(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】浸漬冷却タンクシステム用の改善された濾過設計
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 D
G06F1/20 A
(21)【出願番号】P 2022515807
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2020058421
(87)【国際公開番号】W WO2021048785
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-07
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】バエヅオルド,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ツマ,フィリップ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォゲル-マルティン,マーガレット エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファィェミ,バミデレ オー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェスメ,ロナルド ディー.
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-213091(JP,A)
【文献】米国特許第05392750(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジングであって、前記フィルタハウジングの少なくとも一部分が、タンク内に配置され、かつ前記タンク内の誘電性流体と流体連通している、フィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、
流体ポンプであって、前記流体ポンプの少なくとも一部分が、前記フィルタハウジング内に配置され、かつ前記誘電性流体中に浸漬され、前記流体ポンプが、前記少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、
を備え
、
前記フィルタハウジングは、前記フィルタハウジングの一部分に配置された、前記タンクの外側からアクセス可能な開口部を備え、それにより、前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプのうちの少なくとも1つを前記開口部を通して取り外すことができる、
タンク用の濾過システム。
【請求項2】
前記流体ポンプは、封止されておらず、前記流体ポンプの電気接続部が、前記誘電性流体中に少なくとも部分的に浸漬されている、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの濾過要素と前記流体ポンプとを接続し、かつ前記開口部を通してアクセス可能な細長い部材を更に備え、それにより、前記細長い部材を使用して前記開口部を通して前記濾過要素及び前記流体ポンプを取り外すことができる、請求項
1に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記タンクは、電子システム用の浸漬冷却タンクである、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの濾過要素の状態を判定するためのセンサを更に備える、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項6】
前記センサは、変色センサである、請求項
5に記載の濾過システム。
【請求項7】
前記センサは、前記少なくとも1つの濾過要素の電気的特性を監視するように構成された電子センサである、請求項
5に記載の濾過システム。
【請求項8】
タンクであって、前記タンクの少なくとも一部分が誘電性流体で満たされている、タンクと、
フィルタハウジングであって、前記フィルタハウジングの少なくとも一部分が、前記タンク内に配置され、かつ前記誘電性流体と流体連通し、前記フィルタハウジングが、前記タンクの外側からアクセス可能な開口部を前記フィルタハウジングの表面上に備える、フィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、
流体ポンプであって、前記流体ポンプの少なくとも一部分が、前記フィルタハウジング内に配置され、かつ前記誘電性流体中に浸漬され、前記流体ポンプが、前記少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、
を備える、浸漬冷却システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを接続する細長い部材を更に備え、それにより、前記細長い部材を使用して前記開口部を通して前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを取り外すことができる、請求項
8に記載の浸漬冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書のいくつかの態様では、フィルタハウジングであって、フィルタハウジングの少なくとも一部分が、タンク内に配置され、かつタンク内の誘電性流体と流体連通している、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、流体ポンプであって、流体ポンプが少なくとも1つの濾過要素と流体連通するように、流体ポンプの少なくとも一部分がフィルタハウジング内に配置され、かつ誘電性流体中に浸漬されている、流体ポンプと、を含む、タンク用の濾過システムが提供される。
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、流体入口及び流体出口を含むフィルタハウジング内に少なくとも1つの濾過要素を配置する工程と、少なくとも1つの濾過要素、流体入口、及び流体出口と流体連通するように、流体ポンプをフィルタハウジング内に配置する工程と、流体入口が誘電性流体と流体連通するように、フィルタハウジングの少なくとも一部分をタンク内に収容されている誘電性流体中に浸漬させる工程と、誘電性流体が、流体入口から少なくとも1つの濾過要素の少なくとも一部分を通って流体出口に至るように、流体ポンプを動作させる工程と、を含む、タンク内において流体を濾過する方法が提供される。
【0003】
本発明のいくつかの態様では、タンクであって、タンクの少なくとも一部分が誘電性流体で満たされている、タンクと、フィルタハウジングであって、フィルタハウジングの少なくとも一部分がタンク内に配置され、かつ誘電性流体と流体連通し、フィルタハウジングが、タンクの外側からアクセス可能な開口部をフィルタハウジングの表面上に含む、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、流体ポンプであって、流体ポンプの少なくとも一部分が、フィルタハウジング内に配置され、かつ誘電性流体中に浸漬され、流体ポンプが、少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、を含む、浸漬冷却システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る、フィルタハウジングアセンブリの分解図である。
【
図2】本明細書の一実施形態に係る、浸漬冷却システムの分解図である。
【
図3】本明細書の一実施形態に係る、組み立てられた浸漬冷却システムの切欠図である。
【
図4A】本明細書の一実施形態による、濾過システム用の感知システムの実施形態を示す切欠図である。
【
図4B】本明細書の一実施形態による、濾過システム用の感知システムの実施形態を示す切欠図である。
【
図5】本明細書の一実施形態に係る、タンク内において流体を濾過する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し、様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0006】
濾過は、データセンタの電子サーバから過剰な熱を除去するために使用されるシステムなどの浸漬冷却タンクシステムの動作の重要な部分である。多くの場合、システムハードウェアにおいて使用される材料は、元々、液体(例えば、誘電性冷却流体)に連続的に浸漬されるようには設計されていなかった。浸漬された電子構成要素から材料(例えば、接着剤、熱界面材料、シーラント、はんだペースト、絶縁グリースなど)が剥がれ落ちる又は抽出され、繊細な電子構成要素上に再堆積して、場合によっては温度管理の課題又は腐食の問題を引き起こす可能性がある。多くの浸漬冷却システムは、濾過システムを用いて汚染物質の流体をクリーニングし、費用のかかるダウンタイム及びシステム障害を回避している。
【0007】
多くの既存の浸漬タンク設計は、タンクの外側に取り付けられた濾過ユニットを提供する。これらの外部濾過システムは、漏れ易い外部の流体導管及びポンプシールを含むいくつかの課題を提示する。加えて、フィルタ及びポンプハードウェアへのアクセスが制限され、システムの保守及び関連するダウンタイムが極めて高価になり得る。
【0008】
本明細書のいくつかの態様によれば、これらの問題に対処するために、フィルタハウジング、少なくとも1つの濾過要素、及び流体ポンプを含む、タンク(例えば、浸漬冷却システムタンク)用の濾過システムが提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの濾過要素及び流体ポンプは、フィルタハウジング内に配置されている。いくつかの実施形態では、フィルタハウジングの少なくとも一部分は、フィルタハウジング、少なくとも1つの濾過要素、及び流体ポンプがタンク内の誘電性流体と流体連通するように、タンク内に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、濾過要素は、任意の適切なフィルタ媒体又はフィルタ媒体の組み合わせであってもよく、これは、活性炭、モレキュラーシーブ、シリカゲル、又はアルミナを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、濾過要素は、任意の適切な市販のフィルタ「コア」であってもよく、例えば、Parker Hannifin CorporationのSporlan Divisionにより製造されたいくつかのフィルタコア、又は3M Purification Incにより製造されたフィルタカートリッジのいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、既存の市販の濾過要素の金型及び/又は形成プロセスを変更して、それらを特定のハウジング又は用途に適合させ得る。いくつかの実施形態では、変色材料(例えば、有機化合物フェノールフタレイン、又は塩化コバルト)が濾過要素に添加されて、フィルタ媒体の状態(例えば、残りの寿命)の指標を提供し得る。いくつかの実施形態では、フィルタ媒体の状態がユーザの外部システムに提供され得るように、1つ以上のセンサが濾過要素上に又は濾過要素に近接して追加され得る。いくつかの実施形態では、センサは、フィルタ要素が特定のタイプの汚染物質を吸収する際の、フィルタ要素の電気的特性の変化を監視する電子センサであり得る。いくつかの実施形態では、センサは、変色材料の変化を検出するセンサであり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、流体ポンプは、封止されていなくてもよい(すなわち、水分又は液体に対して環境的に封止されていない)。いくつかの実施形態では、封止されていないポンプからの1つ以上の電気接続部は、露出され、少なくとも部分的に誘電性流体中に浸漬され得る。誘電性流体は、誘電性冷却流体(例えば、3M(商標)により製造されたNovec(商標)Engineered Fluid、又はSolvayにより製造されたGalden(登録商標)ペルフルオロポリエーテルフッ素化流体)などの、任意の適切な誘電性流体であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、フィルタハウジングは、タンクの外側に延びる(すなわち、タンクの外部のシステム又は作業者に開かれアクセス可能である)ハウジングの一部分上に配置された開口部(例えば、開放端部又はアクセスポータル)を含み得る。いくつかの実施形態では、濾過システムは、濾過要素を接続する細長い部材(例えば、中央ロッド又は接続固定具)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、細長い部材はまた、流体ポンプを濾過要素に接続し得る。いくつかの実施形態では、濾過要素及び/又は流体ポンプは、細長い部材を使用してハウジング内の開口部を通して取り外し可能であってもよい(例えば、細長い部材を引っ張ることにより、濾過要素及び/又はポンプが持ち上げられ、それにより濾過要素及び/又はポンプにアクセスする、濾過要素及び/又はポンプを評価する、又は除去/交換することができる)。
【0012】
本明細書のいくつかの態様によれば、タンク内において流体を濾過する方法が、流体入口及び流体出口を含むフィルタハウジング内に少なくとも1つの濾過要素(例えば、フィルタ媒体)を配置する工程と、少なくとも1つの濾過要素、流体入口、及び流体出口と流体連通するように、流体ポンプをフィルタハウジング内に配置する工程と、流体入口が誘電性流体と流体連通するように、フィルタハウジングの少なくとも一部分をタンク内に収容されている誘電性流体中に浸漬させる工程と、誘電性流体が流体入口から少なくとも1つの濾過要素の少なくとも一部分を通って流体出口に至るように、流体ポンプを動作させる工程と、を含む。いくつかの実施形態では、フィルタハウジングの流体入口及び流体出口は同じであってもよい(すなわち、ハウジング内の同じ開口部/通路を通って流体がハウジングに出入りしてもよい)。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、タンクの外側から、濾過要素及び/又は流体ポンプを取り外す、観察する、又は他の方法で濾過要素及び/又は流体ポンプにアクセスすることができる(すなわち、開口部を保持するフィルタハウジングの部分がタンクの外部の点からアクセス可能である)ように、フィルタハウジング内に開口部(例えば、アクセスポイント)を含むことを含んでもよい。いくつかの実施形態では、開口部は、カバー(例えば、衛生蓋)により被覆/保護され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、濾過要素の状態(例えば、残りの寿命/処理能力)を判定するためのセンサを提供することを含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、変色センサ(例えば、フィルタ内の分解生成物との反応などの、特定の状態への継続的な曝露を通じて色を変化させる材料)であり得る。いくつかの実施形態では、センサは、電子センサ(すなわち、特定の化合物又は不純物の有無に基づいてフィルタの1つ以上の電気的特性を測定するセンサ)であり得る。いくつかの実施形態では、センサによって示される状態(すなわち、フィルタ媒体の状態)は、濾過要素又は流体ポンプを取り外すことなく、フィルタハウジングの外側から取得可能であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体ポンプの1つ以上の電気接続部は、封止されていなくてもよく(すなわち、流体又は他の要因への曝露に対して環境的に封止されていない)、タンク内の誘電性流体中に少なくとも部分的に浸漬されていてもよい。いくつかの実施形態では、流体ポンプ用の電気接続部は、単純なピン接続部であってもよく、これは、ポンプの保守又は交換のために容易に接続/接続解除され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、タンク内において流体を濾過する方法は、2つ以上の濾過要素を接続する、又は少なくとも1つの濾過要素と流体ポンプとを接続する工程を更に含んでもよく、それにより、細長い部材を使用してフィルタハウジングにおける開口部を通して濾過要素及び/又は流体ポンプを取り外すことができる。いくつかの実施形態では、細長い部材はまた、濾過要素及び/又は流体ポンプをハウジング内に挿入/設置するために使用されてもよい(流体ポンプの電気接続部と、フィルタハウジング内の又はフィルタハウジングを通してアクセス可能な相手方電気接続部とを接続することを含む)。
【0017】
本明細書のいくつかの態様によれば、浸漬冷却システムが、誘電性流体で少なくとも部分的に満たされたタンクと、タンク内に少なくとも部分的に配置され誘電性流体と流体連通するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、フィルタハウジング内に少なくとも部分的に配置され誘電性流体中に浸漬された流体ポンプであって、少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、を含む。いくつかの実施形態では、フィルタハウジングは、タンクの外側からアクセス可能な開口部をフィルタハウジングの表面上に含む。いくつかの実施形態では、細長い部材(例えば、接続中央コア又はブラケット)は、2つ以上の濾過要素を接続する、又は少なくとも1つの濾過要素と流体ポンプとを接続し、開口部を通して濾過要素及び/又は流体ポンプを取り外すために使用され得る。いくつかの実施形態では、開口部は、取り外し可能カバー(例えば、衛生蓋)を含み得る。
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1は、本明細書の一実施形態による、フィルタハウジングアセンブリ100の分解切欠図を提供する。いくつかの実施形態では、フィルタハウジングアセンブリ100は、フィルタハウジング10を含み得る。フィルタハウジング10は、任意の適切な材料、特にフッ素化流体(例えば、誘電性冷却流体)又は流体中に見られる汚染物質と相互作用することがない任意の材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、これらの材料は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、及びステンレス鋼を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、フィルタハウジング10は、概して、円筒形若しくは長方形のプリズム、又はシステム構成要素(例えば、フィルタ媒体、流体ポンプなど)を保持するための実質的に閉じた内容積を画定する任意の他の適切な空間として成形され得る。いくつかの実施形態では、フィルタハウジング10は、カバー50を有し、これは蓋及び/又は衛生フィッティングであってもよく、ハウジングと同様の材料で又は別個の材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタハウジング10は、流体入口14及び流体入口16を有し得る。いくつかの実施形態では、流体入口14及び流体出口16は、実質的に同じ場所(例えば、フィルタハウジング10における共有開口部の異なる部分)に位置し得る。いくつかの実施形態では、流体入口14及び流体出口16は、フィルタハウジング10の異なる部分に位置し得る。いくつかの実施形態では、フィルタハウジング10は、フィルタハウジング10内に収容された構成要素にアクセスするための開口部18を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、フィルタハウジングアセンブリ100は、1つ以上の濾過要素20を含み得る。濾過要素20は、任意の適切なタイプのフィルタ媒体(すなわち、流体が通過する材料であり、それにより一部の不純物又は粒子が流体から除去され得る材料)であり得る。フィルタハウジングアセンブリ100は、1個、2個、4個、6個、8個、10個、又は20個を含むが、これらに限定されない、任意の適切な数の濾過要素20を含み得る。いくつかの実施形態では、全ての濾過要素20が同じフィルタ媒体を含み得る。いくつかの実施形態では、濾過要素20の1つ以上のサブセットが異なるフィルタ媒体を含み得る。例えば、濾過要素20の第1のサブセットが、炭化水素汚染物質を除去するために活性炭を含んでもよく、濾過要素20の第2のサブセットが、活性アルミナを含んでもよく、濾過要素20の第3のサブセットが、アルミナ(すなわち、フェノールフタレインなどの変色材料と組み合わされた活性アルミナ)を示すことを含んでもよい。本開示の意図の範囲内で、フィルタ媒体の任意の適切な数及び組み合わせが使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、フィルタハウジングアセンブリ100は、流体ポンプ30を含み得る。いくつかの実施形態では、流体ポンプ30は、電気接点32を含む。いくつかの実施形態では、電気接点32は、封止されていなくてもよい(すなわち、水分/水に対して環境的に封止されていない)。いくつかの実施形態では、電気接点32は、フィルタハウジング10内の相手方電気接点に容易に接続され得る、又はフィルタハウジング10の外部から(すなわち、フィルタハウジング10の開口部を通ってフィルタハウジング10の外側のコネクタと嵌合することにより)アクセス可能であり得る、導電性のピン又はパッドであり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、濾過要素20及び流体ポンプ30は、細長い部材40に取り付けられ、かつ細長い部材40により接続され得る。いくつかの実施形態では、細長い部材40は、中央コア(例えば、構成要素を通り超えて又は構成要素を通って延びる金属シャフト)であり得る。いくつかの実施形態では、細長い部材40は、取付け固定具又は容器(例えば、濾過要素20及び/又は流体ポンプ30を包囲する「スリーブ」又はケージ)であり得る。いくつかの実施形態では、細長い部材40は、2つ以上の濾過要素20を互いに接続し得る。いくつかの実施形態では、細長い部材40は、1つ以上の濾過要素20と流体ポンプ30とを接続し得る。いくつかの実施形態では、細長い部材40を使用して開口部18から濾過要素20及び/又は流体ポンプ30を取り外すことができる(すなわち、開口部18を通して細長い部材40を取り外すことにより、濾過要素20及び/又は流体ポンプ40も取外すことができる)。いくつかの実施形態では、細長い部材40を使用して、濾過構成要素20及び/又は流体ポンプ30をフィルタハウジング10内に挿入/設置することもできる。
【0022】
図2は、本明細書の一実施形態による、浸漬冷却システムの分解切欠図であり、
図3は、組み立てられた浸漬冷却システムの切欠図を提供する。以下の考察に関して、
図2及び
図3を一緒に検討することができる。いくつかの実施形態では、浸漬冷却システム200は、液体タンク60及びフィルタハウジングアセンブリ100(例えば、
図1のフィルタハウジングアセンブリ100)を含む。いくつかの実施形態では、組み立てられたフィルタハウジングアセンブリ100は、濾過要素20及び流体ポンプ30を収容する(又はいくつかの実施形態では、少なくとも部分的に収容する)フィルタハウジング10を含む。いくつかの実施形態では、濾過要素20及び流体ポンプ30は、細長い部材40(
図1を参照)により接続されている。いくつかの実施形態では、流体ハウジング10は、カバー50を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、タンク60は、誘電性流体70(例えば、誘電性冷却剤)で少なくとも部分的に満たされ得る。いくつかの実施形態では、電子機器モジュール65は、少なくとも部分的に誘電性流体70内に浸漬され得る。いくつかの実施形態では、電子機器モジュール65は、コンピュータサーバ、電源、1つ以上のメモリモジュール、又は任意の他の適切な電子モジュール又はそれらの組み合わせであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、フィルタハウジングアセンブリ100は、フィルタハウジング10が少なくとも部分的に誘電性流体70内に浸漬されるように(
図3を参照)、タンク60の開口部又は開放端部62に挿入され得る。いくつかの実施形態では、誘電性流体70は、流体入口14を通過してフィルタハウジング10内に入り、そこで流体ポンプ30により取り込まれ、フィルタハウジング10の内部を通って循環される。フィルタハウジング10を通る循環中に、誘電性流体70は、濾過要素20のうちの1つ以上を通過し、濾過要素が流体から不純物を除去する。フィルタハウジング10及び濾過要素20を通過した後、濾過された誘電性流体70は、流体出口16を通ってフィルタハウジング10を出て、タンク60の内部に戻ることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、フィルタハウジング10の開口部18(
図1を参照)がタンク60の外側からアクセス可能なように、フィルタハウジング10の一部分が、タンク60の外面より上に延びているか又は外面と同一平面にあり得ることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、作業者(図示せず)がカバー50を取り外して、濾過要素20及び/又は流体ポンプ30を検査する及び/又は濾過要素20及び/又は流体ポンプ30をフィルタハウジング10から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、濾過要素20及び流体ポンプ30は、細長い部材40により接続され、細長い部材40を上に引っ張ることによりフィルタハウジング10から取り外すことができる。流体ポンプ30上の電気接続部32(
図1を参照)は、フィルタハウジング10から取り外される場合に、フィルタハウジング10又はタンク60内の相手方コネクタと容易に接続及び接続解除されるように設計され得る(例えば、電気コネクタ32は、ポンプがフィルタハウジング10内に降ろされたときにフィルタハウジング10内の相手方受け口内に押し込まれる導電性ピン導体であり得る)。電気接続部32のクイックコネクト性質は、電子構成要素を冷却するために使用され得る非導電性媒体である誘電性流体70の使用により少なくとも部分的に可能になる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濾過システムは、使用されるフィルタ媒体の状態(例えば、いつフィルタの交換が推奨されるかを示す)を検出し示すことができる1つ以上のセンサを含み得る。
図4A及び
図4Bは、濾過システム用の感知システムの2つの代替的実施形態を示す切欠図を提供する。図では、感知システムに重点を置くために、濾過要素20及び流体ポンプ30は、破線として示されている。
【0027】
図4Aの実施形態では、感知システムは、中央電子モジュール28及び1つ以上のサテライトセンサ24を含み得る。いくつかの実施形態では、サテライトセンサ24は、1つ以上の電気接続部26を介して中央モジュール28に接続され得る(単純化のために、サテライトセンサ24のうちの2つについてのみ、電気接続部26のみが示されているが、実際には各サテライトセンサ24に対して存在する)。いくつかの実施形態では、サテライトセンサ24は、対応する濾過要素20の状態又は特性を検出するセンサであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、サテライトセンサ24は、濾過要素20の1つ以上の電気的特性(例えば、濾過要素内に含まれる材料の指標であり得る、濾過要素の電流を流す能力)を監視する電子センサであり得る。中央モジュール28は、個々のサテライトセンサ24から信号を受信して、又はサテライトセンサ24にポーリングして、濾過要素20の状態を判定し、その状態を外部システム又は観察者に提供し得る(例えば、交換が必要であるという指標を表示するか、又は制御システムにメッセージを伝送する)。
【0028】
代替タイプの感知システムを
図4Bに示す。
図4Bの実施形態では、濾過要素20(20a/20bとして示される)は、濾過要素20bの少なくとも一部分が変色材料(例えば、濾過要素内の分解生成物と反応すると色を変化させる材料)を含むように設計され得る。そのようなシステムでは、変色センサ28aは、濾過要素20b内の材料カバーにおける変化を光学的に感知できるように、透明カバー50上に又はカバー50を通して開口部内に配置され得る。いくつかの実施形態では、濾過要素20は加えて、フィルタ媒体を含むが変色材料を含まないセクション20aを含み得る。
図4Bの実施形態の1つの利点は、感知モジュール28aと濾過要素20bとの間に有線接続が必要なく、したがって保守の必要が少なくなり得ることである。
【0029】
図4A及び
図4Bに示す感知システムは、単なる例であり、限定することは決して意図していないことに留意すべきである。本開示と整合する、他の検知方法及びセンサタイプ、並びに濾過要素及び流体ポンプの他の配置及び構成が企図され得る。
【0030】
最後に、
図5は、浸漬冷却システム用のタンクなどのタンク内において誘電性流体を濾過する方法のフローチャートである。ステップ510において、1つ以上のフィルタ要素(例えば、
図1の濾過要素20)がフィルタハウジング内に配置される。ステップ520において、流体ポンプがフィルタハウジング内に配置され、それにより、流体ポンプは、フィルタハウジングを通して、特にフィルタ要素のうちの少なくとも1つを通して、流体(すなわち、誘電性冷却流体)を循環させることができる。ステップ530において、フィルタハウジングの少なくとも一部分が誘電性流体中に浸漬されるように、(フィルタ要素及び流体ポンプを含む)フィルタハウジングの少なくとも一部分が、少なくとも部分的に誘電性流体で満たされたタンク内に挿入される。ステップ540において、誘電性流体がフィルタハウジング及びフィルタ要素を通って循環するように、ポンプが動作される。
【0031】
いくつかの実施形態では、
図5に示していない追加工程において、フィルタ要素及び流体ポンプは、細長い部材(例えば、接続ロッド、固定具、又は収容する「スリーブ」)により接続され得る。いくつかの実施形態では、別の追加工程は、フィルタ要素及び/若しくは流体ポンプを保守のために取り外すことができる、又はフィルタ要素及び/若しくは流体ポンプにアクセスすることができる(例えば、フィルタ要素及び流体ポンプを接続する細長い部材を把持し持ち上げることにより取り外すことができる)ように、タンクの外側からアクセス可能な開口部をフィルタハウジング内に提供することである。
【0032】
「約(ほぼ)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、これが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約特定の値として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量とは、当該量が0.9~1.1の値を有することを意味し、当該値が1であり得ることを意味する。
【0033】
「実質的に」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。「実質的に等しいの使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、ほぼが上記のとおりであるときには、ほぼ等しいことを意味する。「実質的に平行」の使用が、これが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行」は、平行の30度以内を意味する。互いに実質的に平行として記載されている方向又は表面は、いくつかの実施形態において、平行の20度以内、若しくは10度以内であり得、又は平行若しくは名目上平行であり得る。「実質的に位置合わせされる」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に位置合わせされる」は、位置合わせされる対象の幅の20%以内で位置合わせされることを意味する。実質的に位置合わせされると記載される対象は、いくつかの実施形態において、位置合わせされる対象の幅の10%以内又は5%以内で位置合わせされてもよい。
【0034】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先される。
【0035】
図中の要素についての説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。以下、例示的実施形態を示す。
[項目1]
フィルタハウジングであって、前記フィルタハウジングの少なくとも一部分が、タンク内に配置され、かつ前記タンク内の誘電性流体と流体連通している、フィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、
流体ポンプであって、前記流体ポンプの少なくとも一部分が、前記フィルタハウジング内に配置され、かつ前記誘電性流体中に浸漬され、前記流体ポンプが、前記少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、
を備える、タンク用の濾過システム。
[項目2]
前記流体ポンプは、封止されておらず、前記流体ポンプの電気接続部が、前記誘電性流体中に少なくとも部分的に浸漬されている、項目1に記載の濾過システム。
[項目3]
前記フィルタハウジングは、前記フィルタハウジングの一部分に配置された、前記タンクの外側からアクセス可能な開口部を備え、それにより、前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプのうちの少なくとも1つを前記開口部を通して取り外すことができる、項目1に記載の濾過システム。
[項目4]
前記少なくとも1つの濾過要素と前記流体ポンプとを接続し、かつ前記開口部を通してアクセス可能な細長い部材を更に備え、それにより、前記細長い部材を使用して前記開口部を通して前記濾過要素及び前記流体ポンプを取り外すことができる、項目3に記載の濾過システム。
[項目5]
前記タンクは、電子システム用の浸漬冷却タンクである、項目1に記載の濾過システム。
[項目6]
前記少なくとも1つの濾過要素の状態を判定するためのセンサを更に備える、項目1に記載の濾過システム。
[項目7]
前記センサは、変色センサである、項目6に記載の濾過システム。
[項目8]
前記センサは、前記少なくとも1つの濾過要素の電気的特性を監視するように構成された電子センサである、項目6に記載の濾過システム。
[項目9]
タンク内において流体を濾過する方法であって、
流体入口及び流体出口を備えるフィルタハウジング内に少なくとも1つの濾過要素を配置する工程と、
前記少なくとも1つの濾過要素、前記流体入口、及び前記流体出口と流体連通するように、流体ポンプを前記フィルタハウジング内に配置する工程と、
前記流体入口が誘電性流体と流体連通するように、前記フィルタハウジングの少なくとも一部分をタンク内に収容されている前記誘電性流体中に浸漬させる工程と、
前記誘電性流体が、前記流体入口から前記少なくとも1つの濾過要素の少なくとも一部分を通って前記流体出口に至るように、前記流体ポンプを動作させる工程と、
を含む、方法。
[項目10]
項目9に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記タンクの外側からアクセス可能な開口部を前記フィルタハウジングの一部分上に提供する工程を更に含み、それにより、前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプのうちの少なくとも1つを前記開口部を通して取り外すことができる、方法。
[項目11]
項目9に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記少なくとも1つの濾過要素の状態を判定するためのセンサを提供する工程を更に含む、方法。
[項目12]
項目11に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記センサは、前記少なくとも1つの濾過要素の状態を提供する、方法。
[項目13]
項目11に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記センサは、変色センサである、方法。
[項目14]
項目11に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記センサは、前記少なくとも1つの濾過要素の電気的特性を監視するように構成された電子センサである、方法。
[項目15]
項目12に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記少なくとも1つの濾過要素の前記状態は、前記少なくとも1つの濾過要素又は前記流体ポンプを取り外すことなく、前記フィルタハウジングの外側にある前記センサから取得可能である、方法。
[項目16]
項目9に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記流体ポンプは、封止されておらず、前記流体ポンプの電気接続部が、前記誘電性流体中に少なくとも部分的に浸漬されている、方法。
[項目17]
項目9に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記流体入口及び前記流体出口が同じである、方法。
[項目18]
項目9に記載のタンク内において流体を濾過する方法であって、前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを細長い部材と接続する工程を更に含み、それにより、前記細長い部材を使用して開口部を通して前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを取り外すことができる、方法。
[項目19]
タンクであって、前記タンクの少なくとも一部分が誘電性流体で満たされている、タンクと、
フィルタハウジングであって、前記フィルタハウジングの少なくとも一部分が、前記タンク内に配置され、かつ前記誘電性流体と流体連通し、前記フィルタハウジングが、前記タンクの外側からアクセス可能な開口部を前記フィルタハウジングの表面上に備える、フィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配置された少なくとも1つの濾過要素と、
流体ポンプであって、前記流体ポンプの少なくとも一部分が、前記フィルタハウジング内に配置され、かつ前記誘電性流体中に浸漬され、前記流体ポンプが、前記少なくとも1つの濾過要素と流体連通している、流体ポンプと、
を備える、浸漬冷却システム。
[項目20]
前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを接続する細長い部材を更に備え、それにより、前記細長い部材を使用して前記開口部を通して前記少なくとも1つの濾過要素及び前記流体ポンプを取り外すことができる、項目19に記載の浸漬冷却システム。