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特許7614442移動体情報提供システムおよび移動体収納装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】移動体情報提供システムおよび移動体収納装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 17/00 20060101AFI20250107BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20250107BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20250107BHJP
   B62B 3/00 20060101ALN20250107BHJP
【FI】
G06K17/00 022
G06K7/10 128
G06K7/10 264
G06K19/073 027
B62B3/00 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024500737
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005959
(87)【国際公開番号】W WO2023157084
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-08-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-117102(JP,A)
【文献】特開2008-280135(JP,A)
【文献】国際公開第2019/124058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 17/00
G06K 7/10
G06K 19/073
B62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体収納装置における移動体の有無を示す情報を提供する移動体情報提供システムであって、
前記移動体収納装置に設置され、前記移動体収納装置の識別情報を記憶する無線タグと、
前記無線タグとの無線通信により、前記識別情報を前記無線タグから取得する無線タグリーダと、
前記無線タグリーダと通信接続されたサーバと、
前記無線タグと前記無線タグリーダとの前記無線通信を遮断するための電波遮断部材とを備え、
前記電波遮断部材は、前記移動体収納装置に前記移動体が無い場合に前記無線通信を遮断する一方で、前記移動体収納装置に前記移動体が有る場合には、前記無線通信を接続するように構成され、
前記無線タグは、前記無線通信により、前記識別情報を含む信号を前記無線タグリーダに送信し、
前記無線タグリーダは、前記信号の受信時刻および前記識別情報を含む情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、端末装置と通信可能であり、前記無線タグリーダからの前記情報に基づいて、現在の時刻での前記移動体収納装置における前記移動体の有無を検出して前記端末装置に通知する、移動体情報提供システム。
【請求項2】
前記無線タグは、前記無線タグリーダからの電波により動作するパッシブタグであり、
前記電波遮断部材は、前記移動体収納装置に前記移動体が無い場合に、前記無線タグリーダから前記無線タグへの電波の送信を遮断するように構成される、請求項1に記載の移動体情報提供システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記移動体収納装置の設置場所と前記識別情報とを関連付けた第1のデータベースを記憶する不揮発性記憶装置を含み、
前記サーバは、前記第1のデータベースを用いて、前記無線タグリーダからの前記情報に基づいて、前記移動体収納装置における前記移動体の有無を検出する、請求項1または2に記載の移動体情報提供システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記無線タグリーダからの前記情報を前記信号の受信時刻の順に並べた第2のデータベースを生成して前記不揮発性記憶装置に記憶するとともに、前記端末装置からの要求を受信したときに、前記第2のデータベースに記憶される直近の所定時間における前記情報に基づいて、現在の時刻における前記移動体収納装置における前記移動体の有無を検出して前記端末装置に通知する、請求項3に記載の移動体情報提供システム。
【請求項5】
前記電波遮断部材は、箱状の外形を有しており、内部に前記無線タグを収納することによって、前記無線通信を遮断するように構成され、
前記電波遮断部材は、前記移動体収納装置に収納された前記移動体が当接する位置に配置されており、前記移動体収納装置に進入する前記移動体から受ける力を用いて前記無線タグを前記電波遮断部材から露出させることにより、前記無線通信を接続する、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動体情報提供システム。
【請求項6】
前記電波遮断部材には、前記無線タグを露出させるための開口部が形成されており、
前記電波遮断部材は、
前記開口部を覆うための平板部と、
前記移動体に当接する当接部材と、
前記平板部に接続される回転軸部とを含み、
前記回転軸部は、前記当接部材が前記移動体から受ける力を用いて前記平板部を回転させることにより、前記開口部を開口させる、請求項5に記載の移動体情報提供システム。
【請求項7】
前記電波遮断部材は、前記当接部材における前記移動体との当接部分を覆う補助部材をさらに含む、請求項6に記載の移動体情報提供システム。
【請求項8】
移動体を収納する移動体収納装置であって、
前記移動体収納装置の識別情報を記憶する無線タグと、
外部の無線タグリーダと前記無線タグと無線通信を遮断するための電波遮断部材とを備え、
前記電波遮断部材は、箱状の外形を有しており、内部に前記無線タグを収納することによって、前記無線通信を遮断するように構成され、
前記電波遮断部材は、前記移動体収納装置に収納された前記移動体が当接する位置に配置されており、前記移動体収納装置に進入する前記移動体から受ける力を用いて前記無線タグを前記電波遮断部材から露出させることにより、前記無線通信を接続する、移動体収納装置。
【請求項9】
前記電波遮断部材には、前記無線タグを露出させるための開口部が形成されており、
前記電波遮断部材は、
前記開口部を覆うための平板部と、
前記移動体に当接する当接部材と、
前記平板部に接続される回転軸部とを含み、
前記回転軸部は、前記当接部材が前記移動体から受ける力を用いて前記平板部を回転させることにより、前記開口部を開口させる、請求項8に記載の移動体収納装置。
【請求項10】
前記電波遮断部材は、前記当接部材における前記移動体との当接部分を覆う補助部材をさらに含む、請求項9に記載の移動体収納装置。
【請求項11】
前記無線タグは、前記無線タグリーダからの電波により動作するパッシブタグであり、
前記電波遮断部材は、前記移動体収納装置に前記移動体が無い場合に、前記無線タグリーダから前記無線タグへの電波の送信を遮断するように構成される、請求項8から10のいずれか1項に記載の移動体収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体情報提供システムおよび移動体収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-125967号公報(特許文献1)には、店舗で買い物客が使用するカート型商品登録装置が開示されている。このカート型商品登録装置は、カート本体と、商品登録装置と、二次電池と、受電コイルと、受電回路とを備えている。カート本体には、カート型商品登録装置の識別情報を有する識別タグが取り付けられている。
【0003】
給電コイルが配置された給電ベース上にカート本体が収納された状態において、受電コイルは、給電コイルと電磁結合する。受電回路は、受電コイルに生じた電力により二次電池を充電する。給電ベースには、識別タグを検出するための検出部が設けられている。検出部は、給電ベースへのカート型商品登録装置の進入または取り出しを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-125967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるように、店舗で使用されるショッピングカートに識別タグを取り付けて、ショッピングカートの保管場所にて当該識別タグから識別情報を読み取る構成とすることにより、保管場所へのショッピングカートの返却を検知することができる。
【0006】
しかしながら、その一方で、大型商業施設のように多数のショッピングカートを所有している施設においては、ショッピングカートを管理するために、全てのショッピングカートに識別タグを取り付けなければならず、その作業に多くの時間および手間がかかることが懸念される。また、多数の識別タグを導入するための初期コストだけでなく、この多数の識別タグを維持および管理するためのコストが嵩んでしまうことが懸念される。
【0007】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、簡易かつ低コストに移動体の情報をユーザに提供することが可能な移動体情報提供システムおよび移動体収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従う移動体情報提供システムは、移動体収納装置における移動体の有無を示す情報を提供する。移動体情報提供システムは、無線タグと、無線タグリーダと、サーバと、無線タグと無線タグリーダとの無線通信を遮断するための電波遮断部材とを備える。無線タグは、移動体収納装置に設置され、移動体収納装置の識別情報を記憶する。無線タグリーダは、無線タグとの無線通信により、識別情報を無線タグから取得する。サーバは、無線タグリーダと通信接続される。電波遮断部材は、移動体収納装置に移動体が無い場合に無線通信を遮断する一方で、移動体収納装置に移動体が有る場合には、無線通信を接続するように構成される。無線タグは、無線通信により、識別情報を含む信号を無線タグリーダに送信する。無線タグリーダは、信号の受信時刻および識別情報を含む情報をサーバに送信する。サーバは、端末装置と通信可能であり、無線タグリーダからの情報に基づいて、現在の時刻での移動体収納装置における移動体の有無を検出して端末装置に通知する。
【0009】
本開示に従う移動体収納装置は、移動体を収納する移動体収納装置であって、移動体収納装置の識別情報を記憶する無線タグと、外部の無線タグリーダと無線タグと無線通信を遮断するための電波遮断部材とを備える。電波遮断部材は、箱状の外形を有しており、内部に無線タグを収納することによって、無線通信を遮断するように構成される。電波遮断部材は、移動体収納装置に収納された移動体が当接する位置に配置される。電波遮断部材は、移動体収納装置に進入する移動体から受ける力を用いて無線タグを電波遮断部材から露出させることにより、無線通信を接続する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡易かつ低コストに移動体の情報をユーザに提供することが可能な移動体情報提供システムおよび移動体収納装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に従う移動体情報提供システムの全体構成図である。
図2図1のII-II線に沿う概略断面図である。
図3図2中の矢印A方向から見た無線通信機の上面図である。
図4】無線通信機の構成例を示す図である。
図5】無線通信機の構成例を示す図である。
図6】無線通信機およびサーバのハードウェア構成例を示す図である。
図7】商業施設内における複数の無線通信機の設置例を示す図である。
図8】サーバに記憶されるカート置き場データベースを説明するための図である。
図9】受信ログ情報を説明するための図である。
図10】空きカート情報データベースを説明するための図である。
図11】サーバにおける画面データの生成処理を説明する図である。
図12】サーバにおける画面データの生成処理を説明する図である。
図13】端末装置の表示画面例を表した図である。
図14】移動体情報提供システムで実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
<移動体情報提供システムの適用例>
本実施の形態に従う移動体情報提供システムは、施設内で使用される移動体の情報を当該施設の利用者に提供するためのシステムである。以下では、本実施の形態に従う移動体情報提供システムが適用される施設の一例として、商業施設を挙げて説明する。
【0014】
商業施設内では、ユーザである買い物客が購入した商品を運搬するための移動体として、ショッピングカートが使用される。ショッピングカートとは、いわゆる手押し車であり、商品を積載するための収納カゴ、車輪およびハンドル等で構成されている。
【0015】
未使用のショッピングカートは、通常、ショッピング施設内に設置された複数のカート置き場に集められる。買い物客は、カート置き場に赴いてショッピングカートを利用することができる。ただし、カート置き場にショッピングカートがない場合には、買い物客は幾つかのカート置き場を巡ってショッピングカートを探さなければならず、時間および手間がかかる。あるいは、当該買い物客からの問合せを受けた施設の管理担当者が未使用のショッピングカートを探すことになり、管理担当者の業務負担を増加させることが懸念される。
【0016】
本実施の形態では、移動体情報提供システムは、各カート置き場におけるショッピングカートの有無を示す情報を買い物客に提供するように構成される。これにより、買い物客の手間を減らして買い物客の利便性を向上させるとともに、施設の管理担当者の業務負担を軽減する。
【0017】
<移動体情報提供システムの構成>
図1は、本開示の実施の形態に従う移動体情報提供システムの全体構成図である。
【0018】
図1に示すように、移動体情報提供システム100は、カート収納庫1と、無線通信機10,30と、サーバ40と、端末装置50とを備える。
【0019】
(1)カート収納庫1
カート収納庫1は、商業施設内に設けられたカート置き場に設置されており、複数のショッピングカート2を収納することが可能に構成されている。カート収納庫1は、複数のショッピングカート2を所定の方向に向けて縦列配置する。カート収納庫1は「移動体収納装置」の一実施例に対応する。
【0020】
(2)無線通信機10
無線通信機10は、カート置き場に設置されている。図1に示すように、無線通信機10は、カート収納庫1に配置されている。具体的には、無線通信機10は、カート収納庫1に進入してきた先頭のショッピングカート2の一部分が当接する位置に配置される。カート収納庫1には、所定の方向(図1中の矢印A1の方向に相当)に進入してきたショッピングカート2を停止させるためのストッパが設けられている。ストッパは、ショッピングカート2の一部分(例えば、車輪または収納カゴ等)に当接することにより、ショッピングカート2の移動を停止させる。
【0021】
無線通信機10は、停止状態のショッピングカート2の一部分が当接する位置に配置されている。図1の例では、無線通信機10は、ショッピングカート2の収納カゴ3の先端部分が当接する位置に配置されている。なお、無線通信機10の配置位置は、これに限定されず、カート収納庫1に収納されたショッピングカート2の一部分が当接する位置であればよい。
【0022】
無線通信機10は、近距離無線通信方式を用いて無線通信機30と無線通信するように構成される。近距離通信方式には、例えば、NFC(Near Field Communication)の規格に従う通信方式等を用いることができる。無線通信機10は、図示しないIC(Integrated Circuit)タグを含む。ICタグは「無線タグ」の一実施例に対応する。
【0023】
ICタグは、一般に、電源搭載の有無によって、パッシブタグと、アクティブタブとに分類される。パッシブタグは、電源を搭載せず、ICリーダからの電波をエネルギー源として動作するICタグである。アクティブタグは、電源を内蔵したICタグである。本実施の形態では、無線通信機10は、パッシブタグを含んで構成されている。すなわち、無線通信機10は、無線通信機30から受ける電波によって動作する。ICタグは、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、またはNFCタグである。
【0024】
ICタグは、アンテナ、処理回路およびメモリを含んで構成される。メモリには、各カート置き場に個別に付与された識別情報(以下、「カート置き場ID」とも称する)が記憶されている。このカート置き場IDは、処理回路からの指示に基づいてメモリから読み出される。
【0025】
次に、図2から図5を用いて、無線通信機10の構成例について説明する。
図2は、図1のII-II線に沿う概略断面図である。図3は、図2中の矢印A方向から見た無線通信機10の上面図である。
【0026】
図2に示すように、無線通信機10は、ICタグ12と、電波遮断部材20と、支持部材14と、重り部材15と、当接部材16と、補助部材18とを含む。
【0027】
ICタグ12は、上述したように、パッシブタグである。電波遮断部材20は、矩形箱状の外形を有しており、内部にICタグ12を収納する。電波遮断部材20は、カート収納庫1に取り付けられている。図1の例では、電波遮断部材20は、カート収納庫1に収納されたショッピングカート2の収納カゴ3の先端部分に当接する位置に配置されている。
【0028】
電波遮断部材20は、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を遮断するように構成される。具体的には、電波遮断部材20は、平板部21,22,23と、回転軸部24,25と、緩衝材26,27とを含む。平板部21,22,23、回転軸部24,25、および緩衝材26,27は、例えば、鉄、アルミニウム等の電波を通さない(電波を減衰させる)材料により形成されている。
【0029】
電波遮断部材20の上面および側面には開口部が形成されている。電波遮断部材20の上面の開口部は矩形形状を有しており、平板部21,22によって覆われている。図3に示すように、平板部21,22の各々は、矩形形状を有している。平板部21と平板部22とは、図中の矢印A1に示すカート進入方向に垂直な方向を向いて互いに隣り合うように、水平方向に並べて配置されている。
【0030】
平板部21,22には、緩衝材26,27がそれぞれ取り付けられている。緩衝材26,27は、平板部21と平板部22との間の間隙を塞ぐとともに、平板部21と平板部22との接触を避けるために設けられている。
【0031】
電波遮断部材20の側面の開口部は、カート収納庫1に進入するショッピングカート2と対向する側の側面に形成されている。当該側面の開口部は、矩形形状を有しており、矩形形状を有する平板部23によって覆われている。
【0032】
平板部23の上端部は回転軸部25に接続されている。平板部23の下端部は自由端となっている。平板部23は、電波遮断部材20の内面を形成する第1面23aと、電波遮断部材20の外面を形成する第2面23bとを有する。第1面23aには、支持部材14および重り部材15が取り付けられている。支持部材14は、ICタグ12を支持する。支持部材14は、例えば、プラスチック、木材、紙等の電波を通す(電波を減衰させない)材料により形成されている。重り部材15は、第1面23aの下端部に取り付けられる。
【0033】
当接部材16は、平板部23の第2面23bに取り付けられている。当接部材16は、ショッピングカート2の収納カゴ3の先端部分に当接する当接部分17を有する。当接部分17は、水平方向に延在する円柱形状を有している。
【0034】
補助部材18は、円管形状を有しており、当接部分17を覆うように配置されている。補助部材18は、ショッピングカート2の収納カゴ3の先端部分に直接接触して当接部分17の回りを回転するように構成される。これにより、当接部分17と収納カゴ3との間の摩擦を回避することができる。
【0035】
平板部21の、カート収納庫1側の端部には回転軸部24が接続されている。回転軸部24は、カート進入方向A1に対して垂直方向に延在する。平板部21は、回転軸部24を中心に回転可能となっている。
【0036】
平板部22の、平板部21と対向する側の反対側の端部には回転軸部25が接続されている。回転軸部25は、カート進入方向A1に対して垂直方向に延在する。平板部22および平板部23は、回転軸部25を中心に回転可能となっている。
【0037】
カート収納庫1にショッピングカート2が収納されていない状態において、電波遮断部材20は、ICタグ12を包み込むことにより、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を遮断する。したがって、ICタグ12は動作せず、ICタグ12と無線通信機30との無線通信は行われない。
【0038】
電波遮断部材20は、カート収納庫1にショッピングカート2が収納されたときに、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を可能とする。具体的には、図4に示すように、ショッピングカート2をカート収納庫1に進入させると、ショッピングカート2の収納カゴ3は、カート進入方向A1に移動し、その先端部分が補助部材18を介して当接部材16の当接部分17に当接する。
【0039】
この状態で、ショッピングカート2をカート進入方向A1にさらに押し進めると、収納カゴ3の先端部分に当接する当接部分17が電波遮断部材20の内側に押し込められる。これに伴い、当接部材16に接続される平板部23は、回転軸部25を中心に、図中の矢印A2に示す方向に回転する。さらに、この回転軸部25の回転により、平板部22も回転軸部25を中心に、矢印A2の方向に回転する。これにより、電波遮断部材20の側面および上面の開口部が開口する。
【0040】
平板部23が回転すると、平板部23の第1面23aに固定されている支持部材14および重り部材15も回転軸部25を中心に、矢印A2の方向に回転する。このとき、平板部21に、回転中の支持部材14が当接する。平板部21は、支持部材14によって押し上げられ、回転軸部24を中心に、図中の矢印A3に示す方向に回転する。
【0041】
さらにショッピングカート2をカート進入方向A1に押し進めると、図5に示すように、収納カゴ3の前進に従って、平板部21が回転軸部24を中心に回転するとともに、平板部22,23が回転軸部25を中心に回転する。これにより、電波遮断部材20の上面の開口部から支持部材14が露出される。支持部材14は電波を通す材料により形成されていることから、無線通信機30はICタグ12へ電波を送信することが可能となる。その結果、ICタグ12は、無線通信機30から受ける電波によって動作する。
【0042】
以上説明したように、電波遮断部材20は、カート収納庫1にショッピングカート2が無い場合には、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を遮断し、カート収納庫1にショッピングカート2が有る場合には、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を可能とするように構成されている。これによると、カート収納庫1にショッピングカート2が無い場合には、無線通信機30は、ICタグ12と無線通信することができず、カート収納庫1にショッピングカート2が収納されたことによって、無線通信機30は、ICタグ12と無線通信することが可能となる。
【0043】
このように電波遮断部材20は、カート収納庫1におけるショッピングカート2の有無に応じて、無線通信機30とICタグ12との無線通信の接続および遮断を切り替えるように構成される。したがって、この無線通信の接続および遮断を検出することにより、カート収納庫1におけるショッピングカート2の有無を判断することができる。
【0044】
なお、図示は省略するが、カート収納庫1からショッピングカート2が退出する場合には、収納カゴ3がカート進入方向A1と反対の方向に移動するに伴い、重り部材15の重力を利用して、平板部22,23が回転軸部25を中心に矢印A2と逆方向に回転する。このとき、平板部21も回転軸部24を中心に矢印A3と逆方向に回転する。電波遮断部材20の上面および側面の開口部が平板部21,22,23によって覆われ、再びICタグ12は電波遮断部材20の内部に収納される。その結果、無線通信機30からICタグ12への電波の送信が遮断される。
【0045】
このように、無線通信機30とICタグ12との無線通信の接続および遮断の切り替えは、カート収納庫1に進入するショッピングカート2から電波遮断部材20が受ける力を利用して実現される。そのため、ショッピングカート2の進入および退出を検知して無線通信の切り替えを行うための専用の回路の設置を必要としない。よって、簡易かつ低コストな構成で無線通信の切り替えを行なうことができる。
【0046】
(3)無線通信機30
無線通信機30は、無線通信機10から数メートル程度の通信範囲内に位置するように設置される。図1の例では、無線通信機30は、カート収納庫1に配置されている。無線通信機30は、図示しない電源から電力の供給を受けて動作し、例えば、NFC規格に従う通信方式を用いて無線通信機10と無線通信するように構成される。なお、無線通信機10は、上述したように、パッシブタグであるICタグ12を含んで構成されるため、無線通信機30からの電波によって動作する。
【0047】
図6は、無線通信機30のハードウェア構成例を示す図である。図6に示すように、無線通信機30は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ31と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)32と、プロセッサ31によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、図示しない入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)33と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)34と、通信IF(Interface)35と、ICリーダ36とを含む。各構成要素は、相互にデータバス37によって接続されている。
【0048】
通信IF35は、サーバ40との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD34は、無線通信機10(ICタグ12)からのレスポンス信号の受信履歴を示す受信ログ情報を記憶するための「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。無線通信機30は、HDD34の代わりに、または、HDD34とともに他の不揮発性記憶装置を備えていてもよい。
【0049】
ICリーダ36は、無線通信機10のICタグ12からカート置き場IDを取得する。ICリーダ36は「無線タグリーダ」の一実施例に対応する。具体的には、ICリーダ36は、アンテナおよび処理回路を含んで構成される。ICリーダ36は、NFC規格に従って、アンテナを通じて周囲に対して一定時間毎にリクエスト信号を送信する。無線通信機10のICタグ12は、ICリーダ36から発せられるリクエスト信号を受信して作動する。ICタグ12は、メモリに記憶されているカート置き場IDを含むレスポンス信号を生成し、変調してICリーダ36へ送信する。無線通信機30は、リクエスト信号に応答して無線通信機10から送信されるレスポンス信号を受信すると、レスポンス信号に含まれるカート置き場IDを復調してサーバ40へ送信する。
【0050】
なお、このICリーダ36およびICタグ12の間の信号の遣り取りは、上述した電波遮断部材20によって、カート収納庫1にショッピングカート2が有る場合に実現され、カート収納庫1にショッピングカート2が無い場合には実現されない。
【0051】
図1に戻って、無線通信機30は、サーバ40および端末装置50と互いに通信可能に構成されている。無線通信機30とサーバ40との間の通信、および、サーバ40と端末装置50との間の通信は、無線を用いて行われる。無線通信機30とサーバ40との間の通信は、有線であってもよいし無線であってもよい。サーバ40と端末装置50との間の通信は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して行われる。
【0052】
なお、図1では、1つのカート置き場しか示していないが、商業施設内に設置されるカート置き場の数はこれに限定されるものではない。商業施設内にカート置き場が複数設けられている場合には、複数のカート置き場にそれぞれ対応するように複数のカート収納庫1が設置される。そして、この複数のカート収納庫1にそれぞれ対応するように複数の無線通信機10が設置されるとともに、この複数の無線通信機10にそれぞれ対応するように複数の無線通信機30が設置される。
【0053】
図7は、商業施設内における複数の無線通信機10,30の設置例を示す図である。図7には、商業施設内を天井から見た平面図が模式的に示される。
【0054】
図7に示すように、商業施設には、買い物客が施設内に出入りするために、複数の出入口(正面出入口ENTa、東出入口ENTb、駐車場出入口ENTc、西出入口ENTd)が設けられている。各出入口付近には、未使用のショッピングカート2を寄せ集めるために、カート置き場が設定されている。各カート置き場には、カート収納庫1が設置されている。
【0055】
各カート収納庫1には、無線通信機10が設置されている。図7の例では、4つの出入口ENTa~ENTdにそれぞれ対応するように4台のカート収納庫1a~1dが設置されている。カート収納庫1a~1dには、無線通信機10a~10dがそれぞれ設置されている。
【0056】
各無線通信機10には、カート置き場ごとに固有の識別情報(カート置き場ID)が付与されている。例えば、正面出入口ENTaに設置される無線通信機10aにはカート置き場IDとして「a」が付与され、東出入口ENTbに設置される無線通信機10bにはカート置き場IDとして「b」が付与され、駐車場出入口ENTcに設置される無線通信機10cにはカート置き場IDとして「c」が付与され、西出入口ENTdに設置される無線通信機10dにはカート置き場IDとして「d」が付与されている。
【0057】
各無線通信機10に付与されたカート置き場IDは、カート置き場の設置場所と関連付けられてサーバ40に記憶される。図8は、サーバ40に記憶されるカート置き場データベースを説明するための図である。図8に示すように、カート置き場データベースには、無線通信機10ごとに、カート置き場IDと設置場所とが関連付けられて登録されている。
【0058】
無線通信機30は、その通信範囲内に存在する無線通信機10と無線通信するように構成される。図中の領域RGNは、無線通信機30の通信範囲を模式的に表している。通信範囲は、無線通信機30の信号送信範囲に対応しており、半径数メートルの円形形状を有している。図7の例では、4台の無線通信機10a~10dにそれぞれ対応するように4台の無線通信機30a~30dが設置されている。
【0059】
各無線通信機30は、一定時間毎にリクエスト信号を送信する。各無線通信機30は、対応する無線通信機10から送信されるレスポンス信号を受信すると、当該レスポンス信号の受信時刻と、当該レスポンス信号に含まれるカート置き場IDとを紐付けてHDD34に記憶する。各無線通信機30のHDD34には、レスポンス信号の受信履歴を示す受信ログ情報が生成される。図9は、受信ログ情報を説明するための図である。図9には、一例として、無線通信機30aの受信ログ情報が示されている。受信ログ情報には、レスポンス信号の受信時刻、および、当該レスポンス信号の送信元の無線通信機10aに付与されたカート置き場IDが記録されている。
【0060】
無線通信機30aは、予め定められたサンプリング周期(例えば、30秒)で受信信号をサンプリングする。図9の例では、無線通信機30aは、無線通信機10aから送信されるレスポンス信号を30秒ごとにサンプリングする。無線通信機30aの受信ログ情報には、レスポンス信号の受信時刻と、無線通信機10aのカート置き場ID「a」とが記録される。
【0061】
各無線通信機30は、予め定められた所定周期(例えば、3分間)で、自機の識別情報である通信機IDとともに、HDD34に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。この際に、既にHDD34に蓄積されている受信ログ情報の一部を削除することで、受信履歴の記憶に使用するHDD34のメモリ容量を抑制することができる。
【0062】
なお、各無線通信機30は、上記所定周期に従って受信ログ情報を定期的にサーバ40に送信する構成に限定されず、サーバ40からの送信要求に応じて、直近の所定時間(例えば、3分間)における受信ログ情報を送信する構成としてもよい。
【0063】
(4)サーバ40
サーバ40は、商業施設内に存在するショッピングカート2を管理するための機能を有する。サーバ40は、一例として、商業施設を運営する運営会社に設置されている。サーバ40は、運営会社から商業施設の管理を委託された管理担当者によって利用され得る。
【0064】
図6には、サーバ40のハードウェア構成例が示される。図6に示すように、サーバ40は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ41と、データを不揮発的に格納するROM42と、プロセッサ41によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、図示しない入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM43と、データを不揮発的に格納するHDD44と、通信IF45とを含む。各構成要素は、相互にデータバス46によって接続されている。なお、通信IF45は、無線通信機30および端末装置50との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD45は「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。サーバ40は、HDD45の代わりに、または、HDD45とともに他の不揮発性記憶装置を備えていてもよい。
【0065】
サーバ40は、無線通信機30からの受信ログ情報を受信すると、HDD45に格納されている、未使用のショッピングカート2を管理するためのデータベース(以下、「空きカート情報データベース」とも称する)に受信ログ情報を登録する。商業施設内に複数の無線通信機30が設置されている場合には、空きカート情報データベースには、各無線通信機30の受信ログ情報が登録される。
【0066】
図10は、空きカート情報データベースを説明するための図である。図10には、一例として、図7に示した4台の無線通信機30a~30dの受信ログ情報を空きカート情報データベースに登録する場合が示される。
【0067】
図10に示すように、4台の無線通信機30a~30dの各々は、所定周期(例えば、3分間)で、受信ログ情報を自機の通信機IDとともにサーバ40に送信する。受信ログ情報は、上述したように、無線通信機10からのレスポンス信号の受信時刻と、当該レスポンス信号に含まれるカート置き場IDとを含んでいる。
【0068】
サーバ40は、4台の無線通信機30a~30dの各々から受信ログ情報を受信すると、その受信ログ情報を空きカート情報データベースに登録する。具体的には、サーバ40は、4台の無線通信機30a~30dのすべての受信ログ情報を、レスポンス信号の受信時刻の順に並べる。空きカート情報データベースは、レスポンス信号の受信時刻の欄と、カート置き場IDの欄とを有するテーブルで構成されている。
【0069】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された内容から、いつ、どのカート収納庫1にショッピングカート2が収納されたか、および、いつ、どのカート収納庫1からショッピングカート2が一掃されたのかを把握することができる。また、受信ログ情報をレスポンス信号の受信時刻の順に並べることによって、最新の時刻での各カート置き場におけるショッピングカート2の有無を容易に把握することが可能となる。
【0070】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された情報に基づいて、現在の時刻において各カート置き場におけるショッピングカート2の有無を示す情報を生成する。例えば、サーバ40は、各カート置き場におけるショッピングカート2の有無を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。以下、図11および図12を用いて、サーバ40における画面データの生成処理について説明する。
【0071】
図11に示すように、サーバ40は、最初に、HDD45に記憶されている空きカート情報データベースおよびカート置き場データベースを用いて、画面データ(WEB画面)の生成に用いる表示用データを生成する。
【0072】
具体的には、サーバ40は、空きカート情報データベースに登録されている受信ログ情報の中から、直近の所定時間における受信ログ情報を抽出する。サーバ40は、抽出した直近の所定時間における受信ログ情報を、カート置き場データベースを用いてカート置き場毎にまとめることにより、WEB画面表示用データを生成する。
【0073】
図11の例では、直近の所定時間内にカート置き場ID「a」、「b」および「d」が検出されている一方で、カート置き場ID「c」が検出されていない。したがって、正面出入口ENTa、東出入口ENTbおよび西出入口ENTdの各々については、カート収納庫1にショッピングカート2が収納されている、すなわち、カート置き場にショッピングカート2が有ると判断することができる。その一方で、駐車場出入り口ENTcについては、カート収納庫1にショッピングカート2が1台も収納されていない、すなわち、カート置き場にショッピングカートが無いと判断することができる。
【0074】
サーバ40は、直近の所定時間における受信ログ情報に基づいて、現在の時刻での各カート置き場におけるショッピングカート2の有無を示す情報を含むようにWEB画面表示用データを生成する。次いで、サーバ40は、生成されたWEB画面表示用データを用いて、WEB画面を生成する。
【0075】
具体的には、図12に示すように、サーバ40は、ショッピングモール内の平面図を示す画像を生成し、当該平面図上に、ショッピングカート2の有無を示すオブジェクト70を配置する。図12の例では、4つのカート置き場の各々に対して、ショッピングカート2の有無を示すオブジェクト70が配置されている。正面出入口ENTa、東出入口ENTbおよび西出入口ENTdには、ショッピングカート2が有ることを示すオブジェクト70が配置され、駐車場出入口ENTcには、ショッピングカート2が無いことを示すオブジェクト70が配置される。サーバ40は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信する。
【0076】
(5)端末装置50
図1に戻って、端末装置50は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して、サーバ40と通信可能に接続されている。端末装置50は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォンまたはタブレットである。端末装置50は、買い物客によって利用され得る。なお、端末装置50は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、商業施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0077】
端末装置50は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末装置50は、サーバ40にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。なお、端末装置50は、画面データを表示するには、サーバ40に対してログインする必要がある。
【0078】
図13は、端末装置50の表示画面例を表した図である。図13に示すように、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、端末装置50は、WEB画面をディスプレイに表示する。WEB画面は、図12で説明したように、カート置き場毎に、現在の時刻でのショッピングカート2の有無を表した画像を含んでいる。これにより、端末装置50は、買い物客Uに対して、どのカート置き場にショッピングカート2が有るのかを知らせることができる。
【0079】
<移動体情報提供処理の流れ>
図14は、移動体情報提供システム100で実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0080】
図14に示すように、カート置き場に設置された無線通信機30において、ICリーダ36は、処理P1により、周囲に対して一定時間毎にリクエスト信号を送信する。
【0081】
カート収納庫1に設置された無線通信機10において、電波遮断部材20は、カート収納庫1にショッピングカート2が収納されていない状態において、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を遮断する。この状態においてカート収納庫1にショッピングカート2が収納されたときに、電波遮断部材20は、無線通信機30からICタグ12への電波の送信を可能とする。
【0082】
処理P2により、ICタグ12は、無線通信機30のICリーダ36からリクエスト信号を受信すると、処理P3により、このリクエスト信号の電波によって作動する。無線通信機10は、処理P4により、ICタグ12に記憶されているカート置き場IDを含むレスポンス信号を生成する。無線通信機10は、処理P5により、生成したレスポンス信号を変調してICリーダ36へ送信する。
【0083】
無線通信機30は、無線通信機10からのレスポンス信号を受信すると、処理P6により、受信ログ情報を生成する。無線通信機30は、処理P7により、生成された受信ログ情報をサーバ40へ送信する。
【0084】
サーバ40は、無線通信機30との通信に先立って、処理P8において、カート置き場データベース(図8)を生成する。カート置き場データベースには、商業施設内に設置されるカート置き場(カート収納庫1)の設置場所とカート置き場IDとが関連付けられて登録されている。
【0085】
サーバ40は、処理P7で送信された受信ログ情報を受信すると、処理P9により、空きカート情報データベース(図10)を生成する。サーバ40は、処理P10により、処理P8で生成されたカート置き場データベースおよび処理P10で生成された空きカート情報データベースに基づいて、画面データ(WEB画面)を生成する。
【0086】
端末装置50は、処理P11により、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスし、画面データの送信要求を送信する。サーバ40は、端末装置50から画面データの送信要求を受け付けると、処理P12により、処理P10にて生成された画面データ(WEB画面)を、送信要求の送信元の端末装置50へ送信する。端末装置50は、処理P13により、画面データを受信し、当該画面データに基づいた画面(WEB画面)をディスプレイに表示する。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係る移動体情報提供システムによれば、ショッピングカート2が収納されるカート収納庫1に無線通信機10を搭載し、この無線通信機10と無線通信機30との無線通信の接続および遮断を、カート収納庫1におけるショッピングカート2の有無に応じて切り替える構成としたことにより、当該無線通信の状態に基づいて、カート収納庫1におけるショッピングカート2の有無を検出することができる。これによると、従来技術のように、各ショッピングカートに無線通信機を搭載することが不要となるため、簡素かつ低コストな移動体情報提供システムを実現することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態に係る移動体情報提供システムでは、上記構成において、無線通信機10を、ICタグ12および電波遮断部材20を用いて構成するとともに、カート収納庫1におけるショッピングカート2の有無に応じて、電波遮断部材20が無線通信機30からICタグ12への電波の送信および遮断を切り替える構成としたことにより、ICタグ12にパッシブタグを採用することができる。したがって、無線通信機10の小型化および低コスト化が可能となる。
【0089】
さらに、上記構成において、電波遮断部材20による無線通信の接続および遮断の切り替えを、カート収納庫1に進入するショッピングカート2から電波遮断部材20が受ける力を利用して実現したことにより、ショッピングカート2の進入および退出を検知して無線通信の切り替えを行うための専用の回路の設置を必要としない。よって、簡易な構成で無線通信の切り替えを行なうことができる。
【0090】
<移動体情報提供システムのその他の適用例>
上述した実施の形態では、無線通信機10に含まれるICタグ12にパッシブタグを用いる構成例について説明したが、ICタグ12にアクティブタグを用いても、本開示に係る移動体情報提供システムを実現することができる。ただし、上述したように、ICタグ12にパッシブタグを用いることによって、無線通信機10の小型化および低コスト化が可能となるため、多数のカート収納庫1が設置される大型の施設において、省スペースおよびコスト低減の点で有利となる。
【0091】
また、上述した実施の形態では、商業施設内の買い物客に対して、カート置き場におけるショッピングカートの有無に関する情報を提供するシステムの構成について例示したが、本実施の形態に係る移動体情報提供システムの適用例はこれに限定されない。例えば、医療施設または介護施設等で施設の利用者に対し、車椅子置き場における車椅子の有無に関する情報を提供するためのシステムに本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。この場合、車椅子置き場に車椅子が有るときに、車椅子置き場に設置された無線通信機10が信号を発信する。この信号を無線通信機30が受信してサーバ40に受信ログ情報を送信することにより、サーバ40は、利用者に対して、車椅子置き場に車椅子が有るという情報を提供することができる。あるいは、ゴルフ場または遊園地等の施設において、カート置き場におけるカートの有無に関する情報を利用者に提供するためのシステムにも本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1,1a~1d カート収納庫、2 ショッピングカート、3 収納カゴ、10,10a~10d,30,30a~30d 無線通信機、12 ICタグ、14 支持部材、15 重り部材、16 当接部材、17 当接部分、18 補助部材、20 電波遮断部材、21,22,23 平板部、24,25 回転軸部、26,27 緩衝材、31,41 プロセッサ、32,42 ROM、33,43 RAM、34,44 HDD、35,45 通信IF、36 ICリーダ、37,46 データバス、40 サーバ、50 端末装置、100 移動体情報提供システム、NW 通信網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14