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特許7614333抗細菌活性物質を含有する溶解性固体物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】抗細菌活性物質を含有する溶解性固体物品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20250107BHJP
   A61K 8/368 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20250107BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20250107BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20250107BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20250107BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20250107BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20250107BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20250107BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20250107BHJP
   C11D 10/02 20060101ALN20250107BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/368
A61K8/365
A61Q19/10
A61Q17/00
A61K8/44
A61K8/02
C11D3/37
C11D3/33
C11D1/00
C11D17/06
C11D10/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023511773
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021071386
(87)【国際公開番号】W WO2022056524
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】63/076,393
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イアン-リン リム
(72)【発明者】
【氏名】カイ ウェイ ケルビン リー
(72)【発明者】
【氏名】シカール グプタ
(72)【発明者】
【氏名】古林 稔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン グレン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チンシン ウー
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/147211(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0247960(US,A1)
【文献】特開2000-129298(JP,A)
【文献】特表2012-511046(JP,A)
【文献】特表2016-539178(JP,A)
【文献】特開2017-095423(JP,A)
【文献】特開2003-286153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解性可撓性固体シート物品であって、前記溶解性可撓性固体シート物品
a.10重量%~50重量%の水溶性ポリマーと、
b.20重量%~80重量%の界面活性剤と、
.酸形態での平均分子量が250~450であり、かつpH4で-12~-7の加重logP値を有する、0.5重量%~2重量%のジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩と、
.酸形態での平均分子量が100~400であり、かつpH4で-2~4の加重logP値を有する、0.1重量%~6重量%の芳香族カルボン酸及びその塩であって、前記芳香族カルボン酸又はその塩は、0.2~2重量%の、サリチル酸及びその塩から選択される少なくとも1つと、0.3~3重量%の、安息香酸及びその塩から選択される少なくとも1つの混合物であるものと、
e.1重量%~12重量%の非芳香族有機アルファヒドロキシ酸及びその塩と、を含み、
1部の前記溶解性可撓性固体シート物品に対して30部の水で溶解したとき、3~4.68のpHを有する、溶解性可撓性固体シート物品。
【請求項2】
前記溶解性可撓性固体シート物品が1部の前記溶解性可撓性固体シート物品に対して30部の水で溶解したとき、3.5~4.68のpHを有する、請求項1に記載の溶解性可撓性固体シート物品。
【請求項3】
前記溶解性可撓性固体シート物品が1部の前記溶解性可撓性固体シート物品に対して30部の水で溶解したとき、3.8~4.68のpHを有する、請求項1又は2に記載の溶解性可撓性固体シート物品。
【請求項4】
均分子量が90~500であり、及びpH4で-1~12の加重logP値を有する、0.1重量%~2.0重量%のジオールを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶解性可撓性固体シート物品。
【請求項5】
前記溶解性可撓性固体シート物品が2つ以上の可撓性の溶解性多孔質シートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の溶解性可撓性固体シート物品。
【請求項6】
前記溶解性可撓性固体シート物品が0.050g/cm3~0.380g/cm3の範囲の密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶解性可撓性固体シート物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性固体物品であって、物品の、約10重量%~約50重量%の水溶性ポリマーと、約20重量%~約80重量%の界面活性剤と、約250~約450ダルトンの酸形態での平均分子量を有し、かつpH4で約-12~約-7の加重logP値を有する、約0.5重量%~約2重量%のジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩と、約100~約400ダルトンの酸形態での平均分子量を有し、かつpH4で約-2~約4の加重logP値を有する、約0.1重量%~約6重量%の芳香族カルボン酸及びその塩と、約0.1重量%~約18重量%の非芳香族有機アルファヒドロキシ酸及びその塩と、を含み、1部の溶解性固体物品に対して30部の水で溶解したとき、約3~約5.1のpHを有する、溶解性固体物品に関する。本発明は、固体物品中の抗細菌活性成分の濃度を制御しながら、物品の溶解後であっても抗細菌利益を提供する溶解性固体物品を提供する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマー担体又はマトリックス中に界面活性剤(複数可)及び/又は他の活性成分を含む可撓性及び溶解性固体物品は周知である。このような物品は、水中での溶解時に界面活性剤及び/又は他の活性成分を送達するのに特に有用である。同じ製品カテゴリ内の従来の顆粒又は液体形態と比較して、このような物品は、より良好な構造的一体性を有し、より濃縮され、保管、輸送/運送、運搬、及び取り扱いがより容易である。同じ製品カテゴリ内の固体錠剤形態と比較して、このような物品は、より速い溶解及び/又は消費者にとってより審美的な魅力を提供することができる。
【0003】
このような溶解性固体物品は、一般に、例えば、1部の物品水(article water)に対して10~30部の水で物品を溶解することによって使用される。物品中に含有される成分の濃度は、溶解中及び溶解後に希釈される。物品がパーソナルケア製品であるとき、適用された基材、例えば、皮膚及び/又は毛髪に抗細菌利益を提供するための溶解性固体物品に対する必要性が存在する。しかしながら、固体物品の溶解後に抗細菌利益を提供するのに十分なレベルで抗細菌活性成分を含有するとき、このような活性成分の濃度は、溶解前の固体物品において高くなり過ぎる。いくつかの国の規制では、溶解前の物品中のこのような抗細菌活性成分の濃度の上限が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、固体物品中の抗細菌活性成分の濃度を制御しながら、物品の溶解後であっても抗細菌利益を提供する溶解性固体物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶解性固体物品であって、物品の、
a.約10重量%~約50重量%の水溶性ポリマーと、
b.約20重量%~約80重量%の界面活性剤と、
c.約250~約450ダルトンの酸形態での平均分子量を有し、かつpH4で約-12~約-7の加重logP値を有する、約0.5重量%~約2重量%のジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩と、
d.約100~約400ダルトンの酸形態での平均分子量を有し、かつpH4で約-2~約4の加重logP値を有する、約0.1重量%~約6重量%の芳香族カルボン酸及びその塩と、
e.約0.1重量%~約18重量%の非芳香族有機アルファヒドロキシ酸及びその塩と、を含み、
1部の溶解性固体物品に対して30部の水で溶解したとき、約3~約5.1のpHを有する、溶解性固体物品を対象とする。
【0006】
一実施形態では、上記特徴の溶解性固体物品は、1部の溶解性固体物品に対して30部の水で溶解したとき、約3.5~約4.9のpHを有する。
【0007】
一実施形態では、上記特徴のうちのいずれかの溶解性固体物品は、1部の溶解性固体物品に対して30部の水で溶解したとき、約3.8~約4.8のpHを有する。
【0008】
一実施形態では、上記特徴のうちのいずれかの溶解性固体物品は、約90~約500ダルトンの平均分子量、及びpH4で約-1~約12の加重logP値を有する、約0.1重量%~約2.0重量%のジオールを更に含む。
【0009】
一実施形態では、上記特徴のうちのいずれかの溶解性固体物品は、2つ以上の可撓性の溶解性多孔質シートを含む。
【0010】
一実施形態では、上記特徴のうちのいずれかの溶解性固体物品は、約0.050g/cm~約0.380g/cmの範囲の密度を有する。
【0011】
本発明は、固体物品中の抗細菌活性成分の濃度を制御しながら、物品の溶解後であっても抗細菌利益を提供する溶解性固体物品を提供する。特定の抗細菌活性成分の組み合わせ、及び特定のpHでのこのような組み合わせの使用によって、固体物品中の各抗細菌活性成分の濃度を制御しながら、物品の溶解後であっても抗細菌利益を提供することが可能になる。
【0012】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0014】
本明細書で、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響しない他のステップ及び他の成分も加えられる場合があることを意味する。この用語には、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語が包含される。
【0015】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性物質のレベルに基づいており、したがって市販材料に含まれ得る担体又は副生成物を含まない。
【0016】
本明細書で、「混合物」は、材料の単純な組み合わせと、それらの組み合わせから得られる場合がある任意の化合物と、を含むことを意味する。
【0017】
用語「分子量」又は「M.Wt.」は、本明細書で使用するとき、別途記載のない限り、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定することができる。
【0018】
「QS」は、100%とするために十分な量を意味する。
【0019】
ジアミノカルボン酸キレート剤
本発明の溶解性固体物品は、ジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩を含む。ジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩は、物品の約0.5重量%~約2重量%、好ましくは約0.75重量%~約1.5重量%のレベルで物品中に含まれる。
【0020】
本明細書で有用なジアミノカルボン酸キレート剤及びその塩は、約250~約450ダルトン、好ましくは約250~350ダルトンの平均分子量(酸形態で)を有し、かつpH4で約-12~約-7、約-10~約-8の加重logP値を有するものである。
【0021】
このようなジアミノカルボン酸キレート剤としては、例えば、以下の表のもの及びそれらの塩が挙げられる。
【0022】
【表1】
【0023】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩が好ましい。
【0024】
【表2】
【0025】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩がより好ましい。
【0026】
【表3】
【0027】
芳香族カルボン酸
本発明の溶解性固体物品は、芳香族カルボン酸及びその塩を含む。芳香族カルボン酸及びその塩は、物品の約0.1重量%~約6重量%、好ましくは約0.2重量%~約5重量%、より好ましくは約0.3重量%~約4重量%のレベルで物品中に含まれる。
【0028】
本明細書において有用な芳香族カルボン酸及びその塩は、約100~約400ダルトン、好ましくは約105~約200ダルトン、より好ましくは約110~約150ダルトンの平均分子量(酸形態で)を有し、かつpH4で約-2~約4、約-0.5~約2、より好ましくは約0~約1.5の加重logP値を有するものである。
【0029】
このような芳香族カルボン酸としては、例えば、以下の表のもの及びそれらの塩が挙げられる。
【0030】
【表4】
【0031】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩が好ましい。
【0032】
【表5】
【0033】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩がより好ましい。
【0034】
【表6】
【0035】
上記で示されるように、芳香族カルボン酸及びその塩は、好ましくは、サリチル酸及びその塩から選択される少なくとも1つ、安息香酸及びその塩から選択される少なくとも1つ、並びにそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、それらの混合物から選択される。サリチル酸及びその塩は、物品の約0.1重量%~約2.5重量%、好ましくは約0.2重量%~約2重量%、より好ましくは約0.3重量%~約1.5重量%のレベルで物品中に含まれ得る。安息香酸及びその塩は、物品の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.2重量%~約3重量%、より好ましくは約0.3重量%~約2.5重量%のレベルで物品中に含まれ得る。
【0036】
非芳香族有機アルファヒドロキシ酸
本発明の溶解性固体物品は、非芳香族有機アルファヒドロキシ酸(有機AHA)及びその塩を含む。非芳香族有機AHA及びその塩は、物品の約0.1重量%~約18重量%、好ましくは約0.5重量%~約12重量%、より好ましくは約1重量%~約6重量%、なおより好ましくは1重量%~約4重量%、更により好ましくは約1重量%~約3重量%のレベルで物品中に含まれる。
【0037】
本明細書で有用な有機AHAとしては、例えば、以下の表のもの及びそれらの塩が挙げられる。
【0038】
【表7】
【0039】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩が好ましい。
【0040】
【表8】
【0041】
それらの中でも、以下の表のもの及びそれらの塩がより好ましい。
【0042】
【表9】
【0043】
非AHA、非芳香族酸
本発明の溶解性固体物品は、非AHA、非芳香族酸、及びそれらの塩を更に含み得る。非AHA、非芳香族酸、及びそれらの塩は、物品の約0.1重量%~約10重量%、好ましくは約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約3重量%のレベルで物品中に含まれ得る。
【0044】
本明細書で有用な非AHA、非芳香族酸としては、例えば、以下の表のもの及びそれらの塩が挙げられる。
【0045】
【表10】
【0046】
これらの中でも、有機酸及びその塩が好ましく、以下の表に示すもの及びそれらの塩がより好ましい。
【0047】
【表11】
【0048】
ジオール
本発明の溶解性固体物品は、ジオールを更に含み得る。ジオールは、物品の約0.1重量%~約2重量%、好ましくは約0.25重量%~約1.5重量%のレベルで物品中に含まれ得る。
【0049】
本明細書で有用なジオールは、約90~約500ダルトン、好ましくは約100~約250ダルトン、より好ましくは約110~約160ダルトンの平均分子量を有し、かつpH4で約-1~約12、約0~約7、より好ましくは約0.5~約4の加重logP値を有するものである。
【0050】
本明細書において有用なこのようなジオールとしては、例えば、以下の表のものが挙げられる。
【0051】
【表12】
【0052】
これらうち、以下の表のものが好ましい。
【0053】
【表13】
【0054】
これらの中でも、以下の表のものがより好ましい。
【0055】
【表14】
【0056】
水溶性ポリマー(「ポリマー構造剤」)
本発明は、構造剤として機能する水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーは、物品の約10重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約40重量%、より好ましくは約18重量%~約30重量%のレベルで物品中に含まれる。本明細書で使用するとき、「水溶性ポリマー」という用語は、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーの両方を包含するだけの十分な広範さがあり、25℃で測定して、少なくとも約0.1グラム/リットル(g/L)の水中での溶解度を有するポリマーとして定義される。いくつかの実施形態では、このポリマーは、25℃で測定して、約0.1グラム/リットル(g/L)~約500グラム/リットル(g/L)の水中での溶解度を有する。(これは、巨視的に等方性の又は透明な、有色又は無色の溶液の生成を示す)。これらの固体を作製するためのポリマーは、合成由来又は天然由来のものであってもよく、かつ化学反応によって改質されてもよい。これらは被膜形成性であってもよく、そうでなくてもよい。これらのポリマーは、生理学的に許容可能であるべきである。つまり、ポリマーは皮膚、粘膜、毛髪、及び頭皮に適合性であるべきである。
【0057】
「水溶性ポリマー」及び「ポリマー構造剤」という用語は、本明細書では互換的に使用される。更に、単数形の「ポリマー」という用語が述べられるときはいつでも、この用語は、1つのポリマー又は1つより多くのポリマーの混合物を含むのに十分に広範であることが理解されるべきである。例えば、ポリマーの混合物が使用される場合、本明細書で言及されるポリマー溶解度は、各ポリマーの個々の溶解度ではなく、ポリマーの混合物の溶解度を指すであろう。
【0058】
本発明の1つ以上の水溶性ポリマーは、それらの重量平均分子量が約40,000~約500,000、一実施形態では約50,000~約400,000、更に別の実施形態では約60,000~約300,000、及びなお別の実施形態では約70,000~約200,000であるように選択される。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固体内に存在するポリマーの総重量の重さによるそれぞれの相対的重量パーセントを乗じることによって計算する。
【0059】
以下に示されるように、多様な水溶性ポリマーを本発明において使用することができる。それらの中でも、ポリビニルアルコールが非常に好ましい。
【0060】
本発明の水溶性ポリマー(複数可)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、アクリル酸とメチルメタアクリレートとのコポリマー、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーと両性モノマーとのコポリマー、及びそれらの組み合わせを含む合成ポリマーが挙げることができるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の水溶性ポリマー(複数可)はまた、カラヤガム、トラガントガム、アラビアゴム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアガム、ガティガム、乳清タンパク質単離物、及び大豆タンパク質単離物などの例を含む植物起源のもの;グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物;カラギーナン、アルギン酸、及び寒天などの海藻抽出物;果物抽出物(ペクチン);キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランを含む微生物由来のもの;並びにカゼイン、ゼラチン、ケラチン、ケラチン加水分解物、スルホン酸ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びシェラックを含む動物起源のもの、を含む、天然起源のポリマーから選択されてもよい。
【0062】
改質された天然ポリマー(複数可)はまた、本発明において水溶性ポリマーとして有用であり得る。好適な改質された天然ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ニトロセルロース及び他のセルロースエーテル/エステルのようなセルロース誘導体、並びにヒドロキシプロピルのようなグアー誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の好適な水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチセルロース(carboxymethycelluloses)が挙げられる。
【0064】
本発明のより好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。好適なポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Dallas,TX)から商品名Celvolで入手可能なものが挙げられ、Celvol 523、Celvol 530、Celvol 540、Celvol 518、Celvol、513、Celvol 508、Celvol 504、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商品名Methocelで入手可能なものが挙げられ、Methocel E50、Methocel E15、Methocel E6、Methocel E5、Methocel E3、Methocel F50、Methocel K100、Methocel K3、Methocel A400、及び上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせを含むそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の最も好ましい水溶性ポリマーは、約40%~約100%、好ましくは約50%~約95%、より好ましくは約70%~約92%、最も好ましくは約80%~約90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールである。市販のポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Texas,USA)からの商品名CELVOLのもの、限定するものではないが、CELVOL 523、CELVOL 530、CELVOL 540、CELVOL 518、CELVOL 513、CELVOL 508、CELVOL 504、Kuraray Europe GmbH(Frankfurt,Germany)からの商品名Mowiol(登録商標)及びPOVAL(商標)のもの、並びにLubon Vinylon Co.(Nanjing,China)を含む様々な供給業者から市販されているPVA 1788(PVA BP17とも称される)、例えば、Liwei Chemical Co.Ltd.(China)から入手可能な86~90%の加水分解度、およそのMW(重量平均)=70,000~120,000ダルトンを有するBP-17、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。本発明の特に好ましい実施形態では、可撓性多孔質溶解性固体シート物品は、このような物品の総重量の約10重量%~約25重量%、より好ましくは約15重量%~約23重量%の、80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、及び約80%~約90%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含む。
【0066】
界面活性剤
本発明の溶解性固体物品は、界面活性剤を含む。界面活性剤は、物品の約20重量%~約80重量%、好ましくは約23重量%~約75重量%、より好ましくは約35重量%~約65重量%のレベルで物品中に含まれる。
【0067】
界面活性剤は、グループIの界面活性剤とグループIIの界面活性剤とのブレンドを含む。本発明の界面活性剤のブレンドは、グループIからの1つ以上の界面活性剤と、グループIIからの1つ以上の界面活性剤とを含む。グループIの界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が挙げられ、グループIIの界面活性剤としては、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の一実施形態では、グループIの界面活性剤のグループIIの界面活性剤に対する比は、約90:10~約55:45である。本発明の更に別の実施形態では、グループIの界面活性剤のグループIIの界面活性剤に対する比は、約85:15~約65:35である。
【0068】
グループIの界面活性剤
本発明のグループIの界面活性剤としては、1つ以上のアニオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書の溶解可能な物品において使用するのに好適なアニオン性界面活性剤構成成分としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジング組成物における使用について知られているものが挙げられる。組成物中のアニオン性界面活性剤構成成分の濃度は、所望の洗浄及び泡立ち性能を提供するのに十分であるべきであり、グループIの界面活性剤の乾燥固体の約6.5重量%~約71重量%の範囲である。
【0069】
組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤としては、サルフェートを含まない界面活性剤が挙げられる。このようなサルフェートを含まない界面活性剤は、グルタミン酸塩、グリシン酸塩、タウリン酸塩、アラニン酸塩、又はサルコシン酸塩などの、モノカルボン酸塩及びジカルボン酸塩などのアミノ酸から誘導された材料を含み得る。例としては、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ココイルアラニン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウリルメチルイセチオン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、又はオレオイルサルコシン酸ナトリウムが挙げられる。
【0070】
本組成物中での使用に好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートが挙げられる。これらの材料は、それぞれ式ROSO3M及びRO(C2H4O)xSO3Mを有し、式中、Rは、約8~約18個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは、1~10の値を有する整数であり、Mは、カチオン、例えば、アンモニウム、アルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン、一価金属、例えば、ナトリウム及びカリウム、及び多価金属カチオン、例えば、マグネシウム、及びカルシウムである。好ましくは、Rは、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートの両方において、約8~約18個の炭素原子、より好ましくは約10~約16個の炭素原子、更により好ましくは約11~約14個の炭素原子を有する。アルキルエーテルサルフェートは、典型的には、エチレンオキシド及び約8~約24個の炭素原子を有する一価アルコールの縮合生成物として作製される。アルコールは合成であることができ、又はアルコールは、脂肪、例えば、ココナツ油、パーム核油、タローから誘導することができる。合成アルコールとしては、Shell Chemical Co.からNEODOLという商標で市販されているグレード、すなわち、NEODOL 91(C9~11アルコール)、NEODOL 23(C12~13アルコール)、NEODOL 25(C12~15アルコール)、NEODOL 45(C14~15アルコール)、及びNEODOL 135(C11~C13~C15アルコール)を挙げることができる。ココナツ油又はパーム核油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。そのようなアルコールは、約0~約10、一実施形態では約2~約5、別の実施形態では約3のモル割合のエチレンオキシドと反応され、例えば、アルコール1モル当たり平均3モルのエチレンオキシドを有する得られた分子種の混合物は、サルフェート化され、中和される。
【0071】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、式[R1-SO3-M]に一致する有機硫酸反応生成物の水溶性塩であり、式中、R1は、約8~約24個、好ましくは約10~約18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルであり、Mは、前述のカチオンである。
【0072】
更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物であり、例えば、脂肪酸は、ココナツ油又はパーム核油から誘導され、例えば、脂肪酸は、ココナツ油又はパーム核油から誘導されるメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム塩又はカリウム塩である。他の同様のアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されている。
【0073】
組成物において使用するのに好適な他のアニオン性界面活性剤は、スクシネートであり、その例としては、N-オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、二ナトリウムラウリルスルホスクシネート、ジアンモニウムラウリルスルホスクシネート、四ナトリウムN-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0074】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約10~約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。真の(true)アルケンスルホネート及び一定のヒドロキシアルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートは、反応条件、反応物の割合、オレフィン原料中の出発オレフィン及び不純物の性質、及びスルホン化プロセス中の副反応に応じて、アルケンジスルホネートなどの少量の他の材料を含有することができる。そのようなアルファ-オレフィンスルホネート混合物の非限定的な例は、米国特許第3,332,880号に記載されている。
【0075】
本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤の別のクラスは、ベータ-アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの界面活性剤は、次式
【0076】
【化1】
に一致するものであり、式中、R1は、約6~約20個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は、約1~約3個の炭素原子、好ましくは1個の炭素原子を有する低級アルキル基であり、Mは、前述したとおりの水溶性カチオンである。
【0077】
組成物での使用に好適な追加のアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス-1硫酸アンモニウム、ラウレス-2硫酸アンモニウム、ラウレス-3硫酸アンモニウム、トリエタノールアミンラウリルサルフェート、トリエタノールアミンラウレスサルフェート、トリエタノールアミンラウレス-1サルフェート、トリエタノールアミンラウレス-2サルフェート、トリエタノールアミンラウレス-3サルフェート、モノエタノールアミンラウリルサルフェート、モノエタノールアミンラウレスサルフェート、ジエタノールアミンラウリルサルフェート、ジエタノールアミンラウレスサルフェート、ラウリックモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、アンモニウムココイルサルフェート、アンモニウムラウロイルサルフェート、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、モノエタノールアミンココイルサルフェート、モノエタノールアミンラウリルサルフェート、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、デシル硫酸アンモニウム、デシル硫酸ナトリウム、ウンデシル硫酸アンモニウム、及びウンデシル硫酸アンモニウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0078】
本発明の一実施形態では、界面活性剤のうちの1つ以上は、アルキルサルフェートである。一実施形態では、1つ以上のアルキルサルフェートは約0.0~約1.9のエトキシル化の平均モル数を有し、別の実施形態では、1つ以上のアルキルサルフェートは約0.0~約1.5のエトキシル化の平均モル数を有し、更に別の実施形態では、1つ以上のアルキルサルフェートは約0.0~約1.0のエトキシル化の平均モル数を有する。一実施形態では、1つ以上のアルキルサルフェートは、アンモニウム対イオンを含む。アンモニウム対イオンを有するそのような界面活性剤の好適な例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス-1硫酸アンモニウム、ラウレス-2硫酸アンモニウム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
一実施形態では、1つ以上のグループIの界面活性剤は、以下の構造:
【0080】
【化2】
を有するアルキルサルフェートから選択され、式中、Rは、平均9.0~11.9個の炭素原子を含む置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル又は不飽和アルキル系からなる群から選択されるC結合一価置換基から選択され、Rは、2~3個の炭素原子を含むC結合二価の直鎖又は分岐鎖アルキル系からなる群から選択され、Mは、ナトリウム、アンモニウム、又はプロトン化トリエタノールアミンから選択される一価の対イオンであり、xは0.0~3.0である。一実施形態では、上記構造によるアルキルサルフェート界面活性剤のうちの1つ以上は、約0.0~約1.9のエトキシル化の平均モル数を含み、別の実施形態では、上記構造によるアルキルサルフェート界面活性剤は、約0.0~約1.5のエトキシル化の平均モル数を含み、更に別の実施形態では、上記構造によるアルキルサルフェート界面活性剤は、約0.0~約1.0のエトキシル化の平均モル数を含む。好適な例としては、デシル硫酸アンモニウム、デシル硫酸ナトリウム、ウンデシル硫酸アンモニウム、ウンデシル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンデシルサルフェート、又はトリエタノールアミンウンデシルサルフェートが挙げられる。一実施形態では、本発明のアニオン性界面活性剤は、ウンデシル硫酸アンモニウムを含む。
【0081】
グループIIの界面活性剤
本発明のグループIIの界面活性剤は、1つ以上の両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及び/又はこれらの組み合わせを含む。本明細書における組成物での使用に好適な両性界面活性剤又は双極性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングにおける使用で知られているものが挙げられる。そのような両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及び/又はこれらの組み合わせの濃度は、乾燥固形分の約1.0重量%~約52.5重量%の範囲である。好適な双極性界面活性剤又は両性界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、同第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0082】
本組成物で使用するのに好適な両性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く説明されている界面活性剤が挙げられ、その脂肪族ラジカルは、直鎖又は分岐鎖であることができ、脂肪族置換基のうちの1つは、約8~約18個の炭素原子を含み、1つは、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含む。そのような両性界面活性剤の好適な例としては、コカミノプロピオン酸ナトリウム、コカミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、コルナンホプロピオン酸ナトリウム(sodium cornamphopropionate)、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸ナトリウム、コルナンホプロピオン酸ナトリウム(sodium cornamphopropionate)、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、コカミノプロピオン酸アンモニウム、コカミノジプロピオン酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ココアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウラミノプロピオン酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ラウロアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウリミノジプロピオン酸アンモニウム、コカミノプロピオン酸トリエタノールアミン、コカミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホ酢酸トリエタノールアミン、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ココアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウラミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホジプロピオン酸、カプロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipriopionate)、ココアンホカルボキシエチルヒドロキシプロピルスルホン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ジカルボキシエチルココプロピレンジアミン二ナトリウム、ラウレス-5カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、オレオアンホジプロピオン酸二ナトリウム、PPG-2-イソデセチ(isodecethy)-7カルボキシアンフォジアセテート、ラウラミノプロピオン酸、ラウロアンホジプロピオン酸、ラウリルアミノプロピルグリシン、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
一実施形態では、両性界面活性剤は、以下の構造:
【0084】
【化3】
による界面活性剤であり、式中、R1は、9~15個の炭素原子を含む置換アルキル系、9~15個の炭素原子を含む非置換アルキル系、9~15個の炭素原子を含む直鎖アルキル系、9~15個の炭素原子を含む分岐鎖アルキル系、及び9~15個の炭素原子を含む不飽和アルキル系からなる群から選択されるC連鎖一価置換基であり、R2、R3、及びR4は、1~3個の炭素原子を含むC連鎖二価直鎖アルキル系、及び1~3個の炭素原子を含むC連鎖二価分岐鎖アルキル系からなる群から各々独立して選択され、M+は、ナトリウム、アンモニウム、及びプロトン化トリエタノールアミンからなる群から選択される一価対イオンである。好適な界面活性剤の具体例としては、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、及びココアンホ酢酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0085】
組成物に使用するのに好適な双極性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖又は分岐鎖であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。好適な双極性界面活性剤としては、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルジメチルアミノヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタインアミドアンホプロピオネート、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ-スルタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
任意選択的な界面活性剤
本発明の組成物は、上述のアニオン性洗浄性界面活性剤構成成分と組み合わせて使用するための追加の界面活性剤を更に含んでもよい。好適な任意選択的な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が挙げられる。毛髪又はパーソナルケア製品に使用するための当該技術分野において既知の任意のこのような界面活性剤を使用してもよいが、ただし、任意選択的な追加の界面活性剤も組成物の必須構成成分と化学的及び物理的に適合性があるか、又はそうでなくても製品性能、審美性、若しくは安定性を過度に損なわないことを条件とする。組成物中の任意選択的な追加の界面活性剤の濃度は、所望のクレンジング又は起泡性能、選択された任意選択的な界面活性剤、所望の製品濃度、組成物中の他の構成成分の存在、及び当該技術分野においてよく知られている他の要因によって変化し得る。
【0087】
組成物において使用するのに好適なその他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意選択的な追加の界面活性剤の非限定例は、M.C.Publishing Co.発行によるMcCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0088】
可塑剤
本発明の溶解性固体物品は、パーソナルケア組成物に使用するのに好適な水溶性可塑剤を更に含んでもよい。水溶性可塑剤は、物品の約0.1重量%~約25重量%のレベルで物品中に含まれ得る。好適な可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、及びポリエステルが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコール(200~600)、多価の低分子量アルコール(例えば、C2~C8アルコール)、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトースなどの、モノ-、ジ-、及びオリゴ-糖類、並びに高フルクトース固形コーンシロップが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
任意選択的成分
溶解性固体物品は、組成物での使用が既知であるか、又は有用であるような他の任意選択的成分を更に含み得るが、ただし、このような任意選択的材料が、本明細書に記載の選択された不可欠な材料と適合性があるか、又はそうでなくても過度に製品性能を損なわないことを条件とする。
【0090】
かかる任意選択的成分とは、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されている物質である。
【0091】
本明細書において任意選択的成分として好適な乳化剤としては、モノ-及びジ-グリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル、並びに他の既知の乳化剤、又はそうでなければ、例えばケーキ及び他の焼き菓子及び菓子製品などの気泡化食品の調製中、又は毛髪用ムースなどの化粧品の安定化中に使用されるもののような、空気界面を安定させるのに一般に使用される乳化剤が挙げられる。
【0092】
このような任意選択的成分の更なる非限定例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、コンディショニング剤、毛髪漂白剤、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、薬剤活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、知覚剤、植物エキス、栄養素、収斂剤、化粧品粒子、吸収剤粒子、接着剤粒子、毛髪定着剤、繊維、反応剤、美白剤、日焼け剤、ふけ防止剤、香料、剥離剤、酸、化粧下地、保湿剤、酵素、懸濁化剤、pH調整剤、毛髪着色剤、ヘアパーマ剤、顔料粒子、にきび抑制剤、抗菌剤、日焼け止め剤、日焼け剤、剥離粒子、増毛又は育毛剤、防虫剤、剃毛ローション剤、共溶媒又はその他の追加の溶媒、並びに類似のその他の材料が挙げられる。
【0093】
追加の抗細菌活性物質は、0.15%~約1.5%のレベルで添加され得る。このような抗細菌活性物質は、例えば、クリンバゾール、ピロクトンオラミン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、ヘキサミジンジイセチオネート、クロルフェネシン、サリチル酸カリウム、ジンクピリチオン、フェノキシエタノール、及びそれらの組み合わせである。
【0094】
溶解性固体物品
溶解性固体物品は、1部の溶解性固体物品(重量基準)に対して30部の水で溶解したとき、約3~約5.1、好ましくは約3.5~約4.9、より好ましくは約3.8~約4.8のpHを有する。
【0095】
本明細書で使用するとき、「固体」という用語は、外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、その形状を実質的に保持する(すなわち、その形状においていかなる可視変化もない)、物品の能力を意味する。
【0096】
本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って90°で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を意味する。好ましくは、このような物品は、顕著な弾性変形を受けることができ、5GPa以下、好ましくは1GPa以下、より好ましくは0.5GPa以下、最も好ましくは0.2GPa以下のヤング率によって特徴付けられる。
【0097】
本明細書で有用な溶解性固体物品は、液体、特に水性担体、より特に水中に溶解することができる。1部の物品に対して、約1 100部~、好ましくは約5~約50部、より好ましくは約10~約40部の水を添加することができる。
【0098】
本明細書で使用するとき、「溶解性」は、溶解性固体物品が水に完全に溶解するか、又はそれは、手溶解試験に従って水中で混合すると、均一な分散液をもたらすことを意味する。溶解性固体物品は、手溶解法によって測定すると、約0~約30ストローク、代替的には約0~約25ストローク、代替的には約0~約20ストローク、及び代替的には約0~約15ストロークの手溶解値を有する。「0ストローク」とは、水を添加するだけで、せん断又は手によるストロークはなにもなしに物品が溶解することを意味する。
【0099】
溶解性固体物品は、好ましくは多孔質であり、0.050g/cm~約0.380g/cm、好ましくは0.06グラム/cm~0.3グラム/cm、より好ましくは0.07グラム/cm~0.2グラム/cm、最も好ましくは0.08グラム/cm~0.15グラム/cmの範囲の密度によって特徴付けることができる。本発明の溶解性固形構造体は、1つ以上の可撓性の溶解性多孔質シートを含む溶解性固体物品の形態で提供することができ、当該2枚以上のシートの各々は、連続気泡発泡体、及び繊維状構造体などであることによって特徴付けられる。多孔質シートは、任意選択的に、接合手段(例えば、熱、水分、超音波、及び圧力など)を介して一緒に接合され得る。
【0100】
本明細書で使用するとき、「連続気泡発泡体」又は「連続気泡細孔構造」という用語は、ガス、典型的にはガス(空気など)を含有し、物理的強度及び固体の凝集性を維持する、空隙又は気泡のネットワークを画定する固体相互結合ポリマー含有マトリックスを指す。構造体の相互結合性は、以下に開示される試験1によって測定される連続気泡含量パーセントによって説明され得る。本明細書で有用な溶解性固体物品は、80%~100%の連続気泡含量パーセントによって特徴付けることができる。
【0101】
手溶解試験法
必要材料:
試験対象の溶解性固形構造体:3~5個の溶解性固形構造体(最終製品サンプル)を試験し、個別の溶解性固形構造体サンプルの各々のストローク数の平均を計算して、溶解性固形構造体の平均手溶解値として記録する。この方法の場合、消費者用販売可能溶解性固形構造体、又は消費者用溶解性固形構造体の全体を試験する。消費者用販売可能溶解性固形構造体、又は消費者用溶解性固形構造体全体が5cmを超えるフットプリントを有する場合に、最初に、5cmのフットプリントを有するように溶解性固形構造体を切断する。
ニトリル手袋
5mLシリンジ
プラスチック製秤量ボート(約3インチ×3インチ)
50mLガラスビーカー
水(下の特性を有するSingapore市の水又は等価物:合計硬度=64mg/L(CaCO2として;カルシウム含量=23mg/L;マグネシウム含量=1.58mg/L;リン酸含量=0.017mg/L)
使用される水は、硬度3gpg及び23℃+/-2℃である。
【0102】
プロトコル:
・水10mLをガラスビーカーに添加する。
・水が23℃+/-2℃の温度になるまでビーカー内の水を冷却する。
・ビーカーからシリンジを介して4mLの水を秤量ボートに移す。
・水を秤量ボートに移してから10秒以内に、手袋をはめた手(溶解性固形構造体サンプルを保持するためにカップのように丸めた形の利き手ではない手)の掌に溶解性固形構造体サンプルを置く。
・利き手を使用して、秤量ボートから溶解性固形構造体サンプルに水を素早く添加して、直ちに5~10秒間濡らす。
・反対側の、利き手(同様に手袋をはめている)を用いて、2回の急速な円形ストロークで擦る。
・2回のストローク後に、手の中の溶解性固形構造体サンプルを目視検査する。溶解性固形構造体サンプルが完全に溶解している場合、ストローク数=2溶解ストロークを記録する。完全に溶解していない場合、残りの溶解性固形構造体サンプルを更に2回の円形ストローク(合計4回)で擦り合わせ、溶解の程度を観察する。2回の更なるストローク後に溶解性固形構造体サンプルが固体片を含有しない場合、ストローク数=4溶解ストロークを記録する。合計4回のストローク後、溶解性固形構造体サンプルが依然として、溶解していない溶解性固形構造体サンプルの固体片を含有する場合、溶解性固形構造体サンプルが完全に溶解するか、又は合計ストロークが30に達するかのいずれか早い方まで、引き続き更に2回の円形ストロークで残りの溶解性固形構造体サンプルを擦り合わせ、各更なる2回のストローク後に溶解性固形構造体サンプルの残りの固体片が残っているかを確認する。合計ストローク数を記録する。上限の30ストローク後に固体溶解性固形構造体サンプル片が残った場合であっても、30溶解ストロークを記録する。
・更に4つの溶解性固形構造体サンプルの各々について、この処理を繰り返す。
・5つの個々の溶解性固形構造体サンプルの記録された溶解ストロークの値の算術平均を計算し、溶解性固形構造体の平均手溶解値として記録する。平均手溶解値は、最も近い単一の溶解ストローク単位で報告する。
【0103】
試験1:シート物品の連続気泡含量パーセント
連続気泡含量パーセントを、ガス比重瓶法を通して測定する。ガス比重瓶法は、体積を正確に測定するガス置換法を使用する一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスが使用される。本発明の固体シート物品のサンプルを既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積に膨張させる。膨張前及び膨張後の圧力を測定し、これを使用してサンプル物品の体積を計算する。
【0104】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重瓶(air comparison pycnometer)のより古いモデルを使用して連続気泡の割合を決定するための手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重瓶を使用する試験を実施することにより、便利にかつ精密に連続気泡パーセントを決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡比率を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。これらの実験のために、窒素ガスを使用し、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、サンプルを分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡パーセントを計算するために使用されるべきである。この方法は、以下の等式に従って、キャリパー及び標準体積計算を使用して決定される幾何学的体積を、Accupycによって測定される連続気泡体積と単純に比較する。
連続気泡パーセント=サンプルの連続気泡体積/サンプルの幾何学的体積100
【0105】
これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」において公開されている。
【0106】
溶解性固体物品は、以下の試験2に記載されるマイクロ-CT法によって測定される、100μm~2000μmの全平均孔径によって特徴付けることができる。全平均孔径は、溶解性固体物品の多孔度を定義する。
【0107】
溶解性固体物品は、以下の試験2によって測定される、1μm~200μm、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは20μm~80μm、更により好ましくは、約25μm~60μmの平均気泡壁厚又は平均フィラメント径によって特徴付けることができる。
【0108】
試験2:連続気泡発泡体(Open Cell Foam、OCF)の全体又は領域の平均孔径及び平均気泡壁厚を決定するためのマイクロコンピュータ断層撮影(Micro-Computed Tomographic、μCT)法
多孔度は、空隙空間のOCFによって占有される全空間に対する比率である。多孔度は、空隙空間を閾値化によって区画化し、全ボクセルに対する空隙ボクセルの比率を決定することによって、μCTスキャンから計算することができる。同様に、固体体積分率(solid volume fraction、SVF)は、固体空間の全空間に対する比率であり、SVFは、占有されたボクセルの全ボクセルに対する比率として計算することができる。多孔度及びSVFの両方とも、OCFの高さ方向における孔径分布、又はOCFストラットの平均気泡壁厚などの構造情報を提供しない平均スカラー値である。
【0109】
OCFの3D構造によって特徴付けるために、高い等方性空間分解能でデータセットを取得することができるμCT X線走査機器を使用してサンプルを撮像する。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemモデル50μCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である:133μAで45kVpのエネルギーレベル;3000投影;15mm視野;750ms積分時間;5回の平均化;及び1画素当たり3μmのボクセルサイズ。走査及びその後のデータ再構成が完了した後、スキャナシステムは、ISQファイルと称される16ビットデータセットを作成し、そこでは、グレーレベルは、X線減衰の変化を反映し、ひいては材料密度に関連する。次いで、ISQファイルを、スケーリング係数を使用して8ビットに変換する。
【0110】
走査されたOCFサンプルを、通常、直径およそ14mmのコアを穿孔することによって調製する。OCFパンチを、低減衰発泡体上に平らに置き、次いで、走査用の直径15mmのプラスチック円筒管に取り付ける。取り付けられた切断サンプル全ての体積全体がデータセットに含まれるように、サンプルの走査を取得する。このより大きなデータセットから、サンプルデータセットのより小さいサブボリュームを、走査されたOCFの総断面から抽出して3Dのデータスラブを作成し、ここで、細孔は、エッジ/境界効果なしに定性的に評価することができる。
【0111】
高さ方向における孔径分布を特徴付けるために、ストラットサイズ、局所厚さマップアルゴリズム、又はLTMを、サブボリュームデータセット上に実装する。LTM法は、ユークリッド距離マッピング(Euclidean Distance Mapping、EDM)で開始し、各空隙ボクセルのその最も近い境界からの距離に等しいグレーレベル値を割り当てる。EDMデータに基づいて、細孔を表す3D空隙空間(又は、ストラットを表す3D固体空間)を、EDM値に一致するようにサイズ決めされた球体でモザイク化する。球体によって囲まれたボクセルに、最大球面の半径値を割り当てる。換言すれば、各空隙ボクセル(又はストラットの固体ボクセル)には、両方が空隙空間境界(又はストラットの固体空間境界)内に適合し、かつ割り当てられたボクセルを含む、最大球面の径方向値が割り当てられる。
【0112】
LTMデータ走査から出力された3D標識された球面分布は、高さ方向(又はZ方向)における二次元画像のスタックとして処理され、スライスからスライスへの球面直径の変化をOCF深度の関数として推定するために使用することができる。ストラットの厚さを、3Dデータセットとして処理し、平均値は、サブボリュームの全体又は一部について評価することができる。計算及び測定は、Thermo Fisher ScientificのAVIZO Lite(9.2.0)及びMathworksのMATLAB(R2017a)を使用して行った。
【0113】
溶解性固体物品は、以下に記載される試験3によって測定される、0.03m/g~0.25m/g、好ましくは0.04m/g~0.22m/g、より好ましくは0.05m/g~0.2m/g、最も好ましくは0.1m/g~0.18m/gの比表面積によって特徴付けることができる。本発明の固体シートの比表面積は、その多孔度を示し得、例えば、比表面積が大きいほど、シートがより多孔質であり、その溶解速度が速くなるといった、その溶解速度に影響を与え得る。
【0114】
試験3:シート物品の比表面積
可撓性多孔質溶解性固体シート物品の比表面積を、ガス吸着技術を介して測定する。表面積は、分子規模の固体サンプルの露出した表面の測定値である。BET(Brunauer、Emmet、及びTeller)理論は、表面積を決定するのに使用される最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を使用してガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下のステップによって要約される。サンプルをサンプル管に入れ、真空下又はガス流下で熱してサンプルの表面上の汚染物を除去する。サンプル重量は、脱ガスされたサンプル及びサンプル管の混合重量から空のサンプル管重量を差し引いて得られる。次にサンプル管を分析ポート上に置き、分析を開始する。この分析プロセスの最初のステップは、サンプル管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用してサンプル管内の自由空間体積を測定することである。次にサンプルを再度排気し、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザが指定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次にサンプルを、クリプトンガス吸着を備えるASAP2420を使用して分析してもよい。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」という書籍において公開されている。
【0115】
溶解性固体物品は、以下の試験4によって測定される、当該物品の0.5%~25%、好ましくは1重量%~20%重量%、より好ましくは3重量%~10%重量%の最終水分含量によって特徴付けることができる。結果として得られる固体シートにおける適切な最終水分含量は、シートの所望の可撓性/変形性を確保し、並びに消費者に柔らかな/滑らかな感触を提供することができる。最終水分含量が低すぎる場合、シートは、脆すぎる、又は剛性が高すぎる場合がある。最終水分含量が高すぎる場合、シートはべたつきが多すぎる場合があり、その全体的な構造的一体性が損なわれる場合がある。
【0116】
試験4:シート物品の最終水分含量
本発明の固体シート物品の最終水分含量を、Mettler Toledo HX204 Moisture Analyzer(S/N B706673091)を使用することによって得る。乾燥したシート物品の最低1gを測定トレー上に置く。次いで、標準プログラムを、10分の分析時間及び110℃の温度の追加のプログラム設定で実行する。
【0117】
製品
溶解性固体物品は、例えば、パーソナルケア製品、ホームケア製品、表面洗浄製品、一般的な洗浄製品を含む任意の製品であり得る。好ましくは、製品は、パーソナルケア製品である。このようなパーソナル製品としては、例えば、身体、顔、及び/又は手の洗浄製品などのパーソナルクレンジング製品、ローション、顔用ミスト、ゲル、クリームなどのスキンケア製品、シャンプー及びコンディショナーなどのヘアケア製品が挙げられる。
【0118】
使用方法
溶解性固体物品の使用方法は、a)有効量の溶解性多孔質固体を手に適用するステップと、b)溶解性多孔質固体を水で濡らし、擦って固体を溶解させるステップと、c)溶解した材料を毛髪及び/又は皮膚などの対象に適用するステップと、並びにd)水を使用して溶解した材料を対象からすすぐステップと、を含み得る。
【実施例
【0119】
以下の実施例では、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0120】
【表15】
【0121】
【表16】
【0122】
C4結果(グラム陰性)
細菌懸濁液の調製
1×10~9×10CFU/mLのS.aureus ATCC6538、又はE.coli ATCC25922細菌懸濁液を、0.03Mのリン酸緩衝溶液(Phosphate Buffered Solution、PBS)を用いて寒天プレートから細菌を洗い落とすことによって調製した。
【0123】
対照サンプルの調製
5mLの生理食塩水溶液(0.85%w/vのNaCl)を試験用の対照サンプルとして使用した。
【0124】
試験サンプルの調製
上記の表中の1部の組成物を30部の水で溶解及び希釈して、試験サンプルを調製する。
【0125】
試験
1×10~9×10CFU/mLを達成するために、100μLの細菌懸濁液を5mLのサンプルに添加して、混合物を作製し、ボルテックスして2分間静置した。次いで、1.0mLの混合物を9.0mLの0.03MのPBSを含有する試験管に移し、混合して希釈した。連続希釈を実施して、混合物の濃度を0.03MのPBSで10000倍に希釈した。1.0mLのこのような連続希釈混合物を2つのペトリ皿の中に添加することによって、連続希釈混合物をプレーティングした。
【0126】
溶融した(約20mL、40~45℃)トリプシン大豆寒天(Tryptic Soy Agar、TSA)をペトリ皿に注ぎ込み、旋回させて混合した。寒天を冷却して固めた後、ひっくり返し、35±2℃で48時間培養した。
【0127】
殺菌率を以下に従って計算する。
式中、
【0128】
【数1】
=殺菌率、%
A=対照サンプルにおける平均細菌数
B=試験サンプルにおける平均細菌数
【0129】
評価のための基準
殺菌率が50以上~90%である場合、試験した製品は、静菌効果を有すると報告することができる。
【0130】
殺菌率が90%以上である場合、試験製品は強い静菌効果を有すると報告することができる。
【0131】
実施例1~実施例7の組成物は、本発明の実施例である。比較例i~比較例iiiの組成物は、比較実施例である。組成物比較例iは、抗細菌活性物質を含有せず、組成物比較例iiは、より高い%のクエン酸及びその塩を含有し、比較例iiiの組成物は、より高いpHを有する。
【0132】
本発明の実施例としての実施例1~実施例7は、固体物品中の抗細菌活性成分の濃度を制御しながら、物品の溶解後であっても抗細菌利益を提供する。比較実施例としての比較例i~比較例iiiの組成物は、抗細菌利益を提供しない。
【0133】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0134】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるあらゆる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0135】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。