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特許7614400図形データ編集装置、加工プログラム作成装置、および図形データ編集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】図形データ編集装置、加工プログラム作成装置、および図形データ編集方法
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/20 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B23H7/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023567390
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046280
(87)【国際公開番号】W WO2023112206
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】安部 博之
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-036524(JP,A)
【文献】特開平06-304818(JP,A)
【文献】特開2000-141135(JP,A)
【文献】特開平04-165405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 - 11/00
G05B 19/18 - 19/416、
19/42 - 19/46
B23Q 15/00 - 15/28
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集装置であって、
前記図形データを取得する図形取得部と、
複数の前記加工形状のうち、オペレータが任意に選択したいずれか1つの前記加工形状である第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、前記オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部と、
複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状であるか否かを判定する判定部と、
選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を自動で前記図形データに付加する自動経路付加部と、
を備える、図形データ編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の図形データ編集装置であって、
前記経路付加部は、前記第1加工形状を加工するための第1加工開始位置と、前記第1加工開始位置と前記第1加工形状とを結ぶ前記第1アプローチ経路とを、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加し、
前記自動経路付加部は、前記第2加工形状を加工するための第2加工開始位置と、前記第2加工開始位置と前記第2加工形状とを結ぶ前記第2アプローチ経路とを、前記図形データに自動で付加する、図形データ編集装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の図形データ編集装置であって、
前記判定部は、
前記第1加工形状と、選択した前記加工形状とを複数の図形要素に分解する分解部と、
前記第1加工形状の複数の前記図形要素と、選択した前記加工形状の複数の前記図形要素との比較に基づいて、選択した前記加工形状が前記第2加工形状であるか否かを判定する比較判定部と、
を有する、図形データ編集装置。
【請求項4】
請求項3に記載の図形データ編集装置であって、
前記第1加工形状の複数の前記図形要素は、前記第1加工形状を形成する複数の辺の第1グループを含み、
選択された前記加工形状の複数の前記図形要素は、選択された前記加工形状を形成する複数の辺の第2グループを含み、
前記判定部は、前記第1グループのうち前記第1アプローチ経路との接点を有する前記辺と同じ長さの一辺を、前記第2グループの中から探索する探索部をさらに有し、
前記比較判定部は、前記接点を有する前記辺に基づいて決まる前記第1グループの複数の前記辺の並び順と、探索された前記一辺に基づいて決まる前記第2グループの複数の前記辺の並び順とに基づいて、選択された前記加工形状が前記第1加工形状と合同であるか否かを判断する、図形データ編集装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の図形データ編集装置であって、
前記判定部は、前記第1加工形状以外の全ての前記加工形状を選択することで、前記第1加工形状以外の全ての前記加工形状の各々が前記第2加工形状であるか否かを判定する、図形データ編集装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の図形データ編集装置であって、
前記判定部は、オペレータが指定した前記加工形状を選択することで、オペレータが指定した前記加工形状が前記第2加工形状であるか否かを判定する、図形データ編集装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の図形データ編集装置と、
前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラムを、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部と、
を備える、加工プログラム作成装置。
【請求項8】
ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集方法であって、
前記図形データを取得する図形取得ステップと、
複数の前記加工形状のうち、オペレータが任意に選択したいずれか1つの前記加工形状である第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、前記オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップと、
複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状であるか否かを判定する判定ステップと、
選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップと、
を含む、図形データ編集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機の加工プログラムを作成するための図形データを編集する図形データ編集装置と、加工プログラム作成装置と、図形データ編集方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機のワイヤ電極は、加工対象物に対して相対移動する。この相対移動は、加工プログラムに基づいて制御される。加工プログラムは、加工形状の図形を表すCAD(Computer Aided Design)データに基づいて作成される。CADデータは、ワイヤ電極が辿る複数の加工形状を含む。
【0003】
ただし、複数の加工形状は、ワイヤ放電加工機が生産する製品の形状を示す。言い換えると、複数の加工形状は、加工開始位置と、アプローチ経路とを示さない。加工開始位置は、ワイヤ電極が相対移動を開始する位置である。アプローチ経路は、加工開始位置と、加工形状とを繋ぐ経路(線形状)である。
【0004】
加工プログラムの作成を担当するオペレータは、加工プログラムを作成する前に、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とを、複数の加工形状に応じて図形データに付加する。加工プログラムは、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とが付加されたCADデータに基づいて作成される。
【0005】
しかし、加工開始位置とアプローチ経路とを複数の加工形状の各々に図形データに何度も付加する作業は、オペレータにとって負担である。これに関連し、特開平03-189708号公報には、加工形状複写方法が開示されている。その開示によれば、加工形状が複写された場合に、その加工形状に対応する加工開始位置も複写される。
【発明の概要】
【0006】
上記の加工形状複写方法に基づいて、例えば加工形状が複写された場合に、加工開始位置のみならずアプローチ経路をも複写することが考えられる。
【0007】
しかし、オペレータが、複数の加工形状を予め含んだ図形データを編集する場合がある。オペレータは、複数の加工形状の各々にアプローチ経路が付与されていない場合、アプローチ経路を図形データに付加する作業を行う。ここで、オペレータにしてみると、加工形状を複写することがない。したがって、オペレータは、加工開始位置とアプローチ経路とを加工形状に付加する作業を、何度も行わなければならない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0009】
本発明の第1の態様は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集装置であって、前記図形データを取得する図形取得部と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部と、複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状であるか否かを判定する判定部と、選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を自動で前記図形データに付加する自動経路付加部と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、加工プログラム作成装置であって、第1の態様の図形データ編集装置と、前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラムを、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部と、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集方法であって、前記図形データを取得する図形取得ステップと、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップと、複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状であるか否かを判定する判定ステップと、選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップと、を含む。
【0012】
本発明によれば、図形データに含まれる複数の加工形状へのアプローチ経路の付加が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る図形データ編集装置の概略構成図である。
図2図2は、図形データに基づいて表示画面に表示される図形を例示する図である。
図3図3は、第1経路付加部が編集した後の図2の図形データを例示する図である。
図4図4は、図3の例示に基づいて複数の辺を例示する図である。
図5図5Aは、図4の例示に基づく第1の並び順を例示する表である。図5Bは、図4の例示に基づく第2の並び順を例示する表である。
図6図6は、第2経路付加部が編集した後の図4の図形データを示す図である。
図7図7は、実施形態に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
図8図8は、変形例1に係る図形データを例示する図である。
図9図9Aは、図8の例示に基づく第2の並び順を例示する表である。図9Bは、図9Aの第2の並び順を反転させた並び順を示す表である。
図10図10は、図形データ編集装置を備える加工プログラム作成装置の概略構成図である。
図11図11は、変形例7に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る図形データ編集装置10の概略構成図である。
【0015】
図形データ編集装置10は、表示部12と、操作部14と、記憶部16と、演算部18とを備える電子装置(コンピュータ)である。
【0016】
表示部12は、表示画面121を有する表示装置である。表示画面121には、情報が適宜表示される。表示部12の材料は液晶を含む。ただし、表示部12の材料は液晶に限定されない。例えば、表示部12の材料はOEL(Organic Electro-Luminescence)を含んでもよい。
【0017】
操作部14は、オペレータによる情報入力を受け付ける入力装置である。操作部14は、例えばマウスと、キーボードと、タッチパッドとを有する。なお、操作部14は、タッチパネルを含んでもよい。この場合、タッチパネルは、表示画面121に貼り付けられる。
【0018】
記憶部16は、1以上のメモリを有する。例えば記憶部16は、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有する。記憶部16は、図形データ20と、編集プログラム22とを記憶する。
【0019】
図2は、図形データ20に基づいて表示画面121に表示される図形を例示する図である。
【0020】
図形データ20は、複数の加工形状24を表すデータである。図形データ20は、例えばCADシステムを用いて作成されたデータファイルである。
【0021】
加工形状24は、ワイヤ放電加工機が加工する形状を示す。図2の図形データ20は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状24を含む。図2の図形データ20は、例示のために、3つの加工形状24(241、242、243)を含む。
【0022】
複数の加工形状24の各々は、ループ状である。この限りにおいて、加工形状24の形状は限定されない。図2に例示された複数の加工形状24の各々は台形(多角形)である。
【0023】
編集プログラム22は、本実施形態の図形データ編集方法を図形データ編集装置10に実行させるためのプログラムである。図形データ編集方法の説明は後述する。
【0024】
演算部18は、1以上のプロセッサを有する。例えば演算部18は、CPU(Central Processing Unit)と、GPU(Graphics Processing Unit)とを有する。演算部18は、記憶部16に格納された情報を適宜参照可能である。
【0025】
演算部18は、図形取得部26と、図形編集部28と、判定部30とを備える。図形取得部26と、図形編集部28と、判定部30とは、演算部18が編集プログラム22を実行することで実現される。
【0026】
図形取得部26は、図形データ20を取得する。図形取得部26は、記憶部16を参照することで、図形データ20を取得する。
【0027】
ただし、図形取得部26は、図形データ編集装置10の外部装置と通信することで、その外部装置から図形データ20を取得してもよい。この場合、図形データ編集装置10と外部装置とは、通信可能に接続される。図形データ編集装置10の外部装置は、例えばワイヤ放電加工機を制御する数値制御装置(CNC : Computerized Numerical Controller)等のコンピュータである。また、図形取得部26は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の着脱可能な外部記憶媒体から図形データ20を取得してもよい。
【0028】
図形編集部28は、第1経路付加部(経路付加部)32と、第2経路付加部(自動経路付加部)34とを有する。
【0029】
図3は、第1経路付加部32が編集した後の図2の図形データ20を例示する図である。
【0030】
第1経路付加部32は、加工開始位置(第1加工開始位置)36と、アプローチ経路(第1アプローチ経路)38とをオペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。
【0031】
加工開始位置36は、複数の加工形状24のうちいずれか1つに沿って加工するワイヤ電極の初期位置を示す。ここで、複数の加工形状24のうちいずれか1つは、オペレータが操作部14を介して任意に選択する。例示のために、本実施形態のオペレータは、加工形状241を選択する(図3参照)。ここで選択された加工形状241は、以下の説明において第1加工形状241とも記載される。実際の加工対象物において加工開始位置36が示す位置には、ワイヤ電極が挿通可能な孔が形成される。
【0032】
アプローチ経路38は、加工開始位置36と、第1加工形状241とを繋ぐワイヤ電極の移動経路である。
【0033】
第1経路付加部32により編集された図形データ20(図3)は、表示画面121に表示される。
【0034】
第2経路付加部34の説明は後述する。
【0035】
判定部30は、図形データ20のうちの第1加工形状241以外の加工形状24が、第1加工形状241と合同であるか否かを判定する。この判定を行うために、判定部30は、選択部40と、分解部42と、探索部44と、比較判定部46とを有する。
【0036】
選択部40は、複数の加工形状24のうち第1加工形状241以外の加工形状24の各々を順番に選択する。ここで、選択される加工形状24の順番は、ランダムでもよいし、所定の規則に基づいて決められる順番でもよい。本実施形態の場合、図形データ20は、第1加工形状241以外に、加工形状242と、加工形状243とを含む。したがって、選択部40は、加工形状242、または加工形状243を選択する。なお、選択部40は、オペレータが第1加工形状241以外の1つの加工形状24を指定した場合、その指定された加工形状24を選択してもよい。
【0037】
本実施形態の選択部40は、例示のために、まずは加工形状242を選択する。これを踏まえ、加工形状242は、以下において選択加工形状242とも記載される。
【0038】
分解部42は、第1加工形状241と、選択加工形状242とを、複数の図形要素に分解する。図形要素は、第1加工形状241と選択加工形状242とを比較するために用いられる情報の単位である。複数の図形要素は、例えば複数の線分(辺)である。
【0039】
図4は、図3の例示に基づいて複数の辺を例示する図である。
【0040】
例えば第1加工形状241は、辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとの4辺から形成される台形(多角形)である。したがって、分解部42は、第1加工形状241を、辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとに分解できる。
【0041】
また、選択加工形状242は、辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとの4辺から形成される台形である。したがって、分解部42は、選択加工形状242を、辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとに分解できる。
【0042】
第1加工形状241と、選択加工形状242との分解結果は、記憶部16が記憶する。ここで、記憶部16は、第1加工形状241の複数の辺のグループ(第1グループ)と、選択加工形状242の複数の辺のグループ(第2グループ)とを区別可能に記憶する。
【0043】
探索部44は、第1加工形状241の中から、アプローチ経路38との接点Pを有する辺(アプローチ辺)を探索する。
【0044】
また、探索部44は、選択加工形状242の中から、アプローチ辺と同じ長さの一辺を探索する。例えば図4の例示において、アプローチ辺は辺Aである。この場合、探索部44は、辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとの中から、辺Aと同じ長さの一辺を探索する。
【0045】
比較判定部46は、選択加工形状242の中にアプローチ辺と同じ長さの一辺が含まれる場合に、第1加工形状241の複数の辺の並び順(第1の並び順)を決定する。
【0046】
第1の並び順は、アプローチ辺と、所定の巡回方向とに基づいて決定される。本実施形態のアプローチ辺は、辺Aである(図4参照)。所定の巡回方向は、右回方向または左回り方向である。本実施形態の所定の巡回方向は、例示のために、右回り方向である。
【0047】
図5Aは、図4の例示に基づく第1の並び順を例示する表481である。なお、表481の第1列(並び順)は、第1の並び順を示す。表481の第2列(辺)は、本実施形態における各辺の呼称を示す。表481の第3列(長さ)は、各辺の長さを示す。
【0048】
第1加工形状241は、辺Aから右回り方向に沿って、辺Bと、辺Cと、辺Dとをこの順番で含む。この場合、第1の並び順は、例えば辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとがこの順番で並ぶ並び順である。
【0049】
次に、比較判定部46は、選択加工形状242の複数の辺の並び順(第2の並び順)を決定する。第2の並び順は、探索された一辺と、所定の巡回方向とに基づいて決定される。
【0050】
図5Bは、図4の例示に基づく第2の並び順を例示する表482である。表482の形式は表481に準ずる。ただし、表482の第1列(並び順)は、第2の並び順を示す。
【0051】
本実施形態において、アプローチ辺(辺A)の長さは、LAである。探索部44が探索した結果、辺Eの長さもLAである。この場合、第2の並び順は、第1の並び順と同じ右回り方向に沿って、辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとがこの順番で並ぶ並び順である。
【0052】
表481の内容(第1の並び順)と、表482の内容(第2の並び順)とは、記憶部16が記憶する。
【0053】
次に、比較判定部46は、第1加工形状241のうち、アプローチ辺を除く複数の辺と、選択加工形状242のうち、探索された一辺を除く複数の辺とを対応付ける。本実施形態の場合、辺B~辺Dと、辺F~辺Hとが対応付けられる。
【0054】
比較判定部46は、第1の並び順と第2の並び順とに基づいて、辺B~辺Dと、辺F~辺Hとを対応付ける。例えば第1の並び順において2番目の辺Bと、第2の並び順において2番目の辺Fとが対応付けられる。第1の並び順において3番目の辺Cと、第2の並び順において3番目の辺Gとが対応付けられる。第1の並び順において4番目の辺Dと、第2の並び順において4番目の辺Hとが対応付けられる。
【0055】
また、比較判定部46は、第1加工形状241の辺B~辺Dと、選択加工形状242の辺F~辺Hのうち辺B~辺Dの各々に対応する辺とが互いに同じ長さであるか否かを判定する。すなわち、比較判定部46は、(1)辺Bの長さ=辺Fの長さ、(2)辺Cの長さ=辺Gの長さ、且つ(3)辺Dの長さ=辺Hの長さ、であるか否かを判定する。
【0056】
第1加工形状241の辺B~辺Dと、選択加工形状242の辺F~辺Hのうち辺B~辺Dの各々に対応する辺とが互いに同じ長さである場合、比較判定部46は、第1加工形状241の面積と、選択加工形状242の面積とを算出する。また、比較判定部46は、第1加工形状241の面積と、選択加工形状242の面積とを比較する。なお、ここで算出される第1加工形状241の面積は、加工開始位置36とアプローチ経路38とが図形データ20に追加される前の第1加工形状241の面積である。
【0057】
第1加工形状241の面積と選択加工形状242の面積とが同じである場合、比較判定部46は、第1加工形状241と選択加工形状242とが合同であると判定する。第1加工形状241と合同な選択加工形状242は、以下の説明において第2加工形状242とも記載される。
【0058】
比較判定部46の判定結果は、前述の第2経路付加部34に参照される。第2経路付加部34は、選択加工形状242が第1加工形状241と合同であると判定された場合に、図形データ20を自動で次の通りに編集する。
【0059】
図6は、第2経路付加部34が編集した後の図4の図形データ20を示す図である。
【0060】
第2経路付加部34は、加工開始位置(第2加工開始位置)50と、アプローチ経路(第2アプローチ経路)52とを図形データ20に付加する。アプローチ経路52は、加工開始位置50と、第2加工形状242とを繋ぐ経路である。これにより、オペレータは、加工開始位置50とアプローチ経路52とを含む図形データ20を容易に得る。
【0061】
ここで、第2経路付加部34は、加工開始位置50とアプローチ経路52と第2加工形状242とが形成する図形が、加工開始位置36とアプローチ経路38と第1加工形状241とが形成する図形と合同になるように図形データ20を編集する。
【0062】
判定部30は、図形データ20のうち、残りの加工形状243についても、第1加工形状241と合同であるか否かを判定する。具体的な判定の流れの説明は、前述の説明と実質的に重複するので省略する。また、加工形状243が第1加工形状241と合同である場合、第2経路付加部34は、加工形状243に対応する加工開始位置と、加工形状243に対応するアプローチ経路とを図形データ20に自動でさらに付加する。
【0063】
図形データ編集装置10によれば、加工開始位置50とアプローチ経路52とが自動で図形データ20に付加される。したがって、オペレータは、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とを含む図形データ20を容易に得る。
【0064】
しかも、加工開始位置50とアプローチ経路52と第2加工形状242とが形成する図形は、加工開始位置36とアプローチ経路38と第1加工形状241とが形成する図形と合同である。これにより、オペレータの意図を反映させた内容で、図形データ20を自動で編集することができる。
【0065】
例えば、図形データ20がダイ加工用である場合、オペレータは、加工開始位置36とアプローチ経路38とを第1加工形状241の内側に設定する。ここで、仮に加工開始位置50とアプローチ経路52とが第2加工形状242の外側に設定されると、ワイヤ電極は第2加工形状242に沿ったダイ加工を行うことができない。
【0066】
その点、図形データ編集装置10(第2経路付加部34)は、第1加工形状241の内側に設定された第1加工開始位置36に合わせて、第2加工開始位置50を第2加工形状242の内側に自動的に設定できる。
【0067】
図7は、実施形態に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
【0068】
図形データ編集装置10は、図7の図形データ編集方法を実行可能である。図7の図形データ編集方法は、図形取得ステップS1と、第1経路付加ステップ(経路付加ステップ)S2と、判定ステップS3と、第2経路付加ステップ(自動経路付加ステップ)S4と、終了判定ステップS5とを含む。
【0069】
図形取得ステップS1では、図形取得部26が図形データ20を取得する。
【0070】
第1経路付加ステップS2は、図形取得ステップS1の完了後に開始される。第1経路付加ステップS2では、第1経路付加部32が、加工開始位置36と、アプローチ経路38とをオペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。アプローチ経路38は、加工形状24(第1加工形状)と、加工開始位置36とを繋ぐ。
【0071】
判定ステップS3は、第1経路付加ステップS2の完了後に開始される。判定ステップS3は、選択ステップS31と、分解ステップS32と、探索ステップS33と、比較判定ステップS34とを含む。
【0072】
選択ステップS31は、第1経路付加ステップS2の完了後に開始される。選択ステップS31では、選択部40が、複数の加工形状24のうち、第1加工形状以外の1つの加工形状24を選択する。
【0073】
分解ステップS32は、選択ステップS31の完了後に開始される。分解ステップS32では、分解部42が、第1加工形状と、選択された加工形状24(選択加工形状)とを複数の図形要素(例えば辺)に分解する。
【0074】
探索ステップS33は、分解ステップS32の完了後に開始される。探索ステップS33では、探索部44が、第1アプローチ経路38との接点Pを有する辺(アプローチ辺)と同じ長さの一辺を、選択加工形状の複数の辺の中から探索する。
【0075】
比較判定ステップS34は、探索ステップS33においてアプローチ辺と同じ長さの一辺が探索された場合(探索ステップS33:YES)に開始される。比較判定ステップS34では、比較判定部46が、選択加工形状と第1加工形状とを比較する。また、比較判定部46は、比較結果に基づいて、選択加工形状が第1加工形状と合同な第2加工形状に該当するか否かを判定する。
【0076】
第2経路付加ステップS4は、選択加工形状が第2加工形状に該当する場合(比較判定ステップS34:YES)に開始される。第2経路付加ステップS4では、第2経路付加部34が、第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52とを図形データ20に自動で付加する。
【0077】
終了判定ステップS5は、アプローチ辺と同じ長さの一辺が探索されなかった場合(探索ステップS33:NO)、選択加工形状が第2加工形状に該当しない場合(比較判定ステップS34:NO)、または第2経路付加ステップS4の後に開始される。終了判定ステップS5では、第2加工形状に該当するか否かの判定(比較判定ステップS34)が第1加工形状以外の全ての加工形状24について行われたか否かが判定される。この判定は、例えば判定部30が行う。
【0078】
比較判定ステップS34が第1加工形状以外の全ての加工形状24について行われた場合(S5:YES)、図形データ編集装置10は、図形データ編集方法を終了する。その一方で、比較判定ステップS34において第1加工形状と比較されていない加工形状24が残っている場合(終了判定ステップS5:NO)、選択ステップS31~終了判定ステップS5の一連の流れが再び行われる。ここで、選択部40は、図形データ編集方法の開始(START)以後に行われた比較判定ステップS34において第1加工形状と比較されていない加工形状24を1つ選択する。
【0079】
以上の図形データ編集方法によれば、オペレータは、第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52とが付加された図形データ20を容易に得る。
【0080】
なお、選択ステップS31では、オペレータが予め指定した加工形状24の中から、選択加工形状を選択してもよい。この場合、終了判定ステップS5では、オペレータが指定した全ての加工形状24について比較判定ステップS34が行われたか否かが判定される。オペレータが指定した全ての加工形状24について比較判定ステップS34が行われたと判定された場合、図形データ編集装置10は、図形データ編集方法を終了する。
【0081】
[変形例]
以下には、上記実施形態に係る変形例が記載される。ただし、上記実施形態と重複する説明は、以下の説明では可能な限り省略される。上記実施形態で説明済の構成要素には、特に断らない限り、上記実施形態と同一の参照符号が付される。
【0082】
(変形例1)
判定部30は、選択加工形状が第1加工形状の鏡像である場合に、その選択加工形状を、第1加工形状と合同であると判定してもよい。この場合、判定部30は、例えば次に説明される処理を行う。
【0083】
図8は、変形例1に係る図形データ201を例示する図である。
【0084】
図8の加工形状241は、図4の加工形状241と同じである。図8の加工形状244は、辺Iと、辺Jと、辺Kと、辺Lとで形成される。
【0085】
加工形状244は、本例における選択加工形状である。これを踏まえ、選択加工形状は、本例において選択加工形状244とも記載される。また、本例において第2の並び順は、選択加工形状244を形成する複数の辺の並び順である。
【0086】
図9Aは、図8の例示に基づく第2の並び順を例示する表483である。表483の形式は表482に準ずる。
【0087】
探索部44が探索した結果、辺Iの長さは、アプローチ辺(辺A)と同じ長さである。この場合、比較判定部46は、辺Iと、第1の並び順の巡回方向とを基準にして、第2の並び順を表483の通りに決定する。
【0088】
表483の第2の並び順は、辺Iと、辺Jと、辺Kと、辺Lとを選択加工形状244に沿って、第1の並び順(図5A参照)と同じ右回り方向に辿る並び順である。この場合、表481の第1の並び順と、表483の第2の並び順とに基づいて、辺Bと辺Jとが対応する。また、辺Cと辺Kとが対応する。辺Dと辺Lとが対応する。
【0089】
しかし、本例の場合、少なくとも辺Bの長さ(LB)と、辺Jの長さ(LD)とが異なる。この場合、比較判定部46は、第1の並び順と、第2の並び順とのうち一方を反転させる。
【0090】
図9Bは、図9Aの第2の並び順を反転させた並び順を示す表484である。表484の形式は表483に準ずる。
【0091】
比較判定部46は、例えば図9Aの第2の並び順を、図9Bの通りに反転させる。反転後の第2の並び順は、辺Iと、辺Lと、辺Kと、辺Jとを選択加工形状244に沿って左回り方向に辿る並び順である。
【0092】
比較判定部46は、第1の並び順と、反転後の第2の並び順とに基づいて、第1加工形状241の複数の辺と、選択加工形状244の複数の辺とを再度対応付ける。これにより、辺Bと辺Lとが対応付く。また、辺Cと辺Kとが対応付く。辺Dと辺Jとが対応付く。
【0093】
比較判定部46は、対応させた2つの辺の長さを改めて比較する。すなわち、比較判定部46は、(4)辺Bの長さ=辺Lの長さ、(5)辺Cの長さ=辺Kの長さ、且つ(6)辺Dの長さ=辺Jの長さが成立するか否かを判定する。
【0094】
(4)~(6)の全てが成立する場合、選択加工形状244は、第1加工形状241の面積と、選択加工形状244の面積とを比較する。第1加工形状241の面積と、選択加工形状244の面積とが同じである場合、選択加工形状244は第1加工形状241の鏡像である。
【0095】
選択加工形状244が第1加工形状241の鏡像である場合、第2経路付加部34は、第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52とを図形データ201に付加する。ただし、第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52と、選択加工形状244とが形成する図形は、第1加工開始位置36と、第1アプローチ経路38と、第1加工形状241とが形成する図形の鏡像である。
【0096】
(変形例2)
選択加工形状が第1加工形状と合同であるか否かの判定方法は、選択加工形状が第1加工形状と合同であるか否かを判定できる限りにおいて、実施形態に限定されない。
【0097】
例えば、加工形状(24)が円形状を有する場合がある。この場合、複数の図形要素は、その加工形状の径を含んでもよい。また、判定部30は、複数の加工形状が円形状を有する場合に、その複数の加工形状の径が同じであるか否かを判定してもよい。径が同じ2つの円は合同である。
【0098】
また、加工形状(24)が曲線(弧線)を含む場合がある。この場合、複数の図形要素は、曲線の長さと、曲線の曲率とを含んでもよい。また、判定部30は、複数の曲線の長さと、曲率とが同じであるかを判定してもよい。長さと曲率とが同じ2つの曲線は合同である。なお、曲線(弧)に関する複数の図形要素は、曲率半径を含んでもよい。
【0099】
また、比較判定ステップS34に関して、第1加工形状と、選択加工形状とで図形要素の数がそもそも異なる場合がある。この場合、第1加工形状と選択加工形状とは合同であり得ない。例えば第1加工形状が多角形である場合、第1加工形状は複数の線分(辺)を有する。これに対し、例えば選択加工形状が円形状である場合、その選択加工形状は単一の曲線(閉曲線)のみを有する。つまり、円形状は、線分(辺)を有さない。以上を踏まえ、判定部30(比較判定部46)は、第1加工形状の図形要素の数と選択加工形状の図形要素の数とが異なる場合に、その選択加工形状は第2加工形状に該当しないと判定してもよい。
【0100】
(変形例3)
判定部30は、選択加工形状が第1加工形状と相似するか否かを判定してもよい。
【0101】
選択加工形状が第1加工形状と相似するか否かを判定するために、判定部30は、例えば、第1加工形状の複数の辺と、選択加工形状の複数の辺とを対応付ける。この対応付けは、第1加工形状の複数の辺の並び順と、選択加工形状の複数の辺の並び順とに基づいて行われる。ただし、第1加工形状のアプローチ辺は、選択加工形状の複数の辺のうち、アプローチ辺と異なる長さの一辺と対応付けられる。
【0102】
また、判定部30は、第1加工形状の複数の辺と、第1加工形状の複数の辺の各々に対応する選択加工形状の辺との複数の比を算出する。複数の比が互いに同じであれば、第1加工形状と選択加工形状とは相似する。
【0103】
複数の比が互いに異なる場合、判定部30は、第1加工形状の複数の辺と、選択加工形状の複数の辺との対応関係を変更する。ここで、第1加工形状の複数の辺は、選択加工形状の複数の辺のうち、変更前の対応関係において自身に対応する辺から、所定の巡回方向(右回り/左回り)に沿って1つ隣の辺と対応付けられる。また、判定部30は、変更後の対応関係に基づいて複数の比を再度算出する。
【0104】
このように、判定部30は、第1加工形状の複数の辺と選択加工形状の複数の辺との対応付けと、複数の比の算出とを繰り返す。複数の比が互いに同じになる対応関係が存在しない場合、第1加工形状と選択加工形状とは相似しない。
【0105】
ただし、選択加工形状が第1加工形状と相似するか否かを判定する方法は、選択加工形状が第1加工形状と相似するか否かを判定できる限りにおいて、限定されない。
【0106】
選択加工形状が第1加工形状と相似する場合、第2経路付加部34は、第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52とを図形データ20に自動で付加する。第2アプローチ経路52は、第2加工開始位置50と、選択加工形状とを繋ぐ。第2加工開始位置50と、第2アプローチ経路52と、選択加工形状とが形成する図形は、第1加工開始位置36と、第1アプローチ経路38と、第1加工形状とが形成する図形と相似する。
【0107】
(変形例4)
図形取得部26が図形データ20を取得した段階において、第1加工形状に第1加工開始位置36が付加されている場合がある。その場合、第1経路付加部32は、第1加工開始位置36と第1アプローチ経路38とのうち第1アプローチ経路38のみを、オペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。
【0108】
(変形例5)
図形データ編集装置10は、前述のCNCと一体的に構成されてもよい。
【0109】
(変形例6)
図10は、図形データ編集装置10を備える加工プログラム作成装置54の概略構成図である。
【0110】
図形データ編集装置10は、加工プログラム作成装置54と一体的に構成されてもよい。図10の加工プログラム作成装置54は、図形データ編集装置10の構成要素(図1参照)を備える。
【0111】
加工プログラム作成装置54は、NC作成プログラム56と、加工プログラム作成部58とをさらに備える。
【0112】
NC作成プログラム56は、加工プログラム作成装置54に加工プログラム60を作成させるためのプログラムである。加工プログラム60は、加工対象物に対するワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するためのプログラムである。NC作成プログラム56は、加工プログラム作成装置54の記憶部16に記憶される。
【0113】
加工プログラム作成部58は、図形データ20に基づいて加工プログラム60を作成する。これにより、オペレータは、加工プログラム60を得る。作成された加工プログラム60は、記憶部16に記憶されてもよい。また、オペレータは、作成された加工プログラム60を編集してもよい。
【0114】
(変形例7)
図11は、変形例7に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
【0115】
図形データ編集装置10は、図11の図形データ編集方法を実行してもよい。図11の図形データ編集方法は、図7の図形データ編集方法の構成要素を含む。ただし、図11の図形データ編集方法は、範囲指定ステップS6をさらに含む。
【0116】
範囲指定ステップS6は、図形取得ステップS1と、判定ステップS3との間において行われる。図11の範囲指定ステップS6は、例示のために、図形取得ステップS1と第1経路付加ステップS2との間において実行される。
【0117】
範囲指定ステップS6では、オペレータが、図形データ20に含まれる加工形状24を、操作部14を介して指定する。ここで指定される加工形状24の数は、オペレータの任意である。オペレータに指定された加工形状24は、記憶部16に記憶される。
【0118】
選択ステップS31において、選択部40は、範囲指定ステップS6において指定された加工形状24を選択する。範囲指定ステップS6において複数の加工形状24が指定された場合、選択部40は、その複数の加工形状24のうちの1つを選択する。
【0119】
終了判定ステップS5において、判定部30は、比較判定ステップS34が範囲指定ステップS6において指定された全ての加工形状24について行われたか否かを判定する。
【0120】
範囲指定ステップS6において指定された全ての加工形状24について比較判定ステップS34が行われた場合(終了判定ステップS5:YES)、図形データ編集装置10は、図形データ編集方法を終了する。その一方で、範囲指定ステップS6において指定された全ての加工形状24について比較判定ステップS34が行われていない場合(終了判定ステップS5:NO)、選択ステップS31~終了判定ステップS5の一連の流れが再び行われる。ここで、選択部40は、図形データ編集方法の開始(START)以後に行われた比較判定ステップS34において第1加工形状と比較されていない加工形状24を、範囲指定ステップS6において指定された加工形状24の中から1つ選択する。
【0121】
本変形例によれば、実施の形態で説明された選択加工形状の候補が、範囲指定ステップS6において指定された範囲内に制限される。選択加工形状の候補をオペレータの指定に基づいてあえて制限可能とすることで、オペレータの便宜が図られる。
【0122】
なお、範囲指定ステップS6において指定される加工形状24と、第1加工形状とが重複する場合があり得る。この場合、判定部30は、選択加工形状の候補から、第1加工形状を除外する。
【0123】
なお、本発明は、上述した実施形態、および変形例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0124】
[実施形態から得られる発明]
上記実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0125】
<第1の発明>
第1の発明は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状(24)を示す図形データ(20、201)を編集する図形データ編集装置(10)であって、前記図形データを取得する図形取得部(26)と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路(38)を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部(32)と、複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状(24)であるか否かを判定する判定部(30)と、選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路(52)を自動で前記図形データに付加する自動経路付加部(34)と、を備える。
【0126】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。
【0127】
前記経路付加部は、前記第1加工形状を加工するための第1加工開始位置(36)と、前記第1加工開始位置と前記第1加工形状とを結ぶ前記第1アプローチ経路とを、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加し、前記自動経路付加部は、前記第2加工形状を加工するための第2加工開始位置(50)と、前記第2加工開始位置と前記第2加工形状とを結ぶ前記第2アプローチ経路とを、前記図形データに自動で付加してもよい。これにより、アプローチ経路の付加作業のみならず、加工開始位置の付加作業も容易になる。
【0128】
前記判定部は、前記第1加工形状と、選択した前記加工形状とを複数の図形要素に分解する分解部(42)と、前記第1加工形状の複数の前記図形要素と、選択した前記加工形状の複数の前記図形要素との比較に基づいて、選択した前記加工形状が前記第2加工形状であるか否かを判定する比較判定部(46)と、を有してもよい。これにより、選択された加工形状が第2加工形状であるか否かが、図形要素単位で判定される。
【0129】
前記第1加工形状の複数の前記図形要素は、前記第1加工形状を形成する複数の辺の第1グループを含み、選択された前記加工形状の複数の前記図形要素は、選択された前記加工形状を形成する複数の辺の第2グループを含み、前記判定部は、前記第1グループのうち前記第1アプローチ経路との接点(P)を有する前記辺と同じ長さの一辺を、前記第2グループの中から探索する探索部(44)をさらに有し、前記比較判定部は、前記接点を有する前記辺に基づいて決まる前記第1グループの複数の前記辺の並び順と、探索された前記一辺に基づいて決まる前記第2グループの複数の前記辺の並び順とに基づいて、選択された前記加工形状が前記第1加工形状と合同であるか否かを判断してもよい。これにより、第1加工形状に対する選択された加工形状の傾きに関わらず、選択加工形状が第1加工形状と合同であるか否かが判定される。
【0130】
前記判定部は、前記第1加工形状以外の全ての前記加工形状を選択することで、前記第1加工形状以外の全ての前記加工形状の各々が前記第2加工形状であるか否かを判定してもよい。これにより、複数の第2加工形状を含む図形データの編集が容易になる。
【0131】
前記判定部は、オペレータが指定した前記加工形状を選択することで、オペレータが指定した前記加工形状が前記第2加工形状であるか否かを判定してもよい。これにより、オペレータの便宜が図られる。
【0132】
<第2の発明>
第2の発明は、加工プログラム作成装置(54)であって、第1の発明の図形データ編集装置と、前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラム(60)を、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部(58)と、を備える。
【0133】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。また、編集された図形データに基づいて、加工プログラムが作成される。
【0134】
<第3の発明>
第3の発明は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状(24)を示す図形データ(20、201)を編集する図形データ編集方法であって、前記図形データを取得する図形取得ステップ(S1)と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路(38)を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップ(S2)と、複数の前記加工形状のうち前記第1加工形状以外の1つの前記加工形状を選択し、選択した前記加工形状が前記第1加工形状と合同または相似する第2加工形状(24)であるか否かを判定する判定ステップ(S3)と、選択された前記加工形状が前記第2加工形状であると判定された場合に、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、前記第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路(52)を自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップ(S4)と、を含む。
【0135】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。
【符号の説明】
【0136】
10…図形データ編集装置 20、201…図形データ
24…加工形状 26…図形取得部
30…判定部
32…第1経路付加部(経路付加部)
34…第2経路付加部(自動経路付加部) 36…第1加工開始位置
38…第1アプローチ経路 40…選択部
42…分解部 44…探索部
46…比較判定部 50…第2加工開始位置
52…第2アプローチ経路 54…加工プログラム作成装置
58…加工プログラム作成部 60…加工プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11