(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置
(51)【国際特許分類】
A62C 31/02 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A62C31/02
(21)【出願番号】P 2023515113
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 KR2021012033
(87)【国際公開番号】W WO2022050789
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0113265
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118264
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】524280566
【氏名又は名称】エスピーアンドイー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ウゥ
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0020041(KR,A)
【文献】特表2015-507500(JP,A)
【文献】国際公開第2009/107421(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3226843(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0075820(US,A1)
【文献】特開2006-288871(JP,A)
【文献】中国実用新案第210355767(CN,U)
【文献】実開昭50-053994(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防ホースから供給される水を受け入れ、内部通路を通って前方に噴射するものであって、内部通路を外部に開放する多数
(2以下を除く)の吸気孔を
外側面に備え
、ホース連結部を介して消防ホースの端部と結合し、水を受け入れて通過させる連結ボディの前方に前後進可能に配置される噴射ヘッドと、
噴射ヘッドに内蔵され、水が噴射されることによって生じるベンチュリ効果により、吸気孔を通って噴射ヘッド内部に流入する流入ガスをガイドして水と混合させるガス導入ガイダを備える、
煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項2】
ホース連結部を介して消防ホースの端部と結合し、水を受け入れて通過させる連結ボディと、
連結ボディの前方に固定され、雄ねじ部を提供する中空型スライダ管と、
スライダ管の雄ねじ部に螺合して回転運動を通じて前後進し、多数
(2以下を除く)の吸気孔を
外側面に備えた噴射ヘッドと、
一端部が連結ボディの内部に固定され、スライダ管を通過して噴射ヘッドの内部に延びるシャフトと、
シャフトの延長端部に固定され、噴射ヘッドの内側に位置した状態で噴出する水と衝突するものであって、噴射ヘッドの前後進によって噴射される水の拡がり角度が調節されるようにするデフレクタと、
噴射ヘッドの内部に設けられ、噴射ヘッドを介して水が噴射されることによって生じるベンチュリ効果による負圧によって、外部ガスが吸気孔を通って噴射ヘッド内部に流入するとき、ガスの流れをガイドして、水がガスと混合されるようにするガス誘導手段を備えた、
煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項3】
前記吸気孔は、噴射ヘッドの円周方向に沿って等間隔をなし、
ガス誘導手段は、
水を通過させる中空型部材であって、噴射ヘッドの内部に固定される固定部と、固定部に一体となって吸気孔をカバーし、吸気孔を通って流入するガスを、その外周面にガイドして水の流動場に案内するガス誘導部を有する、
請求項2に記載の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項4】
前記吸気孔は、噴射ヘッドの円周方向に沿って等角配置され、
ガス誘導手段は、
水を通過させる中空型部材であって、摺動管に固定され吸気孔をカバーし、吸気孔を通って流入するガスを、その外周面にガイドして水の流動場に送るガス導入ガイダを有する、
請求項2に記載の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項5】
前記連結ボディの内部に界面活性剤を注入し、水が界面活性剤及びガスと混合されて泡化した状態で噴出されるようにする界面活性剤供給手段がさらに備えられ、薬品ピックアップ式泡管鎗用として兼用することができる、
請求項2に記載の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項6】
前記連結ボディには、ユーザが把持するハンドルがさらに備えられ、
供給ラインは、
一端部が連結ボディの内部に露出され、他端部はホース連結部を介してハンドルの外部に開放された内部ホースと、
ホース連結部に分離可能に結合し、界面活性剤を内部ホースに誘導する供給ホースを有し、薬品ピックアップ式泡管鎗用を兼用することができる、
請求項5に記載の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項7】
長手方向に延び、ハンマーで打撃される打撃部及び消防ホースと結合するホース連結部を備えた中空パイプ型連結ボディと、
連結ボディの先端部に固定され、多数
(2以下を除く)の吸気孔が
外側面に形成されている打孔ケーシング、打孔ケーシングに固定され、打孔ケーシングの内部空間を通過した水を噴出する噴射口を有し、打撃部を打撃するときに前方の対象物を突き抜いて入るピアスチップを備えた噴射ヘッドと、
打孔ケーシングの内部に収容され、水の噴射時に生じるベンチュリ効果により吸気孔を通って流入するガスの流れをガイドしてガスが水に混合されるようにするガス導入ガイダを含む、
煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【請求項8】
前記ガス導入ガイダは、
連結ボディの端部に固定され、打孔ケーシングの内周面に対して一定の間隔で離隔した状態で吸気孔をカバーする中空パイプの形状を取る、
請求項7に記載の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災鎮圧装置の一つである消防用ノズル装置に関するものであって、より詳細には、水を噴射するとともに周辺の煙、有毒ガスを吸気して有毒ガスが水に溶解されるようにするか、水と混合した状態で火炎に加えることによって、消防士の視野確保に役立ち、有毒ガスによる被害を最小化し、水だけを噴射するよりも効率的に火災を鎮圧できる、煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災を鎮圧するために使用される様々な装備のうち、管鎗ともいう消防用ノズルは、消防ホースの端部に取り付けられた状態で、消防ホースを介して供給される水を火炎に噴射する機構である。消防用ノズルには様々な種類があり、その中には、相対的単なる構造を有する直射型ノズルや、ハンドルとレバーとリフレクタなどが備えられ、消防士が主に使用するピストル型ノズルなどがある。ピストル型ノズルは、水の噴射角度や流量などを調節することができる。
【0003】
一方、消防士は、火災鎮圧のために建物に入るときに火炎及び有毒ガスに向き合う。ところが、火炎や熱い熱気は水をかけてある程度緩和することができるが、有毒ガスに対しては適切な対応措置を取ることができなかった。有毒ガスは、人体に致命的な毒性を有し、さらに、視界を妨げるので火災鎮圧を難しくする。
【0004】
このような火災鎮圧用ノズル装置に係る発明の背景となる技術であって、韓国登録特許公報第10-1780221号(消防管鎗)が開示されている。
【0005】
開示された消防管鎗は、後端には消防ホースが連結される開閉部材と、開閉部材の先端に連結されるノズル部材とからなる消防管鎗において、ノズル部材は後端が開閉部材の先端に締結されるノズルと、ノズルに対して前後に移動可能に支持されるカバー体と、ノズルの先端を開閉してノズルに対して前後に移動可能に支持される可動スピンドルと、ノズルに対して可動スピンドルを後方に引っ張る方向に弾性を加える後方バネとを含み、ノズルは、開閉部材に締結される固定ノズルと、固定ノズルに対して前後に移動可能に支持される可動ノズルとを含み、後方バネは固定ノズルと可動スピンドルとの間に設けられ、可動スピンドルは可動ノズルの先端を開閉し、固定ノズルに対して可動ノズルを前方に押す方向に弾性を加える前方バネで構成される。
【0006】
ところで、前述の従来の消防管鎗は、水の噴射時に管鎗の反動を吸収する機械的構造を有するだけで、火災時に発生する有毒ガスを除去することに関する技術を提案していない。
【0007】
水の噴射とともに煙、有毒ガスを除去するための構造のノズル装置が、火災を鎮圧する消防士の視野確保及び人命救助、作業効率と消防士個人の健康のために求められている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題を解消ために創出されたものであり、水の噴射とともに周辺の煙、有毒ガスを吸い込んで除去することによって、視野を確保して迅速な現場への進入に大きく役立ち、煙、有毒ガスが視野を遮って消防士に発生する各種事故による負傷などの危険を事前に除去することができ、迅速に進入してより迅速に火災を鎮圧し、人命救助ができるようにする、煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための課題の解決手段としての本発明の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置は、消防ホースから供給される水を受け入れ、内部通路を介して前方に噴射するものであって、内部通路を外部に開放する多数(2以下を除く)の吸気孔を外側面に備え、ホース連結部を介して消防ホースの端部と結合し、水を受け入れて通過させる連結ボディの前方に前後進可能に配置される噴射ヘッドと、噴射ヘッドに内蔵され、水が噴射されることによって生じるベンチュリ効果により、吸気孔を通って噴射ヘッド内部に流入する流入ガスをガイドして水と混合させるガス導入ガイダを備える。
【0010】
また、前記目的を達成するための課題の解決手段としての本発明の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置は、ホース連結部を介して消防ホースの端部と結合し、水を受け入れて通過させる連結ボディと、連結ボディの前方に固定され、雄ねじ部を提供する中空型スライダ管と、スライダ管の雄ねじ部に螺合して回転運動を通じて前後進し、多数(2以下を除く)の吸気孔を外側面に備えた噴射ヘッドと、一端部が連結ボディの内部に固定され、スライダ管を通過して噴射ヘッドの内部に延びるシャフトと、シャフトの延長端部に固定され、噴射ヘッドの内側に位置した状態で噴出する水と衝突するものであって、噴射ヘッドの前後進によって噴射される水の拡がり角度が調節されるようにするデフレクタと、噴射ヘッドの内部に設けられ、噴射ヘッドを介して水が噴射されることによって生じるベンチュリ効果による負圧によって、外部ガスが吸気孔を通って噴射ヘッド内部に流入するとき、ガスの流れをガイドして、水がガスと混合されるようにするガス誘導手段を備える。
【0011】
また、前記吸気孔は、噴射ヘッドの円周方向に沿って等間隔をなし、ガス誘導手段は、水を通過させる中空型部材であって、噴射ヘッドの内部に固定される固定部と、固定部に一体となって吸気孔をカバーし、吸気孔を通って流入するガスを、その外周面にガイドして水の流動場に案内するガス誘導部を有する。
【0012】
また、前記吸気孔は、噴射ヘッドの周方向に沿って等角配置され、ガス誘導手段は、水を通過させる中空型部材であって、摺動管に固定されて吸気孔をカバーし、吸気孔を通って流入するガスを、その外周面にガイドして水の流動場に送るガス導入ガイダを有する。
【0013】
また、前記連結ボディの内部に界面活性剤を注入して、水が界面活性剤及びガスと混合されて泡化した状態で噴出されるようにする界面活性剤供給手段がさらに備えられ、薬品ピックアップ式泡管鎗用として兼用することができる。
【0014】
そして、前記連結ボディには、ユーザが把持するハンドルがさらに備えられ、供給ラインは、一端部が連結ボディの内部に露出され、他端部はホース連結部を介してハンドルの外部に開放された内部ホースと、ホース連結部に分離可能に結合し、界面活性剤を内部ホースに誘導する供給ホースを有し、薬品ピックアップ式泡管鎗用を兼用することができる。
【0015】
また、前記目的を達成するための課題の解決手段としての本発明の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置は、長手方向に延び、ハンマーで打撃される打撃部及び消防ホースと結合するホース連結部を備えた中空パイプ型連結ボディと、連結ボディの先端部に固定され、多数(2以下を除く)の吸気孔が外側面に形成されている打孔ケーシング、打孔ケーシングに固定され、打孔ケーシングの内部空間を通過した水を噴出する噴射口を有し、打撃部を打撃するときに前方の対象物を突き抜いて入るピアスチップを備えた噴射ヘッドと、打孔ケーシングの内部に収容され、水の噴射時に生じるベンチュリ効果により吸気孔を通って流入するガスの流れをガイドしてガスが水に混合されるようにするガス導入ガイダを含む。
【0016】
また、前記ガス導入ガイダは、連結ボディの端部に固定され、打孔ケーシングの内周面に対して一定の間隔で離隔した状態で吸気孔をカバーする中空パイプの形状を取る。
【発明の効果】
【0017】
前記のようになされる本発明の煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置は、水の噴射とともに負圧を形成し、負圧を用いて周辺の煙、有毒ガスを吸い込んで除去することによって、消防士の視野確保に役立ち、有毒ガスによる被害を最小化することができる。
【0018】
また、煙、有毒ガス中の78%の窒素ガス(Unaffected Nitrogen)のような非活性ガスが水に混合した状態で噴射されるので、水だけを噴射するよりも効果的に火災を鎮圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【
図4】
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【
図5】
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【
図6a】
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【
図6b】
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るノズル装置の変形例を示した図である。
【
図8】
図7のA部分を別途に拡大して示した斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るノズル装置の直放射管鎗(消火専用)を説明するための図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るノズル装置の直放射管鎗(消火専用)を説明するための図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係るノズル装置の直放射管鎗(消火専用)を説明するための図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係るノズル装置の直放射管鎗(消火専用)を説明するための図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係るピアスノズル装置の斜視図である。
【
図14a】
図13に示すピアスノズル装置の噴射ヘッド部分を別に示す図である。
【
図14b】
図13に示すピアスノズル装置の噴射ヘッド部分を別に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態を、添付図面を参照してより詳細に説明することにする。
【0021】
本発明の消防用ノズル装置は、火炎に向けて水を噴射するとともに周辺の煙、有毒ガスを吸気し、煙、有毒ガスが水に溶解されるようにするか、水と混合した状態で火炎に加えられることによって、消防士の視野確保に役立ち、煙、有毒ガスによる被害を最小化し、水だけを噴射するよりも効率的に火災を鎮圧できるものである。水を用いて火炎を鎮圧するとともに、煙、有毒ガスを除去する二つの任務を同時に行うものである。
【0022】
このような本発明は、噴射ヘッドを介して水が噴射される間に、噴射ヘッド内部の圧力がベンチュリ効果により低くなるという事実と、煙、有毒ガスの大部分が水溶性で水に溶解して除去されるという事実と、煙、有毒ガスには、酸素は僅かであるが約78%以上の窒素ガス(Unaffected Nitrogen)のような非活性ガスで構成され、水には溶けないが、火炎を窒息させるという事実に基づいたものである。
【0023】
本発明は、前記ベンチュリ現象を用いるために、噴射ヘッドにガス吸気孔を形成する。吸気孔を形成することによって、周辺の煙、有毒ガスの吸気が行われ、吸気が行われることでガスの溶解除去が可能であり、窒素ガスを火炎に加えることができるからである。これについての説明は詳細に後述する。
【0024】
本発明のノズル装置は、消防ホースから供給される水を受け入れ、内部通路を通って前方に噴射するものであって、内部通路を外部に開放する多数の吸気孔を備えた噴射ヘッドと、噴射ヘッドに内蔵され、水が噴射されることによって生じるベンチュリ現象により、吸気孔を通って噴射ヘッド内部に流入するガスの流れをガイドして水と混合させるガス導入ガイダの基本構成を有する。
【0025】
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置10の斜視図であり、
図3~
図6a及び
図6bは、
図1に示すノズル装置の内部構成を説明するための図である。
【0026】
図示しているように、本実施形態に係る煙、有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置10は、連結ボディ11、スライダ管19、噴射ヘッド40、シャフト24、デフレクタ(25)、直射誘導翼23、ガス誘導手段を含む。
【0027】
連結ボディ11は、消防ホースと連結されるものであって、後端にホース連結部17を有する。ホース連結部17に消防ホースの端部が着脱可能に結合されるものである。消防ホースを介して供給された水は連結ボディ11を通過してスライダ管19、ガス誘導手段、噴射ヘッド40を順次通過して前方に噴射される。
【0028】
連結ボディ11の上下部にはレバー15とハンドル13とが設けられる。レバー15は、連結ボディ11に内蔵されたボールバルブ(図示せず)を開放するか遮断する役割を果たす。レバー15を介して水を噴射するか噴射を止めることができる。ハンドル13は、ユーザが手で把持する部分である。また、連結ボディ11の先端部にはねじ山部11aが設けられている。ねじ山部11aは、スライダ管19が結合する部分である。
【0029】
スライダ管19は、ねじ山部11aに結合される円筒状部材であって、端部に雄ねじ部19aを有する。雄ねじ部19aは、後述するスライダ管連結部44に螺合する。スライダ管連結部44は、スライダ管19に支持された状態で両方向回転が可能である。両方向回転することによって、噴射ヘッド40が前進するか後進する。
【0030】
また、連結ボディ11及びスライダ管19の内側には直射誘導翼23とシャフト24とが備えられる。直射誘導翼23は、噴射ヘッド40に向かう水のストリームラインを直線化するガイド壁である。また、シャフト24は、スライダ管19の中心軸部に固定され、前方に延びる丸棒状部材であり、延長端部にデフレクタ25を有する。デフレクタ25を固定する役割を果たすものである。デフレクタ25は、シャフトの延長端部に固定され、噴射ヘッドを通過して噴出する水と衝突する円板状部材である。
【0031】
前記連結ボディ11、スライダ管19、シャフト24、デフレクタ25、直射誘導翼23の構成は、一般的な消防用ノズルと同一であるので、これ以上の説明は省略する。
【0032】
一方、噴射ヘッド40は、スライダ管19の雄ねじ部19aに螺合した状態で、ユーザによって左右方向に回転運動が可能である。ユーザが噴射ヘッド40を時計回りにまたは反時計回りに回転させることができる。噴射ヘッド40を回転させることによって噴射ヘッド40が前進するか後退することは勿論である。
【0033】
デフレクタ25は、シャフト24に固定された状態を維持しているので、噴射ヘッド40を前方または後方に移動させると、デフレクタ25の外周縁部に対する、ヘッドの内周面41eの最小間隔に変化が生じ、それに応じて噴射される水の拡がり角度が変わる。
【0034】
噴射ヘッド40は、上流側から供給される水を受けて前方に噴出させるものであって、側方向に開放された多数の吸気孔41cを有する。吸気孔41cは、噴射ヘッド40の周方向に沿って一定の間隔をなす貫通孔であって、噴射ヘッド40の内部空間を外部に開放する。噴射ヘッド40を通過する水は、吸気孔41cを通って外部に抜けない。その理由は、吸気孔41cが後述するガス誘導部21bによってある程度カバーされており、さらに噴射ヘッド40の噴射口41aにベンチュリ効果による負圧が形成されるためである。負圧が形成されると、当然、外部のガスが吸気孔41cを通って噴射口41a内側に吸い込まれる。
【0035】
噴射ヘッド40の後端には、結合部43とスライダ管連結部44とが順に固定される。結合部43は、内周面に雌ねじ山が形成されているリング状部材であって、ガス導入ガイダ21の固定部21aと螺合する。固定部21aを結合部43に結合させることによって、
図6a及び
図6bに示しているように、噴射ヘッド40の内部にガス導入ガイダ21が固定された状態を維持する。
【0036】
スライダ管連結部44は、雌ねじ口44aを提供するリング状部材であって、結合部43の後方に固定される。雌ねじ口44aには雄ねじ部19aが螺合する。前述のように、スライダ管連結部44と雄ねじ部19aとを連結することによって、噴射ヘッド40を左右に回転させて水流の拡がり角度を調整することができる。
【0037】
本実施形態では、ガス誘導手段としてガス導入ガイダ21が用いられる。ガス導入ガイダ21は、噴射ヘッド40の内部に固定される一定の直径の円筒状部材であって、固定部21aとガス誘導部21bとを有する。固定部21aは、外周面に雄ねじ山が形成されている部分であって、結合部43に螺合する。
【0038】
また、ガス誘導部21bは、吸気孔41cをカバーする部分である。ガス誘導部21bは、噴射ヘッド40の内周面41eに対して密着するものではなく、一定の間隔で離隔してガス流動通路41dを形成する。ガス流動通路41dは、吸気孔41cを通って吸い込まれた有毒ガスが通過する通路である。有毒ガスはガス流動通路41dを通過した後、ガス導入ガイダ21を通過した水と会って混合される。
【0039】
一方、噴射ヘッド40内部の負圧形成は、ベンチュリ効果によるものである。すなわち、ガス導入ガイダ21を通過する水の流動断面積に比べて、デフレクタ25の周辺を通過する水の流動断面積が小さいからである。知られているように、同一の流量の流れにおいて流体の流動断面積が小さいと流速が増加し、流速が増加すると圧力が低くなる。
【0040】
本実施形態の場合、デフレクタ25周辺の流動断面積が、ガス導入ガイダの流動断面積よりも顕著に小さいので、噴射ヘッド40内部の圧力が低くなるしかない。したがって、噴射ヘッド40の外部の有毒ガスが、吸気孔41cを通過してガス流動通路41dを経て噴射ヘッド40内部で(ガス誘導部21bから噴出される)水と混合(Mixing)される。
【0041】
噴射ヘッド40の内部に流入した様々な煙、有毒ガスのうち、流入した液体微粒子系有毒ガスは、水に溶解(disolution)、希釈(dilution)されて除去され、固体微粒子系スート、煤、超微細塵埃などは物理吸着(physical adsorption)されてともに噴射され、残りの窒素(N2)ガスは、水に混合された状態で火炎に噴射され、火炎を冷却及び窒息消火する。約78%の窒素ガス(Unaffected Nitrogen)のような非活性ガスが水の運動エネルギーを得て火炎に加えられる。これは、水だけを噴射するよりもより迅速な鎮火を可能にする。別途の付加装置なしで火災を迅速に鎮圧することができることは大きな意味を有するものである。
【0042】
図7は、本発明の第1実施形態に係るノズル装置10の変形例を示す図であり、
図8は、
図7のA部分を別途に拡大して示す斜視図である。
【0043】
図面を参照すると、消防用ノズル装置10に界面活性剤供給手段が追加されてもよいことが分かる。界面活性剤供給手段は、連結ボディ11の内部に界面活性剤を注入する装置である。連結ボディ11に界面活性剤を注入することによって、水が界面活性剤及び有毒ガスと混合されて泡化した状態で、火炎に向かって噴射することができる。
【0044】
油類、ガス火災時に泡消火薬剤(Foam)水溶液に空気を混合して発生したフォーム(Foam)を火気物に発布し、主に危険物貯蔵所、屋外油類タンク、液化ガス貯蔵所、航空機格納庫、化学工場などの火災鎮圧に効率的に使用できることはよく知られている事実である。
【0045】
界面活性剤供給手段は、界面活性剤タンク51、供給ラインからなる。界面活性剤タンク51は、界面活性剤が収容された容器である。界面活性剤タンク51は消防車に搭載してもよく、薬品を専用容器に携帯してもよい。
【0046】
供給ラインは、界面活性剤を連結ボディ11内部に誘導するものであって、エジェクタ原理で速い流速の側に吸入され、界面活性剤タンク51内の界面活性剤を供給ホース55と内部ホース56とを介して連結ボディ11の内部に移送する。
【0047】
内部ホース56は、ハンドル13に内蔵されるチューブであって、一端部が連結ボディ11の内部に露出され、他端部はホース連結部13bを介してハンドル下端部の外側に開放される。ホース連結部13bは、外周面に雄ねじ山が形成されている付属品であって、
図8に示しているように、供給ホース55の固定ナット55aやキャップ57に結合可能である。
【0048】
ホース連結部13bに固定ナット55aを連結すると、供給ホース55と内部ホース56とが連通結合する。また、ホース連結部13bから固定ナット55aを抜け出し、その位置にキャップ57を固定すると内部ホース56が密閉される。内部ホースを用いないときは、キャップ57を固定して内部ホース56に異物が入ることを防げなければならない。
【0049】
図9~
図12は、本発明の第1実施形態に係るノズル装置の変形例を説明するための図である。図示したタイプのノズル装置は、直方射管鎗であって、主に建物の消火栓内部に備えられる小型ノズルである。
【0050】
以下、前記図面符号と同一の図面符号は、同一の機能の同一部材を指す。
【0051】
図示しているように、変形例に係るノズル装置10は、連結ボディ11、スライダ管19、ガス導入ガイダ21、噴射ヘッド40からなる。
図9に示すタイプのノズル装置10は、より簡単な構造を有するものであり、前述のハンドルとレバーが省略されている。
【0052】
連結ボディ11は、ホース連結部17を介して消防ホースと結合して水を受け入れて通過させる。また、スライダ管19は、連結ボディ11に固定され、雄ねじ部19aを介して噴射ヘッド40を回転可能に支持する。
【0053】
ガス導入ガイダ21は、単なる中空パイプの形状を取り、スライダ管19の雄ねじ部19aに固定される。ガス導入ガイダ21は、内部には水を通過させ、外部にはガス流動通路41dを提供する。すなわち、吸気孔を通って流入するガスを、その外周面にガイドして、デフレクタ25側に送るものである。吸気孔41cに流入した有毒ガスは、ガス流動通路41dを通過した後、水と混合されながら前方に噴出される。外部の有毒ガスが噴射ヘッド40の内部に流入する原理は、前述のベンチュリ効果によるものである。
図9~
図12は、直放射管鎗であって主に建物の消火栓の内部に備えられる。
【0054】
図13は、本発明の第2実施形態に係るノズル装置の斜視図であり、
図14a及び
図14bは、
図13に示すノズル装置の噴射ヘッド部分を別途示すピアスノズル(Fire piercing nozzle)の図である。
【0055】
第2実施形態に係るノズル装置10は、ピアス機能を有する、例えばピアスノズルである。知られているように、ピアスノズルは、遮断された空間の内部に火災が発生した場合、防火扉または壁を突き抜いて空間内に消火用水を噴射する機能を有する。
【0056】
第2実施形態に係るノズル装置10は、連結ボディ11、噴射ヘッド40、ガス導入ガイダ21を含む。
【0057】
連結ボディ11は、長手方向に延びる直線状の中空パイプであり、打撃部61とホース連結部17とを有する。
【0058】
打撃部61は、ハンマーで打撃する部分である。ノズル装置10の先端部、すなわち噴射ヘッド40部分を壁に位置させた後、打撃部61を打撃すると、まるで釘が刺さるように、ノズル装置10が壁を突き抜いて入る。また、ホース連結部17は、消防ホースが連結される部分である。噴射ヘッド40を火災空間に浸透させた後、ホース連結部17に消防ホースを連結して水を供給すると、火災空間内に水が振り切られる。
【0059】
一方、噴射ヘッド40は、打孔ケーシング41とピアスチップ63とからなる。打孔ケーシング41は、連結ボディ11の内径よりも大きい内径を有する円筒状部材であって、周りに多数の吸気孔41cを有する。吸気孔41cは、周辺の有毒ガスが流入する通路である。
【0060】
ピアスチップ63は、打孔ケーシング41に固定された部材であって、先端部が尖った形状を取る。また、ピアスチップ63には多数の噴射口63aが設けられている。噴射口63aを連結ボディ11とガス導入ガイダ21を通過した水が噴射される孔である。当然、噴射口63aの総流動断面積は、ガス導入ガイダ21の流動断面積に比べて相対的に小さい。ガス導入ガイダ21を通過した水は噴射口63aを通過して加速される。噴射口63a周辺の圧力が降下し、ベンチュリ現象が生じることである。
【0061】
ガス導入ガイダ21は、連結ボディ11の端部に固定される一定の直径の中空パイプである。ガス導入ガイダ21の内径は連結ボディ11の内径と同じである。ガス導入ガイダ21は、打孔ケーシング41の内周面に対して一定の間隔で離隔した状態で吸気孔41cをカバーする。また、ガス導入ガイダ21の外周面は、打孔ケーシング内周面との間にガス流動通路41dを提供する。
【0062】
結局、噴射ヘッド40周辺の有毒ガスは、水の噴射時に、噴射口63aの周囲で生じるベンチュリ効果により、吸気孔41cとガス流動通路41dとを通過した後、ピアスチップ63内部で水と混合されながら放出される。
【0063】
結局、前記のように構成される第1、2実施形態に係る有毒ガス吸気除去型消防用ノズル装置10は、水を噴射するとともに周辺の煙、有毒ガスを吸気して流入した液体微粒子系有毒ガスは、水に溶解(disolution)、希釈(dilution)されて除去され、固体微粒子系スート、煤、超微細粉塵などは物理吸着(physical adsorption)され、残りの窒素(N2)ガスは、水に混合された状態で火炎に噴射され、火炎を冷却及び窒息消火する。例えば、約78%の窒素ガス(Unaffected Nitrogen)のような非活性ガスが水の運動エネルギーを得て火炎に加えられる。
【0064】
これは、消防士の視野を確保することはもちろん、有毒ガスによる被害を最小化し、水だけを噴射するよりも効率的に火災を鎮圧できるものである。
【0065】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。