(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】冷媒回収システムおよび冷媒回収方法
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
F25B45/00 A
(21)【出願番号】P 2024543957
(86)(22)【出願日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2023042000
【審査請求日】2024-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堂岸 善宏
(72)【発明者】
【氏名】大上 明徳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀基
(72)【発明者】
【氏名】野村 亜加音
(72)【発明者】
【氏名】弓削 政郎
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-133192(JP,A)
【文献】国際公開第2023/042269(WO,A1)
【文献】特開2014-006028(JP,A)
【文献】特開2000-070652(JP,A)
【文献】国際公開第2022/064671(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0356184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍空調機器の冷媒回路から空調用冷媒を回収する冷媒回収システムであって、
前記空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する第1の回収機器と、
前記圧縮凝縮冷媒を回収した前記第1の回収機器の内部に含まれる、前記空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガスを
、前記空調用冷媒の第1のガス成分と、前記空調用冷媒の第2のガス成分および前記非凝縮性ガスとからなる第2の混合ガスとに分離する分離膜を含むガス分離モジュールと、前記ガス分離モジュールによって分離された前記第2の混合ガスのうち、前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を吸着する吸着剤を有する吸着モジュール
とを含
む吸着装置と、
前記吸着剤に吸着された前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を脱着させて、脱着した前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を蓄積する脱着装置と、を備える、冷媒回収システム。
【請求項2】
前記空調用冷媒の前記ガス成分は、R-32である、請求項1に記載の冷媒回収システム。
【請求項3】
前記吸着モジュールは、前記
第2の混合ガスのうち前記吸着剤に吸着されなかった前記非凝縮性ガスを大気に放出する放出口を含む、請求項1または請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項4】
前記脱着装置は、
脱着した前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を蓄積する第2の回収機器と、
一端が前記吸着モジュールに接続され、他端が前記第2の回収機器に接続されている配管と、
前記吸着剤に吸着された前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を吸引して前記第2の回収機器に送出する吸引装置と、を含む、請求項1または請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項5】
前記脱着装置は、
一端が前記吸着モジュールに接続され、他端が前記脱着装置に接続されている配管と、
前記空調用冷媒を圧縮凝縮することによって、前記圧縮凝縮冷媒を生成する冷媒回収装置と、
前記冷媒回収装置が生成した前記圧縮凝縮冷媒を回収する前記第1の回収機器と、を含む、請求項1または請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項6】
前記吸着装置は、
前記第1の回収機器と前記吸着モジュールとの間に配置された入口弁と、
前記冷媒回路と前記冷媒回収装置の間に配置された三方弁と、
前記
第2の混合ガスのうち前記吸着剤に吸着されなかった前記非凝縮性ガスを前記吸着モジュールから大気に放出する排気弁と、
前記入口弁と前記三方弁と前記排気弁とを制御する制御部と、を含み、
前記三方弁は、第1ポート、第2ポートおよび第3ポートを含み、前記三方弁の前記第1ポートは前記冷媒回路に接続されており、前記三方弁の前記第2ポートは前記冷媒回収装置に接続されており、前記三方弁の前記第3ポートは前記配管に接続されており、
前記制御部は、
前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を前記吸着剤に吸着させるための吸着モードにおいて、前記入口弁および前記排気弁を開放するよう制御し、前記三方弁の前記第1ポートと前記第2ポートが連通状態になるように前記三方弁を制御し、
前記吸着剤に吸着された前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を脱着させるための脱着モードにおいて、前記入口弁および前記排気弁を閉鎖するよう制御し、前記三方弁の前記第2ポートと前記第3ポートが連通状態になるように前記三方弁を制御する、請求項5に記載の冷媒回収システム。
【請求項7】
前記脱着装置は、
前記空調用冷媒を圧縮凝縮することによって、前記圧縮凝縮冷媒を生成する冷媒回収装置と、
前記冷媒回収装置が生成した前記圧縮凝縮冷媒を回収する前記第1の回収機器と、を含み、
前記ガス分離モジュールが分離した前記空調用冷媒の前記第1のガス成分が流入する第1の再送配管と、前記吸着剤から脱着した前記空調用冷媒の前記第2のガス成分が流入する第2の再送配管と、前記第1のガス成分と前記第2のガス成分とを混合させて前記冷媒回路と前記冷媒回収装置との間に再送させる第3の再送配管とを含む再送配管と、をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項8】
前記吸着剤は、ゼオライト吸着剤である、請求項2に記載の冷媒回収システム。
【請求項9】
冷凍空調機器の冷媒回路から空調用冷媒を回収する冷媒回収方法であって、
第1の回収機器が、前記空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収するステップと、
吸着装置
に含まれるガス分離モジュールに含まれる分離膜が、前記圧縮凝縮冷媒を回収した前記第1の回収機器の内部に含まれる、前記空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガスを
、前記空調用冷媒の第1のガス成分と、前記空調用冷媒の第2のガス成分および前記非凝縮性ガスとからなる第2の混合ガスとに分離するステップと、
前記吸着装置に含まれる吸着モジュールが有する吸着剤が、第2の混合ガスのうち、前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を吸着するステップと、
脱着装置が、前記吸着剤に吸着された前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を脱着させて、脱着した前記空調用冷媒の前記
第2のガス成分を蓄積するステップと、を備え
る、冷媒回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒回収システムおよび冷媒回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍機およびエアコンなどの冷凍空調機器(冷媒使用機器)は、熱エネルギーを運搬する冷媒の循環経路上に、当該冷媒が気化したガス冷媒を圧縮して高温高圧化する空調用圧縮機と、空調用圧縮機で高温高圧化したガス冷媒を外気等で冷却して液化する空調用凝縮器と、空調用凝縮器で液化した冷媒(液冷媒)を膨張させて気体化する膨張弁と、膨張弁で気化した冷媒(ガス冷媒)を液体化する冷媒回収用凝縮器と、冷媒回収用凝縮器で液化した冷媒(液冷媒)を貯蔵するアキュムレータとを備える。冷媒は熱エネルギーを運搬する役割を担っており、空調用凝縮器において外部に熱を放出する一方、膨張弁を通過後に外気等から熱を受け取る。
【0003】
冷凍空調機器に使用される各種冷媒は、地球温暖化係数およびオゾン層破壊係数が大きいため、大気中への排出が規制されている。したがって、特に、冷媒を交換する際又は冷凍空調機器を保守または廃棄する際には、冷媒を大気に漏洩させることなく、冷凍空調機器に充填されている冷媒を回収することが義務付けられている。同時に、環境負荷の小さな冷媒への転換も推進されており、近年では、代替フロンとしてHFC(Hydrofluorocarbons)等の使用が主流となっている。HFCとしては、たとえば、単体冷媒としてはR134AまたはR32(「R-32」とも記載する)、混合冷媒としてはR410AまたはR407Cがある。
【0004】
冷媒の回収には、冷媒回収装置が使用される。冷媒回収装置においては、冷凍空調機器内のアキュムレータを含む冷媒回路に存在する冷媒を気化した後、ガス冷媒を冷媒回収装置内の圧縮機によって吸引し、断熱圧縮する。断熱圧縮されたガス冷媒を冷媒回収装置内の凝縮器によって液化し、液冷媒として回収ボンベに回収する。回収した冷媒の量は、重量計により測定される。
【0005】
冷媒使用機器内の冷媒を冷媒回収装置により回収ボンベに回収する際、窒素(N2)、酸素(O2)などの空気を主成分とする非凝縮性ガスが回収系統に混入すると、非凝縮性ガスも回収ボンベに回収されてしまうという問題がある。非凝縮性ガスは、回収ボンベ内で凝縮せず、圧縮ガスとして存在するため、回収ボンベ内の液冷媒の量が増えて気相の体積が少なくなるにつれて、回収ボンベ内の圧力および温度が上昇する。その結果、回収ボンベの内圧が上昇し、液体冷媒が充填され難くなり、回収ボンベへの冷媒回収速度が低下することになる。よって、冷媒を全回収するまでに多くの時間を費やすことになる。
【0006】
この問題に対して、特許文献1の冷媒回収システムでは、回収ボンベ内に蓄積したガス冷媒と非凝縮性ガスの混合ガスを分離するガス分離モジュールを備え、回収ボンベ内の混合ガスをガス分離モジュールに送って分離し、分離された非凝縮性ガスを大気中に排出すると共に、ガス冷媒を冷媒回収装置側に再送させるように構成している。これにより、特許文献1の冷媒回収システムにおいて、回収ボンベ、冷媒回収装置および冷凍空調機器の接続を維持したままで、回収ボンベ内の非凝縮性ガスを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の冷媒回収システムを用いた場合、回収機器(回収ボンベ)内に含まれる混合ガスをガス分離モジュールによって非凝縮性ガスとガス冷媒とに分離することが難しいケースがあった。たとえば、冷媒としてR32が用いられるような場合、ガス分離モジュールによって非凝縮性ガスとR32とに完全に分離することができない場合があるからである。
【0009】
それゆえに、本開示の目的は、回収機器内の非凝縮性ガスを低減させつつ回収機器内に含まれるガスを非凝縮性ガスとガス冷媒とに好適に分離することができる冷媒回収システムおよび冷媒回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の冷媒回収システムは、冷凍空調機器の冷媒回路から空調用冷媒を回収するシステムである。冷媒回収システムは、第1の回収機器と、吸着装置と、脱着装置と、を備える。第1の回収機器は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する。吸着装置は、吸着モジュールを含む。吸着モジュールは、圧縮凝縮冷媒を回収した第1の回収機器の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガスのうち、空調用冷媒のガス成分を吸着する吸着剤を有する。脱着装置は、吸着剤に吸着された空調用冷媒のガス成分を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分を蓄積する。
【0011】
本開示の冷媒回収方法は、冷凍空調機器の冷媒回路から空調用冷媒を回収する方法である。冷媒回収方法は、第1の回収機器が、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収するステップと、吸着装置の吸着モジュールの吸着剤が、圧縮凝縮冷媒を回収した第1の回収機器の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガスのうち、空調用冷媒のガス成分を吸着するステップと、脱着装置が、吸着剤に吸着された空調用冷媒のガス成分を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分を蓄積するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、回収機器内の非凝縮性ガスを低減させつつ回収機器内に含まれるガスを非凝縮性ガスとガス冷媒とに好適に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る冷媒回収システム10Bの概略図である。
【
図6】分離膜92Aの内外差圧の設定圧力PAを説明するための図である。
【
図7】無機系分離膜によって構成された分離膜92Aの分子ふるいの原理を模式的に示す図である。
【
図8】第1の吸着ユニット321、第2の吸着ユニット322、および第3の吸着ユニット323の詳細を表わす図である。
【
図9】吸着剤350に冷媒が吸着される一例を表わす図である。
【
図10】吸着剤350に冷媒が吸着される別の例を表わす図である。
【
図11】真空度とR-32のゼオライトへの吸着率の関係を示すグラフである。
【
図12】真空度とR-32のゼオライトへの脱着率の関係を示すグラフである。
【
図13】吸着工程および脱着工程によるR-32の出口濃度の推移を示すグラフである。
【
図14】実施の形態1における冷媒回収システム10Bを用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態1における冷媒回収システム10Bを用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【
図16】第1三方弁制御を示すフローチャートである。
【
図17】第2三方弁制御を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態2に係る冷媒回収システム10の概略図である。
【
図19】実施の形態2における冷媒回収システム10を用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【
図20】吸着工程の処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】脱着工程の処理手順を示すフローチャートである。
【
図22】実施の形態3に係る冷媒回収システム10Aの概略図である。
【
図23】実施の形態3における冷媒回収システム10Aを用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、システム、装置等の仕様に合わせて適宜変更が可能である。また、以下において複数の実施形態または変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷媒回収システム10Bの概略図である。図中、実線は流体が流れる配管を示し、一点鎖線は各制御器に入出力する制御線を示す。
【0016】
冷媒回収システム10Bは、冷凍空調機器から空調用冷媒を回収して、回収ボンベ16に充填するためのシステムである。また、後述するように、冷媒回収システム10Bでは、回収ボンベ16の内部に蓄積した混合ガスに含まれる空調用冷媒のガス成分を分離装置(「吸着装置」とも称する)18の吸着剤350に吸着させ、さらに、吸着剤350に吸着した空調用冷媒のガス成分を脱着装置19により脱着させて再度回収ボンベ16に回収させる機能を有する。
【0017】
以下では、冷凍空調機器としての空調装置12から空調用冷媒を回収する例について説明するが、冷媒回収システム10Bは、冷媒を使用する機器全般の冷媒回収に適用可能である。空調用冷媒とは、冷凍空調機器の運転時に、熱エネルギーを運搬すると共に液相と気相の間で相変化することで、冷凍空調機器における空気等の冷却機能と加熱機能の少なくとも一方を実現させる。
【0018】
冷媒回収システム10Bは、冷媒回収装置14と、第1の回収機器としての回収ボンベ16と、ガス分離装置68と、第1~第3の再送配管としての再送配管58A~58Cと、三方弁40,402と、を備える。
【0019】
冷媒回収装置14は、空調装置12の冷媒回路30から空調用冷媒を吸引して断熱圧縮し、圧縮された冷媒を凝縮して液体化して圧縮凝縮冷媒を生成する。回収ボンベ16は、冷媒回収装置14が生成した圧縮凝縮冷媒を回収する。
【0020】
ガス分離装置68は、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部に含まれる空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガス22を複数の成分に分離する。ガス分離装置68は、ガス分離モジュール68Aと、吸着モジュール68Bとを備える。ガス分離装置68は、分離装置18または吸着装置18とも称する。また、冷媒回収装置14と回収ボンベ16とを含んで、脱着装置19が構成される。
【0021】
ガス分離モジュール68Aおよび吸着モジュール68Bの2つを用いるのは、1つのモジュールだけによって、空調用冷媒と非凝縮性ガスとが完全に分離されない場合があるからである。
【0022】
再送配管58A,58Cは、ガス分離モジュール68Aによって分離されたガス成分を冷媒回路30と冷媒回収装置14との間に再送させる。気化促進モードにおいて、ガス分離モジュール68Aによって分離されたガス成分が冷媒回路30に送られる。これによって、冷媒回路30内の冷媒の温度が上昇するので、冷媒の気化が促進され、冷媒回収を再開した際に、冷媒回収速度を向上させることができる。循環モードにおいて、ガス分離モジュール68Aによって分離されたガス成分が冷媒回収装置14に送られる。これによって、ガス分離モジュール68Aによって分離された空調用冷媒のガス成分の回収処理が再度実行される。
【0023】
三方弁40は、冷媒回路30と冷媒回収装置14の間に配置される。空調装置12は、冷媒回路30に繋がるサービスポート34を含む。
【0024】
冷媒回路30は、液冷媒が貯蔵されたアキュムレータ32を含む。冷媒回収装置14は、アキュムレータ32内の液冷媒を気化したガス冷媒をサービスポート34を介して吸引する。
【0025】
冷媒回収装置14は、圧縮機と凝縮器とを含み、広く市販されているフロン回収機によって実現することができる。冷媒回収装置14は、冷媒回路30からの空調用冷媒を取り込む入口36(取り込み口)と、圧縮凝縮冷媒を排出する出口38と、入口36における空調用冷媒の圧力を検出する圧力検出器37とを含む。
【0026】
回収ボンベ16は、冷媒回収装置14からの圧縮凝縮冷媒を回収ボンベ16内に入れる液出入口46と、回収ボンベ16内の混合ガス22を出すガス出入口48とを含む。回収ボンベ16のヘッドスペース部に、非凝縮性ガスとそのガス体積分に再気化したガス冷媒の混合ガス22が滞留する。
【0027】
三方弁40は、第1ポート41、第2ポート42および第3ポート43を含む。空調装置12のサービスポート34と、三方弁40の第1ポート41とが接続配管50により接続される。三方弁40の第2ポート42と、冷媒回収装置14の入口36とが前配管52により接続される。三方弁40の第3ポート43と、再送配管58Cとが接続される。
【0028】
冷媒回収装置14の出口38と、回収ボンベ16の液出入口46とが後配管54により接続される。一般的な冷媒回収を行う際には、三方弁40の第1ポート41と第2ポート42を連通状態にする(通常モード)。
【0029】
バルブの不良時、配管等の腐食時、冷媒の分解時、および冷媒の修理時における空気侵入等により、空調装置12の空調用冷媒(以下、単に冷媒とも言う)には、窒素または空気(窒素、酸素等)を主成分とする非凝縮性ガスが混入することがある。冷媒回収において、冷媒と一緒に非凝縮性ガスが冷媒回収装置14に吸引された際には、非凝縮性ガスは、冷媒回収装置14で凝縮されず、ガスのままで回収ボンベ16に充填される。その結果、回収ボンベ16の内圧が上昇し、液冷媒が充填され難くなって、回収ボンベ16への冷媒回収速度が低下する。
【0030】
それに対処するため、冷媒回収システム10Bは、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスを除去するとともに空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着部315に吸着させる分離装置(吸着装置)18と、吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25を脱着させて回収する脱着装置19とを備える。回収ボンベ16内では、非凝縮性ガスとそのガス体積分に対して液冷媒の一部が再気化した空調用冷媒のガス成分とが混合した混合ガス22とが生じる。
【0031】
分離装置18は、ガス流入口60と、発送配管56とをさらに含む。ガス流入口60は、回収ボンベ16のガス出入口48と接続される。ガス流入口60は、回収ボンベ16のヘッドスペース部に滞留する混合ガス22を取り出す。発送配管56には、ガス流入口60から取り込まれた混合ガス22が流れる。
【0032】
ガス分離装置68(分離装置18)は、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部の混合ガス22から空調用冷媒をガス成分として分離させる。ガス分離装置68には、発送配管56により混合ガス22が送り込まれる。ガス分離装置68は、混合ガス22を複数の成分に分離する。
【0033】
再送配管58A,58Cは、ガス分離装置68に接続される。再送配管58A,58Cは、ガス分離モジュール68Aが分離した空調用冷媒の第1のガス成分23を冷媒回収装置14と冷媒回路30との間に再送させる。
【0034】
ガス分離装置68は、前段に配置されるガス分離モジュール68Aと、後段に配置される吸着モジュール68Bとを含む。
【0035】
ガス分離モジュール68Aは、入口90Aと、分離膜92Aと、放出口94Aと、出口96Aと、を含む。入口90Aは、混合ガス22を取り入れる。
【0036】
分離膜92Aは、混合ガス22を空調用冷媒の第1のガス成分23と、空調用冷媒の第2のガス成分25および非凝縮性ガス26とからなる混合ガス24(第2の混合ガス)とに分離する。大量の非凝縮性ガスを含む混合ガスが分離膜92Aに流れてくると、非凝縮性ガス26は、放出口94Aの方だけでなく、出口96Aの方にも流れる。分離を繰り返しているうちに、非凝縮性ガス26は、放出口94Aの方に流れる量が多くなり、出口96Aに流れる量が少なくなる。
【0037】
放出口94Aは、分離膜92Aを透過した混合ガス24を配管59に放出する。出口96Aは、分離膜92Aを透過しなかった空調用冷媒の第1のガス成分23を排出する。
【0038】
発送配管56の第1端がガス流入口60である。発送配管56の第2端は、ガス分離モジュール68Aの入口90Aに接続される。
【0039】
再送配管58Aの第1端は、ガス分離モジュール68Aの出口96Aに接続される。再送配管58Aの第2端は、再送配管58Cの第1端と接続される。再送配管58Cの第2端は、ガス流出口74として、三方弁40の第3ポート43に接続される。なお、後で説明するように、再送配管58Aの第2端と再送配管58Bの第2端とは、再送配管58Cの第2端と接続されているが、通常時は、再送配管58Bからガスが流入することなく、再送配管58Aから再送配管58Cへとガスが流れるように構成されている。
【0040】
吸着モジュール68Bは、入口90Bと、放出口94Bと、配管57A,57Bと、三方弁402と、吸着部315とを備える。入口90Bは、混合ガス24を取り入れる。
【0041】
吸着部315は、混合ガス24のうち、空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着剤に吸着させる。放出口94Bは、吸着部315によって吸着されなかった非凝縮性ガス26を放出する。
【0042】
三方弁402は、第1ポート411、第2ポート412および第3ポート413を含む。放出口94Bと、三方弁402の第1ポート411とが配管57Aにより接続される。三方弁402の第2ポート412が配管57Bと接続される。三方弁402の第3ポート413が配管58Bと接続される。
【0043】
制御部330は、吸着工程を行う場合には、三方弁402の第1ポート411と第2ポート412を連通状態に制御する。ここで、吸着工程とは、ガス分離装置68よって混合ガス22を第1のガス成分23と混合ガス24とに分離させつつ、吸着モジュール68B内の吸着剤350に空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着させる工程を指す。この場合、放出口94Bから放出される非凝縮性ガス26は、配管57A,57Bを経由して大気に放出される。三方弁402の第3ポート413は閉鎖状態となっているため、再送配管58Bには気体が流れない。
【0044】
一方、制御部330は、脱着工程を行う場合に、三方弁402の第1ポート411と第3ポート413を連通状態に制御する。ここで、脱着工程とは、吸着モジュール68B内の吸着剤350に吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25を脱着させて回収する工程を指す。この場合、配管57Aを流れる気体(脱着した第2のガス成分25)は、再送配管58B,58Cを経由して冷媒回収装置14側へと流れることになる。
【0045】
以下では、吸着工程および脱着工程と異なる工程であって、空調装置12の冷媒回路30から空調用冷媒を回収して回収ボンベ16に回収する工程は「回収工程」と称する。
【0046】
配管59の第1端はガス分離モジュール68Aの放出口94Aに接続される。配管59の第2端は、吸着モジュール68Bの入口90Bに接続される。分離装置18は、さらに、第1圧力調整器98Aと、第1逆止弁99Aとを備える。
【0047】
第1圧力調整器98Aは、ガス分離モジュール68Aの分離膜92Aの内外差圧を調整する。第1圧力調整器98Aは、ガス分離モジュール68Aの後段に配置され、第1圧力調整器98Aの1次側の圧力を調整する第1背圧弁を含む。
【0048】
第1逆止弁99Aは、第1圧力調整器98Aと、ガス流出口74との間に配置される。第1逆止弁99Aは、分離膜92Aから流出したガスが、分離膜92Aに流入するのを防止する。
【0049】
以降説明するように、発送配管56と再送配管58Aには検出器または弁等が配置されるが、それらのいくつかを省略して冷媒回収システムを構成することもできる。このような構成も含めた、冷媒回収システムの基本となる冷媒回収方法は次の(1)~(5)のステップを備える。
【0050】
(1)回収工程において、三方弁40の第1ポート41と第2ポート42とを連通状態とし(以下、通常モードと言う)、冷媒回路30の空調用冷媒を、接続配管50と前配管52とを通じて冷媒回収装置14に導き、冷媒回収装置14を用いて空調用冷媒を圧縮凝縮して、圧縮凝縮冷媒を生成する生成ステップ。
【0051】
(2)回収工程において、冷媒回収装置14が生成した圧縮凝縮冷媒を後配管54を通じて回収ボンベ16に回収する回収ステップ。
【0052】
(3)吸着工程において、三方弁402の第1ポート411と第2ポート412を連通状態とし、回収ボンベ16の内部に含まれる混合ガス22を発送配管56を通じてガス分離装置68に導き、ガス分離装置68(分離装置18)を用いて、混合ガス22を、複数の成分に分離する分離ステップ。
【0053】
(4)吸着工程において、三方弁40の第2ポート42と、第3ポート43とを連通状態とし(以下、循環モードと言う)、分離膜92Aを透過しなかった空調用冷媒の第1のガス成分23を、再送配管58Aと前配管52を通じて、冷媒回収装置14と冷媒回路30との間に再送させる再送ステップ。
【0054】
上記(3)の分離ステップは、以下の2つのステップを含む。(3A)ガス分離モジュール68Aの分離膜92Aによって、混合ガス22を空調用冷媒の第1のガス成分23と、空調用冷媒の第2のガス成分25および非凝縮性ガス26とからなる混合ガス24(第2の混合ガス)とに分離する第1分離ステップ。
【0055】
(3B)吸着モジュール68Bによって、ガス分離モジュール68Aの分離膜92Aによって分離された混合ガス24(第2の混合ガス)のうち、空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着部315(吸着剤350)に吸着させ、混合ガス24(第2の混合ガス)のうち吸着部315に吸着されなかった非凝縮性ガス26を放出口94Bから大気に放出させる第2分離ステップ(「吸着ステップ」とも称する)。
【0056】
(5)脱着工程において、三方弁402の第1ポート411と第2ポート412を連通状態とし、冷媒回収装置14を動作させて吸着部315(吸着剤350)に吸着された第2のガス成分25を脱着させ、脱着した第2のガス成分25を回収ボンベ16に蓄積させる脱着ステップ。
【0057】
図1の冷媒回収システム10Bの説明を続ける。分離装置18は、さらに、発送配管56に配置された圧力検出器61、温度検出器62、制御弁(「入口弁」とも称する)64および減圧弁66を備える。
【0058】
発送配管56上の圧力検出器61および温度検出器62は、制御弁64よりも回収ボンベ16側に位置し、回収ボンベ16内の圧力および温度を検出する。
【0059】
分離装置18は、さらに、再送配管58Cに配置された圧力検出器70および圧力調整器72を備える。
【0060】
再送配管58C上の圧力検出器70は、圧力調整器72よりも上流側(ガス分離装置68側)の再送配管58C内の圧力を検出する。圧力調整器72は、圧力調整器72よりも下流側(ガス流出口74側)の再送配管58C内の圧力を調整する。
【0061】
分離装置18は、さらに、発送制御器76と、再送制御器78と、三方弁制御器80と、圧力制御器97Aとを備える。
【0062】
発送制御器76、再送制御器78、三方弁制御器80、圧力制御器97A、および制御部330は、コントローラであり、たとえばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、および入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータである。これらの制御器は、共通の1つのマイクロコンピュータにより実現されてもよい。また、これらの制御器は、マイクロコンピュータに代えて、または、それと共にASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含んでもよい。
【0063】
発送制御器76は、回収工程において、圧力検出器61の検出値DPおよび温度検出器62の検出値DTに基づいて、回収ボンベ16内から非凝縮性ガスを除去する必要があるか否かを判断する。発送制御器76は、除去の必要ありと判断した際には制御弁64を開状態とし、除去の必要なしと判断した際には制御弁64を閉状態とする。制御弁64が開状態に変化した場合は、回収工程から吸着工程に移行する。
【0064】
三方弁制御器80は、制御弁64が閉状態の場合(回収工程)には、三方弁40を制御して、第1ポート41と第2ポート42とを連通状態(通常モード)に設定する。
【0065】
三方弁制御器80は、制御弁64が開状態の場合(吸着工程)には、三方弁40を制御して、第2ポート42と第3ポート43とを連通状態(循環モード)か、あるいは、第1ポート41と第3ポート43とを導連状態とする(以下、気化促進モードと言う)。このように、
図1の実施形態では、基本となる冷媒回収方法に対して、気化促進モードが付加されている。
【0066】
回収工程において制御される通常モードは、空調装置12から回収ボンベ16に冷媒回収を行うモードである。吸着工程において制御される循環モードは、分離装置18、冷媒回収装置14、および回収ボンベ16によって循環ループを形成して、繰り返し、回収ボンベ16内の混合ガス22をガス分離装置68に送り込んで、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスを除去するモードである。循環モードは、脱着工程においても制御される。この場合、ガス分離装置68内の吸着剤350に吸着した第2のガス成分25を脱着させて回収ボンベ16に回収する。
【0067】
吸着工程において制御される気化促進モードは、空調装置12の冷媒回路30内の冷媒が低温凝縮する可能性がある場合に、回収ボンベ16内の混合ガス22の一部を、分離装置18から冷媒回路30内に送り込み、冷媒回路30内の冷媒の温度を上昇させ、冷媒の気化を促進させるモードである。冷媒回収装置14を通過したガス冷媒は、断熱圧縮されるため、冷媒回路30内、すなわち冷媒回収装置14に流入する時よりも温度が高くなる。そのため、冷媒回収装置14から回収ボンベ16に入る冷媒は、温度が高くなっている。
【0068】
圧力制御器97Aは、第1圧力調整器98Aを制御して、分離膜92Aの内外差圧を調整する。また、圧力制御器97Aは、第2圧力調整器98Bを制御して、吸着部315の吸着時圧力を調整する。
【0069】
図2は、発送制御器76のブロック図である。発送制御器76は、参照圧力取得器104と、減圧弁制御器106と、判定器108とを備える。分離装置18は、キーパッドまたはバーコードリーダ等の入力部100と、フラッシュメモリ等の記憶部102とを備える。発送制御器76は、入力部100および記憶部102と電気的に接続されている。発送制御器76内にあるメモリを、記憶部102として使用してもよい。
【0070】
冷媒回収の前に、入力部100から回収する冷媒(以下、回収冷媒とも言う)の種類を示す回収冷媒情報110が入力され、記憶部102に格納される。たとえば、空調装置12の筐体の表面に付された、空調装置12で使用している冷媒の種類を示すバーコードを、入力部100としてのバーコードリーダで読み取ることで、回収冷媒情報110が記憶部102に格納される。記憶部102には、さらに、複数種類の冷媒毎に、温度に対する飽和蒸気圧の特性(以下、圧力特性112と言う)が予め格納されている。
【0071】
図3は、各冷媒の圧力特性の例を表わす図である。
図3には、A、B、C、およびDの各冷媒の圧力特性が示されている。
【0072】
参照圧力取得器104には、発送配管56上の温度検出器62の検出温度DT(回収ボンベ16内の温度)が入力される。参照圧力取得器104は、回収冷媒情報110が示す回収冷媒に対応する圧力特性112を記憶部102から読み出して、
図3のように、検出温度DT(回収ボンベ16内の温度)における回収冷媒(
図3の例では冷媒A)の飽和蒸気圧を、参照圧力RPとして取得する。そして、参照圧力取得器104は、参照圧力RPを判定器108に出力する。
【0073】
判定器108には、参照圧力RPと、発送配管56上の圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ16内の圧力)とが入力される。ここで、
図3に示すように参照圧力RP(回収冷媒の飽和蒸気圧)よりも検出圧力DPが高い場合には、回収ボンベ16内に非凝縮性ガスが混入していることが示される。そこで、判定器108は、検出圧力DPが参照圧力RPよりも高い状態(以下、高圧状態とも言う)の場合には、制御弁64を開状態に制御し、回収ボンベ16内の混合ガス22をガス分離装置68に送る。一方、判定器108は、高圧状態ではない場合には、制御弁64を閉状態のままとする。判定器108は、非凝縮性ガスの除去を行っている状態か否かを示す除去信号を出力する。除去信号は、制御弁64が閉状態の場合にLowとなり、制御弁64が開状態の場合にHighとなる信号である。
【0074】
減圧弁制御器106には、発送配管56上の圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ16内の圧力)が入力される。減圧弁制御器106は、制御弁64が開状態となり、回収ボンベ16内の混合ガス22がガス分離装置68に送り込まれた際に、ガス分離装置68の分離膜92Aが回収ボンベ16内の圧力により損傷しないように、検出圧力DPに基づいて減圧弁66を制御する。減圧弁66の制御により、減圧弁66よりも下流側(ガス分離装置68側)の配管内圧力が調整される。
【0075】
図4は、三方弁制御器80のブロック図である。三方弁制御器80は、判定器118を備える。三方弁制御器80は、キーパッド等の入力部100、およびフラッシュメモリ等の記憶部102と電気的に接続されている。三方弁制御器80内にあるメモリを、記憶部102として使用してもよい。
【0076】
冷媒回収の前に、入力部100から、気化促進モードへの遷移条件としての圧力閾値120と、気化促進モードの継続時間122とが入力され、記憶部102に格納される。判定器118には、除去信号と、冷媒回収装置14の圧力検出器37の検出圧力DPS(冷媒回収装置14の入口36における圧力)と、記憶部102にある圧力閾値120および継続時間122とが入力される。ここで、検出圧力DPSは、通常モードにおいて空調装置12の冷媒回路30の圧力を示す。
【0077】
判定器118は、除去信号がLowの場合には、三方弁40の第1ポート41と第2ポート42とが連通状態(通常モード)となるように三方弁40を制御する。
【0078】
判定器118は、除去信号がLowからHighに変わった際には、検出圧力DPS(冷媒回路30の圧力)と圧力閾値120との比較結果に基づいて、循環モードと気化促進モードとのうち、どちらに三方弁40を制御するかを決める。具体的には、判定器118は、検出圧力DPSが圧力閾値120より高い場合には、冷媒回路30内の冷媒が低温凝縮する可能性が低いと推定し、三方弁40の第2ポート42と第3ポート43とが連通状態(循環モード)となるように三方弁40を制御する。一方、判定器118は、検出圧力DPSが圧力閾値120以下の場合には、冷媒回路30内の冷媒が低温凝縮する可能性があると推定し、三方弁40の第1ポート41と第3ポート43とが連通状態(気化促進モード)となるように三方弁40を制御する。
【0079】
判定器118は、気化促進モードに遷移させてから、継続時間122だけ時間が経過した際には、気化促進モードから循環モードに三方弁40を制御する。
【0080】
判定器118は、現在、通常モード、循環モード、または気化促進モードのいずれの状態であるかを示す三方弁信号を出力する。
【0081】
図1に示すように、再送制御器78には、三方弁信号と、再送配管58C上の圧力検出器70の検出圧力DPR(再送配管58内の圧力)と、冷媒回収装置14の圧力検出器37の検出圧力DPS(冷媒回収装置14の入口36における圧力)とが入力される。再送制御器78は、三方弁信号が循環モードを示す場合には、検出圧力DPR、DPSに基づいて、冷媒回収装置14の入口36における圧力よりも、圧力調整器72の下流側(ガス流出口74側)の再送配管58C内の圧力が高くなるように圧力調整器72を制御する。これにより、前配管52から再送配管58Cに向かって冷媒が逆流することを防止することができる。再送制御器78は、三方弁信号が気化促進モードを示す場合には、圧力調整器72の下流側(ガス流出口74側)の再送配管58C内の圧力が、空調装置12の冷媒回路30内にガスを送り込むことができる予め定められた圧力となるように圧力調整器72を制御する。
【0082】
図5は、圧力制御器97Aのブロック図である。圧力制御器97Aは、圧力取得器211Aと、第1圧力制御器212と、第2圧力制御器213と、を備える。圧力制御器97Aは、フラッシュメモリ等の記憶部102と電気的に接続されている。圧力制御器97A内にあるメモリを、記憶部102として使用してもよい。
【0083】
記憶部102Aは、第1圧力情報214および第2圧力情報215を記憶する。第1圧力情報214は、第1圧力調整器98Aによって設定される分離膜92Aの内外差圧PAを表わす。第2圧力情報215は、第2圧力調整器98Bによって設定される吸着部315の吸着時圧力PBを表わす。
【0084】
第2圧力調整器98Bは、吸着モジュール68Bの吸着部315の吸着時圧力を調整する。第2圧力調整器98Bは、吸着モジュール68Bの後段に配置され、第2圧力調整器98Bの1次側の圧力を調整する第2背圧弁を含む。
【0085】
圧力取得器211Aは、冷媒回収の前に、記憶部102Aから第1圧力情報214を取得して、第1圧力制御器212に送る。第1圧力制御器212は、第1圧力調整器98Aを制御して、分離膜92Aの内外差圧P1oをPAに設定する。
【0086】
圧力取得器211Aは、冷媒回収の前に、記憶部102Aから第2圧力情報215を取得して、第2圧力制御器213に送る。第2圧力制御器213は、第2圧力調整器98Bを制御して、吸着部315の吸着時圧力をPBに設定する。
【0087】
吸着部315の吸着時圧力PBが大きいと、冷媒は吸着剤350に吸着しやすくなり、吸着剤350の単位重量当たりの冷媒の吸着量が多くなる。よって、使用する吸着剤350の量を少なくすることができる。
【0088】
したがって、制御部330は、吸着部315の吸着時圧力PBが基準値以上のときに、切替弁320の流出先を少量の吸着剤350が装填された第1の吸着ユニット321に切替え、吸着部315の吸着時圧力PBが基準値未満のときに、切替弁320の流出先を多量の吸着剤350が装填された第2の吸着ユニット322に切替えることとしてもよい。
【0089】
次に、分離膜92Aの内外差圧の設定圧力PAについて説明する。
図6は、分離膜92Aの内外差圧の設定圧力PAを説明するための図である。
【0090】
透過できる流量以上の非凝縮性ガス26を含む混合ガスが分離膜92Aに流れてくると、非凝縮性ガス26は、放出口94Aの方だけでなく、出口96Aの方にも流れる可能性がある。これを防止するために、分離膜92Aへの混合ガス22の流入量を調節する必要がある。
【0091】
もし、大量の非凝縮性ガス26が分離膜92Aに流れた場合でも、非凝縮性ガス26は出口96A、および冷媒回収装置14を通り、回収ボンベ16に返送される。そして、非凝縮性ガス26は、再度分離装置18に流入し、分離工程を経る。非凝縮性ガス26は、繰り返し、分離装置18に流入することによって、非凝縮性ガス26の量を低減できる。
【0092】
分離膜92Aの内外差圧の設定圧力PAは、第1の閾値TH1未満の値に設定される。これによって、空調用冷媒の第2のガス成分25および非凝縮性ガス26は、分離膜92Aを透過しやすく、空調用冷媒の第1のガス成分23は、分離膜92Aを透過しにくくすることができる。
【0093】
設定圧力PAについて、上記の条件を満たし、かつより適切な値に設定する方法について説明する。
【0094】
図1に示すように、分離膜92Aの内外差圧をP1o、分離膜92Aの内部の圧力(つまり、分離膜92Aの入力側の圧力)をP1i、分離膜92Aの透過側の圧力をP1tとする。吸着モジュール68Bの入力側の圧力をP2iとすると、以下の式が成り立つ。
【0095】
P1t=P2i・・・(1)
P1t=P1i-P1o・・・(2)
分離膜92Aにガスが逆流しないようにするには、以下の条件が必要となる。
【0096】
P1i>P1t=P2i・・・(3)
発送制御器76による減圧弁66の制御によって、式(3)を満たすように、圧力P1iを制御することができる。
【0097】
圧力制御器97Aは、式(4)を満たすように、第1圧力調整器の98Aを制御することによるガス分離モジュール68Aの分離膜92Aの内外差圧P1oを制御する。
【0098】
P1o=PA<TH1・・・(4)
次に、ガス分離モジュール68Aについて説明する。ガス分離モジュール68Aには、混合ガス22が流入する。
【0099】
図1に示すように、ガス分離モジュール68Aは、筒状の筐体88Aと、筐体88Aの中に配置された筒状の分離膜92Aと含む。筐体88Aは、混合ガス22を取り入れる入口90Aと、入口90Aと対向して配置され、空調用冷媒の第1のガス成分23(再送ガス冷媒)を排出する出口96Aと、非凝縮性ガス26および空調用冷媒の第2のガス成分25(本実施の形態においては、「R-32」)からなる混合ガス24を放出する放出口94Aとを含む。
【0100】
空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)は、分離膜92Aを1/2程度透過する。非凝縮性ガス26は、分離膜92Aを透過しやすい。ここで、第1のガス成分23は、分離膜92Aを透過しにくいR-32以外の空調用冷媒であってもよいが、分離膜92Aを透過しなかったR-32であってもよく、分離膜92Aを透過しなかったR-32および分離膜92Aを透過しにくいR-32以外の空調用冷媒の混合ガスであってもよい。
【0101】
分離膜92Aの第1端は、筐体88Aの入口90Aに接続される。分離膜92Aの第2端は、筐体88Aの出口96Aに接続される。混合ガス22は、入口90Aから分離膜92Aの内部に入り、出口96Aに向かって進み、その間に、非凝縮性ガス26と、空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)の1/2程度とが、分離膜92Aを透過して、分離膜92Aの外に出ていき、やがて、筐体88Aの放出口94Aから配管59に放たれる。また、混合ガス22のうち、分離膜92Aを透過しなかった空調用冷媒の第1のガス成分23(残りのR-32およびその他の空調用冷媒)は、筐体88Aの出口96Aから再送配管58A内に排出される。
【0102】
分離膜92Aとしては、たとえば、無機系材料により構成された膜(以下、無機系分離膜と言う)または有機系材料により構成された膜(以下、有機系分離膜と言う)を使用することができる。無機系分離膜の材料としては、たとえばセラミック、ゼオライト等を使用することができる。分離膜92Aは、非凝縮性ガス(N2、O2)などの分離径の小さなガスを分離できる膜である。分離膜92Aの分子径は、3.8Å程度である。分離膜92Aは、極性を有する。
【0103】
図7は、無機系分離膜によって構成された分離膜92Aの分子ふるいの原理を模式的に示す図である。
図7に示すように、無機系分子膜は、微細な孔(細孔)を有し、基本的に分子ふるいの原理を利用してガス分離を行う。無機系分子膜の細孔径に対して、分子径が小さな空気(非凝縮性ガス26)、水28、また、冷媒の中での分子径の小さなR-32(第2のガス成分25)は、細孔を通って、分離膜の外に出ていく。R-32の分子径は、無機系分離膜の細孔径に近い値であるため、透過量としては、空気(非凝縮性ガス26)に比べて小さくなる。
【0104】
次に、吸着モジュール68Bについて説明する。吸着モジュール68Bには、分離膜92Aを透過した混合ガス24(第2の混合ガス)が流入する。
【0105】
吸着部315は、切替弁320と、第1の吸着ユニット321と、第1の吸着ユニット321と並列して配置される第2の吸着ユニット322と、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322の後段に配置される第3の吸着ユニット323と、冷媒検知センサ324とを備える。
【0106】
切替弁320は、混合ガス24を第1の吸着ユニット321に送るか、または第2の吸着ユニット322に送るかを切り替える。切替弁320は、制御部330によって制御される。
【0107】
第1の吸着ユニット321と、第2の吸着ユニット322と、第3の吸着ユニット323には、多数の吸着剤が装填される。吸着剤の表面積が大きいほど、吸着剤の吸着性能は高い。小さな吸着剤は配管に流れてしまう可能性がある。よって、吸着剤の粒子の大きさは、0.1~10mm程度が望ましい。吸着剤として、たとえば、ゼオライト、活性炭、シリカアルミナ、活性アルミナ、合成ゼオライトを用いることができる。
【0108】
本実施の形態では、吸着剤として、孔子径3~10Å程度のゼオライトを用いる。たとえば、孔子径9Åであり高さ1.5mmの円筒状のA型ゼオライトを、吸着剤として各吸着ユニット321,322,323に装填する。このようなゼオライトはR-32を吸着するのみならず、ゼオライトに吸着したR-32を脱着させることができる。
【0109】
図8は、第1の吸着ユニット321、第2の吸着ユニット322、および第3の吸着ユニット323の詳細を表わす図である。
【0110】
各吸着ユニット321,322,323には、吸着剤350が装填される。空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)は、吸着剤350に吸着可能である。さらに、吸着剤350に吸着した第2のガス成分25(R-32)は、吸着剤350から脱着可能である。
【0111】
図9は、吸着剤350に冷媒が吸着される一例を表わす図である。仮に、吸着剤350の孔子(穴)の直径と、空調用冷媒の第2のガス成分25の直径とがほぼ等しい場合、空調用冷媒の第2のガス成分25は、吸着剤350の孔子(穴)に吸着しやすい。この場合には、一度、吸着した第2のガス成分25は、穴から抜けにくくなってしまうため、脱着しにくい。
【0112】
一方で、本実施の形態における第2のガス成分25(R-32)の直径は、吸着剤350の孔子の直径よりも少し小さいため、吸着剤350の孔子に吸着しやすく、また、吸着剤350の孔子に吸着した第2のガス成分25(R-32)は、各吸着ユニット321,322,323内の圧力を下げた場合において脱着を開始する。
【0113】
非凝縮性ガス26の直径は、第2のガス成分25の直径よりもさらに小さい。このため、非凝縮性ガス26は吸着剤350に吸着しない。ガス成分29は、吸着剤350の孔子(穴)の直径よりもガス成分29の直径の方が大きいため、吸着剤350に吸着しない。
【0114】
図10は、吸着剤350に冷媒が吸着される別の例を表わす図である。吸着剤350の大きな粒子内にさらに小さな穴および亀裂が存在する。そのような穴おおよび亀裂に空調用冷媒の第2のガス成分25が吸着しやすい。
【0115】
吸着剤350としてゼオライトを用いた場合は、R-32を吸脱着可能である。ゼオライトは、R-32以外の空調用冷媒も吸脱着可能である。ただし、非凝縮性ガス26は吸着剤350に吸着しない。たとえば、空調用冷媒がR-32である場合、吸着剤350としてゼオライトを用いた場合、上述の活性炭等に比較すると、R-32が脱着しやすくなる。このため、R-32の吸脱着にはゼオライトが適していると言える。
【0116】
図1に戻る。第2の吸着ユニット322に含まれる吸着剤の量は、第1の吸着ユニット321に含まれる吸着剤の量よりも多く、第2の吸着ユニット322の方が第1の吸着ユニット321よりも多くの冷媒を吸着させることができる。
【0117】
制御部330には、第1の閾値圧力TPと、発送配管56上の圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ16内の圧力)とが入力される。
【0118】
制御部330は、検出圧力DPが第1の閾値圧力TP以下の場合に、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322のうち使用する吸着部315を第1の吸着ユニット321に設定する。なぜなら、冷媒ガスに混入した非凝縮性ガス26の量が少ないと、回収ボンベ16内の混合ガス22の体積は小さく、また検出圧力DPも小さくなり、吸着させる空調用冷媒の第2のガス成分25の量も少ないと想定することができるからである。制御部330は、切替弁320の流出先を第1の吸着ユニット321の方向に切り替える。
【0119】
制御部330は、検出圧力DPが第1の閾値圧力TPを超える場合に、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322うち使用する吸着部315を第2の吸着ユニット322に設定する。なぜなら、冷媒ガスに混入した非凝縮性ガス26の量が多いと、回収ボンベ16内の混合ガス22の体積は大きく、また検出圧力DPも大きくなり、吸着させる空調用冷媒の第2のガス成分25の量も多いと想定することができるからである。制御部330は、切替弁320の流出先を第2の吸着ユニット322の方向に切り替える。
【0120】
第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322のうち使用されている吸着部315には、混合ガス24が流入する。混合ガス24に含まれる空調用冷媒の第2のガス成分25の大部分は、使用されている吸着部315の吸着剤に吸着し、混合ガス24に含まれる非凝縮性ガス26の大部分は、使用されている吸着部315から流出する。
【0121】
第3の吸着ユニット323は、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322の後段に配置される。第3の吸着ユニット323の吸着剤は、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322のうち使用されている吸着部315から流失したガスに空調用冷媒の第2のガス成分25が含まれている場合に、それらを吸着させる。
【0122】
使用されている吸着部315から流失したガスに含まれる非凝縮性ガス26は、第3の吸着ユニット323から流出する。非凝縮性ガス26は、放出口94Bから配管57A,57Bを介して大気に放出される。この場合、三方弁402の第1ポート411と第2ポート412が連通状態に制御されている。
【0123】
冷媒検知センサ324は、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322のうち使用されている吸着部315から流失したガスに冷媒が含まれているか否かを検出する。冷媒検知センサ324は、たとえば、赤外線センサなどによって構成される。
【0124】
制御部330は、冷媒検知センサ324が冷媒を検出したときには、第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322のうち使用している吸着部315が破かした(吸着部315が冷媒を吸着できない状態)と判断し、使用していない吸着部315を使用する吸着部315に切り替える。制御部330は、切替弁320の流出先を新たに使用する吸着部315の方向に切り替える。
【0125】
上述のように、本実施の形態において、吸着剤350に対してR-32(第2のガス成分25)は、吸着および脱着が可能である。吸着剤350に対してR-32の吸着のみをさせる場合、あるいは、R-32の脱着ができない吸着剤350を用いた場合、一定量のR-32を吸着した後、吸着剤350を廃棄する必要がある。
【0126】
本実施の形態における吸着剤350は、吸着したR-32を脱着させることができるため、繰り返し吸着剤350を利用することができる。これにより、吸着剤のコストを低減することができる。
【0127】
また、本実施の形態においては、ガス分離モジュール68Aにより、まず、混合ガス22を空調用冷媒の第1のガス成分23と、空調用冷媒の第2のガス成分25および非凝縮性ガス26とからなる混合ガス24(第2の混合ガス)とに分離している。次に、吸着モジュール68Bにより、第2のガス成分25を吸着剤350に吸着させて、非凝縮性ガス26を大気に放出している。
【0128】
たとえば、混合ガス22がR-32と非凝縮性ガス26とで構成される場合、ガス分離モジュール68Aによって、R-32の約1/2が分離されて空調用冷媒の第1のガス成分23として出口96Aから放出される。その後、残り1/2のR-32と非凝縮性ガス26を含む混合ガス24として吸着モジュール68Bに送られ、吸着モジュール68Bの吸着剤350に残りのR-32が吸着される。
【0129】
ガス分離装置68としては、吸着モジュール68Bのみで構成することも可能である。この場合、ガス分離モジュール68Aを設けない分、装置コストを抑えることができる。一方で、ガス分離装置68として、ガス分離モジュール68Aおよび吸着モジュール68Bで構成した場合、ガス分離モジュール68Aによって約1/2のR-32を分離することができるため、吸着モジュール68Bで必要となる吸着剤350の量も1/2で済む。この場合、吸着モジュール68Bを小型化できるとともに吸着剤350のコストを下げることができるというメリットがある。
【0130】
なお、本実施の形態において、混合ガス22がR-32とその他の空調用冷媒と非凝縮性ガス26とで構成される場合、ガス分離モジュール68Aによって、R-32の約1/2およびその他の空調用冷媒の全てが分離されて空調用冷媒の第1のガス成分23として出口96Aから放出される。そして、吸着モジュール68Bでは、R-32のみが吸脱着される。ガス分離モジュール68Aを利用しない場合、吸着モジュール68Bでは、R-32およびその他の空調用冷媒が吸脱着される。
【0131】
図11は、真空度とR-32のゼオライトへの吸着率の関係を示すグラフである。R-32(第2のガス成分25)は、ゼオライト(吸着剤350)に対して物理吸着する。吸着剤350に物理吸着する場合の吸着エネルギーは、吸着剤350に化学吸着する場合の吸着エネルギーよりも低い。このため、吸着剤350に物理吸着する場合は、吸着剤350に化学吸着する場合よりも脱着しやすい。また、物理吸着する場合は、圧力の増加とともに線形的に吸着量が増加するという特性がある(ヘンリーの法則)。
【0132】
具体例を示す。
図11に示すように、吸着ユニット内の圧力がP2(0MPa)である場合、吸着剤350(ゼオライト)に対する吸着率(=吸着量/飽和吸着量)は70%である。この場合、吸着ユニット内の圧力を下げていけば線形的に吸着率が減少し、吸着ユニット内の圧力がP1である場合に、吸着剤350(ゼオライト)に対する吸着率は20%になる。
【0133】
図11に示した真空度とR-32のゼオライトへの吸着率の関係を、真空度とR-32のゼオライトへの脱着率(=脱着量/飽和吸着量)の関係に書き換えると、
図12のようになる。
図12は、真空度とR-32のゼオライトへの脱着率の関係を示すグラフである。
【0134】
吸着ユニット内の圧力がP2(0MPa)である場合に、脱着率は30%(=100%-70%)である。吸着ユニット内の圧力をP1まで下げた場合、脱着率は80%(=100%-20%)に至る。たとえば、本グラフからは、脱着率を60%以上確保するには、脱着時圧力を-0.06MPa以下にする必要があることが分かる。
【0135】
本実施の形態においては、上述した吸着工程(循環モード、気化促進モード)において、吸着部315(第1の吸着ユニット321、第2の吸着ユニット322または第3の吸着ユニット323)の吸着剤350に、空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)を吸着させる。そして、吸着工程の後に実施される脱着工程において、吸着剤350に吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)を脱着させる。
【0136】
脱着工程では、制御部330は、制御弁64を閉鎖する。また、制御部330は、循環モードと同様に、三方弁40の第2ポート42と、第3ポート43とを連通状態に制御する。さらに、制御部330は、三方弁402の第1ポート411と第3ポート413を連通状態に制御する。
【0137】
この状態で、冷媒回収装置14を動作させる。この場合、制御弁64が閉鎖され、三方弁40の第2ポート42と第3ポート43とが連通状態であり、三方弁402の第1ポート411と第3ポート413を連通状態であるため、結果として、吸着部315内の気体は冷媒回収装置14の吸引ポンプにより吸引されて、各吸着ユニット内の圧力が低下する。
【0138】
その結果、
図12を用いて説明したように、各吸着ユニット内の吸着剤350に吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)は脱着を開始する。そして、脱着した空調用冷媒の第2のガス成分25は、配管57A,58B,58C,52を経由して、冷媒回収装置14の吸引ポンプにより吸引されて、冷媒回収装置14により圧縮凝縮されて液体化された圧縮凝縮冷媒として、回収ボンベ16に回収される。
【0139】
このように、吸着工程の後に脱着工程を行うことで、吸着剤350に吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25が脱着する。このため、吸着工程および脱着工程を繰り返すことで、繰り返し吸着剤350を利用することができる。
【0140】
図13は、吸着工程および脱着工程によるR-32の出口濃度の推移を示すグラフである。縦軸は、吸着モジュール68Bの放出口94Bにおける空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)の濃度(出口濃度)を示し、横軸は時間を示す。
【0141】
吸着工程を行っている場合、空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)は全て吸着剤350に吸着されるため、R-32の出口濃度=0ppmである。その後、脱着工程に切り替わると、冷媒回収装置14の吸引ポンプによる吸引により各吸着ユニット内が真空状態に近づき、吸着剤350から脱着したR-32は、吸着モジュール68Bの放出口94Bから流れ出す。このとき、R-32の出口濃度が最大(たとえば、27000ppm程度)になる。
【0142】
その後、吸着剤350に吸着したR-32の量が減少するとともに放出口94Bから流れ出すR-32の濃度が低下していき、最終的にはR-32の出口濃度が0ppmとなり、脱着工程が終了する。その後、吸着工程および脱着工程を繰り返した場合、R-32の出口濃度は同じような変化を繰り返す。
【0143】
次に、冷媒回収システム10Bを用いた具体的な冷媒回収方法について説明する。
図14,
図15は、実施の形態1における冷媒回収システム10Bを用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
図14,
図15において、S100~S103、S126およびS127は作業者が行うステップであり、その他のステップは冷媒回収システム10Bにより自動的に行われるステップである。
【0144】
S100において、作業者は、冷媒回収装置14、回収ボンベ16、および分離装置18を準備する。ここで、冷媒回収システム10Bにおいて、冷媒回収装置14および回収ボンベ16は、脱着工程において脱着装置19として機能する。
【0145】
S101において、作業者は、空調装置12の電源を遮断した後、
図1に示すように、空調装置12、冷媒回収装置14、回収ボンベ16、および分離装置18を互いに接続する。
【0146】
S102において、作業者は、分離装置18の電源をオンにする。この後、作業者は、回収冷媒情報110(
図2参照)と、気化促進モードに関する圧力閾値120および継続時間122(
図4参照)とを入力部100から入力する。分離装置18の電源がオンにされると、三方弁制御器80は、三方弁40を第1ポート41と第2ポート42とが連通する通常モードに制御する。
【0147】
S103において、作業者は、冷媒回収装置14を駆動させる。これにより、空調装置12からの冷媒回収が開始される。
【0148】
S104~S125は、冷媒回収システム10Bによる自動制御である。回収工程が開始したS104において、発送制御器76の参照圧力取得器104は、回収冷媒情報110が示す回収冷媒の圧力特性(
図3参照)に基づいて、温度検出器62の検出温度DT(回収ボンベ16内の温度)における回収冷媒の飽和蒸気圧を参照圧力RPとして取得する。発送制御器76の判定器108は、参照圧力RPよりも、圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ内の圧力)が高いか否かを確認する。なお、S104に示すように、判定器108は、参照圧力RPに予め定められた圧力Aを加算した圧力(RP+α、以下、基準圧力と言う)よりも、検出圧力DP(回収ボンベ内の圧力)が高いか否かを確認してもよい。
【0149】
判定器108は、検出圧力DPが基準圧力(RP+α)以下の場合(S104:NO)には、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスの除去は不要と判断して、冷媒回収を継続する(S105)。
【0150】
一方、判定器108は、検出圧力DPが基準圧力(RP+α)よりも高い場合(S104:YES)には、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスの除去が必要と判断して、除去信号をLowからHighに変更して、S106に進む。なお、このように基準圧力を用いて判定を行えば、回収ボンベ16内に非凝縮性ガスがある程度蓄積された後、非凝縮性ガスの除去を開始することができる。
【0151】
吸着工程が開始するS106において、三方弁制御器80は、除去信号がLowからHighになったことを受けて、第1三方弁制御を実行する。
図16は、第1三方弁制御を示すフローチャートである。
【0152】
S200において、三方弁制御器80の判定器118は、冷媒回収装置14の圧力検出器37の検出圧力DPS(冷媒回路30の圧力)が、記憶部102にある圧力閾値120以下か否かを確認する。なお、圧力閾値120は、たとえば0.1MPA程度である。
【0153】
S200がNOの場合には、判定器118は、空調装置12の冷媒回路30の冷媒が低温凝縮する可能性が低いと推定し、三方弁40を第2ポート42と第3ポート43とが連通する循環モードに制御し(S206)、気化促進フラグをオフにして(S208)、第1三方弁制御を終了する。
【0154】
一方、S200がYESの場合には、判定器118は、空調装置12の冷媒回路30の冷媒が低温凝縮する可能性が高いと推定し、三方弁40を第1ポート41と第3ポート43とが連通する気化促進モードに制御し(S202)、気化促進フラグをオンにして(S204)、第1三方弁制御を終了する。
【0155】
再び
図14を参照する。制御部330は、検出圧力DPが第1の閾値圧力TP以下の場合(S107:YES)には、使用する吸着部315を第1の吸着ユニット321に設定し、切替弁320の流出先を第1の吸着ユニット321の方向に切り替える。
【0156】
制御部330は、検出圧力DPが第1の閾値圧力TPを越える場合(S107:NO)には、使用する吸着部315を第2の吸着ユニット322に設定し、切替弁320の流出先を第2の吸着ユニット322の方向に切り替える。
【0157】
S110において、圧力制御器97Aは、第1圧力調整器98Aを制御することによるガス分離モジュール68Aの分離膜92Aの内外差圧P1oの設定圧力PAへの調整を開始する。
【0158】
S111において、発送制御器76の判定器108は、発送配管56上の制御弁64を開く。なお、除去信号をLowからHighにするタイミングと、S106(第1三方弁制御)の実行タイミングと、S111(制御弁64を開く動作)の実行タイミングとは、ほぼ同時である。また、制御弁64を開く前に、減圧弁制御器106により減圧弁66を調整しておく。制御弁64を開くことにより、回収ボンベ16内の混合ガス22がガス分離装置68に送られる。
【0159】
循環モードの場合には、分離装置18、冷媒回収装置14、および回収ボンベ16からなる循環ループが形成されて、回収ボンベ16内の混合ガス22は、繰り返しガス分離装置68に送り込まれる。非凝縮性ガスは大気に開放される。再送ガス冷媒は、冷媒回収装置14の前の前配管52に送り込まれて、冷媒回収装置14を通過し、液化された状態で回収ボンベ16に戻る。これにより、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスは徐々に除去され、回収ボンベ16内の圧力は低下する。
【0160】
気化促進モードの場合には、回収ボンベ16内の混合ガス22の一部である再送ガス冷媒が、空調装置12の冷媒回路30内に送り込まれ、冷媒回路30内の冷媒の温度を上昇させる。これにより、冷媒の気化が促進され、冷媒回収を再開した際に、冷媒回収速度を向上させることができる。
【0161】
再送制御器78は、循環モードおよび気化促進モードにおいて圧力調整器72を制御して、圧力調整器72の下流側(ガス流出口74側)の再送配管58A内の圧力を調整する。
【0162】
S112において、発送制御器76の判定器108は、圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ16内の圧力)が、参照圧力RP以下になったか否かを確認する。S112がNOの場合には、非凝縮性ガスの除去を継続し(S113)、S114に進む。
【0163】
冷媒検知センサ324が冷媒を検出した場合(S114:YES)には、制御部330は、切替弁320の流出先を切り替える。
【0164】
S116において、三方弁制御器80は、第2三方弁制御を実行する。
図17は、第2三方弁制御を示すフローチャートである。
【0165】
S300において、三方弁制御器80の判定器118は、気化促進フラグがオンであるか否かを確認する。S300がNOの場合(循環モードの場合)は、第2三方弁制御を終了する。一方、S300がYESの場合(気化促進モードの場合)にはS302に進む。
【0166】
S302において、判定器118は、気化促進モードに遷移させてから、記憶部102にある継続時間122(
図4参照)だけ時間が経過したかを確認する。S302がNOの場合には、判定器118は、気化促進モードを引き続き継続させる必要があると判断し、第2三方弁制御を終了する。一方、S302がYESの場合には、判定器118は、気化促進モードを終了してよいと判断し、三方弁40を第2ポート42と第3ポート43とが連通する循環モードに制御し(S304)、気化促進フラグをオフ(S306)にして、第2三方弁制御を終了する。
【0167】
再び
図14を参照する。S112において、発送制御器76の判定器108は、圧力検出器61の検出圧力DP(回収ボンベ16内の圧力)が、参照圧力RP以下になった場合(S112:YES)には、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスの除去が完了したと判断して、S117に進む。
【0168】
S117において、発送制御器76の判定器108は、発送配管56上の制御弁64を閉じ、除去信号をHighからLowにする。三方弁制御器80の判定器118は、除去信号がHighからLowになったことを受けて、三方弁40を第1ポート41と第2ポート42とが連通する通常モードに制御する。発送制御器76の減圧弁制御器106は、減圧弁66の制御を終了し、再送制御器78は、圧力調整器72の制御を終了する。
【0169】
S118において、圧力制御器97は、第1圧力調整器98Aを制御することによるガス分離モジュール68Aの分離膜92Aの内外差圧P1oの設定圧力PAへの調整を終了する。
【0170】
図15に示すS119において、冷媒回収装置14は、圧力検出器37の検出圧力DPS(冷媒回路30の圧力)が負圧になったか否かを確認する。S119がNOの場合には、冷媒回収装置14は冷媒回収を継続し(S120)、S119がYESの場合には、冷媒回収装置14は、ランプ、または音等により冷媒回収が終了したことを作業者に伝える。
【0171】
S121より脱着工程が開始する。S121において、制御部330は、吸着工程において吸着部315の吸着剤350に吸着した空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)の吸着量を推定し、推定した吸着量から、脱着工程において制御する吸着ユニット内の圧力および脱着工程に所要する時間(「所定の時間」と称する)を算出する。
【0172】
S122において、制御部330は、制御弁64を閉鎖し、三方弁40,402を脱着モードに遷移させる。具体的には、制御部330は、三方弁40の第2ポート42と第3ポート43とを連通状態に制御し、三方弁402の第1ポート411と第3ポート413を連通状態に制御する。
【0173】
S123において、制御部330は、冷媒回収装置14の吸引ポンプを駆動する。これにより、脱着した空調用冷媒の第2のガス成分25(R-32)が回収ボンベ16に回収される。制御部330は、所定の時間(S121において算出した時間)が経過する(S124:YES)まで、脱着を継続する(S125)。
【0174】
脱着工程が終了すると、S126において、作業者は、冷媒回収装置14を停止する。S127において、作業者は、分離装置18の電源をオフにする。
【0175】
次に、以上説明した冷媒回収システム10Bの作用効果について説明する。冷媒回収システム10Bは、冷凍空調機器としての空調装置12の冷媒回路30から空調用冷媒を回収するシステムである。冷媒回収システム10Bは、第1の回収機器としての回収ボンベ16と、分離装置(吸着装置)18と、脱着装置19と、を備える。回収ボンベ16は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する。分離装置18は、吸着モジュール68Bを含む。吸着モジュール68Bは、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分(空調用冷媒の第1のガス成分23、空調用冷媒の第2のガス成分25)と非凝縮性ガス26とからなる混合ガス22のうち、空調用冷媒のガス成分(空調用冷媒の第2のガス成分25)を吸着する吸着剤350を有する。脱着装置19は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分(空調用冷媒の第2のガス成分25)を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分(空調用冷媒の第2のガス成分25)を蓄積する。
【0176】
このように、吸着装置18を動作させることにより、回収ボンベ16の内部の非凝縮性ガス26を含んだ混合ガス22を取り出して、混合ガス22のうち空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着剤350に吸着させることができ、脱着装置19を動作させることにより、空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着剤350から脱着させてこれを回収することができるため、吸着剤350は繰り返し利用することができる。これにより、回収ボンベ16内の非凝縮性ガス26を低減させつつ回収ボンベ16内に含まれるガスを非凝縮性ガス26と空調用冷媒のガス成分とに好適に分離することができる。
【0177】
吸着モジュール68Bは、混合ガス24のうち吸着剤350に吸着されなかった非凝縮性ガス26を大気に放出する放出口94Bを含む。これにより、空調用冷媒のガス成分を混入させることなく、回収ボンベ16内に蓄積された非凝縮性ガス26のみを大気に放出することができる。
【0178】
分離装置18は、ガス分離モジュール68Aをさらに含む。ガス分離モジュール68Aは、混合ガス22を空調用冷媒の第1のガス成分23と、空調用冷媒の第2のガス成分25および非凝縮性ガス26とからなる混合ガス24(第2の混合ガス)とに分離する分離膜92Aを含む。吸着モジュール68Bの吸着剤350は、ガス分離モジュール68Aによって分離された混合ガス24(第2の混合ガス)のうち、空調用冷媒の第2のガス成分25を吸着する。脱着装置19は、冷媒回収装置14と、回収ボンベ16と、を含む。冷媒回収装置14は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって、圧縮凝縮冷媒を生成する。回収ボンベ16は、冷媒回収装置14が生成した圧縮凝縮冷媒を回収する。冷媒回収システム10Bは、第1の再送配管としての再送配管58Aと、第2の再送配管としての再送配管58Bと、第3の再送配管としての再送配管58Cとを含む。再送配管58Aは、ガス分離モジュール68Aが分離した空調用冷媒の第1のガス成分23が流入する。再送配管58Bは、吸着剤350から脱着した空調用冷媒の第2のガス成分25が流入する。再送配管58Cは、第1のガス成分23と第2のガス成分25とを混合させて冷媒回路30と冷媒回収装置14との間に再送させる。
【0179】
このように、吸着モジュール68Bの吸着剤350により空調用冷媒のガス成分を吸着させる前に、ガス分離モジュール68Aにより空調用冷媒のガス成分の一部を除去することができるため、用意すべき吸着剤350の量が少なくて済むとともに、吸着モジュール68Bを小型化することができる。また、吸着剤350から脱着した空調用冷媒のガス成分は冷媒回収装置14を通って圧縮凝縮され、液化後に回収ボンベ16に回収されるため、回収ボンベ16の体積が少なくて済むとともに、複数の回収ボンベを用意する必要がない。
【0180】
吸着剤350は、ゼオライト吸着剤である。吸着剤350としてゼオライト吸着剤を用いることで、空調用冷媒の第2のガス成分25を好適に吸着および脱着することができる。
【0181】
空調用冷媒のガス成分(空調用冷媒の第2のガス成分25)は、R-32である。これにより、R-32を好適に吸着および脱着することができる。
【0182】
以下、その他の作用効果について説明する。冷媒回収システム10Bによれば、回収ボンベ16の内部の混合ガス22がガス分離装置68に送られることで、混合ガス22から非凝縮性ガスが分離されて大気に排出されると共に、混合ガス22に比べて非凝縮性ガスが低減された再送ガス冷媒が、ガス分離装置68から排出されて、空調装置12の冷媒回路30と冷媒回収装置14の間の配管内に送られる。再送ガス冷媒は、再度、冷媒回収装置14を通過し、液化された状態で回収ボンベ16に戻ることになる。
【0183】
このように、回収ボンベ16、冷媒回収装置14および空調装置12の接続を維持したまま、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスを低減することができる。回収ボンベ16の内圧上昇を抑制することができ、回収ボンベ16への冷媒回収速度を向上することができると共に、回収ボンベ16の冷媒充填量を増やすことができる。再送ガス冷媒は、液化されて(体積が減少した状態で)回収ボンベ16に戻るので、回収ボンベ16の冷媒充填量をさらに増加させることができる。回収ボンベ16内の混合ガス22をガス分離装置68に送るために、回収ボンベ16、ガス分離装置68、冷媒回収装置14の順で配置される点に重要な意義がある。
【0184】
さらに、ガス分離装置68が分離した空調用冷媒の大部分が冷媒回路30と冷媒回収装置14との間に再送される。この分離された空調用冷媒は、冷媒回路30に送られるか、冷媒回収装置14に送られるかを三方弁40によって切り替えることができる。気化促進モードにおいて、ガス分離装置68が分離した空調用冷媒が冷媒回路30に送られることによって、冷媒回路30内の冷媒の温度を上昇させることができる。これによって、冷媒の気化が促進され、冷媒回収を再開した際に、冷媒回収速度を向上させることができる。循環モードにおいて、ガス分離装置68が分離した空調用冷媒が冷媒回収装置14に送られることによって、ガス分離装置68が分離した空調用冷媒の回収処理が再度実行される。
【0185】
ガス分離装置68は、回収ボンベ16の上部に取り付けられている。そのため、液冷媒や混入した水などの液成分は、回収ボンベ16内の底部に滞留し、ガス分離装置68の分離膜92Aおよび吸着剤350に液冷媒および多量の水が混入することがなく、分離膜92Aおよび吸着剤350のガス分離効果の低下を抑制することができる。空調用冷媒は、冷媒回収装置14で断熱圧縮され液化した状態で回収ボンベ16に充填される。そのため、回収ボンベ16内の空間部の体積分に飽和蒸気圧分のみの冷媒が気化しているだけで、ほとんどの冷媒は回収ボンベ16内では液化している。気化している冷媒(ガス冷媒)の割合が低いため、ガス分離装置68に送られるガス冷媒の量を少なくでき、ガス分離装置68における冷媒漏洩リスクを低減することもできる。
【0186】
分離装置18、冷媒回収装置14、および回収ボンベ16の循環ループが形成され、ガス分離装置68により、繰り返し非凝縮性ガスの分離が行われるので、効果的に、回収ボンベ16内の非凝縮性ガスの除去が実現される。
【0187】
回収ボンベ16内に非凝縮性ガスが混入している場合に限って、制御弁64を開状態にしてガス分離装置68で非凝縮性ガスを除去するので、回収ボンベ16内に非凝縮性ガスが無い又は少ない場合の不必要なガス分離装置68の使用を回避することができる。
【0188】
分離装置18の記憶部102には複数種類の冷媒の圧力特性112が記憶されているので、異なる種類の冷媒の回収において、共通の分離装置18を用いることができる。
【0189】
ガス分離装置68を使用する場合(制御弁64が開状態の場合)であって、冷媒回路30の圧力が予め定められた圧力より高い場合には、再送ガス冷媒を、再送配管58Aから冷媒回収装置14に的確に送り込むことができる。また、ガス分離装置68を使用する場合(制御弁64が開状態の場合)であって、冷媒回路30の圧力が予め定められた圧力以下の場合には、冷媒回収装置14で断熱圧縮され、冷媒回収装置14への流入時よりも温度が高くなった冷媒が入れられた回収ボンベ16内のガス冷媒の一部である再送ガス冷媒(冷媒回路30内よりも温度が高い)を、冷媒回路30に送り込むことができる。これにより、冷媒回路30内の冷媒の温度を上昇させ、冷媒のガス化を促進させることができ、冷媒回収を再開した際に、冷媒回収速度を向上させることができる。
【0190】
さらに、空調用冷媒がR-32を含む場合には、1つのガス分離モジュールによって、非凝縮性ガス26と冷媒ガス23,25とを分離することができない。本実施の形態では、2つのガス分離モジュールを用いることによって、非凝縮性ガス26のみを大気に放出することができる。
【0191】
本実施の形態では、吸着モジュール68Bは、空調用冷媒の第2のガス成分25が吸着されやすい吸着剤350を含む吸着部315を備える。吸着剤350を用いることによって、ガス分離モジュール68Aの分離膜92Aで分離できなかった混合ガス24を分離できる。また、吸着モジュール68Bとして、ガス分離モジュール68Aの分離膜92Aとは異なる分離膜を用いずに、吸着剤を用いることによって、大気に放出しないガスの破棄および回収が容易となる。
【0192】
本実施の形態では、互いに相違する量の吸着剤が装填された第1の吸着ユニット321と第2の吸着ユニット322とを備え、吸着量に応じた吸着ユニットを使用することによって、破過した吸着剤のみを回収し、廃棄することができる。特に、R-32を吸着した吸着剤は、不可逆性であるため、廃棄および交換しなければならず、その効果は大きい。
【0193】
さらに、本実施の形態によれば、主要な吸着ユニットとなる第1の吸着ユニット321または第2の吸着ユニット322が万一吸着破過しても、第3の吸着ユニット323が存在するため、大気放出するガス中に冷媒が残存して、冷媒が大気に漏れ出ることを防止できる。
【0194】
さらに、第1の吸着ユニット321~第3の吸着ユニット323のいずれか、または全部を着脱式にしてもよい。吸着ユニットを着脱式にすることで、吸着ユニットが吸着破過した後、吸着剤を速やかに回収、廃棄、および交換することができる。
【0195】
第1の吸着ユニット321および第2の吸着ユニット322の後段に冷媒検知センサ324を配置することによって、使用している吸着ユニットが吸着破過しても、冷媒検知センサ324が冷媒を検出して、すばやく使用する吸着ユニットを切り替えることができる。また、冷媒検知センサ324の後段には第3の吸着ユニット323が存在するため、冷媒検知センサ324で冷媒を検知したとしてもそれらの冷媒は第3の吸着ユニット323で吸着され、大気放出されるガス中に冷媒が残存することはない。
【0196】
実施の形態2.
図18は、実施の形態2に係る冷媒回収システム10の概略図である。実施の形態1に係る冷媒回収システム10Bでは、吸着装置(分離装置)18としてガス分離モジュール68Aおよび吸着モジュール68Bを備え、脱着装置19として冷媒回収装置14および回収ボンベ16を備えるように構成した。
【0197】
これに対して、実施の形態2に係る冷媒回収システム10では、吸着装置(分離装置)418として吸着モジュール468を備え、脱着装置419として、吸引装置としてのポンプ440、第2の回収機器としての回収ボンベ470、および配管58Aを備えるように構成した。配管58Aは、一端が吸着モジュール468に接続され、他端が回収ボンベ470に接続されている。
【0198】
実施の形態2の回収工程は、原則的に実施の形態1の回収工程と同じである。回収工程において、空調装置12、冷媒回収装置14および回収ボンベ16を用いて縮凝縮冷媒を回収する。ただし、冷媒回収システム10は三方弁40を備えず、実施の形態1のようなガス成分の循環機能は有さない。
【0199】
吸着装置418が備える吸着モジュール468は、吸着部415を備える。吸着部415は、吸着部315と同様に、第1の吸着ユニット321、第2の吸着ユニット322あるいは第3の吸着ユニット323と同様の吸着ユニット(
図8参照)を1つ備える。
【0200】
なお、吸着モジュール468は、1つの吸着ユニットを備えてもよいし、実施の形態1と同じく3つの吸着ユニットが設けられた吸着モジュール68Bを備えてもよい。ただし、実施の形態2においては、ガス分離モジュール68Aは備えない。
【0201】
実施の形態2においても、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部に含まれる空調用冷媒のガス成分と非凝縮性ガスとからなる混合ガス22を吸着モジュール468において分離する。実施の形態2において想定する空調用冷媒のガス成分はR-32であり、吸着剤350はゼオライト吸着剤である。実施の形態1で説明したように、ゼオライト吸着剤は、可逆的にR-32を吸着および脱着するのに適した吸着剤である。
【0202】
なお、空調用冷媒のガス成分は、R-32以外の空調用冷媒であってもよいし、R-32とR-32以外の1種類以上の空調用冷媒を含むものであってもよい。吸着剤350は、実施の形態1で説明したようなゼオライト吸着剤以外の吸着剤であってもよく、空調用冷媒を吸着および脱着可能な吸着剤であればどのようなものであってもよい。ただし、空調用冷媒を不可逆的に吸着する(脱着不能な)吸着剤350は使用できない。このような吸着剤を用いた場合、吸着剤に一定量以上の空調用冷媒が吸着した場合に、吸着剤の交換が必要となるため、ランニングコストが高くなる。
【0203】
発送配管56には、ガス流入口60から取り込まれた混合ガス22が流れる。混合ガス22は、空調用冷媒のガス成分423(R-32)と非凝縮性ガス26とからなるガスである。吸着モジュール468には、発送配管56内の混合ガス22が送り込まれる。
【0204】
吸着モジュール468は、吸着部415と、入口490と、放出口494と、出口496とを含む。空調用冷媒のガス成分423(R-32)は、吸着部415の吸着剤350(ゼオライト吸着剤)に吸着する。吸着工程において、非凝縮性ガス26は、放出口494に接続された配管424から大気に放出される。脱着工程においては、吸着剤350に吸着した空調用冷媒のガス成分423が脱着して出口496から配管58Aを介して回収ボンベ470に回収される。
【0205】
吸着装置(分離装置)418は、さらに、発送配管56に配置された圧力検出器61、温度検出器62、制御弁(入口弁)64および減圧弁66を備える。これらの機能は、実施の形態1と同じであって、制御部430によって制御される。
【0206】
制御部430は、回収工程において、圧力検出器61の検出値DPおよび温度検出器62の検出値DTに基づいて、回収ボンベ16内から非凝縮性ガスを除去する必要があるか否かを判断する。非凝縮性ガスを除去する必要があると判断された場合は、回収工程から吸着工程に移行する。
【0207】
制御部430は、吸着モジュール468が検出する各種状態を信号DSとして受信する。制御部430は、入口弁64に信号CB1を送信して入口弁64の開閉を制御する。制御部430は、非凝縮性ガスの除去の必要ありと判断した際には制御弁64を開状態に制御する信号CB1を送信し、非凝縮性ガスの除去の必要なしと判断した際には制御弁64を閉状態に制御する信号CB1を送信する。
【0208】
具体的には、参照圧力RP(回収ボンベ16内の検出温度DTに対応する回収冷媒の飽和蒸気圧(
図3参照))よりも、回収ボンベ16内の検出圧力DPが高いと判定された場合(DP>RP)に、除去の必要ありと判断する。これは、実施の形態1のS104の判断と同様である。なお、S104と同様に、DP>RP+αの場合に、除去の必要ありと判断してもよい。
【0209】
制御部430は、制御弁461に対して信号CB2、脱着弁462に対して信号CB3、排気弁463に対して信号CB4を送信することで、それぞれの弁の開閉状態を制御する。また、制御部430は、ポンプ440に対して信号CP1を送信することで、ポンプ440の駆動を制御する。ポンプ440の駆動により、吸着部415内部の圧力を所定の圧力まで低下させることができる。
【0210】
制御部430は、回収工程から吸着工程に移行する場合、信号CB1により入口弁64、信号CB2により制御弁461、信号CB4により排気弁463を開状態にそれぞれ制御し、信号CB3により脱着弁462を閉状態に制御する。これにより、回収ボンベ16内の混合ガス22は、吸着部415に流入する。そして、混合ガス22のうち、空調用冷媒のガス成分423(R-32)は吸着部415の吸着剤350に吸着し、吸着剤350に吸着しない非凝縮性ガス26は、放出口494を介して配管424から大気に放出される。
【0211】
制御部430は、検出圧力DPが参照圧力RP(飽和蒸気圧)以下になった場合、吸着工程を終了して脱着工程に移行する。これは、実施の形態1のS112の判断と同じである。
【0212】
制御部430は、脱着工程において、信号CB1により入口弁64、信号CB4により排気弁463をそれぞれ閉状態に制御し、信号CB3により脱着弁462を開状態に制御する。そして、制御部430は、信号CP1によりポンプ440を駆動する。
【0213】
ポンプ440を駆動により吸着部415内の気体が吸引されて、吸着部415内の圧力が低下する。これにより、吸着剤350に吸着した空調用冷媒のガス成分423は脱着を開始する。そして、ポンプ440により空調用冷媒のガス成分423が吸引されて、空調用冷媒のガス成分423は配管58Aを介して回収ボンベ470に回収される。
【0214】
吸着工程における放出口494での空調用冷媒のガス成分423(R-32)の濃度および脱着工程における出口496での空調用冷媒のガス成分423(R-32)の濃度は、
図13で示したように遷移する。
【0215】
次に、冷媒回収システム10を用いた具体的な冷媒回収方法について説明する。
図19は、実施の形態2における冷媒回収システム10を用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【0216】
S400において、作業者は、空調装置12を停止させる。S401において、作業者は、空調装置12に冷媒回収装置14、回収ボンベ16を接続する。S402において、作業者は、回収ボンベ16に吸着装置418を接続し、さらに吸着装置418に脱着装置419を接続する。
【0217】
以下、S404~S407は、回収工程の処理を示す。S404において、制御部430は、冷媒回収装置14を駆動させ、冷媒回収を開始する。本ステップは、作業者が行ってもよい。
【0218】
S405において、制御部430は、検出圧力DP>参照圧力RPであるか否かを判断する。S406において、制御部430は、冷媒回路30に冷媒が残存しているか否かを判断する。
【0219】
制御部430は、DP>RPである場合(S405:YES)に、回収工程を終了して、S408に処理を進める。制御部430は、DP≦RPであり(S405:NO)、冷媒回路30に冷媒が残存していると判断した場合(S406:YES)に、冷媒回収を継続し(S407)、処理をS405に戻す。つまり、制御部430は、DP≦RP、かつ、冷媒回路30に冷媒が残存している間は、冷媒回収を継続する。一方、制御部430は、冷媒回路30に冷媒が残存してないと判断した場合(S406:NO)は、処理をS417に進める。
【0220】
以下、S408~S412は、吸着工程の処理を示す。S408において、制御部430は、吸着装置418を動作させ、吸着工程を開始する。具体的には、制御部430は、入口弁64、排気弁463を開状態に制御し、脱着弁462を閉状態に制御することで、吸着工程を開始する。なお、回収工程において制御弁461が閉状態である場合は、制御弁461を開状態に制御する。
【0221】
制御部430は、DP>RPであると判断している間(S409:NOである間)、吸着を継続する(S410)。制御部430は、DP≦RPであると判断した場合(S409:YES)、吸着装置418を停止する(S411)。
【0222】
制御部430は、冷媒回路30からの冷媒の回収が終了したと判断した場合(S412:YES)は、処理をS413に進める。これにより、脱着工程に移行する。一方、制御部430は、冷媒回路30からの冷媒の回収が終了していない判断した場合(S412:NO)は、処理をS406に戻す。これにより、再び、回収工程に戻る。
【0223】
以下、S413~S416は、脱着工程の処理を示す。S413において、制御部430は、脱着装置419を駆動させて脱着工程を開始する。具体的には、制御部430は、入口弁64、排気弁463を閉状態に制御し、脱着弁462を開状態に制御し、ポンプ440を駆動して脱着工程を開始する。
【0224】
制御部430は、脱着工程に所要する所定の時間(脱着時間)が経過するまで(S414:NOの間)、脱着継続する(S415)。制御部430は、所定の時間(脱着時間)が経過した場合(S414:YES)、脱着工程を終了する(S416)。所定の時間(脱着時間)は、S121と同様の方法により算出する。
【0225】
S417において、制御部430は、冷媒回収装置14を停止する。本ステップは、作業者が行ってもよい。S418において、作業者は、空調装置12から配管、吸着装置418および脱着装置419を取り外す。
【0226】
なお、上記の
図19に示したように、回収工程、吸着工程、脱着工程を一連の処理として実行するものに限らず、吸着工程および脱着工程をそれぞれ独立した処理として実行してもよい。吸着工程の処理および脱着工程の処理の別の例を、以下の
図20および
図21に示す。
【0227】
図20は、吸着工程の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、
図19おける吸着工程と基本的には同じである。
【0228】
回収工程の実施後、制御部430が検出圧力DP>参照圧力RPであると判断した場合(S600)に、吸着工程の運転が開始する。
【0229】
吸着工程の運転が開始すると、S601において、制御部430は、入口弁64、排気弁463を開状態に制御し、脱着弁462を閉状態に制御する。なお、回収工程において制御弁461が閉状態である場合は、制御弁461を開状態に制御する。
【0230】
制御部430は、回収ボンベ16の温度および圧力(温度検出器62の検出温度DT、圧力検出器61の検出圧力DP)を監視(S602)し、これらの値から回収冷媒量(回収すべきR-32の量)を推定する(S603)。たとえば、
図3で示した例では、検出温度DTにおいて、回収冷媒(R-32)の飽和蒸気圧は参照圧力RPである。そして、検出圧力DP-参照圧力RPが、非凝縮性ガス26の分圧である。制御部430は、これらの圧力比から、回収ボンベ16内の回収冷媒(R-32)の物質量を「回収冷媒量」として算出する。
【0231】
制御部430は、S604において、現吸着量≦可能吸着量であるか否かを判断する。ここで、現吸着量は、吸着部415内に充填された吸着剤350に既に吸着しているR-32の量である。可能吸着量は、吸着部415内に充填された吸着剤350に吸着可能なR-32の量である。可能吸着量は、検出温度DTおよび検出圧力DPと、
図11に示したようなR-32の吸着率との関係により算出できる。また、現吸着量は、上記で算出した回収冷媒量を用いて算出することができる。たとえば、現吸着量=X1であり、算出した回収冷媒量=X2である場合、吸着工程が終了した後の現吸着量=X1+X2になる。
【0232】
制御部430は、現吸着量>可能吸着量であると判断した場合(S604:NO)、吸着工程の運転を終了する。つまり、これ以上、吸着剤350にR-32を吸着させることができないと判断した場合は、吸着工程を終了する。この場合、作業者は脱着工程を実施する必要がある。
【0233】
制御部430は、S605において、DP≦RPであるか否かを判断する。この判断は、S409の判断と同じである。制御部430は、S604において、現吸着量≦可能吸着量であると判断し(S604:YES)、かつ、DP>RPであると判断した場合(S605:NO)、吸着を継続し(S606)、S604の処理に戻る。すなわち、現吸着量≦可能吸着量かつDP>RPである間は、吸着が継続される。一方、制御部430は、S605において、DP≦RPであると判断した場合(S605:YES)、吸着工程を終了する。
【0234】
図21は、脱着工程の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、
図19おける吸着工程と基本的には同じである。
【0235】
制御部430は、回収工程での冷媒回収を終了した(S701)後、吸着部415の吸着剤350に吸着したR-32の吸着量から、脱着工程において制御する吸着部415内の圧力および脱着工程に所要する脱着時間(「所定の時間」とも称し、S414の所定の時間と同じ内容である)を算出した(S702)後に、脱着工程の運転を開始する。
【0236】
図12に示したように、吸着工程終了時(脱着工程開始時)の吸着部415内の圧力と脱着工程において最終的に制御される吸着部415内の圧力との差分から、脱着工程におけるR-32の脱着量が算出できる。脱着工程において、吸着部415の出口496でのR-32の濃度は
図13に示したように遷移する。脱着時間(所定の時間)は、
図13において、吸着部415の出口496でのR-32の濃度が0になるまでに所要する時間であり、実測値に基づき脱着時間を推定してもよい。
【0237】
吸着工程の運転が開始すると、S703において、制御部430は、バルブの開閉を制御する。具体的には、制御部430は、入口弁64、排気弁463を閉状態に制御し、脱着弁462を開状態に制御する。本ステップは、作業者が行ってもよい。
【0238】
S704において、制御部430は、ポンプ440を駆動する。これにより、吸着部415の吸着剤350に吸着したR-32が脱着を開始する。制御部430は、所定の時間(脱着時間)が経過するまで(S705:NOの間)、脱着を継続する。上述のように、所定の時間が経過すると、吸着部415の出口496におけるR-32の濃度が0になる。制御部430は、所定の時間が経過すると(S705:YES)、脱着工程の運転を終了する(ポンプ440を停止させる)。
【0239】
次に、以上説明した冷媒回収システム10の作用効果について説明する。冷媒回収システム10は、冷凍空調機器としての空調装置12の冷媒回路30から空調用冷媒を回収するシステムである。冷媒回収システム10は、第1の回収機器としての回収ボンベ16と、吸着装置418と、脱着装置419と、を備える。回収ボンベ16は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する。吸着装置418は、吸着モジュール468を含む。吸着モジュール468は、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分423と非凝縮性ガス26とからなる混合ガス22のうち、空調用冷媒のガス成分423を吸着する吸着剤350を有する。脱着装置419は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分423を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分423を蓄積する。
【0240】
このように、吸着装置418を動作させることにより、回収ボンベ16の内部の非凝縮性ガス26を含んだ混合ガス22を取り出して、混合ガス22のうち空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350に吸着させることができ、脱着装置419を動作させることにより、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350から脱着させてこれを回収することができるため、吸着剤350は繰り返し利用することができる。これにより、回収ボンベ16内の非凝縮性ガス26を低減させつつ回収ボンベ16内に含まれるガスを非凝縮性ガス26と空調用冷媒のガス成分とに好適に分離することができる。
【0241】
吸着モジュール468は、混合ガス22のうち吸着剤350に吸着されなかった非凝縮性ガス26を大気に放出する放出口494を含む。これにより、空調用冷媒のガス成分を混入させることなく、回収ボンベ16内に蓄積された非凝縮性ガス26のみを大気に放出することができる。
【0242】
脱着装置419は、第2の回収機器としての回収ボンベ470と、配管58Aと、吸引装置としてのポンプ440と、を含む。回収ボンベ470は、脱着した空調用冷媒のガス成分423を蓄積する。配管58Aは、一端が吸着モジュール468に接続され、他端が回収ボンベ470に接続されている。ポンプ440は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分423を吸引して回収ボンベ470に送出する。これにより、吸着剤350に吸着した空調用冷媒のガス成分423は、冷媒回収状況によらず、脱着させ、回収ボンベ470に回収することができる。
【0243】
吸着剤350は、ゼオライト吸着剤である。吸着剤350としてゼオライト吸着剤を用いることで、空調用冷媒のガス成分423を好適に吸着および脱着することができる。
【0244】
空調用冷媒のガス成分423は、R-32である。これにより、R-32を好適に吸着および脱着することができる。
【0245】
本装置構成は、吸着装置418として吸着モジュール468を備え、脱着装置419として、吸引装置としてのポンプ440、第2の回収機器としての回収ボンベ470、および配管58Aを備えるように構成している。すなわち、ガス分離モジュール68Aを備えておらず、本構成により、本装置はコンパクトで簡便にR-32を分離することが可能となっている。
【0246】
実施の形態3.
図22は、実施の形態3に係る冷媒回収システム10Aの概略図である。実施の形態2に係る冷媒回収システム10では、吸着装置418として吸着モジュール468を備え、脱着装置419としてポンプ440および回収ボンベ470を備えるように構成した。
【0247】
これに対して、実施の形態3に係る冷媒回収システム10Aでは、冷媒回収装置14および回収ボンベ16を脱着装置419として構成している。脱着工程において、冷媒回収装置14は吸引装置としても動作し、回収ボンベ16が第2の回収機器としても動作する。
【0248】
冷媒回収装置14および回収ボンベ16を脱着装置419として構成する点では、実施の形態1と同様である。ただし、実施の形態1とは異なり、実施の形態3ではガス分離モジュール68Aを備えない。
【0249】
実施の形態3において、脱着装置419として冷媒回収装置14および回収ボンベ16を備える点は、実施の形態1と同じである。冷媒回収装置14のポンプによって吸引された空調用冷媒のガス成分423は、液体化して圧縮凝縮冷媒として回収ボンベ16に回収される。
【0250】
実施の形態2とは異なり、三方弁40が冷媒回路30と冷媒回収装置14の間に配置されている。三方弁40は、第1ポート41、第2ポート42および第3ポート43を含む。三方弁40の第1ポート41は冷媒回路30に接続されている。三方弁40の第2ポート42は冷媒回収装置14に接続されている。三方弁40の第3ポート43は配管58Aに接続されている。配管58Aは、吸着モジュール468と接続されている。
【0251】
制御部430は、吸着モジュール468が検出する各種状態を信号DSとして受信する。制御部430は、入口弁64に対して信号CB1、排気弁463に対して信号CB4を送信し、それぞれの弁の開閉状態を制御する。制御部430は、冷媒回収装置14に対して信号CP2を送信することで、冷媒回収装置14(ポンプ)を制御する。制御部430は、三方弁40に対して信号CLを送信することで、三方弁40のモードを切替える。
【0252】
制御部430は、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350に吸着させるための吸着モードにおいて、信号CB1により入口弁64を開放するよう制御し、信号CB4により排気弁463を開放するよう制御し、信号CLにより三方弁40の第1ポート41と第2ポート42が連通状態(通常モード)になるように三方弁40を制御する。
【0253】
これにより、回収ボンベ16からの混合ガス22は、吸着部415に流入する。そして、混合ガス22のうち、空調用冷媒のガス成分423は吸着部415の吸着剤350に吸着し、吸着しない非凝縮性ガス26は配管424から大気に放出される。
【0254】
制御部430は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分423を脱着させるための脱着モードにおいて、信号CB1により入口弁64を閉鎖するよう制御し、信号CB4により排気弁463を閉鎖するよう制御し、信号CLにより三方弁40の第2ポート42と第3ポート43が連通状態(循環モード)になるように三方弁を制御する。そして、制御部430は、信号CP2により冷媒回収装置14のポンプを駆動する。
【0255】
これにより、吸着部415内の圧力は低下し、吸着剤350に吸着した空調用冷媒のガス成分423は脱着する。そして、冷媒回収装置14のポンプを駆動により吸引された空調用冷媒のガス成分423は、液体化して圧縮凝縮冷媒として回収ボンベ16に回収される。
【0256】
なお、実施の形態3において想定する空調用冷媒のガス成分もR-32であり、吸着剤350はゼオライト吸着剤である。ただし、空調用冷媒のガス成分は、R-32以外の空調用冷媒であってもよいし、R-32とR-32以外の1種類以上の空調用冷媒を含むものであってもよい。吸着剤350は、ゼオライト吸着剤以外の実施の形態1で説明したような吸着剤であってもよく、空調用冷媒を吸着および脱着可能な吸着剤であればどのようなものであってもよい。
【0257】
次に、冷媒回収システム10Aを用いた具体的な冷媒回収方法について説明する。
図23は、実施の形態3における冷媒回収システム10Aを用いた具体的な冷媒回収方法を示すフローチャートである。
【0258】
S500において、作業者は、空調装置12を停止させる。S501において、作業者は、空調装置12に冷媒回収装置14、回収ボンベ16を接続する。S502において、作業者は、吸着装置418を冷媒回収装置14の前段および回収ボンベ16に接続する。
【0259】
以下、S503~S507は、回収工程の処理を示す。S503において、制御部430は、三方弁40を通常モード(三方弁40の第1ポート41と第2ポート42が連通状態)に制御する。S504において、制御部430は、冷媒回収装置14を駆動させ、冷媒回収を開始する。本ステップは、作業者が行ってもよい。
【0260】
S505において、制御部430は、検出圧力DP>参照圧力RPであるか否かを判断する。S506において、制御部430は、冷媒回路30に冷媒が残存しているか否かを判断する。
【0261】
制御部430は、DP>RPである場合(S505:YES)に、回収工程を終了して、S508に処理を進める。制御部430は、DP≦RPであり(S505:NO)、冷媒回路30に冷媒が残存していると判断した場合(S506:YES)に、冷媒回収を継続し(S507)、処理をS505に戻す。つまり、制御部430は、DP≦RP、かつ、冷媒回路30に冷媒が残存している間は、冷媒回収を継続する。一方、制御部430は、冷媒回路30に冷媒が残存してないと判断した場合(S506:NO)は、処理をS517に進める。
【0262】
以下、S508~S512は、吸着工程の処理を示す。S508において、制御部430は、吸着装置418を動作させ、吸着工程を開始する。具体的には、制御部430は、入口弁64、排気弁463を開状態に制御することで、吸着工程を開始する。なお、この場合、三方弁40は既に通常モードであるので、三方弁40のモードを変更する必要はない。
【0263】
制御部430は、DP>RPであると判断している間(S509:NOである間)、吸着を継続する(S510)。制御部430は、DP≦RPであると判断した場合(S509:YES)、吸着装置418を停止する(S511)。
【0264】
制御部430は、冷媒回路30からの冷媒の回収が終了したと判断した場合(S512:YES)は、処理をS513に進める。これにより、脱着工程に移行する。一方、制御部430は、冷媒回路30からの冷媒の回収が終了していない判断した場合(S512:NO)は、処理をS506に戻す。これにより、再び、回収工程に戻る。
【0265】
以下、S513~S516は、脱着工程の処理を示す。S513において、制御部430は、脱着装置419(冷媒回収装置14)を駆動させて脱着工程を開始する。具体的には、制御部430は、入口弁64、排気弁463を閉状態に制御し、三方弁40を循環モード(第2ポート42と第3ポート43が連通状態)に制御し、冷媒回収装置14のポンプを駆動して脱着工程を開始する。
【0266】
制御部430は、脱着工程に所要する所定の時間(脱着時間)が経過するまで(S514:NOの間)、脱着継続する(S515)。制御部430は、所定の時間(脱着時間)が経過した場合(S514:YES)、脱着工程を終了する(S516)。
【0267】
S517において、制御部430は、冷媒回収装置14を停止する。本ステップは、作業者が行ってもよい。S518において、作業者は、空調装置12から配管、吸着装置418を取り外す。
【0268】
次に、以上説明した冷媒回収システム10Aの作用効果について説明する。冷媒回収システム10Aは、冷凍空調機器としての空調装置12の冷媒回路30から空調用冷媒を回収するシステムである。冷媒回収システム10Aは、第1の回収機器としての回収ボンベ16と、吸着装置418と、脱着装置419と、を備える。回収ボンベ16は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する。吸着装置418は、吸着モジュール468を含む。吸着モジュール468は、圧縮凝縮冷媒を回収した回収ボンベ16の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分423と非凝縮性ガス26とからなる混合ガス22のうち、空調用冷媒のガス成分423を吸着する吸着剤350を有する。脱着装置419は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分423を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分423を蓄積する。
【0269】
このように、吸着装置418を動作させることにより、回収ボンベ16の内部の非凝縮性ガス26を含んだ混合ガス22を取り出して、混合ガス22のうち空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350に吸着させることができ、脱着装置419を動作させることにより、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350から脱着させてこれを回収することができるため、吸着剤350は繰り返し利用することができる。これにより、回収ボンベ16内の非凝縮性ガス26を低減させつつ回収ボンベ16内に含まれるガスを非凝縮性ガス26と空調用冷媒のガス成分とに好適に分離することができる。
【0270】
吸着モジュール468は、混合ガス22のうち吸着剤350に吸着されなかった非凝縮性ガス26を大気に放出する放出口494を含む。これにより、空調用冷媒のガス成分を混入させることなく、回収ボンベ16内に蓄積された非凝縮性ガス26のみを大気に放出することができる。
【0271】
脱着装置419は、配管58Aと、冷媒回収装置14と、回収ボンベ16と、を含む。配管は、一端が吸着モジュール468に接続され、他端が脱着装置419に接続されている。冷媒回収装置14は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって、圧縮凝縮冷媒を生成する。回収ボンベ16は、冷媒回収装置14が生成した圧縮凝縮冷媒を回収する。これにより、吸着剤350から脱着した空調用冷媒のガス成分423は冷媒回収装置14を通って圧縮凝縮され、液化後に回収ボンベ16に回収されるため、回収ボンベ16の体積が少なくて済むとともに、複数の回収ボンベを用意する必要がない。
【0272】
吸着装置418は、入口弁64と、三方弁40と、排気弁463と、制御部430と、を含む。入口弁64は、回収ボンベ16と吸着モジュール468との間に配置されている。三方弁40は、冷媒回路30と冷媒回収装置14の間に配置されている。排気弁463は、混合ガス22のうち吸着剤350に吸着されなかった非凝縮性ガス26を吸着モジュール468から大気に放出する。制御部430は、入口弁64と三方弁40と排気弁463とを制御する。三方弁40は、第1ポート41、第2ポート42および第3ポート43を含む。三方弁40の第1ポート41は冷媒回路30に接続されている。三方弁40の第2ポート42は冷媒回収装置14に接続されている。三方弁40の第3ポート43は配管58Aに接続されている。制御部430は、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350に吸着させるための吸着モードにおいて、入口弁64および排気弁463を開放するよう制御し、三方弁40の第1ポート41と第2ポート42が連通状態になるように三方弁40を制御する。制御部430は、吸着剤350に吸着された空調用冷媒のガス成分423を脱着させるための脱着モードにおいて、入口弁64および排気弁463を閉鎖するよう制御し、三方弁40の第2ポート42と第3ポート43が連通状態になるように三方弁を制御する。これにより、入口弁64、三方弁40および排気弁463を制御して、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350に吸着させるとともに非凝縮性ガス26を大気に放出させることができ、さらに、空調用冷媒のガス成分423を吸着剤350から脱着させることができる。
【0273】
吸着剤350は、ゼオライト吸着剤である。吸着剤350としてゼオライト吸着剤を用いることで、空調用冷媒のガス成分423を好適に吸着および脱着することができる。
【0274】
空調用冷媒のガス成分423は、R-32である。これにより、R-32を好適に吸着および脱着することができる。
【0275】
今回開示された各実施の形態は、技術的に矛盾しない範囲で適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0276】
10,10A,10B 冷媒回収システム、12 空調装置、14 冷媒回収装置、16 回収ボンベ、18 分離装置(吸着装置)、19 脱着装置、20 回収タンク、22,24 混合ガス、23 空調用冷媒の第1のガス成分、25 空調用冷媒の第2のガス成分(空調用冷媒のガス成分)、26 非凝縮性ガス、28 水、29 その他のガス成分、30 冷媒回路、32 アキュムレータ、34 サービスポート、36,90A,90B 入口、37,61,70 圧力検出器、38,96A 出口、40 三方弁、41 第1ポート、42 第2ポート、43 第3ポート、46 液出入口、48 ガス出入口、49 分岐配管、50 接続配管、52 前配管、54 後配管、56 発送配管、57A,57B 配管、58A,58B,58C 再送配管、59,P1,P2 配管、60 ガス流入口、62 温度検出器、64 制御弁(入口弁)、66 減圧弁、68 ガス分離装置、68A ガス分離モジュール、68B 吸着モジュール、72 圧力調整器、74 ガス流出口、76 発送制御器、78 再送制御器、80 三方弁制御器、88A 筐体、92A 分離膜、94,94A,94B 放出口、97,97A 圧力制御器、98A 第1圧力調整器、98B 第2圧力調整器、99A 第1逆止弁、100 入力部、102,102A 記憶部、104 参照圧力取得器、106 減圧弁制御器、108,118 判定器、110 回収冷媒情報、112 圧力特性、120 圧力閾値、122 継続時間、211,211A 圧力取得器、212 第1圧力制御器、213 第2圧力制御器、214 第1圧力情報、215 第2圧力情報、253 センサ、254 バイパス制御器、315 吸着部、320 切替弁、321 第1の吸着ユニット、322 第2の吸着ユニット、323 第3の吸着ユニット、324 冷媒検知センサ、330 制御部、350 吸着剤、402 三方弁、411 第1ポート、412 第2ポート、413 第3ポート、415 吸着部、418 吸着装置、419 脱着装置、423 空調用冷媒のガス成分、424 配管、430 制御部、440 ポンプ、461 制御弁、462 脱着弁、463 排気弁、468 吸着モジュール、470 回収ボンベ、490 入口、494 放出口、496 出口。
【要約】
第1の回収機器(16)は、空調用冷媒を圧縮凝縮することによって生成された圧縮凝縮冷媒を回収する。吸着装置(418)は、吸着モジュール(468)を含む。吸着モジュール(468)は、圧縮凝縮冷媒を回収した第1の回収機器(16)の内部に含まれる、空調用冷媒のガス成分(423)と非凝縮性ガス(26)とからなる混合ガス(22)のうち、空調用冷媒のガス成分(423)を吸着する吸着剤(350)を有する。脱着装置(19)は、吸着剤(350)に吸着された空調用冷媒のガス成分(423)を脱着させて、脱着した空調用冷媒のガス成分(423)を蓄積する。