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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】芯出し構造、機械、及びロボット
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20250107BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F16H1/28
B25J17/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023550861
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2021035960
(87)【国際公開番号】W WO2023053292
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 渉
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-073299(JP,A)
【文献】特開昭54-050758(JP,A)
【文献】米国特許第04951518(US,A)
【文献】米国特許第04589816(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機と、
前記減速機の中心線より径方向外側に配置される軸受と、
前記減速機に固定されていて前記減速機と前記軸受の同芯を保つアダプタと、
前記減速機及び前記軸受を固定する第一リンクと、
前記アダプタを嵌合する第二リンクと、
を備える、芯出し構造。
【請求項2】
前記アダプタが前記軸受の内輪に内接する又は前記軸受の外輪に外接する、請求項1に記載の芯出し構造。
【請求項3】
前記アダプタが前記減速機のシャフト又はケースに固定される、請求項1又は2に記載の芯出し構造。
【請求項4】
前記アダプタが前記減速機に嵌合する、請求項1から3のいずれか一項に記載の芯出し構造。
【請求項5】
前記第一リンクは前記減速機と前記軸受の同芯を保つ、請求項1から4のいずれか一項に記載の芯出し構造。
【請求項6】
前記軸受が前記減速機の頂面と底面の間に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の芯出し構造。
【請求項7】
減速機と、
前記減速機の中心線より径方向外側に配置される軸受と、
前記減速機に固定されるアダプタと、
前記減速機及び前記軸受を固定する第一リンクと、
を備え、
前記アダプタが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保つ、又は
前記アダプタが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保つ、芯出し構造。
【請求項8】
減速機と、
前記減速機の中心線より径方向外側に配置される軸受と、
前記減速機と前記軸受を固定する第一リンクと、
前記減速機に固定される第二リンクと、
を備え、
前記第二リンクが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保つ、又は
前記第二リンクが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保つ、芯出し構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の芯出し構造を備える機械。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の芯出し構造を備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の芯出し技術に関し、特に芯出し構造、機械、及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
重量物を搬送する大型ロボットでは、ロボットの関節に掛かる負荷が大きくなるため、負荷を支持する軸受を減速機に内蔵せずに別置する構造が知られている。斯かる構造では、減速機内部に軸受がないため、減速機と軸受間の同芯を取る必要がある(芯出し、芯合わせ、軸合わせ、調芯等とも称する)。減速機と軸受の軸中心がずれて組み付けられると、振動が発生し、機械の早期破損や機械の位置決め精度の悪化に繋がる。本願に関連する背景技術としては、後述の文献が公知である。
【0003】
特許文献1には、ロボット等の回転関節において、固定ベースにクロスローラ型の軸受を配置し、軸受の内輪に減速機のケースを回転可能に支持し、減速機のケースを旋回胴に固定することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、減速装置の遊星部材の軸方向の移動規制構造において、減速機の内歯歯車(ケース)が軸受の内輪の軸方向の一部にのみ接触し、軸受の内輪の内歯歯車の存在しない部分に押えリングが嵌め込まれ、押さえリングが遊星歯車の軸方向の移動規制を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-108485号公報
【文献】特開2002-295605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑み、減速機と軸受間の同芯を取る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、減速機と、減速機の中心線より径方向外側に配置される軸受と、減速機に固定されていて減速機と軸受の同芯を保つアダプタと、前記減速機及び前記軸受を固定する第一リンクと、前記アダプタを嵌合する第二リンクと、を備える、芯出し構造を提供する。
本開示の他の態様は、減速機と、前記減速機の中心線より径方向外側に配置される軸受と、前記減速機に固定されるアダプタと、前記減速機及び前記軸受を固定する第一リンクと、を備え、前記アダプタが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保つ、又は前記アダプタが前記減速機のケースと前記軸受の同芯を保ち、前記第一リンクが前記減速機のシャフトと前記軸受の同芯を保つ、芯出し構造を提供する。
本開示の別の態様は、斯かる芯出し構造を備える機械又はロボットを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、減速機と軸受の同芯を保つアダプタにより、減速機と軸受の軸中心を整合できる。ひいては、減速機の振動が低減し、減速機の破損を抑制できる。
本開示の他の態様によれば、減速機と軸受の同芯を保つリンクにより、減速機と軸受の軸中心を整合できる。ひいては、減速機の振動が低減し、減速機の破損を抑制できる。
本開示の別の態様によれば、機械又はロボットが斯かる芯出し構造を備えることにより、機械又はロボットの振動が低減するため、機械又はロボットの破損を抑制できると共に機械又はロボットの位置決め精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態の芯出し構造を備える機械の全体図である。
図2】第一実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図3】第二実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図4】第三実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図5】第四実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図6】第五実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図7】第六実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図8】第七実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。
図9】比較例の構造のII-II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。各図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号が付与されている。また、以下に記載する実施形態は、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲及び用語の意義を限定するものではない。
【0011】
第一実施形態の芯出し構造を備える機械について詳細に説明する。図1は第一実施形態の芯出し構造を備える機械1の全体図である。本実施形態の機械1は、産業用ロボット、特に多関節ロボットで構成されるが、他の実施形態では、単関節ロボット、パラレルリンク型ロボット、ヒューマノイド等の他の種類のロボットで構成されることもあることに留意されたい。別の実施形態において、機械1は、工作機械、建設機械、農業機械等の産業機械、又は車両、航空機等の他の機械で構成されることもある。
【0012】
機械1は回転可能に連結された複数のリンク11~17を備えるが、他の実施形態において機械1は直動可能に連結された複数のリンクを備えることもある。機械1は複数のリンク11~17間に回転関節を備えるが、他の実施形態において機械1は複数のリンク11~17間に直動関節を備えることもある。
【0013】
第一リンク11は所定位置に固定される固定ベースであり、第二リンク12は第一軸線J1回りに第一リンク11に対して回転可能に支持された旋回胴である。第三リンク13は第一軸線J1に直交する第二軸線J2回りに第二リンク12に対して回転可能に支持された上腕であり、第四リンク14は第二軸線J2に平行な第三軸線J3回りに第三リンク13に対して回転可能に支持された前腕である。第五リンク15、第六リンク16、及び第七リンク17は、第四リンクに取付けられた三軸の手首ユニット18である。
【0014】
第五リンク15は、第三軸線J3に直交する第四軸線J4回りに第四リンク14に対して回転可能に支持された第一手首要素であり、第六リンク16は、第四軸線J4に直交する第五軸線J5回りに第五リンク15に対して回転可能に支持された第二手首要素であり、第七リンク17は第五軸線J5に直交する第六軸線J6回りに第六リンク16に対して回転可能に支持された第三手首要素である。
【0015】
機械1は、複数のリンク11~17間の関節部分に、電動機、減速機、軸受等の種々の機械要素を含むアクチュエータ10を備えている。アクチュエータ10は、比較的大きな負荷を支持するため、軸受を減速機に内蔵せずに別置する構造を備えている。斯かる構造では、減速機内部に軸受がないため、減速機と軸受間の同芯を取る必要がある(芯出し、芯合わせ、軸合わせ、調芯等とも称する)。減速機と軸受の軸中心がずれて組み付けられると、振動が発生し、減速機の早期破損に繋がる。ひいては、機械の早期破損や機械の位置決め精度の悪化に繋がる。そこで、機械1又はアクチュエータ10は減速機と軸受の軸中心を整合できる芯出し構造を備えている。
【0016】
図2は第一実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。本実施形態の芯出し構造は、第一リンク11と第二リンク12の間の関節構造(第一軸線J1の関節構造)であるが、他の実施形態において芯出し構造は他のリンク12~17間の関節構造(他の軸線J2~J6の関節構造)にも適用できることに留意されたい。アクチュエータ10は、電動機20、減速機40、軸受50、及びアダプタ60で構成され、本実施形態の芯出し構造は、減速機40、軸受50、アダプタ60、第一リンク11、及び第二リンク12を備えている。
【0017】
電動機20は、回転軸21と、回転軸21に連結されたモータ側歯車22と、を備えている。減速機40は、モータ側歯車22に噛合う中央歯車41と、中央歯車41に噛合う複数の周回歯車42と、複数の周回歯車42を回転可能に支持するシャフト43と、シャフト43に噛合うケース44と、を備えている。本実施形態の減速機40は、遊星歯車減速機で構成され、中央歯車41が太陽歯車に相当し、周回歯車42が遊星歯車に相当し、シャフト43が遊星キャリアに相当し、ケース44が内歯車に相当する。他の実施形態において減速機40は波動歯車減速機等の他の種類の減速機で構成されることもあることに留意されたい。
【0018】
軸受50は、内輪51と、外輪52と、内輪51と外輪52との間で転動する転動体53と、を備えている。軸受50は、減速機40の中心線より径方向外側に配置される。軸受50は減速機40の最外径より径方向外側に配置されているが、他の実施形態において、軸受50の内輪51が減速機40の最外径より径方向内側に配置され、軸受50の外輪52が減速機40の最外径より径方向外側に配置されることもある。また、軸受50は減速機40の頂面と底面との間に配置されているため、芯出し構造(つまり関節構造)を小型化できる。本実施形態の軸受50は、アキシアル荷重、ラジアル荷重、モーメント荷重等の種々の方向の負荷を支持できるクロスローラ軸受で構成される。他の実施形態において軸受50、アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受等の他の種類の軸受で構成されることもある。アダプタ60は、フランジ付き筒状体であり、筒状部62と、筒状部62から内側に延在する内側フランジ61と、筒状部62から外側に延在する第一外側フランジ63と、筒状部62から外側に延在する第二外側フランジ64と、を備えている。
【0019】
電動機20は第二リンク12に固定され、減速機40は第一リンク11とアダプタ60に固定され、軸受50は第一リンク11と第二リンク12に固定され、アダプタ60は減速機40と第二リンク12に固定される。具体的には、減速機40のケース44が第一リンク11にねじ30で固定され、減速機40のシャフト43がアダプタ60の内側フランジ61にねじ31で固定される。軸受50の外輪52は第一リンク11にねじ(図示せず)等で固定され、軸受50の内輪51は第二リンク12にねじ32で固定される。アダプタ60の第一外側フランジ63は第二リンク12にねじ33で固定される。
【0020】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びシャフト43の順に減速回転し、シャフト43からアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して第二リンク12へトルクを伝達し、軸受50は第二リンク12を回転可能に支持する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0021】
減速機40のケース44の外径は軸受50の内径より小さいため、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取る必要がある。第一リンク11は、軸受50の外輪52に嵌合する嵌合部70と、減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71と、を備えることにより、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取ることができる。嵌合部70、71は例えば段付き穴である。減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のケース44と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0022】
また、減速機40のシャフト43の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のシャフト43に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の第二外側フランジ64の外周面が軸受50の内輪51に内接し(内周面に接触し)、第二リンク12がアダプタ60の第一外側フランジ63に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。嵌合部72、73は例えば段付き穴である。減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0023】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0024】
以上の第一実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0025】
以下、第二実施形態の芯出し構造について説明する。図3は第二実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第二実施形態の芯出し構造では、減速機40のシャフト43が第一リンク11にねじ31で固定され、減速機40のケース44がアダプタ60の内側フランジ61にねじ30で固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。
【0026】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びケース44の順に減速回転し、ケース44からアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して第二リンク12へトルクを伝達し、軸受50は第二リンク12を回転可能に支持する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0027】
第二実施形態では、減速機40のケース44が回転するため、第一実施形態のように第一リンク11は減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71を備えていない。第一リンク11は、軸受50の外輪52に嵌合する嵌合部70と、減速機40のシャフト43をねじ31で締結するねじ穴と、を備えることにより、減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を取ることができる。つまり減速機40のシャフト43を締結する第一リンク11のねじ穴は精密に機械加工されて減速機40のシャフト43を位置決めするものとする。減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のシャフト43と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0028】
また、減速機40のケース44の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のケース44に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の第二外側フランジ64の外周面が軸受50の内輪51に内接し(内周面に接触し)、第二リンク12がアダプタ60の第一外側フランジ63に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0029】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0030】
以上の第二実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0031】
以下、第三実施形態の芯出し構造について説明する。図4は第三実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第三実施形態の芯出し構造では、アダプタ60が第二リンク12に固定されておらず、軸受50に固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。具体的には、アダプタ60の筒状部62が軸受50の内輪51の内周面にねじ34で固定される。また、アダプタ60は、第一外側フランジ63と第二外側フランジ64を備えておらず、内側フランジ61と筒状部62のみを備えている点でも、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。つまり、アダプタ60はより単純な形状で構成される。
【0032】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びシャフト43の順に減速回転し、シャフト43からアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して軸受50の内輪51へトルクを伝達し、軸受50の内輪51は回転して第二リンク12へトルクを伝達する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0033】
減速機40のケース44の外径は軸受50の内径より小さいため、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取る必要がある。第一リンク11は、軸受50の外輪52に嵌合する嵌合部70と、減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71と、を備えることにより、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取ることができる。減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のケース44と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0034】
また、減速機40のシャフト43の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のシャフト43に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の筒状部62の外周面が軸受50の内輪51に内接し(内周面に接触し)、第二リンク12がアダプタ60の筒状部62に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0035】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0036】
以上の第三実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。また、アダプタ60は単純な形状で構成されるため、アダプタ60による芯出し精度を向上できる。
【0037】
以下、第四実施形態の芯出し構造について説明する。図5は第四実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第四実施形態の芯出し構造では、軸受50の内輪51が第一リンク11にねじ(図示せず)等で固定され、軸受50の外輪52がアダプタ60を介して第二リンク12にねじ32で固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。また、アダプタ60は、第一外側フランジ63を備えておらず、アダプタ60の第二外側フランジ64の嵌合部75が軸受50の外輪52に外接する(外周面に接触する)点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。
【0038】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びシャフト43の順に減速回転し、シャフト43からアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して第二リンク12へトルクを伝達し、軸受50は第二リンク12を回転可能に支持する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0039】
減速機40のケース44の外径は軸受50の内径より小さいため、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取る必要がある。第一リンク11は、軸受50の内輪51に嵌合する嵌合部70と、減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71と、を備えることにより、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取ることができる。嵌合部70は例えば段付きフランジであり、嵌合部71は例えば段付き穴である。減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のケース44と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0040】
また、減速機40のシャフト43の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のシャフト43に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の第二外側フランジ64が軸受50の外輪52に外接する嵌合部75を備え、第二リンク12がアダプタ60の筒状部62に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。嵌合部72、75、73は例えば段付き穴である。減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のシャフト43、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0041】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0042】
以上の第四実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0043】
以下、第五実施形態の芯出し構造について説明する。図6は第五実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第五実施形態の芯出し構造では、軸受50の内輪51が第一リンク11にねじ(図示せず)等で固定され、軸受50の外輪52がアダプタ60を介して第二リンク12にねじ32で固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。さらに、減速機40のシャフト43が第一リンク11にねじ31で固定され、減速機40のケース44がアダプタ60の内側フランジ61にねじ30で固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。
【0044】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びケース44の順に減速回転し、ケース44を介してアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して第二リンク12へトルクを伝達し、軸受50は第二リンク12を回転可能に支持する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0045】
第五実施形態では、減速機40のケース44が回転するため、第一実施形態のように第一リンク11は減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71を備えていない。第一リンク11は、軸受50の内輪51に嵌合する嵌合部70と、減速機40のシャフト43をねじ31で締結するねじ穴と、を備えることにより、減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を取ることができる。つまり減速機40のシャフト43を締結する第一リンク11のねじ穴は精密に機械加工されて減速機40のシャフト43を位置決めするものとする。減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のシャフト43と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0046】
また、減速機40のケース44の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のケース44に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の第二外側フランジ64が軸受50の外輪52に外接する嵌合部75を備え、第二リンク12がアダプタ60の筒状部62に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。嵌合部72、75、73は例えば段付き穴である。減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0047】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0048】
以上の第五実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0049】
以下、第六実施形態の芯出し構造について説明する。図7は第六実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第六実施形態の芯出し構造では、軸受50の内輪51が第一リンク11にねじ(図示せず)等で固定され、軸受50の外輪52がアダプタ60を介して第二リンク12にねじ32で固定される点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。さらに、アダプタ60は、第一外側フランジ63と第二外側フランジ64を備えておらず、内側フランジ61と筒状部62のみを備えている点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。つまり、アダプタ60はより単純な形状で構成される。
【0050】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びケース44の順に減速回転し、ケース44からアダプタ60へより大きなトルクを伝達する。アダプタ60は回転して第二リンク12へトルクを伝達する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0051】
第六実施形態では、減速機40のケース44が回転するため、第四実施形態のように第一リンク11は減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71を備えていない。第一リンク11は、軸受50の内輪51に嵌合する嵌合部70と、減速機40のシャフト43をねじ31で締結するねじ穴と、を備えることにより、減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を取ることができる。つまり減速機40のシャフト43を締結する第一リンク11のねじ穴は精密に機械加工されて減速機40のシャフト43を位置決めするものとする。減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のシャフト43と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0052】
また、減速機40のケース44の外径は軸受50の内径や第二リンク12の内径より小さいため、アダプタ60は、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つ。アダプタ60の内側フランジ61が減速機40のケース44に嵌合する嵌合部72を備え、アダプタ60の筒状部62が軸受50の外輪52に外接する嵌合部75を備え、第二リンク12がアダプタ60の筒状部62に嵌合する嵌合部73を備えることにより、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12間の同芯を取ることができる。減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12の同芯を保つアダプタ60により、減速機40のケース44、軸受50、及び第二リンク12のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0053】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、アダプタ60が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0054】
以上の第六実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つアダプタ60と、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。また、アダプタ60は単純な形状で構成されるため、アダプタ60による芯出し精度を向上できる。
【0055】
以下、第七実施形態の芯出し構造について説明する。図8は第七実施形態の芯出し構造のII-II断面図である。第七実施形態の芯出し構造では、アダプタ60を一体化した第二リンク12を備えている点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。具体的には、第二リンク12が内側フランジ61と筒状部62を備え、第二リンク12の内側フランジ61が減速機40のシャフト43にねじ31で固定され、第二リンク12の筒状部62が軸受50の内輪51にねじ32で固定される。また、第二リンク12がアダプタ60を一体化しているため、減速機40の中央歯車41を第二リンク12の内側フランジ61よりも第二リンク12の内側に配置できるように、第二リンク12の内側フランジ61の内径D2又は内側フランジ61の一部分の内径D2は減速機40の中央歯車41の外径D1より大きく形成されることに留意されたい。
【0056】
電動機20は、回転軸21及びモータ側歯車22を回転し、モータ側歯車22から減速機40の中央歯車41へトルクを伝達する。減速機40は、中央歯車41、周回歯車42、及びシャフト43の順に減速回転し、シャフト43から第二リンク12へ直接的により大きなトルクを伝達する。軸受50は第二リンク12を回転可能に支持する。軸受50は機械1のリンク12~17や機械1の先端に掛かる負荷を支持する。
【0057】
減速機40のケース44の外径は軸受50の内径より小さいため、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取る必要がある。第一リンク11は、軸受50の外輪52に嵌合する嵌合部70と、減速機40のケース44に嵌合する嵌合部71と、を備えることにより、減速機40のケース44と軸受50間の同芯を取ることができる。嵌合部70、71は例えば段付き穴である。減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11により、減速機40のケース44と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0058】
また、減速機40のシャフト43の外径は軸受50の内径より小さいため、第二リンク12は、減速機40のシャフト43と軸受50間のサイズ差を補完すると共に、減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を保つ。第二リンク12の内側フランジ61が減速機40のシャフト43に嵌合する嵌合部72を備え、第二リンク12の筒状部62が軸受50の内輪51に内接する(内周面に接触する)嵌合部74を備えることにより、減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を取ることができる。嵌合部72は例えば段付き穴であり、嵌合部74は例えば段付きフランジである。減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第二リンク12により、減速機40のシャフト43と軸受50のそれぞれの軸中心が第一軸線J1に整合する。
【0059】
減速機40のシャフト43とケース44は、シャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因してそれぞれの軸中心がずれて組み付けられてしまうことがあるが、第二リンク12が減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保ち、且つ、第一リンク11が減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つため、減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心も第一軸線J1に整合する。
【0060】
以上の第七実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つ第二リンク12により、減速機40と軸受50の軸中心が整合するため、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。特に、減速機40のシャフト43と軸受50の同芯を保つ第二リンク12と、減速機40のケース44と軸受50の同芯を保つ第一リンク11とにより、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心が整合するため、減速機40のシャフト43とケース44の軸中心がずれて組み付けられたときの振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0061】
以下、比較例の芯出し構造について説明する。図9は比較例の芯出し構造のII-II断面図である。比較例の芯出し構造では、アダプタ80が、リング状板体であり、内周部と外周部のみを備える点で、第一実施形態の芯出し構造とは異なる。アダプタ80の内周部は減速機40のシャフト43に嵌合する嵌合部72を備え、第二リンク12がアダプタ80の外周部に嵌合する嵌合部73を備えているため、減速機40のシャフト43と第二リンク12間の同芯を取ることができる。嵌合部72、73は例えば段付き穴である。
【0062】
しかし、アダプタ80は減速機40のシャフト43と軸受50間の同芯を取ることができないため、第二リンク12を軸受50の内輪51にねじ32で固定するねじ穴の寸法がねじ32に比べて大きい場合等では、第二リンク12が軸受50に対して矢印Sの方向へずれて組み付けられることがある。第二リンク12が矢印Sの方向へずれて固定されると、第二リンク12の嵌合部73に嵌合するアダプタ80も矢印Sの方向へずれるため、減速機40のシャフト43とケース44間の隙間(例えば歯車間の隙間)に起因して減速機40のシャフト43の軸線Joとケース44の軸線Jcがずれて組み付けられることになる。減速機40のシャフト43とケース44のそれぞれの軸中心がずれて組み付けられると、減速機40に振動が発生し、減速機40が破損することがある。また、機械1に振動が発生すると、機械1の早期破損や機械1の位置決め精度の悪化に繋がる。
【0063】
しかしながら、前述した種々の実施形態の芯出し構造によれば、減速機40と軸受50の同芯を保つアダプタ60により、減速機40と軸受50の軸中心を整合できる。ひいては、減速機40の振動が低減し、減速機40の破損を抑制できる。また、機械1が斯かる芯出し構造を備えることにより、機械1の振動が低減するため、機械1の破損を抑制できると共に機械1の位置決め精度を向上できる。
【0064】
本明細書において種々の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更を行えることを認識されたい。
【符号の説明】
【0065】
1 機械
10 アクチュエータ
11~17 リンク
18 手首ユニット
20 電動機
21 回転軸
22 モータ側歯車
30~34 ねじ
40 減速機
41 中央歯車
42 周回歯車
43 シャフト
44 ケース
50 軸受
51 内輪
52 外輪
53 転動体
60 アダプタ
61 内側フランジ
62 筒状部
63 第一外側フランジ
64 第二外側フランジ
70~75 嵌合部
J1~J6 軸線
D1 中央歯車の外径
D2 内側フランジの内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9