(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】トランジスタ構造
(51)【国際特許分類】
H10D 30/60 20250101AFI20250108BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L29/78 301R
H01L29/78 301S
H01L21/76 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187840
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521531148
【氏名又は名称】インベンション アンド コラボレーション ラボラトリー プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(73)【特許権者】
【識別番号】508059915
【氏名又は名称】エトロン テクノロジー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Etron Technology,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 立平
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-136376(JP,A)
【文献】特開2019-102797(JP,A)
【文献】特開2014-063929(JP,A)
【文献】特開2023-070664(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103219366(CN,A)
【文献】特開2015-050196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0018464(US,A1)
【文献】特開2014-165495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0155739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027603(US,A1)
【文献】特開2013-038301(JP,A)
【文献】特開2006-165480(JP,A)
【文献】米国特許第08084318(US,B2)
【文献】特開2012-069864(JP,A)
【文献】特開2010-129770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン構造を持つ基板と、
底部及び該底部から上方に延在する上部を有する絶縁壁であり、前記上部が前記フィン構造の側壁をクランプする絶縁壁と、
前記フィン構造及び前記絶縁壁の上のゲート領域と、
前記絶縁壁の前記上部を支え、前記絶縁壁の前記底部よりも上に位置する少なくとも1つの支持ビームであり、当該少なくとも1つの支持ビームの延在方向が、前記絶縁壁の前記上部の延在方向とは異なる、少なくとも1つの支持ビームと、
を有し、
前記絶縁壁は、前記フィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている、
トランジスタ構造。
【請求項2】
前記絶縁壁は、前記フィン構造の4つの側壁をクランプする、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項3】
前記絶縁壁を取り囲むSTI層、を更に有する請求項2に記載のトランジスタ構造。
【請求項4】
当該トランジスタ構造は更に、前記フィン構造の前記側壁と前記絶縁壁との間に配置されたシートチャネル層を有し、該シートチャネル層は
エピタキシャル半導体層である、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項5】
前記ゲート領域は、前記フィン構造の上のゲート誘電体層と、該ゲート誘電体層の上のゲート導電層と、該ゲート導電層の上のキャップ層とを有する、請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項6】
前記絶縁壁は、前記ゲート誘電体層、前記ゲート導電層、及び前記キャップ層の形成中に前記フィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている、請求項5に記載のトランジスタ構造。
【請求項7】
前記ゲート領域の側壁上のスペーサ層、を更に有する請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項8】
前記基板の当初表面の下の第1の凹部内に第1の導電領域が形成されている、請求項
1に記載のトランジスタ構造。
【請求項9】
フィン構造を持つ基板と、
底部及び該底部から上方に延在する上部を有する複合構造であり、前記上部が前記フィン構造の側壁をクランプ
し、当該複合構造は更に、少なくとも1つの支持ビームを有し、該少なくとも1つの支持ビームは、当該複合構造の前記上部を支え、且つ当該複合構造の前記底部よりも上に位置し、前記少なくとも1つの支持ビームの延在方向が、当該複合構造の前記上部の延在方向とは異なる、複合構造と、
前記フィン構造及び前記複合構造の上のゲート領域と、
を有し、
前記複合構造は、前記フィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている、
トランジスタ構造。
【請求項10】
前記複合構造は、前記フィン構造の前記側壁をクランプする支持壁と、該支持壁を支える支持ビームとを有する、請求項9に記載のトランジスタ構造。
【請求項11】
前記支持壁は、前記フィン構造の底部から第1方向に延在し、前記支持ビームは、前記支持壁の前記第1方向とは異なる第2方向に延在する、請求項10に記載のトランジスタ構造。
【請求項12】
前記支持壁及び前記支持ビームは窒化物からなる、請求項10に記載のトランジスタ構造。
【請求項13】
前記支持ビームは前記支持壁に当接している、請求項10に記載のトランジスタ構造。
【請求項14】
前記複合構造は、前記フィン構造の前記側壁をクランプする支持壁と、該支持壁を支える複数の支持ビームとを有する、請求項9に記載のトランジスタ構造。
【請求項15】
チャネル領域
であり、前記ゲート領域が当該チャネル領域の上にある、チャネル領域と、
シャロートレンチアイソレーション領域と、
前記ゲート領域と前記シャロートレンチアイソレーション領域との間の第1の導電領域であり、前記チャネル領域に電気的に接触している第1の導電領域と、
前記ゲート領域と前記シャロートレンチアイソレーション領域との間の金属領域と、
を
更に有し、
前記第1の導電領域の少なくとも2つの面が前記金属領域に接触している、
請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項16】
前記シャロートレンチアイソレーション領域は
前記基板の当初表面よりも上まで延在し、前記第1の導電領域は前記シャロートレンチアイソレーション領域の上にはない、請求項15に記載のトランジスタ構造。
【請求項17】
前記金属領域は前記第1の導電領域の頂面及び側壁と接触している、請求項15に記載のトランジスタ構造。
【請求項18】
前記第1の導電領域の底部の下のL字形アイソレータ、を更に有する請求項15に記載のトランジスタ構造。
【請求項19】
チャネル領域
であり、前記ゲート領域が当該チャネル領域の上にある、チャネル領域と、
前記チャネル領域を取り囲むシャロートレンチアイソレーション領域と、
前記チャネル領域に電気的に接触している第1の導電領域と、
を
更に有し、
前記ゲート領域の底面が前記第1の導電領域の底面よりも下にある、
請求項1に記載のトランジスタ構造。
【請求項20】
前記ゲート領域の前記底面は、前記シャロートレンチアイソレーション領域の一部の上にある、請求項19に記載のトランジスタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタ構造に関し、特に、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、をクランプする固体壁を形成し(該固体壁を強固にするために追加の梁状構造が設けられ得る)、ソース/ドレインのエッジとゲートのエッジとの間の相対的な位置又は距離を制御可能にし、ソース/ドレインの抵抗を改善し、ソース/ドレイン領域の大部分を絶縁材料によってアイソレートすることができるトランジスタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
FIN構造(FinFET又はトライゲート)を持つ最先端の電界効果トランジスタ(例えば、NMOS(N型金属酸化膜半導体)トランジスタ)の一例を
図1に示す。絶縁材料(例えば、酸化物、又は酸化物/窒化物、又は一部のhigh-k誘電体など)を用いて他のトランジスタの側壁から絶縁された側壁を持つ三次元(3D)シリコン表面上に、(金属、ポリシリコン、ポリサイドなどのような)何らかの導電材料を絶縁体の上に用いたNMOSトランジスタのゲート構造10が形成される。イオン注入に熱アニーリングを加えた技術で高濃度のn型(n+)ドーパントをp型基板(又はpウェル)に注入することによって、NMOSトランジスタのソース11とドレイン12が形成され、ひいては、2つの離隔されたn+/pジャンクション領域がもたらされる。
【0003】
また、衝突電離及びホットキャリア注入を減少させるために、高濃度ドープトn+/pジャンクションに先立って、イオン注入に熱アニーリングを加えた技術によってソース11及びドレイン12の前に低濃度ドープトドレイン(n-型LDD)13を形成することが一般的であり、このようなイオン注入に熱アニーリングを加えた技術は、(
図1に示すように)ゲート構造10の下にある3D活性領域の部分に入り込んだLDD13を生じさせることが多い。従って、LDD13同士の間の有効チャネル長14が不可避的に短くなる。
【0004】
一方で、製造プロセス技術の進歩は、NMOSトランジスタのジオメトリを水平及び垂直の両方向の寸法でスケールダウンする(例えば、ラムダ(λ)と呼ばれる最小フィーチャーサイズを28nmから5nm又は3nmに縮小するなど)ことによって、急速に前進し続けている。しかし、このようなFinFET又はトライゲートジオメトリのスケーリングに起因して、多数の問題が導入されたり悪化したりする:
(1)水平及び垂直の両方向の寸法がスケールダウン縮小されるにつれて、ゲート、スペーサ、及びイオン注入形成を用いた従来のセルフアライン法のみでは、LDDジャンクションエッジ(又はソース/ドレインエッジ)をゲート構造10のエッジに完璧な位置でアライメントすることが難しくなっている。また、イオン注入ダメージを除去するための熱アニーリング技術は、様々なエネルギー源や他の熱プロセスを用いることによる例えば急速熱アニーリング法などの高温処理技術に頼らなければならない。斯くして引き起こされる1つの問題はゲート誘起ドレインリーク(gate-induced drain leakage;GIDL)電流であり、生じるGIDL電流は、リーク電流を減らすために最小化されるべきであるというのが事実であるにもかかわらず、制御するのが困難であり、引き起こされる他の問題は、有効チャネル14の長さを制御するのが困難であり、それ故に短チャネル効果(short channel effect;SCE)が殆ど最小化されないことである。さらに、GIDLを制御し得るようにソース/ドレインエッジとゲート構造10のエッジとの間の相対位置を調節することも困難である;
(2)また、LDD13(又はNMOSにおけるn+/pジャンクション、若しくはPMOS(p型金属酸化膜半導体)におけるp+/nジャンクション)を形成するためのイオン注入は、シリコン表面の上から基板に真っ直ぐ下に基板にイオンを挿入するための砲撃のように作用するので、より高いドーピング濃度を持つ頂面から、より低いドーピング濃度を持つジャンクション領域へと、ドーパント濃度が垂直方向に不均一に分布するため、ソース11及びドレイン12から有効チャネル14及び基板本体領域まで欠陥の少ない均一な材料界面を作るのが困難である;
(3)さらに、水平方向の寸法が7nm、5nm、又は3nmへとスケールダウンされるとき、NMOSトランジスタのフィン構造の高さ(垂直方向の寸法)(例えば60-300nmなど)が、NMOSトランジスタのフィン構造の幅(水平方向の寸法)(例えば3-7nmなど)よりも遥かに大きくなり、その結果、フィン構造が脆弱になったり、さらには、続くプロセス(例えばソース/ドレイン形成、ゲート形成など)中に倒壊したりする。
【0005】
故に、本発明は、上述の1)-3)の問題を解決するためのトランジスタ構造を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態はトランジスタ構造を提供する。当該トランジスタ構造は、基板と、絶縁壁と、ゲート領域とを含む。基板はフィン構造を有する。絶縁壁は、フィン構造の側壁をクランプする。ゲート領域は、フィン構造及び絶縁壁の上にあり、絶縁壁は、フィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている。
【0007】
本発明の一態様によれば、絶縁壁は、フィン構造の4つの側壁をクランプする。
【0008】
本発明の一態様によれば、当該トランジスタ構造は更に、絶縁壁を取り囲むSTI層を含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、当該トランジスタ構造は更に、フィン構造の側壁と絶縁壁との間に配置されたシートチャネル層を含み、該シートチャネル層は選択エピタキシャル成長によって形成されている。
【0010】
本発明の一態様によれば、ゲート領域は、フィン構造の上のゲート誘電体層と、該ゲート誘電体層の上のゲート導電層と、該ゲート導電層の上のキャップ層とを含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、絶縁壁は、ゲート誘電体層、ゲート導電層、及びキャップ層の形成中にフィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている。
【0012】
本発明の一態様によれば、当該トランジスタ構造は更に、ゲート領域の側壁上のスペーサ層を含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、基板の当初表面の下の第1の凹部内に第1の導電領域が形成されている。
【0014】
本発明の他の一実施形態はトランジスタ構造を提供する。当該トランジスタ構造は、基板と、複合構造と、ゲート領域とを含む。基板はフィン構造を有する。複合構造は、フィン構造の側壁をクランプする。ゲート領域は、フィン構造及び複合構造の上にあり、複合構造は、フィン構造が倒壊するのを防止するように構成されている。
【0015】
本発明の一態様によれば、複合構造は、フィン構造の側壁をクランプする支持壁と、該支持壁を支える支持ビームとを含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、支持壁は、フィン構造の底部から第1方向に延在し、支持ビームは、支持壁の第1方向とは異なる第2方向に延在する。
【0017】
本発明の一態様によれば、支持壁及び支持ビームは窒化物からなる。
【0018】
本発明の一態様によれば、支持ビームは支持壁に当接している。
【0019】
本発明の一態様によれば、複合構造は、フィン構造の側壁をクランプする支持壁と、該支持壁を支える複数の支持ビームとを含む。
【0020】
本発明の他の一実施形態はトランジスタ構造を含み、当該トランジスタ構造は、当初表面を持つ基板と、チャネル領域と、チャネル領域の上のゲート領域と、シャロートレンチアイソレーション領域と、ゲート領域とシャロートレンチアイソレーション領域との間の第1の導電領域であり、チャネル領域に電気的に接触している第1の導電領域と、ゲート領域とシャロートレンチアイソレーション領域との間の金属領域と、を含み、第1の導電領域の少なくとも2つの面が金属領域に接触している。
【0021】
本発明の一態様によれば、シャロートレンチアイソレーション領域は当初表面よりも上まで延在し、第1の導電領域はシャロートレンチアイソレーション領域の上にはない。
【0022】
本発明の一態様によれば、金属領域は第1の導電領域の頂面及び側壁と接触している。
【0023】
本発明の一態様によれば、当該トランジスタ構造は更に、第1の導電領域の底部の下のL字形アイソレータを含む。
【0024】
本発明の他の一実施形態はトランジスタ構造を含み、当該トランジスタ構造は、当初表面を持つ基板と、チャネル領域と、チャネル領域の上のゲート領域と、チャネル領域を取り囲むシャロートレンチアイソレーション領域と、チャネル領域に電気的に接触している第1の導電領域と、を含み、ゲート領域の底面が第1の導電領域の底面よりも下にある。
【0025】
本発明の一態様によれば、ゲート領域の底面は、シャロートレンチアイソレーション領域の一部の上にある。
【0026】
様々な図及び図面に示される好適実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、本発明のこれら及び他の目的が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】先行技術に従ったFinFETを示す図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態に従ったフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】パッド酸化物層が成長され、パッド窒化物層が堆積され、トレンチ及び半導体層が形成され、半導体層上に酸化物スペーサが堆積され、酸化物スペーサ上に窒化物スペーサが堆積されることを示す図である。
【
図4】シャロートレンチアイソレーション(STI)が形成され、活性領域とアイソレーション領域とにまたがるゲートエリアが画成されることを示す図である。
【
図5】ゲート材料が形成され、複合キャップ層が堆積され、STIがエッチングされ、パッド窒化物層が除去されることを示す図である。
【
図6】パッド酸化物層がエッチング除去され、STIの一部がエッチバックされ、酸化物2スペーサ及び窒化物2スペーサが形成され、一部の露出したシリコンエリアがエッチング除去されて、ソース及びドレイン用の浅いトレンチが作り出されることを示す図である。
【
図7】酸化物3層が熱成長されることを示す図である。
【
図8】酸化物3層がエッチング除去され、SEG技術によってソース及びドレインが形成されることを示す図である。
【
図9】SCBFETの断面と、SCBFETの該断面に対応するY方向ドーピング濃度及びX方向ドーピング濃度を示す図である。
【
図10】台形の形状であるSCBFETの断面を示す図である。
【
図11】薄いシートチャネル層のないSCBFETの断面を示す図である。
【
図13】酸化物層を堆積させ、CMP技術を用いて余分な酸化物層を除去してSTIを形成し、STI上に窒化物膜を堆積させることを示す図である。
【
図14】窒化物膜上にSTIを形成し、活性領域とアイソレーション領域とにまたがるゲートエリアを画成し、ゲートエリアに対応するパッド酸化物層及びパッド窒化物層をエッチング除去し、ゲートエリアに対応するSTIをエッチバックし、ゲート誘電体材料を形成し、凹部内にゲート材料を堆積させ、次いで、ゲート材料をエッチバックし、複合キャップ層を形成して該複合キャップ層を研磨することを示す図である。
【
図15】STIの一部をエッチングし、パッド窒化物層を除去し、パッド酸化物層をエッチング除去し、STIをエッチバックし、ゲート材料及び複合キャップ層のエッジ上に酸化物2スペーサ及び窒化物2スペーサを形成することを示す図である。
【
図16】露出したシリコンをエッチング除去し、酸化物3層を熱成長させることを示す図である。
【
図17】酸化物3層の一部をエッチング除去し、次いでn型低濃度ドープトドレイン(LDD)を形成し、次いでn+ドープトソース及びn+ドープトドレインを形成することを示す図である。
【
図18】窒化物膜が数回堆積されることを示す図である。
【
図19】融合半導体ジャンクション・メタルコンダクタ(MSMC)構造が形成されることを示す図である。
【
図20A】融合半導体ジャンクション・メタルコンダクタ(MSMC)構造が本発明の他の一実施形態に従って形成されること構造を示す図である。
【
図20B】融合半導体ジャンクション・メタルコンダクタ(MSMC)構造が本発明の他の一実施形態に従って形成されること構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1実施形態
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11を参照されたい。
図2Aは、本発明の第1実施形態に従ったフィン電界効果トランジスタ(FinFET)の製造方法を示すフローチャートであり、
図2AにおけるFinFETの製造方法は、FinFETが持つゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流及び短チャネル効果(SCE)を低くすることができ、また、FinFETの活性領域又は幅狭フィン構造をクランプする固体壁を形成することができる。詳細な手順は次の通りである。
【0029】
工程10:開始。
【0030】
工程20:p型ウェル202に基づいて活性領域を画成し、フィン構造を形成する。
【0031】
工程30:p型ウェル202の当初水平表面(original horizontal surface;OHS)の上にFinFETのゲートを形成する。
【0032】
工程40:FinFETのソース及びドレインを形成する。
【0033】
工程50:終了。
【0034】
図2Bと
図3を参照されたい。工程20は以下を含み得る。
【0035】
工程102:パッド酸化物層204を成長させ、パッド窒化物層206を堆積させる。
【0036】
工程104:活性領域を画成し、活性領域の外側のシリコン材料の部分を除去してトレンチ210を作り出すとともにフィン構造を形成する。
【0037】
工程106:酸化物スペーサ304を形成し、酸化物スペーサ304をエッチバックし、窒化物スペーサ306を形成する。
【0038】
【0039】
工程108:酸化物層を堆積させ、化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)技術を用いて余分な酸化物層を除去してSTI402を形成する。
【0040】
工程110:活性領域とアイソレーション領域とにまたがるゲートエリアを画成し、ゲートエリアに対応するパッド酸化物層204及びパッド窒化物層206をエッチング除去し、ゲートエリアに対応するSTI402をエッチバックする。
【0041】
工程112:ゲート誘電体材料502を形成し、凹部404内にゲート材料504を堆積させ、次いで、ゲート材料504をエッチバックする。
【0042】
工程114:複合キャップ層506を形成し、CMP技術により複合キャップ層506を研磨する。
【0043】
【0044】
工程116:STI402、窒化物スペーサ306をエッチバックし、パッド窒化物層206を除去する。
【0045】
工程118:パッド酸化物層204をエッチング除去し、STI402をエッチバックする。
【0046】
工程120:ゲート材料504及び複合キャップ層506のエッジ上に酸化物2スペーサ802及び窒化物2スペーサ804を形成する。
【0047】
工程122:露出したシリコンをエッチング除去する。
【0048】
工程124:酸化物3層1002を熱成長させる。
【0049】
工程126:酸化物3層1002部分をエッチング除去し、次いで、n型低濃度ドープトドレイン(LDD)1102、1104を形成し、次いで、n+ドープトソース1106及びn+ドープトドレイン1108を形成する。
【0050】
上述の製造方法の詳細な説明は以下の通りである。よく設計されたドープされたp型ウェル202から開始し、p型ウェル202はp型基板200内に設けられ(本発明の他の実施形態では、p型ウェル202から始めるのではなくp型基板200から始め得る)、一例において、p型ウェル202は、その頂面をOHSから約500nmカウントダウンされ、より低濃度(パンチスルー注入ドーパントプロファイルを含めても)にドープされた基板であった最先端FinFETで使用されている濃度よりも高い(例えば)5×1018ドーパント/cm3に近い濃度を持つ。また、例えば、p型基板200は1×1016ドーパント/cm3に近い、より低い濃度を持つ。実際のドーパント濃度は、最終的な大量生産の最適化によって決定されることになる。結果として、大部分が空乏化されるフィン基板(これは、殆ど制御又は安定化されない電圧フローティングボディのように振る舞い、電圧安定ボディを有する半導体トランジスタよりも望ましくない)を生じさせるのではなく、FinFETのボディの大部分にわたってp型基板電圧(通常は接地され、すなわち、0V)を供給することができる。
【0051】
工程102にて、
図3(a)に示すように、OHSを覆って、よく設計された厚さのパッド酸化物層204を成長させ、そして、パッド酸化物層204の頂面上に、よく設計された厚さのパッド窒化物層206を堆積させる。
【0052】
工程104にて、
図3(a)に示すように、フォトリソグラフィマスキング技術を用いて、異方性エッチング技術によりFinFETの活性領域を画成し、該異方性エッチング技術は、活性領域の外側のOHSに対応するシリコン材料の部分を除去して、後のSTI(シャロートレンチアイソレーション)ニーズ向けのトレンチ210(例えば、約300nm深さ)を作り出し、その結果、FinFETのフィン構造も作り出される。また、
図3(b)は、
図3(a)に対応する上面図であり、
図3(a)は、
図3(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。
【0053】
工程106にて、
図3(a)に示すように、露出したシリコン表面(フィン構造の2つの側壁とトレンチ210の底領域の頂面)を覆って、例えば選択エピタキシャル成長(selective epitaxial growth;SEG)技術などの選択成長法を用いて半導体層302を成長させる(以下、シートチャネル層(SCL)と命名し、該SCLは、詳細なデバイス設計に合わせて十分に調節されるべき約1-2nm厚のモノリシックp型ドープトシリコンとし得る)。他の一例において、このシートチャネル層(SCL)はオプションである。半導体層302上に酸化物スペーサ304を堆積させ、そして、異方性エッチング技術を用いて酸化物スペーサ304をエッチバックして、酸化物スペーサ304の頂面をOHSに一致する高さにする。次いで、酸化物スペーサ304上に窒化物スペーサ306を堆積させ、窒化物スペーサの頂面をパッド窒化物層206の頂面に一致する高さにする。加えて、酸化物スペーサ304及び窒化物スペーサ306はFinFETの活性領域の外側にある。従って、ここで重要な点は、酸化物スペーサ304と窒化物スペーサ306とで、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、をクランプする固体壁を形成することである。この固体クランプ壁は、FinFETのソース/ドレイン又はゲートの形成中に幅狭フィン構造が倒壊しないように保護するための単層又は他の複合キャップ層とし得る。
【0054】
ここで重要なもう1つの点は、半導体層302がFinFETのチャネル領域(これは、ゲート電圧がどのように印加されるのかに依存してチャネル導通領域に完全に反転されるまで空乏領域に変えられることになる)に使用されることである。それ故に、半導体層302のドーピング濃度は、FinFETの閾値電圧に影響を与え、反転下で電子キャリアを持つ主要な導電層を形成してn型ソースとn型ドレインの双方を接続する。SEG層302がFinFETのバルクボディとは別に形成されるので、最も望ましい設計は、FinFETのバルクボディのいっそう安定な電圧条件による影響をあまり受けずに、空乏化から反転へと変化されるオフからオンへのチャネル導通条件が半導体層302の内部で殆ど生じるように、フィンボディのドーピング濃度よりも好ましく低いドーピング濃度(例えば、1×1016から3×1018)を持つことである。さらに、フィーチャサイズ(すなわち、ラインの寸法)が水平方向にスケールダウンされ続けるにつれて、フィンが比例して薄く且つ高くされてきているので、半導体層302もフィンの機械的安定性を強化する。より高いフィンは、(フィンが狭くなるにつれての不所望なチャネル衝突に起因するキャリア移動度の低下を補償するために)デバイス幅を増加させることができるが、一部の幅狭フィンの物理的な倒壊を生じさせてしまい得る。
【0055】
工程108にて、
図4(a)に示すように、厚い酸化物層を堆積させてトレンチ210を完全に充填し、CMP技術を用いて余分な酸化物層を除去してSTI402を形成する。STI402の頂面はパッド窒化物層206の頂面に一致する高さにある。やはり、STI402が更に、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、を包囲又はクランプして、FinFETのソース/ドレイン又はゲートを形成する際に幅狭フィン構造を倒壊から保護する。また、
図4(b)は、
図4(a)に対応する上面図であり、
図4(a)は、
図4(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。
【0056】
次いで、工程110にて、
図4(a)に示すように、フォトリソグラフィックマスキング技術を用いて、アクティブ領域とSTIアイソレーション領域とにまたがるゲートエリアを画成して、ゲートエリアに対応するパッド酸化物層204及びパッド窒化物層206が除去されて凹部404を作り出すようにする。さらに、ゲートエリアに対応するSTI402も一定量(例えば、40-80nm深さ)だけ下にエッチングされて、ゲートエリアに対応するエッチングされたSTI領域とフィン表面との間に段差構造を形成する。ゲートエリアに対応する酸化物スペーサ304及び窒化物スペーサ306も除去され得る。従って、半導体層302の上部が露出され、FinFETのゲート用の滑らかなラインエッジラフネスが提供される。
【0057】
工程112にて、
図5(a)に示すように、凹部404内(ゲートエリアに対応するエッチングされたSTI402とフィン表面との間の段差構造も)にゲート誘電体材料502(複合材料又は酸化物)が形成され、そして、ゲート誘電体材料502の上にゲート材料504(例えば、TiN5042を覆うタングステン5044のようなメタル)が堆積される。次いで、ゲート材料504の頂面を、残存したパッド窒化物層206の頂面に一致する高さにするために、CMP技術によってゲート材料504が研磨され、そして、ゲート材料504をエッチバックして、ゲート材料504の頂面を残存パッド窒化物層206の頂面より下にする。従って、トライゲート構造が存在し得る。
【0058】
次いで、工程114にて、
図5(a)に示すように、ゲート材料504の頂面上で凹部404内に、窒化物1層5062とハードマスク酸化物層5064とで構成された複合キャップ層506を堆積させる。複合キャップ層506は、ゲート材料504の保護するために使用される。次いで、複合キャップ層506の頂面をパッド窒化物206の頂面に一致する高さにするために、CMP技術によって複合キャップ層506が研磨される。また、
図5(b)は、
図5(a)に対応する上面図であり、
図5(a)は、
図5(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。
【0059】
工程116にて、
図6(a)に示すように、STI402及び窒化物スペーサ206をエッチングし、パッド窒化物層206を除去して、STI402の頂面をパッド酸化物層204の頂面に一致する高さにする。
【0060】
同様に、工程116まで、フィンの2つの側壁上に2つの半導体層302(シートチャネル層、SCL)(これら2つの半導体層302をそれぞれQleft及びQrightと命名する)が形成されているが、フィン構造の頂面はSCLを有しておらず、それ故に、より高いドーピング濃度を持つ上部MOSFET(Qtop)の閾値電圧は、FinFETの2つの側壁のものよりも高くなり得る)。
【0061】
工程118にて、
図6(a)に示すように、パッド酸化物層204をエッチング除去し、STI402の一部をエッチバックする。
【0062】
次いで、工程120にて、
図6(a)に示すように、ゲート材料504及び複合キャップ層506のエッジに、酸化物2層を堆積させて酸化物2スペーサ802を形成し、窒化物2層を堆積させて窒化物2スペーサ804を形成する。また、
図6(b)は、
図6(a)に対応する上面図であり、
図6(a)は、
図6(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。
【0063】
他の一例において、STI402を保持してパッド窒化物層206を除去することで、STI402がなおもフィン構造を取り囲むようにすることが可能である。次いで、
図6(c)に示すように、パッド酸化物層204がエッチング除去され、残存したSTI402が依然としてOHSよりも高い頂面を持つようにSTI402の一部がエッチング除去される。従って、OHSよりも高い頂面を持つ残存STI402によってフィン構造が取り囲まれる。
【0064】
次いで、工程122にて、
図7(a)に示すように、一部の露出したシリコンエリアをエッチング除去して、FinFETのソース及びドレイン用の浅いトレンチ902(例えば、約50nm深さ)を作り出す。
【0065】
工程124にて、
図7(a)に示すように、酸化3プロセスと呼ぶ熱酸化プロセスを用いて酸化物3層1002を成長させる(FinFETのバルクボディ(シャープな結晶方位(110)を持つと仮定)の垂直側壁に入り込む酸化物3V層10022と、浅いトレンチ902の底の頂面上の酸化物3B層10024との両方を含む)。浅いトレンチ902の2つの側壁は酸化物2スペーサ802と窒化物2スペーサ804との垂直複合材料を持ち、浅いトレンチ902の他の側壁は酸化物スペーサ304と窒化物スペーサ306に接しているので、FinFETのソース/ドレインの幅はこのような熱酸化プロセスによって全く影響されない。また、
図7及び後続の図に描く酸化物3V層10022及び酸化物3B層10024の厚さは、単に説明の目的で示すものであり、そのジオメトリは、それらの図に示されるSTI402の寸法に比例していない。例えば、酸化物3V層10022と酸化物3B層10024の厚さはおおよそ20-30nmであるが、STI402の垂直方向の高さはおおよそ200-250nmであるとし得る。
【0066】
しかし、どちらも精密に制御された熱酸化温度、タイミング及び成長レートの下で酸化物3V層10022の厚さを非常に正確に制御することができるように、酸化3プロセスを設計することが非常に重要である。きちんと画成されたシリコン表面上での熱酸化は、酸化物3V層10022の厚さのうち40%がFinFETボディの垂直壁の露出した(110)シリコン表面の厚さから持ち去られ、酸化物3V層10022の厚さのうち残りの60%がFinFETボディの垂直壁の外側への追加と見なされるという結果をもたらすはずである(酸化物2スペーサ802/窒化物2スペーサ804に対する、このような酸化物3V層10022についての40%と60%の配分を、
図7中に破線によって特に明確に描いており、そうしているのは、その重要性が以下のテキスト中ではっきりと述べられることになるからである)。また、
図7(b)は、
図7(a)に対応する上面図であり、
図7(a)は、
図7(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。また、
図7(c)は、
図6(c)の構造に基づいた、酸化3プロセスの他の一例を示している。
【0067】
工程126にて、
図8(a)に示すように、先ず酸化物3層1002をエッチング除去する。そして、例えばSEG技術などの選択成長法を用いて、n型LDD1102、1104を形成し、次いでn+ドープトソース1106及びn+ドープトドレイン1108を形成する。従って、FinFETの主要な部分が完成される。また、
図8(b)は、
図8(a)に対応する上面図であり、
図8(a)は、
図8(b)に示すX方向の切断線に沿った断面図である。また、
図8(c)は、
図7(c)の構造に基づいた、選択成長プロセスの他の一例を示している。
図8(c)に示すように、OHSよりも高い頂面を持つ残存STI402によってフィン構造が取り囲まれているため、ソース/ドレイン領域の選択成長において、選択成長されるソース/ドレイン領域が、残存STI402の上にはなくて残存STI402によって閉じ込められることになる。
【0068】
また、気付くことには、一例において、STI領域上のゲート構造の底面(図示されず)は、ドレイン/ソース領域の底面よりも約10-20nm低くなり得る。
【0069】
図9を参照されたい。
図9(a)は、
図8(b)に示すY方向の切断線に沿った断面図である。
図9(a)に示すように、断面図上では、SEG成長されたp型ドープトシリコンチャネル領域であるQleft及びQrightの両方が明瞭に見える。
図9(b)に示すように、先行技術のY方向濃度プロファイルLYNとY方向濃度プロファイルLYPとがあり、Y方向濃度プロファイルLYNは、
図9(a)に記す破線L1に対応している。同様に、
図9(c)に示すように、先行技術のX方向濃度プロファイルLXNとX方向濃度プロファイルLXPとがあり、X方向濃度プロファイルLXNは、
図9(a)に記す破線L2に対応している。Qleft及びQrightのドーピング濃度(例えば、1×10
16から3×10
18)の方がFinFETのフィンボディのそれ(例えば、5×10
18)よりも低いことが明らかである。また、他の一実施形態において、
図10に示すように、フィン構造は、より良好な短チャネル効果制御のために台形の形状としてエッチングされることができる。さらに、他の一実施形態において、フィンボディはアンドープであってもよい。
【0070】
主な発明ポイントを以下にて説明する。FinFETのドレイン及びソースがどちらも、それらがQleft及びQrightの濃度よりも高い濃度のn型ドーパントでドープされることを除いて、SEG技術によって形成されるので、ドレインとチャネルとの間及びソースとチャネルとの間にそれぞれ明確に作り出されるシームレスなコンタクト領域がどちらも明確に形成される。イオン注入なしで、チャネル、ドレイン、及びソースの全てを形成することが完了され、ドレイン及びソースを形成することの激しい衝撃に起因するダメージを除去するために高温熱アニーリングが必要ない。また、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、を固体壁(例えば
図3に示した酸化物スペーサ304と窒化物スペーサ306)がクランプする。この固体クランプ壁は、FinFETのソース/ドレイン又はゲートの形成中に幅狭フィン構造を倒壊から保護する単層又は他の複合キャップ層とし得る。さらに、STI402(
図4に示した)が更に、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、を包囲又はクランプして、FinFETのソース/ドレイン又はゲートを形成する際に幅狭フィン構造を倒壊から保護する。従って、フィン構造の高さ(例えば60-300nmなど)がFinFETのフィン構造の幅(例えば3-7nmなど)よりも遥かに大きくても、本発明の固体壁によって保護されたフィン構造は、続くプロセス(例えば、ソース/ドレイン形成、ゲート形成など)中に脆弱になりにくい。
【0071】
図6に示したように、本発明の別の1つの利点は、ゲート領域(すなわち、ゲート材料504及び複合キャップ層506)のエッジ上に形成される酸化物2スペーサ802及び窒化物2スペーサ804の厚さが制御可能であるとともに、熱酸化プロセス(
図7に示した)によって形成される酸化物3V層10022及び酸化物3B層10024の厚さも制御可能であるため、(
図8に示したように)ソース/ドレインのエッジをゲート領域のエッジとアライメントすること又は実質的にアライメントすることができ、特に、ソース/ドレインがSEG技術によって形成されることである。従って、本発明によれば、ソース/ドレインのエッジとゲート領域のエッジとの間の相対的な位置又は距離が制御可能であり、ゲート領域のエッジ上に形成されるスペーサの厚さ、及び/又は酸化物層(例えば、
図7に示した酸化物3V層10022などであるが、酸化物3V層10022は
図8で除去される)の厚さに依存し得る。従って、ゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流問題が改善され得るように有効チャネル長Leff(
図8に示す)を制御し得る。
【0072】
他の一実施形態において、
図3に示したモノリシックp型ドープトシリコンの薄いシートチャネル層(半導体層302)を成長させる選択エピタキシャル成長(SEG)技術は必要とされないが、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、をクランプするために、なおも固体壁(例えば
図3に示した酸化物スペーサ304及び窒化物スペーサ306など)は形成される。そして、薄いシートチャネル層(半導体層302)なしで
図4から
図8においてと同様のプロセスを行って、(
図11に示すような)別のフィン構造を形成し得る。当然ながら、他の一実施形態において、フィン構造は、より良好な短チャネル効果制御のために台形の形状としてエッチングされることができる。やはり、
図11に示すように、フィン構造の高さ(例えば60-300nmなど)がフィン構造の幅(例えば3-7nmなど)よりも遥かに大きくても、固体壁によって保護されたこの実施形態のフィン構造は、続くプロセス(例えば、ソース/ドレイン形成、ゲート形成など)中に脆弱になりにくい。ソース/ドレインのエッジとゲート領域のエッジとの間の相対的な位置又は距離が制御可能であり、ゲート領域のエッジ上に形成されるスペーサの厚さ、及び/又は酸化物層(例えば、
図11に示した酸化物3V層10022など)の厚さに依存し得る。従って、GIDL電流問題が改善され得るように有効チャネル長Leffを制御し得る。
【0073】
第2実施形態
図12A、
図12B、
図13、
図14、
図15、
図16、
図17を参照されたい。
図12A、
図12Bは、本発明の第2実施形態に従ったFinFETの製造方法を示すフローチャートであり、
図12A、
図12BにおけるFinFETの製造方法も、FinFETが持つゲート誘起ドレインリーク(GIDL)電流及び短チャネル効果(SCE)を低くすることができ、また、FinFETの活性領域又は幅狭フィン構造をクランプする固体壁を形成することができる。詳細な手順は次の通りである。
【0074】
工程1200:開始。
【0075】
工程1202:p型ウェル202に基づいてパッド酸化物層204を成長させ、パッド窒化物層206を堆積させる(
図3に示す)。
【0076】
工程1204:FinFETの活性領域を画成し、活性領域の外側のOHSに対応するシリコン材料の部分を除去してトレンチ210及びフィン構造を作り出す(
図3に示す)。
【0077】
工程1206:酸化物スペーサ304を形成し、酸化物スペーサ304をエッチバックし、窒化物スペーサ306を形成する(
図3に示す)。
【0078】
工程1208:酸化物層を堆積させ、化学機械研磨(CMP)技術を用いて余分な酸化物層を除去してSTI402を形成する(
図13に示す)。
【0079】
工程1210:STI402上に窒化物膜1302を堆積させる(
図13に示す)。
【0080】
工程1212:窒化物膜1302上に再びSTI402を形成し、活性領域とアイソレーション領域とにまたがるゲートエリアを画成し、ゲートエリアに対応するパッド酸化物層204及びパッド窒化物層206をエッチング除去し、ゲートエリアに対応するSTI402をエッチバックする(
図14に示す)。
【0081】
工程1214:ゲート誘電体材料502を形成し、凹部404内にゲート材料504を堆積させ、次いで、ゲート材料504をエッチバックする(
図14に示す)。
【0082】
工程1216:複合キャップ層506を形成し、CMP技術により複合キャップ層506を研磨する(
図14に示す)。
【0083】
工程1218:STI402の一部をエッチングし、パッド窒化物層206を除去する(
図15に示す)。
【0084】
工程1220:パッド酸化物層204をエッチング除去し、STI402をエッチバックする(
図15に示す)。
【0085】
工程1222:ゲート材料504及び複合キャップ層506のエッジ上に酸化物2スペーサ802及び窒化物2スペーサ804を形成する(
図15に示す)。
【0086】
工程1224:露出したシリコンをエッチング除去する(
図16に示す)。
【0087】
工程1226:酸化物3層1002を熱成長させる(
図16に示す)。
【0088】
工程1228:酸化物3層1002部分をエッチング除去し、次いで、n型低濃度ドープトドレイン(LDD)1102、1104を形成し、次いで、n+ドープトソース1106及びn+ドープトドレイン1108を形成する(
図17に示す)。
【0089】
工程1230:終了。
【0090】
第2実施形態と第1実施形態との間の違いは以下である:
1)工程1208で、
図13に示すように、トレンチ210を完全に充たすように厚い酸化物層を堆積させ、CMP技術を用いて余分な酸化物層を除去し、酸化物層をエッチバックしてSTI402を形成し、ここで、STI402の頂面は、OHSよりも低い特定の高さにされる;
2)次いで、工程1210で、
図13に示すように、STI402上に適切な厚さの窒化物膜1302を堆積させる。気付くことには、窒化物膜1302の延在方向(例えば水平方向など)は、フィン構造をクランプする窒化物スペーサ306の延在方向(例えば垂直方向など)とは異なり、窒化物膜1302を、窒化物スペーサ306を支えるための支持ビーム(梁)とし得る。
【0091】
従って、本発明の第2実施形態は、フィン構造をクランプするための複合構造を提供する。該複合構造は、フィン構造をクランプする支持壁(すなわち、半導体層302、酸化物スペーサ304、及び窒化物スペーサ306)を含み、該支持壁がフィン構造の底部から第1方向(すなわち、垂直方向)に延在する。該複合構造は更に、支持壁の第1方向とは異なる第2方向(すなわち、水平方向)に延在する支持ビーム(すなわち、窒化物膜1302)を含む。支持ビームは支持壁に当接して支持壁を支えることができ、その結果、フィン構造が更に強化され、倒壊が防止される。
【0092】
さらに、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁、をSTI402(
図13に示す)が更に包囲又はクランプして、FinFETのソース/ドレイン又はゲートの形成中に幅狭フィン構造を倒壊するのを防ぐ。
【0093】
また、第2実施形態の目的は、曲げ効果及び落下効果に対する更なるFin保護を確かなものにすることである。
【0094】
さらに、他の一実施形態では、工程1210にて、(
図18に示すように)窒化膜1802が数回堆積され得る。それら複数の堆積窒化膜1802が、窒化物スペーサと組み合わさって、フィン構造を強化し、フィン構造の倒壊を防止し得る。同様に、他の一実施形態では、
図19に示すように、窒化物膜1904が数回堆積され得るとともに、ソース/ドレイン領域に金属-半導体接合を形成することによってソース/ドレイン領域の抵抗が改善され得る。さらに、大部分のソース/ドレインエリアが、酸化物3B層2304及び/又は窒化物3層2402による底構造を含む絶縁材料によってアイソレートされ、ジャンクションリークを大幅に低減させることができる。また、
図19では、この場合にはFinFETのp型ウェル202に直接接続されたソース及びドレインを形成するために、融合半導体ジャンクション・メタルコンダクタ(merged semiconductor junction and metal conductor;MSMC)構造を利用している(2022/11/08に出願された米国特許出願第17/983,348号に開示されており、そのうち対応するコンテンツをここに援用し、簡単のためにそれらの更なる説明は省略する)。
【0095】
図19に示すように、やはり、(1)第2実施形態(
図12A、
図12Bに示す)のフィン構造は固体壁によって保護されるとともに、(2)ソース/ドレインのエッジとゲート領域のエッジとの間の相対的な位置又は距離が制御可能であり、酸化物3V層2302の厚さ(及び/又はゲート領域のエッジ上に形成されるスペーサの厚さ)に依存し得る。また、
図19に示すようにソース/ドレインに融合メタル-半導体ジャンクションを形成することにより、ソース/ドレインの抵抗が改善され得る。さらに、殆どのソース/ドレイン領域が、酸化物3B層2304及び/又は窒化物3層2402による底構造を含む絶縁材料によってアイソレートされ、それ故に、ジャンクションリークを大幅に低減させることができる。
【0096】
他の一実施形態において、
図20Aに示すように、フィン構造を取り囲むSTI領域の頂面の方がフィン構造の頂面よりも高く、その結果、選択成長されるソース/ドレイン領域が、STI領域の上にはなくてSTI領域によって閉じ込められることになる。STI領域とゲート領域との間の穴の中に、そのような穴を作り出すために別のコンタクトマスクを使用することなく、メタルコンタクトプラグを堆積させることができる。また、ソース(ドレイン)領域の頂面、底面、及び側壁がメタルに直接接触し、ソース/ドレイン領域のコンタクト抵抗が劇的に低減され得る。さらに、フィン構造を取り囲むSTI領域上の又はそれを覆うゲート構造の底面(図示されず)の方が、ドレイン/ソース領域の底面よりも約10-20nm低くなり得ることが可能である。
図20Aでは、メタル材料がn+ドープトドレイン2806の頂面、底面、及び1つの側壁を取り囲むか接触するかしている。
【0097】
さらに、(
図20Bに示すような)他の一実施形態において、
図20Aと
図20Bとの間の違いは、堆積TiN2502及び堆積メタル(例えば、タングステン2504)を省略することができ、また、単に窒化物3層2402の頂面を基準として用いて酸化物3V層2302の一部を下にエッチングしてシリコン側壁2702を露出させ、次いで、選択成長技術を利用してn型低濃度ドープトドレイン(NLDD)2802とn+ドープトソース2804及びn+ドープトドレイン2806とを形成し、その後にタングステンのようなメタル(例えば、
図20Bに示すタングステン2504)を堆積させる点である。
図20Bでは、メタルプラグがn+ドープトドレインの頂面と1つの側壁とに接触している。
【0098】
まとめるに、本発明によって提供されるFinFETは、次のように記述される幾つかの利点を有する:
(1)固体壁が形成されて、活性領域又は幅狭フィン構造、特にフィン構造の側壁をクランプする。従って、フィン構造の高さ(例えば60-300nmなど)がフィン構造の幅(例えば3-7nmなど)よりも遥かに大きくても、本発明の固体壁によって保護されたフィン構造は脆弱になりにくい。さらに、追加の梁状構造を設けて固体壁を強化し得る;
(2)ソース/ドレインのエッジとゲート領域のエッジとの間の相対的な位置又は距離が制御可能であり、ゲート領域のエッジ上に形成されるスペーサの厚さ、及び/又は酸化物層(例えば、
図7又は
図16の酸化物3V層など)の厚さに依存し得る;
(3)滑らかなラインエッジラフネスを持つエッチングされた領域内にゲート構造が形成され(
図4)、それ故に、ゲート構造がより滑らかなエッジを持つ;
(4)ソース/ドレインにメタル-半導体ジャンクション(
図20A、
図20B、又は
図19に示した)を形成することにより、ソース/ドレインの抵抗が改善され得る;
(5)大部分のソース/ドレインエリアが、酸化物3B層及び/又は窒化物3層(
図20A、
図20B、又は
図19に示した)による底構造を含む絶縁材料によってアイソレートされ、それ故に、ジャンクションリーク電流を大幅に低減させることができる。
【0099】
また、
図20A、
図20B、又は
図19に示した技術的特徴、ここで説明したゲート形成、及び上述の利点(2)-(5)は、FinFETに適用されることができるだけでなく、他のタイプのトランジスタ(例えば、プレーナトランジスタ)にも適用されることができる。
【0100】
また、選択成長技術を用いてソース/ドレインを形成するとき、それはLDDとその後の高濃度ドープト領域に限定されず、選択成長ソース/ドレインの濃度は、<110>表面から徐々に増加されて、n-からn+へ、又はn-からn++、そしてn+へ、又は他の徐々に変化される、あるいは階段状に変化されるプロファイルで調整され得る。
【0101】
実施形態を参照して本発明を図示して説明してきたが、理解されるべきことには、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、それどころか、添付の請求項の精神及び範囲に含まれる様々な変更及び均等構成をカバーすることを意図している。