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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】歯科用の指標の自動検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/764 20220101AFI20250107BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20250107BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250107BHJP
   G06V 20/64 20220101ALI20250107BHJP
【FI】
G06V10/764
A61C13/00 Z
G06T7/00 350C
G06V20/64
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023055761
(22)【出願日】2023-03-30
(65)【公開番号】P2023153040
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】22165854.5
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】フレイ アレン
(72)【発明者】
【氏名】アスター マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンドリック
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/046147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 10/00-20/90
G06T 7/00
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科対象物(100-1)の認識方法であって、
製造される歯対象物(100-2)の形状を記述する座標系においてデジタル歯科対象物(100-1)を提供するステップ(S101)と、
自己学習アルゴリズムにより形状に基づいて前記デジタル歯科対象物(100-1)を特定のクラスへ自動的に割り当てるステップ(S102)とからなり、
前記デジタル歯科対象物(100-1)の表面上のいくつかの点を検出し、
前記デジタル歯科対象物(100-1)の表面上の前記点をランダムに選択し、
前記検出された点の座標が人工ニューラルネットワーク(109)に対する入力を形成する認識方法。
【請求項2】
前記人工ニューラルネットワーク(109)は、複数の訓練データセットによって訓練されている請求項に記載の認識方法。
【請求項3】
前記クラスは、前記人工ニューラルネットワーク(109)によって出力される請求項1または2に記載の認識方法。
【請求項4】
デジタル基準対象物が、前記割り当てられたクラスに基づいて前記デジタル歯科対象物(100-1)に割り当てられる請求項1~3のいずれか一項に記載の認識方法。
【請求項5】
前記デジタル歯科対象物(100-1)は、前記座標系における前記割り当てられたクラスおよび/または前記基準対象物に基づいて変換される請求項1~4のいずれか一項に記載の認識方法。
【請求項6】
前記割り当てられたクラスに基づいて、前記デジタル歯科対象物(100-1)に製造方法が割り当てられる請求項1~のいずれか一項に記載の認識方法。
【請求項7】
前記関連付けられた製造方法に基づいて、さらなる空間構造が前記デジタル歯科対象物(100-1)に追加される請求項に記載の認識方法。
【請求項8】
前記歯科対象物(100-2)は、前記製造方法によって製造される請求項またはに記載の認識方法。
【請求項9】
前記製造方法は、加法的または減法的製造方法である請求項に記載の認識方法。
【請求項10】
前記割り当ての正確さは、前記デジタル歯科対象物(100-1)の幾何学的特徴によってチェックされる請求項1~のいずれか一項に記載の認識方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の認識方法を実行するように適合された歯対象物(100-2)のための製造装置(200)。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータプログラムに請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科対象物を認識するための歯科対象物認識方法、歯科対象物製造装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のデジタルワークフローでは、歯科修復物は、CADソフトウェアで生成され、3D CADファイルフォーマットで保存される。使用されるCADソフトウェアおよび後続のワークフローに応じて、いわゆるメタデータを生成し、3D CADファイルと一緒に記憶することができ、メタデータは追加情報を含む。
【0003】
メタデータは、特定の修復タイプにミリング戦略を割り当てるなど、アブレーション製造方法を制御または最適化するのに役立つ可能性がある。 ステレオリソグラフィ、VAT重合、3D DLP印刷、または金属の選択的レーザ焼結など、支持構造が必要とされる3次元印刷方法では、歯科修復物の特定の表面は、精度および表面品質にプラスの影響を与えるために、支持構造の接続から解放されるべきである。
【0004】
しかしながら、メタデータの場合には、これらが予めCADソフトウェアにおいて既に生成されており、これらが独自のデータフォーマットであるという欠点がある。この場合、使用される任意のCAMソフトウェアは、関連付けられた専有メタデータをインポートし、解釈することができなければならない。これらのメタデータフォーマットは普遍的ではないので、独自のメタデータフォーマットごとに別個のインターフェースをプログラムしなければならない。対象物に利用可能なメタデータがない場合、CAMソフトウェアは、インポート中にそれがどの指標であるかを決定することができない。
【0005】
しかしながら、指標は、歯科対象物を製造するためにどの製造方法が使用されるべきかを決定するために重要である。分類は、さらなるデータ処理において、およびデジタルワークフローにおける製造または材料処理のためのさらなる方法ステップを決定するために使用することもできる。
【0006】
特許文献1は、光ベースの3次元印刷装置を使用して製造するための義歯床の3次元デジタルモデルを生成する方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第10,856,957(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的目的は、適切な製造方法が選択され得るように、幾何学的形状に基づいてデジタル歯科対象物の指標を識別することである。
【0009】
この技術的目的は、独立請求項に記載の主題によって解決される。技術的に有利な実施形態は、従属請求項、明細書、および図面の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、技術的目的は、製造されるべき歯科対象物の形状を記述する座標系においてデジタル歯科対象物を提供するステップと、自己学習アルゴリズムによって形状に基づいてデジタル歯科対象物を所定のクラスに自動的に割り当てるステップとを含む、歯科対象物の認識方法によって解決される。クラスは、デジタル歯科対象物に基づいて実際の歯科対象物を製造するために使用され得る特定の製造方法に関連付けられてもよい。歯科対象物のクラスに応じて、最適なパラメータを有する適合された製造方法を使用することができる。
【0011】
認識方法の技術的に有利な実施形態では、デジタル歯科対象物の表面上のいくつかの点が検出される。これは、例えば、デジタル歯科対象物に少量の分類データを迅速に割り当てることができるという技術的利点を達成する。
【0012】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、デジタル歯科対象物の表面上の点はランダムに選択される。これは、例えば、分類データの母集団を複雑な計算なしに得ることができるという技術的利点を有する。
【0013】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、検出された点の座標は、人工ニューラルネットワークのための入力を形成する。これにより、例えば、デジタル歯科対象物を効率的にクラスに割り当てることができるという技術的利点が達成される。
【0014】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、人工ニューラルネットワークは、複数の訓練データセットによって訓練されている。これはまた、例えば、デジタル歯科対象物をクラスに効率的に割り当てることができるという技術的利点を達成する。
【0015】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、デジタル歯科対象物のクラスは、人工ニューラルネットワークによって出力される。これはまた、例えば、デジタル歯科対象物をクラスに効率的に割り当てることができるという技術的利点を達成する。
【0016】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、デジタル基準対象物は、割り当てられたクラスに基づいてデジタル歯科対象物に割り当てられる。これは、例えば、ワークフローをさらに最適化することができるという技術的利点を有する。
【0017】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、デジタル歯科対象物は、割り当てられたクラスおよび/または基準対象物に基づいて座標系において変換される。デジタル歯科対象物は、例えば、基準対象物と位置合わせされ得るか、または基準対象物に移動され得る。これは、例えば、デジタル歯科対象物の適合された向きおよび/または位置で製造方法を実行することができるという技術的利点を達成する。
【0018】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、製造方法は、割り当てられたクラスに基づいてデジタル歯科対象物に割り当てられる。これは、例えば、歯科対象物を効率的に製造することができ、異なる歯科対象物の製造を自動化することができるという技術的利点を有する。
【0019】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、さらなる空間構造が、関連する製造方法に基づいてデジタル歯科対象物に追加される。空間構造は、構築プラットフォームのための支持構造またはブランクのための保持構造であり得る。これにより、例えば、歯科対象物の製造をさらに改善することができるという技術的利点が達成される。
【0020】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、歯科対象物は製造方法によって製造される。これは、例えば、歯科対象物が適切な製造方法を使用して製造されるという技術的利点を提供する。
【0021】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、製造方法は、加法的または減法的製造方法である。これにより、例えば、歯科用目的に特に適した製造方法を使用するという技術的利点が達成される。
【0022】
認識方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、割り当ての正確さは、デジタル歯科目的の幾何学的特徴によってチェックされる。これは、例えば、本方法の精度を改善するという技術的利点を有する。
【0023】
第2の態様によれば、技術的目的は、第1の態様による認識方法を実行するように適合された歯科対象物の製造装置によって解決される。製造装置によって、認識方法によるのと同じ技術的利点が達成される。
【0024】
第3の態様によれば、技術的問題は、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータプログラムに第1の態様による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムによって解決される。コンピュータプログラムによって、認識方法と同じ技術的利点が達成される。
【0025】
本発明の実施形態の例が図面に示され、以下でより詳細に説明される。
【0026】
図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】分類方法の概略図である。
図2】分類データセットからの複数の点を示す図である。
図3】人工ニューラルネットワークの概略図である。
図4】異なるクラスのデジタル歯科対象物を示す図である。
図5】認識されたクラスの表示を示す図である。
図6】歯科対象物の認識方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、分類方法の概略図を示す。例えば、実際の歯科対象物100-2は、クラウン、ブリッジ、ベニア、アバットメント、インレー、アンレー、スプリント、または部分義歯もしくは総義歯である。一般に、歯科対象物100-2は、3次元製造方法の一部として加法的または減法的に製造される歯科分野における任意の対象物であり得る。
【0029】
これらの実際の歯科対象物100-2のそれぞれに対して、3次元形状および色値が指定されたデジタル歯科対象物100-1が存在し得る。この情報は、例えば、デジタル歯科対象物100-1のデータセットに記憶される。
【0030】
デジタル歯科対象物100-1の分類を用いて、それがどのタイプに属するかを決定することができる。例えば、デジタル歯科対象物100-1のタイプは、「クラウン」、「ブリッジ」、「ベニア」、「アバットメント」、「インレー」、「アンレー」、「スプリント」または「部分義歯」または「総義歯」であり得る。一般に、デジタル歯科対象物100-1のタイプは、実際の歯科対象物100-2を互いに区別することができる任意のタイプとすることができる。
【0031】
例えば、デジタル歯科対象物100-1の区別は、それぞれの形状に基づいて実行されてもよい。したがって、分類は、デジタル歯科対象物100-1の表面上の複数の点を含む分類データセット101に基づいて行われてもよい。デジタル歯科対象物100-1の表面上の多数の点115が既知である場合、例えば、対象物がアバットメントであるか総義歯であるかを自動的に判定することができる。
【0032】
グラフ内の各点は、入力データとしてのデジタル歯科対象物100-1の単一の分類データセット101を表す。最近傍分類では、確率密度関数を推定するためのノンパラメトリック法が分類データセット101に対して実行される。結果として得られるK最近傍アルゴリズムは、クラス割り当てがそのk個の最近傍を考慮して実行される分類手順である。
【0033】
分類データセット101に対する線形サポートベクターマシン-SVM(サポートベクターマシン)による分類では、回帰分析のために分類器および回帰器が使用される。サポートベクターマシンは、対象物の最も広い可能な範囲がクラス境界の周りで自由なままであるように、デジタル歯科対象物のセットをクラスに分割する。サポートベクターマシンは、いわゆるラージマージン分類器である。
【0034】
さらに、その値が原点までの距離に依存する放射基底関数(RBF)を使用することができる。ガウス法による分類では、分類データセット101に対して確率過程が使用され、確率変数の各有限サブセットは多次元正規分布(ガウス分布)される。
【0035】
各分類データセット101は、クラス「アバットメント」であるかクラス「完全補綴物」であるかなどの分類方法によってクラス103-1、...、103-nに割り当てることができる。デジタル歯科対象物100-1のクラスに基づいて、実際の歯科対象物100-2の製造方法を最終的に決定することができる。
【0036】
図2は、分類データセット101内に存在し得るデジタル歯科対象物100-1の表面上の複数の点115を示す。点115はそれぞれ、座標系の座標X、Y、およびZによって定義される。
【0037】
この分類データセット101は、分類手順によってクラス「完全補綴物」に割り当てられる。分類手順を入力順列に対して不変にするために、対称関数が使用される。対称関数は、関数値を変更することなく変数を交換することができる関数である。
【0038】
分類方法は、それぞれのクラスが既知である複数の分類データセット101を使用して訓練することができる。 次いで、新しい分類データセット101は、訓練された分類データセット101に対するそれらの類似性に基づいて分類され得る。
【0039】
分類方法では、入力データおよびその特性に応じて、分類アルゴリズムは、歯科対象物100-1の異なるクラスを区別するために、トレーニング中に適切な類似性尺度を独立して学習する。したがって、明示的な類似性尺度を定義する必要はない。分類アルゴリズムは、たとえばニューラルネットワークと同様に、トレーニングデータに基づいて、トレーニングフェーズ中に、点群のどのプロパティが類似性のマッピングに関連するかを暗黙的に決定する。次に、これを使用して、分類データセット101を分類する。トレーニングデータセットの形状に応じて、類似性尺度は変化する可能性がある。これは、より複雑な分類アルゴリズムで一般に発生する効果であり、意図的に受け入れられている。
【0040】
図3は、人工ニューラルネットワーク109の概略図を示す。人工ニューラルネットワーク109は、人工ニューロンのネットワークであり、デジタル歯科対象物100-1を分類するために使用することができる。 人工ニューラルネットワーク109は、例えば、分類データセット101内のデジタル歯科対象物100-1の表面上の点115の数に対応する数のニューロン113を有する入力層111-INを含む。この場合、分類データセット101からの各点は、別個のニューロン113に入力される。
【0041】
これらは隠れ層111-HIDDENのニューロン113に転送される。それによって、1つのニューロン113から別のニューロン113への各信号の個々の重み付けが行われる。そして、その結果を出力層111-OUTに出力する。例えば、出力層111-OUTにおけるニューロン113の数は、クラスの数に対応する。このようにして、マッピングが作成される。
【0042】
【数1】
【0043】
ニューラルネットワーク109がトレーニングされるとき、それぞれのクラスが既知である複数の分類データセット101が供給される。ニューラルネットワーク109は、ニューロン113間の重みを修正し、出力クラスが分類データセット101について知られているそのクラスに対応するまで重みを調整することによって学習する。
【0044】
一般に、畳み込み層(convolutional layer)と全結合層(dense layer)の組合せを使用することができる。シグモイド関数、Tanh関数またはReLU関数を活性化関数として使用することができる。バッチ正規化は、各層の後に行うことができる。
【0045】
例えば、本発明は、以下の表1、表2に示されるソースコードによって実施することができる。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
図4は、クラウン(左)、アバットメント(中央)、および別のクラウン(右)等の異なるクラスのいくつかのデジタル歯科対象物100-1を示す。これらの歯科対象物100-1の表面は、ランダムな点の点群117によって記述される。
【0049】
図5は、検出されたクラスの表示を示す。デジタル歯科対象物100-1のクラスが表示されてもよい。次に、一意の識別子がデジタル歯科対象物100-1のデータセットに追加されてもよい。したがって、最初に未知のデータセットは、適切に分類され、分類アルゴリズムをトレーニングするために再び使用され得るデータセットになり得る。
【0050】
図6は、歯科対象物100-1のための認識方法のブロック図を示す。認識方法は、製造される歯科対象物100-2の形状を記述する座標系においてデジタル歯科対象物100-1を提供するステップS101を含む。この目的のために、例えば、デジタル歯科対象物100-1の3D歯科データセットがインポートされる。次いで、歯科対象物100-1の表面上の複数の均一に分布したランダムな点、例えば4096個のランダムな点を決定し、分類データセット101に記憶することができる。
【0051】
続いて、ステップS102において、デジタル歯科対象物100-1は、自己学習アルゴリズムによって形状に基づいて所定のクラスに自動的に割り当てられる。この目的のために、このアルゴリズムは、複数の既知のデジタル歯科対象物100-1ならびにそれらのそれぞれの歯科分類および/または指標を用いて事前に訓練されている。各指標はクラスのサブセットである。自己学習アルゴリズムは、デジタル歯科対象物100-1の幾何学的情報をそれぞれのクラスにマッピングする関数のパラメータを最適化することができる。
【0052】
認識方法は、デジタル歯科対象物100-1のための3次元データセットの識別が、CAMソフトウェアにインポートされるときに、自動的に、添付されたメタデータなしで実行されることを可能にする。デジタル歯科対象物100-1の特定の特徴を明示的に識別するために静的アルゴリズムは使用されないが、特徴が暗黙的に学習される動的機械学習アルゴリズムが使用される。
【0053】
結果は、3次元構造と、訓練のために使用された指標を有する利用可能なデジタル歯科対象物100-1の数とに依存する。次いで、さらなるステップにおいて、デジタル歯科対象物100-1の寸法(境界ボックス、重心、局所曲率)などに基づく単純な幾何学的特徴を使用して、分類の検証および妥当性チェックを実行することができる。
【0054】
妥当性検査は、分類結果が既に決定されている場合に、分類後に再度検査するために実行される。例えば、歯科用対象物100-1の体積を使用して妥当性をチェックすることができる。体積は、例えば、以前の分類結果「単一歯冠」が正しいかどうかをチェックするために使用することができる。体積は、それが実際に単一のクラウンであるかどうか、または体積が単一のクラウンに対して大きすぎ、むしろブリッジの体積に対応するかどうかをチェックするために使用することができる。
【0055】
さらに、境界ボックスの寸法、境界ボックスの最大サイズ、境界ボックスのアスペクト比、歯科対象物の曲率、または歯科対象物の質量中心の位置などの特徴を妥当性検査に使用することができる。この目的のために、いくつかの特徴の組み合わせを使用することもできる。
【0056】
CAM-AMソフトウェアが歯科技術ワークフローにおいてデジタル歯科対象物100-1を最適に配向および位置決めすることを可能にするために、デジタル歯科対象物100-1の分類が知られているべきである。この場合、例えば、最適化された支持構造の生成を自動的に行うことができるように、デジタル歯科対象物の向きに関する規則を定義することができる。
【0057】
デジタル歯科対象物100-1のクラス、すなわち指標がCAD-CAMソフトウェアに知られている場合、製造中のワークフローを最適化するために、これに基づいてさらなる措置を講じることができる。これらの手段は、例えば、製造された歯科対象物が可能な限り少ない支持構造を必要とし、歯科対象物の表面の大部分がもはや再加工される必要がないように、デジタル歯科対象物の位置合わせの最適化を含む。
【0058】
この目的のために、デジタル基準対象物は、例えば、決定されたクラスに基づいてデータベースから取り出すことができる。例えば、デジタル歯科対象物100-1が総義歯であると認識された場合、クラス「総義歯」のデジタル基準対象物をデータベースから検索することができる。デジタル歯科対象物100-1は、次いで、座標系における基準対象物に変換されてもよい。例えば、デジタル歯科対象物100-1の向き、位置、またはサイズは、基準対象物に適合される。加えて、デジタル歯科対象物を製造するために使用されるそれぞれのクラスの基準対象物のための製造方法が提供され得る。
【0059】
歯科対象物100-1の認識方法は、3Dプリンティングのためのプリンティング装置またはミリング装置など、デジタル歯科対象物100-1に基づいて実際の歯科対象物100-2を製造するために使用することができる製造装置200において実施することができる。 この目的のために、製造装置200は、例えば、デジタルメモリを有するコンピュータと、認識方法れるコンピュータプログラムを実行するプロセッサとを有するコンピュータを備える。
【0060】
本発明の個々の実施形態に関連して説明され示される全ての特徴は、それらの有益な効果を同時に実現するために、本発明の主題において異なる組み合わせで提供されてもよい。
【0061】
すべての方法ステップは、それぞれの方法ステップを実行するのに適した手段によって実施することができる。 客観的特徴によって実行されるすべての機能は、方法の方法ステップとすることができる。
【0062】
本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって与えられ、明細書に説明された特徴または図面に示された特徴によって限定されない。
【符号の説明】
【0063】
100-1 デジタル歯科対象物
100-2 製造される歯科対象物
101 分類データセット
103 クラス
109 人工ニューラルネットワーク
111 層
113 ニューロン
115 項目
117 点群
200 製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6