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特許7614256情報共有システム、ウェアラブル装置、情報共有方法、及び情報共有プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報共有システム、ウェアラブル装置、情報共有方法、及び情報共有プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20250107BHJP
   H04N 21/431 20110101ALI20250107BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250107BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20250107BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20250107BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20250107BHJP
【FI】
H04N21/258
H04N21/431
H04N7/18 U
G06F3/01 510
G06F3/0346 421
G06F3/038 310A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023104127
(22)【出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 明良
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0155245(US,A1)
【文献】特開2012-216135(JP,A)
【文献】特開2005-174021(JP,A)
【文献】特開2017-069687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0366029(US,A1)
【文献】米国特許第11295525(US,B1)
【文献】国際公開第2017/187764(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0080256(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0267826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 7/00 - 7/56
G06F 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着するウェアラブル装置と、当該ユーザとは別のユーザが操作する情報処理装置を有する情報共有システムであって、
前記ウェアラブル装置は、
少なくとも前記ユーザの位置および視線方向を特定するための複数のセンサと、
前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した前記動画の動画データを、前記動画の各時点において前記センサで取得した前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得するデータ取得手段と、
少なくとも前記動画データを送信する送信手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記動画データを取得する情報取得手段と、
過去の前記動画データにおける特定の時点における前記ユーザに対する指示を前記別のユーザから受け付け前記動画データに対して設定するための入力手段と、
前記特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含む指示情報を送信する送信手段と、
を備え、
前記ウェアラブル装置は、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記位置へ前記ユーザを案内する情報と、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記視線方向を指示する情報と、を表示する表示手段を備えること、
を特徴とする情報共有システム。
【請求項2】
前記ウェアラブル装置は、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記位置において前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記視線方向が表示された場合に、前記ユーザに対する指示を表示する請求項1に記載の情報共有システム。
【請求項3】
前記ウェアラブル装置は、加速度センサと、ジャイロセンサと、を備える請求項1に記載の情報共有システム。
【請求項4】
前記ウェアラブル装置は、ARグラスである請求項1に記載の情報共有システム。
【請求項5】
前記ウェアラブル装置における前記ユーザに対する指示を表示させる画面奥行方向の距離を設定する奥行距離設定手段を備える請求項1に記載の情報共有システム。
【請求項6】
少なくともユーザの位置および視線方向を特定するための複数のセンサと、
前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した前記動画の動画データを、前記動画の各時点において前記センサで取得した前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得するデータ取得手段と、
少なくとも前記動画データを送信する送信手段と、
を備え、
前記動画の前記動画データにおける特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含み過去の前記動画データに対して設定された指示情報を受信した場合に、
前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記位置へ前記ユーザを案内する情報と、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記視線方向を指示する情報と、を表示する表示手段を備えるウェアラブル装置。
【請求項7】
少なくともユーザの位置および視線方向を特定する工程と、
前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影する工程と、
前記動画の動画データを、前記動画の各時点において、前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得する工程と、
少なくとも前記動画データを送信する工程と、
前記動画データを取得する工程と、
過去の前記動画データにおける特定の時点における前記ユーザに対する指示を別のユーザから受け付け前記動画データに対して設定する工程と、
前記特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含む指示情報を送信する工程と、をコンピュータが実行する情報共有方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1に記載の情報共有システムとして機能させるための情報共有プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報共有システム、ウェアラブル装置、情報共有方法、及び情報共有プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置、特に現実のユーザの視界に重ねて画像や映像などのデジタル表示がレンズ上に表示されるARグラス(Augmented Reality、拡張現実)が知られている。ARグラスにおけるデジタル表示は、ARグラスと画面共有を行うPC(Personal Computer、パーソナルコンピュータ)から出される指示が表示される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような従来の方式では、PCから出される指示は、ARグラスに表示される2次元の表示でしかないという不都合があった。
このため、ARグラスを装着するユーザにとってはその指示が認識しづらいという問題があった。
【0004】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、指示が3次元で表現される情報共有システム、表示装置、情報共有方法、及び情報共有プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示の情報共有システム、ウェアラブル装置、情報共有方法、及び情報共有プログラムは以下の手段を採用する。
本開示の一態様は、ユーザが装着するウェアラブル装置と、当該ユーザとは別のユーザが操作する情報処理装置を有する情報共有システムであって、前記ウェアラブル装置は、少なくとも前記ユーザの位置および視線方向を特定するための複数のセンサと、前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した前記動画の動画データを、前記動画の各時点において前記センサで取得した前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得するデータ取得手段と、少なくとも前記動画データを送信する送信手段と、を備え、前記情報処理装置は、前記動画データを取得する情報取得手段と、過去の前記動画データにおける特定の時点における前記ユーザに対する指示を前記別のユーザから受け付け前記動画データに対して設定するための入力手段と、前記特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含む指示情報を送信する送信手段と、を備え、前記ウェアラブル装置は、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記位置へ前記ユーザを案内する情報と、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記視線方向を指示する情報と、を表示する表示手段を備えること、を特徴とする情報共有システムである。
【0006】
本開示の一態様は、少なくともユーザの位置および視線方向を特定するための複数のセンサと、前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した前記動画の動画データを、前記動画の各時点において前記センサで取得した前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得するデータ取得手段と、少なくとも前記動画データを送信する送信手段と、を備え、前記動画の前記動画データにおける特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含み過去の前記動画データに対して設定された指示情報を受信した場合に、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記位置へ前記ユーザを案内する情報と、前記指示情報に基づいて特定される前記ユーザの前記視線方向を指示する情報と、を表示する表示手段を備えるウェアラブル装置である。
【0007】
本開示の一態様は、少なくともユーザの位置および視線方向を特定する工程と、前記ユーザの移動と前記視線方向の変化に伴って動画を撮影する工程と、前記動画の動画データを、前記動画の各時点において、前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得する工程と、少なくとも前記動画データを送信する工程と、前記動画データを取得する工程と、過去の前記動画データにおける特定の時点における前記ユーザに対する指示を別のユーザから受け付け前記動画データに対して設定する工程と、前記特定の時点を特定する情報、または前記特定の時点に対応する前記ユーザの前記位置および前記視線方向を特定する情報のうちの少なくともいずれか一方と、前記ユーザに対する指示とを含む指示情報を送信する工程と、をコンピュータが実行する情報共有方法である。
【0008】
本開示の一態様は、コンピュータを上記情報共有システムとして機能させるための情報共有プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ウェアラブル装置を所有するユーザに対し、指示が設定された位置へユーザを案内する情報、および指示が設定された位置での視線方向の指示を表示することで、ユーザは3次元の情報を得て視線方向まで特定することができ、視覚的にわかりやすく情報共有を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の表示を示す図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態における各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態における情報共有システムが有する機能の一例を示す図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態におけるユーザの移動軌跡を示す図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態におけるユーザの移動軌跡を示す図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態における情報共有システムの制御フローを示す図である。
図7】本開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の表示を示す図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の奥行方向の表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る情報共有システム、ウェアラブル装置、情報共有方法、及び情報共有プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の表示を示した図である。
本開示に係る情報共有システム1は、ARグラス(Augmented Reality、拡張現実)(ウェアラブル装置)30、情報処理装置(PC)40及びサーバ50を備える。ARグラス30及び情報処理装置40は、それぞれサーバ50に接続される。ARグラス30は、複数のセンサ及びカメラを備えており、カメラで撮影した動画は、動画データ12としてサーバ50を介して情報処理装置40に共有される。本実施形態では、ウェアラブル装置30はARグラス30であるとしたが、動画を表示可能なウェアラブル機器であればその種類は問わない。
【0013】
ARグラス30は例えば眼鏡形状であり、透明なレンズに画像や映像を表示可能である。レンズが透明であることから、ユーザは外界の景色を認識可能である。レンズに表示される画像や映像は、外界の景色に重ねて表示され、ユーザの視界とレンズ上のデジタル表示が一体化される。
【0014】
図1に示されるように、情報処理装置40において、アプリケーション11が用いられ、ARグラス30のカメラで撮影された動画データ12が表示される。アプリケーション11の動画データ12の下部にはシークバー(タイムバー)13が表示され、スライダー14をスライドさせることにより、任意の時間における動画データ12がアプリケーション11に表示される。
【0015】
図2は、本開示の幾つかの実施形態における各装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、ARグラス30、情報処理装置40、サーバ50は、それぞれコンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0016】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)によりARグラス30、情報処理装置40、サーバ50全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0017】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0019】
また、ARグラス30、情報処理装置40、サーバ50は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0020】
図3は、本開示の幾つかの実施形態における情報共有システムが有する機能の一例を示した図である。
図3に示すように、情報共有システム1は、ARグラス30と、情報処理装置40と、サーバ50と、を備えている。ARグラス30は、センサ部(センサ)31と、カメラ部(カメラ)32と、動画データ送信部(送信手段)33と、データ取得部(データ取得手段)34と、表示部(表示手段)35と、を備えている。情報処理装置40は、指示設定部(入力手段)41と、送信部42と、を備えている。サーバ50は、動画データ取得部(情報取得手段)51と、送受信部(送信手段)52と、を備えている。
【0021】
ARグラス30、情報処理装置40、サーバ50が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200(図2参照)などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100(図2参照)が主記憶装置1300(図2参照)に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0022】
上述したように、情報共有システム1は、ARグラス30、情報処理装置40及びサーバ50を備える。
ARグラス30は、ユーザが装着し、ユーザの移動と視線方向の変化に伴ってユーザの位置および視線方向を特定する情報であるセンサ情報および動画データ12を取得しサーバ50に送信する。また、サーバ50から指示情報を受け取ると、ユーザの視界に重ねて画像や映像などのデジタル表示がレンズ上に表示される。
サーバ50は、ARグラス30が取得した動画データ12を取得し、動画データ12を情報処理装置40に共有する。情報処理装置40から動画データ12における特定の時点におけるユーザに対する指示を受け取ると、特定の時点を特定する情報、または特定の時点に対応するユーザの位置および視線方向を特定する情報のうち少なくともいずれか一方と、ユーザに対する指示とを含む指示情報をARグラス30に送信する。
情報処理装置40は、ARグラス30を装着するユーザとは別のユーザであるオペレータが操作し、共有された動画データ12に対して、ARグラス30を装着するユーザへの指示を受け付け、設定する。指示は、動画データ上に設定される。設定された指示はサーバ50に送信される。
【0023】
図3に示されるARグラス30のセンサ部31は、ARグラス30の移動と視線方向の変化に伴ってユーザの位置および視線方向を特定する情報であるセンサ情報を取得する。ARグラス30には、例えば加速度センサ、ジャイロセンサなどが備えられており、センサ部31は、センサ情報として加速度情報、ジャイロ情報などを取得する。センサ部31は、センサ情報としてGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)情報を取得するとしてもよい。GPS情報により位置情報を得ることができるが、屋内の場合は取得できない場合があり、また加速度情報によれば高さに関する情報も得られるため、GPS情報に代えて加速度情報を用いることが好ましい。
【0024】
カメラ部32は、ARグラス30の移動と視線方向の変化に伴って動画を撮影し、取得する。ARグラス30であることから、カメラ部32の撮影方向とARグラス30を装着するユーザの視線方向とはほぼ同じ方向を示し、カメラ部32が撮影する動画は、ARグラス30を装着するユーザの視界とほぼ同じであるといえる。
【0025】
動画データ送信部33は、少なくともカメラ部32が撮影した動画の動画データ12を、後述するサーバ50の動画データ取得部51へ送信する。動画データ送信部33は、動画データ12に加えて、カメラ部32が撮影した動画の各時点においてセンサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報であるセンサ情報を、動画データ取得部51に送信するとしてもよい。
【0026】
データ取得部34は、カメラ部32が撮影した動画の動画データ12を、動画の各時点においてセンサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得する。具体的にデータ取得部34は、カメラ部32が撮影した動画の動画データ12の各時点における時刻である撮影時刻と、当該時刻にセンサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報とを関連付け、記録する。センサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報であるセンサ情報として、例えば加速度センサが取得した加速度情報、ジャイロセンサが取得したジャイロ情報、GPS情報などが挙げられる。
データ取得部34は、センサ部31が取得した情報に基づき、動画データ12が撮影された位置、及び、方向を逐次特定し、センサ部31が情報を取得した時間、すなわちカメラ部32の撮影時刻と関連付けてデータ保存するとしてもよい。動画データ12が撮影された位置は、加速度センサが取得した加速度情報に基づき特定される。動画データ12が撮影された時点のユーザの視線方向は、ジャイロセンサが取得したジャイロ情報に基づき特定される。センサ部31が取得するセンサ情報はユーザの位置情報および視線方向の情報を含むことから、データ取得部34は、センサ情報によりARグラス30の移動の軌跡を得ることができる。
【0027】
表示部35は、後述するサーバ50から受信したデータをARグラス30に表示(出力)する。ARグラス30は、前述したように眼鏡形状であり、ユーザの視界に重ねて映像や画像などのデジタル表示が表示される。ARグラス30を装着するユーザが、指示情報の表示を承諾すると、表示部35は、指示情報に対応する図1のアプリケーション11のスライダー14が指定する時間(特定の時点)に対応するユーザの位置をデータ取得部34から取得し拡張現実空間に表示させる。また表示部35は、指示情報に基づいて特定されるユーザの位置へユーザを案内する情報を表示する。ユーザを案内する情報の例としては、ルート(軌跡)を示す線、進行方向を示す矢印などが挙げられる。
【0028】
ARグラス30を装着するユーザが指示情報に基づいて特定されるユーザの位置への移動を行い、指示情報に基づいて特定されるユーザの位置またはその近傍に到達すると、表示部35は、ユーザの視線方向の指示を表示する。視線方向の指示の例としては、足跡(足形)や、方向を示す矢印などが挙げられる。
【0029】
図4は、本開示の幾つかの実施形態におけるユーザの移動軌跡を示す図である。
図4に示されるように、ARグラス30を装着したユーザは、拡張現実空間のXY平面上で点Pを通る実線上を移動したとする。足跡マークは、ユーザの進行方向を向いている。点Pは、情報処理装置40を操作するオペレータが指示を設定した特定の時点に対応するユーザの位置であるとする。
【0030】
図5は、本開示の幾つかの実施形態におけるユーザの移動軌跡を示す図である。
ARグラス30を装着するユーザが、指示情報の表示を承諾すると、表示部35は、図5に示されるように指示情報に基づいて特定されるユーザの位置(点P)を拡張現実空間に表示させる。また、ユーザが移動し点Pまたはその近傍に到達すると、表示部35は、ユーザの視線方向の指示を示す足跡マークを表示させる。
【0031】
図3の動画データ取得部51は、ARグラス30の動画データ送信部33から動画データ12を取得する。
【0032】
送受信部52は、後述する情報処理装置40の送信部42から指示および特定の時点の時間情報を受信すると、指示情報としてARグラス30の表示部35へ送信する。
【0033】
情報処理装置40の指示設定部41は、サーバ50の動画データ取得部51を介して共有されたARグラス30の動画データ12を取得する。オペレータは、図1のアプリケーション11を用いて動画データ12を表示し、ユーザに対する指示を設定する場面をスライダー14のスライドにより指定および選択する。選択された動画データ12の場面(画像)において、オペレータはアプリケーション11上で情報の書き込みを行う。例えば、オペレータは、図1のアプリケーション11の表示画像上において、構造物Mにマーキングを行い、「文字を確認する」との指示内容を入力する。このように情報処理装置40では、過去の動画データ12、すなわち録画された動画データ12に対して指示内容の設定を行う。
【0034】
送信部42は、指示設定部41により設定されたユーザに対する指示を、特定の時点を特定する情報、または特定の時点に対応するユーザの位置および視線方向を特定する情報、例えば動画データ12の指示が設定された特定の時点の時間情報とともにサーバ50の送受信部52に送信する。
【0035】
図6は、本開示の幾つかの実施形態における情報共有システムの制御フローを示す図である。
図6に示すように、情報共有システム1の制御は、ウェアラブル装置(ARグラス)30、サーバ50、情報処理装置40が共有を開始することにより開始される(S101)。
【0036】
次にステップS102において、ARグラス30は、ARグラス30を装着するユーザの移動と視線方向の変化に伴ってカメラ部32が撮影する動画の動画データ12を動画データ送信部33を介してサーバ50へ送信開始する。またカメラ部32が撮影した動画の動画データは、動画の各時点においてセンサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報と関連付けられた状態でデータ取得部34が取得する。
【0037】
ステップS103において、ARグラス30から動画データ12を受信したサーバ50は、情報処理装置40との動画データ12の共有を開始する。
【0038】
ステップS104において、サーバ50から動画データ12を共有された情報処理装置40の指示設定部41は、動画データ12を取得する。情報処理装置40は、オペレータの操作により動画データ12の再生を行う。動画データ12の再生には、アプリケーション11を用いるとしてもよい。
【0039】
ステップS105において、ARグラス30への指示内容が発生すると、ステップS106に遷移し、オペレータはアプリケーション11上で動画データ12に対し情報の書き込みを行い、ユーザに対する指示を設定する。
【0040】
ステップS107において、送信部42は、指示設定部41により設定されたユーザに対する指示を、動画データ12の指示が設定された特定の時点の時間情報とともにサーバ50の送受信部52に送信する。
【0041】
ステップS108において、サーバ50の送受信部52は、情報処理装置40の送信部42から指示および時間情報を受信すると、指示情報としてARグラス30の表示部35へ送信する。
【0042】
ステップS109において、指示情報の通知が発生し、ARグラス30の表示部35は、サーバ50の送受信部52から指示情報を受信する。表示部35は、ARグラス30を装着するユーザに対し、指示情報の表示を承諾するか否か、通知するとしてもよい。
【0043】
ステップS110において、表示部35は、指示情報に基づいて特定されるユーザの位置へユーザを案内する情報、例えば指示が設定された位置への軌跡指示をARグラス30に表示する。また、表示部35は、指示が設定された位置に目標となるマークなどの設定を行う。表示部35は、指示が設定された特定の時点の時間情報に対応するユーザの位置をデータ取得部34から取得し、拡張現実空間に表示させる。ステップS109において、ARグラス30を装着するユーザに対し指示情報の表示を承諾するか否か通知した場合は、ユーザが承諾した場合にステップS110を実行する。
【0044】
指示情報に基づいて特定されるユーザの位置へのユーザを案内する情報に沿ってARグラス30を装着したユーザが、指示が設定された位置またはその近傍に到達すると、表示部35は、ユーザの視線方向の指示をARグラス30に表示する(S111)。
【0045】
ステップS112において、ARグラス30を装着したユーザが表示された視線方向の指示に従い該当の方向が視界に入ると、指示がARグラス30に表示される。指示の表示についてはユーザに対し通知可能な方式であればいずれの方式であってもよく、例えばARグラス30への文字、画像や映像の表示、音声などが挙げられる。
【0046】
情報処理装置40の指示設定部41は、オペレータによって動画データ12における奥行方向の距離を選択できるとしてもよい。
図7は、本開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の表示を示す図である。
図7に示されるように、動画データ12内の構造物N、M及びFの奥行方向の距離はそれぞれ異なる。構造物Mの奥行方向の距離を基準とすると、構造物Nの奥行方向の距離は短く、また構造物Fの奥行方向の距離は長い。
【0047】
図8は、開示の幾つかの実施形態における情報処理装置の奥行方向の表示を示す図である。
図8において、図の左から右に向いた矢印方向を動画データ12の奥行方向とする、画角NV、MV及びFVは、それぞれ図7における構造物N、M及びFの距離における画角を示す。
【0048】
図8に示されるように、奥行方向の距離が短い画角NVが選択されたとすると、画角MVよりも画角底辺の高さが低く、底辺と地表との距離が近くなる。また、画角NVは画角MVよりも画角の相対領域が広い。
【0049】
一方、奥行方向の距離が長い画角FVが選択されたとすると、画角MVよりも画角底辺の高さが高く、底辺と地表との距離が遠くなる。また、画角FVは画角MVよりも画角の相対領域が狭い。
【0050】
奥行方向の距離が短い画角NVが選択されると、ARグラス30を装着するユーザの近傍の対象物を大きく表示することができる。また、情報処理装置40を操作するオペレータは、ARグラス30を装着するユーザに対し細かい指示を出すことができる。
【0051】
一方、奥行方向の距離が長い画角FVが選択されると、位置や視線のずれに対する許容度を高め、ずれを抑制することができる。
【0052】
このように、オペレータが奥行方向の距離を選択できることで指示内容に応じた距離とし、ARグラス30を装着するユーザに対して適切な指示を出すことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る情報共有システム1、ウェアラブル装置30、情報共有方法、及び情報共有プログラムによれば、以下のような効果を奏する。
情報共有システム1は、ウェアラブル装置30を所有するユーザに対し、指示が設定された位置へユーザを案内する情報表示、および指示が設定された位置での視線方向の指示を表示することで、ユーザは3次元の情報を得て視線方向まで特定することができ、視覚的にわかりやすく情報共有を行うことができる。
【0054】
また本実施形態に係る情報共有システム1によれば、ウェアラブル装置30を所有するユーザが、指示が設定された方向を向いた場合に指示が表示されるため、指示を3次元で表現可能であり、視覚的にわかりやすく情報共有を行うことができる。
【0055】
また本実施形態に係る情報共有システム1によれば、加速度センサの加速度センサ情報によりウェアラブル装置30の高さを含む3次元位置を特定でき、ジャイロセンサのジャイロセンサ情報によりウェアラブル装置30の視線方向を特定することができる。
【0056】
また本実施形態に係る情報共有システム1によれば、ウェアラブル装置30は、拡張現実を表示するARグラス30であることから、簡便に共有する情報を表示することができる。またARグラス30を装着するユーザは直感的に情報を把握することができる。
【0057】
また本実施形態に係る情報共有システム1によれば、オペレータは、ウェアラブル装置30に表示する指示について、画面奥行方向の距離を設定することから、指示に合わせて適切な位置に指示を表示させることができる。例えば、画面奥行方向の距離を短く設定した場合は、近くの対象物を大きく表示し、細かい指示を出すことができる。
【0058】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0059】
例えば、本開示の実施形態では、サーバ50を用いるとしたが、サーバ50の機能を情報処理装置40に持たせるとしてもよい。
【0060】
また、本開示の実施形態では、ウェアラブル装置30はサーバ50へ動画データ12を送信するとしたが、これに加えてセンサ部31が取得するユーザの位置および視線方向を特定する情報をサーバ50へ送信するとしてもよい。この場合、サーバ50において、カメラ部32が撮影した動画の動画データ12と、動画の各時点においてセンサ部31が取得したユーザの位置および視線方向を特定する情報とが関連付けた状態で記録される。またサーバ50は、情報処理装置40から指示および特定の時点を特定する情報である時間情報を受信すると、記録された情報から時間情報に対応する位置および視線方向を取得し、指示と合わせて指示情報としてウェアラブル装置30の表示部35へ送信する。このように、データ取得部34がサーバ50に備えられているとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 情報共有システム
30 ARグラス(ウェアラブル装置)
31 センサ部(センサ)
32 カメラ部(カメラ)
33 動画データ送信部(送信手段)
34 データ取得部(データ取得手段)
35 表示部(表示手段)
40 情報処理装置
41 指示設定部(入力手段)
42 送信部
50 サーバ
51 動画データ取得部(情報取得手段)
52 送受信部(送信手段)
1100 CPU
1200 ROM
1300 RAM
1400 HDD
1500 通信部
1800 バス
【要約】
【課題】指示が3次元で表現される情報共有システム、表示装置、情報共有方法、及び情報共有プログラムを提供する。
【解決手段】ウェアラブル装置30と情報処理装置40を有する情報共有システム1であって、ウェアラブル装置30は、ユーザの位置及び視線方向を特定するためのセンサ部31と、動画を撮影するカメラ部32と、動画の動画データを位置及び視線方向を特定する情報と関連付けられた状態で取得するデータ取得部34と、動画データを送信する動画データ送信部33と、を備え、情報処理装置40は、動画データ取得部51と、動画データに対して指示内容を設定する指示設定部41と、指示内容と指示内容が設定された位置及び方向の情報とを含む指示情報をウェアラブル装置30に送信する送受信部52と、を備え、ウェアラブル装置30は、指示内容が設定された位置への軌跡指示を表示し、設定された位置に到達すると視線の方向指示を表示する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8