(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】空気質測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20250108BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20250108BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20250108BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20250108BHJP
【FI】
G01N1/00 101X
F24F7/007 B
F24F7/003
B01D46/00 F
(21)【出願番号】P 2021116406
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 祥久
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-091542(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
F24F 7/007
F24F 7/003
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流入する流入口、および空気が流出する流出口が設けられている筐体と、
前記筐体内の空気の空気質を測定するセンサと、
前記筐体内の異物を除去する除去装置と、を備え、
前記除去装置は、前記異物を除去する処理を実行する際、空気が流れる向きである風向、空気が流れる速度である風速、および空気が流れる量である風量のうちいずれか少なくとも1つを変化させることによって空気の流動状態を変化させて前記異物を揺動させるものであり、ファン装置を備えており、当該ファン装置を用いて空気の流動状態を変化させるとともに、少なくとも前記異物を揺動させた後のタイミングにおいて定格を超える動作可能な最大能力で前記ファン装置を駆動する空気質測定装置。
【請求項2】
前記除去装置は、定期的に、または、空気質の測定を開始する前に、前記異物を除去する処理を実行する
請求項1記載の空気質測定装置。
【請求項3】
前記流入口に向かう空気の経路を閉鎖する閉鎖部材を備える
請求項1または2記載の空気質測定装置。
【請求項4】
前記異物を回収する回収装置を備え、
前記回収装置は、両端が開口した中空状に形成されていて内部を空気が流れる本体部と、空気の流れを前記本体部の開口とは異なる向きに切り替えるダンパと、常には前記ダンパによって閉鎖されている回収口と、前記異物を除去するために前記回収口が開放された際、前記本体部から前記回収口を通って流入した空気を外部に排出する排出口と、前記排出口に設けられているフィルタと、を備える
請求項1から3のいずれか一項記載の空気質測定装置。
【請求項5】
前記除去装置は、前記異物を除去する処理を実行する際に前記筐体を流れる風速を増加させ、
前記ダンパは、前記回収口を開閉する平板状の
板部材を折り曲げることで空気を受ける受け部が形成されており、前記受け部と逆側の端部を中心として回動可能に設けられていて、常には前記回収口を閉鎖している一方、風速が増加した際には前記受け部に加わる圧力が増加したことに伴って回動し、前記回収口を開放するとともに前記
板部材によって前記本体部の開口への空気の流れを抑制することにより、空気の主たる流れを前記排出口に向かう経路に切り替える
請求項4記載の空気質測定装置。
【請求項6】
居住空間以外の場所に配置され、外部から居住空間に対して空気を供給するための供給経路を流れる空気の空気質を測定する
請求項1から5のいずれか一項記載の空気質測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気質を測定する空気質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調システムに空気質測定装置を設け、居住空間の空気質を良好な状態に維持することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような空気質測定装置は、例えば半導体式や光学式のセンサを備えており、空気に含まれる物質の量や濃度をセンサで測定し、その測定結果に基づいて空気質を測定している。このとき、センサは、その測定原理上、測定対象の空気に露出した状態で設けられている。また、測定対象となる空気は、自然対流や強制対流によって流動している。
【0005】
そして、露出しているセンサの周囲を空気が流れることにより、空気中の例えば埃などの異物がセンサに付着して付着物となり、センサの測定結果に影響を与えるおそれがある。また、センサ以外の部位に付着していた異物が飛散した場合には、本来の空気質とは異なる測定結果になるおそれがある。そのため、空気質を適切に測定するためには、センサの周囲を適切な測定環境にすることが必要になる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定環境をより適切なものにすることができる空気質測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明では、空気質測定装置は、空気が流入する流入口、および空気が流出する流出口が設けられている筐体と、筐体内の空気の空気質を測定するセンサと、筐体内の異物を除去する処理を実行する除去装置と、を備えている。
【0008】
前述のように、空気質測定装置は流入口から流入してきた空気の空気質を測定しており、その空気中に塵や埃などの異物が存在していると、それらがセンサや筐体に付着して付着物となったり、空気中を漂ったりすることで測定結果に影響を与える恐れがある。
【0009】
そこで、筐体内の異物を除去することにより、測定結果に影響を与える異物が排除され、測定環境をより適切なものにすることができる。
【0010】
また、空気質測定装置は、除去装置により異物を除去する処理を実行する際、空気が流れる向きである風向、空気が流れる速度である風速、および空気が流れる量である風量のうちいずれか少なくとも1つを変化させることによって空気の流動状態を変化させて異物を揺動させる。
【0011】
筐体内の異物は、空気の流れによって移動している際に、センサや筐体の内面に引っかかることが想定される。そして、付着した異物は、付着したときと同じ向きや同じ大きさの力が加わったとしても、付着したままになると考えられる。
【0012】
そこで、空気質測定装置は、流動状態を変化させて付着している可能性がある異物を揺動させる。
【0013】
付着した異物は、揺動することによって引っ掛かりが弱まって離脱し易い状態になることが期待できる。また、付着物には付着したときとは異なる向きの力、または異なる大きさの力のうち少なくとも一方の力が加えられるとともに、その力によって付着したときとは異なる姿勢になると考えられる。すなわち、付着した異物を揺動させることにより、付着したときとは異なる状況を作り出すことができる。
【0014】
そして、付着した異物が離脱し易い状態になれば、異物を除去し易くなるとともに、付着したときとは異なる状況になれば再度付着してしまうおそれを低減することができる。これにより、センサや筐体に付着した異物の除去が可能になり、測定環境をより適切なものにすることができる。
【0015】
請求項2に記載した発明では、除去装置は、定期的に、または、空気質の測定を開始する前に、異物を除去するための処理を実行する。これにより、空気の入れ替えが定期的に、または、測定の開始前に行われ、測定対象の空気が新たに取り込まれることから、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができる。また、異物をが長期に渡って付着したまま強固に付着してしまうこと、つまりは、除去し難くなることを抑制できる。
【0016】
また、請求項1に記載した発明では、除去装置は、筐体内に空気の流れを形成するファン装置を備え、当該ファン装置を用いて空気の流動状態を変化させる。これにより、空気の流動状態を容易に変化させることができるとともに、流動状態を変化させるための構成を容易に構築することができる。
【0017】
また、請求項1に記載した発明では、除去装置は、少なくとも異物を揺動させた後のタイミングにおいて定格を超える動作可能な最大能力でファン装置を駆動する。これにより、揺動することで離脱し易くなった異物や揺動させた際に離脱した異物を筐体外に勢いよく排出することができ、再び付着してしまうおそれを低減することができる。
【0018】
請求項3に記載した発明では、流入口に向かう空気の経路を閉鎖する閉鎖部材を備える。これにより、異物を揺動させる際や除去する際に、異物が流入口側に排気されることを抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載した発明では、空気質測定装置は、除去される異物を回収する回収装置を備えている。そして、回収装置は、両端が開口した中空状に形成されていて内部を空気が流れる本体部と、空気の流れを本体部の開口とは異なる向きに切り替えるダンパと、常にはダンパによって閉鎖されている回収口と、異物を除去するために回収口が開放された際、本体部から回収口を通って流入した空気を外部に排出する排出口と、排出口に設けられているフィルタとを備えている。
【0020】
これにより、筐体内から除去された異物を回収口のフィルタで回収することができ、除去された異物が空気質の外部のそのまま廃棄されることを抑制できる。したがって、空気質測定装置の配置環境を汚染するおそれが低減され、除去した異物が再び空気質測定装置の内部に侵入することを抑制できる。
【0021】
請求項5に記載した発明では、除去装置は、異物を除去するための処理を実行する際に筐体を流れる風速を増加させ、ダンパは、回収口を開閉する平板状の板部材を折り曲げることで空気を受ける受け部が形成されており、受け部と逆側の端部を中心として回動可能に設けられていて、常には回収口を閉鎖している一方、風速が増加した際には受け部に加わる圧力が増加したことに伴って回動し、回収口を開放するとともに板部材によって本体部の開口への空気の流れを抑制することにより、空気の主たる流れを排出口に向かう経路に切り替える。
【0022】
これにより、空気の流れによってダンパを自動的に回動させることが可能となることから、ダンパを設けた場合であっても回収装置の構成が複雑化することが抑制され、長期に利用する際の信頼性を向上させることができるとともに、低コスト化を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載した発明では、空気質測定装置は、居住空間以外の場所に配置され、外部から居住空間に対して空気を供給するためのダクトを流れる空気の空気質を測定する。居住空間は日常的に人の出入りが想定される一方、居住空間以外の場所は日常的な人の出入りが無い或いは少ないと考えられる。
【0024】
そして、居住空間以外の場所に空気質測定装置を配置した場合には、空気質測定装置を目にする頻度が少なくなることや、空気質測定装置に近づくことがあまり容易ではないことが想定される。そこで、空気質測定装置に除去装置を設けることにより、人があまり出入りしない空間に空気質測定装置が配置され、定期的な清掃があまり期待できない場合であっても、異物を除去することが可能となり、測定環境を整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態による空気質測定装置の配置例を模式的に示す図
【
図3】空気質測定装置の電気的構成例を模式的に示す図
【
図6】空気の流動状態を変化させる流動パターンの一例を模式的に示す図
【
図9】第2実施形態による空気質測定装置の構成例を模式的に示す図その1
【
図10】空気質測定装置の構成例を模式的に示す図その2
【
図11】空気質測定装置の構成例を模式的に示す図その3
【
図12】空気質測定装置の構成例を模式的に示す図その4
【
図13】空気質測定装置の構成例を模式的に示す図その5
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態では、説明の簡略化のために、共通する部位に同一の符号を付して説明する。
【0027】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、空気質測定装置1は、例えば家屋100の内部に配設されていて、居室等に外気を導入するダクト101に設けられ、当該ダクト101を流れる空気の空気質を測定することを想定している。以下、空気質測定装置1やダクト101が配設されている空間を、居室等の日常的に人が出入りする居住空間102以外の場所として、非居住空間103と称する。なお、非居住空間103は、居住空間102内に扉や仕切などによって区切られた空間であってもよく、平易に言えば日常的な人の出入りが無い或いは少ない空間と考えることができる。
【0028】
ダクト101は、一端が家屋100の外部に開口しており、外気を導入する導入口101aとなっている。この導入口101aには、埃などの侵入を抑制するための導入側フィルタ104や、図示は省略するが外気を強制的に導入するための導入側ファン装置が設けられている。ただし、導入側フィルタ104や導入側ファン装置は必須ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0029】
また、ダクト101は、非居住空間103内で分岐し、分岐先の端部が各居住空間102に開口して空気を供給する供給口105となっている。この供給口105は、図示は省略するが、埃などの侵入を抑制するための供給側フィルタや空気を強制的に供給するための供給側ファン装置などを必要に応じて設けることができる。
【0030】
空気質測定装置1は、非居住空間103に設けられており、ダクト101を流れる空気の空気質を測定する。このとき、空気質測定装置1にはダクト101内に繋がっている案内配管2が接続されており、空気質測定装置1は、案内配管2を通って案内されてきた空気の空気質を測定する。
【0031】
具体的には、空気質測定装置1は、
図2に示すように空気が流れる中空部分を有する筒状の筐体3を備えている。この筐体3は、案内配管2に接続されている図示左方の一端が、筐体3内に空気が流入する流入口3aとなっており、図示右方の他端が、筐体3内から空気が流出する流出口3bとなっている。
【0032】
この筐体3の内面には、空気に含まれる物質の量や濃度を測定する半導体式や光学式のセンサ4が設けられている。本実施形態では、揮発性有機化合物の濃度を測定するためのVOCセンサ4A、PM2.5の濃度を測定するためのPMセンサ4B1およびPMセンサ4B2、二酸化炭素の濃度を測定するためのCO2センサ4Cが設けられている。なお、PMセンサ4Bは光学式のものであり、投光部4Baと受光部4BbがペアとなってPM2.5の濃度を測定する。
【0033】
ただし、ここで示したセンサ4の種類や設置する数は一例であり、温度センサや湿度センサあるいは他の化学物質や花粉等を測定するための他の種類のセンサ4を設ける構成としたり、1種類あるいは4種類以上のセンサ4を設ける構成としたり、1つの測定対象を複数のセンサ4で測定する構成としたりすることができる。
【0034】
また、空気質測定装置1の流出口3bには、ファン装置5が設けられている。このファン装置5は、空気質を測定するために筐体3内の空気を入れ替えること、および、詳細は後述するが筐体3に付着した埃など除去するために設けられている。以下、白抜きの矢印K1にて示すように、筐体3の内部において流入口3aから流出口3bに向かう空気の流れを正風と称し、破線の白抜きの矢印K2にて示すように流出口3bから流入口3aに向かう空気の流れを逆風と称し、空気が流れる向きを風向と称し、空気が流れる速度を風速と称し、空気が流れる量を風量と称し、これら風向、風速および風量を総称して流動状態と称する。
【0035】
空気質測定装置1は、
図3に示すように、制御回路10、測定回路11および通信回路12などを備えている。制御回路10は、マイクロコンピュータで構成されており、空気質を測定する処理、ファン装置5を駆動する処理、通信回路12を介して外部の装置に測定結果を送信する等の通信を行う処理、ならびに、後述するように筐体3に付着した異物を除去するための処理などを実行する。
【0036】
測定回路11は、センサ4のインターフェース回路であり、センサ4に電源を供給する回路やセンサ4の出力を増幅する回路などにより構成されている。通信回路12は、居住空間102に設置されている操作装置13との間で通信を行う。本実施形態では、空気質測定装置1を非居住空間103に配置していることから、通信回路12は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetoos(登録商標)などによって空気質測定装置1と操作装置13との間を無線通信方式で接続している。ただし、空気質測定装置1と操作装置13との間を有線通信方式で接続する構成とすることもできる。
【0037】
操作装置13は、例えば液晶ディスプレイを備えており、空気質測定装置1による測定結果を表示することなどができる。なお、操作装置13は、空気質の結果を表示するための専用のものとすることができるが、居住空間102への空気の供給等を行うためのものや、ホームエネルギーマネジメントシステム用に設けられているものと共用する構成とすることができる。
【0038】
次に、空気質測定装置1の作用について説明する。
前述のように、空気質測定装置1は、空気に含まれる物質の量や濃度をセンサ4で測定し、その測定結果に基づいて空気質を測定している。このとき、センサ4は、その測定原理上、測定対象の空気に露出した状態で設けられているとともに、測定対象となる空気は自然対流や強制対流によって筐体3内を流動する。
【0039】
このとき、空気中を漂う埃などがセンサ4に付着すると、センサ4の測定結果に影響を与えるおそれがある。また、筐体3の内面においてセンサ4以外の部位に付着していた埃などが飛散すると、本来の空気質とは異なる測定結果になるおそれがある。そこで、空気質測定装置1は、空気質を適切に測定するために、センサ4が露出している空気の状態、つまりは、センサ4の測定環境をより適切なものになるようにしている。
【0040】
まず、筐体3の内面に埃などが付着するメカニズムについて
図4を参照しながら検討してみる。以下、理解し易くするために、空気によって運ばれて筐体3の内面やセンサ4に付着するおそれがある埃や塵などの異物について、空気中に漂っている状態では浮遊物20と称し、筐体3の内面やセンサ4に付着した状態では付着物21と称して説明する。このとき、測定対象の物質そのものが付着物21となって筐体3内にとどまり続け、以降の測定結果に影響を与えることも想定される。
【0041】
この
図4に示すように、空気質測定装置1には、矢印K1にて示すように流入口3aから空気が流入すると、空気の流れによって破線にて示す浮遊物20が侵入することがあり。これらの浮遊物20は、例えば浮遊物20Aと浮遊物20Bのように筐体3の内面に付着して付着物21Aや付着物21Bとなったり、浮遊物20Cのように筐体3を通過してそのまま排出されたりすることが想定される。
【0042】
さて、
図4に一部を拡大して示しているように、浮遊物20Aが図示右方への空気の流れによって運ばれ、付着点Pにてセンサ4に接触し、付着して付着物21Aとなったとする。この場合、付着物21Aには空気の流れによって黒矢印F1にて示す力が加わっていたものの、付着点Pに付着したことによりその力が打ち消されて付着したと考えられる。
【0043】
換言すると、付着物21Aは、図示右方への力に対抗して付着点Pに付着していると考えられる。また、付着物21Bについても同様の状況になっていると考えられる。なお、ここでは便宜的に付着点Pにおいて点接触した状態を示しているが、付着物21が筐体3の内面やセンサ4と面接触することも想定される。以下、付着物21と筐体3の内面やセンサ4とに作用する力を便宜的に付着力と称する。
【0044】
そこで、空気質測定装置1は、
図5に示すように、筐体3に付着した異物を除去するための処理、つまりは、付着物21を除去するための処理を実行し、付着物21の除去を試みている。なお、
図5に示す処理は制御回路10によって実行されるものであるが、説明の簡略化のために、以下では空気質測定装置1を主体にして説明する。また、本実施形態では、空気質測定装置1は常に給電されており、
図5に示す処理を繰り返し実行する構成を想定している。
【0045】
空気質測定装置1は、例えば電源がオンされて処理を開始すると、付着物21の除去時期になったか否かを判定する(S1)。この除去時期は、例えば、前回の除去から予め定められた時間間隔が経過した時期、操作装置13から設定された所定の時刻になったとき、空気質の測定を開始するときなど、適宜設定することができる。
【0046】
本実施形態では、除去時期として空気質の測定を開始するときを設定しているが、空気質の測定は例えば1分間隔定などの所定の時間間隔で定期的に行われることから、付着物21の除去も所定の時間間隔で定期的に行われることになる。ただし、付着物21の除去間隔を空気質の測定間隔よりも長くするなど、両者の時期を異ならせる構成とすることもできる。
【0047】
空気質測定装置1は、除去時期になったと判定した場合には(S1:YES)、空気の流動状態を変化させる(S2)。このとき、空気質測定装置1は、例えば
図6にグラフ(G)として示すようにファン装置5の駆動状態を変化させることにより空気の流動状態を変化させる。つまり、本実施形態では、制御回路10とファン装置5とにより、筐体3内に付着した付着物21を除去する除去装置を構成している。
【0048】
以下、空気の流動状態を変化させる際のファン装置5の駆動状態の変化を、流動パターンと称する。このとき、
図6における時刻t1から時刻t4までが付着物21を揺動させる揺動期間に相当し、時刻t5から時刻t6までが筐体3内から付着物21を排出する排出期間に相当し、揺動期間と排出期間とを合わせたものが付着物21の除去を試みる除去期間に相当する。これは、後述する他の流動パターンでも共通する。
【0049】
また、
図6では説明の簡略化のために駆動状態を矩形状に切り替えている流動パターンを示しているが、実際には風向を切り替える立ち上がり時や立下り時には風速が徐々に変化することになる。また、筐体3の大きさは一定であり、測定対象は空気であるため密度が極端に変化することは少ないため、風速と風量とは基本的に概ね比例関係となっており、風速が大きくなれば風量も大きくなる。そのため、以下の説明において風速を風量と置き換えてもほぼ同じ意味合いとなる。
【0050】
さて、空気質測定装置1は、時刻t1において除去時期になったと判定した場合、ファン装置5を逆風つまりは風向が図示左方となる逆風状態とする。このとき、
図7に付着状態として示すように付着物21が例えば付着していたとすると、ファン装置5を逆風状態に駆動することにより、
図7に逆風状態として黒矢印F2にて示すように、付着物21には図示左方への力、すなわち、付着したときの図示右方への力とは逆側の力が加わることになる。
【0051】
その結果、付着物21は、図示左方に揺れることになる。つまり、空気質測定装置1は、付着物21を揺動させている。なお、ファン装置5を逆風状態で駆動した時点で付着物21がセンサ4から離脱することも想定されるが、ここでは説明のために付着したままの状態を示している。
【0052】
続いて、空気質測定装置1は、
図6に示すように例えば時刻t1から時刻t2まで逆風状態での駆動を継続した後、風向が正風となる正風状態にファン装置5を駆動する。これにより、
図7に正風状態として黒矢印F3にて示すように、付着物21には図示右方への力が加わり、付着物21は図示右方に揺れることになる。
【0053】
その結果、付着物21が揺動することで付着状態が変化して付着力が低減することが期待できる。すなわち、付着物21が筐体3の内面やセンサ4から離脱し易くなることが期待できる。なお、逆風状態から正風状態に切り替えた時点で付着物21がセンサ4から離脱することも想定されるが、ここでは説明のために付着したままの状態を示している。
【0054】
このとき、空気質測定装置1は、本実施形態では、逆風と正風との切り替えを所定回数繰り返す。例えば、空気質測定装置1は、ファン装置5を時刻t2から時刻t3まで正風で駆動した後、時刻t3から時刻t4まで逆風で駆動する。この場合、逆風と正風とを切り替える回数は、1回あるいは複数回を任意に設定することができる。
【0055】
ただし、空気質測定装置1は、少なくとも1回の逆風での駆動を実施すればよく、正風への切り替えを実施しなくてもよい。換言すると、空気質測定装置1は、付着物21を除去する際、ファン装置5を逆風で少なくとも1回は駆動し、付着時とは異なる向きの力を加えて付着物21を少なくとも1回揺動させればよい。
【0056】
そして、空気質測定装置1は、空気の流動状態を変化させて付着物21を少なくとも1回揺動させたのち、
図5に示すようにファン装置5を強風駆動する(S3)。この強風駆動とは、ファン装置5を定格駆動よりも風速が大きくなる状態で駆動することを意味している。具体的には、ファン装置5の定格電圧が例えば12Vであり、印加可能な電圧範囲が例えば10V~14Vであった場合、定格駆動では12Vを印加して駆動し、強風駆動では例えば14Vを印加して駆動する。
【0057】
このとき、空気質測定装置1は、逆風時には定格駆動し、正風時には定格駆動よりも風速が小さくなる微風駆動をしている。つまり、最初に付着物21が付着したときと同じ正風時に付着物21に加わる力を、逆風時に付着物21に加わる力よりも小さく抑制している。これにより、付着物21が付着する向きに強い力が加わることを防止している。なお微風駆動とは、空気質を測定する際に空気にある程度の流れを生じさせることが可能な駆動状態であり、筐体3の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0058】
このように、空気の流動状態を変化させて付着物21に加わる力や付着物21の姿勢を変化させることにより、
図7に除去状態として黒矢印F4にて示すように、揺動したことにより付着している部分が離脱し易い状態になっていることから、また、付着した時よりも大きい力が加わることから、付着物21が空気の流れによって筐体3から排出されるようになる。
【0059】
すなわち、付着物21には付着したときとは異なる向きの力、または異なる大きさの力のうち少なくとも一方の力が加えられ、その結果、付着物21が付着したときとは異なる姿勢になり、付着したときとは異なる状況を作り出すことができ、付着物21を除去すること、より厳密に言えば、付着物21の除去を試みることができる。
【0060】
空気質測定装置1は、付着物21を除去するための処理を実行すると、
図5に示すように測定周期になったか否かを判定する(S5)。この測定周期は、本実施形態では1分に設定されているが、数分等の他の値に設定したり、特定の時間に測定するようにしたりすることができる。
【0061】
本実施形態では、
図6に示すように付着物21を除去するための処理が例えば時刻t6で完了した場合、ファン装置5を微風駆動している。そのため、空気質を測定する際には、筐体3の内部を空気が緩やかに流れており、空気質を測定する際の測定環境が整った状態となっている。いる状態となっている。ただし、付着物21の除去後にファン装置5の駆動を停止して、空気質の測定をする際に空気が流れないようにしたり、空気の流れが停止した後所定の待機時間を待機して筐体3内の空気が落ち着いた状態で空気質を測定したりすることで測定環境を整える構成とすることができる。
【0062】
測定環境が整うと、空気質測定装置1は、
図5に示すように空気質を測定し(S6)、空気質の測定結果を操作装置13に対して送信する(S7)。そして、空気質測定装置1は、終了操作があるか否かを判定する(S8)。このとき、終了操作があるか否かは、例えば操作装置13から空気質の測定を行わない旨の操作が入力されたか否かを確認することで判定できる。空気質測定装置1は、終了操作がないないと判定した場合には(S8:NO)、ステップS1に移行する。一方、空気質測定装置1は、終了操作があると判定した場合には(S8:YES)、処理を終了する。
【0063】
ただし、空気質測定装置1は、基本的には電源が供給されている間は常に付着物21を除去するための処理と空気質を測定する処置とを繰り返し実行する。このようにして、空気質測定装置1は、空気質を測定する際の測定環境を整えた上で空気質を測定している。
【0064】
以上説明した空気質測定装置1によれば、次のような効果を得ることができる。
空気質測定装置1は、空気が流入する流入口3a、および空気が流出する流出口3bが設けられている筐体3と、筐体3内の空気の空気質を測定するセンサ4と、筐体3内に付着した付着物21を除去するための処理を実行する除去装置としての制御回路10およびファン装置5と、を備えている。
【0065】
空気質測定装置1は流入口から流入してきた空気の空気質を測定しており、その空気中に塵や埃などの異物が存在していると、それらがセンサや筐体に付着して付着物となったり、空気中を漂ったりすることで測定結果に影響を与える恐れがある。そこで、筐体内の異物を除去することにより、測定結果に影響を与える異物が排除され、測定環境をより適切なものにすることができる。
【0066】
また、空気質測定装置1は、除去装置は、例えば付着物21のような異物を除去するための処理を実行する際、筐体3内の空気の流動状態を変化させて付着物21を揺動させる。これにより、流入口3aから流出口3bへ向かう際に筐体3に付着した付着物21は、付着時とは異なる向きの力が加えられて離脱し易くなるとともに、揺動することによって付着物21の付着状態が変化し、付着力が弱まることを期待でき、付着物21をより除去し易くなると考えられる。
【0067】
そして、付着物21が除去し易くなることで、付着物21を実際に除去できる可能性を高めることができる。したがって、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができる。
【0068】
また、除去装置は、定期的に、または、空気質の測定を開始する前に、付着物21のような異物を除去するための処理を実行する。これにより、空気の入れ替えが行われ、測定対象の空気が新たに筐体3内に取り込まれることから、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができ、測定結果の信頼性を向上させることができる。また、付着物21が長期に渡って付着したままの状態となり、いわゆる頑固な汚れになって除去し難くなることを抑制できる。
【0069】
また、除去装置は、空気が流れる向きである風向、空気が流れる速度である風速、および空気が流れる量である風量のうちいずれか少なくとも1つを変化させることによって空気の流動状態を変化させる。これにより、空気の流れによって付着物21のような異物を揺動させることが可能となり、空気質測定装置1の構成を簡略化することができるとともに、構造が複雑化しないことから長期利用時の信頼性が低下するおそれを低減することができる。
【0070】
このとき、実施形態では除去期間において風向と風速とを変化させているが、風向のみを変化させる構成とすることができる。また、実施形態では最初に逆風にし、付着物21のような異物が付着した時とは異なる向きの力を付着物21に加えることで、付着物21をより離脱させ易くすることができる。さらに、最終的に正風で強風駆動することにより、筐体3の内面から離脱した付着物21を流出口3bから外部への排出を促すことができる。換言すると、付着物21のような異物が流入口3a側に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0071】
また、除去装置は、筐体3内に空気の流れを形成するファン装置5を備え、当該ファン装置5を用いて空気の流動状態を変化させる。これにより、空気の流動状態を容易に変化させることができるとともに、流動状態を変化させるための構成を容易に構築することができる。また、実施形態ではファン装置5を流出口3b側に設ける構成を例示したが、ファン装置5を流入口3a側に設けた場合であっても、上記した処理を実行することにより同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、除去装置は、少なくとも付着物21のような異物を揺動させた後のタイミングにおいて定格を超える動作可能な最大能力でファン装置5を駆動する。これにより、揺動することで離脱し易くなった付着物21、あるいは、揺動期間に離脱した付着物21のような異物を筐体3外に勢いよく排出することができ、再び付着するおそれを低減することができる。
【0073】
また、空気質測定装置1は、居住空間102以外の場所である非居住空間103に配置され、外部から居住空間102に対して空気を供給するための供給経路を流れる空気の空気質を測定する。この場合、非居住空間103は人があまり出入りしないことから空気質測定装置1の清掃が容易ではないものの、除去装置を備えることで、非居住空間103に配置した空気質測定装置1の長期利用時の信頼性を向上させることができる。
【0074】
また、実施形態では逆風と正風とを繰り返す態様の流動パターンを例示したが、例えば
図8に他の流動パターンその1として示すように、逆風と正風とを繰り返す際の風速を異ならせる態様の流動パターンを採用することができる。具体的には、時刻t11から時刻t12までの最初の揺動時の逆風時および正風時の風速と、時刻t12から時刻t13までの2回目の揺動時における逆風時および正風時の風速とを異ならせることができる。
【0075】
あるいは、他の流動パターンその2として示すように、付着物21のような異物を揺動させる揺動期間において風向を逆風のみとしたり、時刻t21から時刻t22まで揺動期間において風速を変化させたりする態様の流動パターンを採用することができる。このように異なる力で付着物21を揺動させることにより、付着物21が離脱し易くなることを期待できる。
【0076】
また、時刻t23から時刻24までの排出期間において風速を変化させる流動パターンとすることもできる。この場合、排出期間中に付着物21がまだ付着している可能性がある場合において、より強い力で付着物21を揺動させることができるため、付着物21の離脱および排出をより期待することができる。これらのように揺動期間や排出期間において異なる力で付着物21を揺動させることにより、付着物21が離脱し易くなることを期待できる。
また、本実施形態の空気質測定装置1により得られる上記した各効果は、後述する第2実施形態においても同様に得ることができる。
【0077】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、除去される付着物21のような異物を回収する構成を備える点において第1実施形態と異なっている。ただし、付着物21のような異物が付着するメカニズム、付着物21を除去するための処理の基本的な流れ、および空気の流動パターンなどは第1実施形態と共通するため、それらについては第1実施形態および
図1から
図8を参照して適宜実施すればよいことから、ここでは説明を省略する。
【0078】
以下、付着物21のような異物を回収する構成と、付着物21をダクト101側に排出させないようにする構成とについて、複数の構成例を示しながら個別に説明する。
【0079】
<構成例その1>
図9に示すように、空気質測定装置1は、付着物21のような異物を回収するための回収装置30を備えている。この回収装置30は、筐体3の内面やセンサ4から離脱した付着物21を回収することを主たる目的としているものの、その構成上、空気中に存在する浮遊物20を回収することもできる。なお、
図9では、図面を見やすくするために一部の構成の符号を省略して示している。また、
図9以降における白抜きの矢印は、その大きさと向きとによって、風向と風速の相対的な大小関係を模式的に示している。
【0080】
具体的には、回収装置30は、両端が開口した中空状に形成されていて内部を空気が流れる本体部31と、空気の流れを本体部31の開口とは異なる向きに切り替えるダンパ32と、常にはダンパ32によって閉鎖されている回収口33と、付着物21を除去するために回収口33が開放された際、本体部31から回収口33を通って流入した空気を外部に排出する排出口34と、排出口34に設けられ、想定される付着物21を回収可能な例えばメッシュ状のフィルタ35とを備えている。以下、本体部31に設けられている開口を、便宜的に第1開口31a、第2開口31bと称する。
【0081】
本構成例の場合、回収装置30は、空気質測定装置1の流入口3a側に位置して設けられており、図示左方側の第1開口31aに案内配管2が接続されており、第2開口31bが流入口3aに接続されている。そのため、測定対象となる空気は、第1開口31aから流入して本体部31内を流れ、第2開口31bから流入口3aに流出する正風で流れることになる。また、逆風時には、流出口3b側に設けられているファン装置5によって第2開口31bから第1開口31aに向かって流れることになる。なお、ファン装置5は、回収装置30と空気質測定装置1との間に位置させる構成とすることもできる。
【0082】
この本体部31には、常にはダンパ32によって閉鎖されていて、本体部31内に開口している回収口33と、ダンパ32が開放された際に回収口33から流入した空気を本体部31の外に排出するための排出口34とが設けられている。つまり、回収装置30は、第1開口31aから流入した空気を、空気質測定装置1に繋がっている第2開口31b、または、本体部31の外部に繋がっている排出口34に切り替え可能な構成となっている。
【0083】
ダンパ32は、回収口33を開閉する平板状の板部材32aの端部を折り曲げることで空気の圧力を受ける受け部32bが形成されており、受け部32bと逆側の端部を中心として回動可能に設けられている。以下、このように回動するダンパ32を回動式とも称する。このダンパ32は、受け部32bが強風時の風向に対向する向き、ここでは第2開口31b側に位置し、回動する際の中心となる回動軸が第1開口31a側に位置するように配置されている。
【0084】
そして、ダンパ32は、測定時として示すように常には回収口33を閉鎖しているとともに、揺動時として示すように付着物21を揺動させる揺動期間においてもその重量によって回収口33を閉鎖した状態となっている。一方、ダンパ32は、強風時として示すように、排出期間においてファン装置5が強風起動された場合には、風速つまりは風量が増加したことに伴い受け部32bに加わる圧力が増加し、その圧力によって回動して立ち上がる。
【0085】
このとき、ダンパ32は、回動側の端部から受け部32bの先端までの長さが、立ち上がった状態で本体部31の中空部分を閉鎖可能に形成されている。そのため、ダンパ32は、流入口3aへの空気の経路を閉鎖する閉鎖部材としても機能する。なお、図示は省略するが、本体部31は断面が矩形状に形成されており、中空部分も断面が矩形状になっている。そのため、ダンパ32の外形も概ね矩形状に形成されている。
【0086】
そのため、排出期間においてファン装置5を逆風で強風駆動した場合には、板部材32aによって本体部31の開口、ここでは図示左方側の第1開口31aつまりはダンパ32側への空気の流れが抑制される。また、回収口33が開放されたことにより、排出期間における空気の流れは排出口34に向かう経路に切り替えられる。
【0087】
このように回動式のダンパ32を設けたことにより、筐体3の内面やセンサ4から離脱した付着物21や、空気中に漂っている浮遊物20のような異物は、回収口33から排出口34に向かう空気の流れに運ばれて、案内配管2側に排出されることなく、排出口34に設けられているフィルタ35によって回収される。なお、説明を理解し易くするために、浮遊物20と付着物21として符号を変更せずに示している。
【0088】
そして、流入口3aから流出口3bへ向かう際に筐体3に付着した付着物21は、付着時とは異なる向きの力が加えられて離脱し易くなるとともに、揺動することによって付着物21の付着状態が変化し、付着力が弱まることを期待でき、付着物21をより除去し易くなると考えられる。そして、付着物21が除去し易くなることで、付着物21を実際に除去できる可能性を高めることができる。
【0089】
したがって、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、付着物21を回収することができ、浮遊物20や付着物21のような異物がダクト101側に排出されることを抑制することができる。
【0090】
また、ダンパ32は空気の圧力によって自動的に回動する回動式であるため、回収装置30を設けたとしても空気質測定装置1の構成を変更する必要が無い。また、このダンパ32は測定時には回収口33を閉鎖した状態になっているため、流入口3aから流出口3bへ向かう空気の流れが阻害される可能性は少なく、空気質の測定に影響を与えるおそれを低減することができる。
【0091】
また、フィルタ35により浮遊物20や付着物21のような異物を回収しているため、空気質測定装置1が配置されている空間にそれらが廃棄されることを抑制できる。また、空気質測定装置1が非居住空間103に配置されている場合であっても、例えば1か月に1回などの所望の間隔でフィルタ35を清掃して目詰まりしないようにすればよいため、利用者に過度の負担がかかることを抑制できる。
【0092】
<構成例その2>
図10に示すように、空気質測定装置1は、付着物21のような異物を回収するための回収装置30を備えている。本構成例の場合、回収装置30の構成自体は構成例その1と共通するため詳細な説明は省略する。本構成例でも同様に、回収装置30のダンパ32の回動軸側の開口を第1開口31a、その逆つまりはダンパ32の受け部32b側の開口を第2開口31bとして説明する。なお、
図10では、図面を見やすくするために一部の構成の符号を省略して示している。
【0093】
本構成例では、空気質測定装置1は、ファン装置5が流入口3a側に設けられており、回収装置30が流出口3b側に接続されている。このとき、回収装置30は、強風時にダンパ32の受け部32bが空気を受けることができるようにするために、第2開口31b側が空気質測定装置1の流出口3bに繋がる状態に配置されている。
【0094】
このような構成の場合にも、測定時として示すように筐体3の内面やセンサ4に付着した付着物21は、揺動時として示すように逆風や正風の空気によって揺動して離脱し易くされ、強風駆動時として示すように強風駆動によって除去された付着物21は、立ち上がったダンパ32によって空気の流れが排出口34に向かうことから回収装置30で回収されることになる。なお、理解し易くするために、異物としての浮遊物20と付着物21として符号を変更せずに示している。
【0095】
したがって、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、付着物21を回収することができ、浮遊物20や付着物21のような異物が排気側つまりは空気質測定装置1が配置されている空間に排出されることを抑制することができる。
【0096】
また、ダンパ32は空気の圧力によって自動的に回動する回動式であるため、回収装置30を設けたとしても空気質測定装置1の構成を変更する必要が無い。また、このダンパ32は測定時には回収口33を閉鎖した状態になっているため、流入口3aから流出口3bへ向かう空気の流れが阻害される可能性は少なく、空気質の測定に影響を与えるおそれを低減することができる。
【0097】
また、フィルタ35により浮遊物20や付着物21のような異物を回収しているため、空気質測定装置1が配置されている空間にそれらが廃棄されることを抑制できる。また、空気質測定装置1が非居住空間103に配置されている場合であっても、例えば1か月に1回などの所望の間隔でフィルタ35を清掃して目詰まりしないようにすればよいため、利用者に過度の負担がかかることを抑制できる。
【0098】
<構成例その3>
図11に示すように、ダンパ32を機械的に駆動する構成とすることができる。具体的には、電気的構成として示すように、空気質測定装置1には、ダンパ32を強制的に駆動するための駆動回路14が設けられている。この駆動回路14は、ダンパ32を回動軸周りに回転させるためのモータ、あるいは、アクチュエータと機械部品との組み合わせによりダンパ32を回動させる回動機構などにより構成することができる。これにより、ダンパ32を任意のタイミングで回動させることが可能となる。
【0099】
このとき、例えば機械的構成その1として示すように、回収装置30を空気質測定装置1の流入口3a側に接続し、上記した
図9にて説明したように付着物21を揺動させ、ダンパ32を回動させて流入口3aへの経路を閉鎖した後、ファン装置5を強風駆動することにより、付着物21のような異物を回収装置30で回収することができる。なお、
図11では、図面を見やすくするために一部の構成の符号を省略して示している。
【0100】
これにより、筐体3の内面やセンサ4に付着した付着物21は逆風や正風の空気によって揺動して離脱し易くなり、強風駆動時に除去された付着物21が立ち上がったダンパ32によって空気の流れが排出口34に向かうことから回収装置30で回収することが可能となり、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
また、ダクト101側への経路が閉鎖されることから、浮遊物20や付着物21のような異物がダクト101側に廃棄されることを抑制することができるとともに、付着物21を回収することができることから空気質測定装置1が配置されている空間に付着物21が廃棄されることを抑制できる。また、ダンパ32を任意のタイミングで回動させることができるため、揺動時にダンパ32を回動させれば揺動中に離脱した付着物21がダクト101側に移動することを抑制することができる。
【0102】
また、空気質測定装置1が非居住空間103に配置されている場合であっても、例えば1か月に1回などの所望の間隔でフィルタ35を清掃して目詰まりしないようにすればよいため、利用者に過度の負担がかかることを抑制できる。
【0103】
あるいは、例えば機械的構成その2として示すように、回収装置30を空気質測定装置1の流出口3b側に接続する構成とすることができる。この場合、回収装置30の排気口には排出用ファン装置36が設けられている。
【0104】
そして、上記した
図10にて説明したように付着物21のような異物を揺動させ、ダンパ32を回動させて流出口3bへの経路を閉鎖した後、排出用ファン装置36を強風駆動することにより、付着物21を回収装置30にて回収することができる。
【0105】
このような構成によっても、筐体3の内面やセンサ4に付着した付着物21のような異物は逆風や正風の空気によって揺動して離脱し易くなり、強風駆動時に除去される付着物21が回動したダンパ32によって空気の流れが排出口34に向かうことから回収装置30で回収することが可能となり、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
また、付着物21のような異物を回収することができることから空気質測定装置1が配置されている空間に付着物21が廃棄されることを抑制できる。また、空気質測定装置1が非居住空間103に配置されている場合であっても、例えば1か月に1回などの所望の間隔でフィルタ35を清掃して目詰まりしないようにすればよいため、利用者に過度の負担がかかることを抑制できる。
【0107】
また、機械的構成例その2の場合、ファン装置5を設けずに、排出用ファン装置36により付着物21を揺動させるとともに強風駆動により付着物21を除去する構成とすることもできる。
【0108】
<構成例その4>
図12に示すように、ダンパ32は、上記した回動式ではなく、本体部31が側面視にてジャバラ状に形成されており、本体部31の内面に設けられているレール37に沿って直動式に伸縮する構成とすることができる。
【0109】
この場合、ファン装置5を回収装置30よりも案内配管2側に設け、排出口34に排出用ファンを設ける構成とするとよい。このような配置とすることにより、測定時として示すようにダンパ32を縮めた状態においては、空気の流れが流出口3bと排出口34とに向かうことから測定に影響を及ぼすことが無いと考えられる。
【0110】
一方、強風駆動時として示すようにダンパ32を伸ばした場合には、ファン装置5との間が閉鎖されるため、排出用ファン装置36を駆動することにより、付着物21のような異物を回収することができる。ただし、付着物21を揺動させる際にもダンパ32を伸ばし、排出用ファン装置36にて付着物21を揺動させる構成とすることもできる。なお、
図12では、図面を見やすくするために一部の構成の符号を省略して示している。
【0111】
このような構成によっても、筐体3の内面やセンサ4に付着した付着物21のような異物は逆風や正風の空気によって揺動して離脱し易くなり、強風駆動時に除去される付着物21が伸長したダンパ32によって空気の流れが排出口34に向かうことから回収装置30で回収することが可能となり、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
また、ダクト101側への経路が閉鎖されることから、浮遊物20や付着物21のような異物が流出口3bから外部に廃棄されることを抑制することができるとともに、付着物21を回収することができることから空気質測定装置1が配置されている空間に付着物21が廃棄されることを抑制できる。また、空気質測定装置1が非居住空間103に配置されている場合であっても、例えば1か月に1回などの所望の間隔でフィルタ35を清掃して目詰まりしないようにすればよいため、利用者に過度の負担がかかることを抑制できる。
【0113】
以上説明した空気質測定装置1によれば、次のような効果を得ることができる。
空気質測定装置1は、付着物21のような異物を除去するための処理を実行する際に筐体3内の空気の流動状態を変化させて異物を揺動させる。これにより、流入口3aから流出口3bへ向かう際に筐体3に付着した付着物21のような異物は、付着時とは異なる向きの力が加えられて離脱し易くなるとともに、揺動することによって付着物21の付着状態が変化し、付着力が弱まることを期待でき、付着物21のような異物をより除去し易くなると考えられることから、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
そして、本実施形態の場合、空気質測定装置1は、筐体3から除去される付着物21を回収する回収装置30を備えている。そして、回収装置30は、両端が開口した中空状に形成されていて内部を空気が流れる本体部31と、空気の流れを本体部31の開口とは異なる向きに切り替えるダンパ32と、常にはダンパ32によって閉鎖されている回収口33と、付着物21のような異物を除去するために回収口33が開放された際、本体部31から回収口33を通って流入した空気を外部に排出する排出口34と、排出口34に設けられているフィルタ35とを備えている。
【0115】
これにより、筐体3内から除去された浮遊物20や付着物21のような異物を回収口33のフィルタ35で回収することができ、除去された異物が空気質の外部のそのまま廃棄されることを抑制できる。したがって、空気質測定装置1の配置環境を汚染するおそれが低減され、除去した異物が再び空気質測定装置1の内部に侵入することを抑制できる。
【0116】
また、除去装置は、付着物21のような異物を除去するための処理を実行する際に筐体3を流れる風速を増加させる。そして、ダンパ32は、回収口33を開閉する平板状の板部材32aと、当該板部材32aから立ち上がって設けられていて空気を受ける受け部32bとを備えており、受け部32bと逆側の端部を中心として回動可能に設けられていて、常には回収口33を閉鎖している一方、風速が増加した際には受け部32bに加わる圧力が増加したことに伴って回動し、回収口33を開放するとともに板部材32aによって本体部31の開口への空気の流れを抑制することにより、空気の主たる流れを排出口34に向かう経路に切り替える。
【0117】
これにより、空気の流れによってダンパ32を自動的に回動させることが可能となることから、ダンパ32を設けた場合であっても回収装置30の構成が複雑化することが抑制され、長期に利用する際の信頼性を向上させることができるとともに、低コスト化を図ることができる。
【0118】
また、ダンパ32は、本体部31の開口を開放した際、流入口3aに向かう空気の流れを抑制する。これにより、除去された異物が流入口3a側に廃棄されることを抑制できる。
【0119】
また、空気質測定装置1は、回収口33に設けられ、当該回収口33から空気を外部に排気する回収側ファンを備える。これにより、ファン装置5による空気の流れがダンパ32によって遮られる状況であっても、浮遊物20や付着物21のような異物を回収することができる。
【0120】
また、空気質測定装置1は、浮遊物20や付着物21のような異物を収集するフィルタ35を備える。これにより、筐体3内から除去された浮遊物20や付着物21が空気質測定装置1の外部に排気されることが抑制され、空気質測定装置1の配置環境の汚染を低減することができるとともに、除去した浮遊物20や付着物21が再び空気質測定装置1の内部に侵入することを抑制できる。
【0121】
本発明は上記した、或いは、図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変形又は拡張することができるとともに、それらの変形や拡張は均等の範囲に含まれる。
【0122】
例えば、空気質測定装置1は、
図13に構成例その5として示すように、第1実施形態の構成に対して流入口3a側を塞ぐ閉鎖部材としてのシャッター40を設ける構成とすることができる。シャッター40は、測定時(無風)として示すように、筐体3の内面の天井から回動可能に吊り下げられていて、筐体3の内面の底部に設けられている規制部材41により流出口3b側への回動を規制する態様で設けられている。なお、
図13では、図面を見やすくするために一部の構成の符号を省略して示している。
【0123】
また、シャッター40は、天井から吊り下げされている状態において底面に接しない長さであって、流出口3b側への回動が所定の角度(α)に制限された態様で設けられている。なお、角度(α)は、シャッター40が回動した際に天井に接しない角度であればよい。また、図示は省略するが、案内配管2と空気質測定装置1の流入口3aとの間にアタッチメントを取り付け、そのアタッチメントにシャッター40および規制部材41を設ける構成とすることもできる。
【0124】
このシャッター40は、例えばプラスチック等の軽量材料で、正風駆動として示すようにファン装置5により正風で空気が流れた際に流入口3aを少なくとも一部開放した状態に回動可能な形状および重量で形成されている。そのため、無風状態では、シャッター40は流入口3aを閉鎖した状態となっている。なお、無風状態は、ファン装置5を駆動していない状態、あるいは、測定値の揺らぎを抑えるために空気がごく緩やかに流れている状態を意味している。
【0125】
シャッター40は、正風駆動として示すように、空気がある程度流れた場合には、回答して流入口3aからの空気の経路を少なくとも一部開放する。これにより、測定対象の空気の入れ替えが可能になる。一方、シャッター40は、逆風駆動として示すように、ファン装置5により逆風で空気が流れた際には、流入口3aを閉鎖して浮遊物20や付着物21がダクト101側に排出されることを抑制できる。
【0126】
そして、シャッター40は、強風駆動時として示すように、正風の風速や風量が大きくなった場合には、回動が大きくなることで流出口3bがさらに開放され、十分な風量を確保することができ、筐体3の内部から浮遊物20や付着物21のような異物を排出することができる。なお、理解し易くするために、浮遊物20と付着物21として符号を変更せずに示している。
【0127】
このような構成によっても、筐体3の内面やセンサ4に付着した付着物21は逆風や正風の空気によって揺動して離脱し易くなり、強風駆動時に除去される付着物21が空気の流れによって排出され、その際に空気の入れ替えが行われて測定対象の空気を取り込むことができ、空気質を測定する際の測定環境をより適切なものにすることができるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、ダンパ32が回収口33を開閉する際や、シャッター40が規制部材41と接触する際の音を消音する消音部材を設ける構成とすることができる。消音部材は、例えば回収口33の縁にゴムなどの弾性部材を張り付けたり、リブ状の弾性部材を配置したりすることで構成することができる。また、シャッター40あるいは規制部材41に弾性部材を張り付けたり、規制部材41そのものを弾性部材で形成したりすることにより消音部材を構成することもできる。
【符号の説明】
【0129】
図面中、1は空気質測定装置、3は筐体、3aは流入口、3bは流出口、4はセンサ、5はファン装置(除去装置)、10は制御回路(除去装置)、14は駆動回路(除去装置)、20は浮遊物(異物)、21は付着物(異物)、30は回収装置、32はダンパ(閉鎖部材)、32bは受け部、33は回収口、34は排出口、35はフィルタ、40はシャッター(閉鎖部材)、101はダクト、102は居住空間、103は非居住空間を示す。