検討を通して理解および実施することができる。請求項において、「備える(comprising)」という用語は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。単に特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、そのことがこれらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示唆する訳ではない。請求項におけるいかなる参照符号も範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0065】
参照符号のリスト
10 ベースプレート
12 第1面
14 パワー半導体デバイス
16 デバイス領域
18 第2面
20 冷却領域
22 補助領域
24 冷却剤流
26 冷却チャネル
28 流れガイド
30 冷却構造
32 冷却ピン
34 リム
36 長手方向軸
38 冷却器
40 底部
42 側壁
44 幅
46 構成
図1
図2
図3
図4