(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】状態遷移管理装置、状態遷移管理方法および状態遷移管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20250107BHJP
【FI】
G06Q10/0833
(21)【出願番号】P 2024562273
(86)(22)【出願日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2023005999
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 奈子
(72)【発明者】
【氏名】松本 光弘
【審査官】野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0189096(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0164908(US,A1)
【文献】特開平5-127882(JP,A)
【文献】特開2000-215165(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114461691(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の状態遷移を示す状態遷移規定
と、新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報と、を受け付ける受付部と、
受け付けられた状態遷移規定が登録用規定である場合に前記一連の状態遷移の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに最初のバージョン番号をイベントとして設定し、設定後の前記登録用規定を規定保管部に登録する規定登録部と、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定する状態検証部と、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する状態登録部と、
を備える状態遷移管理装置。
【請求項2】
前記受付部は、公開可能な新たな状態を示す状態登録情報を受け付け、
前記状態登録部は、受け付けられた状態登録情報をパブリックの状態遷移管理装置へ送信し、前記パブリックの状態遷移管理装置と前記状態検証部の両方で前記状態登録可能と判定された場合に前記受け付けられた状態登録情報を示す前記登録状態情報を前記状態保管部に登録する
請求項
1に記載の状態遷移管理装置。
【請求項3】
前記受付部は、登録状態識別子と新たな状態とバージョン番号を示す状態更新情報を受け付け、
前記状態検証部は、前記状態更新情報の中の前記登録状態識別子と同じ登録状態識別子の登録状態情報を前記状態保管部から選択し、選択された登録状態情報の中の規定種類と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、前記選択された登録状態情報の中の最新状態から前記状態更新情報の中の前記新たな状態への状態遷移が選択された状態遷移規定の中の状態遷移のうち前記状態更新情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された状態遷移のいずれかと一致する場合に状態更新可能と判定し、
前記状態登録部は、前記状態更新可能と判定された場合に前記状態更新情報に基づいて前記選択された登録状態情報を更新する
請求項
1または請求項
2に記載の状態遷移管理装置。
【請求項4】
前記受付部は、公開可能な新たな状態を示す状態更新情報を受け付け、
前記状態登録部は、受け付けられた状態更新情報をパブリックの状態遷移管理装置へ送信し、前記パブリックの状態遷移管理装置と前記状態検証部の両方で前記状態更新可能と判定された場合に前記受け付けられた状態更新情報に基づいて前記登録状態情報を更新する
請求項
3に記載の状態遷移管理装置。
【請求項5】
新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報を受け付ける受付部と、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定する状態検証部と、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する状態登録部と、
を備える状態遷移管理装置。
【請求項6】
前記受付部は、公開可能な新たな状態を示す状態登録情報を受け付け、
前記状態登録部は、受け付けられた状態登録情報をパブリックの状態遷移管理装置へ送信し、前記パブリックの状態遷移管理装置と前記状態検証部の両方で前記状態登録可能と判定された場合に前記受け付けられた状態登録情報を示す前記登録状態情報を前記状態保管部に登録する
請求項
5に記載の状態遷移管理装置。
【請求項7】
前記受付部は、登録状態識別子と新たな状態とバージョン番号を示す状態更新情報を受け付け、
前記状態検証部は、前記状態更新情報の中の前記登録状態識別子と同じ登録状態識別子の登録状態情報を前記状態保管部から選択し、選択された登録状態情報の中の規定種類と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、前記選択された登録状態情報の中の最新状態から前記状態更新情報の中の前記新たな状態への状態遷移が選択された状態遷移規定の中の状態遷移のうち前記状態更新情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された状態遷移のいずれかと一致する場合に状態更新可能と判定し、
前記状態登録部は、前記状態更新可能と判定された場合に前記状態更新情報に基づいて前記選択された登録状態情報を更新する
請求項
5または請求項
6に記載の状態遷移管理装置。
【請求項8】
前記受付部は、公開可能な新たな状態を示す状態更新情報を受け付け、
前記状態登録部は、受け付けられた状態更新情報をパブリックの状態遷移管理装置へ送信し、前記パブリックの状態遷移管理装置と前記状態検証部の両方で前記状態更新可能と判定された場合に前記受け付けられた状態更新情報に基づいて前記登録状態情報を更新する
請求項
7に記載の状態遷移管理装置。
【請求項9】
一連の状態遷移を示す状態遷移規定を受け付け、
受け付けられた状態遷移規定が登録用規定である場合に前記一連の状態遷移の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに最初のバージョン番号をイベントとして設定し、設定後の前記登録用規定を規定保管部に登録
し、
新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報を受け付け、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定し、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する
状態遷移管理方法。
【請求項10】
新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報を受け付け、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定し、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する
状態遷移管理方法。
【請求項11】
一連の状態遷移を示す状態遷移規定
と、新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報と、を受け付ける受付処理と、
受け付けられた状態遷移規定が登録用規定である場合に前記一連の状態遷移の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに最初のバージョン番号をイベントとして設定し、設定後の前記登録用規定を規定保管部に登録する規定登録処理と、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定する状態検証処理と、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する状態登録処理と、
をコンピュータに実行させるための状態遷移管理プログラム。
【請求項12】
新たな状態と規定種類とバージョン番号を示す状態登録情報を受け付ける受付処理と、
前記状態登録情報の中の前記規定種類と同じ種類の状態遷移規定を規定保管部から選択し、選択された状態遷移規定の中の状態のうち前記状態登録情報の中の前記バージョン番号と同じバージョン番号が設定された1つ以上の状態遷移の先頭状態が前記状態登録情報の中の前記新たな状態と一致する場合に状態登録可能と判定する状態検証処理と、
前記状態登録可能と判定された場合に新たな登録状態識別子と前記状態登録情報を示す登録状態情報を状態保管部に登録する状態登録処理と、
をコンピュータに実行させるための状態遷移管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態遷移規定および状態の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製品流通において、製品の証跡管理が求められている。
製品の証跡管理では、製品の状態が登録される。例えば、「製造」、「保管」または「輸送」などの状態が登録される。
状態の登録の際に状態の遷移があらかじめ定められた規定に則しているかを検証することで、誤った状態の登録を防ぐことができる。
【0003】
製品の流通には多数の事業者が関わる。そのため、状態遷移の開始時または状態遷移の進行中に状態遷移の規定のバージョンを変更することを考える必要がある。
【0004】
特許文献1は、ワークフロー制御の方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法は、ワークフロー制御のための方法であり、製品の流通において状態遷移を管理するための方法ではない。また、特許文献1の方法では、バージョン管理が行われない。たとえ、特許文献1の方法を状態遷移に適用したとしても、バージョンに応じて状態を追加または削除することができない。さらに、状態遷移の進行中にバージョンを変更することができない。
【0007】
製品の流通では、物体と関連する状態遷移が管理される。ワークフローは途中で最初から流し直すことが可能であるが、製品の流通は途中で最初からやり直すことが困難である。そのため、製品の流通では、状態遷移の進行中にバージョン変更ができないことが課題となる。
【0008】
本開示は、状態遷移の進行中にバージョン変更をできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の状態遷移管理装置は、
一連の状態遷移を示す状態遷移規定を受け付ける受付部と、
受け付けられた状態遷移規定が登録用規定である場合に前記一連の状態遷移の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに最初のバージョン番号をイベントとして設定し、設定後の前記登録用規定を規定保管部に登録する規定登録部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、状態遷移規定の中のそれぞれの状態遷移にバージョン番号をイベントとして設定することができる。そして、このような状態遷移規定が使用されることにより、状態遷移の進行中に登録される状態ごとに、利用者は使用したい状態遷移のバージョン番号を指定して状態遷移のバージョンを変更することができる。つまり、状態遷移の進行中にバージョン変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1における状態遷移管理装置100の構成図。
【
図2】実施の形態1における状態遷移管理システム200の構成図。
【
図3】実施の形態1における規定登録のフローチャート。
【
図4】実施の形態1における登録用規定201を示す図。
【
図5】実施の形態1におけるステップS110のフローチャート。
【
図6】実施の形態1におけるステップS110のフローチャート。
【
図7】実施の形態1におけるステップS110の具体例を示す図。
【
図8】実施の形態1における状態登録のフローチャート。
【
図9】実施の形態1におけるステップS130のフローチャート。
【
図10】実施の形態1におけるステップS130の具体例を示す図。
【
図11】実施の形態1におけるステップS124の具体例を示す図。
【
図12】実施の形態1におけるステップS140のフローチャート。
【
図13】実施の形態1におけるステップS140の具体例を示す図。
【
図14】実施の形態1におけるステップS127の具体例を示す図。
【
図15】実施の形態2における状態遷移管理システム200の構成図。
【
図16】実施の形態2における状態登録Aのフローチャート。
【
図17】実施の形態2における状態登録Bのフローチャート。
【
図18】実施の形態における状態遷移管理装置100のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態および図面において、同じ要素または対応する要素には同じ符号を付している。説明した要素と同じ符号が付された要素の説明は適宜に省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。
【0013】
実施の形態1.
状態遷移管理装置100について、
図1から
図14に基づいて説明する。
【0014】
***構成の説明***
図1に基づいて、状態遷移管理装置100の構成を説明する。
状態遷移管理装置100は、プロセッサ101とメモリ102と補助記憶装置103と通信装置104と入出力インタフェース105といったハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線を介して互いに接続されている。
【0015】
プロセッサ101は、演算処理を行うICであり、他のハードウェアを制御する。例えば、プロセッサ101はCPUである。
ICは、Integrated Circuitの略称である。
CPUは、Central Processing Unitの略称である。
【0016】
メモリ102は揮発性または不揮発性の記憶装置である。メモリ102は、主記憶装置またはメインメモリとも呼ばれる。例えば、メモリ102はRAMである。メモリ102に記憶されたデータは必要に応じて補助記憶装置103に保存される。
RAMは、Random Access Memoryの略称である。
【0017】
補助記憶装置103は不揮発性の記憶装置である。例えば、補助記憶装置103は、ROM、HDD、フラッシュメモリまたはこれらの組み合わせである。補助記憶装置103に記憶されたデータは必要に応じてメモリ102にロードされる。
ROMは、Read Only Memoryの略称である。
HDDは、Hard Disk Driveの略称である。
【0018】
通信装置104はレシーバ及びトランスミッタである。例えば、通信装置104は通信チップまたはNICである。状態遷移管理装置100の通信は通信装置104を用いて行われる。
NICは、Network Interface Cardの略称である。
【0019】
入出力インタフェース105は、入力装置および出力装置が接続されるポートである。例えば、入出力インタフェース105はUSB端子であり、入力装置はキーボードおよびマウスであり、出力装置はディスプレイである。状態遷移管理装置100の入出力は入出力インタフェース105を用いて行われる。
USBは、Universal Serial Busの略称である。
【0020】
状態遷移管理装置100は、受付部111と規定登録部112と状態検証部113と状態登録部114と出力部115といった要素を備える。これらの要素はソフトウェアで実現される。
【0021】
補助記憶装置103には、受付部111と規定登録部112と状態検証部113と状態登録部114と出力部115としてコンピュータを機能させるための状態遷移管理プログラムが記憶されている。状態遷移管理プログラムは、メモリ102にロードされて、プロセッサ101によって実行される。
補助記憶装置103には、さらに、OSが記憶されている。OSの少なくとも一部は、メモリ102にロードされて、プロセッサ101によって実行される。
プロセッサ101は、OSを実行しながら、状態遷移管理プログラムを実行する。
OSは、Operating Systemの略称である。
【0022】
状態遷移管理プログラムの入出力データは記憶部120に記憶される。
補助記憶装置103は記憶部120として機能する。但し、メモリ102、プロセッサ101内のレジスタおよびプロセッサ101内のキャッシュメモリなどの記憶装置が、補助記憶装置103の代わりに、又は、補助記憶装置103と共に、記憶部120として機能してもよい。
【0023】
状態遷移管理プログラムは、光ディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録(格納)することができる。
【0024】
図2に基づいて、状態遷移管理システム200の構成を説明する。
状態遷移管理システム200は、状態遷移管理装置100と規定送信装置211と状態送信装置212と結果表示装置213を備える。
規定送信装置211と状態送信装置212と結果表示装置213は、利用者によって利用されるコンピュータである。1台のコンピュータが規定送信装置211と状態送信装置212と結果表示装置213として機能してもよい。
規定保管部121と状態保管部122は、記憶部120の一部である。
【0025】
***動作の説明***
状態遷移管理装置100の動作の手順は状態遷移管理方法に相当する。また、状態遷移管理装置100の動作の手順は状態遷移管理プログラムによる処理の手順に相当する。
【0026】
図3に基づいて、規定登録を説明する。規定登録は状態遷移管理方法の一部である。
ステップS101において、受付部111は、規定情報を受け付ける。
規定情報は、規定種類と状態遷移規定を示す。
規定種類は、状態遷移規定の種類である。
状態遷移規定は、先頭状態から最終状態までの一連の状態遷移を示す。
一連の状態遷移は、1つ以上の状態遷移を含む。
状態遷移は、2つの状態の状態間の遷移である。状態遷移は、特定のイベントをきっかけにして発生する。
【0027】
規定情報は以下のように受け付けられる。
利用者は、規定情報を規定送信装置211に入力する。
規定送信装置211は、入力された規定情報を状態遷移管理装置100へ送信する。
受付部111は、送信された規定情報を受信する。
【0028】
ステップS102において、規定登録部112は、規定情報を受付部111から受け取り、規定用途を判定する。規定用途は、規定情報の用途を意味する。
規定用途には、規定登録と規定更新という種類がある。
規定登録では、規定情報は規定保管部121に登録される。
規定更新では、規定情報は登録済み規定の更新に用いられる。登録済み規定は、規定保管部121に登録されている状態遷移規定である。
【0029】
規定用途は以下のように判定される。
利用者は、規定用途を指定できる。指定された規定用途は規定情報に示される。規定用途が規定情報に示される場合、規定登録部112は、規定情報を参照して規定用途を判定する。
規定登録部112は、規定保管部121を検索して規定情報の中の規定種類と同じ種類の登録済み規定を探す。見つからなかった場合、規定登録部112は、規定用途を規定登録と判定する。見つかった場合、規定登録部112は、規定用途を規定更新と判定する。
【0030】
規定用途が規定登録である場合、処理はステップS103へ進む。この場合、規定情報の中の状態遷移規定を、登録用規定と称する。
規定用途が規定更新である場合、処理はステップS105へ進む。この場合、規定情報の中の状態遷移規定を、更新用規定と称する。
【0031】
ステップS103において、規定登録部112は、登録用規定の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに、最初のバージョン番号をイベントとして設定する。
【0032】
図4に基づいて、ステップS103の具体例を説明する。
登録用規定201は、登録用規定の一例である。
「S」は、一連の状態遷移の開始を表す。「E」は、一連の状態遷移の完了を表す。
登録用規定201において、先頭状態は状態aであり、最終状態は状態cである。
登録用規定201の一連の状態遷移には、状態aから状態bへの状態遷移と、状態bから状態cへの状態遷移と、が含まれる。
規定登録部112は、一連の状態遷移の中のそれぞれの状態遷移にバージョン番号v1を設定する。「v1」は、最初のバージョン番号である。
【0033】
図3に戻り、ステップS104から説明を続ける。
ステップS104において、登録用規定201は、最初のバージョン番号が設定された登録用規定を規定情報の中の規定種類と共に規定保管部121に登録する。
ステップS104の後、処理は終了する。
【0034】
規定保管部121において、登録済み規定の形式は、規定種類、バージョン番号、1つ以上の状態および状態間の遷移が特定される形式であれば、どのような形式であっても構わない。
【0035】
ステップS105において、規定登録部112は、規定情報の中の規定種類と同じ種類の登録済み規定を規定保管部121から選択する。
【0036】
ステップS110において、規定登録部112は、更新用規定の1つ以上の状態遷移のうち選択された登録済み規定の中に存在しない状態遷移のそれぞれを、選択された登録済み規定に追加する。
そして、規定登録部112は、選択された登録済み規定の中の該当遷移のそれぞれに次のバージョン番号をイベントとして設定する。
該当遷移は、更新用規定の中の状態遷移に対応する状態遷移である。
次のバージョン番号は、登録済み規定の中の最新のバージョン番号の次のバージョン番号を意味する。
ステップS110の後、処理は終了する。
【0037】
図5および
図6に基づいて、ステップS110の詳細を説明する。
ステップS105で選択された登録済み規定を、選択規定と称する。
【0038】
ステップS111において、規定登録部112は、選択規定を参照し、選択規定の中の最新のバージョン番号を特定する。
そして、規定登録部112は、最新のバージョン番号に基づいて、次のバージョン番号を特定する。
例えば、規定登録部112は、最新のバージョン番号に1を加えた番号を、次のバージョン番号に特定する。
【0039】
ステップS112において、規定登録部112は、更新用規定の中の先頭状態から順番に未選択の状態を1つ選択する。選択された状態を、選択状態と称する。
【0040】
ステップS113において、規定登録部112は、選択状態が選択規定の中に存在するか判定する。
選択状態が選択規定の中に存在する場合、処理はステップS115へ進む。
選択状態が選択規定の中に存在しない場合、処理はステップS114へ進む。
【0041】
ステップS114において、規定登録部112は、選択状態を選択規定に追加する。
選択状態が先頭状態である場合、規定登録部112は、選択状態を先頭状態として選択規定に追加する。
選択状態が2番目以降の状態である場合、規定登録部112は、選択状態を1つ前の状態の次の状態として選択規定に追加する。
選択状態が最終状態である場合、規定登録部112は、選択状態を最終状態として選択規定に追加する。
【0042】
ステップS115において、規定登録部112は、更新用規定を参照し、選択状態への状態遷移を特定する。特定された状態遷移を、対象遷移と称する。
そして、規定登録部112は、選択規定を参照し、対象遷移が選択規定の中に存在するか判定する。
対象遷移が選択規定の中に存在する場合、処理はステップS117へ進む。
対象遷移が選択規定の中に存在しない場合、処理はステップS116へ進む。
【0043】
ステップS116において、規定登録部112は、対象遷移を選択規定に追加する。
【0044】
ステップS117において、規定登録部112は、選択規定の中の対象遷移に次のバージョン番号をイベントとして設定する。
【0045】
ステップS118において、規定登録部112は、更新用規定の中に未選択の状態があるか判定する。
未選択の状態がある場合、処理はステップS112へ進む。
未選択の状態がない場合、処理は終了する。
【0046】
図7に基づいて、ステップS110の具体例を説明する。
更新用規定202は、更新用規定の一例である。登録済み規定203は、更新用規定202と同じ種類の登録済み規定の一例である。
登録済み規定203の中の最新のバージョン番号はv2である。最新のバージョン番号v2の次のバージョン番号はv3である。
(1)更新用規定202の先頭状態aは登録済み規定203に存在する。規定登録部112は、登録済み規定203の中の開始から状態aへの状態遷移に次のバージョン番号v3を設定する。
(2)更新用規定202の2番目の状態bは登録済み規定203に存在する。更新用規定202の中の状態aから状態bへの状態遷移は登録済み規定203に存在する。規定登録部112は、登録済み規定203の中の状態aから状態bへの状態遷移に次のバージョン番号v3を設定する。
(3)更新用規定202の中の3番目の状態dは登録済み規定203に存在しない。規定登録部112は、状態dを登録済み規定203に追加し、状態bから状態dへの状態遷移を登録済み規定203に追加する。そして、規定登録部112は、登録済み規定203の中の状態bから状態dへの状態遷移に次のバージョン番号v3を設定する。
(4)更新用規定202の中の最終の状態cは登録済み規定203に存在する。更新用規定202の中の状態dから状態cへの状態遷移は登録済み規定203に存在しない。規定登録部112は、状態dから状態cへの状態遷移を登録済み規定203に追加する。そして、規定登録部112は、登録済み規定203の中の状態dから状態cへの状態遷移に次のバージョン番号v3を設定する。
(5)規定登録部112は、登録済み規定203の中の状態cから完了への状態遷移に次のバージョン番号v3を設定する。
【0047】
図8に基づいて、状態登録を説明する。状態登録は状態遷移管理方法の一部である。
ステップS121において、受付部111は、状態情報を受け付ける。
状態情報は、新たな状態を示す。
【0048】
状態情報は以下のように受け付けられる。
利用者は、状態情報を状態送信装置212に入力する。
状態送信装置212は、入力された状態情報を状態遷移管理装置100へ送信する。
受付部111は、送信された状態情報を受信する。
【0049】
ステップS122において、状態登録部114は、状態情報を受付部111から受け取り、状態用途を判定する。状態用途は、状態情報の用途を意味する。
状態用途には、状態登録と状態更新という種類がある。
状態登録用の状態情報を、状態登録情報と称する。状態登録情報は、状態保管部122に登録される。
状態更新用の状態情報を、状態更新情報と称する。状態更新情報は、登録状態情報の更新に用いられる。登録状態情報は、状態保管部122に登録されている状態情報である。
【0050】
状態用途は以下のように判定される。
利用者は、状態用途を指定できる。指定された状態用途は状態情報に示される。状態用途が状態情報に示される場合、状態登録部114は、状態情報を参照して状態用途を判定する。
状態用途が状態登録である場合、利用者は規定種類を指定する。指定された規定種類は状態情報に示される。規定種類が状態情報に示される場合、状態登録部114は、状態用途を状態登録と判定する。
状態用途が状態更新である場合、利用者は登録状態識別子を指定する。指定された登録状態識別子は状態情報に示される。登録状態識別子が状態情報に示される場合、状態登録部114は、状態用途を状態更新と判定する。登録状態識別子が状態情報に示されない場合、状態登録部114は、状態用途を状態登録と判定することができる。
【0051】
状態用途が状態登録である場合、処理はステップS130へ進む。
状態用途が状態更新である場合、処理はステップS140へ進む。
【0052】
ステップS130において、状態検証部113は、状態登録情報を状態登録部114から受け取り、状態登録情報を検証する。
【0053】
図9に基づいて、ステップS130の詳細を説明する。
ステップS131において、状態検証部113は、状態登録情報の中の規定種類と同じ種類の登録済み規定を規定保管部121から選択する。選択された登録済み規定を、選択規定と称する。
【0054】
ステップS132において、状態検証部113は、状態登録情報に基づいて、バージョン番号を特定する。特定されるバージョン番号を、特定番号と称する。
【0055】
特定番号は以下のように特定される。
利用者はバージョン番号を指定できる。指定されたバージョン番号は状態登録情報に示される。バージョン番号が状態登録情報に示される場合、状態検証部113は、状態登録情報に示されるバージョン番号を特定番号として特定する。バージョン番号が状態登録情報に示されない場合、状態検証部113は、選択規定の中の最新のバージョン番号を特定番号として特定する。
【0056】
ステップS133において、状態検証部113は、特定番号が設定された1つ以上の状態遷移を選択規定から選択する。
次に、状態検証部113は、選択された1つ以上の状態遷移の中の先頭状態を選択する。
そして、状態検証部113は、状態登録情報の中の新たな状態を選択された先頭状態と比較する。
【0057】
状態登録情報の中の新たな状態が選択された先頭状態と一致する場合、処理はステップS134へ進む。
状態登録情報の中の新たな状態が選択された先頭状態と一致しない場合、処理はステップS135へ進む。
【0058】
ステップS134において、状態検証部113は、状態登録可能と判定する。
そして、状態検証部113は、状態登録可能という情報と特定番号を示す検証結果を出力する。
【0059】
ステップS135において、状態検証部113は、状態登録不可と判定する。
そして、状態検証部113は、状態登録不可を示す検証結果を出力する。
【0060】
図10に基づいて、ステップS130の具体例を説明する。
状態登録情報204は、状態登録情報の一例である。
登録済み規定203は、状態登録情報204の中の規定種類αと同じ規定種類の登録済み規定である。
(1)バージョン番号は状態登録情報204に示されていない。登録済み規定203の中の最新のバージョン番号はv3である。登録済み規定203において、バージョン番号v3の先頭状態は状態aである。バージョン番号v3の先頭状態aと状態登録情報204の中の新たな状態aは一致する。この場合、状態検証部113は状態登録可能と判定する。
(2)状態登録情報204の中のバージョン番号はv1である。登録済み規定203において、バージョン番号v1の先頭状態は状態aである。バージョン番号v1の先頭状態aと状態登録情報204の中の新たな状態aは一致する。この場合、状態検証部113は状態登録可能と判定する。
(3)状態登録情報204の中のバージョン番号はv3である。登録済み規定203において、バージョン番号v3の先頭状態は状態aである。バージョン番号v3の先頭状態aと状態登録情報204の中の新たな状態wは一致しない。この場合、状態検証部113は状態登録不可と判定する。
【0061】
図8に戻り、説明を続ける。
ステップS130の後、処理はステップS123へ進む。
【0062】
ステップS123において、状態登録部114は、検証結果を状態検証部113から受け取り、検証結果を参照して状態登録可能か判定する。
状態登録可能である場合、処理はステップS124へ進む。
状態登録不可である場合、処理はステップS125へ進む。
【0063】
ステップS124において、状態登録部114は、新たな登録状態識別子を生成する。新たな登録状態識別子は、状態保管部122の中に存在しない登録状態識別子である。
そして、状態登録部114は、状態登録情報に基づいて新たな登録状態情報を生成し、新たな登録状態情報を状態保管部122に登録する。
新たな登録状態情報は、新たな登録状態識別子と、状態登録情報の中の新たな状態と、状態登録情報の中の規定種類と、検証結果の中のバージョン番号と、を示す。
【0064】
図11に基づいて、ステップS124の具体例を説明する。
登録状態情報205は、ID欄と状態欄と規定種類欄とVer番号欄と最新欄を有する。
ID欄は、登録状態識別子を示す。
状態欄は、状態を示す。
規定種類欄は、規定種類を示す。
Ver番号欄は、バージョン番号を示す。
最新欄は、状態欄の状態が最新状態であるか否かを示す。
【0065】
状態登録部114は、ID001の登録状態情報205を生成し、ID001の登録状態情報205を状態保管部122に登録している。
【0066】
図8に戻り、ステップS125を説明する。
ステップS125において、出力部115は、登録結果を状態登録部114から受け取り、登録結果を出力する。
ステップS123で状態登録可能と判定された場合、登録結果は、登録完了という情報と登録状態識別子を示す。
ステップS123で状態登録不可と判定された場合、登録結果は、登録エラーという情報と検証結果を示す。
【0067】
具体的には、出力部115は、登録結果を結果表示装置213へ送信する。結果表示装置213は、登録結果を受信し、登録結果をディスプレイに表示する。利用者は、表示された登録結果を確認する。
【0068】
ステップS125の後、処理は終了する。
【0069】
ステップS140から説明を続ける。
ステップS140において、状態検証部113は、状態更新情報を状態登録部114から受け取り、状態更新情報を検証する。
【0070】
図12に基づいて、ステップS140の詳細を説明する。
ステップS141において、状態検証部113は、状態更新情報の中の登録状態識別子と同じ登録状態識別子の登録状態情報を状態保管部122から選択する。選択される登録状態情報の状態欄に示される状態は最新状態である。選択された登録状態情報を、選択状態情報と称する。
【0071】
なお、状態更新情報の中の登録状態識別子と同じ登録状態識別子の登録状態情報が状態保管部122に存在しない場合、状態検証部113は、該当する登録状態情報が存在しないため状態登録不可という情報を示す検証結果を出力する。そして、処理は終了する。
【0072】
ステップS142において、状態検証部113は、選択状態情報の中の規定種類と同じ種類の登録済み規定を規定保管部121から選択する。選択された登録済み規定を、選択規定と称する。
【0073】
ステップS143において、状態検証部113は、状態更新情報に基づいて、バージョン番号を特定する。特定されるバージョン番号を、特定番号と称する。
【0074】
特定番号は以下のように特定される。
利用者はバージョン番号を指定できる。指定されたバージョン番号は状態更新情報に示される。バージョン番号が状態更新情報に示される場合、状態検証部113は、状態更新情報に示されるバージョン番号を特定番号として特定する。バージョン番号が状態更新情報に示されない場合、状態検証部113は、選択状態情報の中のバージョン番号を特定番号として特定する。
【0075】
ステップS144において、選択状態情報の中の最新状態から状態更新情報の中の新たな状態への状態遷移を、新たな状態遷移と称する。
まず、状態検証部113は、特定番号が設定された状態遷移を選択規定から選択する。
そして、状態検証部113は、新たな状態遷移を選択された状態遷移のそれぞれと比較する。
【0076】
新たな状態遷移が選択された状態遷移のいずれかと一致する場合、処理はステップS145へ進む。
新たな状態遷移が選択された状態遷移のいずれかとも一致しない場合、処理はステップS146へ進む。
【0077】
ステップS145において、状態検証部113は、状態登録可能と判定する。
そして、状態検証部113は、状態登録可能という情報と選択状態情報の中の規定種類と特定番号を示す検証結果を出力する。
【0078】
ステップS146において、状態検証部113は、状態登録不可と判定する。
そして、状態検証部113は、状態登録不可を示す検証結果を出力する。
【0079】
図13に基づいて、ステップS140の具体例を説明する。
状態更新情報206は、状態更新情報の一例である。
登録状態情報205は、状態更新情報206の中の登録状態識別子001と同じ登録状態識別子の登録状態情報である。
登録済み規定203は、登録状態情報205の中の規定種類αと同じ規定種類の登録済み規定である。
(1)バージョン番号は状態更新情報206に示されていない。選択状態情報の中のバージョン番号はv1である。登録状態情報205の中の最新状態bから状態更新情報206の中の新たな状態dへの状態遷移が新たな状態遷移となる。新たな状態遷移(b→d)は、登録済み規定203の中のバージョン番号v1のいずれの状態遷移とも一致しない。この場合、状態検証部113は状態登録不可と判定する。
(2)状態更新情報206の中のバージョン番号はv3である。登録状態情報205の中の最新状態bから状態更新情報206の中の新たな状態dへの状態遷移が新たな状態遷移となる。新たな状態遷移(b→d)は、登録済み規定203の中のバージョン番号v3の状態遷移(b→d)と一致する。この場合、状態検証部113は状態登録可能と判定する。
(3)状態更新情報206の中のバージョン番号はv3である。登録状態情報205の中の最新状態bから状態更新情報206の中の新たな状態wへの状態遷移が新たな状態遷移となる。新たな状態遷移(b→w)は、登録済み規定203の中のバージョン番号v3の状態遷移のいずれとも一致しない。この場合、状態検証部113は状態登録不可と判定する。
【0080】
図8に戻り、説明を続ける。
ステップS140の後、処理はステップS126へ進む。
【0081】
ステップS126において、状態登録部114は、検証結果を状態検証部113から受け取り、検証結果を参照して状態更新可能か判定する。
状態更新可能である場合、処理はステップS127へ進む。
状態更新不可である場合、処理はステップS128へ進む。
【0082】
ステップS127において、状態登録部114は、状態更新情報に基づいて、状態更新情報の中の登録状態識別子と同じ登録状態識別子の登録状態情報を更新する。
【0083】
具体的には、状態登録部114は、状態更新情報に基づいて新たな登録状態情報を生成し、新たな登録状態情報を状態保管部122に追加する。
新たな登録状態情報は、状態更新情報の中の登録状態識別子と、状態更新情報の中の新たな状態と、検証結果の中の規定種類と、検証結果の中のバージョン番号と、を示す。
【0084】
図14に基づいて、ステップS127の具体例を説明する。
状態登録部114は、ID001の新たな登録状態情報205を生成し、ID001の新たな登録状態情報205を状態保管部122に追加している。
状態登録部114は、ID001の前回の登録状態情報205の最新欄の情報を状態欄の状態が最新状態でないことを示す情報に変更している。
これにより、ID001の登録状態情報205が更新されている。
【0085】
ID001の登録状態情報205は、前回状態aと最新状態cを示すことになる。前回状態aと最新状態cでは、状態遷移のバージョン番号が異なっている。
状態遷移のバージョン番号は、全ての状態で同一であってもよいし、状態ごとに異なっても構わない。つまり、利用者は、状態登録ごとに異なるバージョン番号を指定することができる。
【0086】
図8に戻り、ステップS128を説明する。
ステップS128において、出力部115は、更新結果を状態登録部114から受け取り、更新結果を出力する。
ステップS126で状態更新可能と判定された場合、更新結果は、更新完了という情報と登録状態識別子を示す。
ステップS126で状態更新不可と判定された場合、更新結果は、更新エラーという情報と検証結果を示す。
【0087】
具体的には、出力部115は、更新結果を結果表示装置213へ送信する。結果表示装置213は、更新結果を受信し、更新結果をディスプレイに表示する。利用者は、表示された更新結果を確認する。
【0088】
ステップS128の後、処理は終了する。
【0089】
***実施の形態1の効果***
実施の形態1の主な特徴は、規定登録部112と状態検証部113である。特に、状態遷移のバージョンがイベント(アクション)として設定された状態遷移規定が登録されることが特徴である。また、新たな状態が入力された場合に新たな状態遷移が規定に則していることを確認した後に新たな状態が登録されることが特徴である。
従来、状態遷移のバージョンに応じて状態を追加したり状態を削除したりすることができなかった。
実施の形態1では、入力された状態遷移規定が新たなバージョンの規定として登録済みの状態遷移規定に追加される。つまり、実施の形態1は、状態の追加または状態の削除がなされた状態遷移のバージョンを管理できる、という効果を奏する。
状態が追加または状態が削除された状態遷移が別個の状態遷移規定として管理されると、状態遷移の進行中に状態遷移のバージョンを変更することができない。
実施の形態1では、バージョンがイベント(アクション)として設定された状態遷移規定が参照される。そのため、実施の形態1は、状態遷移の進行中であっても、指定されたバージョンの状態遷移を用いて、入力された状態が規定に則していることを確認できる、という効果を奏する。
【0090】
***実施の形態1の実施例***
登録済み規定および登録状態情報は、ネットワークを介して互いに通信する複数の状態遷移管理装置100によって管理されてもよい。例えば、登録済み規定および登録状態情報は、分散型台帳技術またはブロックチェーン技術を用いて管理される。
【0091】
実施の形態2.
複数の状態遷移管理装置100を活用する形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図15から
図17に基づいて説明する。
【0092】
***構成の説明***
図15に基づいて、状態遷移管理システム200の構成を説明する。
状態遷移管理システム200は、複数の状態遷移管理装置(100A、100B)を備える。
状態遷移管理装置100Aは、プライベートの状態遷移管理装置100である。
状態遷移管理装置100Bは、パブリックの状態遷移管理装置100である。
状態遷移管理装置100Aと状態遷移管理装置100Bのそれぞれが、2台以上存在してもよい。
【0093】
状態遷移管理装置100Aで管理される状態遷移情報は、特定の利用者または特定のシステムにだけ利用される。
状態遷移管理装置100Bで管理される状態遷移情報は、不特定多数の利用者または別システムに利用される。
【0094】
***動作の説明***
規定登録について説明する。
利用者は、登録用規定の規定情報を状態遷移管理装置100Aと状態遷移管理装置100Bのそれぞれに入力する。
利用者は、更新用規定の規定情報を状態遷移管理装置100Aまたは状態遷移管理装置100Bに入力する。
【0095】
規定情報が入力された状態遷移管理装置100Aの動作は、実施の形態1における状態遷移管理装置100の動作と同じである。入力された規定情報の中の状態遷移規定は、状態遷移管理装置100Aで管理される。
規定情報が入力された状態遷移管理装置100Bの動作は、実施の形態1における状態遷移管理装置100の動作と同じである。入力された規定情報の中の状態遷移規定は、状態遷移管理装置100Bで管理される。
【0096】
状態遷移規定の中の各状態には、公開可否が付される。
公開可否は、状態を公開することが可能か否かを示す。
【0097】
登録用規定は、内容が正しいことを予め確認されている。例えば、状態遷移管理システム200を利用する全ての事業者または一部の事業者が登録用規定が正しい状態遷移規定であることを予め確認する。
【0098】
状態登録について説明する。
利用者は、状態情報を状態遷移管理装置100Aに入力する。
状態情報は、新たな状態を示す。
【0099】
図16に基づいて、状態登録Aを説明する。状態登録Aは、状態遷移管理装置100Aにおける状態登録である。
【0100】
ステップS121において、受付部111は状態情報を受け付ける。
ステップS122において、状態登録部114は状態用途を判定する。
ステップS121およびステップS122は、実施の形態1で説明した通りである。
ステップS122の後、処理はステップS201へ進む。
【0101】
ステップS201において、状態登録部114は、新たな状態の公開可否を判定する。
【0102】
公開可否は以下のように判定される。
利用者は、公開可否を指定できる。指定された公開可否は状態情報に示される。
公開可否が状態情報に示される場合、状態登録部114は、状態情報を参照して状態可否を判定する。
公開可否が状態情報に示されない場合、状態登録部114は、状態遷移管理装置100Bへ状態情報と用途情報を送信して、公開可否を問い合わせる。用途情報は状態用途を示す。
状態遷移管理装置100Bにおいて、状態登録部114は、状態用途に応じて状態情報に対応する状態遷移規定を選択する(S131またはS142と同様)。状態登録部114は、選択した状態遷移規定から新たな状態に対応する状態を選択し、選択した状態に付された公開可否を参照する。そして、状態登録部114は、状態遷移管理装置100Aに公開可否を応答する。
【0103】
新たな状態が公開不可の状態である場合、状態遷移管理装置100Aは検証および登録/更新を実行する。具体的には、状態用途が状態登録であればステップS130およびステップS123からステップS125が実行され、状態用途が状態更新であればステップS140およびステップS126からステップS128が実行される。その後、処理は終了する。
新たな状態が公開可能である場合、処理はステップS202へ進む。
【0104】
ステップS202において、状態登録部114は、状態情報と用途情報を状態遷移管理装置100Bへ送信する。
ステップS202の後、後述する状態登録Bが状態遷移管理装置100Bにおいて実行され、処理はステップS203へ進む。
【0105】
ステップS203において、状態登録部114は、処理結果(登録結果または更新結果)を状態遷移管理装置100Bから受信する。
状態用途が状態登録である場合、登録結果が処理結果となる。
状態用途が状態更新である場合、更新結果が処理結果となる。
【0106】
ステップS203の説明を続ける。
出力部115は、処理結果を出力する(S125またはS128と同様)。
ステップS203の後、処理はステップS204へ進む。
【0107】
ステップS204において、状態登録部114は処理結果を判定する。
処理結果が登録完了または更新完了を示す場合、状態遷移管理装置100Aは検証および登録/更新を実行する。その後、処理は終了する。
処理結果が登録エラーまたは更新エラーを示す場合、処理は終了する。
【0108】
図17に基づいて、状態登録Bを説明する。状態登録Bは、状態遷移管理装置100Bにおける状態登録である。
【0109】
ステップS211において、状態登録部114は、状態情報と用途情報を状態遷移管理装置100Aから受信する。
ステップS211の後、処理はステップS122へ進む。
【0110】
ステップS122において、状態登録部114は状態用途を判定する。
ステップS122は、実施の形態1で説明した通りである。
【0111】
ステップS122の後、状態遷移管理装置100Bは検証および登録/更新を実行する。具体的には、状態用途が状態登録であればステップS130、ステップS123およびステップS124が実行され、状態用途が状態更新であればステップS140、ステップS126およびステップS127が実行される。
その後、処理はステップS212へ進む。
【0112】
ステップS212において、状態登録部114は、処理結果(登録結果または更新結果)を状態遷移管理装置100Aへ送信する。
ステップS212の後、処理は終了する。
【0113】
***実施の形態2の効果***
実施の形態2は、複数の状態遷移管理装置100を活用する。
複数の状態遷移管理装置100を活用することで、例えば、複数の事業者のそれぞれで状態遷移管理を行うことができる。具体的には、状況に応じて、特定の事業者のみが管理する状態遷移と、多数の事業者が共同で管理する状態遷移と、を使い分けることができる。これにより、共有される状態遷移を管理しつつ、他の事業者には公開されない状態遷移を管理できる。
【0114】
***実施の形態2の実施例***
状態遷移管理システム200は、状態遷移管理装置100Aにおける処理結果が登録エラーまたは更新エラーである場合に新たな状態が状態遷移管理装置100Bに登録されない、という機能を有してもよい。
例えば、状態遷移管理装置100Aにおいて処理結果が登録エラーまたは更新エラーである場合、状態登録部114は新たな状態の削除を状態遷移管理装置100Bに要求する。状態遷移管理装置100Bにおいて、状態登録部114は要求を受けると新たな状態の登録状態情報を削除する。
【0115】
***実施の形態の補足***
図18に基づいて、状態遷移管理装置100のハードウェア構成を説明する。
状態遷移管理装置100は処理回路109を備える。
処理回路109は、受付部111と規定登録部112と状態検証部113と状態登録部114と出力部115を実現するハードウェアである。
処理回路109は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサ101であってもよい。
【0116】
処理回路109が専用のハードウェアである場合、処理回路109は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0117】
状態遷移管理装置100は、処理回路109を代替する複数の処理回路を備えてもよい。
【0118】
処理回路109において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。
【0119】
このように、状態遷移管理装置100の機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
【0120】
各実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本開示の技術的範囲を制限することを意図するものではない。各実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【0121】
状態遷移管理装置100の各要素の「部」は、「処理」、「工程」、「回路」または「サーキットリ」と読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0122】
100 状態遷移管理装置、101 プロセッサ、102 メモリ、103 補助記憶装置、104 通信装置、105 入出力インタフェース、109 処理回路、111 受付部、112 規定登録部、113 状態検証部、114 状態登録部、115 出力部、120 記憶部、121 規定保管部、122 状態保管部、200 状態遷移管理システム、201 登録用規定、202 更新用規定、203 登録済み規定、204 状態登録情報、205 登録状態情報、206 状態更新情報、211 規定送信装置、212 状態送信装置、213 結果表示装置。
【要約】
規定登録部(112)は、受け付けられた状態遷移規定が登録用規定である場合に前記登録用規定の中の1つ以上の状態遷移のそれぞれに最初のバージョン番号をイベントとして設定し、設定後の前記登録用規定を規定保管部に登録する。規定登録部(112)は、受け付けられた状態遷移規定が更新用規定である場合に前記更新用規定と同じ種類の状態遷移規定を前記規定保管部から選択し、前記更新用規定の前記1つ以上の状態遷移のうち選択された状態遷移規定の中に存在しない状態遷移のそれぞれを前記選択された状態遷移規定に追加し、前記選択された状態遷移規定の中の最新のバージョン番号の次のバージョン番号を前記選択された状態遷移規定の中の前記1つ以上の状態遷移のそれぞれにイベントとして設定する。