(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-20
(54)【発明の名称】戦闘射撃用四重反転プロペラティルトロータードローン、ドローンシステム、ならびにドローンの操作方法
(51)【国際特許分類】
B64U 20/80 20230101AFI20250110BHJP
B64U 30/24 20230101ALI20250110BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20250110BHJP
B64U 10/14 20230101ALI20250110BHJP
F41A 27/00 20060101ALI20250110BHJP
B64U 101/18 20230101ALN20250110BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20250110BHJP
【FI】
B64U20/80
B64U30/24
B64U20/87
B64U10/14
F41A27/00
B64U101:18
B64U101:30
(21)【出願番号】P 2024113690
(22)【出願日】2024-06-27
【審査請求日】2024-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524265932
【氏名又は名称】深澤 和希
(72)【発明者】
【氏名】深澤 和希
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第6562228(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/152952(WO,A1)
【文献】特開2019-60589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 20/80
B64U 30/24
B64U 20/87
B64U 10/14
F41A 27/00
B64U 101/18
B64U 101/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戦闘において、ドローンと標的との間で既製品の銃によって攻撃を行うためのドローンシステムであって、前記ドローンシステムは、二重の二重反転プロペラである四重反転プロペラとティルトローターによる離着陸・航行可能なドローンを備え、前記ドローンの本体前方に設けたドローンカメラと、前記ドローンシステムと連携するピカティニーレール対応の射撃用カメラ、前記ドローン本体の下部に設けられ、アームで繋がれた、上下に自在に傾動可能な傾動機構を持つ、既製品の銃を固定具で固定し、トリガープル装置を配置した銃座を備え、前記ドローンシステムは、前記ドローンを遠隔操縦するために、前記ドローンに設けられた通信手段と通信する操縦装置を備え、前記操縦装置によって、前記ドローンのドローンカメラと、前記ドローンシステムの射撃用カメラから送信される画像に基づいて、前記ドローンの航行制御信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するとともに、前記ドローン下部銃座のトリガープル装置を作動させる作動信号を、前記ドローンに設けられた通信手段に送信し、前記ドローン下部銃座の傾動機構を作動させる作動信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するように構成したことを特徴としたドローンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンと標的の間で、例えば突撃銃、拳銃などの発射により、射撃を行うためのドローン、そのための新たな航行方法を含むドローンシステムと、上記ドローンの操縦方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローンを活用して、上空から、敵部隊を観測したり、ドローンを利用して、物資の運搬を行ったり、ドローンによる自爆攻撃を行うなど、昨今では、軍事的な利用分野が拡大している。
【0003】
このようなドローンの操縦方法として、従来、無線通信による遠隔操縦装置、端末情報機器を利用して、操縦する方法が行われている。
【0004】
また、最近では、射撃用ドローンSongar(Asisguard製)の様な特注の銃器を持つ射撃ドローンが存在する。
航空技術に関しては、二重反転プロペラや、ティルトローターを用いた航空機が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6562228
【文献】実全平04-080795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように従来のドローンを利用した戦闘行為では、例えば、調達しやすい既製品の実銃での射撃、また既製品を使うことによる使用銃器の交換のしやすさなどを実現した銃座を利用して、これらの銃座によって、さらに迅速かつ正確な位置調整ができる航行機構によって、ドローンと標的との間で、正確な射撃による攻撃行為を行えるように構成したシステムが存在しないのが実情である。
【0007】
ところで、例えばこのような銃座と航行機構をドローンに装備し、上記のような攻撃行為を行うことも考えられる。
【0008】
しかしながら、従来のドローン、およびドローンの操縦方法では、例えば、既製の突撃銃を利用して、直下方に位置する標的に対し、即座に射撃を行うことは困難である。
【0009】
また、従来のドローン、およびドローンの操縦方法では、前方及び下方の標的を昼夜問わず狙撃するにあたり、銃器の銃身から離れたカメラ配置と、暗視装置、照準装置に対するアタッチメントの不足により、射撃の精密性が欠けている。
【0010】
さらに、従来のドローン、およびドローンの操縦方法では、操縦者による進行方向と射線方向の同時確認が困難である。
【0011】
それに加えて、従来のドローン、特に二重反転プロペラやティルトローターを使用したものでは、多数のプロペラ機構を最小限の箇所で集中管理し、その航行を効率よく迅速にし、安定化させる機構が欠けている。
【0012】
本発明は、このような現状を鑑み、例えば、従来のドローン、およびドローンの操縦方法では、例えば、既製の突撃銃を利用して、直下方に位置する標的に対し、即座に射撃を行うように構成したドローン、および、ドローンシステム、ならびにドローンの操縦方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、例えば、前方及び下方の標的を昼夜問わず狙撃するにあたり、既成銃器の銃身に沿ったカメラ配置と、暗視装置、照準装置に対するアタッチメントを確保し、射撃の精密性を向上させるように構成したドローン、および、ドローンシステム、ならびにドローンの操縦方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、ドローン操縦者による、ドローンの進行方向と射線方向の同時確認が可能となるように構成したドローン、および、ドローンシステム、ならびにドローンの操縦方法を提供することを目的とする。
【0015】
それに加えて、本発明ではプロペラ機構を最小限の箇所で集中管理し、その航行を効率よく迅速にし、安定化させる機構を実現するように構成したドローン、および、ドローンシステムを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明のドローンシステムは、戦闘において、ドローンと標的との間で既製品の銃によって攻撃を行うためのドローンシステムであって、前記ドローンシステムは、二重の二重反転プロペラである四重反転プロペラとティルトローターによる離着陸・航行可能なドローンを備え、前記ドローンの本体前方に設けたドローンカメラと、前記ドローンシステムと連携するピカティニーレール対応の射撃用連携カメラ、前記ドローン本体の下部に設けられ、アームで繋がれた、上下に自在に傾動可能な傾動機構を持つ、既製品の銃を固定具で固定し、トリガープル装置を配置した銃座を備え、前記ドローンシステムは、前記ドローンを遠隔操縦するために、前記ドローンに設けられた通信手段と通信する操縦装置を備え、前記操縦装置によって、前記ドローンのドローンカメラと、前記ドローンシステムの射撃用カメラから送信される画像に基づいて、前記ドローンの航行制御信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するとともに、前記ドローン下部銃座のトリガープル装置を作動させる作動信号を、前記ドローンに設けられた通信手段に送信し、前記ドローン下部銃座の傾動機構を作動させる作動信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するように構成したことを特徴とする。
【0016】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明のドローンの操縦方法は、戦闘において、ドローンと標的との間で既製品の銃によって攻撃を行うためのドローンの操縦方法であって、前記ドローンシステムは、二重の二重反転プロペラである四重反転プロペラとティルトローターによる離着陸・航行可能なドローンを備え、前記ドローンの本体前方に設けたドローンカメラと、前記ドローンシステムと連携するピカティニーレール対応の射撃用カメラ、前記ドローン本体の下部に設けられ、アームで繋がれた、上下に自在に傾動可能な傾動機構を持つ、既製品の銃を固定具で固定し、トリガープル装置を配置した銃座を備え、前記ドローンシステムは、前記ドローンを遠隔操縦するために、前記ドローンに設けられた通信手段と通信する操縦装置を備え、前記操縦装置によって、前記ドローンのドローンカメラと、前記ドローンシステムの射撃用カメラから送信される画像に基づいて、前記ドローンの航行制御信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するとともに、前記ドローン下部銃座のトリガープル装置を作動させる作動信号を、前記ドローンに設けられた通信手段に送信し、前記ドローン下部銃座の傾動機構を作動させる作動信号を前記ドローンに設けられた通信手段に送信するように構成したことを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、ドローン前部のカメラと、ドローンと連携したカメラからドローン本体を経由して送信される画像に基づいてドローンの航行を制御することができるとともに、ドローン本体下部の傾動機構、トリガープル機構を作動させることができる。
【0018】
これにより、操縦装置を用いて、ドローンの航行を制御して、標的に対して対向して、あるいは追尾して、ドローン本体の下部銃座トリガープル装置を作動させて、標的に射撃することができる。
【0019】
従って、例えば、突撃銃を用いて、ドローンと標的との間で、攻撃行為を行うことができる。
【0020】
また、例えば、下方に位置する標的に対して、攻撃行為を行うことが可能である。
【0021】
さらに、従来の射撃ドローンの操縦方法のように、2人の操縦者が遠隔装置を駆使して、2人の個々の操縦でドローンの航行、射撃などを行なうのではなく、例えば、前部カメラとドローンと連携するカメラを用いることによって1人の操縦者が、操縦装置を用い、一貫して航空操縦、射撃を行うことができるため、攻撃の正確性、迅速性に優れている。
【0022】
また、このように構成することによって、二重の二重反転プロペラである四重反転プロペラとティルトローターを用いて、自由自在な角度の方向に、正確に迅速に、安定して移動することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ドローン本体のドローンカメラと、ドローンと連携するカメラにより、ドローンの航行を制御することができるとともに、ドローン本体下部銃座のトリガープル装置を作動させることができる。
【0024】
これにより、操縦装置を用いて、ドローンの航行を制御して、標的に対して対向して、あるいは追尾して、ドローン本体の下部銃座トリガープル装置を作動させて、標的を射撃することができる。
【0025】
さらに、従来の射撃ドローンの操縦方法のように、2人の操縦者が別々に航行操縦と射撃操作を行うのではなく、ドローン本体のカメラの映像とドローンと連携したカメラの映像を同時に操縦者が把握することで、一貫した操作により、航行操縦と射撃操作を行うことができるので、攻撃の正確性、迅速性に優れている。
【0026】
さらに、本発明によれば、二重の二重反転プロペラである四重反転プロペラとティルトローターによって自由自在な角度の方向に、正確に迅速に、安定して移動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明のドローン10の前方側からの正面図である。
【
図2】
図2は、本発明のドローン10の下方を写した前右方側からの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のドローンシステム30の概略を説明する概略図である。
【
図4】
図4は、本発明のドローンシステム30の概略を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、ドローン10についての前方側からの正面図、
図2は、
図1のドローン10の下方を写した正面前方側からの斜視図である。
【0030】
図1~
図3において、符号10は、全体で本発明のドローンを示している。
【0031】
なお、本明細書において、「ドローン」とは、従来周知のいわゆる赤外線、無線によるラジオコントロールなどの操縦装置で操縦される、例えば、ヘリコプター型、飛行機型などの飛行体を包含するものであって、この実施例のような形式のドローンに限定されるものではない。
【0032】
また、本発明のドローンは、標的とドローンとの間で、例えば、突撃銃、拳銃などの既成の銃を利用したものである。
【0033】
なお、この場合、既成の銃としては、前述した、突撃銃、拳銃などに限定されるものではなく、例えば、非殺傷の発射式スタンガン、その他安全なシューティング装置を用いることができ、何ら限定されるものではない。
【0034】
そして、これらの既成銃によって、標的とドローンとの間で攻撃を行うように構成したものである。
【0035】
本発明のドローン10は、
図1~
図2に示したように、ドローン本体11を備えており、このドローン本体11から延びるティルトローター軸12と、ドローン本体下部11bから延びるアーム16が形成されている。
【0036】
これらのティルトローター軸12には、図示しない駆動モーターを内蔵した、二重反転プロペラを二重に備えた四重反転プロペラ機構13がそれぞれ設けられている。
【0037】
また、ドローン本体11には、その前方11aにドローン前部カメラ14が設けられている。さらに、それとは異なる、ピカティニーレール対応した、精密射撃用カメラとして、ドローン連携カメラ15を別に設ける。
【0038】
さらに、ドローン本体11の底部11bには、例えば、この実施例では、アーム16から延びる銃座21が設けられている。
【0039】
この場合、
図1に示したように、アーム16と銃座21との間には、上下に自在に傾動可能な傾動機構25を介して連結されている。
【0040】
なお、この傾動機構25として、例えば、モーターを使って一方向に回転するように構成したものなど、その他の周知の傾動機構を適宜採用することができ、特に限定されるものではない。
【0041】
そして、銃座21には、銃把はめ込み穴23と、その周囲で既製品の銃を固定する固定具22が設けられている。
【0042】
また、銃座21の後方の固定具22には、トリガープル装置24が設けられている。トリガープル装置24と傾動機構25、ドローン連携カメラ15、ティルトローター軸12、四重反転プロペラ機構13、これら全てにより、採用した既製銃の射撃管制を行う。
【0043】
このように構成される本発明のドローン10は、下記のようなドローンシステム30に用いられるものである。
【0044】
図3は、本発明のドローンシステム30の概略を説明する概略図、
図4は、本発明のドローンシステム30の概略を説明するブロック図である。
【0045】
図3~4に示したように、本発明のドローンシステム30は、ドローン10を遠隔操縦するために、ドローン10に設けられた通信手段32と通信する操縦装置31を備えている。
【0046】
図4に示したように、操縦装置31によって、ドローン本体11のドローン前部カメラ14や、ドローン連携カメラ15から送信される画像に基づいて、例えば、プログラミングに基づいて、または、人が、例えば、操縦装置31に設けた図示しない、いわゆるマスコンを操作することによって、ドローン10の航空制御信号をドローン10に設けられた通信手段32に送信するようになっている。
【0047】
また、
図4に示したように、操縦装置31によって、ドローン10のドローン連係カメラ15から送信される画像に基づいて、例えば、プログラミングに基づいて、または、人が、例えば操縦装置31に設けた図示しない射撃ボタンなどを押すことによって、底部銃座21のトリガープル装置24を作動させる作動信号を、ドローン10に設けられた通信手段32に送信するように構成されている。
これにより、操縦装置31の制御により、底部銃座21のトリガープル装置24を作動させるように構成されている。
【0048】
このように構成することによって、操縦装置31を用いて、ドローン10の航行を制御して、標的に対し、対向、または追尾して、底部銃座21のトリガープル装置24を作動させて標的を攻撃することができる。
【0049】
また、操縦装置31を用いて、ドローン連携カメラ15から送信される画像に基づいて、底部銃座21の傾動機構25とティルトローター軸12と四重反転プロペラ機構13を作動させることができるとともに、底部銃座21のトリガープル装置24を作動させることができる。
【0050】
これにより、底部銃座21の傾動機構25とティルトローター軸12と四重反転プロペラ機構13を作動させて、標的に対して、銃把はめ込み穴23に設置した既成銃で攻撃できる位置にドローン本体11を移動させ、トリガープル装置24を作動させて標的を攻撃することができる。
【0051】
従って、例えば、突撃銃、軽機関銃などの既成銃器を用いて、これらの既成銃器によって、ドローン10と標的の間で攻撃行為を行うことが可能である。
【0052】
また、例えば、下方または直下に位置する標的に対して、攻撃行為を行うことが可能である。
【0053】
さらに、従来のドローンの操縦方法のように、複数の操縦者が別々に、航行、攻撃を行うのではなく、例えば、1人の操縦者が操縦装置31を用い、一貫して航行操縦、攻撃を行うことができるので、攻撃行為の正確性、迅速性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、標的とドローンとの間で、例えば、軽機関銃などの銃器により、攻撃を行うためのドローン、そのためのドローンシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 ドローン
11 ドローン本体
11a ドローン前部
11b ドローン下部
12 ティルトローター軸
13 四重反転プロペラ機構
14 ドローン前部カメラ
15 ドローン連携カメラ(ピカティニーレール対応)
15a 連携カメラ配線
16 アーム
21 銃座
22 固定具(ベルト)
23 銃把はめ込み穴
24 トリガープル装置
25 傾動機構
30 ドローンシステム
31 操縦装置
31a 操縦装置画面
31b ピクチャインピクチャ画面
32 通信手段
33 制御装置
【要約】 (修正有)
【課題】 戦闘において、銃座に据えられた既製品の銃を用いて、正確に自由自在に標的を攻撃するように構成したドローン、ならびに、ドローンの操縦方法を提供する。
【解決手段】 ドローン本体11のドローン前方11aに設けられたドローン前部カメラ14とピカティニーレール対応のドローン連携カメラ15と、ドローン本体11のドローン下部11bに設けられ、アーム16に接続された上下に自在に傾動可能な傾動機構25によって連結された銃座21を備える。また、迅速で正確な移動のための二重反転プロペラを二重にした四重反転プロペラ12とティルトローター軸13を備える。
【選択図】
図1