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7614436接着剤の塗布装置、接着剤の塗布方法、パレタイジングシステム及びパレタイジング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】接着剤の塗布装置、接着剤の塗布方法、パレタイジングシステム及びパレタイジング方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/28 20180101AFI20250107BHJP
【FI】
B05B12/28
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024159926
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-11-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2024年6月4日FOOMA JAPAN2024で発表。2023年11月22日https://youtu.be/gM1z9tRVP1Yで発表。2023年11月22日https//www.ac-svc.com/service/palletizer.htmlで発表。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524346068
【氏名又は名称】株式会社A&Cサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀原 信和
(72)【発明者】
【氏名】川内丸 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】岸本 達也
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-254661(JP,A)
【文献】特開平5-85621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレタイジングシステムに搭載され、積荷に接着剤を塗布する、接着剤の塗布装置であって、
接着剤を噴射するスプレーと、
前記スプレーの噴射経路を囲うことで前記接着剤の飛散を防止するカバーと、を備え、
前記スプレーの噴射向きは、水平面に対して上向きである、
塗布装置。
【請求項2】
前記接着剤は、コールドグルーである、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記カバーは、可撓性を持つ対向部を有し、
前記対向部は、前記カバーの少なくとも上部に設けられている、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記カバーは、着脱可能である、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項5】
直動機構と、
前記スプレーを収容する筐体と、を備え、
前記直動機構は、ステージを有し、
前記筐体は、前記ステージに固定されている、
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記スプレーを前記筐体に固定する固定機構を備え、
前記固定機構は、前記スプレーの固定において、前記スプレーの噴射向きの角度を調整可能である、
請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
パレタイジングにおいて積荷に接着剤を塗布する、接着剤の塗布方法であって、
積荷の下方にカバーを配置する接着剤飛散防止工程と、
前記カバーの内部を通過させた接着剤を前記積荷に塗布する主工程と、を備える、
塗布方法。
【請求項8】
前記主工程は、前記接着剤としてコールドグルーを塗布することを含む、
請求項7に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記カバーは、可撓性を持つ対向部を有し、
前記接着剤飛散防止工程は、前記積荷の下部に前記対向部を対向させることを含む、
請求項7に記載の塗布方法。
【請求項10】
請求項1~6の何れか一項に記載の塗布装置と、
産業ロボットと、を備える、
パレタイジングシステム。
【請求項11】
積荷を搬送してパレットに積み付ける積付工程を備え、
前記積付工程は、請求項7~9の何れか一項に記載の塗布方法で前記積荷に接着剤を塗布する塗布工程を有する、
パレタイジング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレタイジングシステムにおける荷崩れの防止に関する。
【背景技術】
【0002】
パレタイジングシステムにおいて、パレットへの積付を自動で実行する産業ロボットが知られている。このような産業ロボットは、積付に特化しており、その他の作業を実行できない。
【0003】
パレットへの積付においては、荷崩れを防止する手段を採ることが好ましい。荷崩れを防止する技術として、積み付けられた積荷群をストレッチフィルムで包装する包装機(例えば、特許文献1に記載のストレッチ包装装置)が知られている。しかし、このような包装機は、一般に大型であり、パレタイジングシステムへの搭載が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-335470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示において達成しようとする課題は、パレタイジングシステムに荷崩れを防止する機能を比較的簡便に付加することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題を達成するため、本開示は、接着剤の塗布装置[1]~[6]を提供する。
【0007】
塗布装置[1]は、パレタイジングシステムに搭載され、積荷に接着剤を塗布する、接着剤の塗布装置であって、接着剤を噴射するスプレーと、スプレーの噴射経路を囲うことで接着剤の飛散を防止するカバーと、を備え、スプレーの噴射向きは、水平面に対して上向きである、塗布装置である。
【0008】
塗布装置[2]は、塗布装置[1]であって、接着剤は、コールドグルーである、塗布装置である。
【0009】
塗布装置[3]は、塗布装置[1]又は[2]であって、カバーは、可撓性を持つ対向部を有し、対向部は、カバーの少なくとも上部に設けられている、塗布装置である。
【0010】
塗布装置[4]は、塗布装置[1]~[3]の何れか一つであって、カバーは、着脱可能である、塗布装置である。
【0011】
塗布装置[5]は、塗布装置[1]~[4]の何れか一つであって、直動機構と、スプレーを収容する筐体と、を備え、直動機構は、ステージを有し、筐体は、ステージに固定されている、塗布装置である。
【0012】
塗布装置[6]は、塗布装置[5]であって、スプレーを筐体に固定する固定機構を備え、固定機構は、スプレーの固定において、スプレーの噴射向きの角度を調整可能である、塗布装置である。
【0013】
また、本課題を達成するため、本開示は、接着剤の塗布方法[1]~[4]を提供する。
【0014】
塗布方法[1]は、パレタイジングにおいて積荷に接着剤を塗布する、接着剤の塗布方法であって、積荷の下方にカバーを配置する接着剤飛散防止工程と、カバーの内部を通過させた接着剤を積荷に塗布する主工程と、を備える、塗布方法である。
【0015】
塗布方法[2]は、塗布方法[1]であって、主工程は、接着剤としてコールドグルーを塗布することを含む、塗布方法である。
【0016】
塗布方法[3]は、塗布方法[1]又は[2]であって、カバーは、可撓性を持つ対向部を有し、接着剤飛散防止工程は、積荷の下部に対向部を対向させることを含む、である。
【0017】
塗布方法[4]は、塗布方法[1]~[3]の何れか一つであって、塗布装置[1]~[6]の何れか一つが実行する、塗布方法である。
【0018】
また、本課題を達成するため、本開示は、パレタイジングシステム[1]~[3]を提供する。
【0019】
パレタイジングシステム[1]は、塗布装置[1]~[6]の何れか一つと、産業ロボットと、を備える、パレタイジングシステムである。
【0020】
パレタイジングシステム[2]は、パレタイジングシステム[1]であって、産業ロボットは、積荷の上方又は側方から積荷を支持する、パレタイジングシステムである。
【0021】
パレタイジングシステム[3]は、パレタイジングシステム[1]又は[2]であって、コンベヤを備え、コンベヤは、チェーンコンベヤ又はローラーコンベヤであり、塗布装置は、コンベヤの搬送面の下方に設置されている、パレタイジングシステムである。
【0022】
また、本課題を達成するため、本開示は、パレタイジング方法[1]及び[2]を提供する。
【0023】
パレタイジング方法[1]は、積荷を搬送してパレットに積み付ける積付工程を備え、積付工程は、塗布方法[1]~[4]の何れか一つで積荷に接着剤を塗布する塗布工程を有する、パレタイジング方法である。
【0024】
パレタイジング方法[2]は、パレタイジング方法[1]であって、パレタイジングシステム[1]~[3]の何れか一つが実行する、パレタイジング方法である。
【発明の効果】
【0025】
本開示が提供する塗布装置及び塗布方法は、パレタイジングシステムに荷崩れを防止する機能を比較的簡便に付加できる。
【0026】
また、本開示が提供するパレタイジングシステム及びパレタイジング方法は、比較的簡便に荷崩れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態の説明図である。
図2】本発明の実施形態の説明図である。
図3】本発明の実施形態の説明図である。
図4】本発明の実施形態の例に係るパレタイジングシステムの立面図である。
図5】本発明の実施形態の例に係る塗布装置の斜視図である。
図6】本発明の実施形態の例に係る塗布装置の一部分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態の例に係る固定機構の斜視図である。
図8】本発明の実施形態の例に係る制御部のブロック図である。
図9】本発明の実施形態の変更例に係るパレタイジングシステムの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、本発明の実施形態の一つとして、パレタイジングシステムSに搭載される塗布装置Xを提供する。図1~3は、本実施形態を説明する図である。
【0029】
パレタイジングシステムSは、積荷Aの搬送及び/又はパレットへの積付を行うパレタイジング装置を備える。このパレタイジングシステムは、パレタイジング装置の一つとして産業ロボットRを備える。産業ロボットRは、垂直多関節ロボットであってもよく、直交ロボットであってもよい。このパレタイジングシステムは、パレタイジング装置の一つとしてコンベヤCを備えてもよい。好ましくは、積荷Aは、箱形である。さらに好ましくは、積荷Aは、段ボール箱及び段ボール箱の収容物である。
【0030】
塗布装置Xは、積荷Aに接着剤Bを塗布する。接着剤Bは、積み付けられた積荷群において、隣接する積荷を接着させる。これにより、積み付けられた積荷群の荷崩れを防止できる。
【0031】
塗布装置Xは、接着剤Bを噴射するスプレー1を備える。すなわち、塗布装置Xは、スプレー塗布を行う。スプレー塗布は、他の塗布に係る手法と比較して、迅速であり、接着剤の消費における経済性に優れ、表面平坦性が悪い積荷にも対応可能である。好ましくは、塗布装置Xは、複数のスプレー1を備える。
【0032】
塗布装置Xは、積荷Aの下方から接着剤Bを塗布する。好ましくは、塗布装置Xは、積荷Aの底面に接着剤Bを塗布する。これにより、産業ロボットRは、塗布された接着剤Bに触れることなく、積荷Aを搬送できる(図1参照)。また、塗布装置Xは、産業ロボットRによる積荷Aの搬送中に、積荷Aに接着剤Bを塗布できる。なお、一般の産業ロボットは、積荷の搬送において、積荷の上方又は側方から積荷を支持する。
【0033】
スプレー1の噴射向きは、水平面に対して上向きである。これにより、塗布装置Xは、積荷Aの下方から接着剤Bを塗布できる。好ましくは、スプレー1の噴射向きは、略鉛直上向きである。また、好ましくは、スプレー1の噴射向きは、鉛直上向き又は鉛直上向きに対して所定の角度を成す向きである。好ましくは、この角度は、45度以下である。さらに好ましくは、この角度は、30度以下である。さらに好ましくは、この角度は、15度以下である。
【0034】
塗布装置Xは、スプレー1の噴射経路を囲うカバー2を備える。これにより、接着剤Bが周囲に飛散することを防止できる。この効果は、接着剤Bの流動性が高い場合、特に、接着剤Bがコールドグルーである場合に顕著である。カバー2は、スプレー1の移動に連動して常にスプレー1の噴射経路を囲うように設けられていてもよく、スプレー1の移動によるスプレー1の噴射経路の移動領域全体を囲うように設けられていてもよい。
【0035】
好ましくは、カバー2は、可撓性を持つ対向部21を有する。対向部21は、カバー2の少なくとも上部に設けられる。これにより、積荷Aがカバー2に接触しても、対向部21の可撓性により、積荷Aが破損するおそれはほとんどない。したがって、産業ロボットRは、制御エラーや制御誤差を加味しても、積荷Aを対向部21に十分近接又は接触させるように搬送でき、接着剤Bが周囲に飛散することをほとんど完全に防止できる(図2及び3参照)。対向部21は、樹脂製であってもよく、ゴム製であってもよく、繊維製であってもよい。好ましくは、カバー2は、基部22を有し、対向部21は、基部22の上端に延設される。対向部21は、ブラシ状であってもよく、板状であってもよい。
【0036】
好ましくは、接着剤Bは、コールドグルー(常温で流動性を持つ接着剤)である。これにより、接着剤Bがホットメルト(加熱により流動性を得る接着剤)である場合と比較して、装置構成が単純となり、導入コストを削減できる。このコールドグルーは、水性接着剤であってもよく、合成ゴム系接着剤であってもよく、ポリウレタン系接着剤であってもよい。さらに好ましくは、接着剤Bは、常温で液状のコールドグルーである。
【0037】
好ましくは、塗布装置Xは、パレタイジングシステムSの制御部との信号送受手段を備える。これにより、パレタイジングシステムSは、パレタイジング装置と塗布装置Xを関連付けて制御できる。特に、パレタイジング装置による搬送のタイミングと塗布装置Xによる接着剤の塗布のタイミングを同期できる。
【0038】
引き続き、本開示は、パレタイジングシステムSに搭載される塗布装置Xの例を提供する。図4~8は、本例を説明する図である。なお、塗布装置X及びパレタイジングシステムSの技術的範囲は、本例のみならず、本例の構成及びその要素(寸法、形状、配置など)が設計要求などに基づいて変更された類例にも及んでいる。
【0039】
本例において、パレタイジングシステムSは、塗布装置Xと、積荷Aの搬送及び/又はパレットへの積付を行う産業ロボットRと、を備える(図4参照)。パレタイジングシステムSは、コンベヤCを備えてもよい。
【0040】
本例において、塗布装置Xは、産業ロボットRが定める積荷Aの移動経路の下方に設置される。好ましくは、塗布装置Xは、産業ロボットRが定める積荷Aの移動経路の下方に設置される。さらに好ましくは、塗布装置Xは、産業ロボットRが定める積荷Aの移動経路の下方かつ産業ロボットRの隣に設置される。
【0041】
本例において、積荷Aは、箱型であり、塗布装置Xは、積荷Aの底面に接着剤Bを塗布する。好ましくは、塗布装置Xは、積荷Aの底面の周縁に接着剤Bを塗布する。さらに好ましくは、塗布装置Xは、積荷Aの底面の隅に接着剤Bを塗布する。
【0042】
本例において、塗布装置Xは、塗布装置X全体の載置面を規定する載置部3を備える(図5及び6参照)。これにより、塗布装置Xは、パレタイジングシステムSへの搭載における汎用性を得る。載置部3は、任意の構成であってよい。載置部3は、スプレー1を支持する土台であってもよく、塗布装置X全体の筐体であってもよい。
【0043】
本例において、載置部3は、アルミフレーム31で構成された土台である。好ましくは、載置部3は、載置面を規定するアンカースタンド32を有する。好ましくは、載置部3は、載置面を規定するアジャスタパッド33を有する。
【0044】
本例において、塗布装置Xは、直動機構4を備える。直動機構4は、スプレー1を水平面内の一方向に沿って移動させる。直動機構4は、載置部3に取り付けられている。好ましくは、直動機構4は、載置部3の上部のアルミフレーム31に取り付けられている。
【0045】
本例において、直動機構4は、スプレー1が搭載されるステージ41と、送りねじ42と、リニアガイド43と、を有する。好ましくは、ステージ41は、プレートである。好ましくは、送りねじ42は、台形ねじ又はボールねじである。好ましくは、リニアガイド43は、リニアシャフトである。
【0046】
本例において、ステージ41には、送りねじ42と螺合するナット411が設けられている。また、ステージ41には、リニアガイド43が挿通する貫通孔412が形成されている。ナット411が規定する貫通ネジ孔の貫通方向と貫通孔412の貫通方向は、略平行である。
【0047】
本例において、送りねじ42及びリニアガイド43は、水平な一方向に渡って配置されている。好ましくは、送りねじ42及びリニアガイド43は、載置部3が規定する載置面に平行な一方向に渡って配置されている。送りねじ42の軸方向とリニアガイド43の軸方向は、略平行である。
【0048】
本例において、好ましくは、直動機構4は、サイドプレート44を有する。サイドプレート44は、載置部3に2枚取り付けられている。好ましくは、サイドプレート44は、互いに対向するように、載置部3の両端のアルミフレーム31に1枚ずつ取り付けられている。
【0049】
本例において、サイドプレート44には、送りねじ42が挿通する貫通孔441と、リニアガイド43が挿通する貫通孔442と、が形成されている。貫通孔441の貫通方向と貫通孔442の貫通方向は、略平行である。サイドプレート44における貫通孔441と貫通孔442との距離は、ステージ41におけるナット411が規定する貫通ネジ孔と貫通孔412との距離と略同一である。
【0050】
本例において、ステージ41には、ナット411により送りねじ42が螺入されているとともに、貫通孔412によりリニアガイド43が挿通している。送りねじ42及びリニアガイド43は、それぞれ貫通孔441と貫通孔442によりサイドプレート44に支持されている。
【0051】
本例において、直動機構4は、送りねじ42が軸方向まわりに回転されることで、ステージ41をリニアガイド43に沿って移動させる。好ましくは、直動機構4は、送りねじ42に固定されるハンドル45を有する。また、好ましくは、直動機構4は、送りねじ42に連結されるモーターを有する。好ましくは、このモーターは、信号送受手段を介してパレタイジングシステムSの制御部に接続されている。この制御部は、モーターを駆動することで、ステージ41の位置を調整する。
【0052】
本例において、塗布装置Xは、スプレー1を収容する筐体5を備える。筐体5は、略直方体に形成されている。筐体5の天面は、開放されている。スプレー1は、噴射向きが筐体5の天面を指すように、筐体5に着脱可能に固定されている。
【0053】
本例において、好ましくは、塗布装置Xは、スプレー1を筐体5に固定する固定機構6を備える(図7参照)。固定機構6は、第一部材61と、第二部材62と、第三部材63と、を有する。第一部材61は、筐体5に固定されている。第一部材61と第二部材62は、固定用孔を介したボルト―ナット機構で固定される。第二部材62と第三部材63は、固定用孔を介したボルト―ナット機構で固定される。第三部材63は、スプレー1に固定されている。
【0054】
本例において、第一部材61には、固定用長孔611が形成されている。第一部材61は、固定用長孔611の長手方向がスプレー1の噴射向きに略沿うように配置されている。これにより、第一部材61と第二部材62の相対位置を変えることで、スプレー1の噴射位置の高さを調整できる。なお、第二部材62に、固定用長孔611と同様の長孔が形成されていてもよい。このとき、第二部材62は、この固定用長孔の長手方向がスプレー1の噴射向きに略沿うように配置されている。
【0055】
本例において、第三部材63には、固定用軸孔631と、固定用円弧孔632と、が形成されている。固定用軸孔631は、丸孔である。固定用円弧孔632は、固定用軸孔631を中心とする円弧に沿うように形成されている。これにより、第二部材62と第三部材63の固定用軸孔631を中心とする相対角度を変えることで、スプレー1の噴射向きの角度を調整できる。なお、第二部材62に、固定用軸孔631及び固定用円弧孔632と同様の固定用軸孔及び固定用円弧孔が形成されていてもよい。
【0056】
本例において、固定用円弧孔632は、所定の角度を中心角として規定される円弧に沿うように形成されている。これにより、この角度の範囲において、スプレー1の噴射向きの角度を調整できる。好ましくは、この角度は、15度(±7.5度)以上である。さらに好ましくは、この角度は、30度(±15度)以上である。
【0057】
本例において、カバー2は、筐体5の上方に配置されるように、筐体5に着脱可能に固定されている。これにより、カバー2は、スプレー1の噴射経路を囲い、飛散した接着剤Bを受けるとともに筐体5に回収させる。
【0058】
本例において、カバー2は、対向部21と、基部22と、を有する。
【0059】
本例において、基部22は、略筒型に形成されている。好ましくは、基部22は、略角筒型に形成されている。
【0060】
本例において、対向部21は、基部22の上端に延設されている。対向部21は、樹脂製かつブラシ状である。
【0061】
本例において、筐体5は、ステージ41に固定されている。これにより、スプレー1は、ステージ41に搭載される。
【0062】
本例において、筐体5の側面には、ボルト穴51が形成されている。また、ステージ41には、固定用孔413が形成されている。筐体5は、固定用孔413とボルト穴51を介してステージ41にボルトで固定される。
【0063】
本例において、好ましくは、ボルト穴51は、筐体5の複数の側面に形成されている。さらに好ましくは、ボルト穴51は、筐体5の隣り合う側面の双方に形成されている。これにより、スプレー1の噴射向きを回転軸としてスプレー1を回転でき、スプレー1の噴射プロファイルを実質的に変更できる。
【0064】
本例において、好ましくは、塗布装置Xは、スプレー1に接着剤Bを供給する接着剤供給タンク及び接着剤供給管(図示なし)を備える。好ましくは、筐体5は、スプレー1に接着剤供給管を通す開放口(図示なし)を有する。
【0065】
本例において、好ましくは、スプレー1は、信号送受手段を介してパレタイジングシステムSの制御部に接続されている。この制御部は、スプレー1のオンオフを切り替える。このとき、筐体5は、この信号送受手段を通す開放口(図示なし)を有する。
【0066】
本例において、スプレー1の噴射向きは、載置部3が規定する載置面に対して上向きである。これにより、塗布装置Xは、載置された状態で積荷Aの下方から接着剤Bを塗布できる。好ましくは、スプレー1の噴射向きは、載置部3が規定する載置面に対して略垂直上向きである。また、好ましくは、スプレー1の噴射向きは、載置部3が規定する載置面に対して垂直上向き又は垂直上向きに対して所定の角度を成す向きである。好ましくは、この角度は、45度以下である。さらに好ましくは、この角度は、30度以下である。さらに好ましくは、この角度は、15度以下である。
【0067】
本例において、好ましくは、塗布装置Xは、複数のスプレー1と、それぞれのスプレー1を収容する複数の筐体5を備える。
【0068】
本例において、好ましくは、サイドプレート44には、固定用孔443が形成されている。これにより、筐体5をサイドプレート44に固定することで、スプレー1をサイドプレート44に搭載できる。好ましくは、塗布装置Xは、ステージ41に搭載される第1のスプレー1と、サイドプレート44に搭載される第2のスプレー1と、を備える。これにより、塗布装置Xは、積荷Aの寸法に合わせ、積荷Aの底面の2か所に同時に接着剤Bを塗布できる。
【0069】
本例において、好ましくは、塗布装置Xは、第1のスプレー1を収容する第1の筐体5と、第2のスプレー1を収容する第2の筐体5と、を備える。好ましくは、第1の筐体5は、ステージ41のサイドプレート44がある側に固定され、第2の筐体5は、サイドプレート44のステージ41がある側に固定されている。これにより、第1の筐体5は、第2の筐体5に十分に接近でき、十分に小さい積荷Aに接着剤Bを適切に塗布できる。
【0070】
本例において、直動機構4は、それぞれのスプレー1が搭載される複数のステージ41を有してもよい。好ましくは、送りねじ42は、左右ねじであり、塗布装置Xは、左右ねじの左ねじ側が螺入されている第1のステージ41と、左右ねじの右ねじ側が螺入されている第2のステージ41と、を備える。これにより、塗布装置Xは、積荷Aの寸法に合わせ、積荷Aの底面の2か所に同時に接着剤Bを塗布できる。
【0071】
本例において、塗布装置Xは、複数の直動機構4と、それぞれの直動機構4に搭載される複数のスプレー1を備えてもよい。好ましくは、それぞれの直動機構4には、複数のスプレー1が搭載されている。これにより、塗布装置Xは、積荷Aの寸法に合わせ、積荷Aの底面の複数箇所(例えば、四隅)に同時に接着剤Bを塗布できる。
【0072】
本例において、塗布装置Xは、制御部7を備えてもよい(図8参照)。制御部7は、スプレー1による接着剤Bの塗布を制御する。制御部7は、プロセッサ(例えば、CPU)により各種処理を行ってもよく、メモリ(例えば、メインメモリ、ストレージ)により各種記憶を行ってもよい。
【0073】
本例において、制御部7は、残量検知部71を有してよい。残量検知部71は、供給タンクにおける接着剤Bの残量が所定量を下回ったことを検知し、ユーザに通知する。残量検知部71は、スプレー1の塗布回数をカウントし、接着剤Bの既定の1回あたり塗布量と塗布回数に基づき、接着剤供給タンクにおける接着剤Bの残量が所定量を下回ったことを検知してよい。また、残量検知部71は、接着剤供給タンクの残量を検知するセンサからのデータに基づき、接着剤供給タンクにおける接着剤Bの残量が所定量を下回ったことを検知してよい。このセンサは、液面センサであってもよく、重量センサであってもよい。
【0074】
本例において、制御部7は、検査部72を有してよい。検査部72は、積荷Aに接着剤Bが塗布されなかったことを検知し、ユーザに通知する。検査部72は、積荷Aの底面を観察可能に設置されたカメラ(図示なし)からのデータに基づき、積荷Aに接着剤Bが塗布されなかったことを検知してよい。
【0075】
本例において、制御部7は、異常検知部73を有してよい。異常検知部73は、スプレー1による接着剤Bの噴射が正常に行われなかったことを検知し、ユーザに通知する。異常検知部73は、接着剤供給管における接着剤Bの流量を検知する流量計(図示なし)からのデータに基づき、スプレー1による接着剤Bの噴射が正常に行われなかったことを検知してよい。
【0076】
本例において、制御部7は、洗浄部74を有してよい。洗浄部74は、ユーザからの指示に基づき、接着剤Bの流路に洗浄液を導入し、流路を洗浄する。
【0077】
本例において、制御部7は、位置調整部75を有してよい。位置調整部75は、直動機構4を制御し、スプレー1の位置を調整する。位置調整部75は、送りねじ42に連結されるモーターを制御し、スプレー1の位置を調整してよい。位置調整部75は、積荷Aの寸法に基づき、スプレー1の位置を調整してよい。位置調整部75は、積荷Aを観察可能に設置されたカメラからのデータに基づき、スプレー1の位置を調整してよい。
【0078】
本例において、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aをパレットに積み付ける。この工程において、パレタイジングシステムSは、塗布装置Xを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを塗布装置Xの上方で静止させ、塗布装置Xを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。この静止時間は、1~2秒でよい。また、好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを塗布装置Xの上方で通過させ、塗布装置Xを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、積荷Aを塗布装置Xの上方で減速させ、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを対向部21に対向させる。さらに好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを対向部21に十分近接又は接触させる。
【0079】
本例において、好ましくは、パレタイジングシステムSは、複数の塗布装置Xを備える。これにより、塗布装置Xは、積荷Aの底面の複数箇所(例えば、四隅)に同時に接着剤Bを塗布できる。さらに好ましくは、パレタイジングシステムSは、2個の塗布装置Xを備え、2個の塗布装置Xは、直動機構4の移動方向が略平行となるように配置されている。
【0080】
本例は、次のように変更されてもよい。図9は、変更例を説明する図である。変更例において、パレタイジングシステムSは、コンベヤCをさらに備える(図9参照)。コンベヤCは、チェーンコンベヤ又はローラーコンベヤである。
【0081】
変更例において、塗布装置Xは、コンベヤCの搬送面の下方に設置される。これにより、塗布装置Xは、チェーンコンベヤのチェーン又はローラーコンベヤのローラーの隙間から、接着剤Bを塗布できる。
【0082】
本例において、パレタイジングシステムSは、コンベヤCを制御し、積荷Aを搬送する。この工程において、パレタイジングシステムSは、コンベヤCを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、コンベヤCを制御し、積荷Aを塗布装置Xの上方で静止させ、塗布装置Xを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。この静止時間は、1~2秒でよい。このとき、パレタイジングシステムSは、塗布装置Xの上方にチェーンコンベヤのチェーン又はローラーコンベヤのローラーの隙間が配置されるように、コンベヤCを制御する。また、好ましくは、パレタイジングシステムSは、コンベヤCを制御し、積荷Aを塗布装置Xの上方で通過させ、塗布装置Xを制御し、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、積荷Aを塗布装置Xの上方で減速させ、積荷Aに接着剤Bを塗布する。好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを対向部21に対向させる。さらに好ましくは、パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、積荷Aを対向部21に十分近接又は接触させる。パレタイジングシステムSは、産業ロボットRを制御し、接着剤Bが塗布された積荷Aをパレットに積み付ける。
【符号の説明】
【0083】
1 :スプレー
2 :カバー
21 :対向部
22 :基部
3 :載置部
4 :直動機構
41 :ステージ
5 :筐体
6 :固定機構
A :積荷
B :接着剤
S :パレタイジングシステム
X :塗布装置
【要約】
【課題】パレタイジングシステムに荷崩れを防止する機能を比較的簡便に付加する。
【解決手段】パレタイジングシステムSに搭載され、積荷Aに接着剤Bを塗布する、接着剤の塗布装置Xであって、接着剤Bを噴射するスプレー1と、スプレー1の噴射経路を囲うことで接着剤Bの飛散を防止するカバー2と、を備え、スプレー1の噴射向きは、水平面に対して上向きである、塗布装置Xを提供する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9