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特許7614190測定対象物の機能性を検査するための部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】測定対象物の機能性を検査するための部品
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/315 20060101AFI20250107BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20250107BHJP
   G01R 31/304 20060101ALI20250107BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G01R31/315
G01R31/28 L
G01R31/28 Q
G01R31/304
A61N1/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022519149
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020077481
(87)【国際公開番号】W WO2021064087
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】102019215126.4
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517119556
【氏名又は名称】ニューロループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キミヒ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボレティウス,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ケンプター,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ドブラー,ヤノッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴスリヒ,クリスティアン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0271719(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0312187(US,A1)
【文献】特開2008-089493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0126448(US,A1)
【文献】特開2007-107930(JP,A)
【文献】特開平04-098171(JP,A)
【文献】特開平03-009282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/315
G01R 31/28
G01R 31/304
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Device Under Test(DUT)と呼ばれる測定対象物、すなわち、医療用インプラントまたは医療用インプラントの少なくとも一部の形態、の機能性を検査するための部品であって、
a)試験信号発生器、
b)前記試験信号発生器に対して接続され、少なくとも1つの接触電極を有する第1受入構造を備える試験モジュールであって、その中に、取り外し可能な方法で前記DUTに対して堅固に接続されたアダプタモジュールが挿入可能であり、少なくとも1つの電気接点を形成する、試験モジュール、
c)前記試験信号発生器および前記試験モジュールに対して直接または間接的に無線または有線で接続される制御および分析ユニット、
を備え、
前記試験モジュールは、第2受入構造を備え、
前記第2受入構造は、前記第1受入構造に対して空間的に固定されて配置され、電気エネルギーおよび/または信号伝送のために前記DUTと非接触で相互作用する電気的追加構成要素である、誘導コイルまたは信号アンテナアセンブリを挿入することができる、
部品。
【請求項2】
前記電気的追加構成要素は、誘導コイルおよび/または信号アンテナを備える、請求項1記載の部品。
【請求項3】
前記制御および分析ユニットは、前記電気的追加構成要素と無線または有線接続されている、請求項1または2記載の部品。
【請求項4】
前記第1受入構造は、少なくとも1つの接触面を備え、
前記接触面は前記アダプタモジュールに対して接触させることができ、その上に少なくとも1つの接触電極が配置され、前記アダプタモジュールが前記第1受入構造内に挿入されたときの状態は、前記アダプタモジュールによって提供される対向電極とインターロック接触しかつ摩擦接触している、
請求項1から3のいずれか1項記載の部品。
【請求項5】
前記アダプタモジュールは、第3受入構造を備え、
前記第3受入構造は、前記DUTを挿入することができ少なくとも1つの電気接点を形成する、少なくとも1つの接点電極を有する、
請求項1から4のいずれか1項記載の部品。
【請求項6】
前記第3受入構造は、前記DUTと接触させることができ、その上に少なくとも1つの接触電極が配置された、少なくとも1つの接触面を備え、
前記接触電極は、DUTが前記第3受入構造に対して挿入されたときの状態で、摩擦およびインターロック方式で前記DUTにより提供される対向電極と接触する、
請求項5記載の部品。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接触電極および対向電極は、プラグソケット構造の形態で構成される、請求項4から6のいずれか1項記載の部品。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接触電極および/または対向電極は、ばね荷重の、偏向可能に支持されたコンタクトピンの形態で構成される、請求項4から6のいずれか1項記載の部品。
【請求項9】
前記DUTは、
医療用活性インプラントの電気回路基板、
電気入出力リードを有する電気回路基板、
少なくとも1つの電気接点アセンブリを有する医療用活性インプラント、
のうち少なくともいずれかの電気部品である、
請求項1から8のいずれか1項記載の部品。
【請求項10】
前記医療用活性インプラントは、埋め込み型パルス発生器(IPG)である、請求項9記載の部品。
【請求項11】
前記試験信号発生器はECG信号を生成する、請求項1から10のいずれか1項記載の部品。
【請求項12】
前記アダプタモジュール内の前記第3受入構造は、前記DUTに対して個別に整合され、
異なるように設計された前記第3受入構造を有する少なくとも2つのアダプタモジュールは、前記試験モジュールの前記第1受入構造に対して挿入されるようにそれぞれ均一に設計される、
請求項5または6記載の部品。
【請求項13】
ソフトウェア更新の一部として医療用インプラントを診断および/または更新するための、請求項1から12のいずれか1項記載の部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用インプラントまたは医療用インプラントの少なくとも一部としての形態の、DUTとして知られる、測定対象物の機能性を検査するための部品に関する。
【背景技術】
【0002】
局所体内領域の電気刺激のための埋め込み型医療装置、すなわち、埋め込み型パルス発生器(IPG)(例えば、心臓除細動、ペースメーカ、および再同期用途のためのものであり、脊髄刺激、脳刺激、または迷走神経刺激などの神経刺激測定のために用いるもの)は一般に、流体密封ハウジングを備える。このハウジングは電気パルス発生のための構成要素を備える。この構成要素は、バッテリまたは誘導コイルの形態の少なくとも1つの電気エネルギー源を含み、さらにそれに接続された電気回路構造を含む。さらに、ほとんどの場合、ハウジングに隣接するのはいわゆるヘッド部であり、ヘッド部はエネルギー源および電気回路構造に対して接続される電気接点アセンブリを有し、電気刺激信号の体内局所印加のために、ヘッド部で終端する流体密封プラグアセンブリを挿入することができる。ヘッド部は電気入力線および電気出力線と接触する。さらに、適用可能であれば、体内局所ピックアップ電気信号をハウジング内の電気回路構造に対して供給するために、流体密封プラグアセンブリを挿入することができる。
【0003】
医療用インプラントの機能の範囲が広がるにつれて、インプラント内に組み込まれる電気的および/または電子的構成要素の数も増加し、これは、最小限の空間要件に起因して、少なくとも1つのプリント回路基板上に密に詰め込まれ、複雑な方法で互いに配線される。医療用インプラントを動作させるのに必要な電気エネルギーは、インプラント内に一体化されたバッテリによって、または誘導エネルギー伝送によって提供される。
【0004】
インプラントの展開と製造、ならびに多数の医療用インプラントの製造における品質管理と保証の両方のために、検証と管理手順が不可欠である。製造プロセス中に発生する欠陥のキャリーオーバを排除するために、機能決定構成要素について、製造プロセス全体の間に、それぞれ医療用インプラントの完成プロセスの異なる段階で、計測検査が実施される。これに関連して特に重要なことは、個々の機能試験の再現性および手順準拠である。
【0005】
US2018/9931629A1は、半導体アセンブリの機能性を試験するための試験アセンブリを開示しており、試験される半導体アセンブリは、試験信号が無線で印加される試験ソケット内に配置される。
【0006】
US2002/0079912A1は、電気プリント回路基板のための試験アセンブリを開示しており、この試験アセンブリは試験目的のために試験ソケット内に配置することができ、電気的試験信号を印加することができる。
【0007】
DE202006000739U1は、電子部品(より具体的には集積回路を有する部品)を試験するためのデバイスを開示しており、試験される部品が接触することができるコンタクトベースを有する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、好ましくは医療用インプラントまたは医療用インプラントの少なくとも一部の形態である測定対象物の機能性を試験するための部品を提供することである。これにより、小バッチおよび工業規模の両方で製造される完成品(好ましくは医療用インプラントまたはその一部)についての機能性試験は、安全に信頼性をもってかつ再現性をもって実施することができ、手順に準拠して保証要件を満たすことができる。
【0009】
本発明の基礎となる目的は、請求項1に記載されている。本発明の概念を有利にさらに発展させる特徴は従属請求項の主題であり、特に例示された実施形態の例を参照して、以下の説明においても記載される。
【0010】
本発明による部品は、好ましくは医療用インプラント、または医療用インプラントの少なくとも一部の形態であり、以下ではDUT(Device Under Test)と呼ばれる、測定対象の機能性を検査するためのものであり、試験信号発生器と、試験モジュールと、試験モジュールに対して挿入可能なアダプタモジュールと、制御および分析ユニットとを備える。
【0011】
好ましくはインターフェースを介して試験モジュールに対して接続される試験信号発生器は、試験モジュールを介してDUTに直接送信されるDUTをチェックするための試験信号を発生する。原則として適しているのは、固定されまたは自由に選択可能な所定の電気試験信号を有する、既知の試験信号発生器である。検査されるべきDUTのタイプおよび使用目的に応じて、試験信号発生器は例えば、ECG信号を複製することができ、または、例えば、ニューロン電気信号に対応する電気信号形態を生成することができる。好ましくは、適しているのは、任意の決定可能な時間経過および周期的に再発生する電気電圧を生成するための試験信号発生器である。この電圧もまた、個々にあらかじめ決定可能である。好ましい試験信号発生器は例えば、アナログまたはデジタル関数発生器である。
【0012】
最も単純な実施形態では、好ましくは接続ケーブルを介して試験信号発生器に接続される試験モジュールは、少なくとも1つの、好ましくは複数の接点電極を有する第1受入構造を備え、そのなかに、解放可能な形態でDUTに対して堅固に接続されたアダプタが挿入可能であり、少なくとも1つの電気接点を形成する。
【0013】
試験モジュールはハウジングを備え、ハウジングには好ましくはハウジング内の凹部の形態で第1受入構造が設けられ、そこにはDUTに対して取り外し可能な方法で堅固に接続されたアダプタモジュールがインターロック接続を形成して挿入される。アダプタモジュールを第1受入構造に対して挿入することによって形成されるインターロック接続は、第1受入構造内のアダプタモジュールを(すなわち試験モジュールの第1受入構造に対するDUTを)1対1で確実に嵌合する。同時に、受入構造の凹部の領域に適用される少なくとも1つの接触電極とアダプタモジュールとの間に、電気接続が形成される。
【0014】
インターロック接続に加えて、アダプタモジュールは例えば、アダプタモジュールと試験モジュールとの間にばね荷重クランプ接続またはラッチ接続を設けることを通じて、追加の摩擦接続によって試験モジュールに対してオプション的に固定される。もちろん、アダプタモジュールを試験モジュールに対して解放可能に固定することができる代替的な保持手段を、試験モジュール上に直接的または間接的に設けることもできる。
【0015】
試験モジュール内に第1受入構造を設けることによって、以下が保証される:DUTに対して個別に適合され、均一に設計された受入構造において使用することができるアダプタモジュールに対してそれぞれ挿入される、複数の同一または異なるように設計されたDUTを、正確に同じテスト条件下でテストすることができる。すなわち、それぞれの場合において、定義された空間的位置および電気的接触を維持して、テストすることができる。このようにして、再現可能で信頼性のあるチェック手順をDUTについて実施することができる。
【0016】
したがって、それぞれのDUTに対して個別に整合され、テキストボックスの第1受入構造に対して挿入することができるアダプタモジュールにおいてそれぞれ使用される、それぞれ異なるように組み立てられた複数のDUTを試験するために、1つの同じ試験モジュールが利用可能である。
【0017】
第1受入構造体に挿入されたアダプタモジュールに対して接続されたDUTをチェックするために、試験信号生成器によって生成された試験信号は、試験モジュールとアダプタモジュールを介してDUTに対して送信される。この目的のために、DUTに対して適用される電気接点(以下、対向電極と呼ぶ)の数および配置に応じて、対応する接点電極がアダプタモジュール側に設けられ、これを介して、試験信号、およびオプションとして測定信号も、試験モジュールとDUTとの間で伝送することができる。
【0018】
試験モジュールと同様に試験信号発生器に対して直接または間接的に接続された制御解析ユニットは、記録された測定信号の試験および解析のために使用される。接続は有線または無線であってもよく、第1例においては個々の構成要素間で制御信号および測定信号を送信する役割を果たす。制御および分析ユニットは、典型的には、測定信号を分析および記録するために必要とされるメモリ、モニタなどのすべての構成要素および周辺装置を有する、コンピュータまたはPCの形態で構成される。
【0019】
さらなる実施形態において、試験モジュールは第2受入構造を備え、第2需要構造は、第1受入構造に対して空間的に固定された方法で配置され、電気エネルギーおよび/または信号伝送の目的でDUTと非接触相互作用する、例えば誘導コイルまたは信号アンテナアセンブリなどの電気的追加コンポーネントを挿入することができる。
【0020】
誘導コイルデバイスおよび/またはアンテナアセンブリを備えるDUTの場合、第2受入構造に対して挿入された電気的追加構成要素による補助の下、DUTと外部コイルおよびアンテナユニットとの間の非接触エネルギーおよび/または信号伝送の機能容量をチェックすることができる。このために、第2受入構造は好ましくは、試験モジュール内の引き出し状の凹部の形態で設計され、さらに第1受入構造の真下に配置され、これにより、第1受入構造内に配置されたDUTと第2受入構造内に配置された電気的追加コンポーネントとの間の規定された相対位置を確実にする。
【0021】
制御および分析ユニットの試験モジュールへの接続に加えてまたは代替的に、好ましい実施形態は、電気コンポーネントと制御および分析ユニットとの間の有線接続を想定し、これに沿って、DUTに対してエネルギーを供給するための電気エネルギーが流れることができ、また、DUT上でピックアップされ、制御および分析ユニットに対して転送される測定信号を送信することができる。
【0022】
電気的追加構成要素が第2受入構造内で空間的に固定された態様で実装されることを確実にするために、好ましくは引き出し状の第2受入構造の内側輪郭および電気的追加構成要素を取り囲むハウジングは互いに対向配置されており、これにより、第2受入構造内での電気的追加構成要素の確実な挿入および固定が可能となり、付加的な摩擦接続でオプション的に補助されるインターロック接続を形成することが可能となる。
【0023】
製造過程中の医療用インプラントの検査において、DUTは、典型的には以下の異なる構造形態をとる:
a)チェックの第1段階は、すべての電気/電子部品の機能を保証し、可能性のある低温はんだ付け箇所を除外するために、電子部品および電気部品が取り付けられたプリント回路基板をテストすることを含む。
【0024】
b)これに続く製造プロセスにおいて、プリント回路基板上に設けられた接点に対して導電体が電気的に接続され、空間的に規定された互いに対する固定を目的として、いわゆるグロメットプレートで互いに対して固定される。
【0025】
c)さらなる処理ステップにおいて、電気導体構造は電気接点アセンブリと接触し、d)いわゆるヘッド部内の医療インプラントの最終完了段階において、これは電気接点構造の一部であり、その目的は医療インプラントから離れるように導くケーブル接続に接触することであり、これを介して電気刺激信号が、医療インプラントとは別個に体内に配置された電極アセンブリに対して印加されることが可能である。
【0026】
上述の製造段階の各々において、異なるDUTが存在し、試験モジュール内の第1受入構造が個々のDUTベースで適合されなければならないことをチェックし、これにより、各ケースにおいて再現可能な試験状況を生成する。
【0027】
本発明による試験モジュールは、均一な第1受入構造を有するように設計され、その中に、各々が第1受入構造に適合するように設計されたアダプタモジュールを挿入することができ、各々が、検査されるDUTに対して個別に適合された第3受入構造を有する。あるいは、試験発生器、試験モジュール、電気的追加構成要素、ならびに制御および分析ユニットに関連する、アセンブリの残りの部分は、変更されない。異なるように設計されたDUTを検査するために取られるべき唯一の手段は、各々が個別のDUT調整された第3受入構造を有する異なるアダプタモジュールのモジュール交換に関する。
【0028】
各場合において、試験モジュールの第1受入構造内、および/またはアダプタモジュールの第3受入構造内でのDUTの電気的接触を目的として、それぞれの受入構造は、DUT側に適用される対向電極によって、DUTと摩擦およびインターロック方式で接触させることができる少なくとも1つの接触電極が配置される少なくとも1つの接触面を有する。
【0029】
DUT側に設けられる対向電極の数、空間的適用、および配向に応じて、少なくとも1つの接触面上に設ける接触電極は、それぞれの場合に対向して輪郭形成された適切な方法で設計されるべきである。好ましい実施形態において、少なくとも1つのコンタクト電極および対向電極は、プラグソケットコンタクト構造のように構成される。代替的に、または組み合わせで、接触電極および/または対向電極は、バネで荷重された、たわみ可能に支持された接触ピンの形態で設計することができる。その他の代替の、接触電極および対向電極の形態および構造も、考え得る。
【0030】
埋め込み型パルス発生器(IPG)は典型的には、電気/電子構成要素が収容された供給部と、少なくとも1つの電気ソケット構造を有しそれに取り付け可能なヘッド部とを備え、この埋め込み型パルス発生器(IPG)の形態の完成した医療用インプラントを検査するために、インプラントは試験モジュール内またはアダプタモジュール内の第3受入構造内の形状およびサイズの観点で適合された第1受入構造内に挿入される。挿入手順によって、電気的にアクセス可能な接触領域上で、すなわち、プラグ-ソケット構造内に設けられた接触電極に沿って、医療用インプラントは、試験モジュールまたはアダプタモジュール上に設けられた適切な接触電極と接触するようになる。インプラントと、試験モジュール内に一体化された電気的追加構成要素との間の正確に事前決定された空間的割り当てによって、インプラントには、非接触方式で電気エネルギーが供給される。インプラントと試験モジュールまたはアダプタモジュールとの間のソケット構造内に生成された電気接点を介して、試験信号発生器によって生成された試験信号が医療用インプラントに印加される。機能性をテストし、適切な機能を記録するために必要な測定信号は、第2受入構造体内に配置され、分析および制御ユニットに対して供給される別の電気部品を介して、非接触で読み出される。
【0031】
機能性をチェックするための本発明によるアセンブリの使用に加えて、本発明による試験アセンブリは、ソフトウェア更新の一部として医療用インプラントを更新するのに適している。これは特に、電気的追加構成要素と医療用インプラントとの間の信号伝送が医療用インプラントの方向にも実施されるからである。このために、分析および制御ユニットによって、現在の動作データ記録が電気的データ信号の形態で電気的追加構成要素に対して供給されなければならず、電気的追加構成要素は、非接触方式でデータ信号を送信する。これは医療用インプラントへの誘導結合によって実施され、適切に提供されたDUT固有の記憶および計算ユニットにおいて情報が受信され、それに応じて処理される。
【0032】
本発明によるアセンブリは、医療用インプラントの信頼性のある再現性のある検査を可能にする。モジュラー構築ブロック原理に基づいて、各々が異なるDUT構成に対して適合される、それぞれ異なるように設計されたアダプタおよび/または試験モジュールを提供することによって、医療用インプラントの製造履歴全体を監視し、記録することができる。このようにして、品質保証は、医療用インプラントの製造中に著しく改善される。
【0033】
本発明によって機能性をチェックするためのアセンブリは特に、DUTのチェックを自動的に実施することも可能である。機能チェックを実施するために必要な全てのコンポーネントおよび操作ステップが、適切に実装されたロボットによって実施されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
1例として、本発明は、一般的な発明概念を限定することなく、図面を参照して実施形態の例として以下に説明される:
図1】機能をチェックするアセンブリの概要を示す。
図2】DUTの異なる実施形態を示す。
図3】バネ荷重コンタクトピンを備えた受入構造を示す。
図4】アダプターモジュールを示す。
図5】ソケット接点を有する受入構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、測定対象物の機能性をチェックするためのアセンブリの全体図を示している。DUT(Device Under Test)は、エネルギーおよび信号交換を目的として、試験信号発生器1と、試験モジュール2と、制御および分析ユニット3とを備え、これらは電気的追加コンポーネント4によって試験モジュール2に対して接続されている。コア要素は試験モジュール2であり、これは第1受入構造5を備え、チェックされるDUTは、直接的または間接的に剛性的に挿入され、取り外し可能な方法で電気的に接触することができる。
【0036】
本発明によるアセンブリは、医療用インプラントの製造中および製造後に、機能性をチェックし、品質を保証するためのものである。図2には、異なる製造形態の医療用インプラントを示す典型的なDUTが示されている。図2aは、電気/電子部品7が配置された電気回路基板6の形態の医療用インプラントを組み立てるための第1製造段階を示す。図2bはその後の第2拡張段階を示し、グロメット板8を有し、そこを通って導電体9が供給され固定され、それぞれの一端が回路基板6上の接点10に接続されている。図2cは、好ましくは流体密封方式でグロメット板8とともに回路基板6を取り囲む筐体11を示す。好ましくは、筐体11は、硬化エポキシ樹脂塊または金属ハウジング、例えばチタンハウジングの形態である。図2dは、ヘッド部13を有する完成した医療用インプラント12を示す。ヘッド部13は、実施形態の例では2つのソケット14を含み、これに沿って、電気導体9に対して接続された接触電極が配置されている。ヘッド部13において液密に終端し、体内に配置された電極に対して接続されたプラグが、ソケット14に対して挿入される。
【0037】
図2a~dに示す異なる設計のDUTにしたがって医療用インプラント12の個々の拡張段階の機能性をチェックするために、図1に示す試験モジュール2は第1受入構造5を有し、この第1受入構造は、少なくとも1つの接触面15およびその上に配置された接触電極17を有する試験モジュール2内の凹部16を想定している。
【0038】
例えば図2aに示す回路基板をDUTとして測定するために、例えばECG信号の形態の試験信号が試験信号発生器1によって発生され、試験信号生成器1と試験モジュール2との間で延伸するケーブル接続18を介して、アダプタモジュールにより第1受入構造5内に間接的に配置されたDUTに対して送信される。
【0039】
このために、試験モジュール2内に設けられた受入構造5は、第1受入構造5と対向輪郭で整合するアダプタモジュール23が挿入されるように設計されている。図4を参照されたい。全てのアダプタモジュール23は、試験モジュール2の第1受入構造5内に挿入され電気的に接触するための均一な接合輪郭24を有している。検査されるDUTに応じて、各アダプタ23は、異なる仕上げの第3受入構造25を有する。形状およびサイズが異なるDUTは常に、それぞれの第3受入構造25に対して、インターロック方式で、あるいは必要に応じて摩擦嵌合方式で挿入することができる。DUTは、アダプタモジュール23上に適切に設けられた接点電極25と接触する。
【0040】
第1受入構造5内に空間的に固定されたアダプタモジュールの電気的接触のために、凹部16内に設けられた接触電極17のうち少なくともいくつかは、アダプタモジュール上に存在する対向電極20と電気的に接触する。図3は、アダプタモジュール23の下側に適用された対向電極20と接触するバネ荷重コンタクトピン19の形態で試験モジュール2上に配置された、接触電極17の可能な実装例を示す。
【0041】
DUTの電気部品構成に応じて、試験信号発生器1は、ケーブル接続18を介して、チェックされるDUTに対して電気エネルギーを供給する。
【0042】
試験モジュール2はまた、引き出し状の凹部の形態の第2受入構造21(図1参照)を備え、好ましくは誘導コイルおよび/またはアンテナ配置の形態の電気的追加構成要素4が、それを介して電気エネルギーおよび測定信号を非接触で伝達することができる。
【0043】
オプションとして、制御および分析ユニット3は、試験モジュール2(ケーブル接続22’参照)に対して直接接続されるか、または電気的追加構成要素4(ケーブル接続22参照)に対して直接接続される。それぞれのケーブル接続部22、22’を介して、接触電極17により拾われた測定信号を制御解析部3に対して伝送することができるようになる。同様に、DUTには、ケーブル接続部22、22’を介して電気エネルギーを供給することができる。
【0044】
アダプタモジュール23内のDUTの電気的接触の目的のために、例えば、図3に示すばね荷重コンタクトピン19、および/または、図5に示すようにそれぞれソケット接続の形態の接触電極が存在する。図5は、DUTのプラグコンタクト27を挿入することができるソケットコンタクト25を有するアダプタモジュール23を示す。アダプタモジュール23の第3受入構造25は、力方向Fに沿ってアダプタモジュール23に対してDUTを力学作用によって挿入することを可能にする。
【0045】
原則として、第1および第3受入構造5、25の両方を製造するための実施例の形態に制限はない。
【符号の説明】
【0046】
1:試験信号発生器
2:試験モジュール
3:制御および分析ユニット
4:電気的追加部品
5:第1受入構造
6:電気回路基板
7:電気/電子部品
8:グロメット板
9:電気導体
10:コンタクト
11:筐体
12:医療用インプラント
13:ヘッド部
14:ソケット
15:接触面
16:凹部
17:接触電極
18:ケーブル接続
19:コンタクトピン
20:対向電極
21:第2受入構造
22,22’:ケーブル接続
23:アダプタモジュール
24:接合輪郭
25:第3受入構造
26:ソケット
27:プラグコンタクトピン
図1
図2
図3
図4
図5