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特許7614425互いに反対側にあるコールドミラー及びホットミラーによって形成される光学的キャビティを備える画像形成装置用バックライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】互いに反対側にあるコールドミラー及びホットミラーによって形成される光学的キャビティを備える画像形成装置用バックライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20250107BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250107BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024063059
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021539129の分割
【原出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2024088764
(43)【公開日】2024-07-02
【審査請求日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】62/789,179
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード,クイン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ファビック,リャン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ナイスミス,ナチャニエル ケー.
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041735(JP,A)
【文献】特表2014-510387(JP,A)
【文献】特表2013-530412(JP,A)
【文献】特開2017-091866(JP,A)
【文献】特表2015-528093(JP,A)
【文献】特開2010-231896(JP,A)
【文献】特表平10-511322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライト上に配置された画像形成装置を備えるディスプレイシステムであって、前記バックライトは、
光源と、
前記画像形成装置と後方光学反射体との間に配置された前方光学反射体と、
前記前方光学反射体から遠い側の前記後方光学反射体上に配置された熱管理層と、を備え、
前記前方光学反射体と、前記後方光学反射体とは、それらの間に光学的キャビティを確定し、
前記前方光学反射体は、前記光源によって放出された可視光を前記画像形成装置に向かって透過し、前記光源によって生成された熱を前記後方光学反射体に向かって反射し、
前記後方光学反射体は、前記光源によって放出された可視光を前記前方光学反射体に向かって反射し、前記前方光学反射体によって反射された熱を透過し、
前記熱管理層は、前記後方光学反射体が透過した熱を吸収及び伝導し、
前記光源は前記光学的キャビティの外側に配置される、
ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記前方光学反射体は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、500nm未満の平均厚さを有する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記後方光学反射体は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記熱管理層は、700nm~850nmにわたる波長範囲内の波長を有する光の少なくとも50%を吸収するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記熱管理層は、700nm~850nmにわたる波長範囲よりも大きい少なくとも1つの波長を有する光の少なくとも一部分を吸収するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記熱管理層は熱伝導層を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記熱管理層は赤外線吸収層を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記熱管理層は、赤外線吸収層に隣接して配置された熱伝導層を含み、前記熱伝導層は、前記赤外線吸収層によって赤外光が吸収された結果として生成された熱を伝導するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
垂直入射する光について、及び直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、及び重なり合わない第1の波長範囲と第2の波長範囲について、及び前記前方光学反射体の隣接する第1のポリマー層及び第2のポリマー層の対のそれぞれについて、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面において、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層はそれぞれ、前記第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、前記第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有し、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1は1.60~1.70、
ny1は1.60~1.70、
nz1は1.45~1.55、
nx2は1.45~1.55、
ny2は1.45~1.55、及び、
nz2は1.45~1.55である、
請求項2に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
垂直入射する光について、及び直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、及び重なり合わない第1の波長範囲と第2の波長範囲について、及び前記後方光学反射体の隣接する第1のポリマー層及び第2のポリマー層の対のそれぞれについて、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面において、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層はそれぞれ、前記第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、前記第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有し、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1は1.62~1.80、
ny1は1.62~1.80、
nz1は1.41~1.55、
nx2は1.41~1.55、
ny2は1.41~1.55、及び、
nz2は1.41~1.55である、
請求項3に記載のディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書のいくつかの態様では、画像形成装置に照明を提供するバックライトが提供される。いくつかの実施形態では、バックライトは、間に光学的キャビティを画定する、間隔を空けた前方光学反射体及び後方光学反射体と、光学的キャビティ内に光を放出する少なくとも1つの光源とを含む。
【0002】
前方光学反射体は、画像形成装置と後方光学反射体との間に配置されるように構成されてもよい。実質的に垂直に入射する光について、並びに直交する第1及び第2の偏光状態のそれぞれについて、並びに重なり合わない第1の波長範囲と第2の波長範囲について、前方光学反射体は、第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過してもよく、第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射してもよい。後方光学反射体は、第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射してもよく、第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過してもよい。放出された光は、第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長と、第2の波長範囲内の少なくとも1つの波長とを含んでもよい。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、バックライト上に配置された画像形成装置を含むディスプレイシステムが提供される。バックライトは、光源と、画像形成装置と後方光学反射体との間に配置された前方光学反射体と、前方光学反射体から遠い側の後方光学反射体上に配置された熱管理層と、を含んでもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、前方光学反射体は、光源によって放出された可視光を画像形成装置に向かって実質的に透過してもよく、光源によって生成された熱を後方光学反射体に向かって実質的に反射してもよい。いくつかの実施形態では、後方光学反射体は、光源によって放出された可視光を前方光学反射体に向かって実質的に反射してもよく、前方光学反射体によって反射された熱を実質的に透過し、その結果、熱管理層が、後方光学反射体が透過した熱を実質的に吸収してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本明細書に記載される一実施形態による熱管理システムの断面図である。
図2】本明細書に記載される一実施形態による、熱管理システムの代替的実施形態の断面図である。
図3】本明細書に記載される一実施形態による、鏡面反射体についての例示的な透過率及び反射率の値をプロットしたチャートである。
図4】先行技術の典型的な白色反射体についての透過率曲線を、本明細書に記載される一実施形態による鏡面反射体の透過率曲線と比較したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0007】
超高解像度(Ultra High Definition、UHD)、高ダイナミックレンジ(High Dynamic Range、HDR)ディスプレイは、画像品質の標準、ディスプレイパネルの非効率性、ほぼ瞬間的なピクチャ及びデータの処理、並びにこれらディスプレイのその大きさと光源の数に起因して、前例のない大きさの輝度及び電力消費を必要とする。多層光学フィルム技術は、ディスプレイ内での電磁スペクトルの特定の部分を管理することを可能にし、最適な画質及びシステムへの熱負荷の低減をもたらし得る。これらのUHD、HDRシステムは、高輝度、実質的に観察者に向けられる可視光、及び熱が適切に管理され得る場所に近赤外線エネルギー(すなわち、熱)が導かれること(例えば、ヒートシンクを通して放散させること)を要求する。UHD、HDRシステムで使用される典型的な光源は、約400nm~約750nmの範囲内の人間に見える光を放出する。より高い色域を有するいくつかのシステムは、青色、又は約450nmを中心とする波長の光を放出する。いずれのタイプの光源も、赤外線帯域においてエネルギーを放出し、これがシステムに望ましくない熱を加える場合がある。
【0008】
本明細書のいくつかの態様によれば、画像形成装置に照明を提供するバックライトが提供される。いくつかの実施形態では、バックライトは、間に光学的キャビティを画定する、間隔を空けた前方光学反射体及び後方光学反射体と、光学的キャビティ内に光を放出する少なくとも1つの光源とを含む。前方光学反射体は、画像形成装置と後方光学反射体との間に配置されるように構成されてもよい。
【0009】
実質的に垂直に入射する光について、並びに直交する第1及び第2の偏光状態のそれぞれについて、並びに重なり合わない第1の波長範囲と第2の波長範囲について、前方光学反射体は、第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過してもよく、第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射してもよい。後方光学反射体は、第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射してもよく、第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過してもよい。放出された光は、第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長と、第2の波長範囲内の少なくとも1つの波長とを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、前方光学反射体及び後方光学反射体は、第1の波長範囲を第2の波長範囲から分離する帯域端を含み、帯域端は互いに50nm以内に存在する。他の実施形態では、帯域端は、互いに40nm以内、又は互いに30nm以内にある。更に他の実施形態では、第1の波長範囲と第2の波長範囲とは、約10nm未満だけ離れている。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、約400nm~約600nm、又は約400nm~約700nm、又は約400nm~約750nm、又は約400nm~約800nmにわたる。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、約700nm~約800nm、又は約700nm~約850nmにわたる。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、約700nm~約1.7マイクロメートルにわたる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前方光学反射体及び後方光学反射体の一方又は両方は、50~1000層に及ぶ第1のポリマー層と第2のポリマー層との複数の交互層で構成され、第1のポリマー層及び第2のポリマー層のそれぞれが約500nm未満の平均厚さを有する、多層光学フィルムであってもよい。各反射体に対して、適切な屈折率、層厚さ、及び/又は層ペア数を有する適切な層ペアを選択することにより、所望の波長の光を透過又は反射するように多層光学フィルムを設計することができる。特定の屈折率を有するポリマーを選択することにより、並びに交互になったポリマー層のペア数を制御することにより、第1の波長セットにおける波長の光(例えば、第1の波長範囲に対応する)を透過し、第2の波長セットにおける波長の光(例えば、第2の波長範囲に対応する)を反射する光学反射体を構築することが可能である。
【0013】
例えば、第1の光学反射体の一実施形態では、第1のポリマー層及び第2のポリマー層はそれぞれ、第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに第1の偏光状態と第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有してもよく、第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
第1のポリマー層では、
nx1は、約1.60~約1.70(例えば、約1.655)
ny1は、約1.60~約1.70(例えば、約1.655)
nz1は、約1.45~約1.55(例えば、約1.498)であり、
第2のポリマー層では、
nx2は、約1.45~約1.55(例えば、約1.491)
ny2は、約1.45~約1.55(例えば、約1.491)
nz2は、約1.45~約1.55(例えば、約1.491)である。
【0014】
別の例では、後方光学反射体の一実施形態では、第1のポリマー層及び第2のポリマー層はそれぞれ、第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに第1の偏光状態と第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有してもよく、第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
第1のポリマー層では、
nx1は、約1.62~約1.80(例えば、約1.75)
ny1は、約1.62~約1.80(例えば、約1.75)
nz1は、約1.41~約1.55(例えば、約1.498)であり、
第2のポリマー層では、
nx2は、約1.41~約1.55(例えば、約1.491)
ny2は、約1.41~約1.55(例えば、約1.491)
nz2は、約1.41~約1.55(例えば、約1.491)である。
【0015】
上述した屈折率は単なる例であり、特定の用途に最適な光学反射体の予想される機能性を実現するために、屈折率の任意の適切な値が使用されてもよい。提供される実施例は、決して限定的ではない。
【0016】
第1のポリマー層の例示的な材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、結晶性ポリエチレンテレフタレート(coPET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又は結晶性ポリエチレンナフタレート(coPEN)、を含むがこれらに限定されない結晶性材料であってもよい。第2のポリマー層の例示的な材料は、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(coPET)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリ(メチルメタクリレート)(coPMMA)、並びに、フッ素とのブレンド、例えば、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)、又はTHV(テトラフルオロエチレンのターポリマー、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデン)、を含むがこれらに限定されない実質的に非結晶性の材料であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、バックライトはまた、光学的キャビティの外側の前方光学反射体上に配置された反射型偏光子を含んでもよく、それにより、実質的に垂直入射光に対して、及び第1の波長範囲内の各波長に対して、反射型偏光子は、第1の偏光状態を有する光の少なくとも70%を反射し、第2の偏光状態を有する光の少なくとも70%を透過する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含んでもよく、第1のポリマー層及び第2のポリマー層のそれぞれは約500nm未満の平均厚さを有する。例えば、反射型偏光子の一実施形態では、第1のポリマー層及び第2のポリマー層はそれぞれ、第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに第1の偏光状態と第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有してもよく、第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
第1のポリマー層では、
nx1は、約1.75~約1.85(例えば、約1.810)
ny1は、約1.50~約1.64(例えば、約1.574)
nz1は、約1.50~約1.64(例えば、約1.570)であり、
第2のポリマー層では、
nx2は、約1.50~約1.64(例えば、約1.574)
ny2は、約1.50~約1.64(例えば、約1.565)
nz2は、約1.50~約1.64(例えば、約1.565)である。
【0018】
例えば、これらの値は、約632nmの波長で見ることができ、ここで、xは、反射型偏光子のフィルム延伸方向である(すなわち、実質的に一軸のフィルム延伸)。ミラーフィルムでは、延伸方向は、x及びy方向の両方(面内)である(すなわち、実質的に二軸のフィルム延伸)。
【0019】
いくつかの実施形態では、光源は、発光ダイオード(LED)、レーザー、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、任意の適切な光源を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源は、光学的キャビティ内の前方光学反射体と後方光学反射体との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、後方光学反射体により近く、前方光学反射体からより遠くに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、光学的キャビティの外側に側縁部に沿って配置されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学的キャビティは、実質的に中空の空気充填キャビティである。他の実施形態では、光学的キャビティは、互いに反対側にある上部主表面及び底部主表面を含む実質的に中実容積(例えば、充填されたキャビティ、又は固体材料)であり、前方光学反射体は上部主表面上に配置され、後方光学反射体は底部主表面上に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、光学的キャビティは固体光ガイドであって、光学的キャビティの外側に配置された光源から受光した光を、内部全反射を介して分配してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、バックライトはまた、光学的キャビティの外側の前方光学反射体上に配置された光学拡散体を含んでもよく、光学拡散体は、前方光学反射体を通って光学的キャビティから出た光を拡散させる。いくつかの実施形態では、バックライトはまた、バックライトからの光出力の輝度を高めるように設計された1つ以上の多層光学フィルムを含んでもよい。このようなフィルムの例としては、出力光を1つ以上の次元にてコリメートするように設計された輝度向上フィルム、及び光が液晶パネルなどのディスプレイを透過できるように光を偏光できる反射型偏光子が挙げられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、バックライトは、光学的キャビティの外側の後方光学反射体上に配置された熱管理層を含んでもよい。この熱管理層は、赤外線吸収層、熱伝導層、又はこれらの組み合わせ(例えば、熱伝導性と赤外線吸収性の両方を有する単一層)のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、熱管理層は第2の波長範囲内の波長を有し、後方光学反射体によって透過された光(例えば、放射される熱エネルギーに対応する波長)の少なくとも50%を吸収してもよい。いくつかの実施形態では、熱管理層は、少なくとも100W/mKを超える熱伝導率を有してもよい。いくつかの実施形態では、熱管理層は、熱拡散多層フィルムであってもよい、又はそれを含んでもよい。熱管理層用の例示的な熱伝導性材料は、黒鉛、黒鉛箔、銅、及び銀ナノワイヤを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バックライトはまた、熱管理層(例えば、熱を放散するためのアルミニウムフィン)上に配置されたヒートシンクを含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、熱管理層は、第2の波長範囲よりも大きい、少なくとも1つの波長を有する光/エネルギーの少なくとも一部分(例えば、少なくとも5%)を吸収してもよい。例えば、一般に使用される細分化スキームの1つでは、赤外線エネルギーは、近赤外線(約750nm~約1400nm)、短波長赤外線(約1400nm~3マイクロメートル)、中間波長赤外線(約3マイクロメートル~約8マイクロメートル)、長波長赤外線(約8マイクロメートル~約15マイクロメートル)、及び遠赤外線(約15マイクロメートル~約1000マイクロメートル)に細分化され得る。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、近赤外スペクトルの一部分にわたって延びてもよく、一方で、熱管理層は、第3の波長範囲内の光/エネルギーの追加の波長を吸収してもよく、第3の波長範囲は、第2の波長範囲内の波長よりも大きい波長を含む(すなわち、第2の波長範囲よりも大きい、少なくとも1つの波長)。例えば、一実施形態では、第3の波長範囲は、本明細書で定義されるような、短波長範囲、中間波長範囲、及び長波長範囲の波長を含んでもよい(例えば、約1.5マイクロメートルから少なくとも約15マイクロメートルまで)。
【0024】
いくつかの実施形態では、この第3の波長範囲のエネルギーは、少なくとも1つの光源によって放出されてもよい、バックライトに隣接して若しくはバックライト内に配置された電子回路によって放出されてもよい、又は光学的キャビティ内の他のソースから放出されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の波長範囲は、少なくとも約200nmの幅を有する。いくつかの実施形態では、後方光学反射体は、第3の波長範囲内の少なくとも1つの波長の少なくとも10%を透過し得る。
【0025】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイシステムは、バックライト上に配置された画像形成装置(例えば、液晶ディスプレイパネル)を含んでもよい。バックライトは、光源(例えば、1つ以上のLED)、画像形成装置と後方光学反射体との間に配置された前方光学反射体、及び前方光学反射体から遠い側の後方光学反射体上に配置された熱管理層、を含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、前方光学反射体は、光源によって放出された可視光(すなわち、人間の目に可視の範囲内の波長を有する光)を画像形成装置に向かって実質的に透過してもよく、光源によって生成された熱(すなわち、赤外線範囲内の光)を後方光学反射体に向かって実質的に反射してもよい。いくつかの実施形態では、後方光学反射体は、光源によって放出された可視光を前方光学反射体に向かって実質的に反射してもよく、前方光学反射体によって反射された熱を実質的に透過し、その結果、熱管理層が、後方光学反射体が透過した熱を実質的に吸収してもよい。いくつかの実施形態では、ヒートシンクが熱管理層上に、又はその付近に配置されて、光源によって放出された熱の放散を手助けしてもよい。
【0027】
ここで図面を参照すると、図1は、本明細書に記載される実施形態によるバックライト100のための熱管理システムの断面図である。バックライト100は、間に光学的キャビティ18を画定する、間隔を空けた前方光学反射体20及び後方光学反射体10と、光学的キャビティ18内に光を放出する少なくとも1つの光源15と、を含む。いくつかの実施形態では、前方光学反射体20は、画像形成装置70と後方光学反射体10との間に配置されるように構成されている。画像形成装置70は、例えば液晶パネルであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、前方光学反射体20の、光学的キャビティ18とは反対側の外側に、光学拡散体40が配置されてもよい。光学拡散体40は、前方光学反射体20を通って光学的キャビティ18から出るあらゆる光を拡散させてもよい。いくつかの実施形態では、前方光学反射体20と画像形成装置70との間に、光学向上層の1つ以上の層が存在してもよい。図1に示す実施形態では、第1の輝度向上フィルム50aが拡散体40の上方に配置されており、第2の輝度向上フィルム50bが輝度向上フィルム50aの上方に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、輝度向上フィルム50a/50bを使用して、「軸方向」観察者に向かう出力光を圧縮してもよい。2つのそのような輝度向上フィルム(50a及び50bなど)の層を互いに90度回転させて一緒に配置することにより、前方光学反射体20によって透過された光を、2つの別々の直交する次元で圧縮して、光が画像形成装置70に到達する前に、光を実質的にコリメートすることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、反射偏光向上フィルム60(例えば、3M Dual Brightness Enhancement Film)を使用して、出力光を更に向上させてもよい(例えば、透過光の偏光を変化させて画像形成装置70をより効率的に通過させる)。
【0029】
動作中、光源15は、人間に見える光80の波長、並びに赤外線エネルギー90を含む光を放出し、赤外線エネルギー90は、人間に見える光に寄与しないが、装置の前面から放射される熱に寄与し得る熱を表す。図1では、光源15が、人間に見える光80a及び赤外線エネルギー90aを放出する。人間に見える光80a及び赤外線エネルギー90aは、光学的キャビティ18内で様々な方向に放出され得る。図1及び本明細書の他の図面に示す矢印は例示的なものであり、バックライトキャビティ全体にわたる光の一般的な動きを示すことを意図していることに留意すべきである。人間に見える光80a及び赤外線エネルギー90aは、最終的に前方光学反射体20に入射する。いくつかの実施形態では、前方光学反射体20は、人間に見える光80aの相当な部分を透過し(通過させ)(これが透過した人間に見える光80cになる)、赤外線エネルギー90aの相当な部分を反射する(これが反射された赤外線エネルギー90bになる)。
【0030】
反射された赤外線エネルギー90bは、光学的キャビティ18内に閉じ込められ、バックライト100の望ましくない加熱を引き起こし得る。したがって、いくつかの実施形態では、後方光学反射体10は、反射された赤外線エネルギーの相当な部分を透過し(通過させ)(これが透過した赤外線エネルギー90cになる)、人間に見える光の相当な部分(放出された人間に見える光80a、及び最初に前方光学反射体20を透過しなかった人間に見える光80のあらゆる部分を含む)を反射するように設計されてもよい。反射された人間に見える光80bは、前方光学反射体20に再び入射するまで、光学的キャビティ18全体で反射されてもよく(すなわち、光は再利用される)、透過した人間に見える光80cとして実質的に通過させることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、熱管理層30は、後方光学反射体10の側面に配置されてもよい。この熱管理層30は、透過した赤外線エネルギー90cを吸収及び/又は放散させ、それによりバックライトシステム100から不要な熱を除去するように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、熱管理層は赤外線吸収層であってもよく、赤外線吸収層は、第2の波長範囲(例えば、過剰な熱を生じ得る赤外線エネルギー)内にあって後方光学反射体10によって透過される波長を有する光/エネルギーの少なくとも一部分(例えば、少なくとも50%)を吸収する。いくつかの実施形態では、熱管理層30は、赤外線吸収層に加えて、かつ赤外線吸収層に隣接して配置された熱伝導層を含んでもよく、熱伝導層は、赤外線エネルギーが赤外線吸収層によって吸収された結果として発生する熱を伝導するためのものである。いくつかの実施形態では、熱が、光源15によって生成される、バックライト100の近くの若しくはバックライト100内の電子回路によって放出される、又はバックライト100内の他のソースから放出される場合がある。いくつかの実施形態では、熱管理層30は、熱伝導層のみを含んでもよく、熱伝導層は、熱をバックライト100から離すように引き込んで、熱を放散、吸収、又は他の方法で緩和させることができる。いくつかの実施形態では、ヒートシンク(図示せず)が熱管理層30上に又はその付近に配置されて、バックライト100からの熱の除去を手助けしてもよい。いくつかの実施形態では、ヒートシンクは、バックライト100からの熱を除去するために、赤外線吸収層で直接被覆されてもよい。
【0032】
図2は、本明細書に記載される代替的実施形態による、図1の熱管理システムの一実施形態の断面図である。図2に示す構成要素の多くは、図1に示す構成要素と共通である。これらの構成要素は、図1に記載される同様の番号が付けられた構成要素と同じように、同様の参照表記及び機能を共有する。簡略化のために、画像形成装置70、並びに向上層50a、50b、及び60は図2から除去されているが、いくつかの実施形態では存在してもよいことにも留意すべきである。
【0033】
図2に戻ると、1つ以上の光源15が、光学的キャビティ18の1つ以上の側面上に配置されてもよい。光は、人間に見える光80a及び赤外線エネルギー90aとして放出される。人間に見える光80a及び赤外線エネルギー90aが、様々な角度で光学的キャビティ18に入り、前方光学反射体20及び後方光学反射体10によって適切に反射及び/又は透過される。例えば、放出された人間に見える光80aが後方光学反射体10に入射すると、実質的に反射されて、反射された人間に見える光80bになる。次いで、反射された人間に見える光80bは前方光学反射体20に入射し、実質的に透過(通過)されて、透過した人間に見える光80cになり得る。逆に、放出された赤外線エネルギー90aが前方光学反射体20に入射すると、実質的に反射されて、反射された赤外線エネルギー90bになる。次いで、反射された赤外線エネルギー90bは後方光学反射体10に入射し、実質的に透過(通過)されて、透過した赤外線エネルギー90cになり得る。
【0034】
換言すれば、前方光学反射体20は、人間に見える光80を実質的に(例えば、少なくとも70%を)透過し、赤外線エネルギー90を実質的に(例えば、少なくとも70%を)反射するように構成されている。逆に、後方光学反射体10は、赤外線エネルギー90を実質的に(例えば、少なくとも70%を)透過し、人間に見える光80を実質的に(例えば、少なくとも70%を)反射するように構成されている。このようにして、人間に見える光80は、実質的に画像形成装置(図2には図示せず)に向かって透過され、赤外線エネルギー90は、実質的に画像形成装置から離れる方向に透過されて光学的キャビティ18の外側に出る。
【0035】
いくつかの実施形態では、反射型偏光子25は、光学的キャビティ18の外側の前方光学反射体20上に配置されてもよい。実質的に垂直に入射する光に対して、及び第1の波長範囲内の各波長に対して、反射型偏光子は、第1の偏光状態を有する光を実質的に(例えば、少なくとも70%を)反射し、第2の偏光状態を有する光を実質的に(例えば、少なくとも70%を)透過する。いくつかの実施形態では、反射型偏光子25は、光の偏光タイプを変化させて画像形成装置によって実質的に透過されるタイプに対応させることにより、画像形成装置を透過する光の効率を高めることに役立ち得る。
【0036】
図3は、赤外線鏡面反射体の実施形態、例えば図1及び図2の前方光学反射体20の実施形態、に関する例示的な透過率及び反射率の値をプロットしたチャートである。線300Tは、約400~約870nmの波長の光を実質的に透過し、約970nm~約1150nmの赤外線エネルギーに対応する波長の光を実質的に反射する、前方光学反射体の1つの予想される実施形態の透過率プロファイルを示す。線300Rは、約850nm~約1200nmの波長の光を実質的に反射する、前方光学反射体の1つの予想される実施形態に対する反射率プロファイルを示す。図3のチャートは、例示を目的とする、前方光学反射体の1つの予想される実施形態の例示的な透過率及び反射率のプロファイルを示し、限定するものではない。透過率プロファイル300Tは、人間に見える光に対する例示的な帯域通過領域、又はそのサブセットを示し、透過率の平均値は、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%である。同様に、反射率プロファイル300Rは、赤外線エネルギーに対する反射領域の例、又はそのサブセットを示し、反射率の平均値は、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%である。
【0037】
最後に、図4は、先行技術の典型的な白色反射体についての透過率曲線を、可視光鏡面反射体、例えば図1及び図2の後方光学反射体10のものと比較したチャートである。線400Wは、先行技術で見られる典型的な白色光反射体に対する、約700nm~約1200nmの波長の光の透過率パーセントを示す。典型的な白色光反射体400Wでは、この範囲内の全波長の約5%未満が透過され(すなわち、反射体を通過することが可能であり)、したがって、実質的に反射されてバックライトの光学的キャビティ内に戻る。赤外線反射性の前方光学反射体と組み合わせた場合、白色光学反射体は赤外線エネルギーを光学的キャビティ内にトラップし、システムの望ましくない加熱を生じさせることになる。線400Sは、可視光反射体の実施形態、例えば図1及び図2の後方光学反射体10の実施形態に関する同じ範囲(約700nm~約1200nm)の波長の光の透過率パーセントを示す。プロファイル400Sでは約700nm~約1000nmの波長の光が実質的に反射され(すなわち、反射体を透過せず)、約1000nm~約1200nmの波長が実質的に透過される。図4のチャートは、本明細書に記載される一実施形態による後方光学反射体の一実施形態の透過率プロファイルを示し、限定するものではない。本明細書に示される透過率プロファイルは、例示のみを目的とする実施例である。
【0038】
本明細書の他の箇所に記載されるように、より高い色域を有するディスプレイ用の光源として、青色光源(例えば、青色LED)が使用される場合がある。この場合、拡散体に先だち、青色光を通過させ赤外線を反射することが可能なスペクトル反射体フィルム、及び量子ドット又は蛍光体シートを含むフィルム層などの色変換フィルム、を使用することができる。記載された実施形態から逸脱することなく、前方光学反射体及び後方光学反射体の他の変形形態及び実施形態が可能である。
【0039】
「約、ほぼ(about)」などの用語は、それらが本明細書の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的性質を表す量に適用される「約」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約」は、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されるであろう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量であり、かつその値が1であり得ることを意味する。
【0040】
「実質的に(substantially)」などの用語は、それらが本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者によって理解されるだろう。「実質的に等しい(substantially equal)」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、ほぼ(about)が上記のとおりであるときには、ほぼ等しいことを意味する。「実質的に平行な(substantially parallel)」の使用が、本明細書に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行な」は、平行の30度以内を意味することになる。互いに実質的に平行であるとして記載される方向又は表面は、いくつかの実施形態では、20度以内、又は10度以内の平行であり得るか、又は平行若しくは名目上平行であり得る。「実質的に位置合わせされる(substantially aligned)」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に位置合わせされる」は、位置合わせされる対象の幅の20%以内で位置合わせされることを意味する。実質的に位置合わせされると記載される対象は、いくつかの実施形態では、位置合わせされる対象の幅の10%以内又は5%以内で位置合わせされてもよい。
【0041】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0042】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。以下に、例示的実施形態を示す。
[項目1]
画像形成装置に照明を提供するためのバックライトであって、
間隔を空けた前方光学反射体及び後方光学反射体であって、それらの間に光学的キャビティを画定し、前記前方光学反射体は、前記画像形成装置と前記後方光学反射体との間に配置されるように構成され、
その結果、実質的に垂直入射する光について、及び直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれについて、及び重なり合わない第1の波長範囲と第2の波長範囲について、
前記前方光学反射体は、前記第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも60%を透過し、前記第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射し、
前記後方光学反射体は、前記第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を反射し、前記第2の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過する、前方光学反射体及び後方光学反射体と、
前記光学的キャビティ内に光を放出する少なくとも1つの光源であって、前記放出された光は、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長、及び前記第2の波長範囲内の少なくとも1つの波長を有する、少なくとも1つの光源と、を備える、バックライト。
[項目2]
前記前方光学反射体は、前記第1の波長範囲内の各波長に対して光の少なくとも70%を透過する、項目1に記載のバックライト。
[項目3]
前記前方光学反射体及び前記後方光学反射体のそれぞれが、複数のポリマー層を含む、項目1に記載のバックライト。
[項目4]
前記前方光学反射体及び前記後方光学反射体のそれぞれが、前記第1の波長範囲を前記第2の波長範囲から分離する帯域端を含み、前記帯域端は互いに50nm以内に存在する、項目1に記載のバックライト。
[項目5]
前記帯域端は互いに40nm以内にある、項目4に記載のバックライト。
[項目6]
前記帯域端は互いに30nm以内にある、項目4に記載のバックライト。
[項目7]
前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲は、10nm未満だけ離れている、項目1に記載のバックライト。
[項目8]
前記第1の波長範囲は、約400nm~約600nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目9]
前記第1の波長範囲は、約400nm~約650nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目10]
前記第1の波長範囲は、約400nm~約700nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目11]
前記第1の波長範囲は、約400nm~約750nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目12]
前記第1の波長範囲は、約400nm~約800nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目13]
前記第2の波長範囲は、約700nm~約800nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目14]
前記第2の波長範囲は、約700nm~約850nmにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目15]
前記第2の波長範囲は、約700nmから少なくとも約1.7マイクロメートルまでにわたる、項目1に記載のバックライト。
[項目16]
前記前方光学反射体は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の隣接する各ペアに対して、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面において、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層はそれぞれ、前記第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、前記第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有し、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1は約1.60~約1.70、
ny1は約1.60~約1.70、
nz1は約1.45~約1.55、
nx2は約1.45~約1.55、
ny2は約1.45~約1.55、及び、
nz2は約1.45~約1.55である、項目1に記載のバックライト。
[項目17]
nx1は約1.655、
ny1は約1.655、
nz1は約1.498、
nx2は約1.491、
ny2は約1.491、及び、
nz2は約1.491である、項目16に記載のバックライト。
[項目18]
前記後方光学反射体は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の隣接する各ペアに対して、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面において、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層はそれぞれ、前記第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、前記第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有し、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1は約1.62~約1.80、
ny1は約1.62~約1.80、
nz1は約1.41~約1.55、
nx2は約1.41~約1.55、
ny2は約1.41~約1.55、及び、
nz2は約1.41~約1.55である、項目1に記載のバックライト。
[項目19]
nx1は約1.75、
ny1は約1.75、
nz1は約1.498、
nx2は約1.491、
ny2は約1.491、及び
nz2は約1.491である、
項目18に記載のバックライト。
[項目20]
前記光学的キャビティの外側の前記前方光学反射体上に配置された反射型偏光子を更に備え、それにより、実質的に垂直入射光に対して、及び前記第1の波長範囲内の各波長に対して、前記反射型偏光子は、前記第1の偏光状態を有する光の少なくとも70%を反射し、前記第2の偏光状態を有する光の少なくとも70%を透過する、項目1に記載のバックライト。
[項目21]
前記反射型偏光子は複数のポリマー層を含む、項目20に記載のバックライト。
[項目22]
前記反射型偏光子は、50~1000層に及ぶ複数の交互になった第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含み、各第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有し、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の隣接する各ペアに対して、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の平面において、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層はそれぞれ、前記第1の偏光状態に沿った屈折率nx1及びnx2、前記第2の偏光状態に沿った屈折率ny1及びny2、並びに前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに直交するz軸に沿った屈折率nz1及びnz2を有し、前記第1の波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1は約1.75~約1.85、
ny1は約1.50~約1.64、
nz2は約1.50~約1.64、
nx2は約1.50~約1.64、
ny2は約1.50~約1.64、及び、
nz2は約1.50~約1.64である、項目20に記載のバックライト。
[項目23]
nx1は約1.810、
ny1は約1.574、
nz1は約1.570、
nx2は約1.574、
ny2は約1.565、及び
nz2は約1.565である、
項目22に記載のバックライト。
[項目24]
前記光学的キャビティの外側の前記前方光学反射体上に配置された光学拡散体を更に備え、前記光学拡散体は、前記前方光学反射体を通って前記光学的キャビティから出た光を拡散させる、項目1に記載のバックライト。
[項目25]
前記少なくとも1つの光源は、前記光学的キャビティ内において前記前方光学反射体と前記後方光学反射体との間に配置されている、項目1に記載のバックライト。
[項目26]
前記少なくとも1つの光源は、前記後方光学反射体により近く、前記前方光学反射体からより遠くに配置されている、項目25に記載のバックライト。
[項目27]
前記少なくとも1つの光源が、前記光学的キャビティの外側に側縁部に沿って配置されている、項目1に記載のバックライト。
[項目28]
前記光学的キャビティは、前記光学的キャビティの外側に前記側縁部に沿って配置された前記少なくとも1つの光源から受光した光を分配するための固体光ガイドを備える、項目27に記載のバックライト。
[項目29]
前記光学的キャビティは、実質的に中空の空気充填キャビティである、項目1に記載のバックライト。
[項目30]
前記光学的キャビティは、互いに反対側にある上部主表面及び下部主表面を備える実質的に中実容積であり、前記前方光学反射体は前記上部主表面上に配置され、前記後方光学反射体は前記下部主面上に配置されている、項目1に記載のバックライト。
[項目31]
前記光学的キャビティの外側の前記後方光学反射体上に配置された熱管理層を更に備え、前記熱管理層は、前記第2の波長範囲内の波長を有して前記後方光学反射体によって透過された光の少なくとも50%を吸収する、項目1に記載のバックライト。
[項目32]
前記後方光学反射体は、前記前方光学反射体と前記熱管理層との間に配置されている、項目31に記載のバックライト。
[項目33]
前記熱管理層は、少なくとも100W/mKを超える熱伝導率を有する、項目31に記載のバックライト。
[項目34]
前記熱管理層上に配置されたヒートシンクを更に備える、項目31に記載のバックライト。
[項目35]
前記熱管理層は、前記第2の波長範囲内の波長よりも大きい、少なくとも1つの波長を有する光の少なくとも一部分を吸収する、項目31に記載のバックライト。
[項目36]
前記光の少なくとも一部分は、光の少なくとも5%を含む、項目35に記載のバックライト。
[項目37]
前記少なくとも1つの波長は、前記第2の波長範囲内の波長よりも大きい波長を含む第3の波長範囲を含む、項目35に記載のバックライト。
[項目38]
前記第3の波長範囲は、少なくとも約200nmの幅を有する、項目37に記載のバックライト。
[項目39]
前記第2の波長範囲よりも大きい前記少なくとも1つの波長を有する前記光は、前記少なくとも1つの光源によって放出される、項目35に記載のバックライト。
[項目40]
前記第2の波長範囲よりも大きい前記少なくとも1つの波長を有する前記光は、前記バックライト内から放出される、項目35に記載のバックライト。
[項目41]
前記第2の波長範囲よりも大きい前記少なくとも1つの波長を有する前記光は、前記バックライトに隣接して配置された電子回路によって放出される、項目35に記載のバックライト。
[項目42]
前記後方光学反射体は、前記第3の波長範囲内の少なくとも1つの波長の少なくとも10%を透過する、項目37に記載のバックライト。
[項目43]
前記第3の波長範囲は、約1.5マイクロメートルから少なくとも約15マイクロメートルまでにわたる、項目37に記載のバックライト。
[項目44]
前記熱管理層は熱伝導層を備える、項目31に記載のバックライト。
[項目45]
前記熱管理層は赤外線吸収層を備える、項目31に記載のバックライト。
[項目46]
前記熱管理層は、赤外線吸収層に隣接して配置された熱伝導層を含み、前記熱伝導層は、前記赤外線吸収層によって赤外光が吸収された結果として生成された熱を伝導するためのものである、項目31に記載のバックライト。
[項目47]
前記熱伝導層及び前記赤外線吸収層の少なくとも複数の部分が、互いに物理的に接触している、項目46に記載のバックライト。
[項目48]
前記熱伝導層は、少なくとも100W/mKを超える熱伝導率を有する、項目46に記載のバックライト。
[項目49]
項目1に記載のバックライトと、
前記少なくとも1つの光源によって放出された光が前記前方光学反射体を通って前記光学的キャビティを出た後に前記画像形成装置を照射するように、前記光学的キャビティの外側の前記前方光学反射体上に配置された前記画像形成装置と、
を備える、ディスプレイシステム。
[項目50]
バックライト上に配置された画像形成装置を備えるディスプレイシステムであって、前記バックライトは、
光源と、
前記画像形成装置と後方光学反射体との間に配置された前方光学反射体と、
前記前方光学反射体から遠い側の前記後方光学反射体上に配置された熱管理層と、を備え、
前記前方光学反射体は、前記光源によって放出された可視光を前記画像形成装置に向かって実質的に透過し、前記光源によって生成された熱を前記後方光学反射体に向かって実質的に反射し、
前記後方光学反射体は、前記光源によって放出された可視光を前記前方光学反射体に向かって実質的に反射し、前記前方光学反射体によって反射された熱を実質的に透過し、
前記熱管理層は、前記後方光学反射体が透過した熱を実質的に吸収及び伝導する、
ディスプレイシステム。
図1
図2
図3
図4