(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】練習用自転車及び自転車フレーム
(51)【国際特許分類】
B62K 15/00 20060101AFI20250107BHJP
B62K 13/00 20060101ALI20250107BHJP
B62K 3/02 20060101ALI20250107BHJP
B62H 7/00 20060101ALI20250107BHJP
B62M 1/36 20130101ALI20250107BHJP
【FI】
B62K15/00
B62K13/00
B62K3/02
B62H7/00
B62M1/36
(21)【出願番号】P 2022534876
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2020027078
(87)【国際公開番号】W WO2022009425
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505429832
【氏名又は名称】株式会社 ビタミンアイファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 未来雄
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209956142(CN,U)
【文献】登録実用新案第3212384(JP,U)
【文献】登録実用新案第3129979(JP,U)
【文献】実開平03-010989(JP,U)
【文献】特開2001-191972(JP,A)
【文献】特開2012-091586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 3/02
B62K 13/00 - 17/00
B62K 19/24
B62H 7/00
B62M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルユニット(200)を接続する受部(110)がシートチューブ(120)の下部に設けられた自転車フレーム(100)と、前記受部(110)に着脱可能に接続されるペダルユニット(200)と、前記ペダルユニット(200)と後輪(300)との間に架設されるチェーン(500)と、を含むペダルユニット着脱可能な練習用自転車(1)において、
前記ペダルユニット(200)は、チェーンホイール(210)が軸着されたペダルクランク(220)を回転自在に保持するとともに前記受部(110)に接続するための接続部(230)を有するとともに、前記チェーン(500)は、前記チェーンホイール(210)と前記後輪に設置されるリアスプロケット(310)とに架設されることで、前記ペダルユニット(200)と前記チェーン(500)とが自転車フレーム(100)に着脱自在に接続される構成であり、
前記自転車フレーム(100)は、前記チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)が前記自転車フレーム(100)に着脱自在に接続され、少なくとも前記ペダルユニット(200)側の側面に、前記後輪(300)を回転自在に固定するチェーンステー(130)を備えており、
前記シートステー(150)の後端は、前記後輪(300)の車軸(302)上に固定されていることを特徴とする練習用自転車。
【請求項2】
ペダルユニット(200)を接続する受部(110)がシートチューブ(120)の下部に設けられた自転車フレーム(100)と、前記受部(110)に着脱可能に接続されるペダルユニット(200)と、前記ペダルユニット(200)と後輪(300)との間に架設されるチェーン(500)と、を含むペダルユニット着脱可能な練習用自転車(1)において、
前記ペダルユニット(200)は、チェーンホイール(210)が軸着されたペダルクランク(220)を回転自在に保持するとともに前記受部(110)に接続するための接続部(230)を有するとともに、前記チェーン(500)は、前記チェーンホイール(210)と前記後輪に設置されるリアスプロケット(310)とに架設されることで、前記ペダルユニット(200)と前記チェーン(500)とが自転車フレーム(100)に着脱自在に接続される構成であり、
前記自転車フレーム(100)は、後輪の両側にシートステー(150)が設けられ、前記シートステー(150)のうち前記チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)のみが前記自転車フレーム(100)に着脱自在に接続され、さらに、少なくとも前記チェーンホイール(210)を接続する側の側面に、前記後輪(300)を回転自在に固定するチェーンステー(130)を備えており、
前記チェーンホイール(210)を接続する側にある前記チェーンステー(130)の後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部(132)が設けられ、当該分岐部(132)に前記チェーンホイール(210)を接続する側の前記シートステー(150)の後端が接続される
構成であるとともに、
前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、前記分岐部(132)は、前記チェーンカバー(250)の外側に、前記自転車フレーム(100)の側面から見て前記チェーンカバー(250)と重なるように設けられていることを特徴とする練習用自転車。
【請求項3】
前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、
前記チェーンカバー(250)には、前記チェーンステー(130)が貫通する貫通孔(252)が設けられ、当該貫通孔(252)に前記チェーンステー(130)が前記チェーンカバー(250)の外側後方から内側前方に向かって挿入されていることを特徴とする請求項1
または請求項2記載の練習用自転車。
【請求項4】
前記チェーンカバー(250)は、前後方向に分離可能であり、
前記貫通孔(252)は、前記チェーンカバー(250)における分離部分に跨って形成されていることを特徴とする請求項
3記載の練習用自転車。
【請求項5】
前記シートステー(150)の後端には、後方に開放した長孔(152)が設けられ、当該長孔(152)を貫通する車軸(302)に固定用部材(136)が締付固定されることにより、前記シートステー(150)の後端が前記後輪(300)の車軸(302)上に固定されていることを特徴とする請求項1記載の練習用自転車。
【請求項6】
前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、
前記シートステー(150)は、チェーンステー(130)の後端側とシートチューブ(120)の上部との間に配置されるとともに、前記チェーンステー(130)側の端部は、前記チェーンカバー(250)より外側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の練習用自転車。
【請求項7】
前記シートステー(150)は、その前端及び後端の両端が着脱自在に接続されることで、全体が着脱自在となっている請求項1~
6のいずれか1項記載の練習用自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンおよびペダルユニットの脱着が可能な練習用自転車および自転車フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペダルユニットが着脱可能となるように構成された自転車が開発され、使用されている。自転車からペダルユニットを取り外すことを可能とする目的は、主に、自転車に乗る練習のためである。具体的には、チェーンホイールやペダルクランクを含むユニット本体部分を自転車本体にボルト等で着脱可能とし、ボルトとナットによるペダルユニットの固定接続/解除を可能としている(特許文献1参照)。
【0003】
この構成とすることにより、特に、子供が自転車に初めて乗る場合には、ユニット本体部分を取り外した状態で、脚で地面を蹴ってハンドル操作技術とバランス感覚を習得し、ある程度乗れるようになったらユニット本体部分を自転車本体に取り付けて、ペダルクランクに接続されたペダルをこいで自転車を前に進める練習をすることが可能となる。これは、子供に限らず、ある程度年齢を重ねた大人にも有効な練習方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に子供用の小さな練習用自転車は、搭乗する人の体重が軽いことなどから、シートステーがない自転車であることが多いため、ペダルユニットとチェーンの着脱が簡単にできるが、シートステーが存在する自転車の場合には、本体から後輪を取り外してチェーンを装着する必要があり、ペダルユニットとチェーンの着脱が困難であるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するため、シートステーが存在する練習用自転車においても、チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことのできる練習用自転車および自転車フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の形態は、ペダルユニット(200)を接続する受部(110)がシートチューブ(120)の下部に設けられた自転車フレーム(100)と、前記受部(110)に着脱可能に接続されるペダルユニット(200)と、前記ペダルユニット(200)と後輪(300)との間に架設されるチェーン(500)と、を含むペダルユニット着脱可能な自転車(1)において、前記ペダルユニット(200)は、チェーンホイール(210)が軸着されたペダルクランク(220)を回転自在に保持するとともに前記受部(110)に接続するための接続部(230)を有するとともに、前記チェーン(500)は、前記チェーンホイール(210)と前記後輪に設置されるリアスプロケット(310)とに架設されることで、前記ペダルユニット(200)と前記チェーン(500)とが自転車フレーム(100)に着脱自在に接続される構成であり、前記自転車フレーム(100)は、前記チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)が前記自転車フレーム(100)に着脱自在に接続されることを特徴とする練習用自転車である。本構成によれば、チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)が着脱可能となっているため、シートステー(150)が存在する練習用自転車においても、チェーン(500)およびペダルユニット(200)の脱着を容易に行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記自転車フレーム(100)は、少なくとも前記ペダルユニット(200)側の側面に、前記後輪(300)を回転自在に固定するチェーンステー(130)を備える構成としてもよい。
【0009】
上記構成において、前記チェーンステー(130)の後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部(132)が設けられ、当該分岐部(132)に前記シートステー(150)の後端側が固定される構成としてもよい。本構成によれば、着脱作業のしやすい位置・形状に分岐部(132)を設定することで、シートステー(150)の着脱作業が容易になる。
【0010】
上記構成において、前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、前記分岐部(132)は、前記チェーンカバー(250)の外側に、前記自転車フレーム(100)の側面から見て前記チェーンカバー(250)と重なるように設けられている構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバー(250)を分岐部(132)で挟み込むことで、強度向上の効果が期待できる。
【0011】
上記構成において、前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、前記チェーンカバー(250)には、前記チェーンステー(130)が貫通する貫通孔(252)が設けられ、当該貫通孔(252)に前記チェーンステー(130)が前記チェーンカバー(250)の外側後方から内側前方に向かって挿入されている構成としてもよい。本構成によれば、貫通孔(252)を介してチェーンステー(130)を取り付けることにより、チェーンカバー(250)の取り付けが容易になる。
【0012】
上記構成において、前記チェーンカバー(250)は、前後方向に分離可能であり、前記貫通孔(252)は、前記チェーンカバー(250)における分離部分に跨って形成されている構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバー(250)が前後に分離可能であることから、チェーンカバーの取り付けが更に容易になる。
【0013】
上記構成において、前記シートステー(150)の後端は、前記後輪(300)の車軸(302)上に固定されている構成としてもよい。本構成によれば、車軸(302)をシートステー(150)の固定に利用することで、部品点数を削減することができる。
【0014】
上記構成において、前記シートステー(150)の後端には、後方に開放した長孔(152)が設けられ、当該長孔(152)に設けられた固定用部材(136)により、前記シートステー(150)の後端が前記後輪(300)の車軸(302)上に固定されている構成としてもよい。本構成によれば、後方に開放した長孔(152)により、シートステー(150)取付時の調整を容易にすることができる。
【0015】
上記構成において、前記ペダルユニット(200)は、前記チェーン(500)を覆うチェーンカバー(250)を備え、前記シートステー(150)は、前記チェーンカバー(250)の外側に取り付けられる構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバー(250)をシートステー(150)で挟み込むことで安定させることができる。
【0016】
上記構成において、前記シートステー(150)は、その両端に着脱部を有し、全体が着脱自在となっている構成としてもよい。本構成によれば、シートステー(150)全体を着脱可能とし、途中に切れ目を設けないことから、シートステー(150)取付時の自転車フレーム(100)の強度を向上させることができる。
【0017】
本発明の別の形態は、ペダルユニット(200)およびチェーン(500)が着脱自在に装着される自転車フレーム(100)において、前記自転車フレーム(100)は、チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)が前記自転車フレーム(100)に着脱自在に接続されることを特徴とする自転車フレームである。本構成によれば、チェーンホイール(210)を接続する側のシートステー(150)が着脱可能となっているため、シートステー(150)が存在する練習用自転車においても、チェーン(500)およびペダルユニット(200)の脱着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る自転車および自転車フレームを、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る自転車の側面斜視図であり、
図2は、自転車の分解図である。
図3は、ペダルユニットとチェーンを取り外した自転車の側面斜視図であり、
図4は、シートステーの接続部を示す後方斜視図である。
図5は、シートステーの別の接続構造の実施例を示す自転車の側面斜視図であり、
図6は、シートステーを外した自転車の側面斜視図である。
図7は、シートステーの接続部を示す後方斜視図であり、
図8は、ペダルユニットの内部を示す自転車の側面視斜視図である。
【0019】
本発明に係る自転車1は、
図1、
図2および
図8に示すように、自転車フレーム100と、ペダルユニット200と、後輪300と、前輪420を備えるハンドル部400と、チェーン500と、からなり、シートステー150を着脱自在にすることにより、チェーン500およびペダルユニット200を自転車フレーム100から容易に脱着可能とした自転車である。
【0020】
自転車フレーム100は、本発明に係る自転車1の本体を構成する部材であり、
図1、
図2および
図8に示すように、ペダルユニット200と、後輪300と、前輪420を備えるハンドル部400と、チェーン500とが設置される。自転車用フレーム100は、シートチューブ120と、チェーンステー130と、ダウンチューブ140と、シートステー150と、を備えており、本実施例では、ダウンチューブ140の前部に設置されるヘッドチューブ160にハンドル部400が左右に回転自在に設置される。また、シートチューブ120の上部とダウンチューブ140の前部とを接続するトップチューブ170を設置する構成としてもよい。
【0021】
自転車フレーム100は、本実施例では鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。
【0022】
自転車フレーム100には、受部110が設置される。受部110は、ペダルユニット200を接続するための部材であり、
図1に示すように、シートチューブ120の下部に固定設置され、ペダルユニット200を自転車フレーム100にボルトで着脱自在に接続する構成である。
【0023】
受部110は、シートチューブ120の他、ダウンチューブ140下部のシートチューブ120と交差する部分などに固定設置される構成とすることが可能である。また、受部110は、ユーザが自転車に搭乗してペダルを漕ぐ際にペダルを踏む力が集中する部材となるため、頑丈な部材であるとともに自転車フレーム100に強固に接続されることが望ましい。本実施例では、受部110を自転車フレーム100と同じ鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。受部の具体的構成のバリエーションとして、受部110をサドル下方に伸びる略円柱の中空部材とし、当該中空部材に挿入されるユニット側接続部を設けたペダルユニットを取り付けてもよい(特開2013-147199号公報、〔0017〕~〔0020〕段落及び〔
図3〕参照)。また、受部にクランクと凹凸に係合可能なギア部を設け、当該ギア部にクランクを差し込みペダルを回せる構成としてもよい(国際公開2018-216676号公報、〔0050〕~〔0054〕段落及び〔
図1〕~〔
図2〕〔
図8〕~〔
図9〕参照)。
【0024】
チェーンステー130の後端部には、後輪300が装着される。後輪300には、ペダルクランク220の回転動力を伝達するチェーン500を架設するリアスプロケット310が装着される。また、ダウンチューブ140の前部には、ヘッドチューブ160を介して、ハンドル410および前輪420が装着されたフロントフォーク430を含むハンドル部400が装着される。
【0025】
ペダルユニット200は、自転車フレーム100に着脱自在に装着されるペダル240とペダルクランク220とチェーンホイール210とチェーンカバー250を含むユニットであり、本実施例では、受部110に着脱可能に接続される。また、チェーン500は、ペダルユニット200のチェーンホイール210と後輪300のリアスプロケット310との間に架設される。チェーン500を覆うチェーンカバー250は、ペダルユニット200において必須の構成ではないが、チェーン500を保護し、操縦者とチェーンの接触事故を防ぐために、あった方が望ましい。
【0026】
本発明に係る自転車1のペダルユニット200は、チェーンホイール210が軸着されたペダルクランク220を回転自在に保持するとともに、自転車フレーム100に固定接続される受部110に着脱自在に接続するための接続部230を有する構成である。
【0027】
ペダルユニット200の本体は、チェーンホイール210が軸着されたペダルクランク220を回転自在に保持するとともに自転車フレーム100に接続される。ペダルユニット200の本体には、接続部230が装備される。接続部230は、ペダルユニット200を自転車フレーム100に接続して固定するための部材であり、本実施例では、自転車フレーム100に設けられる受部110に接続される構成である。
【0028】
接続部230は、本実施例では、ペダルユニット200に溶接する構成であるが、これに限定されることはなく、一体形成によって装備する構成としてもよい。また、接続部230は、強度を保つために自転車フレーム100と同じ鉄で構成されるが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して構成することが可能である。
【0029】
受部110と接続部230とは、本実施例では、ボルトで固定される構成である。具体的には、受部110および接続部230に穿設された孔(図示せず)にボルトを挿入してナットとともに締結する構成である。なお、受部110または接続部230に穿設された孔は、いずれかを長孔とすることが可能である。これにより、チェーンホイール210とリアスプロケット310との間に架設されるチェーン500のテンションを強めたり弱めたり調整することが可能となる。
【0030】
上記構成とすることにより、ペダルユニット200とチェーン500とを、自転車フレーム100に着脱自在に装着することが可能となる。
【0031】
自転車フレーム100は、本実施例では、
図1乃至
図4に示すように、左右一対のチェーンステー130を装備している。このチェーンステー130が後輪300を左右から挟持し、チェーンステー130の先端部分において車輪500を回転自在に固定する構成である。チェーンステー130の後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部132が設けられ、当該分岐部132に後述するシートステー150の後端側が固定される(
図4参照)。着脱作業のしやすい位置・形状に分岐部132を設定することで、シートステー150の着脱作業が容易になる。なお、チェーンステー130は、片側のみで固定する片腕タイプを選択する構成とすることも可能である。チェーンステー130を片側のみとする場合、当該チェーンステー130はチェーンホイール210側に設けることが好ましい。
【0032】
本実施例では、自転車フレーム100は、チェーンステー130とシートチューブ120の上部との間に渡設されるシートステー150を備えている。本発明に係る自転車1が備えるシートステー150は、左右のうち一方のステーが着脱自在に接続される構成である。本実施例では、チェーンホイール210を接続する側のシートステー150が自転車フレーム100に着脱自在に接続され、反対側のシートステー150は、チェーンステー130とシートチューブ120に溶接等によって固定される構成である。この構成とすることにより、以下に述べるように容易にペダルユニットとチェーンの脱着を行うことが可能となった。なお、本実施例では、上記のとおりシートステー150が後輪300の両側に設けられているが、シートステー150は少なくともチェーンホイール210側に設けられていればよい(以下の説明において「シートステー150」という場合、チェーンホイール210側に設けられた着脱可能なシートステー150を指すものとする。)。
【0033】
従来、子供用の自転車にあっては、練習用自転車としてペダルユニットが着脱可能に構成された製品が存在していた。この子供向けの練習用自転車は、小型であるため、通常シートステーは装着されていない。このため、ペダルユニットとチェーンの脱着は比較的容易であった。ところが、大人用の自転車は、重量を支える必要があることから、通常はシートステーが設けられている。このシートステーが存在するため、仮に大人用の自転車に着脱自在なペダルユニットを装着したとしても、シートステーが邪魔でチェーンを取り外すことが困難という問題が生じていた。
【0034】
本発明の構成とすることにより、大人用を含め自転車大きさに拘わらず、シートステー150を取り外すことによって、容易にペダルユニットとチェーンの脱着を行うことが可能となり、大人であっても気軽に自転車に乗る練習を行う事が可能となった。
【0035】
シートステー150は、本実施例では、
図1乃至
図4に示すように、チェーンステー130の後端側とシートチューブ120の上部との間に、その両端が着脱自在に接続されることで、シートステー150全体が着脱自在な構成となっている。具体的には、チェーンステー130の後端側の分岐部132に穿設された接続孔およびシートチューブ120の上部側に設けられた接続孔と、シートステー150の両端に設けられた接続孔をボルトおよびナットで固定する構成となっている。このとき、分岐部132は、チェーンカバー250の外側に、自転車フレーム100の側面から見てチェーンカバー250と重なるように設けられ、チェーンカバー250を分岐部132で挟み込むことで、強度向上の効果が期待できる。また、シートステー150をチェーンカバー250の外側に取り付け、チェーンカバー250をシートステー150で挟み込む構成とすることで、全体を安定させることができる。更に、シートステー150全体を着脱可能とし、途中に切れ目を設けないことから、シートステー150取付時の自転車フレーム100の強度を向上させることができる。
【0036】
ここで、チェーンカバー250には、チェーンステー130が貫通する貫通孔252が設けられ、当該貫通孔252にチェーンステー130がチェーンカバー250の外側後方から内側前方に向かって挿入されている構成となっている。貫通孔252を介してチェーンステー130を取り付けることにより、チェーンカバー250の取り付けが容易になる。更に、本実施例では、チェーンカバー250は前後方向に分離可能であり貫通孔252はチェーンカバー250における分離部分に跨って形成されている。チェーンカバー250が前後に分離可能であることから、チェーンカバーの取り付け(貫通孔252へのチェーンステー130の挿入)が更に容易となっている。
【0037】
別の実施例として、
図5乃至
図7に示すように、チェーンステー130の先端部側(後輪側)は、後輪300の車軸302を利用して、シートステー150とともにナットで固定する構成とすることも可能である。具体的に、チェーンステー130の後端には、後方に開放した長孔134が設けられ、当該長孔134に設けられた固定用部材(本実施例ではナット136)により、チェーンステー130の後端が後輪300の車軸302上に固定されている(車軸302が溝部が形成され、ナット136と係合可能となっている)。同様に、シートステー150の後端には、後方に開放した長孔152が設けられ、当該長孔152に設けられた固定用部材(本実施例ではナット136)により、シートステー150の後端が後輪300の車軸302上に固定されている。つまり、車軸302は、チェーンステー130の長孔134とシートステー150の長孔152を共に貫通して、ナット136の締め付けによりチェーンステー130及びシートステー150をまとめて固定している。このとき、チェーンステー130及びシートステー150の後端側は、ナットにより固定がしやすいよう、平坦な板状形状となっている。また、後方に開放した長孔により、チェーンステー130及びシートステー150の取付時の位置調整が容易となっている。なお、シートステー150は、本実施例のように両端で取り付ることで全体を着脱自在としてもよいが、シートステー150の一部のみを着脱可能な構成としてもよい。
【0038】
シートステー150は、本実施例では、自転車フレーム100と同じ鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。
【0039】
多くの人は、幼いころに自転車に乗る練習を行い、自転車の乗り方を習得していると考えられるが、自転車練習をしないまま、中学生や大人になる人も少なからず存在する。このような場合に、大人に対応した安全に自転車に乗る練習を行うための器具が存在しないという問題点があった。
【0040】
自転車練習をするには、(1)車体に跨ってバランス感覚を身につける、(2)ペダルを回す、という2つの動作を身につける必要がある。近年、その二つの動作を身につけやすくするために、ペダルを着脱できる練習用自転車が自転車に乗り始める子ども用を中心に注目されている。ペダルを脱着できるようにすることで、軽量なペダルなし自転車として、バランス感覚を容易に身につけられる。次にペダルを装着し、ペダルを回す練習をすることで、運動の苦手な人でも自転車に乗れるようになる。この練習用自転車では、自分の身体に合ったサイズの自転車を選ぶことが重要であるが、大人が乗れるサイズのものがないのが現状であり、上記のような練習を大人が行おうとすると、自転車を分解する作業を行わなければならないという大きな問題があった。
【0041】
ペダルの脱着は、通常は専門の自転車整備士が行うが、ペダルの脱着を使用者本人が行えるようなものが望ましい。そのためには、ブレーキなどの保安装備を外したり、車輪のような専用の工具が必要なものを外したりすることのない、極力簡単に脱着できるものである必要がある。
【0042】
例えば、シートステーのない自転車フレームを用いると、後輪やブレーキを外すことなくそのままで、ペダルとチェーンを脱着することが可能になる。このタイプは、体重の軽い子供用自転車では、有効と考えられるが、体が大きく、体力のある小学生以上となると、強度を保つためにチェーンステーを太くする必要があり、自転車が重くなってしまうため、練習用自転車としては不向きである。
【0043】
この問題を解消するため、シートステーという後輪とシートをつなぐ部材を、取り外しできるようにすることで、後輪やブレーキを外すことなくそのままで、ペダルとチェーンを脱着することが可能になる。
【0044】
本発明に係る自転車及び自転車フレームを用いることにより、強度と軽量化のバランスに優れたダイヤモンドフレームの他、様々な形状の自転車フレームでペダルの脱着を用意に行うことができることとなった。また、子ども用から大人用まで、大小様々な大きさの自転車フレームでも練習用自転車として使用することができ、幅広い人々に愛用してもらうことができる自転車及び自転車フレームを提供することが可能となった。
【0045】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記はあくまで実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲は上記形態に限定されるものではない。本発明は、上記の他にも、特許請求の範囲における記載の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
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図3】ペダルユニットとチェーンを取り外した自転車の側面斜視図
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図5】シートステーの別の接続構造の実施例を示す自転車の側面斜視図
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図8】ペダルユニットの内部を示す自転車の側面視斜視図
【符号の説明】
【0047】
1 自転車
100 自転車フレーム
110 受部
120 シートチューブ
130 チェーンステー
132 分岐部
134 長孔(チェーンステー)
136 固定用部材(ナット)
140 ダウンチューブ
150 シートステー
152 長孔(シートステー)
160 ヘッドチューブ
170 トップチューブ
200 ペダルユニット
210 チェーンホイール
220 ペダルクランク
230 接続部
240 ペダル
250 チェーンカバー
252 貫通孔
300 後輪
302 車軸(後輪)
310 リアスプロケット
400 ハンドル部
410 ハンドル
420 前輪
430 フロントフォーク
500 チェーン