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特許7614343通信制御方法、中継ノード及びプロセッサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】通信制御方法、中継ノード及びプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/14 20090101AFI20250107BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20250107BHJP
   H04W 72/1268 20230101ALI20250107BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20250107BHJP
【FI】
H04W28/14
H04W16/26
H04W72/1268
H04W92/20 110
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023520998
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 JP2022019570
(87)【国際公開番号】W WO2022239707
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2021080063
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/065763(WO,A1)
【文献】Kyocera,Possible solutions for topology-wide fairness, multi-hop latency and congestion mitigation in eIAB,3GPP TSG RAN WG2 #113bis-e R2-2103370,2021年04月02日
【文献】Intel Corporation,Uplink latency reduction,3GPP TSG RAN WG2 #109_e R2-2000471,2020年02月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ通信システムで用いる通信制御方法であって、
第1の中継ノードが、バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算することと、
前記第1の中継ノードが、前記第1の中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信することと、
前記第1の中継ノードが、前記第1の計算方法を決定し、決定した前記第1の計算方法を、前記第1の中継ノードの上位ノードへ送信することと、を有する、
通信制御方法。
【請求項2】
更に、前記第1の中継ノードの前記上位ノードが、前記第1の計算方法を前記第1の中継ノードに設定することを有する、
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項3】
セルラ通信システムで用いる通信制御方法であって、
第1の中継ノードが、バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算することと、
前記第1の中継ノードが、前記第1の中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信することと、を有し、
前記計算することは、前記第1の中継ノードが、前記プリエンプティブBSRの送信タイミングに応じて、前記第1の計算方法を決定することを含む、
信制御方法。
【請求項4】
セルラ通信システムで用いる通信制御方法であって、
中継ノードが、算出したバッファサイズを、割り振り率に従って、第1のバッファサイズと第2のバッファサイズに分配することと、
前記中継ノードが、前記第1のバッファサイズを含む第1のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第1の親ノードへ送信し、前記第2のバッファサイズを含む第2のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第2の親ノードへ送信することと、有し、
前記第1の親ノードはメインセルグループ(MCG)に含まれ、前記第2の親ノードはセカンダリセルグループ(SCG)に含まれる、
通信制御方法。
【請求項5】
更に、ドナーノードが、前記割り振り率を、前記中継ノードに設定することを有する、
請求項記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記割り振り率は、前記算出したバッファサイズの1/2である、
請求項記載の通信制御方法。
【請求項7】
更に、前記中継ノードが、当該中継ノードに流入するパケットと流出するパケットの履歴に基づいて、前記割り振り率を決定することを有する、
請求項記載の通信制御方法。
【請求項8】
中継ノードであって、
バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算する制御部と、
前記中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信する送信部と、を備え
前記制御部は、前記第1の計算方法を決定し、決定した前記第1の計算方法を、前記中継ノードの上位ノードへ送信する制御を実行する、
中継ノード。
【請求項9】
中継ノードであって、
バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算する制御部と、
前記中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信する送信部と、を備え、
前記制御部は、前記プリエンプティブBSRの送信タイミングに応じて、前記第1の計算方法を決定する
中継ノード。
【請求項10】
中継ノードであって、
算出したバッファサイズを、割り振り率に従って、第1のバッファサイズと第2のバッファサイズに分配する制御部と、
前記第1のバッファサイズを含む第1のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第1の親ノードへ送信し、前記第2のバッファサイズを含む第2のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第2の親ノードへ送信する送信部と、を備え、
前記第1の親ノードはメインセルグループ(MCG)に含まれ、前記第2の親ノードはセカンダリセルグループ(SCG)に含まれる、
中継ノード。
【請求項11】
中継ノードを制御するプロセッサであって、
バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算する処理と、
前記中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信する処理と、
前記第1の計算方法を決定し、決定した前記第1の計算方法を、前記中継ノードの上位ノードへ送信する処理と、を実行する、
プロセッサ。
【請求項12】
中継ノードを制御するプロセッサであって、
バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、前記バッファサイズを計算する処理と、
前記中継ノードの親ノードへ、前記バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信する処理と、
前記プリエンプティブBSRの送信タイミングに応じて、前記第1の計算方法を決定する処理と、を実行する、
プロセッサ。
【請求項13】
中継ノードを制御するプロセッサであって、
算出したバッファサイズを、割り振り率に従って、第1のバッファサイズと第2のバッファサイズに分配する処理と、
前記第1のバッファサイズを含む第1のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第1の親ノードへ送信し、前記第2のバッファサイズを含む第2のプリエンプティブBSRを、前記中継ノードの親ノードである第2の親ノードへ送信する処理と、を実行し、
前記第1の親ノードはメインセルグループ(MCG)に含まれ、前記第2の親ノードはセカンダリセルグループ(SCG)に含まれる
プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルラ通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)において、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノードと呼ばれる新たな中継ノードの導入が検討されている(例えば、「3GPP TS 38.300 V16.5.0(2021-03)」参照)。1又は複数の中継ノードが、基地局とユーザ装置との間の通信に介在し、基地局とユーザ装置との間の通信に対する中継を行う。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、第1の中継ノードが、バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、バッファサイズを計算することを含む。また、前記通信制御方法は、第1の中継ノードが、第1の中継ノードの親ノードへ、バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信することを含む。
【0004】
第2の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、中継ノードが、中継ノードの子ノードから、バッファサイズ量X1を含むレガシーBSRを受信することを含む。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、子ノードへ、リソース量X2を含むアップリンクグラント(UL grant)を送信することを含む。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、子ノードから、データを受信することと、中継ノードが、データを、当該中継ノードのIAB-MTへ転送することとを含む。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、当該中継ノードのIAB-MTへ転送したデータ量をMとすると、(X1-M)又は(X2-M)のいずれかでバッファサイズを算出することを含む。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、バッファサイズを含むプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノードへ送信することを含む。
【0005】
第3の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、中継ノードが、中継ノードの子ノードから、第1のレガシーBSRを受信することを含む。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、子ノードへ、アップリンクグラント(UL grant)を送信することを含む。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、前記子ノードから、データを受信することを含む。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、第1のレガシーBSRを受信した時点、又は、アップリンクグラントを送信した時点、において、当該中継ノードのIAB-DUに滞留するデータ量をバッファサイズに含む第2のレガシーBSRを、中継ノードの親ノードへ送信することを含む。
【0006】
第4の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、中継ノードが、算出したバッファサイズを、割り振り率に従って、第1のバッファサイズと第2のバッファサイズに分配することを含む。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、第1のバッファサイズを含む第1のプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノードである第1の親ノードへ送信し、第2のバッファサイズを含む第2のプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノードである第2の親ノードへ送信することを含む。更に、前記通信制御方法は、第1の親ノードはメインセルグループ(MCG)に含まれ、第2の親ノードはセカンダリセルグループ(SCG)に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を表す図である。
図2図2は、IABノードと親ノード(Parent nodes)と子ノード(Child nodes)との関係を表す図である。
図3図3は、一実施形態に係るgNB(基地局)の構成例を表す図である。
図4図4は、一実施形態に係るIABノード(中継ノード)の構成例を表す図である。
図5図5は、一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を表す図である。
図6図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を表す図である。
図7図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックの例を表す図である。
図8図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックの例を表す図である。
図9図9(A)は第1実施形態に係るレガシーBSRの送信例、図9(B)及び図9(C)は第1実施形態に係るプリエンプティブBSRの送信例をそれぞれ表す図である。
図10図10は第1実施形態に係るプリエンプティブBSR MAC CEの例を表す図である。
図11図11は、第1実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を表す図である。
図12図12は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図13図13は、第1実施形態の変形例1に係る動作例を表す図である。
図14図14は、第1実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
図15図15(A)と図15(B)は、第2実施形態に係る対象BSの例を表す図である。
図16図16は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
図17図17は、第2実施形態の変形例1に係る動作例を表す図である。
図18図18(A)と図18(B)は、第2実施形態に係る対象BSの例を表す図である。
図19図19は、第2実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
図20図20は、第3実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を表す図である。
図21図21は、第3実施形態の動作例を表す図である。
図22図22は、第3実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら、実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0009】
(セルラ通信システムの構成)
まず、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システムは3GPPの5Gシステムである。具体的には、セルラ通信システム1における無線アクセス方式は、5Gの無線アクセス方式であるNR(New Radio)である。但し、セルラ通信システムには、LTE(Long Term Evolution)が少なくとも部分的に適用されてもよい。また、セルラ通信システムは、6Gなど、将来のセルラ通信システムも適用されてよい。
【0010】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を表す図である。
【0011】
図1に示すように、セルラ通信システム1は、5Gコアネットワーク(5GC)10と、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある。)200-1,200-2と、IABノード300-1,300-2とを有する。基地局200は、gNBと呼ばれる場合がある。
【0012】
以下において、基地局200がNR基地局である一例について主として説明するが、基地局200がLTE基地局(すなわち、eNB)であってもよい。
【0013】
なお、以下において、基地局200-1,200-2をgNB200(又は基地局200)と称する場合がある。また、IABノード300-1,300-2をIABノード300と称する場合がある。
【0014】
5GC10は、AMF(Access and Mobility Management Function)11及びUPF(User Plane Function)12を有する。AMF11は、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う装置である。AMF11は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPF12は、ユーザデータの転送制御等を行う装置である。
【0015】
各gNB200は、固定の無線通信ノードであって、1又は複数のセルを管理する。セルは、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。セルは、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語として用いられることがある。また、セルは、gNB200など、基地局と区別しないで用いられる場合がある。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0016】
各gNB200は、NGインターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して5GC10と相互に接続される。図1において、5GC10に接続された2つのgNB200-1及びgNB200-2を例示している。
【0017】
各gNB200は、集約ユニット(CU:Central Unit)と分散ユニット(DU:Distributed Unit)とに分割されてもよい。CU及びDUは、F1インターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して相互に接続される。F1プロトコルは、CUとDUとの間の通信プロトコルであって、制御プレーンのプロトコルであるF1-CプロトコルとユーザプレーンのプロトコルであるF1-Uプロトコルとがある。
【0018】
セルラ通信システム1は、バックホールにNRを用いてNRアクセスの無線中継を可能とするIABをサポートする。ドナーgNB(又はドナーノード。以下、「ドナーノード」と称する場合がある。)200-1は、ネットワーク側のNRバックホールの終端ノードであり、IABをサポートする追加機能を備えたドナー基地局である。バックホールは、複数のホップ(すなわち、複数のIABノード300)を介するマルチホップが可能である。
【0019】
図1において、IABノード300-1がドナーノード200-1と無線で接続し、IABノード300-2がIABノード300-1と無線で接続し、F1プロトコルが2つのバックホールホップで伝送される一例を示している。
【0020】
UE100は、セルとの無線通信を行う移動可能な無線通信装置である。UE100は、gNB200又はIABノード300との無線通信を行う装置であればどのような装置であってもよい。例えば、UE100は、携帯電話端末及び/又はタブレット端末、ノートPC、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置、無人航空機若しくは無人航空機に設けられる装置である。UE100は、アクセスリンクを介してIABノード300又はgNB200に無線で接続する。図1は、UE100がIABノード300-2と無線で接続される一例を示している。UE100は、IABノード300-2及びIABノード300-1を介してドナーノード200-1と間接的に通信する。
【0021】
図2は、IABノード300と、親ノード(Parent nodes)及び子ノード(Child nodes)との関係を表す図である。
【0022】
図2に示すように、各IABノード300は、基地局機能部に相当するIAB-DUとユーザ装置機能部に相当するIAB-MT(Mobile Termination)とを有する。
【0023】
IAB-MTのNR Uu無線インターフェイス上の隣接ノード(すなわち、上位ノード)は、親ノードと呼ばれる。親ノードは、親IABノード又はドナーノード200のDUである。IAB-MTと親ノードとの間の無線リンクは、バックホールリンク(BHリンク)と呼ばれる。図2において、IABノード300の親ノードがIABノード300-P1及び300-P2である一例を示している。なお、親ノードへ向かう方向は、アップストリーム(upstream)と呼ばれる。UE100から見て、UE100の上位ノードは親ノードに該当し得る。
【0024】
IAB-DUのNRアクセスインターフェイス上の隣接ノード(すなわち、下位ノード)は、子ノードと呼ばれる。IAB-DUは、gNB200と同様に、セルを管理する。IAB-DUは、UE100及び下位のIABノードへのNR Uu無線インターフェイスを終端する。IAB-DUは、ドナーノード200-1のCUへのF1プロトコルをサポートする。図2において、IABノード300の子ノードがIABノード300-C1~300-C3である一例を示しているが、IABノード300の子ノードにUE100が含まれてもよい。なお、子ノードへ向かう方向は、ダウンストリーム(downstream)と呼ばれる。
【0025】
また、1又は複数のホップを介して、ドナーノード200に接続されている全てのIABノード300は、ドナーノード200をルートとする有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)トポロジ(以下、「トポロジ」と称する場合がある。)を形成する。このトポロジにおいて、図2に示すように、IAB-DUのインターフェイス上の隣り合うノードが子ノードとなり、IAB-MTのインターフェイス上の隣り合うノードが親ノードとなる。ドナーノード200は、例えば、IABトポロジのリソース、トポロジ、ルート管理などを集中的に行う。ドナーノード200は、バックホールリンクとアクセスリンクのネットワークを介して、UE100に対して、ネットワークアクセスを提供するgNBである。
【0026】
(基地局の構成)
次に、実施形態に係る基地局であるgNB200の構成について説明する。図3は、gNB200の構成例を表す図である。図3に示すように、gNB200は、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、制御部230とを有する。
【0027】
無線通信部210は、UE100との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。無線通信部210は、受信部211及び送信部212を有する。受信部211は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部211はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部230に出力する。送信部212は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部212はアンテナを含み、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0028】
ネットワーク通信部220は、5GC10との有線通信(又は無線通信)及び隣接する他のgNB200との有線通信(又は無線通信)を行う。ネットワーク通信部220は、受信部221及び送信部222を有する。受信部221は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部221は、外部から信号を受信して受信信号を制御部230に出力する。送信部222は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部222は、制御部230が出力する送信信号を外部に送信する。
【0029】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部230は、以下に示す各実施形態において、gNB200(又はドナーノード200)における各種処理を行ってもよい。
【0030】
(中継ノードの構成)
次に、実施形態に係る中継ノード(又は中継ノード装置。以下、「中継ノード」と称する場合がある。)であるIABノード300の構成について説明する。図4は、IABノード300の構成例を表す図である。図4に示すように、IABノード300は、無線通信部310と、制御部320とを有する。IABノード300は、無線通信部310を複数有していてもよい。
【0031】
無線通信部310は、gNB200との無線通信(BHリンク)及びUE100との無線通信(アクセスリンク)を行う。BHリンク通信用の無線通信部310とアクセスリンク通信用の無線通信部310とが別々に設けられていてもよい。
【0032】
無線通信部310は、受信部311及び送信部312を有する。受信部311は、制御部320の制御下で各種の受信を行う。受信部311はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部320に出力する。送信部312は、制御部320の制御下で各種の送信を行う。送信部312はアンテナを含み、制御部320が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0033】
制御部320は、IABノード300における各種の制御を行う。制御部320は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部320は、以下に示す各実施形態において、IABノード300における各種処理を行ってもよい。
【0034】
(ユーザ装置の構成)
次に、実施形態に係るユーザ装置であるUE100の構成について説明する。図5は、UE100の構成例を表す図である。図5に示すように、UE100は、無線通信部110と、制御部120とを有する。
【0035】
無線通信部110は、アクセスリンクにおける無線通信、すなわち、gNB200との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。また、無線通信部110は、サイドリンクにおける無線通信、すなわち、他のUE100との無線通信を行ってもよい。無線通信部110は、受信部111及び送信部112を有する。受信部111は、制御部120の制御下で各種の受信を行う。受信部111はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部120に出力する。送信部112は、制御部120の制御下で各種の送信を行う。送信部112はアンテナを含み、制御部120が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0036】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部120は、以下に示す各実施形態において、UE100における各処理を行ってもよい。
【0037】
(プロトコルスタックの構成)
次に、実施形態に係るプロトコルスタックの構成について説明する。図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を表す図である。
【0038】
図6に示すように、IABノード300-2のIAB-MTは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤと、NAS(Non-Access Stratum)レイヤとを有する。
【0039】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。IABノード300-2のIAB-MTのPHYレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0040】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのMACレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。IAB-DUのMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme))及び割当リソースブロックを決定する。
【0041】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。IABノード300-2のIAB-MTのRLCレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0042】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。IABノード300-2のIAB-MTのPDCPレイヤとドナーノード200のCUのPDCPレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0043】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。IABノード300-2のIAB-MTのRRCレイヤとドナーノード200のCUのRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。ドナーノード200とのRRC接続がある場合、IAB-MTはRRCコネクティッド状態である。ドナーノード200とのRRC接続がない場合、IAB-MTはRRCアイドル状態である。
【0044】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのNASレイヤとAMF11のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0045】
図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックを表す図である。図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックを表す図である。ここでは、ドナーノード200がCU及びDUに分割されている一例を示す。
【0046】
図7に示すように、IABノード300-2のIAB-MT、IABノード300-1のIAB-DU、IABノード300-1のIAB-MT、及びドナーノード200のDUの各々は、RLCレイヤの上位レイヤとしてBAP(Backhaul Adaptation Protocol)レイヤを有する。BAPレイヤは、ルーティング処理及びベアラマッピング・デマッピング処理を行うレイヤである。バックホールでは、IPレイヤがBAPレイヤを介して伝送されることにより、複数のホップでのルーティングが可能になる。
【0047】
各バックホールリンクにおいて、BAPレイヤのPDU(Protocol Data Unit)は、バックホールRLCチャネル(BH NR RLCチャネル)によって伝送される。各BHリンクで複数のバックホールRLCチャネルを構成することにより、トラフィックの優先順位付け及びQoS(Quality of Service)制御が可能である。BAP PDUとバックホールRLCチャネルとの対応付けは、各IABノード300のBAPレイヤ及びドナーノード200のBAPレイヤによって実行される。
【0048】
なお、ドナーノード200のCUは、IABノード300とドナーノード200のDUへのF1インターフェイスを終端する、ドナーノード200のgNB-CU機能である。また、ドナーノード200のDUは、IAB BAPサブレイヤをホストし、IABノード300へワイヤレスバックホールを提供する、ドナーノード200のgNB-DU機能である。
【0049】
図8に示すように、F1-Cプロトコルのプロトコルスタックは、図7に示すGTP-Uレイヤ及びUDPレイヤに代えて、F1APレイヤ及びSCTPレイヤを有する。
【0050】
なお、以下においては、IABのIAB-DUとIAB-MTで行われる処理又は動作について、単に「IAB」の処理又は動作として説明する場合がある。例えば、IABノード300-1のIAB-DUが、IABノード300-2のIAB-MTへBAPレイヤのメッセージを送信することを、IABノード300-1がIABノード300-2へ、当該メッセージを送信するものとして説明する。また、ドナーノード200のDU又はCUの処理又は動作についても、単に「ドナーノード」の処理又は動作として説明する場合がある。
【0051】
また、アップストリーム方向とアップリンク(UL)方向とを区別しないで用いる場合がある。更に、ダウンストリーム方向とダウンリンク(DL)方向とを区別しないで用いる場合がある。
【0052】
(第1実施形態)
次に第1実施形態について説明する。
【0053】
(プリエンプティブBSR(Buffer Status Report)について)
一般的に、UE100が送信するBSR(以下、適宜「レガシーBSR」と呼ぶ。)は、MAC、RLC、及びPDCPの各レイヤの未送信上りリンクデータ量(すなわち、上りリンクバッファ量)を論理チャネルグループ(LCG:Logical Channel Group)ごとに示すものである。各LCGは少なくとも1つの論理チャネルを含み、優先度別に設定されるグループである。gNB200は、UE100から受信したレガシーBSRに基づいて、UE100の未送信上りリンクデータ量をLCGごとに把握し、この未送信上りリンクデータ量に見合った上りリンク無線リソースをUE100に割り当てるようにスケジューリングを行う。
【0054】
図9(A)は、第1実施形態に係るレガシーBSRの送信例を表す図である。図9(A)では、「Regular BSR」と表されているが、以下では、「Regular BSR」もレガシーBSRと称する場合がある。
【0055】
図9(A)に示すように、IABノード300-TのIAB-MTは、レガシーBSRを利用して、IABノード300-TのIAB-MTにおけるMACとRLCに存在する送信待ちデータ量(又はバッファリングしているデータ量)を、バッファサイズとして報告する。親ノード300-PのIAB-DUは、IABノード300-Tに対して、このデータ量に見合った上りリンク無線リソースを割り当てる。IABノード300-TのIAB-MTは、割り当てられた上りリンク無線リソースを利用して、当該データを、親ノード300-Pへ送信する。
【0056】
図9(B)と図9(C)は、第1実施形態に係るプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR)の送信例を表す図である。
【0057】
図9(B)に示すように、IABノード300-TのIAB-DUが、子ノード300-Cへアップリンクグラント(UL grant)を送信後、子ノード300-CからULデータを受信する前に、IABノード300-TのIAB-MTが、プリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ送信する。また、図9(C)に示すように、IABノード300-TのIAB-DUが、子ノード300-CからレガシーBSRを受信後、UL grantを子ノード300-Cへ送信する前に、IABノード300-TのIAB-MTが、プリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ送信する。
【0058】
このように、プリエンプティブBSRは、レガシーBSRよりも早いタイミングで、親ノード300-Pへ送信される。そのため、プリエンプティブBSRは、レガシーBSRの場合と比較して、親ノード300-PのIABノード300-Tに対するULスケジューリングの遅延(レイテンシ)を低減させることが可能となる。
【0059】
図10は、第1実施形態に係るプリエンプティブBSRのMAC CE(Control Element)(以下、「プリエンプティブBSR MAC CE」と称する場合がある。)の構成例を表している。
【0060】
図10に示すように、プリエンプティブBSR MAC CEは、「LCG」領域と、「バッファサイズ領域」とを含む。
【0061】
「LCG」領域は、論理チャネルグループiのバッファサイズが存在することを示す領域である。すなわち、LCGに「1」が設定されると、論理チャネルグループiのバッファサイズが報告されることを表す。他方、LCGに「0」が設定されると、論理チャネルグループiのバッファサイズが報告されないことを表す。「LCG」領域の領域長は8ビットである。
【0062】
「バッファサイズ」領域には、所定のバッファサイズが格納される。所定のバッファサイズは、プリエンプティブBSRがトリガされたIABノード300(図9の場合はIABノード300-T)のIAB-MTに到着することが期待されるデータの総量であって、IAB-MTにおいて現在利用可能なデータの総量は含まない。
【0063】
なお、図10に示すBSR MAC CEは、ロングBSR MAC CEとロングトランケイテッド(Truncated)BSR MAC CEの構成例も表している。ロングBSR MAC CEは、例えば、複数のLCGに関するバッファサイズを報告する場合に利用されるMAC CEである。また、ロングトランケイテッド(Truncated)BSR MAC CEは、例えば、MACレイヤがMAC PDUを構成する際に挿入するパディングビット(又はパディングデータ)を報告する際に利用され、パディングビットが所定のサイズよりも大きい場合に利用されるMAC CEである。BSR MAC CEが、ロングBSR MAC CEとロングトランケイテッド(Truncated)BSR MAC CEの場合、「バッファサイズ」領域には、MAC PDUが構築された後の全ての論理チャネルに亘って利用可能なデータ量、すなわち、IAB-MTのRLCとMACに存在する送信待ちのデータ量が格納される。
【0064】
以下では、プリエンプティブBSRとレガシーBSRとを区別しない場合は、「BSR」と称する場合がある。
【0065】
第1の実施形態では、上位ノードが、プリエンプティブBSRに含まれるバッファサイズについての複数の計算方法の中から所定の計算方法を、IABノード300に設定する例である。具体的には、第1に、第1の中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、バッファサイズ(BS)に関する複数の計算方法のうち第1の計算方法を用いて、バッファサイズを計算する。第2に、第1の中継ノードが、第1の中継ノードの親ノード(例えば、親ノード300-P)へ、バッファサイズを含むプリエンプティブBSR(pre-emptive BSR(Buffer Status Report))を送信する。更に、第1の中継ノードの上位ノード(例えば、親ノード300-P又はドナーノード200)が、第1の計算方法を第1の中継ノードに設定する。
【0066】
(第1実施形態の構成例)
まず、第1実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例について説明する。
【0067】
図11は、第1実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を表す図である。図11に示すように、ドナーノード200は、配下にIABノード300-P,300-T,300-Cを有する。ドナーノード200が構築するトポロジ(又はネットワーク)には、他のIABノードが含まれてもよい。
【0068】
IABノード300-Tの親ノードは、IABノード300-Pである。また、IABノード300-Tの子ノードは、IABノード300-Cである。以下では、IABノード300-Pを親ノード300-Pと称する場合がある。また、IABノード300-Cを子ノード300-Cと称する場合がある。
【0069】
IABノード300-Tの上位ノードは、親ノード300-Pでもよい。また、IABノード300-Tの上位ノードは、ドナーノード200でもよい。なお、親ノード300-Pがドナーノード200であってもよい。
【0070】
図11の例では、IABノード300-Tは、1つの親ノード300-Pと接続されている例を表しているが、複数の親ノード300-P1,300-P2,...と接続されてもよい。この場合、例えば、IABノード300-Tは、Dual Connectivityにより、親ノード300-P1と親ノード300-P2と接続されてもよい。親ノード300-P1には、Dual Connectivityにおけるマスタセルグループ(MCG)が設定され、親ノード300-P2には、セカンダリセルグループ(SCG)が設定されることで、IABノード300-Tが、2つの親ノード300-P1,300-P2に接続される。
【0071】
また、図11の例では、IABノード300-Tに子ノード300-Cが接続される例を表している。子ノード300-Cに代えて、UE100がIABノード300-Tに接続されてもよい。また、IABノード300-Tに子ノード300-CとUE100とが双方接続されてもよい。
【0072】
なお、以下では、子ノード300-Cに、UE100が含まれるものとして説明する。従って、以下に示す実施形態において、IABノード300-Tに、子ノード300-CとUE100とがともに接続されてもよい。また、IABノード300-Tに、子ノード300-C又はUE100のいずれか一方が接続されてもよい。
【0073】
(バッファサイズの計算方法)
次に、第1の実施形態に係るバッファサイズ(BS)の計算方法について説明する。
【0074】
プリエンプティブBSRで報告されるBSは、上述したように、「プリエンプティブBSRがトリガされたIABノード300(図11の場合はIABノード300-T)のIAB-MTに到着することが期待されるデータの総量であって、IAB-MTにおいて現在利用可能なデータの総量は含まない。」というものである。そして、その具体的な計算方法は、実装依存となっている。
【0075】
例えば、一部のIABノード300が、ULデータの遅延を減らし、ULの伝送効率を高めるために、実際に必要なデータ量よりも多くのバッファサイズ値をプリエンプティブBSR利用して、親ノード300-Pへ報告する場合がある。しかし、これでは、一部のIABノード300が他よりも多くのリソースの割り当てを受けることになり、ドナーノード200によって構築されたトポロジ全体において、公平なリソース割り当てを保証することができない。
【0076】
そこで、第1実施形態では、上位ノードが、IABノード300に対して、BSの計算に用いる計算方法を設定する。これにより、各IABノード300は、共通の計算方法により、プリエンプティブBSRのBSを計算することができる。そのため、トポロジ全体で、公平なリソース割り当てを実現することが可能となる。また、各IABノード300は、共通の計算方法によりBSを計算するため、ドナーノード200を含む各IABノード300間で相互運用性を高めることが可能となる。
【0077】
次に、プリエンプティブBSRのBSの具体的な計算方法について説明する。計算方法としては、例えば、以下がある。
【0078】
(計算方法#1):BS=[今回のプリエンプティブBSRのBS値]-[報告済のプリエンプティブBSRのBS値]
【0079】
(計算方法#2):BS=[UL grant量]
【0080】
(計算方法#3):BS=[子ノード/UEから受信した最新のBSR]-[当該BSR受信後に子ノード/UEから既に受信したデータのデータ量]
【0081】
計算方法#1は、今回のプリエンプティブBSRに格納されるBS値から、報告済のプリエンプティブBSRに格納されるBS値を減算する計算方法である。すなわち、今回のプリエンプティブBSRのデータ量から、前回のプリエンプティブBSRで報告されたデータ量を減算した値をBS値とする計算方法である。計算方法#1では、報告済のBS値が減算されるため、IABノード300-Tは、親ノード300-Pに対して、重複したバッファサイズ(データ量)をプリエンプティブBSRとして報告することを防止できる。
【0082】
計算方法#2は、IABノード300-が子ノード300-Cに割り当てたリソース量(又はUL grant量)を、BS値として、プリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ報告する計算方法である。すなわち、IABノード300-Tは、子ノード300-Cに提供したUL grantの総量に基づいて、プリエンプティブBSRの期待されるデータ量(バッファサイズ)を決定する。計算方法#2は、UL grantによるリソース割り当て量を、プリエンプティブBSRのBS値としているため、親ノード300-PによるIABノード300-Tに対する無線リソースの浪費をできるだけ回避することが可能である。
【0083】
計算方法#3は、IABノード300-Tが子ノード300-Cから受信したレガシーBSRの合計量から、当該レガシーBSR受信後に子ノード300-Cから既に受信したデータのデータ量を減算した値を、プリエンプティブBSRのBS値とする計算方法である。計算方法#3は、プリエンプティブBSRのトリガタイミング(図9(B)と図9(C))に関わらず、BS値を計算できる。
【0084】
上述した3つの計算方法は一例である。従って、第1実施形態に係る計算方法は、3つの計算方法以外の他の計算方法も含まれてよい。
【0085】
(第1実施形態の動作例)
図12は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。図11に示すセルラ通信システム1の構成例を適宜用いて、動作例を説明する。
【0086】
図12に示すように、ステップS10において、IABノード300-Tの上位ノード(親ノード300-P又はドナーノード200)は、処理を開始する。
【0087】
ステップS11において、上位ノードは、複数のBSの計算方法の中から、1つの計算方法を決定する。例えば、上位ノードは、計算方法#1から計算方法#3のうち、いずれかの計算方法を決定する。
【0088】
なお、ステップS11において、上位ノードが計算方法を決定する前に、IABノード300-Tが上位ノードに対して、自身がサポートするBS計算方法を送信してもよい。この場合、IABノード300-Tは、自身のCapability情報として、自身がサポートするBS計算方法を上位ノードへ送信してもよい。上位ノードは、IABノード300-TがサポートするBS計算方法の中から、計算方法を決定する。
【0089】
ステップS12において、上位ノードは、決定したBS計算方法を、IABノード300-Tに設定する。
【0090】
上位ノードがドナーノード200の場合は、ドナーノード200のCUが、IABノード300-TのIAB-DUへ、決定した計算方法を含むF1APメッセージを送信することで、BSの計算方法を設定してもよい。また、上位ノードがドナーノード200の場合は、ドナーノード200のCUが、IABノード300-TのIAB-MTへ、決定した計算方法を含むRRCメッセージを送信することで設定してもよい。更に、上位ノードが親ノード300-Pの場合、親ノード300-PのIAB-DUが、IABノード300-TのIAB-MTへ、決定した計算方法を含むBAP Control PDU又はMAC CEなどを送信することで設定してもよい。
【0091】
また、上位ノードは、IABノード300-TにDual Connectivityが設定されている場合、IABノード300-TのIAB-MTに対して、セルグループ(MCG(Master Cell Group)とSCG(Secondary Cell Group))毎に、異なる計算方法を設定してもよい。例えば、上位ノードは、IABノード300-TのIAB-MTに対して、MCGは計算方法#1、SCGは計算方法#2を設定する、などである。この場合、セルグループとBSの計算方法とが紐づけられて設定されることになる。
【0092】
ステップS13において、IABノード300-TのIAB-MTは、設定された計算方法を用いて、プリエンプティブBSRのBS値を算出する。
【0093】
なお、IABノード300-Tは、何らかの理由により、設定された計算方法を変更してもよい。この場合、IABノード300-Tは、変更要求を上位ノードへ送信し、上位ノードは、変更要求に従って、ステップS12においてIABノード300-Tに設定した計算方法とは異なる計算方法を、当該IABノード300-Tに設定する。計算方法の設定は、ステップS12と同じ設定方法でもよい。
【0094】
ステップS14において、IABノード300-TのIAB-MTは、算出したBS値を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-Pへ送信する。
【0095】
そして、ステップS15において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0096】
(第1実施形態の変形例1)
次に、第1実施形態の変形例1について説明する。第1実施形態の変形例1は、プリエンプティブBSRのBSの計算方法を、IABノード300-Tが決定し、決定した計算方法を、IABノード300-Tの上位ノードへ送信する例である。
【0097】
具体的には、第1の中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、第1の計算方法を決定し、決定した第1の計算方法を、第1の中継ノードの上位ノード(例えば、親ノード300-P又はドナーノード200)へ送信する。
【0098】
これにより、例えば、ドナーノード200を含むIABノード300間において、BSの計算方法が共有され、第1実施形態と同様に、公平なリソース割り当てを実現し、相互運用性を高めることが可能となる。
【0099】
図13は、第1実施形態の変形例1に係る動作例を表す図である。
【0100】
図13に示すように、ステップS20において、IABノード300-Tは処理を開始する。
【0101】
ステップS21において、IABノード300-TのIAB-MTは、複数のBSの計算方法の中から、1つ計算方法を決定する。IABノード300-TのIAB-MTは、計算方法#1から計算方法#3の中からいずれか1つを選択することで、決定してもよい。また、IABノード300-Tは、Dual Connectivityが設定されている場合、セルグループ(CG:MCGとSCG)毎に、異なる計算方法を決定してもよい。この場合、CGと計算方法とが紐づけられることになる。
【0102】
ステップS22において、IABノード300-Tは、決定した計算方法を、上位ノード(例えば、ドナーノード200又は親ノード300-P)へ送信する。IABノード300-Tは、例えば、F1APメッセージ、RRCメッセージ、BAP Control PDU、又はMAC CEなどを用いて、決定したBS計算方法を送信してもよい。また、IABノード300-TのIB-MTは、Dual Connectivityが設定され、CG毎に異なる計算方法を決定した場合、MCGに含まれる親ノード300-P1と、SCGに含まれる親ノード300-P2へ、決定したBS計算方法をそれぞれ送信してもよい。この場合、IABノード300-Tは、決定した全BS計算方法を、ドナーノード200へ送信してもよい。いずれの場合も、例えば、IABノード300-Tは、F1APメッセージ、RRCメッセージ、BAP Control PDU、又はMAC CEなどを用いて、上位ノードへ、BS計算方法を送信する。
【0103】
ステップS23において、IABノード300-TのIAB-MTは、送信した計算方法を用いて、プリエンプティブBSRのBS値を算出する。
【0104】
なお、IABノード300-TのIAB-MTは、第1実施形態と同様に、ステップS22で送信した計算方法を、何らかの理由により、変更してもよい。この場合、IABノード300-TのIAB-MTは、変更後の計算方法を、上位ノードへ送信し、変更後の計算方法で、BS値を算出する。
【0105】
ステップS24において、IABノード300-Tは、算出したBS値を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-Pへ送信する。
【0106】
そして、ステップS25において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0107】
(第1実施形態の変形例2)
次に、第1実施形態の変形例2について説明する。
【0108】
プリエンプティブBSRの送信タイミング(以下、「トリガ」と称する場合がある。)の種別は、上述したように、子ノード300-CへのUL grant送信後のタイミング(図9(B))と、子ノード300-CからのレガシーBSRの受信後のタイミング(図9(C))との2種類がある。前者を「UL grantトリガ」、後者を「レガシーBSRトリガ」と称する場合がある。
【0109】
「UL grantトリガ」では、IABノード300-Tは、子ノード300-CへのUL grant送信後、子ノード300-Cからデータを受信する前に、親ノード300-Pへ、プリエンプティブBSRを送信する(図9(B))。他方、計算方法#3は、子ノード300-Cから受信した最新のBSR値に基づいてBSを計算する計算方法である。「UL grantトリガ」で、計算方法#3を実行する場合、IABノード300-Tは、子ノード300-CからレガシーBSRを受信し、計算方法#3を用いてBS値を計算できるにも関わらず、プリエンプティブBSRの送信を、UL grant後まで、待つことになる。そのため、「UL grantトリガ」において、計算方法#3を実行することは、必ずしも最適な計算方法であるとは言えない。
【0110】
また、「レガシーBSRトリガ」では、IABノード300-Tは、子ノード300-CからレガシーBSRを受信後、子ノード300-CへUL grantを送信する前に、親ノード300-Pへ、プリエンプティブBSRを送信する(図9(C))。他方、計算方法#2は、BS値を、UL grantを用いて子ノード300-Cに割り当てたリソース量として計算する計算方法である。「レガシーBSRトリガ」で計算方法#2を実行する場合、IABノード300-Tは、子ノード300-CへUL grantを送信して、その割り当て量を計算方法#2を用いて計算する前に、プリエンプティブBSRを送信する。そのため、「レガシーBSRトリガ」で、計算方法#2を実行することは、必ずしも最適な計算方法であるとは言えない。
【0111】
そこで、第1実施形態の変形例2では、プリエンプティブBSRのトリガ種別に応じて、プリエンプティブBSRのBSの計算方法を決定する。具体的には、第1の中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、プリエンプティブBSRの送信タイミングに応じて、プリエンプティブBSRのBSについての複数の計算方法の中から、第1の計算方法を決定する。
【0112】
これにより、例えば、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのトリガ種別に応じた最適な計算方法を用いて、プリエンプティブBSRのBS値を計算することが可能となる。
【0113】
図14は、第1実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
【0114】
図14に示すように、ステップS31において、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのトリガ種別を上位ノード(例えば、親ノード300-P又はドナーノード200)から設定される。又は、IABノード300-T自身がトリガ種別を決定する。例えば、上位ノードは、F1APメッセージ、RRCメッセージ、BAP Control PDU、又はMAC CEなどを利用して、トリガ種別を、IABノード300-Tに設定してもよい。IABノード300-Tは、自身でトリガ種別を設定した場合、設定したトリガ種別を、上位ノードへ送信してもよい。IABノード300-Tは、F1APメッセージなどを利用して、設定したトリガ種別を、上位ノードへ送信してもよい。
【0115】
ステップS32において、IABノード300-TのIAB-MTは、設定又は決定により使用するトリガ種別に基づいて、プリエンプティブBSRのBS値の計算方法を決定する。
【0116】
IABノード300-TのIAB-MTは、トリガ種別が「UL grantトリガ」の場合、BS値の計算方法として、UL grantを利用した計算方法を決定するようにしてもよい。このような計算方法としては、例えば、上述した計算方法#2がある。トリガ種別が「UL grantトリガ」の場合、IABノード300-Tは、子ノード300-CへUL grantを送信後に、プリエンプティブBSRを送信する。そのため、IABノード300-TのIAB-MTは、UL grantを送信後に、UL grantにより割り当てたリソース量に基づいて、BS値を計算可能である。そして、IABノード300-は、計算したBS値を含むプリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ送信することが可能である。
【0117】
また、IABノード300-TのIAB-MTは、トリガ種別が「レガシーBSRトリガ」の場合、BS値の計算方法として、レガシーBSRを利用した計算方法を決定するようにしてもよい。このような計算方法として、例えば、上述した計算方法#3がある。トリガ種別が「レガシーBSRトリガ」の場合、IABノード300-TのIAB-MTは、子ノード300-CからレガシーBSRを受信後に、プリエンプティブBSRを送信する。そのため、IABノード300-TのIAB-MTは、受信したBSRに基づいて、計算方法#3によりBS値を計算可能である。そして、その後、計算したBS値を含むプリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ送信することが可能である。
【0118】
以上のような計算方法の決定は、一例であって、IABノード300-Tは、トリガ種別に応じたBSの計算方法を決定すればよい。
【0119】
ステップS33において、IABノード300-TのIAB-MTは、決定したBSの計算方法を用いて、プリエンプティブBSRのBS値を算出する。
【0120】
ステップS34において、IABノード300-TのIAB-MTは、算出したBS値を含むプリエンプティブBSRを親ノード300-Pへ送信する。
【0121】
そして、ステップS35において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0122】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、プリエンプティブBSRのBS値の計算方法に関する実施形態である。ただし、第2実施形態では、IABノード300-Tがシングル接続の場合の例で説明する。シングル接続とは、例えば、図11に示すセルラ通信システム1の構成例において、IABノード300-Tに接続された親ノード300-Pの台数が1台の場合である。IABノード300-Tに接続された親ノード300-Pが複数の場合の例は、第3実施形態で説明する。
【0123】
ここで、IABノード300-Tが、子ノード300-CからレガシーBSRを受信して、親ノード300-Pへ、レガシーBSRを送信する場合(図9(A))の対象バッファサイズについて説明する。
【0124】
図15(A)は、第2実施形態に係るレガシーBSRの場合の対象BSの例を表す図である。ただし、子ノード300-C及び/又はUE100がIABノード300-Tに接続された例を表している。以下では、とくに断らない限り、子ノード300-CがIABノード300-Tに接続されているものとして説明する。
【0125】
図15(A)に示すように、子ノード300-C(のIAB-MT)は、レガシーBSRを、IABノード300-Tへ送信する(ステップS400)。レガシーBSRに含まれるBS値は、子ノード300-C(のIAB-MT)のPDCP、RLC、及びMACに存在する送信待ちのデータ量である。
【0126】
そして、IABノード300-TのIAB-DUは、UL grantを割り当てて(ステップS401)、子ノード300-Cからデータを受信する。
【0127】
その後、IABノード300-TのIAB-MTは、レガシーBSRを送信する(ステップS402)。レガシーBSRのBS値として報告する対象BS値は、IABノード300-TのIAB-MTのRLCとMACに存在するデータのデータ量となる。
【0128】
図15(B)は、第2実施形態に係るプリエンプティブBSRの場合の対象BSの例を表す図である。図15(B)は、図15(A)と同様に、IABノード300-Tが、子ノード300-CからレガシーBSRを受信し(ステップS410)、UL grantを子ノード300-Cへ送信する(ステップS411)例を表している。
【0129】
IABノード300-Tは、ステップS410の後、又はステップS411の後、プリエンプティブBSRを送信する。この場合に、プリエンプティブBSRのBS値として報告する対象BS値は、IABノード300-TのIAB-MTにおいてRLCよりも上位層に存在するデータ、IABノード300-TのIAB-DUに存在するデータ、及び子ノード300-Cに存在するデータである。これらを合わせたデータ量が、IAB-MTに到着することが期待されるデータの総量であって、IAB-MTにおいて現在利用可能なデータの総量を含まないデータ量となる。
【0130】
IABノード300-Tでは、子ノード300-Cから実際にデータが到着して、IAB-MTのRLCよりも上位層において処理されている最中に、これらのデータのデータ量をプリエンプティブBSRのBS値として報告する。これにより、IABノード300-Tでは、親ノード300-PからUL grantを受信した直後に、処理を終えたデータを、親ノード300-Pへ送信できるため、ULデータ送信の遅延解消を図ることができる。
【0131】
つまり、プリエンプティブBSRの理想的な対象BS値は、IABノード300-TのIAB-MTのRLCよりも上位層に存在するデータ、IABノード300-TのIAB-DUに存在するデータ、及び子ノード300-Cに存在するデータのデータ量となる。図15(B)では、点線で示されたレイヤに存在するデータのデータ量が理想的な対象BS値となり得る。
【0132】
第1実施形態で説明した計算方法#2は、プリエンプティブBSRのBS値を、UL grant(ステップS411)により割り当てたリソースとする計算方法である。計算方法#2では、IABノード300-Tにおいて、UL grant送信(ステップS411)前に受信済データのデータ量は含まれない。つまり、UL grant送信(ステップS411)前に、IAB-DUに存在するデータ及びIAB-MTのRLCよりも上位層にあるデータは、プリエンプティブBSRのBS値として報告されない。また、計算方法#2では、いつまでに送信したUL grantを、BS値として報告するかは明確ではない。そのため、IABノード300-TのIAB-MTのRLC又はMACまで転送されたデータが、プリエンプティブBSRのBS値として報告される場合がある。従って、計算方法#2では、図15(B)の点線で示す対象BSのすべてのデータを、プリエンプティブBSRのBS値とすることができない場合がある。
【0133】
また、第1実施形態で説明した計算方法#3は、レガシーBSR(ステップS410)のBS値から、子ノード300-Cから既に受信したデータのデータ量を減算した値をBS値とする計算方法である。そのため、計算方法#3では、IABノード300-TのIAB-MTのRLC又はMACへ転送されたデータをBS値として含めないようにすることが可能である。また、計算方法#3では、レガシーBSR(ステップS410)のBS値を含むため、ある時点で、子ノード300-Cに存在するデータのデータ量をBS値に含めることも可能である。ただし、この時点において、IABノード300-TのIAB-DUにおいて受信済データのデータ量は、BS値として含まれない。この場合、例えば、当該IAB-DUに受信処理に遅延が発生すると、IAB-MTへ転送されずに、IAB-DUに滞留するデータも、BS値に含まれなくなる場合がある。従って、計算方法#3、図15(B)の点線で示す対象BSのすべてのデータを、プリエンプティブBSRのBS値とすることができない場合がある。
【0134】
そこで、第2実施形態では、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、中継ノードの子ノード(例えば、子ノード300-C)から、バッファサイズ量X1を含むレガシーBSRを受信する。第2に、中継ノードが、子ノードへ、リソース量X2を含むアップリンクグラント(UL grant)を送信する。第3に、中継ノードが、子ノードから、データを受信する。第4に、中継ノードが、データを、当該中継ノードのIAB-MTへ転送する。第5に、中継ノードが、当該中継ノードのIAB-MTへ転送したデータ量をMとすると、(X1-M)又は(X2-M)のいずれかでバッファサイズを算出する。第5に、中継ノードが、算出したバッファサイズを含むプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノード(例えば、親ノード300-P)へ送信する。
【0135】
図16は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。適宜、図18(A)に示す数値等を参照して、動作例を説明する。なお、図18(A)は対象BSの例を表す図である。
【0136】
図16に示すように、ステップS40において、IABノード300-Tは、処理を開始する。
【0137】
ステップS41において、IABノード300-TのIAB-DUは、子ノード300-CからレガシーBSRを受信する。図18(A)に示すように、レガシーBSRには、データ量X1のBS値が含まれるものとする。
【0138】
図16に戻り、ステップS42において、IABノード300-TのIAB-DUは、子ノード300-Cへ、UL grantを送信する。図18(A)に示すように、UL grantにおいて割り当てたリソース量(又はデータ量)をX2とする。
【0139】
図16に戻り、ステップS43において、IABノード300-TのIAB-DUは、子ノード300-Cから、データを受信する。
【0140】
ステップS44において、IABノード300-TのIAB-DUは、受信したデータを、BAPを介して、IAB-MTへ転送する。図18(A)に示すように、IABノード300-TのIAB-DUが、BAPを介して、IAB-MTへ転送したデータのデータ量をMとする。
【0141】
なお、IABノード300-Tは、下記条件のいずれかが発生した場合、X1、X2、及びMをクリア(ゼロ)にする。これは、例えば、重複した計算を行わないようにするためである。
【0142】
条件1:ステップS41で受信したBSRを送信した子ノード300-Cと同一の子ノード300-Cから新たにレガシーBSRを受信した場合
条件2:ステップS42で送信したUL grantの送信先と同一の子ノード300-Cへ、新たにUL grantを送信した場合
【0143】
また、IABノード300-Tにおいて、IAB-MTへデータを転送することは、IAB-MTのBAPからIAB-MTのRLCへデータを転送することを含むものとする。更に、IABノード300-Tにおいて、IAB-DUに滞留するデータは、IAB-DUに滞留するデータとIAB-MTのBAPとに滞留するデータを含むものとする。
【0144】
ステップS45において、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのBS値を、以下のいずれかで算出する。
【0145】
BS=X1-M、又は
BS=X2-M
【0146】
ただし、ステップS45において、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのBS値を、以下のいずれかの式で算出してもよい。nは、IABノード300-Tに接続された子ノード300-Cの台数である。
【0147】
BS=X1n-Mn、又は
BS=X2n-Mn
(ただし、X1nは、X1のn台分の総和、X2nは、X2のn台分の総和、Mnは、Mのn台分の総和をそれぞれ表す。)
【0148】
このように、IABノード300-Tは、子ノード300-Cから受信したレガシーBSRに含まれるBS値から、IAB-DUがIAB-MTへ転送したデータのデータ量を減算した値を、プリエンプティブBSRのBS値として算出している。
【0149】
また、IABノード300-Tは、子ノード300-Cへ、UL grantにより割り当てたリソース量から、IAB-DUがIAB-MTへ転送したデータのデータ量を減算した値を、プリエンプティブBSRのBS値として算出している。
【0150】
このように、第2実施形態では、IAB-MTへ転送したデータのデータ量を減算した値、すなわち、IAB-DUに滞留するデータのデータ量が、プリエンプティブBSRのBS値の計算に用いられている。そのため、第2実施形態では、図15(B)の点線で示す理想的な対象BSを、BS値の計算に含めることが可能となるため、精度の高いBS値を計算することが可能となる。
【0151】
ステップS46において、IABノード300-Tは、算出したBS値を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-Pへ送信する。
【0152】
そして、ステップS47において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0153】
(第2の実施形態の変形例1)
次に、第2の実施形態の変形例1について説明する。第2実施形態の変形例1は、第2実施形態に係るBSの計算方法に対して、更に、IABノード300-TのIAB-DUに滞留するデータ量を加算して、プリエンプティブBSRのBS値を計算する計算方法である。
【0154】
具体的には、バッファサイズを算出する際に、中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、子ノード(例えば、子ノード300-C)から受信したデータ量をDとすると、(X1+(D-M))又は(X2+(D-M))のいずれかで、バッファサイズを算出する。ここで、X1は、IABノード300-Tが子ノード300-Cから受信したレガシーBSRに含まれるBS値を表す。また、X2は、IABノード300-Tが、子ノード300-Cへ送信したUL grantに含まれる割り当てリソース量を表す。更に、Mは、IABノード300-Tにおいて、IAB-MTへ転送されたデータのデータ量を表す。
【0155】
図17は、第2実施形態の変形例1に係る動作例を表す図である。適宜、図18(B)に示す数値等を参照して、動作例を説明する。なお、図18(B)は、対象BSの例を表す図である。
【0156】
図17に示すように、ステップS50において、IABノード300-Tは、処理を開始する。
【0157】
ステップS51とステップS52とは、第2実施形態のステップS41とステップS42(図16)とそれぞれ同一である。
【0158】
ステップS53において、IABノード300-TのIAB-DUは、子ノード300-Cからデータを受信する。図18(B)に示すように、子ノード300-Cから受信したデータ量をDとする。
【0159】
図17に戻り、ステップS54において、IABノード300-TのIAB-DUは、BAPを介して、IAB-MTへ、受信したデータを転送する。図18(B)に示すように、IAB-MTへの転送量をMとする。Mは、Dの一部であってもよいし、全部であってもよい。
【0160】
ただし、IABノード300-TのIAB-MTは、下記条件のいずれかが発生した場合に、IAB-DUに滞留するデータ量B(=D-M)をメモリに記憶し、X1、X2、及びMをクリア(ゼロ)する。これは、例えば、重複した計算を行わないようにするためである。
【0161】
条件3:ステップS51で受信したレガシーBSRを送信した子ノード300-Cと同一の子ノード300-Cから新たにレガシーBSRを受信した場合
条件4:ステップS52で送信したUL grantの送信先と同一の子ノード300-Cへ、新たにUL grantを送信した場合
【0162】
ステップS55において、IABノード300-TのIAB-MTは、プリエンプティブBSRのBS値を以下のいずれかで算出する。
【0163】
BS=X1+B、又は
BS=X2+B
【0164】
ただし、ステップS55において、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのBS値を、以下のいずれかの式で算出してもよい。nは、IABノード300-Tに接続された子ノード300-Cの台数である。
【0165】
BS=X1n+Bn、又は
BS=X2n+Bn
(ただし、Bnは、Bのn台分の総和を表す。)
【0166】
このように、IABノード300-Tは、子ノード300-Cから受信したレガシーBSRに含まれるBS値(X1)に対して、IAB-DUに滞留するデータ量B(=D-M)を加算した値を、プリエンプティブBSRのBS値として算出している。
【0167】
また、IABノード300-Tは、子ノード300-Cへ、UL grantにより割り当てたリソース量(X2)に対して、IAB-DUに滞留するデータ量B(=D-M)を加算した値を、プリエンプティブBSRのBS値として算出している。
【0168】
このように第2実施形態の変形例2では、IABノード300-Tが実際に受信したデータのデータ量Dから、IAB-DUに滞留するデータ量Bを計算しているため、より精度の高いBS値を計算することができる。
【0169】
図17に戻り、ステップS56において、IABノード300-Tは、算出したBS値を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-Pへ送信する。
【0170】
そして、ステップS57において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0171】
(第2実施形態の変形例2)
次に、第2実施形態の変形例2を説明する。第2実施形態の変形例2は、IAB-DUに滞留するデータ量を、レガシーBSRにより報告する例である。
【0172】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、中継ノードの子ノード(例えば、子ノード300-C)から、第1のレガシーBSRを受信する。第2に、中継ノードが、子ノードへ、アップリンクグラント(UL grant)を送信する。第3に、中継ノードが、子ノードから、データを受信する。第4に、中継ノードが、第1のレガシーBSRを受信した時点、又は、アップリンクグラントを送信した時点、において、当該中継ノードのIAB-DUに滞留するデータ量をバッファサイズに含む第2のレガシーBSRを、中継ノードの親ノード(例えば、親ノード300-P)へ送信する。
【0173】
図19は、第2実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
【0174】
図19に示すように、ステップS60において、IABノード300-Tは、処理を開始する。
【0175】
ステップS61からステップS63は、第2実施形態のステップS41からステップS43(図16)とそれぞれ同一である。
【0176】
ステップS64において、IABノード300-Tは、IAB-DUに滞留するデータ量をBS値として算出する。例えば、IABノード300-TのIAB-MT(又はIAB-DU)は、子ノード300-CからレガシーBSRを受信した時点(ステップS61)においてIAB-DUに滞留するデータ、又は、子ノード300-CへUL grantを送信した時点(ステップS62)においてIAB-DUに滞留するデータを、BS値として算出する。
【0177】
ここで、IAB-DUに滞留するデータ量は、具体的には、IAB-DUが子ノード300-Cから受信したデータのデータ量Dであってもよい。そのため、IAB-DUは、子ノード300-Cから受信したデータのデータ量Dを取得してもよい。また、IAB-DUに滞留するデータ量は、第2実施形態の変形例1と同様に、B=D-Mであってもよい。そのため、IABノード300-TのIAB-MTは、IAB-DUで受信したデータのデータ量Dと、IAB-MTへ転送したデータのデータ量Mとを取得してもよい。
【0178】
ステップS65において、IABノード300-TのIAB-MTは、IAB-DUに滞留するデータ量をBS値として含むレガシーBSRを、親ノード300-Pへ送信する。
【0179】
そして、ステップS66において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0180】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態と同様に、プリエンプティブBSRのBS値を計算する計算方法に関する実施形態である。ただし、第3実施形態では、第2実施形態と異なり、Dual Connectivityが設定された場合のBS値の計算方法に関する実施形態である。
【0181】
IABノード300-Tが、プリエンプティブBSRのBS値を計算した場合、マスタセルグループ(MCG)及びセカンダリセルグループ(SCG)にどのようにBS値を分配するかが問題となる場合がある。
【0182】
一方、ドナーノード200は、トポロジ内の各IABノード300に対して、ルーティング設定を行い、受信したパケットをどのIABノード300に転送するかを制御している。従って、ドナーノード200は、ルート毎の負荷予測を行って、ルーティング設定を行う場合がある。
【0183】
また、ドナーノード200は、各IABノード300から送信された測定報告又は状況報告、更に、ドナーノード200自身が受信したパケットから、各ルートの送信実績を把握することが可能である。
【0184】
そこで、第3実施形態では、ドナーノード200が、IABノード300に対して、BS値の割り振り率を設定する。そして、IABノード300は、割り振り率に従って、プリエンプティブBSRのBS値をセルグループ(CG)毎に分配し、分配されたBS値を含む各プリエンプティブBSRを、MCGとSCGへ送信する。
【0185】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、算出したバッファサイズを、割り振り率に従って、第1のバッファサイズ及び第2のバッファサイズに分配する。第2に、中継ノードが、第1のバッファサイズを含む第1のプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノードである第1の親ノード(例えば、IABノード300-P1)へ送信し、第2のバッファサイズを含む第2のプリエンプティブBSRを、中継ノードの親ノードである第2の親ノード(例えば、IABノード300-P2)へ送信する。ここで、第1の親ノードはメインセルグループ(MCG)に含まれ、第2の親ノードはセカンダリセルグループ(SCG)に含まれる。また、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)が、割り振り率を、中継ノードに設定する。
【0186】
(第3実施形態の構成例)
図20は、第3実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を表す図である。
【0187】
図20に示すように、セルラ通信システム1は、IABノード300-Tに対して、2つの親ノード300-P1,300-P2を有する。2つの親ノード300-P1,300-P2も、ドナーノード200配下のトポロジ内のIABノードである。
【0188】
IABノード300-Tと、2つのIABノード300-P1,300-P2には、Dual Connectivityが設定されている。このため、IABノード300-Tは、2つの親ノード300-P1,300-P2と接続可能となっている。
【0189】
図20に示す例では、親ノード300-P1がMCGに含まれるセル(又はノード)であり、親ノード300-P2がSCGに含まれるセル(又はノード)である。親ノード300-P1がSCGに含まれ、親ノード300-P2がMCGに含まれてもよい。
【0190】
なお、それ以外の構成は、第2実施形態と同様である。
【0191】
(第3実施形態の動作例)
図21は、第3実施形態の動作例を表す図である。
【0192】
図21に示すように、ステップS70において、ドナーノード200は、処理を開始する。
【0193】
ステップS71において、ドナーノード200は、IABノード300-TのMCG及びSCGに対して、パケットの送信比率を推定する。例えば、ドナーノード200は、ルーティング設定時の負荷予測、又は、各IABノード300からの測定報告又は状況報告等に基づいて、パケットの送信比率を推定してもよい。
【0194】
ステップS72において、ドナーノード200は、IABノード300-Tへ、パケットの割り振り率を設定する。例えば、ドナーノード200は、ステップS71で推定したパケットの送信比率に基づいて、パケットの割り振り率を決定する。パケットの送信比率とパケットの割り振り率は同じでもよいし、異なっていてもよい。ドナーノード200のCUは、IABノード300-Tに対して、F1APメッセージ、又はRRCメッセージなどを利用して、パケットの割り振り率を送信することで、割り振り率の設定を行ってもよい。
【0195】
ステップS73において、IABノード300-Tは、プリエンプティブBSRのBS値を算出し、当該BS値を、割り振り率に従って、CG毎に分配する。IABノード300-TのIAB-DUが、割り振り率に従って、算出したBS値を、MCGに対応するBS#1と、SCGに対応するBS#2とに分配し、BS#1とBS#2とを、IAB-MTへ通知してもよい。又は、IABノード300-TのIAB-MTが、割り振り率に従って、BS値を、MCGに対応するBS#1と、SCGに対応するBS#2とに分配してもよい。ここで、BS=BS#1+BS#2である。
【0196】
ステップS74において、IABノード300-TのIAB-MTは、CG毎のBS値を含む各プリエンプティブBSRを、各CGへ送信する。例えば、IAB-MTのMCG MACは、BS#1を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-P1へ送信する。また、例えば、IAB-MTのSCG MACは、BS#2を含むプリエンプティブBSRを、親ノード300-P2へ送信する。
【0197】
そして、ステップS75において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0198】
このように、第3実施形態では、IABノード300-Tが、ドナーノード200によって設定された割り振り率に従って、BS値を分配し、分配されたBS値を含むプリエンプティブBSRを、各CGへ送信する。これにより、例えば、ドナーノード200による負荷予測、又は各IABノード300からの測定報告等に対応するBS値を、IABノード300-Tが各親ノード300-P1,300-P2へ報告することが可能となる。
【0199】
(第3実施形態の変形例1)
次に、第3実施形態の変形例1を説明する。第3実施形態の変形例1は、第3実施形態で説明したCG毎の割り振り率を1/2(又は1:1)に固定にする例である。具体的には、割り振り率は、算出したバッファサイズの1/2にする例である。
【0200】
ドナーノード200は、上述したルーティング設定の際に、各ルートについて、バランスをとるように設定する場合がある。
【0201】
そこで、第3実施形態の変形例1では、そのような、ドナーノード200によるルーティング設定を考慮して、BS値についてのCG毎の割り振り率を1/2とする例である。
【0202】
第3実施形態の変形例1では、割り振り率が1/2で固定であるため、第3実施形態のように、ドナーノード200は、割り振り率を、IABノード300-Tに設定することはしない。それ以外は、第3実施形態と同様の動作を行う。IABノード300-Tは、固定である(又はハードコーディングによる)割り振り率に従って、算出したBSをCG毎に分配する。そして、IABノード300-Tは、分配したBSを含む各プリエンプティブBSRを各CGへ送信する。
【0203】
第3実施形態の変形例1では、ドナーノード200によるIABノード300-Tに対する割り振り率の設定が行われないため、第3実施形態と比較して、処理軽減を図ることが可能である。
【0204】
(第3実施形態の変形例2)
次に、第3実施形態の変形例2について説明する。第3実施形態では、ドナーノード200が割り振り率を決定したが、IABノード300-T自身も、各CGに対する過去のトラフィックの実績に基づいて、割り振り率を決定することは可能である。すなわち、第3実施形態の変形例2は、BS値についてのCG毎の割り振り率を、IABノード300-Tが決定する例である。具体的には、中継ノード(例えば、IABノード300-T)が、当該中継ノードに流入するパケットと流出するパケットの履歴に基づいて、割り振り率を決定する。
【0205】
図22は、第3実施形態の変形例2に係る動作例を表す図である。
【0206】
図22に示すように、ステップS80において、IABノード300-Tは、処理を開始する。
【0207】
ステップS81において、IABノード300-Tは、CG毎に、流入パケット及び/又は流出パケットの履歴を記録する。例えば、IABノード300-TのIAB-DUは、CG毎に流入パケットの履歴をメモリに記録し、IABノード300-TのIAB-MTは、CG毎に流出パケットの履歴を当該メモリに記録する。
【0208】
ステップS82において、IABノード300-Tは、履歴に基づいて、MCG及びSCGの割り振り率を決定する。IABノード300-TのIAB-MTは、メモリに記録された、過去、所定時間分の履歴を読み出して、CG毎に平均値をとって、当該平均値に基づいて、割り振り率を決定してもよい。又は、IABノード300-TのIAB-MTは、メモリに記録された、過去、所定パケット数分の履歴を読み出して、CG毎のパケット数を取得し、CG毎のパケット数に基づいて、割り振り率を決定してもよい。所定時間は、数秒から数十秒でもよいし、それより長い時間であってもよい。また、所定パケット数は、数十から数千個のパケット数でもよいし、それ以上の個数のパケットでもよい。
【0209】
ステップS83において、IABノード300-TのIAB-MTは、割り振り率に従って、BS値を、CG毎に分配する。例えば、IABノード300-TのIAB-MTは、割り振り率に従って、BS値を、MCGに対してBS#1、SCGに対してBS#2に分配する。ここで、BS=BS#1+BS#2である。
【0210】
ステップS84において、IABノード300-TのIAB-MTは、CG毎に分配されたBS値を含む各プリエンプティブBSRを各CGへそれぞれ送信する。例えば、IABノード300-TのIAB-MT(のMCG MAC)は、BS#1を含むプリエンプティブBSRを、MCGに含まれる親ノード300-P1へ送信する。また、IABノード300-TのIAB-MT(のSCG MAC)は、BS#2を含むプリエンプティブBSRを、SCGに含まれる親ノード300-P2へ送信する。
【0211】
そして、ステップS85において、IABノード300-Tは、一連の処理を終了する。
【0212】
(第3実施形態のその他の変形例)
上述した第3実施形態において、ドナーノード200が、IABノード300-Tへ、BS値の割り振り率を送信する例について説明したが、これに限らない。例えば、ドナーノード200は、親ノード300-P1及び300-P2へ、BS値の割り振り率を送信してもよい。この場合、IABノード300-Tは、同一のBS値を格納したプリエンプティブBSRを、MCG及びSCG(つまり、親ノード300-P1及び300-P2)へ送信する。当該BS値は、第1実施形態及び/又は第2実施形態に従って算出してもよい。IABノード300-Tから送信されたプリエンプティブBSRを受信した親ノード300-P1及び300-P2は、ドナーノード200から受信した割り振り率を用いて、自身宛てのBS値を算出する。例えば、親ノード300-P1は、プリエンプティブBSRに格納されたBS値として「BS」を受信した場合、ドナーノード200から受信した割り振り率に従って、「BS#1」のBS値を得る。また、例えば、親ノード300-P2は、プリエンプティブBSRに格納されたBS値として「BS」を受信した場合、ドナーノード200から受信した割り振り率に従って、「BS#2」のBS値を得る。ここで、「BS」=「BS#1」+「BS#2」である。これにより、親ノード300-P1及び300-Pは、適切なリソース量のUL grantをIABノード300-Tへ送信することができる。
【0213】
第3実施形態の変形例2において、IABノード300-TがBS値の割り振り率を決定し、当該割り振り率を用いて、プリエンプティブBSRのBS値を算出する例を説明したが、これに限らない。IABノード300-Tは、決定した割り振り率をMCG及びSCG(つまり親ノード300-P1及び300-P2)へ送信してもよい。親ノード300-P1及び300-P2は、上述した例と同様に、報告されたプリエンプティブBSRのBS値に対して、IABノード300-Tから受信した割り振り率を用いて、自身宛てのBS値を算出する。これにより、上述した例と同様に、親ノード300-P1及び300-P2は、適切なリソース量のUL grantをIABノード300-Tへ送信することができる。
【0214】
(その他の実施形態)
UE100、gNB200、又はIABノード300が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM又はDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0215】
また、UE100、gNB200、又はIABノード300が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100、gNB200、又はIABノード300の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC(System on a chip))として構成してもよい。
【0216】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態の全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【0217】
日本国特許出願第2021-080063号(2021年5月10日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0218】
10 :移動通信システム
100 :UE
110 :無線通信部
120 :制御部
200 :gNB(ドナーノード)
210 :無線通信部
220 :ネットワーク通信部
230 :制御部
300(300-1,300-2,300-T):IABノード
300-C:子ノード300-P:親ノード
310 :無線通信部
320 :制御部
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