IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本化薬株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-硬化性樹脂組成物およびその硬化物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20250107BHJP
   C08G 59/08 20060101ALI20250107BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20250107BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20250107BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20250107BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
C08G59/50
C08G59/08
C08J5/04 CFC
H01L23/30 R
H05K1/03 610L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024539607
(86)(22)【出願日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2024008937
【審査請求日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2023055544
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 嵩
(72)【発明者】
【氏名】寺田 究
(72)【発明者】
【氏名】中西 政隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕貴
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-319345(JP,A)
【文献】特開2013-082785(JP,A)
【文献】特開2014-201639(JP,A)
【文献】国際公開第2022/168670(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/125760(WO,A1)
【文献】特開平04-031427(JP,A)
【文献】特開2012-153814(JP,A)
【文献】特開2004-277437(JP,A)
【文献】特開平04-266922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08G 8/00-8/38
C08J 5/04-5/10、5/24
H01L 23/29、23/31
H05K 1/03
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂とアニオン重合開始剤とを含有し、
前記アニオン重合開始剤の含有量は前記エポキシ樹脂100重量部に対して0.1~3重量部であり、
前記アニオン重合開始剤は2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールからなる群から選択される1種以上であるイミダゾール化合物である硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1<n<15の実数を示す。)
【請求項2】
前記エポキシ樹脂のICI粘度(150℃)が0.01~0.20Pa・sである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
バイオマス度が20%以上である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
炭素繊維強化プラスチック用である、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
半導体素子封止材用である、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
プリント配線板用である、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエポキシ樹脂とアニオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物およびその硬化物に関するものであり、半導体素子用封止材、プリント配線板、ビルドアップ積層板などの電気・電子部品、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどの軽量高強度材料、3Dプリンティング用途、接着剤の分野で好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。そして、近年、特に電気・電子分野においてはその発展に伴い、耐熱性や低誘電率、低誘電正接等の樹脂の諸特性の一層の向上が求められている。また、耐熱性に関しては電気・電子分野のみならず、構造用材料材、接着材の分野でも更なる高性能化が要求されている。
【0003】
また、近年、環境問題の観点からカーボンニュートラルな資源としてバイオマス資源が注目されている。フルフラールはバイオマス由来の化合物として知られており、特許文献1にはフルフラールを原料として用いたエポキシ樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-211254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1はフルフラールを原料として用いたエポキシ樹脂と石化由来の硬化剤であるフェノールノボラック樹脂と混合してエポキシ樹脂組成物としているため、組成物としてのバイオマス度は低くなっていた。
【0006】
一般に、バイオマス度を高くしようとすると、硬化性樹脂組成物に求められる性能を維持することが難しくなることから、高いバイオマス度を有しつつ、要求特性を満足する硬化性樹脂組成物が求められていた。
【0007】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、高いバイオマス度であって、高耐熱性、低誘電特性に優れる硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、下記[1]~[9]に関する。なお、本発明において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂とアニオン重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1<n<15の実数を示す。)
[2]
前記エポキシ樹脂のICI粘度(150℃)が0.01~0.20Pa・sである、前項[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記アニオン重合開始剤がイミダゾール系化合物である、前項[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記アニオン重合開始剤の含有量が前記エポキシ樹脂100重量部に対して0.1~10重量部である、前項[1]から[3]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
バイオマス度が20%以上である、前項[1]から[4]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
炭素繊維強化プラスチック用である、前項[1]から[5]のいずれか一項のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
半導体素子封止材用である、前項[1]から[5]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
プリント配線板用である、前項[1]から[5]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
前項[1]から[8]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、高いバイオマス度であって、高耐熱性、低誘電特性に優れる硬化性樹脂組成物に関するものである。このため、本発明は電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】合成例1のGPCチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂とアニオン重合開始剤を含有する。
【0014】
【化2】
【0015】
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1<n<15の実数を示す。)
【0016】
前記式(1)中、nの値はエポキシ樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、検出器:RI)の測定により求められた数平均分子量、あるいは分離したピークの各々の面積比から算出することができる。nは1<n<15の実数であることが好ましく、1<n<10であることがさら好ましく、1<n<5であることが特に好ましい。
【0017】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂は、下記式(2)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応させて得ることができる。
【0018】
【化3】
【0019】
(式(2)中、nは繰り返し数の平均値であり、1<n<15の実数を示す。)
【0020】
前記式(2)中のnの好ましい範囲は前記式(1)と同じである。
【0021】
前記エピハロヒドリンは市場から容易に入手できる。エピハロヒドリンの使用量は原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し2.0~10モルであることが好ましく、より好ましくは3.0~8.0モル、さらに好ましくは3.5~6.0モルである。
【0022】
上記反応において、エポキシ化工程を促進する触媒としてアルカリ金属水酸化物を使用することができる。使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよいが、本実施形態においては特に、溶解性、ハンドリングの面からフレーク状に成型された固形物の使用が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して0.90~1.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.95~1.25モル、さらに好ましくは0.99~1.15モルである。
【0023】
また、反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。4級アンモニウム塩の使用量としては原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し0.1~15gであることが好ましく、より好ましくは0.2~10gである。
【0024】
反応温度は30~90℃であることが好ましく、より好ましくは35~80℃である。特に本実施形態においては、より高純度なエポキシ化のために50℃以上が好ましく、特に60℃以上が好ましい。反応時間は0.5~10時間であることが好ましく、より好ましくは1~8時間、特に好ましくは1~3時間である。反応時間が短いと反応が進みきらず、反応時間が長くなると副生成物ができることから好ましくない。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4~7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して0.01~0.3モルであることが好ましく、より好ましくは0.05~0.2モルである。反応温度は50~120℃であることが好ましく、反応時間は0.5~2時間であることが好ましい。
【0025】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより前記式(1)で表されるエポキシ樹脂が得られる。
【0026】
前記式(2)で表されるフェノール樹脂の合成法としては、フルフラールとフェノール類との反応(縮合)を行う場合、フェノール類の量はフルフラール1モルに対して好ましくは1.5~20モル、特に好ましくは3~10モルの範囲である。
【0027】
フェノール類としては、2置換フェノールとしてカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1置換フェノールとしてフェノールが挙げられ、単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0028】
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、キシレンなどが挙げられるがこれらに限定される物ではなく、単独でも2種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量はフェノール100重量部に対し、5~500重量部であることが好ましく、より好ましくは10~300重量部の範囲である。
【0029】
上記縮合反応においては塩基触媒を用いるのが好ましい。酸性触媒でも重縮合は可能であるが、フルフラール同士の反応も起こり、副生成物が多くなる。また、有機金属化合物を用いる方法もあるが、コスト的に不利である。塩基性触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられるが、これらに限定される物ではなく、単独でも2種以上を併用してもよい。触媒の使用量は、フェノール1モルに対し、0.005~2.0倍モルであることが好ましく、より好ましくは0.01~1.1倍モルである。
【0030】
これら塩基触媒存在下の縮合反応は40~180℃の範囲で行われるのが好ましく、特に好ましくは80~165℃の範囲で行われ、反応時間は0.5~10時間の範囲で選定することが好ましい。こうして得られた反応物は系内が中性になるように中和を行ったり溶媒の存在下に水洗を繰り返したりしたのち、水を分離排水後、加熱減圧下、溶媒及び未反応物を除去することにより前記式(2)で表されるフェノール樹脂が得られる。
【0031】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は前記式(1)で表されるエポキシ樹脂とともに、アニオン重合開始剤を含有する。アニオン重合開始剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7等の第3級アミン類などが挙げられる。耐熱性を高める観点からイミダゾール類のアニオン重合開始剤を用いるのが好ましい。アニオン重合開始剤は、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂100重量部に対して0.01~15重量部を用いることが好ましく、より好ましくは0.1~5重量部であり、さらに好ましくは1~3重量部である。アニオン重合開始剤は特許文献1に記載の硬化剤であるフェノールノボラック樹脂と比較して少量添加でエポキシ樹脂を硬化させることができるため、バイオマス度への影響が少ない。
【0032】
環境問題の観点から、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂のバイオマス度は20%以上であることが好ましく、本実施形態の硬化性樹脂組成物のバイオマス度は20%以上であることが好ましい。バイオマス度の上限は特に限定されず100%で良いが、硬化物性との兼ね合いから、60%であることが好ましく、40%であることがさらに好ましい。バイオマス度が高いことは、石油等に代表される化石資源系材料の使用量を低減することでもあり得るので、資源の持続的利用の点でも有意義である。
【0033】
各材料や硬化性樹脂組成物のバイオマス度はASTM D6866-21に準拠して加速器重量分析法により求めることができる。
【0034】
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂は単独、または他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂中に占める割合は5~95重量%が好ましく、10~95重量%がより好ましく、15~95重量%が更に好ましい。添加量が少ない場合、十分な耐熱性を発現できない場合がある。
【0035】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂と併用しうるエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物;前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物;前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物;前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物またはアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。植物由来成分を含むエポキシ樹脂の具体例としては、上記フェノール類としてカシュー油由来のカルダノールを使用して各種アルデヒド類と重縮合させた重縮合物をエポキシ化した化合物や、亜麻仁油や大豆油をエポキシ化した化合物が挙げられる。通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。特に植物由来成分を含むエポキシ樹脂と併用するとバイオマス度を高めることができ好ましい。
【0036】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は硬化剤を併用しても良い。例えば、酸無水物系化合物、アミン化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、活性エステル化合物などが挙げられる。併用しうる硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとにより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトライソプロピルジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(N-メチルアニリン)、ビス(アミノフェニル)フルオレン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、ナフタレンジアミン、ベンジジン、ジメチルベンジジン等の芳香族アミン化合物、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ノルボルナンジアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマージアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン化合物;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、または前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、または前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物等のフェノール系化合物;フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の活性エステル化合物;などが挙げられるがこれらに限定されることはない。
【0037】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体素子の封止剤用途に使用する場合は硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面から硬化性樹脂組成物中で20重量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、特にリードフレームとの線膨張率を向上させるために70~95重量%を占める割合で使用するのがより好ましい。
【0038】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は成形時の金型との離型を良くするために離型剤を配合することができる。離型剤としては従来公知のものいずれも使用できるが、例えばカルナバワックス、モンタンワックスなどのエステル系ワックス、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸およびこれらの金属塩、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。これら離型剤の配合量は全有機成分に対して0.5~3重量%が好ましい。これより少なすぎると金型からの離型が悪く、多すぎるとリードフレームなどとの接着が悪くなる。
【0039】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は無機充填剤と樹脂成分との接着性を高めるためにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、イソシアナートアルコキシシランなどの各種アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、アルミニウムキレート類などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。カップリング剤の添加方法は、カップリング剤であらかじめ無機充填剤表面を処理した後、樹脂と混練しても良いし、樹脂にカップリング剤を混合してから無機充填剤を混練しても良い。
【0040】
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにカーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤などが挙げられる。
【0041】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本実施形態の硬化性樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂に、硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤、離型剤、シランカップリング剤、添加剤などを押出機、ニーダ、ロール、プラネタリーミキサー等を用いて均一になるまで充分に混合することにより得ることができる。
【0042】
得られた硬化性樹脂組成物はその成型方法により、樹脂シート、プリプレグなど各種形態を取ることができる。プリプレグの形態は、例えば、本実施形態の硬化性樹脂組成物および/または樹脂シートを加熱溶融して低粘度化して繊維基材に含浸させることにより得ることができる。
【0043】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、必要に応じてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の溶剤に溶解させてワニス状の組成物(以下、単にワニスともいう。)とし、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥してプリプレグを作成することもできる。この際の溶剤は、本実施形態の硬化性樹脂組成物と該溶剤の混合物中で10~70重量%、好ましくは15~70重量%を占める量を用いる。
【0044】
上記のプリプレグを所望の形に裁断、積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながらエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることにより炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を得ることができる。また、プリプレグの積層時に銅箔や有機フィルムを積層することもできる。
【0045】
CFRPの成形方法は、上記の方法のほかに、公知の方法にて成形して得ることもできる。例えば、炭素繊維基材(通常、炭素繊維織物を使用)を裁断、積層、賦形してプリフォーム(樹脂を含浸する前の予備成形体)を作製、プリフォームを成形型内に配置して型を閉じ、樹脂を注入してプリフォームに含浸、硬化させた後、型を開いて成形品を取り出すレジントランスファー成形技術(RTM法)を用いることもできる。また、RTM法の一種である、例えば、VaRTM法、SCRIMP(Seeman’s Composite Resin Infusion Molding Process)法、特表2005-527410記載の樹脂供給タンクを大気圧よりも低い圧力まで排気し、循環圧縮を用い、かつ正味の成形圧力を制御することにとよって、樹脂注入プロセス、特にVaRTM法をより適切に制御するCAPRI(Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)法なども用いることができる。さらに、繊維基材を樹脂シート(フィルム)で挟み込むフィルムスタッキング法や、含浸向上のため強化繊維基材にパウダー状の樹脂を付着させる方法、繊維基材に樹脂を混ぜる過程において流動層あるいは流体スラリー法を用いる成形方法(Powder Impregnated Yarn)、繊維基材に樹脂繊維を混繊させる方法も用いることができる。
【0046】
炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられ、なかでも引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良いため、解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
【0047】
本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物は上述のCFRPなどの用途以外にも各種用途に使用でき、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、CFRP等も含む)、半導体素子用封止材、液晶表示素子用封止材、有機EL素子用封止材、プリント配線板(BGA用基板、ビルドアップ基板など)等の電気・電子部品や3Dプリンティング等の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
【0048】
前記接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられ、様々な用途に適用可能である。
【0049】
本実施形態の硬化性樹脂組成物を半導体素子用封止材へ適用する場合、本実施形態の硬化性樹脂組成物を半導体素子が具備されたリードフレーム、半導体パッケージ基板を金型に設置し、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80~200℃で2~10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。本封止材を用いて製造される半導体装置としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップ用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
【0050】
本実施形態の硬化性樹脂組成物をプリント配線板用途へ適用する場合、加熱溶融し、低粘度化してガラス繊維、ポリアミド繊維などの強化繊維に含浸させることによりプリプレグを得ることもできる。その具体例としては、例えば、Eガラスクロス、Dガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、球状ガラスクロス、NEガラスクロス、及びTガラスクロス等のガラス繊維などおよび/または有機繊維が挙げられるが、これらに特に限定されない。基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマットなどが挙げられる。また、織布の織り方としては、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、織布を開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01~0.4mm程度である。また、前記ワニスを、強化繊維に含浸させて加熱乾燥させることによりプリプレグを得ることもでき、これを元に銅張積層板(CCL:Cupper Clad Laminate)の作成ができる。得られたプリプレグとCCLを熱プレス成形することにより、本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いた積層板を作成することもできる。積層板はプリプレグを1枚以上備えるものであれば特に限定されず、他のいかなる層を有していてもよい。また、剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得ることができる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層あるいは半導体を実装する際の接着シートとして使用することができる。また本実施形態の硬化性樹脂組成物は、パッケージ基板(サブストレート)やHDI(high density interconnect)などの特殊な基板材料にも好適に用いることができる。
【実施例
【0051】
以下に合成例および実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。以下、特に断わりのない限り、部は重量部である。
【0052】
各種分析方法について以下の条件で行った。
・エポキシ当量
JIS K-7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K-7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・溶融粘度
ICI溶融粘度(150℃)コーンプレート法で測定し、単位はPa・sである。
・バイオマス度分析(加速器重量分析法)
ASTM D6866-21に準拠して測定し、算出した。単位は%である。
【0053】
[合成例1]
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、フェノール254重量部、水63重量部、水酸化ナトリウム27重量部を仕込み、撹拌、溶解後、110℃へ加熱したところへ、フルフラール44重量部を2時間かけて滴下した。その後110℃で3時間反応させた後、145℃に昇温した。昇温の際、留出してきた水は系外へ除いた。145℃に到達したのち、4時間反応させた。ついで80℃まで冷却し、水63重量部を仕込み、リン酸4重量部、35%塩酸63重量部を加えて中和した。水洗を繰り返した後、加熱減圧下において、未反応フェノールを留去せしめて、フェノール樹脂109重量部を得た。得られたフェノール樹脂78重量部に対してエピクロルヒドリン(ECH、以下同様)254重量部、ジメチルスルホキシド(DMSO、以下同様)64重量部、水13重量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状の水酸化ナトリウム23重量部を2時間かけて分割で仕込んだ。その後、45℃で2時間、70℃で60分更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副生成塩とジメチルスルホキシドを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に218重量部のメチルイソブチルケトンを添加し溶解した。このメチルイソブチルケトン溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液7重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより前記式(1)で表されるエポキシ樹脂Aを97重量部得た。エポキシ当量は214g/eq.、軟化点は49℃、ICI溶融粘度は0.04Pa・s、GPCから繰り返し数の平均値nは2.1、バイオマス度は25%であった。エポキシ樹脂AのGPCチャートを図1に示す。
【0054】
[実施例1]
合成例1で得られたエポキシ樹脂Aを主剤とし、アニオン重合開始剤として2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成社製)を表1の配合組成に示す重量比で配合混練し、220℃2時間の硬化条件で硬化させ、硬化物を作成した。硬化物のバイオマス度は24.8%であった。
【0055】
[比較例1]
合成例1で得られたエポキシ樹脂Aを主剤とし、硬化剤としてPN(フェノールノボラック樹脂、明和化成社製、水酸基当量103g/eq.)、硬化促進剤としてTPP(トリフェニルホスフィン)を表1の配合組成に示す重量比で配合混練し、180℃6時間の硬化条件で硬化させ、硬化物を作成した。硬化物のバイオマス度は16.6%であった。
【0056】
物性値の測定は以下の条件で測定した。
<耐熱性(Tg)測定条件>
動的粘弾性測定器:TA-instruments、DMA-Q800
測定温度範囲:25~300℃
昇温速度:2℃/分
Tg:Tanδのピーク点をTgとした。
<誘電率、誘電正接試験>
(株)AET社製の10GHz空洞共振器を用いて、25℃において空洞共振器摂動法にてテストを行った。サンプルサイズは幅2.5mm×長さ50mmとし、厚さは0.3mmで試験を行った。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果より実施例1はバイオマス度が高く、高耐熱性、低誘電特性に優れることが確認された。
【要約】
本発明は、高いバイオマス度であって、高耐熱性、低誘電特性に優れる硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供する。
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂とアニオン重合開始剤とを有する硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1<n<15の実数を示す。)
図1