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特許7614175気化器デバイス用の気化可能材料インサート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】気化器デバイス用の気化可能材料インサート
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20250107BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20250107BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/20
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022507612
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020045382
(87)【国際公開番号】W WO2021026443
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】62/884,668
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イアン ガルシア-ドティ
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533732(JP,A)
【文献】特表2017-529848(JP,A)
【文献】特開昭51-038499(JP,A)
【文献】国際公開第2018/206615(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを形成するために気化器デバイスと共に使用される気化可能材料インサートであって、前記気化可能材料インサートが、
入口および出口を有するハウジングと、
加熱の結果として前記吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含み、前記入口と前記出口との間の前記ハウジング内に延在する、気化可能材料コンポーネントと、
前記気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、少なくとも部分的に前記気化可能材料コンポーネントの壁によって画定される空気流路と
を備え、
前記気化可能材料コンポーネントの前記壁は、前記空気流路に沿って移動する空気が前記気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止し、前記壁により、前記吸入可能なエアロゾルが前記空気流路内に形成されて、ユーザによる吸入のために前記出口を通って移動可能となる、
気化可能材料インサート。
【請求項2】
前記気化可能材料コンポーネントが、円筒形状を有する、請求項1記載の気化可能材料インサート。
【請求項3】
前記空気流路は、前記壁が前記空気流路を画定するように前記気化可能材料コンポーネントを通って延在する、請求項1または2記載の気化可能材料インサート。
【請求項4】
前記気化可能材料コンポーネントに沿って延在する加熱素子をさらに備え、前記気化可能材料コンポーネントが、前記加熱素子と前記空気流路との間に配置されている、請求項1記載の気化可能材料インサート。
【請求項5】
前記加熱素子が、前記気化可能材料コンポーネントを通りかつ前記気化可能材料コンポーネントの長手方向軸線に沿って延在する、請求項4記載の気化可能材料インサート。
【請求項6】
前記気化可能材料コンポーネントが、平坦な形状を有する、請求項4記載の気化可能材料インサート。
【請求項7】
前記気化可能材料コンポーネントは、前記気化可能材料およびグアーガム材料から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項8】
前記気化可能材料コンポーネントが、前記気化可能材料およびラポナイト材料から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項9】
前記気化可能材料は、タバコ材料を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項10】
前記タバコ材料は、タバコ粉末を含む、請求項9記載の気化可能材料インサート。
【請求項11】
前記ハウジングが、紙材料から形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記気化可能材料コンポーネントを加熱するように構成された加熱素子を含む、請求項1記載の気化可能材料インサート。
【請求項13】
前記気化可能材料コンポーネントは、前記気化可能材料と直接に接触しかつ前記気化可能材料コンポーネント内に含まれる熱伝導性粒子を含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項14】
前記熱伝導性粒子が、金属材料から形成されている、請求項13記載の気化可能材料インサート。
【請求項15】
前記気化可能材料コンポーネントの熱伝導率が、約0.2W/mK~約0.6W/mKの範囲を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の気化可能材料インサート。
【請求項16】
吸入可能なエアロゾルを生成するためのシステムであって、前記システムが、
入口および出口を有するハウジングと、
加熱の結果として前記吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含み、前記入口と前記出口との間で前記ハウジング内に延在する、気化可能材料コンポーネントと、
前記気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、少なくとも部分的に前記気化可能材料コンポーネントの壁によって画定される空気流路であって、前記気化可能材料コンポーネントの前記壁は、当該空気流路に沿って移動する空気が前記気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止し、前記壁により、前記吸入可能なエアロゾルが当該空気流路内に形成されて、ユーザによる吸入のために前記出口を通って移動可能となる、空気流路と
を備えた気化可能材料インサートと、
前記気化可能材料インサートを受容するように構成された気化可能材料インサートレセプタクルと、
前記気化可能材料インサートを加熱して前記吸入可能なエアロゾルを形成するために、加熱素子に電力を供給する電源と
を備えた気化器デバイスと
を備える、システム。
【請求項17】
前記気化器デバイスが、前記加熱素子を含む、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記気化可能材料インサートが、前記加熱素子を含む、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記気化可能材料インサートレセプタクルが、前記気化可能材料インサートとのスライドフィットを提供する、請求項16から18までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項20】
前記気化可能材料コンポーネントが、前記気化可能材料およびグアーガム材料から形成されている、請求項16から19までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項21】
前記気化可能材料コンポーネントが、前記気化可能材料およびラポナイト材料から形成されている、請求項16から19までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項22】
前記気化可能材料は、タバコ材料を含む、請求項16から21までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項23】
前記タバコ材料は、タバコ粉末を含む、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
ユーザによる吸入のための吸入可能なエアロゾルを生成するための方法であって、前記方法が、
入口および出口を有するハウジングと、
加熱の結果として前記吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含み、前記入口と前記出口との間で前記ハウジング内に延在する、気化可能材料コンポーネントと、
前記気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、少なくとも部分的に前記気化可能材料コンポーネントの壁によって画定される空気流路であって、前記気化可能材料コンポーネントの前記壁は、当該空気流路に沿って移動する空気が前記気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止し、前記壁により、前記吸入可能なエアロゾルが当該空気流路内に形成されて、ユーザによる吸入のために前記出口を通って移動可能となる、空気流路と
を備えた気化可能材料インサートを気化器デバイスの区画内へ受容することと、
前記気化可能材料インサートの前記気化可能材料コンポーネントを加熱するように構成された加熱素子を作動させることと、
前記気化可能材料コンポーネントの加熱の結果として、前記吸入可能なエアロゾルを形成することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月8日付にて出願された“VAPORIZABLE MATERIAL INSERT FOR VAPORIZER DEVICE”と題する米国特許仮出願第62/884668号についての米国特許法第119条(a)に基づく優先権を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
技術分野
本明細書において説明される主題は、気化器デバイスと共に使用される気化可能材料インサートの種々の実施形態に関する。
【0003】
背景
気化器、電子気化器デバイス、またはe気化器デバイスとも称されうる気化器デバイスは、気化器デバイスのユーザによるエアロゾルの吸入による、1つもしくは複数の活性成分を含むエアロゾル(例えば、固定のもしくは変動する質量の空気または他の幾つかの気体担体に懸濁された気相材料および/または凝縮相材料)の供給に使用可能である。例えば、電子ニコチン供給システム(ENDS)は、バッテリ電源によって駆動されて喫煙の体験のシミュレートに使用可能なクラスの気化器デバイスを含む。気化器は、処方医療での使用すなわち薬剤の供給においても、タバコ、ニコチンおよびその他の植物ベースの物質の消費においても、人気が高まっている。気化器デバイスは、携行可能であり、自給式であり、かつ/または使用に便利でありうる。
【0004】
気化器デバイスの使用において、ユーザは、例えば気化可能材料を少なくとも部分的に気相へ移行させることによって、気化可能材料を気化させる加熱素子によって生成可能な、一般に「蒸気」と称されるエアロゾルを吸入する。気化可能材料は、液体、溶液、固体、ペースト、ワックス、および/または特定の気化器デバイスでの使用に適合可能な他の任意の形態のものであってよい。さらに、気化器で使用される気化可能材料は気化器カートリッジ内で提供することができ、当該気化器カートリッジは、気化可能材料を含み、気化可能材料の気化によって生成されるエアロゾルをユーザに供給するための出口(例えばマウスピース)を有する、気化器デバイスから分離可能な部分でありうる。
【0005】
気化器デバイスによって生成された吸入可能なエアロゾルを受容するために、ユーザは、所定の例では、パフ(吸い出し)を行うことによって、ボタンを押すことによって、かつ/または何らかの他のアプローチによって、気化器デバイスを作動させることができる。本明細書で使用されるパフとは、気化された気化可能材料が所定量の空気と組み合わされたときに吸入可能なエアロゾルが生成されるように、気化器デバイス内に所定量の空気を吸引させるような、ユーザによる吸入を指すことができる。
【0006】
気化器デバイスが気化可能材料から吸入可能なエアロゾルを生成するアプローチは、気化可能材料を気相(または蒸気相)へ変換させるための気化チャンバ(例えばヒータチャンバ)内での気化可能材料の加熱を含む。気化チャンバとは気化器デバイス内の領域または容積を指すことができ、この領域又は容積の内部において、熱源(例えば伝導性熱源、対流性熱源および/または輻射性熱源)は、気化可能材料を加熱して、気化器デバイスのユーザが気化可能材料を吸入するための蒸気が形成されるように空気と気化可能材料との混合物を生成する。
【0007】
幾つかの実施形態では、固体の気化可能材料(例えばタバコリーフおよび/またはタバコリーフの一部などの植物材料)を加熱するように構成された気化器カートリッジでは、気化に必要な最低限の温度への到達のために、より高い温度が内側タバコ領域に必要となる。このため、こうした高いピーク温度で固体の気化可能材料を燃焼させることから、望ましくない副生成物(例えば化学元素または化合物)が生成されてしまうことがある。
【0008】
気化器デバイスは、伝導によって加熱されるものと対流によって加熱されるものとの2つのクラスに分類することができる。例えば、伝導ベースの気化器デバイスは、液体状の気化可能材料に接触する加熱素子を使用して、液体状の気化可能材料を気化させるように構成可能である。したがって、液体状の気化可能材料では、加熱素子が汚染されて、このために気化器デバイスの性能が損なわれる可能性がある。幾つかの気化器では、加熱素子を気化器デバイスのディスポーザブル部分(例えばカートリッジ)に組み込むことができ、これにより、新しいカートリッジの交換のたびに加熱素子を共に交換することで加熱素子の汚染を抑制することができるが、この汚染を排除することはできない。なお、このことは、ディスポーザブル品に関連する製造労力およびコストを増大させうる。さらに、電流伝導ベースの気化器内での気化可能材料の均一な加熱は、所定の気化可能材料(例えばタバコなどの植物材料)の低い熱伝導率のために達成困難となることがある。
【0009】
幾つかの気化可能材料は、タバコなどの植物材料を含み、低い熱伝導率を有し、したがって均一に加熱することが困難でありうる。さらに、このような気化可能材料は、熱が気化可能材料を通って完全に浸透することを制限する多数の空隙を含みうる。このため、現在の気化器デバイスは、ヒータ近傍の気化可能材料が過熱され、ヒータから離れた気化可能材料が加熱不足となることによるこのような加熱の難点を克服しようとしている。このような不均一な加熱は、不充分な蒸気生成、過熱したタバコからの不快な臭い、および/または有害なもしくは潜在的に有害な化学物質の放出の増大をもたらす可能性がある。
【0010】
他の気化器デバイスは、気化器デバイスの再利用可能なもしくは耐用可能な部分内に加熱素子を含むことができ、これにより、加熱素子は、気化器デバイスの寿命にわたって再利用されるように構成されている。しかしながら、このような気化器デバイス内のヒータは故障することが多く、クリーニングを必要とする。
【0011】
発明の概要
本主題の態様は、吸入可能なエアロゾルを生成するためのシステムに関する。当該システムは、吸入可能なエアロゾルを形成するために気化器デバイスと共に使用される気化可能材料インサートを含みうる。
【0012】
一態様では、気化可能材料インサートは、入口および出口を含むハウジングと、気化可能材料コンポーネントとを含みうる。気化可能材料コンポーネントは、加熱の結果として吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含みうる。気化可能材料コンポーネントは、入口と出口との間でハウジング内に延在していてよい。気化可能材料コンポーネントはさらに、気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、気化可能材料コンポーネントの壁によって少なくとも部分的に画定可能な、空気流路を含むことができる。気化可能材料コンポーネントの壁により、空気流路に沿って移動する空気が気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止することができる。さらに、この壁は、吸入可能なエアロゾルが空気流路内に形成されてユーザによる吸入のために出口を通って移動することを可能にすることができる。
【0013】
幾つかの変形形態では、以下の特徴のうちの1つもしくは複数が、実現可能な任意の組み合わせの任意選択手段として含まれうる。幾つかの実施形態では、空気流路は、壁が空気流路を画定するように気化可能材料コンポーネントを通って延在していてよい。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートはさらに、気化可能材料コンポーネントに沿って延在する加熱素子を含むことができる。気化可能材料コンポーネントは、加熱素子と空気流路との間に配置することができる。幾つかの実施形態では、加熱素子は、気化可能材料コンポーネントを通り、かつその長手方向軸線に沿って延在することができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネントは円筒形状を有しうる。幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネントは平坦な形状を有しうる。気化可能材料コンポーネントは、気化可能材料およびグアーガム材料から形成することができる。気化可能材料コンポーネントは、気化可能材料およびラポナイト材料から形成することもできる。気化可能材料は、タバコ材料を含むことができる。タバコ材料は、タバコ粉末を含むことができる。ハウジングは、紙材料から形成されていてよい。ハウジングは、気化可能材料コンポーネントを加熱するように構成された加熱素子を含みうる。気化可能材料コンポーネントは、気化可能材料と直接に接触し、気化可能材料コンポーネント内に含まれる熱伝導性粒子を含みうる。熱伝導性粒子は、金属材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネントの熱伝導率は、約0.2W/mK~約0.6W/mKの範囲を有しうる。
【0015】
別の態様では、吸入可能なエアロゾルを生成するためのシステムが、気化可能材料インサートおよび気化器デバイスを含みうる。気化可能材料インサートは、入口および出口を含むハウジングと、気化可能材料コンポーネントとを含みうる。気化可能材料コンポーネントは、加熱の結果として吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含みうる。気化可能材料コンポーネントは、入口と出口との間でハウジング内に延在していてよい。気化可能材料コンポーネントはさらに、気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、気化可能材料コンポーネントの壁によって少なくとも部分的に画定可能な、空気流路を含みうる。気化可能材料コンポーネントの壁は、空気流路に沿って移動する空気が気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止することができる。さらに、壁により、吸入可能なエアロゾルが空気流路内に形成されてユーザによる吸入のために出口を通って移動することを可能にすることができる。
【0016】
システムの幾つかの実施形態では、気化器デバイスは、気化可能材料インサートを受容するように構成された気化可能材料インサートレセプタクルを含みうる。気化器デバイスはまた、気化可能材料インサートを加熱して吸入可能なエアロゾルを形成するために加熱素子に電力を供給する電源も含むことができる。
【0017】
幾つかの変形形態では、以下の特徴のうちの1つもしくは複数が、実現可能な任意の組み合わせの任意選択手段として含まれうる。幾つかの実施形態では、気化器デバイスは加熱素子を含むことができる。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートが加熱素子を含むことができる。気化可能材料インサートレセプタクルは、気化可能材料インサートとのスライドフィットを提供することができる。気化可能材料コンポーネントは、気化可能材料およびグアーガム材料から形成することができる。気化可能材料コンポーネントは、気化可能材料およびラポナイト材料から形成することもできる。気化可能材料は、タバコ材料を含むことができる。タバコ材料は、タバコ粉末を含むことができる。
【0018】
本主題の別の関連する態様では、方法が、気化器デバイスの区画内へ気化可能材料インサートを受容することを含む。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートは、入口および出口を含むハウジングと気化可能材料コンポーネントとを含むことができる。気化可能材料コンポーネントは、加熱の結果として吸入可能なエアロゾルの一部を形成する気化可能材料を含みうる。気化可能材料コンポーネントは、入口と出口との間でハウジング内に延在していてよい。気化可能材料コンポーネントはさらに、気化可能材料コンポーネントに沿って延在し、気化可能材料コンポーネントの壁によって少なくとも部分的に画定可能な、空気流路を含むことができる。気化可能材料コンポーネントの壁により、空気流路に沿って移動する空気が気化可能材料コンポーネント内へ移動することを阻止することができる。さらに、壁は、吸入可能なエアロゾルが空気流路内に形成されてユーザによる吸入のために出口を通って移動することを可能にすることができる。当該方法はさらに、気化可能材料インサートの気化可能材料コンポーネントを加熱し、気化可能材料コンポーネントの加熱の結果として吸入可能なエアロゾルを形成するように構成された加熱素子を作動させることを含みうる。
【0019】
本明細書において説明する主題の1つもしくは複数の変形形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書において説明される他の特徴および利点は、当該説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。本開示に続く特許請求の範囲は、権利保護されるべき主題の範囲の規定を意図するものである。
【0020】
本明細書に組み込まれてその一部を成す添付の図面は、本明細書で開示する主題の所定の態様を示し、説明と共に、開示の実現形態に関連する基本方式のうちの幾つかの説明を補助するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本主題の実現形態に一致する気化器デバイスの例を示したブロック図である。
図2A図1の気化器デバイスと共に使用可能な気化可能材料インサートの一実施形態を示す斜視図である。
図2B】気化器デバイスの気化可能材料インサートレセプタクルの一実施形態に挿入された、図2Aの気化可能材料インサートを示す断面図である。
図3A図1の気化器デバイスと共に使用可能な気化可能材料インサートの別の実施形態を示す斜視図である。
図3B】気化器デバイスの気化可能材料インサートレセプタクルの一実施形態に挿入された、図3Aの気化可能材料インサートを示す断面図である。
図4A図1の気化器デバイスと共に使用可能な気化可能材料インサートのさらに別の実施形態を示す斜視図である。
図4B】気化器デバイスの気化可能材料インサートレセプタクルの一実施形態に挿入された、図4Aの気化可能材料インサートを示す斜視図である。
【0022】
実際には、同様の参照番号は、同様の構造、特徴もしくは要素を示している。
【0023】
詳細な説明
本主題の実現形態は、ユーザによる吸入のための1つもしくは複数の気化可能材料の気化に関するデバイスおよび方法を含む。例えば、気化器デバイスと共に使用される気化可能材料インサートの種々の実施形態が本明細書において説明される。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートは、気化可能材料を含む1つもしくは複数の材料から形成された気化可能材料コンポーネントを含む。気化可能材料コンポーネントは、自身を通る空気流を阻止し、効率的かつ効果的な熱伝導性を達成するように構成可能である。例えば、気化可能材料コンポーネントは空気ポケットを有さないかまたは最小量の空気ポケットを有することができ、これにより、気化可能材料コンポーネントがその気化可能材料を効率的かつ効果的に加熱することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートは、加熱素子から気化可能材料コンポーネントへの効率的かつ効果的な熱伝達を可能にするために、気化可能材料コンポーネントが加熱素子と直接に接触してかつ/または加熱素子に近接して配置されうるように構成され得る。したがって、本明細書において説明する気化可能材料インサートは、現在利用可能な幾つかの気化可能材料インサートと比較してより効率的に加熱を行うことができるうえ、気化可能材料の加熱および気化に要求される電力も比較的小さくなる。その他の利点も本明細書において説明され、本開示の範囲に該当する。気化可能材料コンポーネントを有する気化可能材料インサートの種々の実施形態、ならびに気化可能材料インサートを加熱するように構成された気化器デバイスの実施形態を、以下でより詳細に説明する。
【0025】
以下の説明および特許請求の範囲において使用される「気化器デバイス」なる用語は、自給式の装置、2つ以上の分離可能な部品(例えば、バッテリおよび他のハードウェアを含む気化器本体ならびに気化可能材料を含むカートリッジまたはインサート)および/またはこれらに類するものを含む装置のいずれかを指す。本明細書で使用する「気化器システム」とは、1つもしくは複数の構成要素、例えば気化器デバイスを含むことができる。本主題の実現形態に一致する気化器デバイスの例には、電子気化器、電子ニコチン供給システム(ENDS)および/またはこれらに類するものが含まれる。一般に、このような気化器デバイスは、吸入可能な用量の材料を提供するために、気化可能材料を(例えば、対流、伝導、放射、および/またはこれらのうちの幾つかの組み合わせによって)加熱するハンドヘルドデバイスである。
【0026】
気化器で使用される気化可能材料は、任意選択手段として、気化可能材料インサートまたはカートリッジ(例えば気化可能材料を含む気化器の部分)内で提供され得、空となった場合には補充可能であり、または同じもしくは異なるタイプの付加的な気化可能材料を含む新しいカートリッジを使用できるようにディスポーザブルであってよい。気化器デバイスは、カートリッジを使用する気化器デバイス、カートリッジなしの気化器デバイス、またはカートリッジの有無にかかわらず使用可能な多用途気化器デバイスであってよい。幾つかのカートリッジの実施形態は、気化可能材料インサートを含むことができる。例えば、気化可能材料インサートの実施形態は、少なくとも部分的に非液体状の気化可能材料から成っていてよい。したがって、気化器デバイスの幾つかの実施形態は、以下でより詳細に説明するように、加熱されて吸入可能なエアロゾルを形成する1つもしくは複数の気化可能材料から少なくとも部分的に形成されている気化可能材料インサートを受容するように構成することができる。幾つかの実施形態では、気化器デバイスは、気化可能材料インサートを直接にその内部に受容し、吸入可能なエアロゾルの形成のために気化可能材料インサートを加熱するように構成された加熱チャンバまたは加熱区画(例えば気化可能材料インサートレセプタクル)を含むことができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、気化器デバイスは、液体状の気化可能材料(例えば活性成分および/または不活性成分が溶液中に懸濁されているまたは保持されている担体溶液、または気化可能材料自体が液体状である形態)および/または非液体状の気化可能材料(例えばペースト、ワックス、ゲル、固体、植物材料および/またはこれらに類するもの)と共に使用されるように構成可能である。非液体状の気化可能材料は、一部を気化可能材料として放出する植物材料(例えば当該植物材料の一部が、ユーザによる吸入のために材料が気化された後、廃棄物として残る)を含んでよく、または任意選択手段として、固体材料の全体が最終的に吸入のために気化可能であるような、固体の形態の気化可能材料自体であってもよい。同様に、液体状の気化可能材料は、完全に気化可能なものであってもよいし、または吸入に適した材料の全てが気化された後に一部が残るような液体材料を含んでいてもよい。
【0028】
図1は、本主題の実現形態に一致する気化器デバイス100の一例を示したブロック図を示している。図1を参照すると、気化器デバイス100は、電源112(例えば再充電可能バッテリであってよいバッテリ)と、加熱素子141からの熱の供給を制御するコントローラ104(例えば、ロジックを実行できるプロセッサ、回路など)とを含む。加熱素子141は、気化可能材料インサート120の気化可能材料102を凝縮形態(例えば固体、液体、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未処理の植物材料の一部など)から気相へ変換させる。コントローラ104は、本主題の特定の実現形態に一致する1つもしくは複数のプリント回路基板(PCB)の一部であってよい。
【0029】
気化可能材料102が気相へ変換された後、気相の気化可能材料102の少なくとも一部が凝縮可能となり、エアロゾルの部分としての気相と少なくとも部分的に局所的平衡状態にある粒子状物質が形成される。これにより、気化器デバイス100でのユーザによるパフまたは吸引の間に気化器デバイス100によって提供される吸入可能用量の一部または全部を形成することができる。気化器デバイス100によって生成されたエアロゾル中の気相と凝縮相との相互作用は、周囲温度、相対湿度、化学反応、(気化器内ならびに人間または他の動物の気道内の双方の)空気流路における流動条件、および/または気相もしくはエアロゾル相にある気化可能材料102と他の空気流との混合度などの要因によって複雑かつ動的となりうることを理解されたい。幾つかの気化器デバイス、特に揮発性の気化可能材料が供給されるように構成された気化器デバイスでは、吸入可能用量は、主に気相で存在しうる(例えば凝集相の粒子の形成はきわめて制限されることがある)。
【0030】
加熱素子141は、伝導性ヒータ、輻射ヒータ、および/または対流性ヒータのうちの1つもしくは複数を含んでいてよい。加熱素子の1つの形式は抵抗性加熱素子である。抵抗性加熱素子は、加熱素子の1つもしくは複数の抵抗セグメントに通電されたときに電力を熱の形態で放出させるように構成された材料(例えば、金属もしくは合金、例えばニッケルクロム合金、または非金属抵抗)を含みうる。本主題の幾つかの実現形態では、加熱素子141(例えば抵抗性加熱素子および/またはこれに類するもの)は、気化可能材料102を気化させて吸入可能用量の気化可能材料102を生成するための熱を生成するように構成されている。上記のように、気化可能材料102は、液体状であっても非液体状であってもよい(または液体状と非液体状との双方の組み合わせであってもよい)。例えば、加熱素子141は、気相および/または凝縮相(例えばエアロゾル粒子または液滴)において続くユーザによる吸入のために気化されるよう、気化可能材料102に熱を供給すべく、巻き付けられていてもよいし、内部に配置されていてもよいし、バルク形状となるように統合されていてもよいし、加圧成形されて熱的に接触していてもよいし、別の方式で配置されていてもよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、気化可能材料102は、例えば固相材料(例えばゲル、ワックス、もしくはこれに類するもの)または植物材料(例えばタバコリーフおよび/またはその一部)を含む非液体状の気化可能材料であってよい。気化可能材料102が非液体状の気化可能材料である場合、加熱素子141は、気化可能材料インサート120が配置される加熱チャンバまたは加熱区画(例えば気化可能材料インサートレセプタクル118)の壁の一部であってよく、そうでなければ当該壁の内部へまたは当該壁と熱的に接触するように組み込まれていてもよい。代替的に、加熱素子141を使用して、気化可能材料インサート120を通る空気またはこれを通過した空気を加熱し、気化可能材料インサート120の気化可能材料102の対流加熱を生じさせることができる。さらに別の例では、加熱素子141は、気化可能材料インサート120の気化可能材料102の直接の伝導加熱が加熱チャンバの壁(例えばオーブンおよび/またはこれに類するもの)からの伝導のみによってではなく、気化可能材料102の質量内からも行われるように、気化可能材料102と密に接触させて配置され得る。幾つかの実施形態では、加熱素子141は、図1に示しているように、気化器本体110の一部(例えば、気化器100の耐用可能部分または再使用可能部分の一部)であってよい。幾つかの実施形態では、加熱素子141は、気化可能材料インサート120の一部(例えば、気化器100のディスポーザブル部分の一部)であってよい。例えば、気化可能材料インサート120は、気化器本体110の電源112と気化器材料インサート120の加熱素子141との間に導電路を形成するために、(例えば気化可能材料インサートレセプタクル118に沿って配置された)1つもしくは複数の気化器本体コンタクトに嵌合する、1つもしくは複数の気化可能材料コンタクトを含むことができる。
【0032】
加熱素子141は、気化器デバイス100の端部および/またはマウスピースでのユーザのパフ(例えば、吸引、吸入など)に関連して作動され、マウスピース内の空気出口を通じて供給されうる吸入可能なエアロゾルの形成を支援する空気流路に沿って、空気入口から空気を通流させることができる。空気流路に沿って移動する流入空気は、加熱素子141および/または気化可能材料102を介してもしくはこれらを通って移動し、ここで、気相の気化可能材料102が空気中へと取り出される。加熱素子141は、本明細書で説明しているように任意選択手段として気化器本体110の一部であってもよいコントローラ104により作動され得、これにより、電源112から、気化器本体110の一部であってよい加熱素子141を含む回路を通して電流が流れる。本明細書で記述しているように、取り出された気相の気化可能材料102は空気流路の残りを通過するときに凝縮されうるので、エアロゾル形態の吸入可能用量の気化可能材料102を、ユーザによる吸入のために空気出口(例えばマウスピース)から供給することができる。
【0033】
加熱素子141の作動は、1つもしくは複数のセンサ113によって生成された1つもしくは複数の信号に基づき、パフの自動的な検出によって引き起こされ得る。センサ113およびこのセンサ113によって生成される信号は、周囲圧力に対しての空気流路に沿った圧力を検出する(または任意選択手段として絶対圧力の変化を測定する)ように配置された1つもしくは複数の圧力センサ、気化器デバイス100の1つもしくは複数の運動センサ(例えば加速度計)、気化器デバイス100の1つもしくは複数の流量センサ、気化器デバイス100の静電容量リップセンサ、1つもしくは複数の入力デバイス116を介したユーザと気化器デバイス100との対話の検出部(例えば、気化器デバイス100のボタンまたは他の触覚制御デバイス)、気化器デバイス100と通信しているコンピューティングデバイスからの信号および/またはパフが発生しているかもしくは差し迫っていることを判別する他のアプローチによる信号の受信部、のうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0034】
本明細書で論じるように、本主題の実現形態と一致する気化器デバイス100は、この気化器デバイス100と通信する1つのコンピューティングデバイス(または任意選択手段として2つ以上のデバイス)に(例えば無線によってまたは有線接続を介して)接続されるように構成可能である。このために、コントローラ104は、通信ハードウェア105を含むことができる。コントローラ104は、メモリ108を含むこともできる。通信ハードウェア105は、ファームウェアを含むことができ、かつ/または通信のための1つもしくは複数の暗号化プロトコルを実行するソフトウェアによって制御され得る。
【0035】
コンピューティングデバイスは、気化器デバイス100をも含む気化器システムの構成要素であってよく、気化器デバイス100の通信ハードウェア105との無線通信チャネルを確立することのできる通信用の固有のハードウェアを含むことができる。例えば、気化器システムの一部として使用されるコンピューティングデバイスは、ユーザが気化器デバイス100と対話できるようにするためのユーザインタフェースを形成するソフトウェアを実行する汎用コンピューティングデバイス(例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、その他の幾つかのポータブルデバイス、例えばスマートウォッチもしくはこれに類するもの)を含むことができる。本主題の他の実現形態では、気化器システムの一部として使用されるこのようなデバイスは、ハードウェアの専用部分、例えば遠隔制御部、または1つもしくは複数の物理的なインタフェース制御もしくは(例えば画面上もしくは他の表示装置で構成可能であって、タッチセンシティブスクリーンまたはマウス、ポインタ、トラックボール、カーソルボタンもしくはこれに類するものなどの他の幾つかの入力デバイスとのユーザインタラクションを介して選択可能である)ソフトウェアによるインタフェース制御を有する、他の無線装置もしくは有線装置であってよい。気化器デバイス100はさらに、1つもしくは複数の出力部117またはユーザに情報を提供するためのデバイスを含むことができる。例えば、出力部117は、気化器デバイス100の状態および/または動作モードに基づいてユーザにフィードバックを提供するように構成された1つもしくは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。
【0036】
コンピューティングデバイスが加熱素子の作動に関連する信号を提供する実施例、または種々の制御もしくは他の機能の実現のために自身を気化器デバイス100に結合させる他の実施例では、当該コンピューティングデバイスは、ユーザインタフェースおよび基礎となるデータ処理を提供するための1つもしくは複数のコンピュータ命令セットを実行する。一実施例では、1つもしくは複数のユーザインタフェース要素とユーザとの対話がコンピューティングデバイスによって検出されることにより、吸入可能用量の蒸気/エアロゾルを形成するための動作温度に達するまで加熱素子を作動させるべく、コンピューティングデバイスに気化器デバイス100への信号を送信させることができる。気化器デバイス100の他の機能は、気化器デバイス100と通信するコンピューティングデバイスのユーザインタフェースとユーザとの対話によって制御され得る。
【0037】
気化器デバイス100の加熱素子141の温度は、加熱素子141に供給される電力量および/または電力が供給されるデューティサイクル、気化器デバイス100の他の部分へのかつ/または環境への伝導性の熱伝達、気化可能材料102の気化による潜在的な熱損失、ならびに空気流(例えば気化器デバイス100でユーザが吸入を行う際に加熱素子141を横断して移動する空気)による対流熱損失、を含む多くの要因に依存しうる。本明細書で記述しているように、加熱素子141が高い信頼性で作動されるよう、または加熱素子141が所望の温度に加熱されるよう、気化器デバイス100は、本主題の幾つかの実現形態において、ユーザがいつ吸入を行うかを判別するために、センサ113(例えば圧力センサ)からの信号を使用することができる。センサ113は、空気流路に配置され得、かつ/または(例えば通路または他の流路を介して)気化器デバイス100に入る空気のための入口と、生じた蒸気および/またはエアロゾルをユーザが吸入するための出口とを含む空気流路に接続され得る。これにより、空気が空気入口から空気出口へと気化器デバイス100を通るのと同時に、センサ113が変化(例えば圧力変化)を感受する。本主題の幾つかの実現形態では、加熱素子141は、ユーザのパフに関連して、例えばパフの自動検出により、または空気流路の変化(例えば圧力変化)を検出するセンサ113により、作動され得る。
【0038】
センサ113は、コントローラ104(例えば、プリント回路基板アセンブリもしくは他のタイプの回路基板)上に配置され得、またはコントローラ104に結合(例えば、物理的にもしくは無線接続を介して、電気的もしくは電子的に接続される)され得る。気化器デバイス100の測定値を正確に取得し、耐用性を維持するためには、空気流路を気化器デバイス100の他の部分から分離するための充分な弾性を有するシールを設けることが有益でありうる。ガスケットであってよいシールは、気化器デバイス100の内部回路へのセンサ113の接続部が空気流路へと露出したセンサ113の部分から分離されるよう、センサ113を少なくとも部分的に取り囲むように構成され得る。気化器デバイス100内のシールのこのような配置は、蒸気相または液相にある水などの環境要因との相互作用から生じる気化器コンポーネントへの潜在的な破壊影響を軽減することにおいて、かつ/または気化器デバイス100内の指定の空気流路からの空気の漏出を低減することにおいて役立ちうる。気化器デバイス100の回路への、空気、液体もしくは他の流体の望ましくない通過および/または接触は、種々の望ましくない効果、例えば圧力読み取り値の変化を引き起こす可能性があり、かつ/または気化器デバイス100のうち圧力信号に劣化を生じさせうる部分における、望ましくない材料の蓄積、例えば湿分、気化可能材料102の逸脱部分などの蓄積、センサ113もしくは他の構成要素の劣化、および/または気化器デバイス100の寿命の短縮を招く可能性がある。また、シールの漏れは、吸入されることが望ましくない材料を含むかまたはこの材料から成る気化器デバイス100の部分を通過した空気をユーザに吸入させることにもなりうる。
【0039】
電源112が気化器本体110の一部であり、加熱素子141が気化器本体110に結合されるように構成された状態で気化可能材料インサート120内に配置されている気化器では、気化可能材料インサート120および気化器100が、コントローラ104(例えばプリント回路基板、マイクロコントローラもしくはこれに類するもの)、電源112および加熱素子141を含む回路を完成させるための電気接続機能部(例えば電気コンタクト)を含みうる。これらの電気接続部によって完成される回路は、加熱素子141(例えば抵抗性加熱素子)への電流の供給を可能にし、さらに、付加的な機能のために使用可能である。この付加的な機能は、例えば、抵抗性加熱素子の抵抗率の熱係数に基づく抵抗性加熱素子の温度の算定および/または制御に使用するための抵抗性加熱素子の抵抗値の測定である。
【0040】
幾つかの実施形態では、気化可能材料インサートレセプタクル118は、加熱素子141(例えば加熱コイル、抵抗性加熱素子など)の全部または一部を含むことができ、この加熱素子141は、例えば吸入可能なエアロゾルを形成するために、気化可能材料インサートレセプタクル118内に受容された気化可能材料インサート120を加熱するように構成されている。例えば、気化可能材料インサートレセプタクル118は、気化可能材料インサート120を受容するように構成された金属シースおよび抵抗ヒータを含むことができる。気化可能材料インサート120の種々の実施形態を、吸入可能なエアロゾルを形成するための種々の気化器本体110および気化可能材料インサートレセプタクル118と共に使用することにつき、本明細書において説明する。
【0041】
幾つかの実現形態では、気化可能材料インサート120は、気化可能材料インサートレセプタクル118内に挿入されるように、例えば気化可能材料インサート120の外面と気化可能材料インサートレセプタクル118の1つもしくは複数の内壁との間にスライドフィットが形成されるように構成され得る。例えば、気化可能材料インサート120は、気化可能材料インサートレセプタクル118と同じまたは類似の形状を有することができる。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサート120は、円形断面形状および/または円筒形状を有することができる。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサート120は、この気化可能材料インサート120が気化可能材料インサートレセプタクル118内へ挿入される際の軸線を横断する非円形断面を有することができる。例えば、非円形断面は、近似に矩形状、近似に楕円形状(例えば近似に長円形状を有する)、非矩形であるが平行または近似に平行の対向する2組の辺を有する形状(例えば、平行四辺形に類似した形状を有する)、または、例えば少なくとも次数2の回転対称性を有する他の形状であってよい。この文脈では、近似の形状とは、記載した形状に対する基本的な類似性は明らかであるものの、問題となっている形状の側辺が完全に直線状である必要がなく、また頂点が完全に鋭角である必要がないことを示している。断面形状の縁部もしくは頂点の双方または一方の丸みは、本明細書において言及する任意の非円形断面とみなされる。
【0042】
幾つかの実現形態では、気化可能材料インサートレセプタクル118を形成する1つもしくは複数の内壁のうちの少なくとも1つは、加熱素子141を含み、かつ/または熱伝導性材料を含むことができる。例えば、気化可能材料120がスライドフィットを形成しかつ/または気化可能材料インサートレセプタクル118と密接に接触する気化可能材料インサート120の構成が、加熱素子141と気化可能材料インサート120との間の効率的な熱伝達を可能にし、これにより、気化可能材料インサート120の気化可能材料102の効率的かつ効果的な加熱がもたらされる。
【0043】
さらに、気化可能材料インサート120は、非液体状の気化可能材料102の圧縮された構成および/または高密度の構成を含むことができ、このことは、さらに気化可能材料102の効率的かつ効果的な加熱および気化への寄与となりうる。例えば、圧縮された構成および/または高密度の構成の気化可能材料102は、気化可能材料102内に最小量の空気または空気ポケットを含むことができ、これにより、気化可能材料102に沿った熱伝達の効率および有効性を高めることができる。このような構成により、少なくとも気化可能材料102の効果的な加熱および気化に必要とされる加熱電力が減少するため、電力消費を低減することができる。付加的に、少なくとも気化可能材料102の改善された加熱効率のためにより低い加熱温度を気化可能材料102の加熱に使用することができ、また、この加熱温度により、電力消費量を低減させ、気化可能材料がより高い温度で加熱されることで生じる有害な副生成物の形成を低減させることもできる。上述した利点のうちの少なくとも幾つかを達成するために、圧縮された構成および/または高密度の構成で形成された気化可能材料を含む気化可能材料インサート120の種々の実施形態を、本明細書において説明する。
【0044】
図2A図2Bは、吸入可能なエアロゾルを加熱および形成するために、気化器本体110(例えば図1の気化可能材料インサートレセプタクル118)のレセプタクル内に挿入可能な気化可能材料インサート220の一実施形態を示している。図2Aに示されているように、気化可能材料インサート220は、ハウジング260を含むことができ、当該ハウジング260は、入口262と出口264との間に延在する内部チャンバを有する。気化可能材料インサート220は、ハウジング260内に少なくとも部分的に含まれかつ入口262と出口264との間に延在する気化可能材料コンポーネント222を含むことができる。図2Aに示されているように、気化可能材料インサート220は、例えば気化可能材料コンポーネント222の長手方向軸線に沿って気化可能材料コンポーネント222を通って延在する空気流路252を含むことができる。したがって、気化可能材料コンポーネント222の内壁は、空気流路252を画定することができる。
【0045】
図2Aに示されているように、気化可能材料インサート220は円筒形状を有することができるが、ただし、気化可能材料インサート220(気化可能材料コンポーネント222、ハウジング260、および空気流路252を含む)は、本開示の範囲を逸脱することなく、1つもしくは複数の種々の形状およびサイズを有することができる。付加的に、図2Aに示されている気化可能材料インサート220は、ハウジング260を含むものとして本明細書において説明されているが、気化可能材料インサート220および本明細書において説明される気化可能材料インサートのいずれも、ハウジング260を含まなくてもよい。例えば、気化可能材料コンポーネント222の外壁は、気化可能材料インサート220の外壁を形成することができる。幾つかの実施形態では、ハウジング260は、気化可能材料コンポーネント222の収容を補助し、例えば気化可能材料インサートレセプタクル118の汚染を低減するために、気化可能材料コンポーネント222と気化可能材料インサートレセプタクル118との接触を低減するもしくは防止することができる。
【0046】
ハウジング260は、熱伝導性材料、絶縁性材料、生分解性材料、気化可能材料、および非気化可能材料のうちの1つもしくは複数を含む種々の材料から形成され得る。例えば、幾つかの実施形態では、ハウジング260は紙または紙に類似した材料から形成され得る。
【0047】
幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネント222は、吸入可能なエアロゾルを気化により形成するための非液体状の気化可能材料(例えばタバコ材料など)などの1つもしくは複数の気化可能材料を含む。気化可能材料コンポーネント222は、稠密であり、実質的に空気ポケットを有さなくてよい。付加的に、気化可能材料コンポーネント222は、空気流が気化可能材料コンポーネント222内へ入ることおよび/または気化可能材料コンポーネント222を通過することを阻止することができる。したがって、気化可能材料コンポーネント222は、現在利用可能な幾つかの気化可能材料インサートおよび非液体状の気化可能材料と比較して、より大きな熱伝導率を有することができる。例えば、幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネント222の熱伝導率は、約0.05W/mK~約1W/mK、例えば約0.2W/mK~約0.6W/mKの範囲を有しうる。
【0048】
幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネント222は、グアーガム、ラポナイト、および非液体状の気化可能材料の粉末形態のうちの1つもしくは複数を含みうる。例えば、製造中、気化可能材料コンポーネント222は、モールド成形されてもよいし、押し出し成形されてもよい。例えば、気化可能材料コンポーネント222は、タバコ粉末とグアーガムとの混合物を押し出すことによって成形され得る。幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネント222は、タバコとラポナイトとの混合物を型に押し込むことによって成形され得る。このような気化可能材料コンポーネント222の形態は、少なくとも幾つかの非液体状の気化可能材料および気化可能材料インサートと比較して、より大きい密度およびより高い熱伝導特性を有することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、気化可能材料コンポーネント222は、製造時に気化可能材料混合物に含有されて気化可能材料コンポーネント222内に含まれる熱伝導性粒子を含むことができる。熱伝導性粒子は、吸入可能なエアロゾルが形成されるよう、例えば気化可能材料102の誘導加熱および/または伝導加熱を可能にするために、気化可能材料コンポーネント222の気化可能材料102と直接に接触し得る。
【0050】
例えば、気化可能材料インサート220の使用中、気化可能材料インサート220は、気化可能材料コンポーネント222が気化可能材料インサートレセプタクル118に沿って配置された加熱素子に隣接してかつ/またはこの加熱素子と接触して配置されるように、気化可能材料インサートレセプタクル118内に挿入可能である。例えば、気化可能材料インサート220のハウジング260は、加熱素子141と接触することができ、気化可能材料コンポーネント222を加熱するためにハウジング260を介した熱の伝達を可能にすることができる。気化可能材料コンポーネント222は、その内部に含まれている気化可能材料102の少なくとも一部が気化する温度(例えば約250℃)まで、加熱素子によって加熱され得る。気化可能材料102の気化により、空気流路252において吸入可能なエアロゾルの形成を生じさせることができ、この吸入可能なエアロゾルが、次いで、ユーザによる吸入のために空気流路252に沿って移動可能となる。上述したように、気化可能材料コンポーネント222は、空気が気化可能材料コンポーネント222内へ入ることを阻止し、よって気化可能材料コンポーネント222に沿った熱伝導率を増大させて、気化可能材料コンポーネント222の気化可能材料102の効率的かつ効果的な気化を達成することができる。このような、(例えば幾つかの他の気化可能材料インサートと比較して)増大された、気化可能材料コンポーネント222に沿った熱伝導率は、気化可能材料コンポーネント222に沿った改善された加熱、例えば気化可能材料コンポーネント222に沿ったより均一な加熱を達成し、気化可能材料コンポーネント222の過熱を低減もしくは排除し得る。このような改善された加熱は、気化可能材料コンポーネント222の浪費を減らす(例えば効果的に加熱されない気化可能材料コンポーネント222の部分を低減もしくは排除する)だけでなく、(例えば気化可能材料コンポーネント222の過熱による)有害な副生成物の形成を低減し得る。他の気化可能材料インサート220の実施形態は、以下に説明する付加的な気化可能材料インサート220の実施形態を含めて、本開示の範囲に該当する。
【0051】
幾つかの実施形態では、気化可能材料インサート220のハウジング260は、加熱素子141を含むことができる。例えば、加熱素子141を、気化可能材料コンポーネント222に結合させることができる(例えば、ハウジング260は、加熱素子141を含むことができ、または加熱素子141と置換されることができる)。したがって、気化可能材料コンポーネント222を、加熱素子141と空気流路252との間に、かつこれらと接触させて配置することができる。この実施形態では、気化可能材料インサート220は、気化器本体の電源から気化可能材料インサート220の加熱素子141への電力の提供を可能にするために、気化可能材料インサートレセプタクル118に沿って対応するコンタクトと嵌合する1つもしくは複数の電気コンタクトを含むことができる。このように、電源(例えば図1の電源112)の作動に応じて、加熱素子141は、気化可能材料コンポーネント222を直接に加熱して、空気流路252内に吸入可能なエアロゾルを形成することができ、次いで、この吸入可能なエアロゾルが、ユーザによる吸入のために空気流路252に沿って移動可能となる。加熱素子141は、例えば抵抗性加熱素子、熱伝導性材料など、種々の特徴のうちの任意の1つもしくは複数を含むことができる。加熱素子141は、気化可能材料コンポーネント222を加熱して吸入可能なエアロゾルを形成するために、気化可能材料コンポーネント222の1つもしくは複数の表面に沿って配置され得る。
【0052】
図3A図3Bは、ハウジング260、気化可能材料コンポーネント222および加熱素子141を含む、気化可能材料インサート320の別の実施形態を示している。図3A図3Bの気化可能材料インサート320の気化可能材料コンポーネント222、ハウジング260および加熱素子141は、例えば図2A図2Bの気化可能材料インサート220に関して上述した任意の1つもしくは複数の特徴および機能を含むことができる。図3Aに示されているように、加熱素子141は、気化可能材料コンポーネント222が加熱素子141の周囲に巻き付けられるように、気化可能材料コンポーネント222を通って延在することができる。図3Bに示されているように、加熱素子141は、気化器本体(例えば図1の気化器本体110)の電源(例えば図1の電源112)からの電力が加熱素子141に提供されるよう、気化可能材料インサートレセプタクル118に沿って対応するコンタクトと嵌合するように構成された1つもしくは複数の電気コンタクト350を含むことができる。このように、電源112の作動に応じて、加熱素子141が、気化可能材料コンポーネント222を直接に加熱して、吸入可能なエアロゾルを空気流路352において形成することができ、次いで、この吸入可能なエアロゾルが、ユーザによる吸入のために空気流路352に沿って移動可能となる。加熱素子141が気化可能材料インサート320の部分である当該実施形態では、加熱素子141は、使用後に、気化可能材料インサート320の任意の残りの部分と共に廃棄可能となる。
【0053】
図3Bに示されているように、空気流路352は、気化可能材料コンポーネント222の外壁に沿って、例えば気化可能材料コンポーネント222の外壁と気化可能材料インサートレセプタクル118の内壁との間に延在していてよい。したがって、空気流路352は、気化可能材料インサート320が気化可能材料インサートレセプタクル118に挿入されたことに応じて形成されるので、気化可能材料インサート320を通って延在していなくてもよい。幾つかの実施形態では、図3Aに示されているように、気化可能材料インサート320は、気化可能材料コンポーネント222の外壁を包囲するハウジング260を含むことができる。したがって、ハウジング260は、気化可能材料102の気化成分がハウジング260を通過できる材料から形成することができ、これにより、空気流路352内に吸入可能なエアロゾルを形成することができる。
【0054】
図4A図4Bは、気化可能材料コンポーネント222と加熱素子141とを含む気化可能材料インサート420の別の実施形態を示している。図4A図4Bの気化可能材料インサート420の気化可能材料コンポーネント222および加熱素子141は、例えば図2A図3Bの気化可能材料インサート220,320に関して上述した任意の1つもしくは複数の特徴および機能を含むことができる。図4Aに示されているように、気化可能材料コンポーネント222は、加熱素子141が気化可能材料コンポーネント222の第1の側に沿って配置された平坦な構成を有することができる。加熱素子141は、気化可能材料コンポーネント222と直接に接触していてよい。幾つかの実施形態では、気化可能材料インサート420は、気化可能材料インサート420の1つもしくは複数の部分の周囲に、例えば気化可能材料コンポーネント222および/または加熱素子141の周囲に延在するハウジング260を含み得る。加熱素子141は、気化器本体の電源から加熱素子141へ電力が供給可能となるように気化可能材料インサートレセプタクル118に沿って対応するコンタクトと嵌合するように構成された1つもしくは複数の電気コンタクト(例えば図3Bの電気コンタクト350)を含むことができる。このように、電源の作動に応じて、加熱素子141は、気化可能材料コンポーネント222を直接に加熱して空気流路352において吸入可能なエアロゾルを形成することができ、次いで、この吸入可能なエアロゾルが、ユーザによる吸入のために空気流路452に沿って移動可能となる。
【0055】
図4Bに示されているように、空気流路452は、気化可能材料コンポーネント222の第2の側(例えば気化可能材料コンポーネント222の第1の側の反対側)に沿って、例えば気化可能材料コンポーネント222の第2の側と気化可能材料インサートレセプタクル118の内壁との間に延在していてよい。このように、空気流路452は、気化可能材料インサート420が気化可能材料インサートレセプタクル118に挿入されたことに応じて形成されるので、気化可能材料インサート420を通って延在していなくてもよい。加熱素子141が気化可能材料インサート420の部分であるこのような実施形態では、加熱素子141は、使用後に、気化可能材料インサート420の任意の残りの部分と共に廃棄可能となる。
【0056】
他の気化可能材料インサートの実施形態も、本開示の範囲に該当する。例えば、気化可能材料インサートの幾つかの実施形態は、非液体状の気化可能材料を含む気化可能材料コンポーネントを含むことができる。さらに、幾つかの気化可能材料インサートは、空気流路および加熱素子を有さなくてもよい。したがって、気化可能材料インサートは、気化可能材料コンポーネントのみを含んでいてもよいし、または気化可能材料コンポーネントおよびハウジングのみを含んでいてもよい。気化可能材料インサートのこのような実施形態は、加熱素子と、ユーザによる吸入のために吸入可能なエアロゾルが形成されることを可能にする空気流路の少なくとも一部とを含む気化器に依拠することができる。
【0057】
用語
ある特徴もしくは要素が本明細書において別の特徴もしくは要素の「上」にあるものとして言及される場合、その特徴もしくは要素は他の特徴もしくは要素の直上にあってもよいし、または介在する特徴および/または要素が存在してもよい。これとは対照的に、ある特徴もしくは要素が別の特徴もしくは要素の「直上」にあるものとして言及される場合、介在する特徴もしくは要素は存在しない。また、ある特徴もしくは要素が別の特徴もしくは要素に「接続されている」、「取り付けられている」もしくは「結合されている」ものとして言及される場合、その特徴もしくは要素は他の特徴もしくは要素に直接に接続され、取り付けられ、または結合されていてよく、または介在する特徴もしくは要素が存在してもよいことが理解される。これとは対照的に、ある特徴もしくは要素が別の特徴もしくは要素に「直接に接続されている」、「直接に取り付けられている」もしくは「直接に結合されている」ものとして言及される場合、介在する特徴もしくは要素は存在しない。
【0058】
1つの実施形態に関して説明または図示してきたが、説明または図示された特徴および要素は、他の実施形態にも適用可能である。また、別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴に関する言及は隣接する特徴と重なり合う部分またはその下方にある部分をも含みうることが、当業者には理解されるであろう。
【0059】
本明細書において使用する用語は、特定の実施形態および実現形態を説明する目的のみに使用されており、限定を意図していない。例えば、本明細書において使用している単数形の不定冠詞および定冠詞(“a”,“an”,“the”)は、文脈から明確な別段の示唆がない限り、複数形も同様に含むことを意図している。さらに、用語「含む(“comprises”)」および/または「含んでいる(“comprising”)」が本明細書において使用される場合、言明されている特徴、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在が規定されるが、1つもしくは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されよう。本明細書において使用される場合、「および/または」なる用語は、関連する列挙された項目のうちの1つもしくは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含み、「/」と略記されることもある。
【0060】
上記の説明および特許請求の範囲では、複数の要素もしくは特徴の連言的な列挙に続いて「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つもしくは複数」などの語句が現れる場合がある。また、「および/または」なる用語が、2つ以上の要素もしくは特徴の列挙において現れる場合もある。使用されている文脈によって特に暗黙的にもしくは明示的に否定されない限り、これらの語句は、列挙された要素もしくは特徴の個別のいずれか、または他の列挙された要素もしくは特徴に組み合わされた列挙された要素もしくは特徴のいずれかを意味することが意図されている。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つもしくは複数」ならびに「Aおよび/またはB」なる語句は、それぞれ、「Aのみ」、「Bのみ」または「AおよびBともに」を意味することが意図されている。また、同様の解釈が、3つ以上の項目を含む列挙についても当てはまる。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つもしくは複数」ならびに「A、Bおよび/またはC」なる語句は、それぞれ、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「AおよびBともに」、「AおよびCともに」、「BおよびCともに」または「AおよびBおよびCともに」を意味することが意図されている。上記および特許請求の範囲における「~に基づく」なる用語の使用は、言及されていない特徴もしくは要素も許容されるように、「~に少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図されている。
【0061】
「前方」、「後方」、「下方に」、「下側に」、「下部に」、「上方に」、「上部に」およびこれらに類するものなどの空間的相対性を表す用語は、図に示されている1つの要素もしくは特徴と他の要素もしくは特徴との関係を説明するための記述を容易にするために、本明細書において使用されうる。空間的相対性を表す用語は、図に描かれている配向状態に加え、使用時または動作時におけるデバイスの種々の配向状態を包含することを意図していることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転されたならば、他の要素もしくは特徴の「下方に」または「下に」と記載された要素が他の要素もしくは特徴の「上方に」配向されることになる。したがって、例として挙げた「下方に」なる語は、上方と下方との配向状態の双方を包含しうるものである。装置は、記載されている以外の配向状態(90°回転またはその他の配向状態)となることもあり、本明細書において使用される空間的相対性の説明は相応に解釈される。同様に、「上方に向かって」、「下方に向かって」、「垂直に」、「水平に」およびこれらに類する用語は、具体的な別段の指示がない限り、本明細書では説明の目的で用いられているにすぎない。
【0062】
本明細書では、種々の特徴/要素(ステップを含む)を説明するために、用語「第1の」および「第2の」が用いられる場合があるが、これらの特徴/要素は、文脈から別段の指示がない限り、これらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用されうる。したがって、本明細書において提供される教示から逸脱することなく、以下で述べる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と称されることがあり、同様に、以下で述べる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と称されることもある。
【0063】
特に別段の指定なく実施例において使用される場合を含め、本明細書および特許請求の範囲において使用されている全ての数は、「約」または「ほぼ」なる語がたとえ明示的に現れていないにしても、これらの用語が前置されているかのように読むことができる。大きさおよび/または位置を説明する場合、これらの「約」または「ほぼ」なる語句は、記載されている値および/または位置が当該値および/または位置の妥当な予測範囲内にあることを示すために使用されうる。例えば、数値は、所定値(または値範囲)の+/-0.1%、所定値(または値範囲)の+/-1%、所定値(または値範囲)の+/-2%、所定値(または値範囲)の+/-5%、所定値(または値の範囲)の+/-10%などの値を含むことができる。本明細書において与えられる任意の数値は、文脈により別段の指定がない限り、その値付近の値またはほぼ同じ値を含むものと理解されたい。例えば値「10」が開示されているならば、「約10」も開示されているものとする。本明細書において挙げられているいずれの数値範囲も、その内部に包含される全ての部分範囲を含むことが意図されている。また、ある値が開示されている場合には、当業者が適切に理解するように、その値「以下」、およびその値「以上」、およびその値の間の可能な範囲も開示されていることが理解されよう。例えば、値「X」が開示されているならば、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xは数値)も開示されているものとする。また、本出願全体を通して、データは多くの異なる形式で提供されており、当該データは、終了点および開始点、およびこれらのデータ点の任意の組み合わせについての範囲を表すことが理解されよう。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示されているならば、10より大きい、10以上、15より小さい、15以下、ならびに10および15に等しいことも、10と15との間の範囲と同様に開示されているとみなされることが理解されよう。また、2つの特定の単位の間の各単位も開示されていることが理解される。例えば10および15が開示されているならば、11、12、13および14も開示されているものとする。
【0064】
例示的な種々の実施形態を上述したが、本明細書の教示から逸脱することなく、種々の実施形態に対して任意の多くの変更を行うことができる。例えば、記載されている種々の方法ステップが実行される順序は、代替的な実施形態においては多くの場合に変更可能であり、他の代替的な実施形態においては1つもしくは複数の方法ステップが完全にスキップされてもよい。種々のデバイスおよびシステムの実施形態の任意選択手段としての特徴は、幾つかの実施形態に含まれているが他の実施形態には含まれていなくてもよい。したがって、前述の説明は主に例示の目的で提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0065】
本明細書において説明した主題の1つもしくは複数の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはこれらの組み合わせにおいて実現可能である。これらの種々の態様または特徴には、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信しかつこれらにデータおよび命令を伝送するように特定のもしくは汎用の目的で結合された、少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含む、プログラミング可能なシステム上で実行可能なかつ/または解釈可能な1つもしくは複数のコンピュータプログラムとしての実現形態が含まれうる。プログラミング可能なシステムまたはコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般には相互に遠隔の関係にあり、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、クライアント/サーバ関係を相互に有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0066】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとも称されうる、これらのコンピュータプログラムは、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械語で実施可能である。本明細書において使用する場合、「機械可読媒体」なる用語は、機械可読信号としての機械命令を受け取る機械可読媒体を含めて、プログラミング可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される、任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイス、例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、およびプログラマブルロジックデバイス(PLD)を指す。用語「機械可読信号」とは、プログラミング可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを供給するために用いられる任意の信号を指す。これらの機械可読媒体は、こうした機械命令を、例えば非一時的なソリッドステートメモリもしくは磁気ハードドライブまたは任意の同等の記憶媒体に非一時的に記憶することができる。代替的もしくは付加的に、機械可読媒体は、こうした機械命令を、例えばプロセッサキャッシュまたは1つもしくは複数の物理プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリなどに一時的に記憶させることもできる。
【0067】
本明細書に含まれる実施例および図面は、限定としてではなく例示として、本主題を実施することができる特定の実施形態を示している。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更を行うことができるよう、他の実施形態を利用し、そこから導出することができる。本主題のこうした実施形態は、その2つ以上が実際に開示されている場合、単に便宜上「発明」なる用語によって本明細書において個別にもしくは集合的に言及していることがあるが、これは、出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。このように、本明細書では特定の実施形態を図示および説明してきたが、同じ目的を達成するために計算されたあらゆる構成を、図示した特定の実施形態に置換することができる。本開示は、種々の実施形態の任意のおよび全ての適応化形態または変形形態をカバーすることを意図している。上述した実施形態と本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組み合わせも、上述の説明を精査すれば当業者に明らかとなるであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B