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特許7614370ハイブリッド車の制御方法及び車両制御ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド車の制御方法及び車両制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/20 20160101AFI20250107BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20250107BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20250107BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20250107BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20250107BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20250107BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250107BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250107BHJP
【FI】
B60W20/20
B60K6/442 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
F02D29/06 H
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023540637
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2021083380
(87)【国際公開番号】W WO2022183549
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202110228793.2
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼冬生
(72)【発明者】
【氏名】王春生
(72)【発明者】
【氏名】白云▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼明文
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼国祥
(72)【発明者】
【氏名】王学超
(72)【発明者】
【氏名】王吉全
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182550(JP,A)
【文献】特開平11-229916(JP,A)
【文献】特表2013-513520(JP,A)
【文献】特開2018-154230(JP,A)
【文献】特開2015-202807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0324754(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02902287(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/20
B60K 6/442
B60W 10/06
B60W 10/08
F02D 29/06
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を車輪側に選択的に出力するエンジンと、動力を前記車輪側に出力する駆動用モータと、前記エンジンに接続されて、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機と、前記駆動用モータに給電し、前記発電機又は前記駆動用モータから出力された交流電流に基づいて充電され、容量が第1の所定の容量以上である動力電池と、を含むハイブリッド車の制御方法であって、
ハイブリッド車の走行パラメータを取得するステップと、
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御し、前記動力電池に充放電制御を行うことにより、前記エンジンがエコゾーンで動作するステップと、
直列モード、並列モード及びEVモードでの前記ハイブリッド車の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードを前記ハイブリッド車の現在の動作モードとして選択するステップと、
前記走行パラメータに基づいて、前記ハイブリッド車を直列モード、並列モード又はEVモードで動作するように制御するステップと、を含
前記走行パラメータは、車輪側要求トルク、前記動力電池のSOC及び前記ハイブリッド車の車速のうちの少なくとも1つを含む、
ハイブリッド車の制御方法。
【請求項2】
前記エンジンがエコゾーンで動作するとき、
前記動力電池のSOCが第1の所定の値以上であれば、前記エンジンを最適なエコラインで動作するように制御し、或いは、前記動力電池のSOCが第1の所定の値より小さく、かつ前記エンジンの出力電力が車輪側要求電力以上であれば、前記エンジンを最適なエコラインで動作するように制御し、
前記第1の所定の値の大きさは、前記第1の所定の容量の大きさと逆相関関係にある、請求項1に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項3】
前記ハイブリッド車が直列モードにあるとき、前記エンジンは、前記発電機により前記動力電池を充電し、前記ハイブリッド車が並列モードにあるとき、前記エンジンは、前記駆動用モータにより前記動力電池を充電する、請求項1又は2に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項4】
前記ハイブリッド車が並列モードにあるとき、前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記車輪側要求トルクを決定するステップと、
前記車輪側要求トルクが前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクより小さい場合、前記車輪側要求トルクに応答するように、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するとともに、前記エンジンから出力された余分なエネルギーを用いて前記駆動用モータにより前記動力電池を充電するように、前記駆動用モータを駆動して発電するように前記エンジンを制御するステップと、
前記車輪側要求トルクが前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクより大きい場合、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するとともに、前記動力電池及び前記エンジンが共に前記車輪側要求トルクに応答するように、前記動力電池を前記駆動用モータに給電するように制御するステップと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項5】
前記ハイブリッド車が直列モードにあるとき、前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記車輪側要求トルク及び前記車速に基づいて車輪側要求電力を決定するステップと、
前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクに基づいて発電機を発電するように駆動し、かつ駆動用モータにより動力を前記車輪側に出力するように、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて前記発電機により前記動力電池を充電するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、前記エンジン及び前記動力電池が共に前記車輪側要求電力に応答するように、前記動力電池を前記駆動用モータに給電するように制御するステップと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項6】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記ハイブリッド車の車速が所定の車速閾値以上である場合、前記動力電池のSOC及び前記ハイブリッド車の車速に基づいて、前記ハイブリッド車が並列モードに入る第1の車輪側トルク閾値と、並列モードから出る第2の車輪側トルク閾値とを決定し、かつ前記車輪側要求トルクが前記第1の車輪側トルク閾値以上で前記第2の車輪側トルク閾値以下である場合、前記ハイブリッド車を並列モードに入るように制御するステップと、
前記車輪側要求トルクが前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクより大きければ、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するとともに、前記エンジン及び前記動力電池が共に前記車輪側要求トルクに応答するように、前記動力電池を前記駆動用モータに給電するように制御するステップと、
前記車輪側要求トルクが前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクより小さければ、前記車輪側要求トルクに応答するように、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するとともに、前記エンジンから出力された余分なエネルギーを用いて前記駆動用モータにより前記動力電池を充電するように、前記駆動用モータを駆動して発電するように前記エンジンを制御するステップと、
前記車輪側要求トルクが前記エンジンのエコラインで動作するときの出力トルクと等しければ、単独で前記車輪側要求トルクに応答するように、前記エンジンをエコラインで動作するように制御するステップと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項7】
前記第1の車輪側トルク閾値及び前記第2の車輪側トルク閾値の大きさは、前記動力電池のSOCの大きさと正相関関係にある、請求項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項8】
前記ハイブリッド車が並列モードで動作するとき、前記エンジンが動作に関与する車速は、前記動力電池のSOCの大きさと逆相関関係にある、請求項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項9】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記車輪側要求トルクが前記第1の車輪側トルク閾値より小さい場合、動作を停止するように前記エンジンを制御するとともに、前記動力電池により前記車輪側要求トルクに応答するように、前記動力電池を前記駆動用モータに給電するように制御するステップを更に含む、請求項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項10】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記車輪側要求トルクが前記第2の車輪側トルク閾値より大きい場合、前記ハイブリッド車を直列モードに入るように制御するステップと、
前記車輪側要求トルク及び前記車速に基づいて車輪側要求電力を決定するステップと、
前記エンジンの最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて、発電機を発電するように駆動し、かつ駆動用モータにより動力を前記車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するように前記エンジンを制御するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて前記発電機により前記動力電池を充電するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジンの出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、前記エンジンをエンジンのエコラインで動作するように制御するステップと、を更に含む、請求項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項11】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記ハイブリッド車の車速が所定の車速閾値より小さい場合、前記動力電池のSOC及び前記車速に基づいて、前記ハイブリッド車が直列モードに入る第3の車輪側トルク閾値を決定し、かつ前記車輪側要求トルクが前記第3の車輪側トルク閾値以上である場合、前記ハイブリッド車を直列モードに入るように制御するステップと、
前記車輪側要求トルク及び前記車速に基づいて、車輪側要求電力を決定するステップと、
前記エンジンの最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて、発電機を発電するように駆動し、かつ駆動用モータにより動力を前記車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するように前記エンジンを制御するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて前記発電機により前記動力電池を充電するステップと、
前記発電機の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジンの出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、前記エンジンをエンジンのエコラインで動作するように制御するステップと、を更に含む、請求項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項12】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記発電機の発電電力が前記車輪側要求電力より小さい場合、現在動力電池のSOCが第2の所定の値より小さいか否かを確認し、小さければ、前記エンジンの出力電力を車輪側要求電力に応答するように制御し、かつ前記発電機により前記動力電池を充電するように、前記エンジンの出力電力を増加し続けるように制御するステップを更に含む、請求項10又は11に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項13】
前記走行パラメータに基づいて前記エンジン、前記駆動用モータ及び前記発電機を制御するステップは、
前記車輪側要求トルクが前記第3の車輪側トルク閾値より小さい場合、動作を停止するように前記エンジンを制御するとともに、前記動力電池により前記車輪側要求トルクに応答するように、前記動力電池を前記駆動用モータに給電するように制御するステップを更に含む、請求項11に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項14】
前記第3の車輪側トルク閾値の大きさは、前記動力電池のSOCの大きさと正相関関係にある、請求項11又は13に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項15】
前記ハイブリッド車が直列モードで動作するとき、
前記動力電池のSOCが第1の所定の区間にあれば、前記エンジンを第1のエコラインで動作するように制御し、
前記動力電池のSOCが第2の所定の区間にあれば、前記エンジンを第2のエコラインで動作するように制御し、前記第2の所定の区間の上限は、前記第1の所定の区間の下限以下であり、前記第1のエコラインは、直列モードでの最適なエコラインであり、同じ回転数で、前記エンジンの前記第2のエコラインで動作する出力トルクは、前記エンジンの前記第1のエコラインで動作する出力トルク以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項16】
前記ハイブリッド車が並列モードで動作するとき、
前記動力電池のSOCが第3の所定の区間にあれば、前記エンジンを第3のエコラインで動作するように制御し、
前記動力電池のSOCが第4の所定の区間にあれば、前記エンジンを第4のエコラインで動作するように制御し、
前記動力電池のSOCが第5の所定の区間にあれば、前記エンジンを第5のエコラインで動作するように制御し、前記第5の所定の区間の上限は、前記第4の所定の区間の下限以下であり、前記第4の所定の区間の上限は、前記第3の所定の区間の下限以下であり、前記第3のエコラインは、並列モードでの最適なエコラインであり、前記第5のエコラインは、前記エンジンの外部特性線とほぼ一致し、前記第4のエコラインは、前記第5のエコラインと第3のエコラインとの間にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項17】
前記ハイブリッド車がEVモードで動作するとき、
前記動力電池のSOCが第3の所定の値より小さければ、前記動力電池のSOC、前記車速及び前記車輪側要求トルクに基づいて、前記ハイブリッド車を直列モード又は並列モードで動作するように制御し、かつ前記エンジンをエコゾーンで動作するように制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法。
【請求項18】
プロセッサにより実行されると、請求項1~17のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法を実現するハイブリッド車の制御プログラムが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、かつプロセッサで実行可能なハイブリッド車の制御プログラムとを含み、前記プロセッサは、前記ハイブリッド車の制御プログラムを実行すると、請求項1~17のいずれか一項に記載のハイブリッド車の制御方法を実現する、車両制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、出願番号202110228793.2、出願日2021年3月2日の中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両の技術分野に関し、特にハイブリッド車の制御方法及び車両制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
ハイブリッド自動車の発展に伴い、ユーザのハイブリッド自動車の経済性に対する要求が益々高くなっている。現在のハイブリッドシステムアーキテクチャ及びそのポリシーにより、車両のエネルギー消費が最適になることができないため、ユーザのハイブリッド自動車の経済性に対する要求を満たすことができず、ユーザの使用への期待を満たすことができない。
【0004】
例えば、従来の純粋なレンジエクステンダー式ハイブリッド自動車では、そのシステムアーキテクチャにおいて、エンジンにより発電機の発電を駆動してから、電力を駆動用モータに提供してこそ駆動することができるため、エンジンの直接駆動の高効率の中高速モードであっても、発電機によりエネルギーを変換する必要があり、大きな損失が存在し、エネルギー消費が中高速モードで最適になることができず、更に自動車の経済性が低下することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、関連技術の技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。そのため、本開示の第1の目的は、ハイブリッド車が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないようにすることにより、ハイブリッド車の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる、ハイブリッド車の制御方法を提供することである。
【0006】
本開示の第2の目的は、コンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【0007】
本開示の第3の目的は、車両制御ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施例は、ハイブリッド車の制御方法を提供し、ハイブリッド車は、動力を車輪側に選択的に出力するエンジンと、動力を車輪側に出力する駆動用モータと、エンジンに接続されて、エンジンによって駆動されて発電する発電機と、駆動用モータに給電し、発電機又は駆動用モータから出力された交流電流に基づいて充電され、容量が第1の所定の容量以上である動力電池と、を含み、制御方法は、ハイブリッド車の走行パラメータを取得するステップと、走行パラメータに基づいてエンジン、駆動用モータ及び発電機を制御し、動力電池に充放電制御を行うことにより、エンジンがエコゾーンで動作するステップと、直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車の現在の動作モードとして選択するステップと、を含む。
【0009】
本開示の実施例に係るハイブリッド車の制御方法では、ハイブリッド車の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいてエンジン、駆動用モータ及び発電機を制御し、動力電池に充放電制御を行うことにより、エンジンが動作状態時に常にエコゾーンで動作し、そして直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車の現在の動作モードとして選択する。これにより、ハイブリッド車が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たす。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第2の態様の実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体には、プロセッサにより実行されると、前述のハイブリッド車の制御方法を実現するハイブリッド車の制御プログラムが記憶されている。
【0011】
本開示の実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体は、前述のハイブリッド車の制御方法により、ハイブリッド車が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる。
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の第3の態様の実施例に係る車両制御ユニットは、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、かつプロセッサで実行可能なハイブリッド車の制御プログラムとを含み、プロセッサは、ハイブリッド車の制御プログラムを実行すると、前述のハイブリッド車の制御方法を実現する。
【0013】
本開示の実施例に係る車両制御ユニットは、前述のハイブリッド車の制御方法により、ハイブリッド車が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる。
【0014】
本開示の付加的な態様及び利点については、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】本開示の第1の実施例に係るハイブリッドシステムの概略構成図である。
図1b】本開示の第2の実施例に係るハイブリッドシステムの概略構成図である。
図2】本開示の一実施例に係るエンジンの最適なエコポイントを示す概略図である。
図3】本開示の一実施例に係る電力不足モードでの異なる駆動方式の割合を示す図である。
図4】本開示の一実施例に係る直列モードでのエンジンのエコラインを示す概略図である。
図5】本開示の一実施例に係る並列モードでのエンジンのエコラインを示す概略図である。
図6a】-
図6b】本開示の一実施例に係るハイブリッドシステムの制御フローチャートである。
図7】本開示の一実施例に係るハイブリッドシステムの制御ポリシーを示す概略図である。
図8a】-
図8b】本開示の一実施例に係る駆動用モータの効率を示す概略図である。
図9】本開示の一実施例に係るエンジンの効率及び動作点を示す概略図である。
図10】本開示の第3の実施例に係るハイブリッドシステムの概略構成図である。
図11】本開示の一実施例に係るハイブリッド車の概略図である。
図12】本開示の一実施例に係るハイブリッド車の制御方法のフローチャートである。
図13】本開示の一実施例に係る車両制御ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示されるが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは、同一又は類似の機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本開示を解釈するためのものであり、本開示を限定するものとして理解してはならない。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例に係るハイブリッドシステム100、ハイブリッド車1000及びその制御方法、車両制御ユニット2000、並びにコンピュータ可読記憶媒体を説明する。
【0018】
図1aは、本開示の一実施例に係るハイブリッドシステム100の概略構成図である。図1aに示すように、該ハイブリッドシステム100は、エンジン10、駆動用モータ20、発電機30、動力電池40及びコントローラ50を含んでもよい。
【0019】
エンジン10は、動力を車輪側に選択的に出力する。駆動用モータ20は、動力を車輪側に出力する。発電機30は、エンジン10に接続されて、エンジン10によって駆動されて発電する。動力電池40は、駆動用モータ20に給電し、発電機30又は駆動用モータ20から出力された交流電流に基づいて充電され、容量が第1の所定の容量以上である。コントローラ50は、ハイブリッド車1000の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御し、動力電池40に充放電制御を行うことにより、エンジン10がエコゾーンで動作し、直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車1000の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車1000の現在の動作モードとして選択するように構成される。
【0020】
具体的には、エンジン10は、アトキンソンサイクルエンジン10であってもよく、エンジン10と車輪側との間にクラッチC1が設置され、コントローラ50は、クラッチC1の分離及び結合を制御してエンジン10と車輪側との接続及び分離を制御することにより、エンジン10が動力を車輪側に選択的に出力することができ、このようにして、エンジン10の直接駆動、即ち、エンジン10による動力の車輪側への直接出力を実現することができる。例えば、コントローラ50がクラッチC1を分離するように制御する場合、エンジン10は、車輪側と分離し、動力を車輪側に直接的に出力せず、これに対して、コントローラ50がクラッチC1を結合するように制御する場合、エンジン10は、車輪側に接続され、動力を車輪側に直接的に出力して、エンジン10の直接駆動が実現される。従来の純粋なレンジエクステンダー式ハイブリッド自動車に比べて、該アーキテクチャは、エンジン10の直接駆動経路を有するため、従来の純粋なレンジエクステンダー式ハイブリッド自動車にエンジン10の直接駆動経路が欠けて、エンジン10が非常に高効率であっても(エンジン10の回転数及びトルクがいずれも高効率であっても)、発電機30により発電してから駆動のために電力を駆動用モータ20に提供することにより引き起こされたエネルギー変換損失と、動力電池40が頻繁に充放電状態で動作することにより引き起こされた更なるエネルギー変換損失とを回避することができ、車両の経済性が効果的に向上する。
【0021】
駆動用モータ20は、フラットワイヤーモータであってもよく、フラットワイヤーモータの固定子巻線として矩形コイルが用いられ、固定子スロットにおける占積率が向上すると共に、モータの体積が減少するため、モータの電力密度が大幅に向上し、駆動用モータ20は、歯車により車輪側に直接的に接続され、コントローラ50は、駆動用モータ20の動作を制御することにより動力を車輪側に出力する。本開示のいくつかの実施において、駆動用モータ20と発電機30とが平行に配置され、他の設置方式、例えば、駆動用モータ20と発電機30とが同軸に配置される方式に比べて、本実施例における平行配置方式は、モータの設計に対する要求が低いため、大電力発電機30をより容易に配置し、コストが低い。
【0022】
発電機30は、フラットワイヤーモータであってもよく、発電機30は、クラッチC1とエンジン10との間に接続され、歯車によりエンジン10に直接的に接続され、コントローラ50は、エンジン10の動作を制御することにより、発電機30を発電するように駆動することができ、発電した電力は、コントローラ50によって制御されて、動力電池40への充電又は駆動用モータ20への給電を実現することができる。
【0023】
本開示のいくつかの実施において、図1aに示すように、ハイブリッドシステム100は、変速機70及び終減速装置80を更に含んでもよい。図1bに示すように、変速機70は、歯車Z1、Z2、Z3及びZ4を更に含んでもよく、歯車Z1の中心軸がクラッチC1の一端に接続され、歯車Z1が歯車Z2に噛み合い、歯車Z2が歯車Z3に噛み合い、歯車Z3の中心軸が駆動用モータ20に接続され、歯車Z2の中心軸が歯車Z4の中心軸に接続され、歯車Z4が終減速装置80の終減速歯車に噛み合う。もちろん、変速機70は、他の構造を用いてもよく、具体的には、ここでは限定しない。
【0024】
動力電池40は、ブレードバッテリであってもよく、動力電池40は、駆動用モータ20及び発電機30にそれぞれ電気的に接続され、コントローラ50の制御下で、動力電池40が駆動用モータ20に給電するか、又は発電機30又は駆動用モータ20から出力された交流電流に基づいて充電されてもよく、つまり、動力電池40は、発電機30又は駆動用モータ20によって充電されてもよい。また、動力電池40の容量が第1の所定の容量以上であり、例えば、第1の所定の容量が5kWh~25kWhであり、動力電池40が大きい容量を有するため、動力電池40の充放電により、動力電池40が優れた緩衝作用を有し、エンジン10の動作効率を調整することができ、このようにして、エンジン10が動作状態時に常にエコゾーンで動作することができ、そうでなければ、エンジン10の動作効率が低く、エンジン10が動作しない状態にあり、エンジン10がエコゾーンで動作することは、エンジン10が常に高効率状態で動作することを意味し、本実施例では、エンジン10が38%熱効率以上の状態で動作し、また、大容量の動力電池40により、該ハイブリッドシステム100は、長時間のEVモードでの走行を実現することができ、エンジン10の動作時間がより短く、燃料消費が低減される。
【0025】
コントローラ50は、エンジン10、駆動用モータ20、発電機30、動力電池40及びクラッチC1にそれぞれ接続され、制御信号をエンジン10、駆動用モータ20、発電機30、動力電池40及びクラッチC1に送信して制御を実現することができる。コントローラ50は、ハイブリッド車1000の走行パラメータを取得し、本開示のいくつかの実施において、走行パラメータは、車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速のうちの少なくとも1つを含み、車輪側要求トルクは、車両要求トルクである。コントローラ50は、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御し、動力電池40に充放電制御を行うことにより、エンジン10がエコゾーンで動作し、直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車1000の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車1000の現在の動作モードとして選択する。なお、等価燃費の比較は、エンジン10がエコゾーンで動作することに基づく比較であり、例えば、エンジン10が25kWのエコゾーンで動作しているが、車輪側要求トルクなどの走行パラメータを組み合わせると、並列モードでの燃費が直列モードでの燃費より低く、また、EVモードでの燃費より低い可能性があり、このとき、並列モードで走行するようにハイブリッド車1000を制御する一方、EVモードでの燃費が並列モードでの燃費より低く、また、直列モードでの燃費より低ければ、EVモードで走行するようにハイブリッド車1000を制御する。なお、等価燃費は、エンジン10自体の消費した燃料と動力電池40の消費した電力に等価な燃料との和を意味し、経験値に基づいて、動力電池40の消費した電力を燃料に変換して、動力電池40の消費した電力に等価な燃料を取得してもよく、動力電池40の充電時に、動力電池40の消費した電力に等価な燃料は、負の値であり、動力電池40の放電時に、動力電池40の消費した電力に等価な燃料は、正の値である。
【0026】
つまり、コントローラ50は、ハイブリッド車1000の走行パラメータ、例えば、車輪側要求トルク、動力電池40のSOC、ハイブリッド車1000の車速、及びハイブリッド車1000の異なる動作モードでの等価燃費を総合的に判断することができ、動力要求及びNVH(Noise、Vibration、Harshness、騒音、振動及びハーシュネス)などを満たす場合に、ハイブリッド車1000を等価燃費が最も低い動作モードにすることにより、ハイブリッド車1000の等価燃費が動作モードにおいて最も低くなり、ハイブリッド車1000が高い経済性を有する。直列モードは、エンジン10と車輪側との間の動力出力が遮断され(即ち、クラッチC1が分離状態にある)、かつエンジン10により発電機30を発電するように駆動して電力を駆動用モータ20に提供することを意味し、いくつかの場合に、エンジン10は、余分なエネルギーを用いて発電機30により動力電池40を充電し、並列モードは、エンジン10と車輪側とが動力結合を行う(即ち、クラッチC1が結合状態にある)ことを意味し、いくつかの場合に、エンジン10は、余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電し、EVモードは、エンジン10及び発電機30がいずれも動作せず、かつ動力電池40が駆動用モータ20に給電することを意味する。また、ハイブリッド車1000が直列モード、並列モード又はEVモードで動作する場合、動力電池40に充放電制御を行うことにより、エンジン10が常にエコゾーンで動作し、また、等価燃費の比較時に、エンジン10がエコゾーンにあることに基づいて比較し、このようにして、エンジン10が動作モードの範囲内で常にエコゾーンで動作するとともに、ハイブリッド車1000の等価燃費が最も低く、ハイブリッド車1000の経済性が効果的に向上する。本実施例では、大容量の動力電池40、エンジン10、駆動用モータ20及び発電機30の総合的な制御及び協働により、ハイブリッド車1000が省エネルギーモードで動作することを保証する。
【0027】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が直列モードにあるとき、エンジン10は、発電機30により動力電池40を充電し、ハイブリッド車1000が並列モードにあるとき、エンジン10は、駆動用モータ20により動力電池40を充電する。本実施例では、直列モードと並列モードで、エンジン10は、異なるモータにより動力電池40を充電し、損失の最適化と車両のエネルギー消費の低減を実現することができる。
【0028】
本開示のいくつかの実施例では、エンジン10がエコゾーンで動作するとき、コントローラ50は、動力電池40のSOCが第1の所定の値以上である場合、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御し、或いは、動力電池40のSOCが第1の所定の値より小さく、かつエンジン10の出力電力が車輪側要求電力以上である場合、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御するように更に構成され、第1の所定の値の大きさは、第1の所定の容量の大きさと逆相関関係にある。
【0029】
具体的には、エンジン10がエコゾーンで動作するとき、動力電池40のSOCが第1の所定の値以上であれば、或いは、動力電池40のSOCが第1の所定の値より小さく、かつエンジン10の出力電力が車輪側要求電力以上であれば、コントローラ50は、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御する。
【0030】
つまり、動力電池40が一定の電力を放出することができ、或いは、動力電池40の電力が低いが、このときの車輪側要求電力が小さい場合、ハイブリッド車1000を最適なエコラインで動作させることができる。なお、エンジン10は、エコゾーン内に少なくとも1本のエコラインを有し、かつこれらのエコラインには1本の最適なエコラインがあり、該最適なエコラインに対応するエンジン10の燃費が最も低く、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御することにより、ハイブリッド車1000の燃費が最も低くなる。なお、第1の所定の値の大きさは、第1の所定の容量の大きさと逆相関関係にあり、実際の適用において、第1の所定の容量に基づいて、テーブルルックアップにより第1の所定の値を取得することができ、そして、異なるモードでの第1の所定の値は、異なってもよく、例えば、直列モードでの第1の所定の値は、17%であってもよく、並列モードでの第1の所定の値は、25%であってもよい。本実施例では、動力電池40の容量が第1の所定の容量以上であり、動力電池40が大容量電池であり、第1の所定の値を低く設定してもよく、動力電池40のSOCを低くしてもよく、エンジン10が最適なエコラインで動作することができ、動力電池40の容量が第1の所定の容量以上であるという設定により、ハイブリッド車1000のエンジン10がより多くの時間で最適なエコラインで動作することができる。
【0031】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が並列モードにあるとき、コントローラ50は、車輪側要求トルクを決定し、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより小さい場合、車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電するように、駆動用モータ20を駆動して発電するようにエンジン10を制御し、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きい場合、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、動力電池40及びエンジン10が共に車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するように更に構成される。
【0032】
なお、この方式は、ハイブリッド車1000の並列モードであり、並列モードでは、大容量の動力電池40によりトルクを補充したり、余分なトルクを吸収したりすることができ、即ち、動力電池40が緩衝作用を果たすことができるため、エンジン10が長期間に高効率のエコゾーンで動作することができ、並列モードでのハイブリッド車1000の等価燃費が最も低く、更にハイブリッド車1000が高い経済性を有する。
【0033】
具体的には、コントローラ50は、エンジン10と車輪側とが動力結合を行うようにクラッチC1を結合するように制御するとともに、ハイブリッド車1000が並列モードに入るように、エンジン10を動作するように制御してもよい。並列モードでは、コントローラ50は、車輪側要求トルクを取得し、かつ該車輪側要求トルクをエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクと比較する。
【0034】
車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルク以下であれば、エンジン10をエコラインで動作するように制御して、動力要求を満たし、また、コントローラ50は、エンジン10を制御して、駆動用モータ20が発電し、かつ発電機30が空転するように駆動して、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電し、このとき、ハイブリッド車1000が並列モードにおける並列発電モードに入る。つまり、並列モードが並列発電モードを含み、並列モードで発電するときに駆動用モータ20により発電し、駆動用モータ20の電力がより大きく、電力補充がより速く、そして発電機30の空転による損失が駆動用モータ20の空転による損失より小さく、省エネルギー効果がより高いため、このモードで駆動用モータ20を用いて発電することにより、車両の経済性を更に向上させ、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて動力電池40を充電するに伴って、動力電池40の電力が増加して、車両がEVモードで動作る時間を延長することができ、経済性がより高い。
【0035】
車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きければ、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御し、このとき、動力電池40及びエンジン10が共に車輪側要求トルクを提供して、動力要求を満たし、ハイブリッド車1000が並列モードにおける並列パワーアシストモードに入る。
【0036】
これにより、ハイブリッド車1000が並列モードにあるとき、エンジン10の動作領域が効率曲線図のエコゾーン(即ち、エコライン上)にあるように、動力電池40が緩衝役割を果たし、エンジン10が常にエコゾーンで動作することが保証されるため、ハイブリッド車1000は、高い経済性を有する。また、本実施例では、動力電池40の容量が第1の所定の容量以上であり、動力電池40が大きく、エンジン10の動作時に緩衝作用を果たして、トルクを補充したり、余分なトルクを吸収したりすることができる。
【0037】
本開示の別のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が直列モードにあるとき、コントローラ50は、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定し、エンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクに基づいて発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求電力に応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するように更に構成される。
【0038】
なお、この方式は、ハイブリッド車1000の直列モードであり、直列モードでは、大容量の動力電池40により電力を補充したり、余分な電力を吸収したりすることができ、即ち、動力電池40が緩衝作用を果たすことができるため、エンジン10が長期間に高効率のエコゾーンで動作することができ、ハイブリッド車1000が高い経済性を有する。
【0039】
具体的には、コントローラ50は、エンジン10と車輪側との間の動力出力を遮断し、かつエンジン10が発電機30を発電するように駆動するように、クラッチC1を分離するように制御するとともに、ハイブリッド車1000が直列モードに入るように、駆動用モータ20により動力を車輪側に出力してもよい。直列モードでは、コントローラ50は、エンジン10をエコラインで動作するように制御し、かつ車輪側要求トルク及びハイブリッド車1000の車速を取得し、車輪側要求トルク及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、車輪側要求電力を取得し(具体的には、従来の技術を用いて実現してもよく、ここでは限定しない)、かつ該車輪側要求電力を発電機30の発電電力と比較する。発電機30の発電電力は、エンジン10がエコラインで動作するときに出力するトルクによって駆動されて、発電機30が発電して出力する電力である。発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きければ、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力以下であれば、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御し、このとき、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求電力を提供して、動力要求を保証する。
【0040】
なお、直列モードでは、電力を比較すると、トルク比較を用いる際に、発電と駆動の電力が完全に高効率で追従できないことによる制御偏差を回避することができる。
【0041】
これにより、ハイブリッド車1000が直列モードにあるとき、エンジン10の動作領域が効率曲線図のエコゾーン(即ち、エコライン上)にあるように、動力電池40が緩衝役割を果たし、エンジン10が常にエコゾーンで動作することが保証されるため、ハイブリッド車1000は、高い経済性を有する。また、本実施例では、動力電池40の容量が第1の所定の容量より大きく、動力電池40が大きく、エンジン10の動作時に緩衝作用を果たして、電力を補充したり、余分な電力を吸収したりすることができる。
【0042】
本開示の更なるいくつかの実施例では、コントローラ50は、ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値以上である場合、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000が並列モードに入る第1の車輪側トルク閾値と、並列モードから出る第2の車輪側トルク閾値とを決定し、かつ車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値以上で第2の車輪側トルク閾値以下である場合、ハイブリッド車1000を並列モードに入るように制御し、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きければ、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御し、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより小さければ、車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電するように、駆動用モータ20を駆動して発電するようにエンジン10を制御し、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクと等しければ、単独で車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するように更に構成され、第1の車輪側トルク閾値が第2の車輪側トルク閾値より小さい。
【0043】
つまり、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000の動作モードを決定して、ハイブリッド車1000が等価燃費が最も低いモードで動作することを保証し、省エネルギーの目的を達成することができる。
【0044】
具体的には、ハイブリッド車1000の走行中に、コントローラ50は、ハイブリッド車1000の車速を取得し、かつ該車速を所定の車速閾値(例えば、65km/h)と比較する。ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値以上である場合、コントローラ50は、まず、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、テーブルルックアップ方式でハイブリッド車1000が並列モードに入る第1の車輪側トルク閾値T1と、並列モードから出る第2の車輪側トルク閾値T2とを決定することができる。次に、コントローラ50は、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルクを取得し、かつ該車輪側要求トルクを第1の車輪側トルク閾値T1及び第2の車輪側トルク閾値T2と比較する。車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値T1以上で第2の車輪側トルク閾値T2以下である場合、コントローラ50は、エンジン10と車輪側とが動力結合を行うように、クラッチC1を結合するように制御して、ハイブリッド車1000が並列モードに入る。
【0045】
ハイブリッド車1000が並列モードに入った後、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きければ、コントローラ50は、エンジン10をエコラインで動作するように制御し、かつ動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御し、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求トルクを提供し、このとき、ハイブリッド車1000が並列モードにおける並列パワーアシストモードに入り、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより小さければ、コントローラ50は、エンジン10をエコラインで動作して車輪側要求トルクを提供するように制御し、かつエンジン10を制御して駆動用モータ20を発電するように駆動して、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電し、このとき、ハイブリッド車1000が並列モードにおける並列発電モードに入り、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクと等しければ、コントローラ50は、エンジン10をエコラインで動作して単独で車輪側要求トルクを提供するように制御し、このとき、ハイブリッド車1000が並列モードにおける並列直接駆動モードに入る。
【0046】
これにより、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000を並列モードに入るように制御し、かつ並列モードにおいて異なる方式を用いることにより、エンジン10が常にエコゾーンで動作するため、省エネルギーの目的を達成し、ハイブリッド車1000が高い経済性を有することを保証する。また、ハイブリッド車1000が並列直接駆動モードで動作することができ、これに対して、従来の純粋なレンジエクステンダー式ハイブリッド自動車にエンジン10の直接駆動経路が欠けているため、エンジン10の直接駆動の高効率の中高速モードであっても、発電してから駆動のために電力を駆動用モータ20に提供することしかできず、発電機30によりエネルギーを変換する必要があるため、エネルギー変換時の損失を引き起こし、そして動力電池40が頻繁に充放電状態で動作するため、更にエネルギー変換時の損失を引き起こし、これに対して、本開示におけるハイブリッド車1000は、並列直接駆動モードで動作することができるため、上記エネルギー消費を効果的に回避することができ、更にハイブリッド車1000の経済性を向上させる。理解できるように、本実施例では、現在の車輪側要求トルク、現在のSOC及び現在の車速では、ハイブリッド車1000が並列モードで動作すると、直列モード及びEVモードで動作する場合より省エネルギーである。
【0047】
本開示のいくつかの実施において、第1の車輪側トルク閾値T1及び第2の車輪側トルク閾値T2の大きさは、動力電池40のSOCの大きさと正相関関係にある。つまり、第1の車輪側トルク閾値T1及び第2の車輪側トルク閾値T2が動力電池40のSOCの変化に伴って変化することにより、省エネルギーを保証するとともに、動力電池40の電力保持を実現することができ、動力電池40のSOCが低い場合、できるだけエンジン10に動作させ、動力電池40のSOCが高い場合、できるだけ車両にEVモードで動作させ、省エネルギーを保証するとともに、車両のNVH効果が高い。実際の適用において、表1に示すように、動力電池40のSOCに基づいてテーブルルックアップ方式で第1の車輪側トルク閾値T1及び第2の車輪側トルク閾値T2を取得することができる。
【0048】
【表1】
SOC1及びSOC2は、所定の値であり、かつSOC1<SOC2であり、T11<T12<T13であり、T21<T22<T23である。
【0049】
本開示のいくつかの実施において、ハイブリッド車1000が並列モードで動作するとき、エンジン10が動作に関与する車速は、動力電池40のSOCの大きさと逆相関関係にある。つまり、並列モードでは、エンジン10が動作に関与する車速が動力電池40のSOCの変化に伴って変化して、並列モードにある時間長をできるだけ減少させ、できるだけ動力電池40を放電して駆動用モータ20に給電し、即ち、できるだけ電気を用い、即ち、できるだけEVモードで動作する。実際の適用において、表2に示すように、動力電池40のSOCに基づいてテーブルルックアップ方式でエンジン10が動作に関与する車速Vを取得することができる。
【0050】
【表2】
SOC1及びSOC2は、所定の値であり、かつSOC1<SOC2であり、V3<V2<V1である。
【0051】
本開示のいくつかの実施例では、コントローラ50は、車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値T1より小さい場合、動作を停止するようにエンジン10を制御するとともに、動力電池40により車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御する。
【0052】
なお、該方式は、ハイブリッド車1000のEVモード、即ち、ピュアEVモードであり、ハイブリッド車1000がEVモードで走行するとき、エンジン10が動作に関与する必要がなく、このとき、燃料消耗率がゼロであり、ハイブリッド車1000は、効率が90%以上に達することができ、高い経済性を有する。具体的には、車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値T1より小さい場合、コントローラ50は、エンジン10と車輪側との間の動力出力を遮断するように、クラッチC1を分離するように制御し、かつ動作を停止するようにエンジン10及び発電機30を制御し、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御し、駆動用モータ20により車輪側要求トルクを提供し、このとき、ハイブリッド車1000がEVモード、即ち、ピュアEVモードに入る。理解できるように、本実施例では、現在の車輪側要求トルク、現在のSOC及び現在の車速では、ハイブリッド車1000がEVモードで動作すると、より省エネルギーであるため、車両の動作モードは、並列モードからEVモードに切り替えられる。
【0053】
これにより、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000をEVモードに入るように制御することにより、EVモードで効率が高いため、省エネルギーの目的を達成し、ハイブリッド車1000が高い経済性を有することを保証することができる。
【0054】
本開示のいくつかの実施例では、コントローラ50は、車輪側要求トルクが第2の車輪側トルク閾値T2より大きい場合、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御し、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定し、エンジン10の最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて、発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御するように更に構成される。
【0055】
具体的には、車輪側要求トルクが第2の車輪側トルク閾値T2より大きい場合、コントローラ50は、エンジン10と車輪側との間の動力出力を遮断し、かつエンジン10が発電機30を発電するように駆動するように、クラッチC1を分離するように制御するとともに、ハイブリッド車1000が直列モードに入るように、駆動用モータ20により動力を車輪側に出力する。直列モードでは、コントローラ50は、所定の電力(例えば、25kW)で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御するとともに、車輪側要求トルク及び車速を取得し、かつ車輪側要求トルク及び車速に基づいて、車輪側要求電力を決定し、該車輪側要求電力を発電機30の発電電力と比較する。発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きければ、コントローラ50は、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さければ、コントローラ50は、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力を提供するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御する。
【0056】
これにより、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御し、かつ直列モードにおいて異なる方式を用いることにより、エンジン10が常にエコゾーンで動作するため、省エネルギーの目的を達成し、ハイブリッド車1000が高い経済性を有することを保証する。理解できるように、本実施例では、現在の車輪側要求トルク、現在のSOC及び現在の車速では、ハイブリッド車1000が直列モードで動作すると、より省エネルギーであるため、車両の動作モードは、並列モードから直列モードに切り替えられ、エンジン10が常にエコラインで動作し、具体的には、並列モードのエコラインから直列モードのエコラインに切り替えられる。
【0057】
本開示のいくつかの実施例において、コントローラ50は、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、現在動力電池40のSOCが第2の所定の値(例えば、10%、15%など)より小さいか否かを確認し、小さければ、エンジン10の出力電力を車輪側要求電力に応答するように制御し、かつ発電機30により動力電池40を充電するように、エンジン10の出力電力を増加し続けるように制御するように更に構成される。
【0058】
つまり、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さく、かつ現在動力電池40のSOCが第2の所定の値より小さい場合、即ち、動力電池40のSOCが極めて低い場合、エンジン10は、駆動要求を満たす前提で出力電力を増加させ、即ち、エンジン10の動作点がエコラインにおいて出力トルク増加の方向に移動し、一部のエネルギーを動力電池40に伝達して、動力電池40を充電し、エンジン10が省エネルギーモードで駆動するとともに、動力電池40に対する電力補充を実現する。
【0059】
なお、エンジン10が最適なエコポイントで動作するときの熱効率が最も高く、図2に示すように、エンジン10の出力電力が25kWである場合、対応する熱効率が43.04%であるため、エンジン10が始動した後に、車輪側要求電力が発電機30の発電電力より小さい場合、エンジン10は、最適なエコポイントに対応する電力で発電機30を発電するように駆動し、その後に駆動用モータ20により駆動した後、余分なエネルギーが動力電池40に入る。他方では、車輪側要求電力が発電機30の発電電力より大きければ、エンジン10は、最適なエコポイントに対応する電力を超える電力で車輪側要求電力に追従してエンジン10の高効率のエコラインで駆動し、即ち、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作させるが、より多くの電力を出力する。本開示のいくつかの実施例において、車輪側要求電力が発電機30の発電電力より大きく、かつ動力電池40のSOCが一定の値まで低下すれば、エンジン10は、電力を増加させ続けることにより、動力要求を満たすとともに、一部のエネルギーが動力電池40に入って動力電池40を充電し、つまり、このとき、エンジン10は、駆動要求を満たす前提で出力電力を増加させることにより、一部のエネルギーを動力電池40に供給し、動力電池40のSOCが一定の値まで上昇する場合、コントローラ50は、エンジン10を停止するように制御し、EVモードに入る。このような方式により、図3に示すように、ハイブリッド車1000が電力不足モードでピュアEV走行の割合が81%に達することができるため、ハイブリッド車1000が高い経済性を有することを保証し、典型的な電力不足モードは、都市電力不足モードであり、車両の頻繁な始動停止、追従渋滞を含むだけでなく、車速がNVH制限が厳しい中低車速であることが多い。
【0060】
本開示のいくつかの実施例では、コントローラ50は、ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値より小さい場合、動力電池40のSOC及び車速に基づいて、ハイブリッド車1000が直列モードに入る第3の車輪側トルク閾値T3を決定し、かつ車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値T3以上である場合、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御し、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定し、エンジン10の最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて、発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御するように更に構成される。
【0061】
本開示のいくつかの実施例において、コントローラ50は、車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値より小さい場合、動作を停止するようにエンジン10を制御するとともに、動力電池40により車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御する。理解できるように、本実施例では、現在の車輪側要求トルク、現在のSOC及び現在の車速では、ハイブリッド車1000がEVモードで動作すると、より省エネルギーであるため、車両の動作モードは、直列モードからEVモードに切り替えられる。
【0062】
つまり、ハイブリッド車1000の車速が小さく、例えば、65km/hより小さい場合、動力電池40のSOC及び車速に基づいて、ハイブリッド車1000を直列モード又はEVモードに入るように制御することができ、即ち、速度が低い場合、ハードウェアの制限を受け、並列モードに入ることができず、このとき、直列モードとEVモードでの等価エネルギー消費を比較すればよく、システムの演算量を減少させ、コントローラ50の処理速度に対する要求を低減し、処理速度がより速くなり、高速処理チップの適用を減少させ、コストを低減する。
【0063】
具体的には、ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値(例えば、65km/h)より小さい場合、動力電池40のSOC及び車速に基づいて、テーブルルックアップ方式でハイブリッド車1000が直列モードに入る第3の車輪側トルク閾値T3を決定し、かつ該第3の車輪側トルク閾値T3を車輪側要求トルクと比較することができる。
【0064】
車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値T3以上である場合、コントローラ50は、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御する。直列モードでは、コントローラ50は、所定の電力(例えば、25kW)で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御するとともに、車輪側要求トルク及び車速を取得し、かつ車輪側要求トルク及び車速に基づいて、車輪側要求電力を決定し、該車輪側要求電力を発電機30の発電電力と比較する。発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きければ、コントローラ50は、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電し、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さければ、コントローラ50は、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力を提供するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御し、本開示のいくつかの実施例において、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さく、かつ現在動力電池40のSOCが第2の所定の値より小さい場合、エンジン10は、駆動要求を満たす前提で出力電力を増加させ、かつ一部のエネルギーを動力電池40に伝達して、動力電池40に電力補充を行う。
【0065】
車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値T3より小さい場合、コントローラ50は、動作を停止するようにエンジン10を制御するとともに、動力電池40により車輪側要求トルクを提供するように、駆動用モータ20に給電するように動力電池40を制御し、このとき、ハイブリッド車1000がEVモードに入る。
【0066】
これにより、ハイブリッド車1000の車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御し、かつ直列モードにおいて異なる方式を用いることにより、エンジン10が常にエコゾーンで動作するため、省エネルギーの目的を達成し、ハイブリッド車1000が高い経済性を有することを保証する。本開示のいくつかの実施において、第3の車輪側トルク閾値T3の大きさは、動力電池40のSOCの大きさと正相関関係にある。つまり、第3の車輪側トルク閾値T3が動力電池40のSOCの変化に伴って変化して、直列モードにある時間長をできるだけ減少させ、できるだけ動力電池40を放電して駆動用モータ20に給電し、即ち、できるだけ電気を用い、即ち、できるだけEVモードを主とする。実際の適用において、表3に示すように、動力電池40のSOCに基づいて、テーブルルックアップ方式で第3の車輪側トルク閾値T3を取得することができる。
【0067】
【表3】
SOC1及びSOC2は、所定の値であり、かつSOC1<SOC2であり、T31<T32<T33である。
【0068】
本開示のいくつかの実施例では、図4に示すように、コントローラ50は、ハイブリッド車1000が直列モードで動作するとき、動力電池40のSOCが第1の所定の区間にあれば、エンジン10を第1のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第2の所定の区間にあれば、エンジン10を第2のエコラインで動作するように制御するように更に構成され、第2の所定の区間の上限は、第1の所定の区間の下限以下であり、第1のエコラインは、直列モードの最適なエコラインであり、同じ回転数では、エンジン10の第2のエコラインで動作する出力トルクは、エンジン10の第1のエコラインで動作する出力トルク以上であり、本実施例では、第2のエコラインは、エンジン10の外部特性線とほぼ一致してもよく、第1のエコラインとエンジン10の外部特性線との間にあるように設定されてもよい。第1の所定の区間は、動力電池40のSOCが17%以上である区間であってもよく、第2の所定の区間は、動力電池40のSOCが17%より小さい区間であってもよい。
【0069】
本開示のいくつかの実施例では、図5に示すように、コントローラ50は、ハイブリッド車1000が並列モードで動作するとき、動力電池40のSOCが第3の所定の区間にあれば、エンジン10を第3のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第4の所定の区間にあれば、エンジン10を第4のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第5の所定の区間にあれば、エンジン10を第5のエコラインで動作するように制御するように更に構成され、第5の所定の区間の上限は、第4の所定の区間の下限以下であり、第4の所定の区間の上限は、第3の所定の区間の下限以下であり、第3のエコラインは、並列モードでの最適なエコラインであり、第5のエコラインは、エンジン10の外部特性線とほぼ一致し、第4のエコラインは、第5のエコラインと第3のエコラインとの間にある。第3の所定の区間は、動力電池40のSOCが25%以上である区間であってもよく、第4の所定の区間は、動力電池40のSOCが15%より大きくかつ25%より小さい区間であってもよく、第5の所定の区間は、動力電池40のSOCが15%以下である区間であってもよく、つまり、エンジン10の最適な動作方式は、エコライン間のエコ領域で動作することではなく、常にエコラインで動作することであり、前述したように、本開示のエコゾーンは、エコゾーンにある、直列モードの2本のエコライン又は並列モードの3本のエコラインであってもよく、もちろん、これに限定されず、本明細書において例示的に説明する。換言すれば、エンジン10の動作するエコラインが移動可能であるため、ハイブリッド車1000は、動力電池40のSOCが低い場合、エンジン10の動作するエコラインを調整し、エンジン10の駆動に関与する割合と出力トルクを増加させることにより、動力電池40に対する電力保持を実現することができ、並列モードと直列モードのエンジン10のエコラインが異なり、ハイブリッド車1000の総合的な燃費の低減を実現する。
【0070】
以上のように、本開示の実施例に係るハイブリッド車1000には、直列モード及び並列モードが設定され、エンジン10の低速及び中高速のモードの全範囲での高効率の動作を実現することができ、中高速モードでは、走行パラメータに基づいてエンジン10が並列モードで動作するか又は直列モードで動作するかを確認することができ、低速モードでは、走行パラメータに基づいてエンジン10が直列モードに入るタイミングを確認することができるため、エンジン10が最適なエコラインで動作する確率が増加し、かつエンジン10が常にエコゾーンで動作し、省エネルギーを実現する。
【0071】
本開示のいくつかの実施例では、コントローラ50は、動力電池40のSOCを決定し、動力電池40のSOCが第3の所定の値より小さい場合、動力電池40のSOC、車速及び車輪側要求トルクに基づいて、ハイブリッド車1000を直列モード又は並列モードで動作するように制御し、かつエンジン10をエコゾーンで動作するように制御するように更に構成される。つまり、動力電池40のSOCが第3の所定の値(例えば、25%)より小さい場合、動力電池40のSOC、車速及び車輪側要求トルクに基づいて、ハイブリッド車1000を直列モード又は並列モードに入るように制御し、かつハイブリッド車1000が直列モード又は並列モードで動作するとき、エンジン10をエコゾーンで動作するように制御し、ハイブリッド車1000がEVモードで動作するとき、電力不足モード場合の速すぎる電力減少を回避し、動力電池40の電力保持を実現する。
【0072】
具体的な例として、コントローラ50は、図6a~図6bに示す制御ロジックに従ってハイブリッド車1000を制御するように構成されてもよく、具体的には、以下のステップS101~ステップS126を含んでもよい。
【0073】
ステップS101では、手動で選択してEVモード又はHEVモード(ハイブリッドモード)に入るか否かを決定する。そうであれば、ステップS102を実行し、そうでなければ、現在のモードで走行し続ける。
【0074】
ステップS102では、EVモードを選択したか否かを決定する。そうであれば、ステップS103を実行し、そうでなければ、ステップS105を実行する。
【0075】
ステップS103では、EVモードに入って動作する。
【0076】
ステップS104では、現在動力電池40のSOCが電力不足モードであるか否かを決定する。そうであれば、ステップS105を実行し、そうでなければ、ステップS103に戻る。
【0077】
ステップS105では、HEVモードに入って動作する。
【0078】
ステップS106では、車速≧65km/hを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS107を実行し、そうでなければ、ステップS123を実行する。
【0079】
ステップS107では、動力電池40のSOC及び車速に基づいてテーブルルックアップにより、並列モードに入る第1の車輪側トルク閾値T1と、並列モードから出る第2の車輪側トルク閾値T2とを得る。
【0080】
ステップS108では、車輪側要求トルクTがT1より小さいことを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS109を実行し、そうでなければ、ステップS110を実行する。
【0081】
ステップS109では、EVモードに入って動作する。
【0082】
ステップS110では、車輪側要求トルクTがT2より大きいことを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS111を実行し、そうでなければ、ステップS119を実行する。
【0083】
ステップS111では、直列モードに入って動作する。
【0084】
ステップS112では、エンジン10を一定の出力電力で動作させて、高効率を維持する。
【0085】
ステップS113では、発電機30の電力が車輪側要求電力より大きいことを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS114を実行し、そうでなければ、ステップS115を実行する。
【0086】
ステップS114では、余分な電力を用いて動力電池40を充電するように発電機30を制御する。
【0087】
ステップS115では、エンジン10の出力電力が増加し、車輪側要求電力に基づいて出力され、エンジン10がエコラインで動作する。
【0088】
ステップS116では、動力電池40のSOCが極めて低い(例えば、動力電池40のSOCが第2の所定の値より低い)か否かを決定する。そうであれば、ステップS118を実行し、そうでなければ、ステップS117を実行する。
【0089】
ステップS117では、車輪側要求電力に基づいて発電する。
【0090】
ステップS118では、エンジン10は、出力電力が増加し続けるが、依然としてエコラインで動作する。
【0091】
ステップS119では、並列モードに入って動作する。
【0092】
ステップS120では、車輪側要求トルクTがエンジン10のエコラインの出力トルクより大きいことを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS121を実行し、そうでなければ、ステップS122を実行する。
【0093】
ステップS121では、並列パワーアシストでは、エンジン10が常にエコラインで動作し、動力電池40により駆動用モータ20を駆動して足りないエネルギーをアシスタントする。
【0094】
ステップS122では、並列に発電し、エンジン10が常にエコラインで動作し、余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電する。
【0095】
ステップS123では、動力電池40のSOC及び車速に基づいてテーブルルックアップにより、直列モードに入る第3の車輪側トルク閾値T3を得る。
【0096】
ステップS124では、車輪側要求トルクTがT3より小さいことを満たすか否かを判断する。そうであれば、ステップS125を実行し、そうでなければ、ステップS126を実行する。
【0097】
ステップS125では、EVモードに入って動作する。
【0098】
ステップS126では、直列モードに入って動作する。
【0099】
本開示のいくつかの実施例において、図7は、対応する制御ポリシーを示す概略図である。図7から分かるように、動力電池40のSOCが高い(例えば、SOC≧70%である)場合、車両が純粋な電気で走行することは多く、即ち、EVモード動作領域の割合が直列モード動作領域の割合より高く、中高速では、エンジン10の直接駆動を主として、エンジン10が最適なエコラインで動作するとともに、駆動用モータ20によりアシストして車輪側要求を満たし、即ち、並列パワーアシストモードに入り、これに対して大電力が要求されてこそ、直列発電モードに入って車輪側要求を満たすことができる。
【0100】
図7中の図a、b及びcに示すように、動力電池40のSOCの低下に伴い、EVモード動作領域が減少し、直列モード動作領域が増加し、中高速で走行してエンジン10の直接駆動になった後、駆動用モータ20のアシストトルクが減少して、動力電池40のSOCの低下速度を緩和し、動力電池40の電力保持を実現する。並列モードでは、エンジン10の動作に関与する速度が動力電池40のSOCより高い場合、関与する速度がより小さく、所定の車速閾値により近い。
【0101】
動力電池40のSOCが極めて低い(例えば、SOC≦18%である)場合、車両の動力電池40の電力保持性を向上させるために、純粋な電気で走行せず、低速で直列駆動を行い、かつ直列モードでエンジン10により発電機30を発電するように駆動して、より多くの電力を発生させて動力電池40に補充し、高速のエンジン10の直接駆動領域が減少するとともに、エンジン10が直接駆動になった後、より多くの電力を発生させて動力電池40に補充する。
【0102】
これにより、動力電池40のSOCを識別し、このSOCが絶えず低下する過程において、車両の電力保持性能の優先度を絶えず向上させることにより、EVモード動作領域が絶えず減少する。直列駆動中に、異なる動力電池40のSOCに基づいて、直列電力追従(動力電池40のSOCが低い場合)と直列定電力(動力電池40のSOCが高い場合)に分けられ、直列電力追従の場合、エンジン10の動作点は、エンジン10のエコラインに従って動作し、動力電池40のSOCが極めて低い場合、エンジン10から出力された電力は、車輪側要求電力に応答するとともに動力電池40を充電し、直列定電力の場合、エンジン10は、高効率のエコポイント(例えば、25kW)で動作し、エンジン10のみにより駆動して満足できない場合、動力電池40は、一部のエネルギーを出力し、動力電池40とエンジン10が共に駆動用モータ20を駆動する。理解できるように、25KWは、本実施例の例示的なエコポイントである。
【0103】
例を挙げると、SOCが高く、車速が高い場合、車輪側要求が小さく、このとき、主に並列モードを用い、即ち、エンジン10の直接駆動を主とし、該方式を用いると、経済性がよく、エネルギー消費が低く、例えば、テストしたところ、単独でEVモードを用いる場合の電力に等価な燃費は、エンジン10のエコゾーンで動作する場合の燃費の約1.5倍であり、そして、NVH性能に優れて、例えば、車速が100km/hである場合、該並列モードでエンジン10の回転数が2500rpm程度であり、直列発電モードを選択すると、エンジン10の回転数が3000rpmより大きく、そして、電力保持性能に優れて、例えば、該モードでは、動力電池40が外部に放電せず、動力電池40のSOCがほとんど低下せず、これに対して、EVモードを選択すると、動力電池40が外部に放電し、動力電池40のSOC電力減少が速い。また、動力電池40の容量が大きく、放電電力が多く、純粋な電気で走行する距離が長く、長時間にわたって純粋な電気で走行するため、車両のNVH性能に優れて、エンジン10及び駆動用モータ20が高効率区間で動作するため、車両のエネルギー消費が低くなる。
【0104】
動力電池40のSOCの平衡点付近又は低車速又は都市渋滞モードで追従する場合などに、主にEVモードを用い、該方式を用いると、経済性に優れて、例えば、低速モードで駆動用モータ20の効率が高く、これに対して、直列発電モードを選択すると、エンジン10が低効率区間で動作することを回避することができず、このとき、エンジン10の発電効率が低く、そして、EVモードでは、NVH性能に優れて、例えば、該モードでエンジン10の始動騒音がなく、静粛性に優れて、これに対して、直列モードを選択すると、エンジン10の回転数が1400rpm~1600rpmであり、体験がやや劣る。
【0105】
SOCが低く、車輪側要求トルクが大きい(例えば、大アクセルで加速するか又は運転者の要求が大きい)場合、主に直列モードを用い、該方式を用いると、動力性能に優れて、例えば、動力電池40の放電能力が不足する場合に、エンジン10は、強い発電電力を有し、運転者の加速して追い越す要求を満たすことができ、そして、電力保持性能に優れて、例えば、該モードでは、動力電池40の放電能力が不足する場合に、エンジン10は、運転者の要求に応じて発電することができ、これに対して、並列パワーアシストモードを選択すると、エンジン10が車輪側に直接的に接続されるため、エンジン10がエコゾーンで動作して、駆動要求を満たすことができず、動力電池40に大きな電力を補充する必要があり、電力保持性能が悪くなる。
【0106】
これにより、車両の走行中に、中低速で走行するとき、ハイブリッド車1000は、EVモードと直列モードとを主とし、高速で走行するとき、ハイブリッド車1000は、エンジン10の直接駆動を主とし、そして、直列モードでは、エンジン10は、エコラインで動作して、燃料経済性を保証し、動力電池40がSOCの極めて低い状態にあるとき、エンジン10は、第2のエコラインで動作して、電力保持性を向上させ、そして、エンジン10の直接駆動の場合、SOCが高いとき、エンジン10は、エコラインで動作し、SOCの低下に伴い、エンジン10の動作するエコラインは、徐々に外部特性線の方向に移行して、電力保持性を向上させる。これにより、ハイブリッド車1000のエネルギー消費、動力性能及びNVHは、ユーザの要求をよりよく満たすことができる。
【0107】
なお、本開示の制御コアは、電気駆動を主とし、図8a~図8bに示すように、駆動用モータ20の高効率動作領域が回転数及びトルク領域の全体をほぼカバーし、かつエンジン10の直接駆動を補助とし、図9に示すように、エンジン10を常に最適なエコラインで動作させ、車両の燃料経済性を向上させることができることである。テストしたところ、駆動用モータ20の効率が90%を超える領域の割合が90.7%を超え、モータ駆動が長時間にわたって高効率領域にあり、エンジン10は、動作時に70%の時間にわたって38%以上の高効率区間にあり、動力電池40の容量が5kWh以上であるため、非満充電の場合でもEV走行モードの割合を保証することができるとともに、エンジン10を高効率区間で動作させることができ、エンジン10がエコゾーンで動作する場合、出力する電力が車両の要求電力より大きい場合、電池が余分なエネルギーを吸収することにより、車両が電気駆動モードで動作する時間を延長することができる。
【0108】
本開示のいくつかの実施例では、図1a及び図10に示すように、前述のハイブリッドシステム100は、二重電気制御モジュール60を更に含み、二重電気制御モジュール60は、駆動用モータ20及び発電機30にそれぞれ接続され、発電機30から出力された交流電流に基づいて駆動用モータ20に給電し、動力電池40は、二重電気制御モジュール60に接続され、動力電池40は、二重電気制御モジュール60により駆動用モータ20に給電するか、又は二重電気制御モジュール60により、発電機30又は駆動用モータ20から出力された交流電流に基づいて充電され、発電機30の最大動作電力は、第1の所定の電力以上であり、エンジン10の最大動作電力は、第2の所定の電力以上であり、第2の所定の電力は、第1の所定の電力以上であり、かつ第2の所定の電力と第1の所定の電力との差は、第2の所定の電力の5%~10%より小さい。
【0109】
本開示のいくつかの実施において、動力電池40の容量は、第1の所定の容量以上であり、例えば、第1の所定の容量は、5kWh~25kWhである。第1の所定の電力は、70kWに設定されてもよく、第2の所定の電力は、81kWに設定されてもよい。
【0110】
なお、本開示では、動力電池40の容量が大きいため、ハイブリッド車1000の車両が80%の動作時間にわたってEVモードで動作し、そして動力電池40の容量が大きいため、充放電によりエンジン10の動作のバランスをとることができることにより、エンジン10が動作状態にあるとき、常に高効率で駆動するか又は発電するように動作することができる(具体的には、前述を参照)。そして、発電機30が大きく、それに応じて、発電電力が大きいため、電力を迅速に補充することができ、動力電池40のSOCを20%から25%まで増加させる時間は、約5分であり、即ち、現場で発電するときに1つのSOCは、約1分を必要とする。そして、発電機30とエンジン10との間の最大動作電力の差が大きくないため、発電機30は、エンジン10の有効電力を十分に利用し、エネルギーの浪費を回避することができる。上記のように設定することにより、エンジン10は、エネルギー源となり、発電機30は、エネルギーが流れる配管となり、電池は、貯水池となり、源、配管、池の間にエネルギー流れのボトルネックがなく、即ち、エンジン10、発電機30、電池のパラメータが協働して、エネルギーの高効率かつ合理的な利用を実現する。
【0111】
本開示のいくつかの実施例では、図10に示すように、二重電気制御モジュール60は、第1のインバータ61、第2のインバータ62及びDC/DC63を含み、第1のインバータ61の交流端は、駆動用モータ20に接続され、第1のインバータ61の直流端は、第2のインバータ62の直流端及びDC/DC63の第1の直流端にそれぞれ接続され、第2のインバータ62の交流端は、発電機30に接続され、DC/DC63の第2の直流端は、動力電池40に接続される。
【0112】
本開示のいくつかの実施において、DC/DC63の最大動作電力は、第3の所定の電力より大きく、第3の所定の電力は、第2の所定の電力より大きく、例えば、第3の所定の電力は、90kWに設定されてもよい。これにより、動力電池40の能力を十分に発揮することにより、動力電池40の最大電力を駆動用モータ20に出力することができる。
【0113】
本開示のいくつかの実施において、第3の所定の電力と第2の所定の電力との差は、第3の所定の電力の5%~10%より小さい。このようにして、動力電池40のSOCにかかわらず、エンジン10の発電電力により、駆動用モータ20が大部分の時間にわたって高効率区間にあり、第3の所定の電力が駆動用モータ20の最大動作電力に近いため、大電力モータで軽負荷を駆動して電力を浪費することを効果的に回避する。
【0114】
以下、図10を参照しながら、ハイブリッド車1000が異なる動作モードにあるときの二重電気制御モジュール60の動作状態を説明する。本開示のいくつかの実施例では、図10に示すように、エンジン10と車輪側との間の動力出力が遮断され、かつ発電機3010が発電するように駆動される場合、ハイブリッドシステム100は、直列モードに入り、発電機30から出力された交流電流を第2のインバータ62により直流電流に変換し、かつ第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給することにより、駆動用モータ20が駆動動作を行い、或いは、発電機30から出力された交流電流を第2のインバータ62により直流電流に変換し、かつ第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給するとともに、動力電池40から出力された直流電流をDC/DC63により変換した後に第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給することにより、駆動用モータ20が駆動動作を行い、或いは、発電機30から出力された交流電流を第2のインバータ62により直流電流に変換し、かつ第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給することにより、駆動用モータ20が駆動動作を行うとともに、DC/DC63により直流電流を変換してから動力電池40を充電する。
【0115】
本開示のいくつかの実施例では、エンジン10及び発電機30が動作せず、そして動力電池40が駆動用モータ20に給電するとき、ハイブリッドシステム100がEVモードに入り、動力電池40から出力された直流電流がDC/DC63を通過した後に、第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給することにより、駆動用モータ20が駆動動作を行う。
【0116】
本開示のいくつかの実施例では、エンジン10と車輪側とが動力結合を行い、発電機30が空転し、かつエンジン10が駆動用モータ20を発電するように駆動するとき、ハイブリッドシステム100が並列発電モードに入り、駆動用モータ20から出力された交流電流を第1のインバータ61により直流電流に変換し、DC/DC63により直流電流を変換してから動力電池40を充電する。
【0117】
これにより、並列発電時に駆動用モータ20により発電することができ、駆動用モータ20の電力がより大きく、電力補充がより速く、かつ発電機30の空転による損失が駆動用モータ20の空転による損失より小さく、省エネルギーであるためである。
【0118】
本開示のいくつかの実施例では、エンジン10と車輪側とが動力結合を行い、発電機30が空転し、かつ動力電池40が駆動用モータ20に給電するとき、ハイブリッドシステム100が並列パワーアシストモードに入り、動力電池40から出力された直流電流をDC/DC63により変換した後に、第1のインバータ61により直流電流を交流電流に変換して駆動用モータ20に供給することにより、駆動用モータ20が駆動動作を行うとともに、エンジン10が動力を車輪側に出力することにより、駆動動作に関与する。
【0119】
本開示の実施例に係るハイブリッドシステム100により、ハイブリッド車1000が電気駆動を主とし、燃料駆動を補助とすることができ、そして、現在の車速、実際の要求トルク、動力電池40のSOC、エンジン10及び駆動用モータ20の高効率区間を総合的に考慮し、高効率モードでの駆動を優先とし、そして車両の動力性能及び電力保持性能を組み合わせてモードを切り替えることにより、ハイブリッド車1000のエネルギー消費、動力性能及びNVHがユーザの要求をよりよく満たす。
【0120】
図11は、本開示の一実施例に係るハイブリッド車1000の概略構成図であり、図11に示すように、該ハイブリッド車1000は、前述のハイブリッドシステム100を含む。
【0121】
本開示の実施例に係るハイブリッド車1000は、前述のハイブリッドシステム100により、ハイブリッド車1000が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車1000の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる。
【0122】
図12は、本開示の一実施例に係るハイブリッド車1000の制御方法のフローチャートである。図1aに示すように、ハイブリッド車1000は、動力を車輪側に選択的に出力するエンジン10と、動力を車輪側に出力する駆動用モータ20と、エンジン10に接続されて、エンジン10によって駆動されて発電する発電機30と、駆動用モータ20に給電し、発電機30又は駆動用モータ20から出力された交流電流に基づいて充電され、容量が第1の所定の容量以上である動力電池40と、を含む。
【0123】
図12に示すように、ハイブリッド車1000の制御方法は、以下のステップS201~S203を含む。ステップS201では、ハイブリッド車1000の走行パラメータを取得する。
【0124】
ステップS202では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御し、動力電池40に充放電制御を行うことにより、エンジン10がエコゾーンで動作する。
【0125】
ステップS203では、直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車1000の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車1000の現在の動作モードとして選択する。
【0126】
本開示のいくつかの実施例では、エンジン10がエコゾーンで動作するとき、動力電池40のSOCが第1の所定の値以上であれば、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御し、或いは、動力電池40のSOCが第1の所定の値より小さく、かつエンジン10の出力電力が車輪側要求電力以上であれば、エンジン10を最適なエコラインで動作するように制御し、第1の所定の値の大きさは、第1の所定の容量の大きさと逆相関関係にある。
【0127】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が直列モードにあるとき、エンジン10は、発電機30により動力電池40を充電し、ハイブリッド車1000が並列モードにあるとき、エンジン10は、駆動用モータ20により動力電池40を充電する。
【0128】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータは、車輪側要求トルク、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速のうちの少なくとも1つを含む。
【0129】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が並列モードにあるとき、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、車輪側要求トルクを決定するステップと、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより小さい場合、車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電するように、駆動用モータ20を駆動して発電するようにエンジン10を制御するステップと、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きい場合、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、動力電池40及びエンジン10が共に車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するステップと、を含む。
【0130】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が直列モードにあるとき、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定するステップと、エンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクに基づいて発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求電力に応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するステップと、を含む。
【0131】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値以上である場合、動力電池40のSOC及びハイブリッド車1000の車速に基づいて、ハイブリッド車1000が並列モードに入る第1の車輪側トルク閾値と、並列モードから出る第2の車輪側トルク閾値とを決定し、かつ車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値以上で第2の車輪側トルク閾値以下である場合、ハイブリッド車1000を並列モードに入るように制御するステップと、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより大きければ、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10及び動力電池40が共に車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するステップと、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクより小さければ、車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するとともに、エンジン10から出力された余分なエネルギーを用いて駆動用モータ20により動力電池40を充電するように、駆動用モータ20を駆動して発電するようにエンジン10を制御するステップと、車輪側要求トルクがエンジン10のエコラインで動作するときの出力トルクと等しければ、単独で車輪側要求トルクに応答するように、エンジン10をエコラインで動作するように制御するステップと、を含む。
【0132】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、車輪側要求トルクが第1の車輪側トルク閾値より小さい場合、動作を停止するようにエンジン10を制御するとともに、動力電池40により車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するステップを更に含む。
【0133】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、車輪側要求トルクが第2の車輪側トルク閾値より大きい場合、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御するステップと、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定するステップと、エンジン10の最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御するステップと、を更に含む。
【0134】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、ハイブリッド車1000の車速が所定の車速閾値より小さい場合、動力電池40のSOC及び車速に基づいてハイブリッド車1000が直列モードに入る第3の車輪側トルク閾値を決定し、かつ車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値以上である場合、ハイブリッド車1000を直列モードに入るように制御するステップと、車輪側要求トルク及び車速に基づいて車輪側要求電力を決定するステップと、エンジン10の最適なエコポイントで動作するときの所定の電力に基づいて、発電機30を発電するように駆動し、かつ駆動用モータ20により動力を車輪側に出力するように、所定の電力で最適なエコポイントで動作するようにエンジン10を制御するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より大きい場合、余分な電力を用いて発電機30により動力電池40を充電するステップと、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、エンジン10の出力電力を増加するように制御するとともに、車輪側要求電力に応答するように、エンジン10をエンジン10のエコラインで動作するように制御するステップと、を更に含む。
【0135】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、発電機30の発電電力が車輪側要求電力より小さい場合、現在動力電池40のSOCが第2の所定の値より小さいか否かを確認し、小さければ、エンジン10の出力電力を車輪側要求電力に応答するように制御し、かつ発電機30により動力電池40を充電するように、エンジン10の出力電力を増加し続けるように制御するステップを更に含む。
【0136】
本開示のいくつかの実施例では、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御するステップは、車輪側要求トルクが第3の車輪側トルク閾値より小さい場合、動作を停止するようにエンジン10を制御するとともに、動力電池40により車輪側要求トルクに応答するように、動力電池40を駆動用モータ20に給電するように制御するステップを更に含む。
【0137】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が直列モードで動作するとき、動力電池40のSOCが第1の所定の区間にあれば、エンジン10を第1のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第2の所定の区間にあれば、エンジン10を第2のエコラインで動作するように制御し、第2の所定の区間の上限は、第1の所定の区間の下限以下であり、同じ回転数では、エンジン10の第2のエコラインで動作する出力トルクは、エンジン10の第1のエコラインで動作する出力トルク以上である。
【0138】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000が並列モードで動作するとき、動力電池40のSOCが第3の所定の区間にあれば、エンジン10を第3のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第4の所定の区間にあれば、エンジン10を第4のエコラインで動作するように制御し、動力電池40のSOCが第5の所定の区間にあれば、エンジン10を第5のエコラインで動作するように制御し、第5の所定の区間の上限は、第4の所定の区間の下限以下であり、第4の所定の区間の上限は、第3の所定の区間の下限以下であり、第3のエコラインは、並列モードでの最適なエコラインであり、第5のエコラインは、エンジン10の外部特性線とほぼ一致し、第4のエコラインは、第5のエコラインと第3のエコラインとの間にある。
【0139】
本開示のいくつかの実施例では、ハイブリッド車1000がEVモードで動作するとき、動力電池40のSOCが第3の所定の値より小さければ、動力電池40のSOC、車速及び車輪側要求トルクに基づいて、ハイブリッド車1000を直列モード又は並列モードで動作するように制御し、かつエンジン10をエコゾーンで動作するように制御する。
【0140】
なお、本開示におけるハイブリッド車1000の制御方法の説明については、本開示におけるハイブリッドシステム100の説明を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0141】
本開示の実施例に係るハイブリッド車1000の制御方法では、ハイブリッド車1000の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいてエンジン10、駆動用モータ20及び発電機30を制御し、動力電池40に充放電制御を行うことにより、エンジン10がエコゾーンで動作し、直列モード、並列モード及びEVモードでのハイブリッド車1000の等価燃費を比較することにより、等価燃費が最も低い動作モードをハイブリッド車1000の現在の動作モードとして選択することにより、ハイブリッド車1000が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車1000の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たす。
【0142】
いくつかの実施例では、プロセッサ2200により実行されると、前述のハイブリッド車1000の制御方法を実現するハイブリッド車1000の制御プログラムが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体を更に提供する。
【0143】
本開示の実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体は、前述のハイブリッド車1000の制御方法により、ハイブリッド車1000が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車1000の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる。
【0144】
図13は、本開示の一実施例に係る車両制御ユニット2000の概略構成図であり、図13に示すように、該車両制御ユニット2000は、メモリ2100と、プロセッサ2200と、メモリ2100に記憶され、かつプロセッサ2200で実行可能なハイブリッド車1000の制御プログラムとを含み、プロセッサ2200は、ハイブリッド車1000の制御プログラムを実行すると、前述のハイブリッド車1000の制御方法を実現する。
【0145】
本開示の実施例に係る車両制御ユニット2000は、前述のハイブリッド車1000の制御方法により、ハイブリッド車1000が走行パラメータに基づいて等価燃費が最も低い動作モードで動作し、エネルギー消費が少ないため、ハイブリッド車1000の経済性を効果的に向上させ、ユーザの使用への期待を満たすことができる。
【0146】
なお、フローチャートに示されるか又は本明細書において他の方式で説明されたロジック又はステップ、或いはロジック及びステップは、例えば、ロジック機能を実現するための実行可能な命令の順序付けられたリストとしてみなされてもよく、任意のコンピュータ可読媒体にて具体的に実現することにより、命令実行システム、装置又は機器(例えば、コンピュータに基づくシステム、プロセッサ2200を含むシステム、又は命令実行システム、装置、又は機器から命令を読み取って命令を実行できる他のシステム)によって使用されるか、又はこれらの命令実行システム、装置若しくは機器と組み合わせて使用されてもよい。本明細書において、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置又は機器によって使用されるか、これらの命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるためのプログラムを格納、記憶、通信、伝播又は伝送することができる任意の装置であってもよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つ以上の配線を有する電気接続部(電子装置)、携帯型コンピュータディスクボックス(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ2100(RAM)、読み取り専用メモリ2100(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ2100(EPROM又はフラッシュメモリ2100)、光ファイバ装置、及び携帯型読み取り専用メモリ2100(CDROM)を含む。また、コンピュータ可読媒体は更に、例えば、紙又は他の媒体を光学的にスキャンし、次に編集し、解釈するか、又は必要に応じて他の適切な方式で処理することにより、上記プログラムを電子的に取得し、その後にコンピュータメモリ2100に記憶することができるので、上記プログラムを印刷することができる紙又は他の適切な媒体であってもよい。
【0147】
なお、本開示の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせによって実現することができることを理解されたい。上記実施形態では、複数のステップ又は方法は、メモリ2100に記憶され、かつ適切な命令実行システムにより実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。例えば、ハードウェアによって実現される場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対してロジック機能を実現するためのロジックゲート回路を有する離散ロジック回路、適切な組み合わせロジックゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの本分野の公知技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせによって実現することができる。
【0148】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などを参照した説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0149】
また、用語「第1の」、「第2の」は、説明目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数量を示唆すると理解すべきではない。これにより、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0150】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、明確な限定がない限り、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記用語の本開示における具体的な意味を理解することができる。
【0151】
以上、本開示の実施例を示し説明したが、上記実施例は、例示的なものであり、本開示を限定するものであると理解すべきではなく、当業者であれば、本開示の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0152】
1000 ハイブリッド車
100 ハイブリッドシステム
10 エンジン
20 駆動用モータ
30 発電機
40 動力電池
50 コントローラ
60 二重電気制御モジュール
61 第1のインバータ
62 第2のインバータ
63 DC/DC
70 変速機
80 終減速装置
C1 クラッチ
2000 車両制御ユニット
2100 メモリ
2200 プロセッサ
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13