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特許7614218電場による転移性疾患の患者における多発性腫瘍の治療を最適化及び適応させるための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】電場による転移性疾患の患者における多発性腫瘍の治療を最適化及び適応させるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20250107BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/04
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022561696
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 IB2020061900
(87)【国際公開番号】W WO2021124076
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】62/948,600
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/111,204
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522239074
【氏名又は名称】ライフブリッジ イノベーションズ ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】トラヴァース ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ロトンド リチャード
(72)【発明者】
【氏名】クライウィック スコット
(72)【発明者】
【氏名】トラヴァース ナサニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス ケン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0117963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00―1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍治療電場を患者に印加するために腫瘍治療電場装置を構成する方法であって、前記腫瘍治療電場装置は、制御デバイスに結合された絶縁電極要素アレイを含み、前記方法は、
前記患者の体のスキャンを受信するステップa)と、
シミュレータが、前記スキャンで、それぞれが少なくとも1つの腫瘍を有する少なくとも2つの腫瘍充填領域を識別するステップb)と、
前記シミュレータが、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域の空間的関係を決定するステップc)と、
前記シミュレータが、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域を標的とする、前記絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップであって、前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成が前記少なくとも2つの腫瘍充填領域間の前記空間的関係に少なくとも部分的に依存するステップd)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記シミュレータが前記絶縁電極要素アレイのそれぞれの絶縁電極要素群を各サブアレイ発射構成に割り当てるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記それぞれの絶縁電極要素群は、前記絶縁電極要素アレイのいくつかの共通の絶縁電極要素を共有する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記それぞれの絶縁電極要素群は、前記絶縁電極要素アレイのいかなる共通の絶縁電極要素も共有しない、請求項に記載の方法。
【請求項5】
トリアージ戦略、各絶縁電極要素のデューティサイクル、前記絶縁電極要素アレイのピーク電力消費、及び前記絶縁電極要素アレイの総電力消費のうちの1つ以上に応じて、前記シミュレータが前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シミュレータが前記少なくとも2つの腫瘍充填領域内の腫瘍をトリアージしてトリアージ戦略を取得するステップを更に含み、
前記シミュレータが前記絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップは、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域間の前記空間的関係と前記トリアージ戦略に少なくとも部分的に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
トリアージは、各腫瘍充填領域内の少なくとも1つの腫瘍に優先度値を割り当てることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記シミュレータが、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域内の腫瘍の割り当てられた優先度値に応じて、各腫瘍充填領域の少なくとも1つの腫瘍に費やされる総治療時間、電場強度の持続時間及びいくつかの電場印加角度のうちの1つ以上を最適化するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
各絶縁電極要素のデューティサイクル、前記絶縁電極要素アレイのピーク電力消費、及び前記絶縁電極要素アレイの総電力消費のうちの1つ以上に応じて、前記シミュレータが前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記シミュレータが前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップの後に、予防的治療レジメンに応じて、少なくとも2つの代替のサブアレイ発射構成を決定するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記シミュレータが前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成が同時に実施可能であるか又は順次実施可能であるかを決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シミュレータが前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成が同時に実施可能であるか又は順次実施可能であるかを決定するステップは、前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成の電場の相互作用、絶縁電極システムの電力利用可能性、各絶縁電極要素のデューティサイクル、トリアージ戦略、前記絶縁電極要素アレイのピーク電力消費、前記絶縁電極要素アレイの総電力消費、及び最適な治療効果を維持するための時間的制約のうちの1つ以上に依存する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
制御デバイスに結合された絶縁電極要素アレイを含む腫瘍治療電場装置であって、
i)患者のスキャンでの少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定し、
ii)前記少なくとも2つの腫瘍充填領域を標的とする、前記絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定及び/又は実施するように構成され、前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成は、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域間の前記空間的関係に少なくとも部分的に依存する、腫瘍治療電場装置。
【請求項14】
前記制御デバイスは、
i)患者のスキャンでの少なくとも2つの腫瘍充填領域間の前記空間的関係を決定し、
ii)前記少なくとも2つの腫瘍充填領域を標的とする、前記絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定及び/又は実施するように構成され、前記少なくとも2つのサブアレイ発射構成は、前記少なくとも2つの腫瘍充填領域間の前記空間的関係に少なくとも部分的に依存する、請求項13に記載の腫瘍治療電場装置。
【請求項15】
電場発生器を更に含む、請求項13又は14に記載の腫瘍治療電場装置。
【請求項16】
前記絶縁電極要素のリアルタイム温度を検知する1つ以上のセンサを更に含む、請求項1315のいずれか1項に記載の腫瘍治療電場装置。
【請求項17】
3Dスキャナなどのスキャナを更に含む、請求項1316のいずれか1項に記載の腫瘍治療電場装置。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、請求項1317のいずれか1項に記載の腫瘍治療電場装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年12月16日に出願された、「APPARATUS AND METHOD FOR OPTIMIZING AND ADAPTING TREATMENT OF MULTIPLE TUMORS IN PATIENTS WITH METASTATIC DISEASE BY ELECTRIC FIELD」と題された米国仮特許出願第62/948,600号に基づくものであり、それは参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、転移性癌患者の胴体全体を包含する広い領域における多発性固形腫瘍の選択的破壊に関する。より具体的には、本発明は、正常な細胞を損傷させることなく、多発性腫瘍の破壊を最適化し、また、転移性患者内に生じる多発性腫瘍のサイズ、数及び位置が変化するとき、多発性腫瘍の破壊の最適化を経時的に適応させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
交流電場は、腫瘍治療電場(TTF’s、Tumor Treating Fields)とも呼ばれ、低強度の電磁場を使用することによる癌治療療法の一種として採用することができる。これらの低強度の電磁場は、1秒間に数千回、急激に方向を変える。TTFは、電場であるため、筋攣縮や、他の電気的に活性化された組織に重篤な有害な副作用を及ぼすことはない。転移性疾患の増殖速度は、典型的に、正常で健康な細胞の増殖速度よりも速い。交流電場療法は、この高い増殖速度の特性を利用するものである。TTFは、細胞の分極性細胞内成分、すなわち、核内の遺伝物質を2つの姉妹細胞に引き込む有糸分裂紡錘体を形成するチューブリンを操作することにより、癌細胞の有糸分裂プロセスと細胞質分裂を妨害するように作用する。TTFは、有糸分裂紡錘体微小管の集合を中断することにより、細胞分裂を防止する。TTFを使用して治療された転移性疾患細胞は、通常、4~5時間以内にプログラム細胞死になる。その結果、腫瘍サイズが大幅に縮小し、固形腫瘍が完全に除去される可能性がある。TTFは、特定の癌細胞を治療するように調整されているため、正常な細胞に損傷を与えることはない。TTF療法は、単独の治療方法として使用されてもよく、従来の薬物送達機構と組み合わせて使用されてもよい。
【0004】
以下、電場がどのように癌細胞を選択的に殺すかについて説明する。電場を使用して免疫原性応答を引き起こし、癌細胞を選択的に殺すという基礎物理学には、荷電粒子の一般的に知られている属性が含まれる。すなわち、同じ電荷が反発し、反対の電荷が引き合う。有糸分裂に不可欠な主要タンパク質は、高い双極子モーメントを有する。すなわち、一方が負、他方が正である。
【0005】
定電場では、荷電粒子は、反対の電荷に向かって移動する。交流電場に曝されると、有糸分裂に不可欠な双極子タンパク質は、該電場の交流電荷とともに行ったり来たり回転する。
【0006】
癌細胞死につながる電場は、癌細胞のサイズに応じて、100kHz~300kHzの間の周波数で固形腫瘍を介して発生する。最初に答える質問は、癌細胞内で、腫瘍の成長を妨害するために相互作用する電場が何であるかということである。
【0007】
有糸分裂に関与する主要タンパク質複合体は、非常に高い双極子モーメントを有するセプチン(Septin)である。セプチンは、多くの機能があり、細胞の構造的サポートに関与する。交流電場が存在する場合、最適な周波数で、セプチンの機能を発揮するのに必要な局在化が抑制される。有糸分裂中に電場に曝された結果として、腫瘍娘細胞の形成を防止することはないが、それらの奇形を引き起こす。最適な電場の下で発達した娘細胞の異質な性質は、免疫応答を引き起こすことである。免疫原性細胞死が起こり、腫瘍が減少する。
【0008】
セプチンを使用した上記作用機序は、免疫系が損なわれた、神経膠芽腫に対する電場療法を受けている患者(CD8細胞数<144個の細胞/mm、CD4/CD8の比<1.09)が、免疫系が健康な人と比較して、電場療法に反応しないという事実によって更に検証できる。免疫不全状態のこのような患者は、療法を受けても効果がない可能性がある。
【0009】
もちろん、この療法の結果は、細胞壁を貫通し得る、適切に調整された電場に依存しうる。電場が癌細胞壁を貫通できるかどうかは、電場の周波数と細胞のサイズとの関係に依存する。
【0010】
有効電場周波数と癌細胞のサイズとの間には反比例の関係がある。癌細胞が大きいほど、その細胞壁を貫通するのに必要な周波数が低くなる。癌細胞が小さいほど、その細胞壁を貫通するのに必要な周波数が高くなる。実際には、固形腫瘍の減少における電場の有効性は、周波数に依存し、各癌細胞のタイプは、阻害効果が最大となる特定の周波数を有することができる。これにより、適応する電場療法を用いて治療される転移性癌の選択は、細胞サイズの範囲によって部分的に決定されてもよい。電場療法の作用機序は、全ての癌細胞の最も普遍的なプロセスである有糸分裂を妨害することに基づいているため、ある癌に他の癌よりも電場を使用すべきであることを示す属性はない。治療のために選択された癌は、正常細胞を傷つけないことが示されている周波数範囲100kHz~300kHz内で効果的に治療できればよい。
【0011】
固形腫瘍を介して選択電場を送る二次作用機序は、誘電泳動(dielectrophoresis)と呼ばれる。電場は、後期有糸分裂中に分極性高分子及び/又は細胞小器官を有糸分裂溝に向かって押す可能性がある。このため、分裂溝を破裂させ、細胞破壊を引き起こすことが多い。この二次殺傷作用は、電場の線が分裂溝の線と平行であるときに達成される。電場の線と分裂溝の線が垂直であるとき、誘電泳動は起こらない。癌腫瘍では分裂軸(分裂溝の線)がランダムである可能性があるため、1つの角度付きの電場のみが印加される場合、細胞の一部のみが可能な誘電泳動に曝される可能性がある。腫瘍を除去するために必要なレベルでこの現象を引き起こすのに十分な角度を達成することは、不可能であるかもしれない。それにもかかわらず、療法において角度を追加することにより、腫瘍の減少を促進することができる。
【0012】
周波数及び印加角度(誘電泳動)の数に加えて、腫瘍を減少させるための電場療法の成功に影響を与える可能性のある他の変数がある。それらの中には、電場の強度、ある角度から次の角度への切り替え速度、及び患者のコンプライアンスがある。
【0013】
腫瘍を治療するための既知の装置及び方法は、限局性腫瘍に焦点を合わせている。したがって、専用のアレイ要素を用いた従来技術の治療は、複数の疾患部位に適切に対処するのに十分な多様性を持たない可能性がある。
【0014】
当技術分野で必要とされるのは、後期の広範囲にわたる癌を経時的に治療するためのより包括的で適応性のあるアプローチをとる装置及び方法である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、特別に調整された電場によって引き起こされる免疫原性応答の利益を最大化することによって、ヒトの胴体にわたる多発性固形腫瘍及び/又はびまん性腫瘍の破壊を最適化するための装置及び方法に関する。
【0016】
本発明は、免疫原性応答を最適化して多発性/びまん性固形腫瘍を減少させる解決手段を提供する。これにより、本発明は、びまん性疾患、又は進行癌患者の複数の部位の疾患に焦点を合わせている。本装置は、これを以下の方法で実現する。
1.複数のTTF(同時に及び/又は輪番で治療された2つ以上の戦略的領域)を処理する。
2.多発性腫瘍間と重要な臓器の空間的関係により、複数の電場を印加するか又は電場を同時に印加することを適応させる。
3.電場強度が他の変数(角度、周波数、他の電場との相互作用など)の変化に応じて変化するため、電場強度の有効性を最適化するために、電場強度を追跡及び変更する。
4.印加角度の最大数(アレイ要素のデューティサイクルを減少させるため)。
5.腫瘍治療電場の周波数が変化する場合、他の全ての変数を適応させる。
6.患者のコンプライアンスに療法を適応させる。
7.予測血液検査又は予測モデリングなどの予測データを使用して、寛解が達成された後の再発の可能性を最小化する予防的治療レジメンを設計する。
【0017】
本発明の装置及び方法は、これらの変数のそれぞれをより効果的に適用することを可能にすることにより、固形腫瘍を治療するための電場療法を、びまん性疾患又は2つ以上の部位の疾患を有する転移性癌患者に利用可能にする。
【0018】
本発明は、別の形態では、腫瘍治療電場を患者の体に印加する方法に関する。該方法は、患者の体をスキャンして、少なくとも2つの腫瘍充填領域を識別するステップを含む。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定するステップを更に含む。該方法は、患者の体に絶縁電極要素アレイを配置するステップを更に含む。絶縁電極要素アレイは、制御デバイスに結合される。該方法は、各サブアレイ発射構成がそれぞれの腫瘍充填領域を治療するように、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を実施して、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係に少なくとも部分的に応じて少なくとも2つの腫瘍充填領域を治療するステップを更に含む。
【0019】
本発明は、腫瘍治療電場装置に、腫瘍治療電場を患者に印加するように構成させる方法を更に提供し、該装置は、制御デバイスに結合された絶縁電極要素アレイを含み、該方法は、
患者の体のスキャンを受信するステップa)と、
スキャンで、それぞれが少なくとも1つの腫瘍を有する少なくとも2つの腫瘍充填領域を識別するステップb)と、
少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定するステップc)と、
少なくとも2つの腫瘍充填領域を標的とする、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップであって、少なくとも2つのサブアレイ発射構成が少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係に少なくとも部分的に依存するステップd)と、を含む。
【0020】
本発明は、別の形態では、腫瘍治療電場を患者の体に印加する方法に関する。該方法は、患者の体をスキャンして、少なくとも2つの腫瘍充填領域を識別するステップを含む。各腫瘍充填領域は、少なくとも1つの腫瘍を有する。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定するステップを更に含む。該方法は、患者の体に絶縁電極要素アレイを配置するステップを更に含む。絶縁電極要素アレイは、制御デバイスに結合される。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域内の腫瘍をトリアージしてトリアージ戦略を取得するステップを更に含む。該方法は、各サブアレイ発射構成がそれぞれの腫瘍充填領域を治療するように、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を実施して、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係及びトリアージ戦略に少なくとも部分的に応じて少なくとも2つの腫瘍充填領域を治療するステップを更に含む。
【0021】
本発明は、更に別の形態では、腫瘍治療電場を患者の体に印加する方法に関する。該方法は、患者の体をスキャンして、少なくとも2つの腫瘍充填領域を識別するステップを含む。各腫瘍充填領域は、少なくとも1つの腫瘍を有する。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定するステップを更に含む。該方法は、患者の体に絶縁電極要素アレイを配置するステップを更に含む。絶縁電極要素アレイは、制御デバイスに結合される。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係に少なくとも部分的に応じて、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定するステップを更に含む。各サブアレイ発射構成は、それぞれの腫瘍充填領域を治療するように構成される。該方法は、少なくとも2つのサブアレイ発射構成が同時に実施可能であるか又は順次実施可能であるかを決定するステップを更に含む。該方法は、少なくとも2つの腫瘍充填領域を治療するための少なくとも2つのサブアレイ発射構成を同時に実施するか又は順次実施するステップを更に含む。
【0022】
本発明は、更に別の形態では、腫瘍治療電場を患者の体に印加する方法に関する。該方法は、患者の体をスキャンして、少なくとも1つの腫瘍充填領域を識別するステップを含む。各腫瘍充填領域は、少なくとも1つの腫瘍を有する。該方法は、患者の体に絶縁電極要素アレイを配置するステップを更に含む。絶縁電極要素アレイは、制御デバイスに結合される。該方法は、絶縁電極要素アレイの少なくとも1つの初期サブアレイ発射構成を実施して、少なくとも1つの腫瘍充填領域を治療するステップを更に含む。該方法は、絶縁電極要素アレイの絶縁電極要素の温度を検知するステップを更に含む。該方法は、検知温度に応じて絶縁電極要素アレイの少なくとも1つの代替のサブアレイ発射構成を実施して、少なくとも1つの腫瘍充填領域を治療するステップを更に含む。
【0023】
本発明は、制御デバイスに結合された絶縁電極要素アレイを含む腫瘍治療電場装置を更に提供し、該装置は、
i)患者のスキャンでの少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係を決定し、
ii)少なくとも2つの腫瘍充填領域を標的とする、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を決定及び/又は実施するように構成され、少なくとも2つのサブアレイ発射構成は、少なくとも2つの腫瘍充填領域間の空間的関係に少なくとも部分的に依存する。該装置は、本発明の方法を実行するように構成されてもよい。
【0024】
本発明の利点は、絶縁電極システム及びその方法が、異なる電極要素を使用する2つ以上の発射構成で、空間的に離れた多発性腫瘍又はそのクラスターを同時に治療できることである。
【0025】
本発明の上記及び他の特徴及び利点、並びにそれらを達成する方法は、より明らかになり、本発明は、添付の図面と合わせて行われる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A(1)】適応腫瘍治療電場を適用する方法のフローチャートを示す。
図1A(2)】適応腫瘍治療電場を適用する方法のフローチャートを示す。
図1B】適応腫瘍治療電場を適用する方法のフローチャートを示す。
図2】患者のコンプライアンスを高める方法のフローチャートを示す。
図3A(1)】全ての腫瘍が同等の脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図3A(2)】全ての腫瘍が同等の脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図3B(1)】全ての腫瘍が同等の脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図3B(2)】全ての腫瘍が同等の脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図3C】全ての腫瘍が同等の脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図4A(1)】全ての腫瘍が不等な脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図4A(2)】全ての腫瘍が不等な脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図4B(1)】全ての腫瘍が不等な脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図4B(2)】全ての腫瘍が不等な脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図4C】全ての腫瘍が不等な脅威である場合に電場療法を最適化する方法のフローチャートを示す。
図5(1)】システムの構成手順のための方法のフローチャートを示す。
図5(2)】システムの構成手順のための方法のフローチャートを示す
図6】システムの操作手順のための方法のフローチャートを示す。
図7】システムの適応腫瘍治療電場手順のための方法のフローチャートを示す。
図8】システムのグリーンゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図9】システムのレッドゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図10(1)】システムのブルーゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図10(2)】システムのブルーゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図11(1)】システムのイエローゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図11(2)】システムのイエローゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
図11(3)】システムのイエローゾーン温度測定手順のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
対応する参照文字は、いくつかの図面全体を通して対応する部分を示す。本明細書に記載の例示は、本発明の実施形態を例示するものであり、そのような例示は、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0028】
ここで、図1A図1Bを参照して、適応腫瘍治療電場(ATTF、Adaptive Tumor Treating Fields)を適用するプロセスの概要のフローチャートを示す。絶縁電極システム(又は腫瘍治療電場装置)は、制御デバイス、絶縁電極要素アレイ、電場発生器、及び絶縁電極要素のリアルタイム温度を検知するための1つ以上のセンサを含んでもよい。絶縁電極システムは、3Dスキャナなどのスキャナを更に含んでもよい。多層フレックス回路は、絶縁電極要素、制御デバイス、及び電場発生器を互いに結合してもよい。制御デバイスは、アレイ電極要素に送信される周波数範囲、並びにどのアレイ電極要素がどの発射構成及びシーケンスで使用されるかを含む信号を電場発生器に送信するようにプログラムされてもよい。
【0029】
制御デバイスは、本明細書に記載の方法の特定のステップを実行する場合も実行しない場合もある。例えば、制御デバイスは、絶縁電極要素アレイの少なくとも2つのサブアレイ発射構成を計算又は決定してもよい。或いは、制御デバイスは、3Dシミュレータから少なくとも2つのサブアレイ発射構成を受信してもよい。ここで、制御デバイスは、リアルタイムのシステム条件を評価し、どのプリロードされた発射構成を実施するかを決定してもよい。そのような計算は、2つ以上の腫瘍充填領域間の空間的関係、トリアージ戦略、各絶縁電極要素のデューティサイクル、各絶縁電極要素の検知温度、絶縁電極要素アレイのピーク電力消費、絶縁電極要素アレイの総電力消費、絶縁電極システムの電場発生器の電力利用可能性、及び/又は最適な治療効果を維持するための時間的制約、例えば、電場発射過程の1~3秒に依存してもよい。制御デバイスは、ピーク及び/又は総電力消費を決定してもよい。例えば、より多くの電極要素を同時に発射すると、電場発生器からより多くの電力が引き出され、特定の発射構成では、電場発生器の電力定格又は合計電力制限を超えることができない。絶縁電極システムが電池電力で動作している場合、電力制限は、利用可能な電池寿命によって決定されてもよい。制御デバイスは、発射構成を変更するために、電池電力に費やされた時間を追跡してもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、腫瘍充填領域は、1つ以上の腫瘍が存在する患者の体の領域である。腫瘍充填領域は、所与の発射構成からの単一の電場を使用して2つの腫瘍充填領域を治療することができないように、距離を置いて互いに離間してもよい。それにより、腫瘍又はそのクラスター間の空間的関係は、2つ以上の電極要素を使用して、最適化された治療電場を腫瘍又はそのクラスターのそれぞれに印加することを必要とする。
【0031】
制御デバイスは、治療セッション全体を通して発射構成を同時に及び/又は順次実施することができる。制御デバイスは、できるだけ多くの腫瘍充填領域を同時に治療することで、治療プロセスを最適化してもよい。制御デバイスはまた、それぞれの絶縁電極要素群を各サブアレイ発射構成に割り当ててもよい。複数の群は、まったく同じ電極要素を共有しないように、異なる電極要素で構成されてもよい。例えば、複数の群は、それらの間でいくつかの共通の電極要素を共有してもよく、完全に異なる電極要素から構成されてもよい。
【0032】
びまん性腫瘍を治療するプロセスは、患者の体をスキャンすることを含んでもよい。スキャナは、絶縁電極システムのコンポーネントであってもよく、そうでなくてもよい。したがって、制御デバイスは、腫瘍及びそれらの相互の空間的関係を識別してもよい。制御デバイスは、腫瘍のスキャンをファントムに統合して位置をマッピングしてもよい。制御デバイスは、発射シミュレーション及び/又は数学的アルゴリズムを実行して、腫瘍充填領域を最適に治療する治療電場を作るために必要な個別の発射構成の数を決定してもよい。次に、制御デバイスは、腫瘍又はそのクラスターをトリアージしてもよい。制御デバイスはまた、どの腫瘍又はそのクラスターが、単一のディスク発射構成で一緒に治療され、同時に適用される個別の発射構成で治療され、及び/又は順次適用される個別の発射構成で治療され得るかを決定してもよい。制御デバイスは、発射構成を決定する際に任意の所望の制限特性を組み込んでもよい。例えば、制御デバイスは、標的アレイ要素のデューティサイクル及び/又は電場発生器から利用可能な電力の制限を組み込んでもよい。或いは、制御デバイスは、腫瘍に関する情報、例えば、腫瘍の空間的関係及び腫瘍のトリアージ戦略を受信してもよい。例えば、制御デバイスは、シミュレータ及び/又は医療専門家によって事前に決定され得る腫瘍の位置、発射構成、トリアージ戦略などを受信して記憶してもよい。
【0033】
制御デバイスはまた、治療計画全体を最適化してもよい。例えば、制御デバイスは、どの発射構成が各治療セッションに含まれるべきか(すなわち、どの腫瘍を毎日治療するか)、及びTTF療法全体を最適化するためにどの腫瘍を少ない頻度のスケジュールで治療するかを決定してもよい。腫瘍の位置、発熱、電力消費、トリアージ戦略などにより、全ての発射シーケンスで全ての腫瘍又はそのクラスターを治療することが不可能又は必要でない場合がある。制御デバイスは、患者の全体状況に応じて療法全体を最適化し、状況の変化に応じて治療計画を適応又は変更してもよい。有利には、絶縁電極要素アレイを毎回患者の体に配置することができるが、制御デバイスのソフトウェアは、治療セッションを最適化するために、治療を変更し、例えば、独立してプログラム可能な電極要素の発射構成を再構成する。例えば、一部の腫瘍は、毎回治療されるが、一部の腫瘍は、本明細書に記載の要因、体のスキャンから見られる結果、血液検査などに応じて、週又は月の数日に少ない頻度で治療されるため、発射構成とシーケンスは、1日の間に発生するか又はある日から翌日までに変化することができる。前述の全てのパラメータに基づいて、時間、日、時刻(睡眠時刻VS起床時刻)、週、月によって異なる計画全体を作成することができる。治療計画全体を最適化する別の方法は、優先度の高い腫瘍を治療するために使用される電極要素の温度を冷却する必要がある期間に、優先度の低い腫瘍を治療することを含んでもよい。言い換えれば、第1の、例えば優先度の高いアレイ要素群を過熱するダウンタイムは、優先度の高いディスクの温度を下げることができる優先度の低い腫瘍の治療に使用される第2の、例えば優先度の低いアレイ要素群における他のアレイ要素の使用を可能にする。
【0034】
3Dシミュレーション:患者の疾患部位を示すスキャン(CTスキャン、MRIなど)は、有限要素法又は他の物理ソルバーを使用して人体を通る電場の特性を決定する3Dシミュレーションプログラムにロードされる(ブロック102)。このようなプログラムは、数学的アルゴリズム、ファントム、又はアバターを使用して患者をシミュレートする。次に、患者に厳密に一致するように選択されたファントムを、患者のサイズに更に一致するようにモーフィングすることができる。患者の1つ以上の2D又は3Dスキャン(CTスキャン、MRIなど)を使用することにより、腫瘍の位置を正確に決定することができ、また、シミュレータにインポートすることにより、それらの相互の空間的距離を正確に決定することができる。制御デバイスは、シミュレーションプログラムを含む場合も含まない場合もあることを理解されたい。
【0035】
周波数の確立:患者の腫瘍の生検を使用して、癌の絶対平均細胞サイズを決定する。生検が利用可能ではない場合、癌の種類ごとの細胞サイズのデータベース知識を使用して、癌の種類の細胞サイズを参照する。患者の癌のための最も有効な周波数は、細胞サイズに基づいて選択される。初期療法が成功しない場合、このステップを繰り返すことができる(ブロック104)。
【0036】
腫瘍の空間的関係:3Dシミュレーションを使用して、腫瘍治療電場の変数に対する多発性腫瘍の相互の空間的関係を確立する。例えば、進行性患者は、14個の異なる腫瘍を有する場合がある。次のタイプの質問は、シミュレーションの実行を通じて質問及び回答される(ブロック106)。初期療法が成功しない場合、このステップを繰り返すことができる。多発性腫瘍の空間的関係は、制御デバイスによって決定される場合も決定されない場合もあることを理解されたい。例えば、制御デバイスは、3Dシミュレーションによって計算された所定の空間的関係を受信してもよい。
・クラスターが1つの発射構成で治療できるようになるまで、14個の腫瘍のいずれかがクラスター化されるか(発射構成は、異なる角度、周波数、タイミングで、所与の領域に印加される腫瘍治療電場のシーケンスである)? 或いは、腫瘍に対して、14個の個別の異なる発射シーケンスが必要であるか?
・体内の遠く離れた腫瘍又はそのクラスターのいずれは、2つの電場間の相互作用を最小限に抑えて同時に使用できることを示すか?
・アレイ電極要素のデューティサイクルがオーバーヒートするほど負担をかけられず、全ての腫瘍を最初から治療できるように腫瘍を配置しているか?
或いは、腫瘍を優先順位に従ってトリアージ及び治療される必要があるか? 早期に治療された腫瘍が除去されるか、制御下で取られるため、いくつかの腫瘍が現在トリアージ及び治療され、いくつかの腫瘍が後でトリアージ及び治療される。
・腫瘍の配置には、コプランナー(co-planner)フィールド又は不均一なアレイペアなどの特別な発射構成が必要であるか?
・追加の同様の質問に回答する。
【0037】
トリアージ戦略:上記の例では、腫瘍間の空間的関係が理解されると、トリアージ戦略を取得するために腫瘍をトリアージしてもよい。トリアージ戦略は、どの腫瘍を他の腫瘍よりも多く治療すべきかを概説する。各腫瘍又は腫瘍のクラスターは、患者にとって生命を脅かす程度に応じて等級付けされるか、優先度値が割り当てられる必要がある。いくつかの腫瘍が特に生命を脅かす場合、それらが優先される。同じ領域に異なる角度から追加の発射シーケンスを追加すると、腫瘍の減少が加速することが示されているため、優先度の高い腫瘍に対して、より多くの角度で電場を印加する。これは、生命を脅かす程度が低い低等級の腫瘍が、生命を脅かす程度が高い腫瘍が除去されるまで療法を受けるのを待たなければならない可能性があることを意味する。初期療法が成功しない場合、このステップを繰り返すことができる(ブロック108)。制御デバイスがトリアージ戦略を決定する場合も決定しない場合もあることを理解されたい。例えば、制御デバイスは、医療専門家によって決定されるトリアージ戦略を受信してもよい。更に、例えば、制御デバイスは、1つ以上の特性に従って腫瘍をランキングすることによって、単独で又は医療専門家と連携して、トリアージ戦略を決定してもよい。1ラウンド以上の治療の後、制御デバイス及び/又は医療専門家は、腫瘍を再トリアージして最新のトリアージ戦略を取得してもよい。したがって、相対的な成長、成長VS期待、新しい腫瘍、成功率、患者のコンプライアンスなどの新しい情報が得られると、腫瘍のトリアージランキングが経時的に変化する可能性がある。制御デバイス及び/又は医療専門家は、いくつかの治療セッション中又はいくつかの治療セッションにわたって、アレイ発射構成を介して治療の優先順位を変更してもよい。
【0038】
インタラクティブな最適化プロセス:腫瘍間の空間的関係と各腫瘍のトリアージ等級に基づいて、初期の発射シーケンスを設計する。次に、3Dシミュレーションを使用して初期の発射シーケンスを最適化する。最適化では、療法の有効性に寄与する全ての変数とそれらの相互作用が考慮される。最適化は、全ての発射角度に対して行われ、発射シーケンスが発生するときにアレイ電極要素全体のデューティサイクルが考慮される(ブロック110)。
【0039】
例えば、ある種類の癌に対する一次周波数が150kHzであり、この標的腫瘍を通して最適強度が2.5V/cmであると決定されている場合がある。この周波数と強度の組み合わせは、第1の角度で印加することが達成可能であることを証明する可能性がある。しかし、第2の角度で印加することは、最適強度よりも低い1.5V/cmの強度に低下することを示す場合がある。これは、第2の角度の移動経路が異なる距離にあり、異なる臓器を通過する可能性があるためである。次に、最適化プロセスは、周波数と電力出力の変化のテストを開始して、第2の角度で最適強度を達成できるかどうかを確認する。例えば、周波数を140kHz又は160kHzに変更してもよい。異なる誘電率で臓器を通過するときに周波数が強度に差をもたらすため、これらの周波数の比較的適度な調整が強度を所望の2.5V/cmに戻す可能性がある。周波数の適度な変動よりも強度を維持することが重要であると考えられているため、これは最適化を表す。
【0040】
同様の方法で、最適化プロセスは、アレイ電極要素の温度を安全レベルより高くすることなく、2回目の発射の電力出力を増加させることができるかどうかをテストする。電力レベルを上げることは、強度を2.5V/cmに維持することに成功しているが、アレイ電極要素の温度を所望のレベルより上に上げることができると決定されると仮定する。次に、最適化プロセスは、温度を上げずに新しい電力レベルを維持するために、アレイ電極要素のデューティサイクルを下げるテストを開始する。最終的に、最適化では、全ての標的腫瘍が1~3秒ごとに最適化された周波数と強度の電場に曝される必要がある。
【0041】
上記は、最適化プロセスが、電場療法の全ての変数がどのように相互作用して最適な発射シーケンスを生成するかをどのように考慮に入れるかの例のほんの一部である。これにより、多発性腫瘍を治療するための最も効果的な療法が可能になる。全ての変数がここで概説されるわけではないが、インタラクティブな最適化プロセスに含まれることを理解されたい。
【0042】
電場療法を開始すると、適応プロセスは、腫瘍マーカーを探すために定期的な採血を必要とし、適応を必要とする変化が起こったかどうかを確認するために定期的なスキャンを必要とする(ブロック112)。
【0043】
この緊密なモニタリングは、療法を変更せずに継続すべきかどうか、又は適応が必要であるかどうかを決定する。ポジティブな結果とネガティブな結果の両方に適応してもよい。ネガティブな結果が出た場合、周波数を変更する必要があるかどうかを確認するために、新しい生検が要求される場合がある。或いは、新しい癌が発生した場合、再最適化が必要になる場合がある。成功した結果が観察された場合、優先度の低い未治療の腫瘍が治療下に置かれる場合がある(ブロック114)。
【0044】
予防的治療を誘導するための予測ツール:寛解又は有意な改善が観察されると、予測ツールを使用して予防的治療計画を作成する。予測ツールは、肺、肝臓、腹腔など、次の再発の可能性が最も高い領域を決定する。予測ツールは、様々な方法で動作する。いくつかは、血液検査又は生検で集めた遺伝子マーカーを使用する。いくつかは、疾患の種類が異なる多数の癌患者からの集約データベースを使用する。統計的確率とアルゴリズムは、再発の可能性が最も高い領域を予測するために使用される。言及されていない他の予測ツールも同様に使用することができる(ブロック116)。
【0045】
再発生の可能性がある領域が決定されると、初期の予防的発射シーケンスが展開される。次に、初期の発射シーケンスが上記最適化プロセスにかけられる。このプロセスにより、予防的治療に最適な発射シーケンスが決定される。患者と彼らの疾患の重症度によって異なる予防的治療が予定されている。予防は、交互の期間(例えば、1か月、2か月)、又は年次、半年ごと、又は四半期ごとの処方に及ぶ可能性がある。腫瘍マーカーを追跡する定期的な血液検査とスキャンは、予防的治療を監視するために行われる。必要に応じて、調整を規定するか又は最適化プロセス全体を繰り返す。維持療法は、体の以前に影響を受けていなかった領域をスキャンして、検出できない腫瘍を除去することを更に含んでもよい(ブロック118)。
【0046】
患者のコンプライアンス:電場療法の成功は、患者のコンプライアンスに大きく依存していることがよく知られている。電場療法は、ON-OFF療法である。すなわち、ONの状態では動作しているが、OFFの状態では治療効果が停止する。患者のコンプライアンスは高いことが実証されているが、改善が必要である。プロセス200は、患者のコンプライアンスを高めるために絶えず実行することができる(図2)。制御デバイス、例えば、波発生器は、毎日の変数を記録してもよい(ブロック202)。制御デバイスはまた、アクティビティレポートを作成してもよい(ブロック204)。その後、マスターレポートを生成することができる(ブロック206)。次に、調査を展開し、患者が治療経験に関して面接を受けてもよい(ブロック208)。課題が存在する場合、プロセス200は、患者の治療経験を改善する課題を解決する問題を含んでもよい(ブロック210)。
【0047】
更に別の発明では、電場療法の最適化は、全ての腫瘍又は腫瘍群(T群)が同等の脅威である場合に優先される。このような場合、アレイ要素の50%のデューティサイクルを使用して、全てのT群を含めて最適化し、かつ各T群が1~3秒以内に治療されることが不可能性である。このような場合、あるT群は、その欠如が治療中に残る他のT群の最適化をどのように強化するかに基づいて、治療から除外されるように選択される(図3A図3C)。
【0048】
方法300は、スキャンをシミュレータにロードすることを含んでもよい(ブロック302)。スキャンをファントムに校正してもよい(ブロック304)。腫瘍をトリアージすることができる(ブロック306)。次に、腫瘍を距離とトリアージ戦略によってグループ化してもよい(ブロック308)。次に、腫瘍群をトリアージしてもよい(ブロック310)。その後、腫瘍群が同等の脅威であるかどうかを問い合わせてもよい(ブロック312)。そうであれば、発射シーケンスをそれに応じて設計してもよい(ブロック314)。そうでなければ、方法400などの代替プロセスを開始してもよい(ブロック316)。次に、方法300は、2.35V/cm未満の強度を生成する発射角度を除去すること(ブロック318)を含んでもよい。適度な周波数調整が2.35V/cmで後退角を添加できる場合、そのような角度は再び添加される(ブロック320)。次に、全ての腫瘍群に対して前述のステップ318、320を繰り返す(ブロック322)。次に、最適な切り替え速度でテストを実行してもよい(ブロック324)。次に、各群が1~3秒以内に治療されるかどうかを問い合わせてもよい(ブロック326)。そうでなければ、特定の発射シーケンスを除去してもよい(ブロック328)。そうであれば、残りの全てのT群が3つ以上の治療角度を有するかどうかを問い合わせてもよい(ブロック330)。そうであれば、方法300は、デューティサイクル特性を決定することによって継続されてもよい(ブロック338)。そうでなければ、2つのT群が同時電場を発射するのに十分に離間しているかどうかを問い合わせてもよい(ブロック332)。そうでなければ、方法300は、脅威程度が最も低い群に2つの角度を許可してもよい(ブロック334)。そうであれば、同時群を使用して発射シーケンスを再設計してもよい(ブロック336)。各アレイ要素のデューティサイクルが50%以下であれば、発射構成を準備してもよい(ブロック348)。各アレイ要素のデューティサイクルが50%以下でなければ、方法は、発射シーケンスの変更がデューティサイクルを低下させるかどうかを決定してもよい(ブロック340)。そうであれば、発射構成を準備してもよい(ブロック348)。そうでなければ、残りの群が最大の印加角度を有しながらデューティサイクルが50%未満であることを可能にする群を除外してもよい(ブロック342)。次に、方法300は、デューティサイクルの目標が群ごとに少なくとも2つの角度で達成されたかどうかを問い合わせてもよい(ブロック344)。そうであれば、発射構成を準備してもよい(ブロック348)。そうでなければ、特定の発射シーケンスを除去してもよい(ブロック346)。その後、発射構成を続いて準備してもよい(ブロック348)。
【0049】
更に別の発明では、電場療法の最適化は、全ての腫瘍が不等な脅威である場合に優先される。このような場合、アレイ要素の50%のデューティサイクルを使用して、全てのT群を含めて最適化し、かつ各T群が1~3秒以内に治療されることが不可能性である。このような場合、あるT群は、他のT群と比較して生命を脅かす程度に基づいて、治療から除外されるように選択される(図4A図4C)。
【0050】
方法400は、スキャンをシミュレータにロードすることを含んでもよい(ブロック402)。スキャンをファントムに校正してもよい(ブロック404)。腫瘍をトリアージすることができる(ブロック406)。次に、腫瘍を距離とトリアージ戦略によってグループ化してもよい(ブロック408)。次に、腫瘍群をトリアージしてもよい(ブロック410)。その後、方法400は、腫瘍群が同等の脅威であるかどうかを問い合わせてもよい(ブロック412)。そうでなければ、発射シーケンスをそれに応じて設計してもよい(ブロック414)。そうであれば、方法300などの代替プロセスを開始してもよい(ブロック416)。次に、方法400は、2.35V/cm未満の強度を生成する発射角度を除去すること(ブロック418)を含んでもよい。適度な周波数調整が2.35V/cmで後退角を添加できる場合、そのような角度は再び添加される(ブロック420)。次に、全ての腫瘍群に対して前述のステップ418、420を繰り返す(ブロック422)。次に、方法400は、最適な切り替え速度で発射テストを実行してもよい(ブロック424)。次に、各群が1~3秒以内に治療されるかどうかを問い合わせてもよい(ブロック426)。そうであれば、方法400は、デューティサイクル特性を決定することによって継続されてもよく、ここで、方法400は、各アレイ要素が50%以下のデューティサイクルを有するかどうかを決定する(ブロック442)。そうでなければ、特定の発射シーケンスを除去してもよい(ブロック428)。次に、方法400は、残りの全てのT群が3つ以上の治療角度を有するかどうかを問い合わせてもよい(ブロック430)。そうであれば、方法400は、ステップ442に続いてもよい。そうでなければ、2つのT群が同時電場を発射するのに十分に離間しているかどうかを問い合わせてもよい(ブロック432)。そうでなければ、方法400は、所与の腫瘍群に対して1~3秒以内に発射シーケンス全体が完成することができるまで、角度の発射シーケンスを3つから2つまで除去してもよい(ブロック434)。そうであれば、方法400は、最適な周波数で角度が最大となる同時群を使用して発射シーケンスを再設計してもよい(ブロック436)。方法400がステップ434で特定の発射シーケンスを除去した後、方法400は、腫瘍群ごとに少なくとも2つの角度で1~3秒のタイミング目標を達成できるかどうかを問い合わせてもよい(ブロック438)。そうであれば、方法400は、ステップ442に進んでもよい。そうでなければ、方法400は、タイミング目標が達成されるまで、生命を脅かす程度が最も低い群を除外してもよい(ブロック440)。どの群を除外すべきかを決定するために、方法400は、現在の腫瘍のトリアージ戦略及び/又は予測脅威分析を組み込んでもよい。次に、方法400は、ステップ442に進み、各アレイ要素が50%以下のデューティサイクルを有するかどうかを決定する。各アレイ要素のデューティサイクルが50%以下であれば、発射構成を準備してもよい(ブロック450)。各アレイ要素のデューティサイクルが50%以下でなければ、方法400は、発射シーケンスの変更がデューティサイクルを低下させるかどうかを決定してもよい(ブロック444)。そうであれば、シーケンスを変更してもよい(ブロック446)。その後、発射構成を準備してもよい(ブロック450)。そうでなければ、方法400は、シーケンス全体が50%のデューティサイクルで1~3秒以内に達成され得るまで、角度の発射シーケンスを3つから2つまで除去し始めてもよい(ブロック448)。その後、方法400は、ステップ450に進み、発射構成を準備してもよい。
【0051】
更に別の発明では、毎日の電場療法は、低電力で開始され、ゆっくりと上昇し、患者に調整する時間を与える。
【0052】
更に別の発明では、波発生器は、無線モデムによるシステムの無線及び/又はリモートの監視/報告、再プログラミング、又は更新を含む。これは、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth、又はその他の無線技術を含んでもよい。
【0053】
更に別の発明では、使用される周波数に基づいて効率を高めるために、アレイ要素を異なる特性で適合又は変更する。
【0054】
更に別の発明では、末梢神経刺激(PNS)を最小化するためのプロセスを使用する。テストアレイを患者に配置する。電力レベルをゆっくりと上向きに調整して、患者のPNSの影響を受けやすい部位を決定する。PNSの影響を受けやすい領域を3Dシミュレータにロードする。発射構成を設計するとき、PNSに敏感な領域を避ける。補償発射構成を設計する。
【0055】
本発明は、患者の体に配置された絶縁アレイ要素のマスターアレイで構成される。マスターアレイは、個々の絶縁アレイ要素で構成される。各アレイ要素は、電子化される。各アレイ要素は、固有のアドレスを有する。マスターアレイは、2つ以上のアレイ要素で構成されるサブアレイペアに分割され、これらのアレイ要素は、体を通る低周波電場を印加するために一緒にアクティブ化される。これらの電場は、癌腫瘍を減少させることが示されている。サブアレイ要素は、各患者に対して行われる治療シミュレーションに基づいて有利なシーケンスでアクティブ化されるように構成されたソフトウェアである。しかし、初期のサブアレイ構成は、サブアレイ要素に影響を与える変数(温度、接着性、電圧、故障など)、患者の状態のリアルタイム監視、及び治療中に有益なサブアレイ構成に影響を与える、患者又は介護者に対して行われる行動の結果に基づいてアクティブ化される代替構成の導入によってオーバーライドすることができる。例えば、制御デバイスは、初期の発射構成を選択した後、リアルタイム条件に基づいて代替発射構成を再選択してもよい。これは、患者にとって有益な療法を最適化するために行われる。更に、制御デバイスは、予防的治療レジメンに基づいて潜在的な腫瘍領域を治療するために最適化された代替発射構成を選択してもよい。
【0056】
定義:
1.サブアレイ構成:ライフブリッジシステムは、様々な物理的及び電気的(サイズ、組織の種類、臓器配置、熱的、電気的)特性を使用して人体をシミュレートする外部数値計算モデルからの出力を利用する。これらの特性により、ライフブリッジ10000は、多数のアレイ要素サブアレイ構成の影響をシミュレートすることができる。これらのシミュレーションは、サブアレイ構成の変数の割り当てを通知する。
a.一緒にアクティブ化されるアレイ要素のアドレス
b.各アレイ要素のアドレス又はアドレス群に割り当てられた位相
c.各アレイ要素又はアドレス群に適用される電圧
d.各アレイ又はアレイ要素群がアクティブ化されるシーケンス
e.各アレイ又はアレイ要素群がアクティブ化される持続時間
f.各アレイ又はアレイ要素群が動作する周波数。なお、アレイ要素がアクティブ化されていない期間があってもよい。
2.適応腫瘍治療電場:サブアレイ内のアレイは、標的領域で所望の治療電場を形成するように一緒にアクティブ化される。アレイ要素は、ライフブリッジ10000システムアルゴリズムによって決定される新しいサブアレイ構成に動的に(適応的に)再割り当てることができる。
3.適応最適化:治療電場を印加する加重値と、サブアレイ要素の所与の状態(現在の温度、予想される電圧VS測定された電圧、通信状態など)に対するアレイ要素のデューティサイクルとの組み合わせによって決定される、より最適なサブアレイ構成、サブアレイシーケンス、サブアレイ持続時間が得られる。制御デバイスは、各電極要素が以下のいずれかのゾーンにあるかどうかを決定した後、対応する温度プロセスを実行して、絶縁電極システムを最適化することができる。
4.ブルーゾーン:隣接するアレイ要素の温度測定値よりも実質的に低い温度測定値。
5.グリーンゾーン:初期のサブアレイ構成値を変更する必要がない許容範囲内にあるアレイ要素の温度測定値。
6.イエローゾーン:グリーンゾーンの値より上で、レッドゾーンの値より下の温度測定値。イエローゾーンは、2~25の増分を有する。これらの増分は、アレイ要素の温度の絶対値と変化(増加又は減少)の方向を区別するために使用される。
7.レッドゾーン:要素が非アクティブ化され、かつ測定された温度がライフブリッジ10000システムによってイエローゾーン又はグリーンゾーンに割り当てられた値の範囲内になるまで再アクティブ化できない温度以上の温度測定値である。
8.システムコントローラ又は制御デバイス:電極要素を独立して及び/又は個別に制御することによって腫瘍治療電磁場を実施するための制御システム。制御システムは、ライフブリッジ10000システムに含まれる計算要素と記憶要素で構成されてもよい。これらの要素は、波発生器に物理的に統合された、及び/又は外部通信ポート、及び/又はコンピュータ又はモバイルデバイスを介して波発生器に接続された電気システムに配置されてもよく、サーバー又はクラウドサービスに完全に又は部分的に配置されてもよい。システム制御機能の一部又は全部は、分散計算環境で実行される。制御システム又はデバイスは、波発生器、シミュレータ、及び/又はメモリを備えたコントローラを含んでもよい。
【0057】
本発明の一態様によれば、コントローラ、又はより具体的には、コントローラのメモリ内のソフトウェアは、以下の手順を実行する場合も実行しない場合もある。
【0058】
サブアレイ構成手順の概要の決定:1)MRI、X線、又はその他の医用画像で見られるようなデータと画像を医療数値計算モデルに入力し、医療数値計算モデルは、患者に見られる部位と同様の部位にある癌性腫瘍を備えた「ファントム」胴体を作成する。2)様々なシミュレーションを実行して、最適なアレイ要素アクティブ化プログラムを決定する。このプログラムは、系統治療プログラムの各ステップに対して、どのアレイ要素がどのような順番でどのような電圧、持続時間でアクティブ化されるかを決定する。これにより、サブアレイ構成リストが作成される。所与の期間(通常は0.5~3秒)にアクティブ化されたアレイは、プログラム内にその期間に同じサブアレイに割り当てられる。3)次に、サブアレイ構成プログラムをシステムコントローラ(すなわち、波発生器)にロードする。
【0059】
方法500は、ライフブリッジ10000システムの構成手順を説明する(図5)。最初に、システムコントローラ(SC)は、電源スイッチによりアクティブ化され、自己診断とハードウェアチェックを実行する。これは、温度、電流、電圧、通信ポート、有効なプログラム負荷、システムID操作認証などを含む(ブロック502)。SCが診断チェックに合格した場合、次のステップに進む(ブロック504)。故障が検出された場合、システムは、起動シーケンスを停止し、診断値をメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する。ソフトウェアは、ローカル警告インジケータ及び/又は音声又はトーンをトリガーする(ブロック518)。診断がチェックされ、全ての値が許容範囲内にあると、SCは、システムに物理的に存在する各マスターアレイ要素、及び/又は論理的に存在するスレーブアレイ要素に固有のソフトウェアアドレスを割り当てる(ブロック506)。次に、SCは、各アレイ要素を用いて診断シーケンスを実行する(ブロック508)。プログラムロッド、電圧、温度センサの状態、リレーマシンの状態(開又は閉)などの診断チェックを行う。要素が診断チェックに合格した場合、次のステップに進む(ブロック510)。重故障が検出された場合、システムは、起動シーケンスを停止し、診断値をメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する。ソフトウェアは、ローカル警告インジケータ及び/又は音声又はトーンをトリガーする(ブロック518)。重故障が検出されていない場合、マスター/スレーブ配置が所与の物理的及び/又は論理的なアレイ要素アレイに適切であるとき、SCは、アレイアクティブ化プログラム(サブアレイ構成)を各アレイ又はマスターアレイのメモリにロードする(ブロック512)。次に、チェックサム、ハッシュ、又はその他のビットパーフェクト検証方法により、アレイ要素に記憶されたプログラムをプログラムのマスターコピーに対して検証する(ブロック514)。故障が検出された場合、システムは、起動シーケンスを停止し、診断値をメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する。ソフトウェアは、ローカル警告インジケータ及び/又は音声又はトーンをトリガーする(ブロック518)。アレイプログラムのロードがSCによって検証されると、SCは、ライフブリッジ10000システムをシステムレディ状態にする(ブロック516)。このシーケンス中の任意の時点で、停止ボタンをアクティブ化する(ブロック520)。システムは、起動シーケンスを停止し、イベントをメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する。ソフトウェアは、ローカル警告インジケータ及び/又は音声又はトーンをトリガーする(ブロック518)。
【0060】
方法600は、ライフブリッジ10000システムの動作手順を説明する(図6)。システムは、レディ状態である(ブロック602)。開始ボタン又はスイッチ606は、サブアレイ構成シーケンスステップの実行を開始するために、SC上で物理的に係合される(ブロック604)。SCは、サブアレイシーケンスの開始を全てのアレイに通信し(ブロック622)、波発生器に通信し(ブロック608)、これらは、要素スイッチによって制御される適切な波発生器パラメータ及び要素位相を設定する。システムサブアレイプログラムの実行中に、SCによって波発生器の診断を実行する(ブロック610~624)。波発生器で不足電流状態が見つかった場合(すなわち、予想される電流値を下回っている場合)、SCは、警告をアクティブ化し、アレイ要素が十分に付着していない可能性がある患者と介護者を変更する(ブロック618~620)。診断により波発生器で重故障(過熱、過電流、過電圧など)が見つかった場合、システムは、停止し、診断値をメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する。ソフトウェアは、ローカル警告インジケータ及び/又は音声又はトーンをトリガーする(ブロック644)。同時に、システムサブアレイプログラムの実行中に、アレイ要素及び/又はSCによってアレイ要素の診断を実行する(ブロック632~638)。診断によりアレイ要素又はアレイ要素群で故障が見つかった場合、プログラムは、要素を停止し、診断値をメモリに記憶して、ローカル及び/又はリモートのコンピュータ若しくはモバイルデータベース/ディスプレイに即時及び/又は遅延報告する(ブロック640)。アレイ要素故障の重大度及びタイプに応じて、SCは、追加の警告及び通知を発し、システム停止を実行し、適切な警告をアクティブ化してもよい(ブロック644)。システムの応答は、故障の重大度に適応し、システムは、一連のアルゴリズムに基づいて故障処理手順を決定する。サブアレイ構成の実行中に故障が検出されていない場合、システムプログラムは、システムプログラムによって決定された時間増分で「ステップサブアレイ」を発行する(ブロック642)。これは、停止ボタン/スイッチが作動している(ブロック646)場合、SC波発生器の故障(電圧不足/電圧過大、温度不足/過熱、電流不足/電流過大、アレイ通信故障)が診断により検出された(ブロック612~628)場合、又は、アレイの故障が検出された(電圧不足/電圧過大、温度不足/過熱)(ブロック632~638)場合に、継続される。
【0061】
方法600に加えて、上記のように、ライフブリッジ10000システムは、療法の提供を最適化するために温度測定を処理するための強化された手順を有する場合がある。腫瘍治療電場の発生は、患者を通る交流電場の発生によって、アレイ要素の多少の加熱を引き起こす。アレイの回路、並びにワイヤ及びその他の抵抗要素の抵抗によっても、多少の熱が発生する。ある程度の加熱が予想されるが、要素と患者の皮膚の温度が105Fを超えるような加熱は許容されない。
【0062】
更に、要素で発生する熱を最小化、安定化、又は低減するための適切な緩和措置が取られるように要素の温度を監視し、それにより、許容できない温度に達する前に、要素と患者の皮膚の温度上昇を遅くしたり停止したりする。そこで、制御デバイスは、各電極要素に関連付けられた、検知温度に依存する温度センサによって、電極要素の温度を監視してもよく、制御デバイスは、過熱された電極要素を冷却することを可能にするために、1つ以上の異なる電極要素を使用する別の代替の発射構成を再選択及び実施してもよい。
【0063】
本発明は、ディスク温度が許容できないレベルに達する前に安定化又は低下することを可能にしながら、治療プログラム(サブアレイ構成)を修正するために取られる広範囲の予防的ステップを含む適応腫瘍治療性能を有する。これは、以下のパラメータの1つ以上を変更する代替サブアレイ構成を実施することで実現できる。
1.デューティサイクル:アドレス可能なアレイ要素のリアルタイム又は予測発熱、要素がアクティブ化される持続時間とタイミング、要素がアクティブ化されない時間/持続時間、要素がプログラムシーケンスでアクティブ化される回数、印加電圧、アクティブ化されたときに体内で発生する電場強度など。
2.アドレス可能なアレイ要素群のサブアレイ構成に割り当てられた電圧。
3.要素(ファン、チルパッド(chill pad)など)の冷却又は温度安定化に役立つ外部デバイスの制御。
4.椅子又はベッドでの体の位置の移動、衣服又は上着類の緩め、周囲の空調の強化、ファンの調整又はオンなど、患者及び/又は介護者が取るべき推奨行動。以下、次の発明を参照する。
【0064】
更に、方法600に加えて、上記のように、ライフブリッジ10000システムは、ライフブリッジ10000ATTFシステムに対して、患者及び/又は介護者の推奨行動及び前向きな進捗状況通知を強化している可能性がある。患者及び/又は介護者が取ることができる行動によって改善又は解決される可能性がある許容範囲外の状態(例えば、過熱、温度不足、電圧、又はアレイ要素との許容範囲外の通信など)に対して、推奨行動と伴う強化通知、及び許容範囲外の状態の改善又は解決に向けた進捗状況が示される。これらの行動は、椅子又はベッドでの位置を移動すること、衣類を緩めたり取り外したりすること、緩んだ接続を取り付け直すこと、ファン又はその他の冷却デバイスをオンにすること、許容範囲外の状態でアレイ要素を冷却デバイスに向けること、絶縁アレイが皮膚に適切に付着していることをチェックすることなどを含み得る。
【0065】
システムは、システムからディスプレイ、トーン、音声コマンドを介して直接的に、及び/又は、患者及び/又は介護者によって選択されたテキスト、音声、電子メール又はコンピュータ若しくはモバイルアプリケーションを介したコンピュータ若しくはモバイルデバイス通知を介して、推奨行動を患者及び/又は介護者に通知する。
【0066】
システムは、許容範囲外の状態を監視し、許容範囲外の状態が解決されるか又は通知数の事前設定された制限に達するまで、取られた行動が許容範囲外の状態を改善しているか又は解決したことを示すフィードバックを定期的に(許容範囲外の状態の重大度、許容範囲外の状態のタイプ、推奨行動などに応じて、0.5~10分間の間隔で)提供する。
【0067】
システムは、システムから同様のディスプレイ、トーン、音声コマンドを介して直接的に、及び/又は、患者及び/又は介護者によって選択されたテキスト、音声、電子メール又はコンピュータ若しくはモバイルアプリケーションを介したコンピュータ若しくはモバイルデバイス通知を介して、効果(許容範囲外の状態の改善、変化なし、又は悪化)を患者及び/又は介護者に通知する。これらの通知設定は、時刻に基づいて変更、消音、又は停止することができる(すなわち、無音又は待機(do not disturb)モード設定)。患者及び/又は介護者は、システムのボタン又はスイッチを介して、或いはウェブサイト、テキスト、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーションのコマンドを介して、これらの通知を停止することができる。
【0068】
本発明の別の態様によれば、システム、例えば、ライフブリッジ10000システムはまた、以下の手順を実行してもよい。
1.許容範囲外の状態を緩和及び/又は修正するために患者及び/又は介護者が取ることができる推奨行動があるか?
2.YES
a.インジケータ/ディスプレイ、トーン又は音声プロンプトをアクティブ化し、及び/又は、電子的手段を介してシステムメモリに記憶されたコンピュータ若しくはモバイルデバイスに通知を送信する。
b.許容範囲外の状態を監視し、改善を報告し、上記のように状態の変化又は悪化がない。
c.設定された数、通知時間制限の持続時間、待機モード期間(do not disturb period)の開始、又は停止コマンドがシステム、又は介護者又は患者からのコンピュータもしくはモバイル通信によって受信されるまで、適切な通知を繰り返す。
d.送信された通知の時間と時間、並びに患者及び/又は介護者によって開始された対話を記録する。
3.NO
a.許容範囲外の状態の場合、通知プロセスに従う。
【0069】
本発明の別の態様によれば、システム、例えば、ライフブリッジ10000システムはまた、以下の方法700を実行してもよい(図7)。方法700は、アレイ要素の温度測定によって制御される適応腫瘍治療電場手順と見なすことができる。方法700は、以下を含んでもよい。アレイ要素の温度を測定し、値をシステムコントローラに報告する(ブロック702)。その後、方法700は、温度がグリーンゾーン、イエローゾーン、レッドゾーン、ブルーゾーン、又は無色ゾーンにあるかどうかを決定してもよい(ブロック704)。温度値がグリーンゾーンにあれば(ブロック706)、グリーンゾーンシステム温度プロセスが続く(ブロック708)。温度値がイエローゾーンにあれば(ブロック710)、イエローゾーンシステム温度プロセスが続く(ブロック712)。温度値がレッドゾーンにあれば(ブロック714)、レッドゾーンシステム温度プロセスが続く(ブロック716)。温度値がブルーゾーンにあれば(ブロック718)、次のブルーゾーンシステム温度プロセスが続く(ブロック720)。測定された温度値が無色ゾーンにあれば(ブロック722)、方法700は、アレイ要素を非アクティブ化する(ブロック724)。次に、方法700は、ローカル、コンピュータ若しくはモバイルに報告するために、温度センサ故障を伴う要素アドレスを記憶してもよい(ブロック726)。次に、方法は、代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるかどうかを決定する(ブロック728)。そうであれば、方法700は、新しいサブアレイ構成を、影響を受けたアレイ要素にロードする(ブロック732)。次に、適切な警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化する(ブロック734)。そうでなければ、方法700は、全てのアレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック730)。その後、適切な警告を反映し、テキスト、音声、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション、又は必要に応じてその他の電子的手段を介して警告を発すための警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化する(ブロック734)。次に、方法700は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。
【0070】
方法800は、グリーンゾーン温度測定手順を説明する(図8)。方法800は、SCにアレイ要素アドレスのためのメモリをチェックさせて、アドレスがグリーンゾーン、イエローゾーン、レッドゾーン又はブルーゾーンの温度フラグを備えたメモリに記憶されているかどうかを決定する(ブロック802)。グリーンゾーンフラグ:そうであれば、既存のサブアレイ構成を継続し(ブロック804)、そうでなければ、アレイが配置されたイエローゾーン、レッドゾーン又はブルーゾーンフラグを除去し、タイムスタンプとともにグリーンゾーンフラグを備えた要素アドレスを記録する(ブロック806)。その後、方法800は、代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるかどうかを決定してもよい(ブロック808)。そうであれば、新しいサブアレイ構成を、影響を受けたアレイ要素にロードしてもよい(ブロック810)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック812)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい。(ブロック814)。方法800は、報告するために、命令、警告、及び状態変化をメモリに記録してもよい(ブロック816)。そうでなければ、方法800は、全てのアレイ要素を非アクティブ化し、タイムスタンプ及び行動を記録してもよい(ブロック820)。次に、方法800は、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化して、適切な警告を反映し、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション、又は必要に応じてその他の電子的手段を介して警告を発してもよい(ブロック822)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000SCによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、SCは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに通信する(ブロック824)。方法は、報告するために、命令、警告、及び状態変化をメモリに記録してもよい(ブロック826)。次に、方法800は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。
【0071】
方法1100は、イエローゾーン温度測定手順を説明する(図11)。方法1100は、SCにアレイ要素アドレスのためのメモリをチェックさせて、アドレスがイエローゾーンの温度フラグを備えたメモリに記憶されているかどうかを決定する(ブロック1102)。そうであれば、温度は前の測定と同じイエローゾーン増分にあるか(ブロック1104)? そうであれば、方法1100は、現在のサブアレイ構成を継続する(ブロック1106)。そうでなければ、温度測定は高い増分で行われるか、低い増分で行われるか(ブロック1108)? 高い増分で行われる場合、代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるか(ブロック1110)? そうであれば、方法1100は、新しいサブアレイ構成をアレイ要素にロードする(ブロック1112)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック1114)。次に、方法1100は、システムが警告インジケータ、トーン、及び/又は音声をアクティブ化するかどうかを決定する(ブロック1116)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1118)。接続されたデバイスに送信された命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1120)。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。そうでなければ、方法1100は、全てのアレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック1122)。次に、方法1100は、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化してもよい(ブロック1124)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000SCによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、SCは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに通信する(ブロック1126)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1128)。接続されたデバイスに送信された命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1130)。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。温度増分が低い場合、代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるか(ブロック1132)? そうであれば、新しいサブアレイ構成を、影響を受けたアレイ要素にロードする(ブロック1134)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック1136)。次に、方法1100は、システムが警告インジケータ、トーン、及び/又は音声通知を非アクティブ化するかどうかを決定してもよい(ブロック1138)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動の成功について指示されてもよい(ブロック1140)。命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1142)。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能ではない場合、方法1100は、全てのアレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック1122)。次に、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化してもよい(ブロック1124)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000SCによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、SCは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに通信する(ブロック1126)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1128)。接続されたデバイスに送信された命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1130)。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。アドレスがまだイエローゾーンフラグを立てられていない場合、方法1100は、アレイ要素からのグリーン、レッド、又はブルーゾーンフラグを記憶し、新しいイエローゾーンフラグを備えた要素アドレスを正しい増分で記録してもよい(ブロック1144)。代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるか(ブロック1146)? そうであれば、新しいサブアレイ構成をアレイ要素アドレスにロードしてもよい(ブロック1148)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック1150)。前のフラグがグリーンゾーンフラグであった場合、患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1152)。或いは、前のフラグがレッドゾーン又はブルーゾーンフラグであった場合、患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動の成功について指示されてもよい(ブロック1152)。次に、方法1100は、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化して、適切な警告を反映し、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション、又は必要に応じてその他の電子的手段を介して警告を発してもよい(ブロック1154)。命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1156)。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。そうでなければ、方法1100は、全てのアレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック1158)。次に、方法1100は、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化してもよい(ブロック1160)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000SCによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、SCは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに通信する(ブロック1162)。前のフラグがグリーンゾーンフラグであった場合、患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1164)。次に、命令及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1166)。方法1100は、全てのアレイ要素の温度測定を監視し続けてもよい。次に、方法1100は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。
【0072】
方法900は、レッドゾーン温度測定手順を説明する(図9)。方法900は、SCにアレイ要素アドレスのためのメモリをチェックさせて、アドレスがイエローゾーン、レッドゾーン又はブルーゾーンの温度フラグを備えたメモリに記憶されているかどうかを決定する(ブロック902)。レッドゾーンフラグ:そうであれば、既存のサブアレイ構成を継続し(ブロック904)、そうでなければ、アレイ要素を非アクティブ化する(ブロック906)。方法900は、アレイ要素アドレスからグリーンゾーン、イエローゾーン、又はブルーゾーンフラグを除去し、レッドゾーンフラグを備えた要素アドレスを記録してもよい(ブロック908)。次に、方法900は、代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるかどうかを決定してもよい(ブロック910)。そうであれば、方法900は、新しいサブアレイ構成を、影響を受けたアレイ要素にロードする(ブロック912)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック914)。方法900は、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化して、適切な警告を反映し、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション、又は必要に応じてその他の電子的手段を介して警告を発してもよい(ブロック916)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック918)。命令、警告及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック920)。そうでなければ、方法900は、全てのアレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック922)。方法900は、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン、又はその両方をアクティブ化してもよい(ブロック924)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000SCによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、SCは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに通信する(ブロック926)。前のフラグがグリーンゾーン又はイエローゾーンフラグであった場合、患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素の温度を下げるために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック928)。命令、警告及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック930)。次に、方法900は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。
【0073】
本発明の別の態様によれば、システムは、ブルーゾーンでは以下のように動作してもよい。生成されている電場に効率的又は完全に結合できないアレイ要素は、通常、同じサブアレイ発射構成の一部である、提供される電場に効率的に結合しているアレイ要素よりも低い温度で動作する(ブルー温度ゾーンで動作する)。アレイ要素の結合に影響を与える可能性のある状態は、皮膚の表面への接着不良、電流が皮膚に流れることを可能にするアレイ要素又は配線の絶縁性の電気的破壊、及びアレイ要素内の他の同様の故障状態を含む。
【0074】
アレイ要素とその周辺のアレイ要素(同じサブアレイ発射構成に含まれる)の温度を比較することによって、低温状態を検出し、適切な行動を取ることができる。
【0075】
システムは、患者の全ての絶縁アレイ要素のアドレスと、隣接するサブアレイ要素のリストとを含むデータベースを記憶する。個々のアレイ要素の温度は、同じサブアレイ内の他のアレイ要素の温度と比較される。適切な隣接要素比較リストは、同じ電圧極性を持つ1つの要素から要素のサブアレイ全体までを含むことができる。比較のための適切な隣接要素の数及び位置は、アクティブサブアレイ内の位置、現在の温度状態、アクティブ又は非アクティブの状態の割り当てに応じて変化する。このプロセスは、電圧、要素スイッチの状態などの他の変数を追跡及び比較するために用いられてもよい。
【0076】
システムは、サブアレイ要素の温度を、隣接データベースで識別された隣接サブアレイ要素のセットに対して計算された平均温度及び温度の中央値と比較する。
【0077】
アレイ要素の温度がその隣接リストの計算値よりも0.5から10度低い場合(値は、主要アレイ要素の位置、システムサブアレイ構成要因(デューティサイクル、動作電圧、アクティブな次要アレイ要素の数など)によって異なる)、そのアレイ要素は、全てのアクティブなサブアレイ構成から除去され、システムメモリのブルーゾーン温度インジケータでフラグが付けられ、SCは、代替のサブアレイ構成が許容可能であるかどうか、又はシステムがセーフモードに入るかどうかを決定する。
【0078】
方法1000は、ブルーゾーン温度試験と手順を説明する(図10)。方法1000は、アレイ要素の温度が読み取られるブルーゾーンを作成することができる。方法1000は、アレイ要素の温度を測定してSCに報告し、隣接リストのアレイ要素の平均温度及び温度の中央値を計算して記憶することができる(ブロック1002)。方法1000は、比較アルゴリズム(適応最適化)においてスケーリング係数を適宜含むことができる。スケーリング係数は、デューティサイクル、サブアレイ構成パラメータ、物理アレイ内の要素の位置、体上の主要アレイの位置などから導き出される。方法1000は、アレイ要素がブルーゾーンにあるかどうかを決定するステップ(ブロック1004)を含んでもよい。そうでなければ、方法1000は、現在のサブアレイ構成を継続してもよい(ブロック1008)。そうであれば、そのアドレスにはブルーゾーンフラグがあるか(ブロック1006)? そうであれば、方法1000は、既存のサブアレイ構成を継続してもよい(ブロック1008)。次に、方法1000は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。そうでなければ、方法1000は、アレイ要素を非アクティブ化してもよい(ブロック1010)。次に、方法1000は、アレイ要素アドレスからグリーンゾーン、イエローゾーン又はレッドゾーンフラグを除去し、ブルーゾーンフラグを備えた要素アドレスを記録してもよい(ブロック1012)。代替の許容可能なサブアレイ構成が利用可能であるか(ブロック1014)? そうであれば、新しいサブアレイ構成を、影響を受けたアレイ要素にロードしてもよい(ブロック1016)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する。方法1000は、接続されたデバイスに送信された命令及び状態変化を記録することができる(ブロック1018)。方法1000は、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン及び/又は音声をアクティブ化してもよい(ブロック1020)。患者及び/又は介護者は、テキスト、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素を再接続又は分離するために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1022)。方法1000は、報告するために、命令、警告、及び状態変化をメモリに記録してもよい(ブロック1024)。次に、方法1000は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。代替の許容可能なサブアレイが利用可能ではない場合、方法1000は、全てのアレイ要素を非アクティブ化し、行動をメモリに記録してもよい(ブロック1026)。方法1000は、適切な警告を反映するために、警告インジケータ、トーン、又はその両方を非アクティブ化してもよい(ブロック1028)。ファン、チルパッド、冷却服、又は他の同様のデバイスなどのデバイスが、ライフブリッジ10000システムによって状態を変更するようにトリガー/制御できるように、有線又は無線に接続されている場合、システムは、適切な行動を取るために、1つ以上のデバイスに切り替わるか又は通信する(ブロック1030)。患者及び/又は介護者は、テキスト、音声、電子メール、コンピュータ若しくはモバイルアプリケーション又は他の電子的手段を介して、警告インジケータによって、トレーニングで示されるように、影響を受けたアレイ要素を再接続又は分離するために取ることができる行動について指示されてもよい(ブロック1032)。命令、警告及び状態変化を、報告するためにメモリに記録することができる(ブロック1034)。次に、方法1000は、次のシステム手順に進む(ブロック736)。
【0079】
本発明は、少なくとも1つの実施形態に関して説明されたが、本開示の精神及び範囲内で更に修正することができる。したがって、本願は、その一般原理を使用する本発明の任意の変形、使用、又は適用をカバーすることを意図している。更に、本願は、本開示からのそのような逸脱を、本発明が属する技術分野において既知又は慣習的な慣行の中に入るものとして、そして特許請求の範囲内に入るものとしてカバーすることを意図している。
図1A(1)】
図1A(2)】
図1B
図2
図3A(1)】
図3A(2)】
図3B(1)】
図3B(2)】
図3C
図4A(1)】
図4A(2)】
図4B(1)】
図4B(2)】
図4C
図5(1)】
図5(2)】
図6
図7
図8
図9
図10(1)】
図10(2)】
図11(1)】
図11(2)】
図11(3)】