(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】図形データ編集装置、加工プログラム作成装置、および図形データ編集方法
(51)【国際特許分類】
B23H 7/20 20060101AFI20250107BHJP
B23H 7/06 20060101ALI20250107BHJP
G05B 19/4093 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B23H7/20
B23H7/06 Z
G05B19/4093 J
(21)【出願番号】P 2023567391
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046281
(87)【国際公開番号】W WO2023112207
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】安部 博之
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-036524(JP,A)
【文献】特開平06-304818(JP,A)
【文献】特開2000-141135(JP,A)
【文献】特開平04-165405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 - 11/00
G05B 19/18 - 19/416、
19/42 - 19/46
B23Q 15/00 - 15/28
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集装置であって、
前記図形データを取得する図形取得部と、
複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成部と、
複数の前記加工形状のうち
、オペレータが任意に選択したいずれか1つの第1加工形状に繋がる
前記加工形状である第1アプローチ経路を、
前記オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部と、
前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加部と、
を備える、図形データ編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の図形データ編集装置であって、
前記経路付加部は、前記第1加工形状を加工するための第1加工開始位置と、前記第1加工開始位置と前記第1加工形状とを結ぶ前記第1アプローチ経路とを、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加し、
前記自動経路付加部は、前記第2加工形状を加工するための第2加工開始位置と、前記第2加工開始位置と前記第2加工形状とを結ぶ前記第2アプローチ経路とを、前記図形データに自動で付加する、図形データ編集装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の図形データ編集装置であって、
前記グループ作成部は、
複数の前記加工形状の各々を複数の図形要素に分解する分解部と、
複数の前記加工形状の各々の複数の前記図形要素を比較することで、複数の前記加工形状が互いに合同または相似するか否かを判定する判定部と、
を有する、図形データ編集装置。
【請求項4】
請求項3に記載の図形データ編集装置であって、
複数の前記加工形状の各々の複数の前記図形要素は、前記加工形状を形成する複数の辺を含み、
前記グループ作成部は、
複数の前記加工形状のうちいずれか1つを選択する選択部と、
選択した前記加工形状以外の前記加工形状を形成する複数の前記辺の中から、選択した前記加工形状を形成する複数の前記辺のうちいずれか1つの第1の辺と同じ長さの第2の辺を探索する探索部と、
前記第1の辺に基づいて、選択された前記加工形状を形成する複数の前記辺の第1の並び順を決定し、前記第2の辺に基づいて、前記第2の辺を含む前記加工形状を形成する複数の前記辺の第2の並び順を決定する並び順決定部と、
をさらに有し、
前記判定部は、前記第1の並び順と、前記第2の並び順とに基づいて、選択された前記加工形状と、前記第2の辺を含む前記加工形状とが合同であるか否かを判定する、図形データ編集装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の図形データ編集装置であって、
前記第2加工形状が複数ある場合、前記自動経路付加部は、複数の前記第2加工形状の各々に繋がる複数の前記第2アプローチ経路を前記図形データに付加する、図形データ編集装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の図形データ編集装置と、
前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラムを、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部と、
を備える、加工プログラム作成装置。
【請求項7】
ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集方法であって、
前記図形データを取得する図形取得ステップと、
複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成ステップと、
複数の前記加工形状のうち
、オペレータが任意に選択したいずれか1つの第1加工形状に繋がる
前記加工形状である第1アプローチ経路を、
前記オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップと、
前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップと、
を含む、図形データ編集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機の加工プログラムを作成するための図形データを編集する図形データ編集装置と、加工プログラム作成装置と、図形データ編集方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機のワイヤ電極は、加工対象物に対して相対移動する。この相対移動は、加工プログラムに基づいて制御される。加工プログラムは、加工形状の図形を表すCAD(Computer Aided Design)データに基づいて作成される。CADデータは、ワイヤ電極が辿る複数の加工形状を含む。
【0003】
ただし、複数の加工形状は、ワイヤ放電加工機が生産する製品の形状を示す。言い換えると、複数の加工形状は、加工開始位置と、アプローチ経路とを示さない。加工開始位置は、ワイヤ電極が相対移動を開始する位置である。アプローチ経路は、加工開始位置と、加工形状とを繋ぐ経路(線形状)である。
【0004】
加工プログラムの作成を担当するオペレータは、加工プログラムを作成する前に、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とを、複数の加工形状に応じて図形データに付加する。加工プログラムは、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とが付加されたCADデータに基づいて作成される。
【0005】
しかし、加工開始位置とアプローチ経路とを複数の加工形状の各々に図形データに何度も付加する作業は、オペレータにとって負担である。これに関連し、特開平03-189708号公報には、加工形状複写方法が開示されている。その開示によれば、加工形状が複写された場合に、その加工形状に対応する加工開始位置も複写される。
【発明の概要】
【0006】
上記の加工形状複写方法に基づいて、例えば加工形状が複写された場合に、加工開始位置のみならずアプローチ経路をも複写することが考えられる。
【0007】
しかし、オペレータが、複数の加工形状を予め含んだ図形データを編集する場合がある。オペレータは、複数の加工形状の各々にアプローチ経路が付与されていない場合、アプローチ経路を図形データに付加する作業を行う。ここで、オペレータにしてみると、加工形状を複写することがない。したがって、オペレータは、加工開始位置とアプローチ経路とを加工形状に付加する作業を、何度も行わなければならない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0009】
本発明の第1の態様は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集装置であって、前記図形データを取得する図形取得部と、複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成部と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部と、前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加部と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、加工プログラム作成装置であって、第1の態様の図形データ編集装置と、前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラムを、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部と、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状を示す図形データを編集する図形データ編集方法であって、前記図形データを取得する図形取得ステップと、複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成ステップと、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状に繋がる第1アプローチ経路を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップと、前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状に繋がる第2アプローチ経路を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップと、を含む。
【0012】
本発明によれば、図形データに含まれる複数の加工形状へのアプローチ経路の付加が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る図形データ編集装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、図形データに基づいて表示画面に表示される図形を例示する図である。
【
図3】
図3は、複数の加工形状の各々の複数の辺を例示する図である。
【
図4】
図4Aは、第1の並び順を例示する表である。
図4Bは、第2の並び順を例示する表である。
【
図5】
図5は、複数の加工形状のグルーピング結果を例示する表である。
【
図6】
図6は、第1経路付加部が編集した後の図形データを例示する図である。
【
図7】
図7は、第2経路付加部が編集した後の
図6の図形データを示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例1に係る図形データを例示する図である。
【
図11】
図11は、図形データ編集装置を備える加工プログラム作成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る図形データ編集装置10の概略構成図である。
【0015】
図形データ編集装置10は、表示部12と、操作部14と、記憶部16と、演算部18とを備える電子装置(コンピュータ)である。
【0016】
表示部12は、表示画面121を有する表示装置である。表示画面121には、情報が適宜表示される。表示部12の材料は液晶を含む。ただし、表示部12の材料は液晶に限定されない。例えば、表示部12の材料はOEL(Organic Electro-Luminescence)を含んでもよい。
【0017】
操作部14は、オペレータによる情報入力を受け付ける入力装置である。操作部14は、例えばマウスと、キーボードと、タッチパッドとを有する。なお、操作部14は、タッチパネルを含んでもよい。この場合、タッチパネルは、表示画面121に貼り付けられる。
【0018】
記憶部16は、1以上のメモリを有する。例えば記憶部16は、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有する。記憶部16は、図形データ20と、編集プログラム22とを記憶する。
【0019】
図2は、図形データ20に基づいて表示画面121に表示される図形を例示する図である。
【0020】
図形データ20は、複数の加工形状24を表すデータである。図形データ20は、例えばCADシステムを用いて作成されたデータファイルである。
【0021】
加工形状24は、ワイヤ放電加工機が加工する形状を示す。
図2の図形データ20は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状24を含む。
図2の図形データ20は、例示のために、5つの加工形状24(241、242、243、244、245)を含む。
【0022】
複数の加工形状24の各々は、ループ状である。この限りにおいて、加工形状24の形状は限定されない。
図2に例示された複数の加工形状24の各々は台形(多角形)である。
【0023】
編集プログラム22は、本実施形態の図形データ編集方法を図形データ編集装置10に実行させるためのプログラムである。図形データ編集方法の説明は後述する。
【0024】
演算部18は、1以上のプロセッサを有する。例えば演算部18は、CPU(Central Processing Unit)と、GPU(Graphics Processing Unit)とを有する。演算部18は、記憶部16に格納された情報を適宜参照可能である。
【0025】
演算部18は、図形取得部26と、グループ作成部28と、図形編集部30とを備える。図形取得部26と、グループ作成部28と、図形編集部30とは、演算部18が編集プログラム22を実行することで実現される。
【0026】
図形取得部26は、図形データ20を取得する。図形取得部26は、記憶部16を参照することで、図形データ20を取得する。
【0027】
ただし、図形取得部26は、図形データ編集装置10の外部装置と通信することで、その外部装置から図形データ20を取得してもよい。この場合、図形データ編集装置10と外部装置とは、通信可能に接続される。図形データ編集装置10の外部装置は、例えばワイヤ放電加工機を制御する数値制御装置(CNC : Computerized Numerical Controller)等のコンピュータである。また、図形取得部26は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の着脱可能な外部記憶媒体から図形データ20を取得してもよい。
【0028】
グループ作成部28は、図形データ20が示す複数の加工形状24を、互いに合同な形状ごとにグルーピングする。このグルーピングを行うために、グループ作成部28は、分解部32と、選択部34と、探索部36と、並び順決定部38と、判定部40とを有する。
【0029】
分解部32は、複数の加工形状24の各々を、複数の図形要素に分解する。複数の図形要素は、例えば複数の線分(辺)である。
【0030】
図3は、複数の加工形状24の各々の複数の辺を例示する図である。
【0031】
例えば加工形状241は、辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとの4辺から形成される台形(多角形)である。したがって、分解部32は、加工形状241を、辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとに分解する。
【0032】
これと同様にして、加工形状242は、辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとに分解される。また、加工形状243は、辺Iと、辺Jと、辺Kと、辺Lとに分解される。加工形状244は、辺Mと、辺Nと、辺Oと、辺Pとに分解される。加工形状245は、辺Qと、辺Rと、辺Sと、辺Tとに分解される。分解結果(複数の加工形状24の複数の辺)は、記憶部16が記憶する。
【0033】
選択部34は、複数の加工形状24の中から、グルーピングされていない加工形状24を1つ選択する。グルーピングされていない加工形状24が複数ある場合、選択部34は、グルーピングされていない複数の加工形状24の中からランダムに選択してもよい。また、グルーピングされていない加工形状24が複数ある場合、選択部34は、所定の規則に基づいて選択してもよい。
【0034】
ここでは、例示のために、選択部34は、加工形状241を選択する。選択部34が選択した加工形状241は、以下の説明において選択加工形状241とも記載される。
【0035】
探索部36は、選択加工形状241を形成する複数の辺(辺A~辺D)のうち、いずれか1つの辺を選択する。探索部36は、選択加工形状241の中から、いずれか1つの辺をランダムに選択してもよい。また、選択部34は、所定の規則に基づいて、選択加工形状241の中から、いずれか1つの辺を選択してもよい。
【0036】
ここでは、例示のために、探索部36は、辺Aを選択する。探索部36が選択加工形状241の中から選択した辺Aは、以下の説明において、第1の辺Aとも記載される。
【0037】
選択加工形状241と合同な加工形状24は、第1の辺Aと同じ長さの第2の辺を必ず1つ含む。これを踏まえ、探索部36は、選択加工形状241以外の加工形状242~加工形状245の各々の中から、第2の辺(第1の辺Aと同じ長さの辺)を探索する。これにより、選択加工形状241と合同である可能性のある加工形状24が特定される。
【0038】
ここでは、例示のために、加工形状242の辺Eのみが、第1の辺Aと同じ長さの辺である。辺Eは、以下の説明において、第2の辺Eとも記載される。
【0039】
並び順決定部38は、選択加工形状241の複数の辺の並び順(第1の並び順)と、第2の辺Eを含む加工形状242の複数の辺の並び順(第2の並び順)とを決定する。
【0040】
第1の並び順は、第1の辺Aと、所定の巡回方向とに基づいて決定される。所定の巡回方向は、右回り方向または左回り方向である。ここでは例示のために、所定の巡回方向は、右回り方向である。
【0041】
図4Aは、第1の並び順を例示する表421である。なお、表421の第1列(並び順)は、第1の並び順を示す。表421の第2列(辺)は、選択加工形状241を形成する各辺の呼称を示す。表421の第3列(長さ)は、選択加工形状241を形成する各辺の長さを示す。
【0042】
選択加工形状241は、第1の辺Aから右回り方向に沿って、辺Bと、辺Cと、辺Dとをこの順番で含む。この場合、第1の並び順は、例えば第1の辺Aと、辺Bと、辺Cと、辺Dとがこの順番で並ぶ並び順である。
【0043】
図4Bは、第2の並び順を例示する表422である。表422の形式は表421に準ずる。ただし、表422の第1列(並び順)は、第2の並び順を示す。
【0044】
加工形状242は、第2の辺Eから右回り方向に沿って、辺Fと、辺Gと、辺Hとをこの順番で含む。この場合、第2の並び順は、第2の辺Eと、辺Fと、辺Gと、辺Hとがこの順番で並ぶ並び順である。
【0045】
表421の内容(第1の並び順)と、表422の内容(第2の並び順)とは、記憶部16が記憶する。
【0046】
判定部40は、選択加工形状241のうち、第1の辺Aを除く複数の辺(辺B~辺D)と、加工形状242のうち、第2の辺Eを除く複数の辺(辺F~辺H)とを対応付ける。
【0047】
ここで、判定部40は、第1の並び順と第2の並び順とに基づいて、辺B~辺Dと、辺F~辺Hとを対応付ける。例えば第1の並び順において2番目の辺Bと、第2の並び順において2番目の辺Fとが対応付けられる。第1の並び順において3番目の辺Cと、第2の並び順において3番目の辺Gとが対応付けられる。第1の並び順において4番目の辺Dと、第2の並び順において4番目の辺Hとが対応付けられる。
【0048】
また、判定部40は、選択加工形状241の辺B~辺Dと、加工形状242の辺F~辺Hのうち辺B~辺Dの各々に対応する辺とが互いに同じ長さであるか否かを判定する。すなわち、判定部40は、(1)辺Bの長さ=辺Fの長さ、(2)辺Cの長さ=辺Gの長さ、且つ(3)辺Dの長さ=辺Hの長さ、であるか否かを判定する。
【0049】
選択加工形状241の辺B~辺Dと、加工形状242の辺F~辺Hのうち辺B~辺Dの各々に対応する辺とが互いに同じ長さである場合、判定部40は、選択加工形状241の面積と、加工形状242の面積とを算出する。また、判定部40は、選択加工形状241の面積と、加工形状242の面積とを比較する。
【0050】
選択加工形状241の面積と、加工形状242の面積とが同じである場合、判定部40は、選択加工形状241と加工形状242とが合同であると判定する。選択加工形状241と、加工形状242とが合同であると判定された場合、グループ作成部28は、加工形状242を選択加工形状241と同じグループに分類する。
【0051】
仮に、加工形状243~加工形状245の各々も第2の辺を含む場合、グループ作成部28は、加工形状243~加工形状245の各々が選択加工形状241と合同であるか否かを、並び順決定部38と、判定部40とを用いて判定する。
【0052】
ただし、前述の通り、加工形状243~加工形状245の各々は、第1の辺Aと同じ長さの第2の辺を含まない。したがって、加工形状243~加工形状245は、少なくとも選択加工形状241とは合同でない。
【0053】
この場合、グループ作成部28は、加工形状243~加工形状245が合同であるか否かを判定する。この場合、加工形状243、加工形状244、または加工形状245が、新たに選択加工形状24として選択される。なお、新たに選択された選択加工形状24に基づいて加工形状243~加工形状245が合同であるか否かを判定する処理の説明は、上述の説明と実質的に重複するので、省略する。
【0054】
図5は、複数の加工形状24のグルーピング結果を例示する表44である。表44の第1列は、加工形状24の呼称を示す。表44の第2列は、各加工形状24が属するグループを示す。
【0055】
グループ作成部28が図形データ20中の全ての加工形状24をグルーピングすることで、例えば
図5に例示されるグルーピング結果が得られる。
図5によれば、加工形状241と加工形状242とが同じグループGAに属する。また、加工形状243と、加工形状244と、加工形状245とが同じグループGBに属する。グルーピング結果は、記憶部16に記憶される。
【0056】
図形編集部30は、第1経路付加部(経路付加部)46と、第2経路付加部48(自動経路付加部)とを有する。
【0057】
第1経路付加部46は、加工開始位置(第1加工開始位置)50と、アプローチ経路(第1アプローチ経路)52とをオペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。第1経路付加部46により編集された図形データ20は、表示画面121に表示される。
【0058】
図6は、第1経路付加部46が編集した後の図形データ20を例示する図である。
【0059】
加工開始位置50は、複数の加工形状24のうちいずれか1つに沿って加工するワイヤ電極の初期位置を示す。ここで、複数の加工形状24のうちいずれか1つは、オペレータが操作部14を介して任意に選択する。
【0060】
ここでは、例示のために、オペレータは、加工形状241を選択する(
図3参照)。オペレータが選択した加工形状241は、以下の説明において第1加工形状241とも記載される。実際の加工対象物において加工開始位置50が示す位置には、ワイヤ電極が挿通可能な孔が形成される。
【0061】
アプローチ経路52は、加工開始位置50と、第1加工形状241とを繋ぐワイヤ電極の移動経路である。
【0062】
第2経路付加部48は、第1加工形状241に繋がるアプローチ経路52が図形データ20に付与された場合に、グルーピング結果(
図5)に基づいて、第1加工形状241と同じグループGAに属する第2加工形状24を特定する。ここでは、加工形状242のみが第2加工形状24として特定される。
【0063】
第2経路付加部48は、第2加工形状242の特定結果を踏まえ、図形データ20を自動で次の通りに編集する。
【0064】
図7は、第2経路付加部48が編集した後の
図6の図形データ20を示す図である。
【0065】
第2経路付加部48は、加工開始位置(第2加工開始位置)56と、アプローチ経路(第2アプローチ経路)58とを図形データ20に自動で付加する。加工開始位置56は、第2加工形状242を加工するためのワイヤ電極の初期位置を示す。アプローチ経路58は、第2加工形状242に繋がる経路である。アプローチ経路58は、加工開始位置56と、第2加工形状242とを繋ぐ。これにより、オペレータは、加工開始位置56とアプローチ経路58とを含む図形データ20を容易に得る。
【0066】
ここで、第2経路付加部48は、加工開始位置56とアプローチ経路58と第2加工形状242とが形成する図形が、加工開始位置50とアプローチ経路52と第1加工形状241とが形成する図形と合同になるように図形データ20を編集する。
【0067】
図形データ編集装置10によれば、加工開始位置56とアプローチ経路58とが自動で図形データ20に付加される。したがって、オペレータは、複数の加工開始位置と、複数のアプローチ経路とを含む図形データ20を容易に得る。
【0068】
しかも、加工開始位置56とアプローチ経路58と第2加工形状242とが形成する図形は、加工開始位置50とアプローチ経路52と第1加工形状241とが形成する図形と合同である。これにより、オペレータの意図を反映させた内容で、図形データ20を自動で編集することができる。
【0069】
例えば、図形データ20がダイ加工用である場合、オペレータは、加工開始位置50とアプローチ経路52とを第1加工形状241の内側に設定する。ここで、仮に加工開始位置56とアプローチ経路58とが第2加工形状242の外側に設定されると、ワイヤ電極は第2加工形状242に沿ったダイ加工を行うことができない。
【0070】
その点、図形データ編集装置10(第2経路付加部48)は、第1加工形状241の内側に設定された第1加工開始位置50に合わせて、第2加工開始位置56を第2加工形状242の内側に自動的に設定できる。
【0071】
なお、仮に、オペレータが、加工形状243に繋がるアプローチ経路を図形データ20に付与する。この場合、第2経路付加部48は、加工形状243と同じグループGBに属する加工形状244と加工形状245との各々に繋がる複数のアプローチ経路を、図形データ20に自動で付与する。
【0072】
図8は、実施形態に係る図形データ編集方法の流れを例示するフローチャートである。
【0073】
図形データ編集装置10は、
図8の図形データ編集方法を実行可能である。
図8の図形データ編集方法は、図形取得ステップS1と、グループ作成ステップS2と、第1経路付加ステップ(経路付加ステップ)S3と、第2経路付加ステップ(自動経路付加ステップ)S4と、終了判定ステップ(第3終了判定ステップ)S5とを含む。
【0074】
図形取得ステップS1では、図形取得部26が図形データ20を取得する。
【0075】
グループ作成ステップS2は、分解ステップS21と、選択ステップS22と、グループ新規作成ステップS23と、探索ステップS24とを含む。
【0076】
分解ステップS21は、図形取得ステップS1の完了後に開始される。分解ステップS21では、分解部32が、複数の加工形状24の各々を複数の図形要素(辺)に分解する。
【0077】
選択ステップS22では、選択部34が、選択加工形状24を選択する。選択部34は、図形データ20中の複数の加工形状24のうち、グルーピングされていない加工形状24を、選択加工形状24として選択する。
【0078】
グループ新規作成ステップS23では、グループ作成部28が、選択加工形状24が属するグループを作成する。作成されたグループには、少なくとも選択加工形状24が属する。
【0079】
探索ステップS24では、探索部36が、選択加工形状24の第1の辺と同じ長さの第2の辺を、選択加工形状24以外の加工形状24の中から探索する。第2の辺が探索されなかった場合(S24:NO)、後述の第2終了判定ステップS29が実行される。
【0080】
グループ作成ステップS2は、並び順決定ステップS25と、判定ステップS26と、グループ更新ステップS27と、第1終了判定ステップS28と、第2終了判定ステップS29とをさらに含む。
【0081】
並び順決定ステップS25は、第2の辺が探索された場合(S24:YES)に開始される。並び順決定ステップS25では、並び順決定部38が、第1の並び順と、第2の並び順とを決定する。第1の並び順は、第1の辺に基づいて決定される。第2の並び順は、第2の辺に基づいて決定される。
【0082】
判定ステップS26では、判定部40が、第1の並び順と第2の並び順とに基づいて、選択加工形状24と、第2の辺を含んだ加工形状24とを比較する。また、その比較結果に基づいて、判定部40が、選択加工形状24と、第2の辺を含んだ加工形状24とが合同であるか否かを判定する。
【0083】
グループ更新ステップS27は、選択加工形状24と、第2の辺を含んだ加工形状24とが合同であると判定された場合(S26:YES)に開始される。グループ更新ステップS27では、グループ作成部28が、選択加工形状24と合同であると判定された加工形状24を、選択加工形状24と同じグループにグルーピングする。
【0084】
第1終了判定ステップS28は、選択加工形状24と、第2の辺を含んだ加工形状24とが合同でないと判定された場合(S26:NO)に開始される。第1終了判定ステップS28では、第2の辺を含んだ加工形状24であって、選択加工形状24と比較されていない加工形状24があるか否かを、判定部40が判定する。
【0085】
第2の辺を含んだ加工形状24であって、選択加工形状24と比較されていない加工形状24がある場合(S28:YES)、判定ステップS26が再び実行される。つまり、複数の加工形状24が第2の辺を含む場合、第2の辺を含んだ全ての加工形状24が選択加工形状24と比較されるまで、判定ステップS26が繰り返される。
【0086】
第2終了判定ステップS29は、第2の辺を含んだ全ての加工形状24が選択加工形状24と比較された場合(S28:NO)に開始される。第2終了判定ステップS29では、判定部40が、図形データ20中の全ての加工形状24がグルーピングされたか否かを判定する。グルーピングされていない加工形状24が残っている場合(S29:NO)、選択ステップS22が再び実行される。
【0087】
第1経路付加ステップS3は、図形データ20中の全ての加工形状24がグルーピングされた場合(S29:YES)に開始される。第1経路付加ステップS3では、第1経路付加部46が、加工開始位置50と、アプローチ経路52とをオペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。アプローチ経路52は、第1加工形状24と、加工開始位置50とを繋ぐ。
【0088】
第2経路付加ステップS4は、第1経路付加ステップS3の完了後に開始される。第2経路付加ステップS4では、第2経路付加部48が、加工開始位置56と、アプローチ経路58とを図形データ20に自動で付加する。アプローチ経路58は、第2加工形状24と、加工開始位置56とを繋ぐ。第2加工形状24は、グループ作成ステップS2の実行結果と、第1経路付加ステップS3の実行結果とに基づいて特定される。
【0089】
第3終了判定ステップS5は、第2経路付加ステップS4の完了後に開始される。第3終了判定ステップS5では、全ての第2加工形状24に対応する加工開始位置56と、アプローチ経路58とが図形データ20に付加されたか否かが判定される。この判定は、例えば第2経路付加部48が行う。
【0090】
加工開始位置56と、アプローチ経路58とに繋がっていない第2加工形状24が残っている場合(S5:NO)、第2経路付加ステップS4が再び実行される。これにより、第1加工形状24と合同な全ての加工形状24に、加工開始位置56と、アプローチ経路58とが自動で付加される。
【0091】
以上の図形データ編集方法によれば、オペレータは、第2加工開始位置56と、アプローチ経路58とが付加された図形データ20を容易に得る。
【0092】
[変形例]
以下には、上記実施形態に係る変形例が記載される。ただし、上記実施形態と重複する説明は、以下の説明では可能な限り省略される。上記実施形態で説明済みの構成要素には、特に断らない限り、上記実施形態と同一の参照符号が付される。
【0093】
(変形例1)
判定部40は、加工形状24が選択加工形状24の鏡像である場合に、その加工形状24を、選択加工形状24と合同であると判定してもよい。この場合、判定部40は、例えば次に説明される処理を行う。
【0094】
図9は、変形例1に係る図形データ201を例示する図である。
【0095】
図9の加工形状241は、
図3の加工形状241と同じである。
図9の加工形状246は、辺Uと、辺Vと、辺Wと、辺Xとで形成される。
【0096】
図10Aは、変形例1に係る第2の並び順を例示する表423である。表423の形式は表422に準ずる。
【0097】
探索部36が探索した結果、辺Uの長さは、第1の辺Aと同じ長さである。つまり、辺Uは、本変形例における第2の辺である。並び順決定部38は、第2の辺Uを含んだ加工形状246の第2の並び順を、表423の通りに決定する。
【0098】
表423の第2の並び順は、辺Uと、辺Vと、辺Wと、辺Xとを加工形状246に沿って、第1の並び順(
図4A参照)と同じ右回り方向に辿る並び順である。この場合、表421の第1の並び順と、表423の第2の並び順とに基づいて、辺Bと辺Vとが対応する。また、辺Cと辺Wとが対応する。辺Dと辺Xとが対応する。
【0099】
しかし、本例の場合、少なくとも辺Bの長さ(LB)と、辺Vの長さ(LD)とが異なる。この場合、並び順決定部38は、第1の並び順と、第2の並び順とのうち一方を反転させる。
【0100】
図10Bは、
図10Aの第2の並び順を反転させた並び順を示す表424である。表424の形式は表423に準ずる。
【0101】
並び順決定部38は、例えば
図10Aの第2の並び順を、
図10Bの通りに反転させる。反転後の第2の並び順は、辺Uと、辺Xと、辺Wと、辺Vとを加工形状246に沿って左回り方向に辿る並び順である。
【0102】
判定部40は、第1の並び順と、反転後の第2の並び順とに基づいて、選択加工形状241の複数の辺と、加工形状246の複数の辺とを再度対応付ける。これにより、辺Bと辺Xとが対応付く。また、辺Cと辺Wとが対応付く。辺Dと辺Vとが対応付く。
【0103】
判定部40は、対応させた2つの辺の長さを改めて比較する。すなわち、判定部40は、(4)辺Bの長さ=辺Xの長さ、(5)辺Cの長さ=辺Wの長さ、且つ(6)辺Dの長さ=辺Vの長さが成立するか否かを判定する。
【0104】
(4)~(6)の全てが成立する場合、判定部40は、選択加工形状241の面積と、加工形状246の面積とを比較する。選択加工形状241の面積と、加工形状246の面積とが同じである場合、加工形状246は選択加工形状241の鏡像である。
【0105】
(変形例2)
加工形状(24)は、円形状でもよい。この場合、複数の図形要素は、その加工形状の径を含んでもよい。また、判定部40は、複数の加工形状が円形状を有する場合に、その複数の加工形状の径が同じであるか否かを判定してもよい。径が同じ2つの円は合同である。
【0106】
また、加工形状(24)は、曲線(弧線)を含んでもよい。この場合、複数の図形要素は、曲線の長さと、曲線の曲率とを含んでもよい。また、判定部40は、複数の曲線の長さと、曲率とが同じであるかを判定してもよい。長さと曲率とが同じ2つの曲線は合同である。なお、曲線(弧)に関する複数の図形要素は、曲率半径を含んでもよい。
【0107】
また、判定ステップS26に関して、選択加工形状(24)と、加工形状(24)とで図形要素の数がそもそも異なる場合がある。この場合、選択加工形状と加工形状とは合同であり得ない。例えば選択加工形状が多角形である場合、その選択加工形状は複数の線分(辺)を有する。これに対し、例えば加工形状が円形状である場合、その加工形状は単一の曲線(閉曲線)のみを有する。つまり、円形状は、線分(辺)を有さない。以上を踏まえ、判定部40は、選択加工形状の図形要素の数と加工形状の図形要素の数とが異なる場合に、その加工形状は選択加工形状に該当しないと判定してもよい。
【0108】
(変形例3)
グループ作成部28は、複数の加工形状(24)を、互いに相似する形状ごとにグルーピングしてもよい。
【0109】
2つの加工形状が互いに相似するか否かを判定するために、判定部40は、例えば、その2つの加工形状のうち一方の加工形状の複数の辺と、他方の加工形状の複数の辺とを対応付ける。この対応付けは、各加工形状の複数の辺の並び順に基づいて行われる。ただし、判定部40は、互いに長さが異なる2つの辺を対応付ける。
【0110】
また、判定部40は、2つの加工形状のうち一方の加工形状の辺に対する、他方の加工形状の辺の比を算出する。この比は、対応する2つの辺の組の数だけ算出される。つまり、判定部40は、複数の比を算出する。複数の比が全て同じであれば、上記された2つの加工形状は、互いに相似する。
【0111】
なお、2つの加工形状が互いに相似するか否かを判定する方法は、選択加工形状が第1加工形状と相似するか否かを判定できる限りにおいて、限定されない。
【0112】
第2経路付加部48は、選択加工形状と相似する加工形状に繋がるアプローチ経路58と、加工開始位置56とを、図形データ20に自動で付加する。選択加工形状と相似する加工形状と、加工開始位置56とは、アプローチ経路58によって繋がれる。
【0113】
第2加工開始位置56と、アプローチ経路58と、選択加工形状と相似する加工形状とが形成する図形は、加工開始位置50と、アプローチ経路と、選択加工形状とが形成する図形と相似する。
【0114】
(変形例4)
図形取得部26が図形データ20を取得した段階において、第1加工形状24に第1加工開始位置50が付加されている場合がある。その場合、第1経路付加部46は、第1加工開始位置50と第1アプローチ経路52とのうち第1アプローチ経路52のみを、オペレータの操作に応じて図形データ20に付加する。
【0115】
(変形例5)
図形データ編集装置10は、前述のCNCと一体的に構成されてもよい。
【0116】
(変形例6)
図11は、図形データ編集装置10を備える加工プログラム作成装置60の概略構成図である。
【0117】
図形データ編集装置10は、加工プログラム作成装置60と一体的に構成されてもよい。
図11の加工プログラム作成装置60は、図形データ編集装置10の構成要素(
図1参照)を備える。
【0118】
加工プログラム作成装置60は、NC作成プログラム62と、加工プログラム作成部64とをさらに備える。
【0119】
NC作成プログラム62は、加工プログラム作成装置60に加工プログラム66を作成させるためのプログラムである。加工プログラム66は、加工対象物に対するワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するためのプログラムである。NC作成プログラム62は、加工プログラム作成装置60の記憶部16に記憶される。
【0120】
加工プログラム作成部64は、図形データ20に基づいて加工プログラム66を作成する。これにより、オペレータは、加工プログラム66を得る。作成された加工プログラム66は、記憶部16に記憶されてもよい。また、オペレータは、作成された加工プログラム66を編集してもよい。
【0121】
なお、本発明は、上述した実施形態、および変形例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0122】
[実施形態から得られる発明]
上記実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0123】
<第1の発明>
第1の発明は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状(24)を示す図形データ(20)を編集する図形データ編集装置(10)であって、前記図形データを取得する図形取得部(26)と、複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成部(28)と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状(24)に繋がる第1アプローチ経路(52)を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加部(46)と、前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状(24)に繋がる第2アプローチ経路(58)を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加部(48)と、を備える。
【0124】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。
【0125】
前記経路付加部は、前記第1加工形状を加工するための第1加工開始位置(50)と、前記第1加工開始位置と前記第1加工形状とを結ぶ前記第1アプローチ経路とを、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加し、前記自動経路付加部は、前記第2加工形状を加工するための第2加工開始位置(56)と、前記第2加工開始位置と前記第2加工形状とを結ぶ前記第2アプローチ経路とを、前記図形データに自動で付加してもよい。これにより、アプローチ経路の付加作業のみならず、加工開始位置の付加作業も容易になる。
【0126】
前記グループ作成部は、複数の前記加工形状の各々を複数の図形要素に分解する分解部(32)と、複数の前記加工形状の各々の複数の前記図形要素を比較することで、複数の前記加工形状が互いに合同または相似するか否かを判定する判定部(40)と、を有してもよい。これにより、複数の加工形状が互いに合同または相似するか否かが、図形要素単位で判定される。
【0127】
複数の前記加工形状の各々の複数の前記図形要素は、前記加工形状を形成する複数の辺を含み、前記グループ作成部は、複数の前記加工形状のうちいずれか1つを選択する選択部(34)と、選択した前記加工形状以外の前記加工形状を形成する複数の前記辺の中から、選択した前記加工形状を形成する複数の前記辺のうちいずれか1つの第1の辺と同じ長さの第2の辺を探索する探索部(36)と、前記第1の辺に基づいて、選択された前記加工形状を形成する複数の前記辺の第1の並び順を決定し、前記第2の辺に基づいて、前記第2の辺を含む前記加工形状を形成する複数の前記辺の第2の並び順を決定する並び順決定部(38)と、をさらに有し、前記判定部は、前記第1の並び順と、前記第2の並び順とに基づいて、選択された前記加工形状と、前記第2の辺を含む前記加工形状とが合同であるか否かを判定してもよい。これにより、第1の辺を含んだ加工形状と、第2の辺を含んだ加工形状との各々の傾きに関わらず、第1の辺を含んだ加工形状と、第2の辺を含んだ加工形状とが合同であるか否かが判定される。
【0128】
前記第2加工形状が複数ある場合、前記自動経路付加部は、複数の前記第2加工形状の各々に繋がる複数の前記第2アプローチ経路を前記図形データに付加してもよい。これにより、複数の第2加工形状を含む図形データの編集が容易になる。
【0129】
<第2の発明>
第2の発明は、第1の発明の図形データ編集装置と、前記加工対象物に対する前記ワイヤ放電加工機のワイヤ電極の相対移動を指令するための加工プログラム(66)を、前記図形データに基づいて作成する加工プログラム作成部(64)と、を備える、加工プログラム作成装置(60)である。
【0130】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。また、編集された図形データに基づいて、加工プログラムが作成される。
【0131】
<第3の発明>
第3の発明は、ワイヤ放電加工機が1つの加工対象物に対して加工する複数の加工形状(24)を示す図形データ(20)を編集する図形データ編集方法であって、前記図形データを取得する図形取得ステップ(S1)と、複数の前記加工形状を、互いに合同または相似する形状ごとにグルーピングするグループ作成ステップ(S2)と、複数の前記加工形状のうちいずれか1つの第1加工形状(24)に繋がる第1アプローチ経路(52)を、オペレータの操作に応じて前記図形データに付加する経路付加ステップ(S3)と、前記第1加工形状と同じグループに属する第2加工形状(24)に繋がる第2アプローチ経路(58)を、前記第1加工形状と前記第1アプローチ経路とが形成する図形と合同または相似するように、自動で前記図形データに付加する自動経路付加ステップ(S4)と、を含む。
【0132】
これにより、複数の加工形状を示す図形データの編集が容易になる。
【符号の説明】
【0133】
10…図形データ編集装置 20、201…図形データ
24…加工形状 26…図形取得部
28…グループ作成部 32…分解部
34…選択部 36…探索部
38…並び順決定部 40…判定部
46…経路付加部 48…自動経路付加部
50…第1加工開始位置 52…第1アプローチ経路
56…第2加工開始位置 58…第2アプローチ経路
60…加工プログラム作成装置 64…加工プログラム作成部
66…加工プログラム