(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20250107BHJP
【FI】
B60W30/16
(21)【出願番号】P 2022581024
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2022050417
(87)【国際公開番号】W WO2022172104
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021019413
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】井苅 佳秀
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/202283(WO,A1)
【文献】特開2016-34819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクル(1)の挙動を制御する制御装置(20)であって、
前記モータサイクル(1)のライダーによる加減速操作によらずに前記モータサイクル(1)の速度を自動で制御し、前記モータサイクル(1)と目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールを、前記モータサイクル(1)の周囲環境情報に基づいて実行する実行部(22)を備え、
さらに、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両(1)が位置する車列を特定する特定部(23)を備え、
前記実行部(22)は、前記特定部(23)による前記自車両(1)の車列の特定結果に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールに用いられる前記周囲環境情報の検出範囲を変化させ、
前記実行部(22)は、前記自車両(1)が位置する車列と異なる車列中の他車両(2)である他車列車両の走行状態情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールを実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記実行部(22)は、前記他車列車両の走行状態情報に加えて、前記自車両(1)が位置する車列中の他車両(2)である自車列車両の走行状態情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールを実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記実行部(22)は、前記自車列車両を前記車間距離維持制御の前記目標車両に設定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記実行部(22)は、前記自車両(1)と前記他車列車両との車間距離が距離下限値を下回る状態で、前記他車列車両を前記車間距離維持制御の前記目標車両に設定する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記実行部(22)は、前記複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態で、前記他車列車両を前記車間距離維持制御の前記目標車両に設定する、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記実行部(22)は、前記他車列車両を前記車間距離維持制御の前記目標車両に設定する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記実行部(22)は、前記複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態で、前記複数のモータサイクルが直進走行中である状態と比較して、前記車間距離維持制御の前記目標距離を長くする、
請求項5又は6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記実行部(22)は、前記検出範囲の中心を、前記自車両(1)の走行軌跡を基準とする前記他車列車両の存在する側に位置させる、
請求項
1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記他車列車両は、前記自車両(1)よりも後方に位置する車両である、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
モータサイクル(1)の挙動の制御方法であって、
制御装置(20)の実行部(22)が、前記モータサイクル(1)のライダーによる加減速操作によらずに前記モータサイクル(1)の速度を自動で制御し、前記モータサイクル(1)と目標車両との車間距離を目標車間距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールを、前記モータサイクル(1)の周囲環境情報に基づいて実行し、
さらに、前記制御装置(20)の特定部(23)が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両(1)が位置する車列を特定し、
前記実行部(22)は、前記特定部(23)による前記自車両(1)の車列の特定結果に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールに用いられる前記周囲環境情報の検出範囲を変化させ、
前記実行部(22)は、前記自車両(1)の車列と異なる車列中の他車両(2)である他車列車両の走行状態情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールを実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、グループ走行においてモータサイクルのアダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータサイクルのライダーの運転を支援する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのライダーへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転を支援するための技術として、運転者による加減速操作によらずに車両の速度を自動で制御し、目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールがある。このようなアダプティブクルーズコントロールを、モータサイクルに適用することが考えられる。アダプティブクルーズコントロールは、自車両の周囲の交通状況に応じて適切に実行されることが重要である。ここで、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行が行われる場合がある。グループ走行が行われている場合には、グループ走行が行われていない場合と比べて、自車両の周囲の交通状況が異なる。そこで、このようなグループ走行におけるアダプティブクルーズコントロールを適正化するための提案が望まれている。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、グループ走行においてモータサイクルのアダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、モータサイクルの挙動を制御する制御装置であって、前記モータサイクルのライダーによる加減速操作によらずに前記モータサイクルの速度を自動で制御し、前記モータサイクルと目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールを、前記モータサイクルの周囲環境情報に基づいて実行する実行部を備え、さらに、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両が位置する車列を特定する特定部を備え、前記実行部は、前記自車両が位置する車列と異なる車列中の他車両である他車列車両の走行状態情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールを実行する。
【0007】
本発明に係る制御方法は、モータサイクルの挙動の制御方法であって、制御装置の実行部が、前記モータサイクルのライダーによる加減速操作によらずに前記モータサイクルの速度を自動で制御し、前記モータサイクルと目標車両との車間距離を目標車間距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールを、前記モータサイクルの周囲環境情報に基づいて実行し、さらに、前記制御装置の特定部が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両が位置する車列を特定し、前記実行部は、前記自車両の車列と異なる車列中の他車両である他車列車両の走行状態情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロールを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の実行部が、モータサイクルのライダーによる加減速操作によらずにモータサイクルの速度を自動で制御し、モータサイクルと目標車両との車間距離を目標車間距離に維持する車間距離維持制御が行われるアダプティブクルーズコントロールを、モータサイクルの周囲環境情報に基づいて実行し、さらに、制御装置の特定部が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両が位置する車列を特定し、実行部は、自車両の車列と異なる車列中の他車両である他車列車両の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行する。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両の周囲の交通状況に応じて、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。ゆえに、グループ走行においてモータサイクルのアダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るモータサイクルの概略構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るモータサイクルを含むグループがグループ走行している様子を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御装置が行うグループ走行に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係るモータサイクルを含むグループが直進走行している様子を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るモータサイクルを含むグループがカーブ走行している様子を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るモータサイクルにより行われるアダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲が変化する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが(
図1中のモータサイクル1を参照)、本発明に係る制御装置は、二輪のモータサイクル以外のモータサイクル(例えば、三輪のモータサイクル等)に用いられるものであってもよい。モータサイクルには、エンジンを推進源とする車両、電気モータを推進源とする車両等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。
【0012】
また、以下では、車輪を駆動するための動力を出力可能な駆動源としてエンジン(具体的には、後述される
図1中のエンジン11)が搭載されている場合を説明しているが、駆動源としてエンジン以外の他の駆動源(例えば、電気モータ)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0013】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0014】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0015】
<モータサイクルの構成>
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係るモータサイクル1の構成について説明する。
【0016】
図1は、モータサイクル1の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように、モータサイクル1は、エンジン11と、液圧制御ユニット12と、表示装置13と、周囲環境センサ14と、入力装置15と、前輪車輪速センサ16と、後輪車輪速センサ17と、制御装置(ECU)20とを備える。なお、本明細書では、モータサイクル1を自車両1とも呼ぶ。
【0017】
エンジン11は、モータサイクル1の駆動源の一例に相当し、車輪を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン11には、内部に燃焼室が形成される1又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン11の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0018】
液圧制御ユニット12は、車輪に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。例えば、液圧制御ユニット12は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続する油路上に設けられ、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するためのコンポーネント(例えば、制御弁及びポンプ)を含む。液圧制御ユニット12のコンポーネントの動作が制御されることによって、車輪に生じる制動力が制御される。なお、液圧制御ユニット12は、前輪及び後輪の双方に生じる制動力をそれぞれ制御するものであってもよく、前輪及び後輪の一方に生じる制動力のみを制御するものであってもよい。
【0019】
表示装置13は、情報を視覚的に表示する表示機能を有する。表示装置13としては、例えば、液晶ディスプレイ又はランプ等が挙げられる。
【0020】
周囲環境センサ14は、モータサイクル1の周囲の環境に関する周囲環境情報を検出する。具体的には、周囲環境センサ14は、モータサイクル1の胴体の前部に設けられており、自車両1よりも前方の周囲環境情報を検出する。
【0021】
周囲環境センサ14は、モータサイクル1の周囲に存在するターゲットの位置とモータサイクル1の位置との関係性に関する情報(例えば、ターゲットに対するモータサイクル1の相対的な距離、方向、速度、加速度又は加加速度等)を周囲環境情報として取得するためのものである。また、周囲環境情報は、例えば、モータサイクル1の周囲に存在するターゲットの状態情報であってもよい。なお、上記のターゲットは、車両の他に、車両以外の各種障害物(例えば、道路設備、落下物、人、動物等)も含み得る。
【0022】
周囲環境センサ14としては、例えば、モータサイクル1の周囲を撮像するカメラ、及び、モータサイクル1からターゲットまでの距離を検出可能なレーダーが用いられる。例えば、カメラにより撮像される画像を用いてターゲットを検出し、レーダーの検出結果を利用することによって、ターゲットに対するモータサイクル1の相対的な距離、方向、速度、加速度又は加加速度等を検出することができる。なお、周囲環境センサ14の構成は上記の例に限定されない。例えば、周囲環境センサ14において、レーダーがLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)又は超音波センサに置き換えられてもよい。また、例えば、周囲環境センサ14は、ステレオカメラであってもよい。
【0023】
入力装置15は、ライダーによる各種操作を受け付ける。入力装置15は、例えば、ハンドルに設けられ、ライダーの操作に利用される押しボタン等を含む。入力装置15を用いたライダーの操作に関する情報は、制御装置20に出力される。
【0024】
前輪車輪速センサ16は、前輪の車輪速(例えば、前輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ16が、前輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ16は、前輪に設けられている。
【0025】
後輪車輪速センサ17は、後輪の車輪速(例えば、後輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ17が、後輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ17は、後輪に設けられている。
【0026】
制御装置20は、モータサイクル1の挙動を制御する。例えば、制御装置20の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置20の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置20は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0027】
図2は、制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御装置20は、例えば、取得部21と、実行部22と、特定部23とを備える。また、制御装置20は、モータサイクル1の各装置と通信する。
【0028】
取得部21は、モータサイクル1の各装置から情報を取得し、実行部22及び特定部23へ出力する。例えば、取得部21は、周囲環境センサ14、入力装置15、前輪車輪速センサ16及び後輪車輪速センサ17から情報を取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0029】
実行部22は、モータサイクル1の各装置の動作を制御することによって、各種制御を実行する。実行部22は、例えば、エンジン11、液圧制御ユニット12及び表示装置13の動作を制御する。
【0030】
ここで、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。アダプティブクルーズコントロールでは、実行部22は、ライダーによる加減速操作(つまり、アクセル操作及びブレーキ操作)によらずにモータサイクル1の速度を自動で制御する。実行部22は、例えば、前輪の車輪速及び後輪の車輪速に基づいて取得されるモータサイクル1の速度の値を監視することによって、モータサイクル1の速度を、予め設定された上限速度を超えない速度に制御することができる。
【0031】
また、アダプティブクルーズコントロールでは、実行部22は、モータサイクル1と目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御を行う。実行部22は、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報に基づいて、車間距離維持制御を行う。周囲環境センサ14は、モータサイクル1の前方を走行する先行車両とモータサイクル1との車間距離、及び、先行車両に対するモータサイクル1の相対速度を検出することができる。実行部22は、例えば、車間距離維持制御において、先行車両を目標車両に設定し、先行車両との車間距離が目標距離に維持されるように、モータサイクル1の速度を制御する。なお、車間距離は、車線(具体的には、モータサイクル1の走行レーン)に沿う方向の距離を意味してもよく、直線距離を意味してもよい。
【0032】
実行部22は、例えば、入力装置15を用いたライダーによる操作に応じてアダプティブクルーズコントロールを実行する。ここで、モータサイクル1では、ライダーが、アダプティブクルーズコントロールのモードとして、グループ走行モードを選択できるようになっている。グループ走行モードが選択されると、実行部22は、グループ走行モードをアダプティブクルーズコントロールとして実行する。グループ走行モードは、アダプティブクルーズコントロールのうち、特にグループ走行に適したモードである。例えば、グループ走行モードでは、車間距離維持制御における目標距離が小さめに設定されている。
【0033】
特定部23は、グループ走行における自車両1が位置する車列(以下、自車両1の車列、又は、自車列とも呼ぶ。)を特定する。特定部23は、特定した自車列を示す情報を実行部22に出力する。グループ走行では、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行する。以下、
図3を参照して、グループ走行の概要について説明する。
【0034】
図3は、モータサイクル1(つまり、自車両1)を含むグループがグループ走行している様子を示す図である。
図3では、自車両1と、グループを構成する他車両2(つまり、グループ内の自車両1以外のモータサイクル)のうちの一部の他車両2a、2b、2c、2dとが示されている。
【0035】
図3に示されるように、グループ走行では、複数のモータサイクルが同一レーン内の左側の車列と右側の車列の2車列で走行する。
図3の例では、他車両2b及び他車両2cが左側の車列を構成している。他車両2b及び他車両2cは、前方からこの順に並んでいる。一方、他車両2a、自車両1及び他車両2dが右側の車列を構成している。他車両2a、自車両1及び他車両2dは、前後方向において前方からこの順に並んでいる。
【0036】
また、
図3に示されるように、グループ走行では、左側の車列を構成するモータサイクルと、右側の車列を構成するモータサイクルとが前後方向において交互に並ぶ配置(つまり、ジグザグ状の配置)で、複数のモータサイクルが走行する。
図3の例では、右側の車列中の他車両2a、左側の車列中の他車両2b、右側の車列中の自車両1、左側の車列中の他車両2c、右側の車列中の他車両2dが、前方からこの順に並んでいる。
【0037】
上記のように、複数のモータサイクルによるグループ走行では、複数のモータサイクルがジグザグ状の配置で走行する。それにより、複数のモータサイクルが1車列で走行する場合と比べて、各車両間の前後方向での距離を短くすることができる。ゆえに、グループが信号機によって分断されることを抑制できる。
【0038】
本実施形態では、上述したように、グループ走行における自車両1が位置する車列(つまり、自車列)が、特定部23によって特定される。そして、実行部22は、自車両1が位置する車列と異なる車列(以下、他車列とも呼ぶ。)中の他車両2である他車列車両(例えば、
図3の例では、他車両2b、2c)の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行する。それにより、グループ走行においてモータサイクル1のアダプティブクルーズコントロールを適切に実行することが実現される。なお、走行状態情報は、車両の走行状態に関する種々の情報(例えば、車両の位置、速度又は加速度等)を含み得る。このような制御装置20が行うグループ走行に関する処理の詳細については後述する。
【0039】
<制御装置の動作>
図4~
図7を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0040】
図4は、制御装置20が行うグループ走行に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示される制御フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し実行される。
図4におけるステップS101は、
図4に示される制御フローの開始に対応する。
図4におけるステップS106は、
図4に示される制御フローの終了に対応する。
【0041】
図4に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、制御装置20は、グループ走行モードが実行中であるか否かを判定する。グループ走行モードが実行中であると判定された場合(ステップS102/YES)、ステップS103に進む。一方、グループ走行モードが実行中でないと判定された場合(ステップS102/NO)、
図4に示される制御フローは終了する。
【0042】
ステップS102でYESと判定された場合、ステップS103において、制御装置20の特定部23は、グループ走行における自車両1が位置する車列(つまり、自車列)の特定処理を行う。
【0043】
自車列の特定処理では、特定部23は、例えば、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて、自車列を特定する。上記の設定操作は、制御装置20において自車列を設定するための操作であり、例えば、入力装置15を用いて行われる。なお、上記の設定操作を受け付ける入力画面が表示装置13に表示され、ライダーは、入力画面を用いて上記の設定操作を行ってもよい。自車列が右側の車列である旨を設定操作情報が示す場合、特定部23は、自車列が右側の車列であると特定する。一方、自車列が左側の車列である旨を設定操作情報が示す場合、特定部23は、自車列が左側の車列であると特定する。例えば、
図3の例では、特定部23は、自車列が右側の車列であると特定する。
【0044】
なお、特定部23は、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報を用いずに、自車列を特定してもよい。例えば、特定部23は、周囲環境センサ14の出力結果に基づいて、自車列を特定してもよい。この場合、特定部23は、例えば、グループ内の他車両2のうち、自車両1の前方を走行し、かつ、前後方向において自車両1と最も近い車両を、周囲環境センサ14の出力結果に基づいて特定する。そして、特定部23は、特定した他車両2と自車両1との位置関係に基づいて、自車列を特定することができる。例えば、特定部23は、特定した他車両2が自車両1に対して左側に位置している場合、自車列は右側の車列であると特定する。
【0045】
ステップS103の次に、ステップS104において、制御装置20は、自車列が特定されたか否かを判定する。自車列が特定されたと判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進む。一方、自車列が特定されていないと判定された場合(ステップS104/NO)、
図4に示される制御フローは終了する。
【0046】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、制御装置20の実行部22は、自車列と異なる車列(つまり、他車列)中の他車両2である他車列車両(例えば、
図3の例では、他車両2b、2c)の走行状態情報に基づくアダプティブクルーズコントロールを実行し、
図4に示される制御フローは終了する。
【0047】
本実施形態では、特定部23によって、自車列が特定される。ゆえに、制御装置20は、他車列が自車両1に対して左側に存在するのか、右側に存在するのかを判断することができる。よって、取得部21は、例えば、周囲環境センサ14の出力結果に基づいて、他車列中の他車両2である他車列車両の走行状態情報を取得することができる。それにより、実行部22は、他車列車両の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。
【0048】
ここで、自車両1の周囲の交通状況に応じて、アダプティブクルーズコントロールをより適切に実行する観点では、実行部22は、他車列車両の走行状態情報に加えて、自車列中の他車両2である自車列車両の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行することが好ましい。以下では、他車列車両としての他車両2bの走行状態情報、及び、自車列車両としての他車両2aの走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールが実行される例を説明する。
【0049】
例えば、実行部22は、自車列車両を車間距離維持制御の目標車両に設定し、特定の状況下において、目標車両を自車列車両から他車列車両に切り替える。以下、
図5及び
図6を参照して、目標車両の切り替えが行われる状況の例を説明する。
【0050】
図5は、モータサイクル1(つまり、自車両1)を含むグループが直進走行している様子を示す図である。
図5の例では、自車両1と、他車両2a、2b、2c、2dとが、
図3と同様の配置で直進路を走行している。なお、直進路は、モータサイクル1の運転操作に影響を及ぼすことがない程度に大きな曲率半径を有する走行路である。自車列は右側の車列となっており、他車列は左側の車列となっている。他車両2a、2dが自車列車両に相当し、他車両2b、2cが他車列車両に相当する。
【0051】
図5の例では、実行部22は、基本的には、自車両1よりも前方に位置する自車列車両のうち自車両1に最も近い車両である他車両2aを車間距離維持制御の目標車両に設定する。この場合、自車両1と他車両2aとの車間距離が目標距離に維持される。
【0052】
ここで、実行部22は、自車両1と他車列車両との車間距離が距離下限値を下回る状態で(つまり、下回る場合に)、当該他車列車両を車間距離維持制御の目標車両に設定する。
図5の例では、実行部22は、自車両1よりも前方に位置する他車列車両のうち自車両1に最も近い車両である他車両2bと自車両1との車間距離D1が距離下限値を下回った場合に、目標車両を他車両2aから他車両2bに切り替える。距離下限値は、他車両2bを追い越してしまう可能性が生じる程度に自車両1が他車両2bに接近していると判断し得る値に設定される。
【0053】
他車両2bが目標車両に設定されると、自車両1と他車両2bとの車間距離が目標距離に維持される。具体的には、実行部22は、車間距離維持制御において、自車両1と他車両2bとの車間距離、及び、他車両2bに対する自車両1の相対速度に基づいて、自車両1の速度を制御する。それにより、自車両1が他車両2bを追い越してしまうことが抑制されるので、自車両1を含むグループがジグザグ状の配置で走行する状態が維持される。
【0054】
図6は、モータサイクル1(つまり、自車両1)を含むグループがカーブ走行している様子を示す図である。
図6の例では、自車両1と、他車両2a、2b、2c、2dとが、
図3と同様の配置でカーブ路を走行している。なお、カーブ路は、モータサイクル1の運転操作に影響を及ぼす程度に小さな曲率半径を有する走行路である。自車列は右側の車列となっており、他車列は左側の車列となっている。他車両2a、2dが自車列車両に相当し、他車両2b、2cが他車列車両に相当する。
【0055】
実行部22は、自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態で(つまり、カーブ走行中の場合に)、他車列車両を車間距離維持制御の目標車両に設定する。例えば、他車両2aが目標車両に設定されている状態で直進走行していたグループが、カーブ路に進入して
図6に示す状態となった場合、実行部22は、自車両1よりも前方に位置する他車列車両のうち自車両1に最も近い車両である他車両2bを目標車両に設定する。つまり、目標車両が、他車両2aから他車両2bに切り替えられる。
【0056】
なお、実行部22は、例えば、自車両1がカーブ走行中であるか否かを判定し、自車両1がカーブ走行中であると判定した場合に、自車両1を含むグループがカーブ走行中であるとみなすことができる。自車両1がカーブ走行中であるか否かの判定は、例えば、慣性計測装置(IMU)又はカーナビゲーション装置等を用いることによって実現され得る。
【0057】
自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態では、安全性を向上させる目的で、当該グループが直進走行中の状態と比べて、車間距離が広くなる傾向がある。ゆえに、
図6の例において、他車両2aが自車両1の周囲環境センサ14によって検出できない程度に自車両1から遠ざかってしまう場合が想定されるので、他車両2bを目標車両に設定することによって、目標車両が検出されなくなることを抑制できる。
【0058】
ここで、実行部22は、カーブ走行の安全性を向上させる観点では、自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態で、当該グループが直進走行中である状態と比較して、車間距離維持制御の目標距離を長くすることが好ましい。自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態では、安全性を確保するためには、当該グループが直進走行中の状態と比べて、車間距離を広くする必要がある。よって、グループがカーブ走行中であるか否かに応じて、車間距離維持制御の目標距離を上記のように変化させることによって、安全性を向上させることができる。
【0059】
上記では、他車列車両としての他車両2bの走行状態情報、及び、自車列車両としての他車両2aの走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールが実行される例を説明した。ただし、実行部22は、自車列車両の走行状態情報を用いずに、他車列車両の走行状態情報のみに基づいてアダプティブクルーズコントロールを実行してもよい。
【0060】
例えば、実行部22は、他車両2aの走行状態情報を用いずに、他車両2bの走行状態情報のみに基づいてアダプティブクルーズコントロールを実行してもよい。この場合、実行部22は、例えば、他車両2bを車間距離維持制御の目標車両に設定する。具体的には、実行部22は、グループがカーブ走行中であるか否か等の状況によらずに、他車両2bを車間距離維持制御の目標車両に設定してもよい。この場合、実行部22は、車間距離維持制御において、状況によらずに、自車両1と他車両2bとの車間距離、及び、他車両2bに対する自車両1の相対速度に基づいて、自車両1の速度を制御する。なお、この場合においても、実行部22は、自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態で、当該グループが直進走行中である状態と比較して、車間距離維持制御の目標距離を長くしてもよい。
【0061】
上記では、自車両1よりも前方に位置する他車列車両である他車両2bの走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールが実行される例を説明した。ただし、実行部22は、自車両1よりも後方に位置する他車列車両(例えば、他車両2c)の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行してもよい。
【0062】
例えば、他車両2aが目標車両に設定されている状況下で自車両1と他車両2cとの車間距離が距離下限値を下回った場合に、目標車両を他車両2aから他車両2cに切り替えてもよい。また、例えば、実行部22は、自車両1を含むグループがカーブ走行中の状態で、自車両1よりも後方に位置する他車列車両である他車両2cを車間距離維持制御の目標車両に設定してもよい。また、実行部22は、状況によらずに、他車両2cを車間距離維持制御の目標車両に設定してもよい。
【0063】
上記では、
図4のフローチャートを参照して、制御装置20が行うグループ走行に関する処理の例について説明した。ただし、制御装置20は、グループ走行に関する処理として、他の処理を行ってもよい。
【0064】
例えば、実行部22は、特定部23による自車列の特定結果に基づいて、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲を変化させてもよい。上述したように、アダプティブクルーズコントロールにおける車間距離維持制御は、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報に基づいて行われる。実行部22は、特定部23による自車列の特定結果に基づいて、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させる。
【0065】
図7は、モータサイクル1により行われるアダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲が変化する様子を示す図である。
図7では、周囲環境センサ14の検出範囲18について、変化前の範囲が破線により示されており、変化後の範囲が実線により示されている。
【0066】
図7に示されるように、周囲環境センサ14の検出範囲18は、モータサイクル1の前部から前方に放射状に広がっている。周囲環境センサ14は、検出範囲18内の周囲環境情報を検出することができる。つまり、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲は、周囲環境センサ14の検出範囲18と基本的に一致する。ただし、後述するように、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させずに、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させることもできるので、これらの範囲を区別して説明する。
【0067】
実行部22は、例えば、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させることによって、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させる。具体的には、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18の中心C1(例えば、放射状に広がる範囲の中心軸)を、自車両1の走行軌跡を基準とする他車列車両の存在する側に位置させる。それにより、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲の中心が、自車両1の走行軌跡を基準とする他車列車両の存在する側に位置する。なお、検出範囲18の中心C1は、検出範囲18を変化させる前において、破線で示されるように、自車両1の走行軌跡上に位置している。
【0068】
図7の例では、特定部23により特定される自車列は、右側の車列である。よって、この場合、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18の中心C1を、実線で示されるように、自車両1の走行軌跡を基準とする左側(つまり、他車列車両である他車両2b、2cの存在する側)に位置させる。それにより、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲の中心が、自車両1の走行軌跡を基準とする左側に位置する。ゆえに、
図7中で実線により示されるように、周囲環境センサ14の検出範囲18(つまり、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲)を自車両1の走行レーン内に収めることができる。それにより、例えば、自車両1の走行レーンに隣接する隣接レーンを走行する車両が検出範囲18内に入り、車間距離維持制御における目標車両として誤って設定されることを抑制できる。
【0069】
なお、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させずに、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させてもよい。例えば、実行部22は、検出範囲18内の特定の範囲(例えば、
図7の例では、自車両1の走行軌跡を基準とする右側の範囲)に関する情報を周囲環境情報としては検出しないようにすることで、周囲環境情報の検出範囲を変化させてもよい。
【0070】
上記で説明した
図4のフローチャートでは、グループ走行モードが実行中であると判定された場合(ステップS102/YES)に、ステップS103以降の処理が行われた。ただし、ステップS103以降の処理が実行される実行条件は、この例に限定されない。上記の実行条件は、自車両1及び他車両2を含むグループがグループ走行していると判断できるような条件であればよい。例えば、上記の実行条件は、自車両1及び他車両2がジグザグ状の配置で走行していると判定されること等であってもよい。制御装置20は、例えば、他車両2又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して、自車両1及び他車両2の位置関係を示す情報を取得し、その情報を用いて、自車両1及び他車両2がジグザグ状の配置で走行しているか否かを判定することができる。
【0071】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置20の効果について説明する。
【0072】
制御装置20において、特定部23は、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両1が位置する車列(つまり、自車列)を特定する。そして、実行部22は、自車両1が位置する車列と異なる車列(つまり、他車列)中の他車両2である他車列車両(例えば、他車両2b、2c)の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行する。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。ゆえに、グループ走行においてモータサイクル1のアダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる。
【0073】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、他車列車両の走行状態情報に加えて、自車両1が位置する車列(つまり、自車列)中の他車両2である自車列車両(例えば、他車両2a、2d)の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行する。それにより、自車両1の周囲の交通状況に関するより多くの情報を用いて、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。ゆえに、グループ走行においてモータサイクル1のアダプティブクルーズコントロールをより適切に実行することができる。
【0074】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、自車列車両(例えば、他車両2a)を車間距離維持制御の目標車両に設定する。それにより、自車両1の走行軌跡上を走行する他車両2と自車両1との車間距離を目標距離に維持することができる。ゆえに、グループ内の他車両2との衝突を抑制し、ライダーの運転を支援することができる。
【0075】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、自車両1と他車列車両(例えば、他車両2b)との車間距離が距離下限値を下回る状態で、他車列車両を車間距離維持制御の目標車両に設定する。それにより、他車列車両を追い越してしまう可能性が生じる程度に自車両1が他車列車両に接近している場合に、当該他車列車両を目標車両に設定することができる。ゆえに、自車両1が他車列車両を追い越してしまうことが抑制されるので、自車両1を含むグループがジグザグ状の配置で走行する状態を維持することができる。
【0076】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、自車両1を含むグループを構成する複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態で、他車列車両(例えば、他車両2b)を車間距離維持制御の目標車両に設定する。ここで、仮に、自車列車両が目標車両に設定され続けた場合に、複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態において、目標車両が自車両1から遠ざかり、検出されなくなることが想定される。ゆえに、複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態において、他車列車両を車間距離維持制御の目標車両に設定することによって、目標車両が検出されなくなることを抑制できる。
【0077】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、他車列車両(例えば、他車両2b)を車間距離維持制御の目標車両に設定する。それにより、他車列車両と自車両1との車間距離を目標距離に維持することができる。ゆえに、自車両1が他車列車両を追い越してしまうことが効果的に抑制されるので、自車両1を含むグループがジグザグ状の配置で走行する状態がより維持されやすくなる。
【0078】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、自車両1を含むグループを構成する複数のモータサイクルがカーブ走行中の状態で、当該複数のモータサイクルが直進走行中である状態と比較して、車間距離維持制御の目標距離を長くする。それにより、自車両1と目標車両との車間距離が広くなり、カーブ走行の安全性を向上させることができる。
【0079】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、特定部23による自車両1の車列(つまり、自車列)の特定結果に基づいて、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲を変化させる。それにより、グループ外の車両(例えば、自車両1の走行レーンに隣接する隣接レーンを走行する車両)が車間距離維持制御における目標車両として誤って特定されることを抑制することができる。ゆえに、アダプティブクルーズコントロールをより適切に実行することができる。
【0080】
好ましくは、制御装置20において、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲の中心を、自車両1の走行軌跡を基準とする他車列車両(例えば、他車両2b、2c)の存在する側に位置させる。それにより、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲を自車両1の走行レーン内に収めることができる。ゆえに、グループ外の車両(例えば、自車両1の走行レーンに隣接する隣接レーンを走行する車両)が車間距離維持制御における目標車両として誤って特定されることを抑制することが適切に実現される。
【0081】
好ましくは、制御装置20において、上記の他車列車両は、自車両1よりも後方に位置する車両(例えば、他車両2c)である。つまり、好ましくは、実行部22は、自車両1よりも後方に位置する他車列車両(例えば、他車両2c)の走行状態情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行する。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の後方の交通状況に応じて、アダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる。
【0082】
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 モータサイクル(自車両)、2 モータサイクル(他車両)、2a 他車両、2b 他車両、2c 他車両、2d 他車両、11 エンジン、12 液圧制御ユニット、13 表示装置、14 周囲環境センサ、15 入力装置、16 前輪車輪速センサ、17 後輪車輪速センサ、18 検出範囲、20 制御装置、21 取得部、22 実行部、23 特定部、C1 中心、D1 車間距離。