(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-07
(45)【発行日】2025-01-16
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20250108BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250108BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250108BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20250108BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20250108BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/60
A61K8/45
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020210226
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相良 俊典
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-176067(JP,A)
【文献】特開2020-033278(JP,A)
【文献】特開2015-071596(JP,A)
【文献】特開2002-212029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)~(f)
(a)ダイマー酸エステル
(b)リンゴ酸ジイソステアリル
(c)1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール
(d)ショ糖脂肪酸エステル
(e)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(f)ペンチレングリコール
を含有し、成分(a)の含有量が0.05~2.0重量%であり、成分(b)の含有量が0.5~6.0重量%であり、成分(c)の含有量が12.0~25.0重量%であり、成分(d)と成分(e)の総量が1.0~3.0重量%であり、重量比(e)/(d)が0.5~12.0であり、成分(f)の含有量が1.0~5.0重量%であり、防腐剤を含まないことを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記成分(a)がダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)である請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(d)がパルミチン酸スクロースであり、前記成分(e)がラウリン酸ポリグリセリル-10である請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アルコールの含有量が多い場合でも、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感を持ち、経時安定性に優れた、防腐剤を含まない水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、敏感肌であると自覚する消費者が増加している。敏感肌とは刺激に対する応答としてかゆみや痛み、チクチク感など通常は引き起こされない不快な感覚が発生する肌であるとされ、敏感肌の特徴としては主にバリア機能の低下や刺激閾値の低下、潜在的な炎症性病態が挙げられている。日本人女性における敏感肌意識調査の結果、自身の肌が敏感肌であると意識する消費者は調査対象者の約77%であると報告されている(非特許文献1)。
【0003】
敏感肌においては一般的な化粧品原料についても刺激の原因となることがあるため、敏感肌の消費者からは極力不要な成分を配合しない製品が求められている。特に防腐剤は皮膚の一時的なかゆみやヒリヒリ感といった感覚刺激を引き起こしたり、皮膚の炎症や接触アレルギーの主な原因のひとつとなる場合があるともいわれているため、敏感肌の消費者などからは防腐剤を含まない化粧料が求められている。
【0004】
しかし化粧料の製造段階及び消費者による使用段階における微生物汚染は、腐敗、変敗などを引き起こし、その結果変臭や変色といった品質劣化を生じさせるのみならず、人体に健康被害をもたらす危険性もあるため、化粧料に防腐効果を持たせることは必要不可欠である。そこで、一般的に防腐剤を含まない化粧料には防腐剤と同等の防腐効果を得るために、多価アルコールを組成物中10~20重量%と高配合することが必要となる。しかし、多価アルコールの含有量が多いと塗布後にずるつきやべたつきを感じることがあり、また、経時安定性が悪くなることがある(特許文献1)。
【0005】
これまでに、防腐剤を含まず経時安定性に優れ、べたつき感のない乳化組成物を提供した例としては、1,2-アルカンジオール、界面活性剤、油性物質および水を含有することを特徴とする乳化組成物(特許文献1)が知られているが、多価アルコールが高配合された場合の塗布時のずるつきやべたつきを十分に改善するものではない。また、防腐剤を使用せずに安全性や防腐効果、使用感に優れた皮膚外用剤を提供した例として、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,2-ペンタンジオールを含有することを特徴とする皮膚外用剤(特許文献2)が知られているが、多価アルコールが高配合された場合の経時安定性に優れているとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】香粧品科学研究開発専門誌 フレグランスジャーナル(2019-5) P.42-46
【文献】特開2003-081761号公報
【文献】特開2003-238328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多価アルコールの含有量が多い場合でも、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感を持ち、経時安定性に優れた、防腐剤を含まない水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、次の成分(a)~(f)
(a)ダイマー酸エステル
(b)リンゴ酸ジイソステアリル
(c)1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール
(d)ショ糖脂肪酸エステル
(e)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(f)ペンチレングリコール
を含有し、成分(a)の含有量が0.05~2.0重量%であり、成分(b)の含有量が0.5~6.0重量%であり、成分(c)の含有量が12.0~25.0重量%であり、成分(d)と成分(e)の総量が1.0~3.0重量%であり、重量比(e)/(d)が0.5~12.0であり、成分(f)の含有量が1.0~5.0重量%である、防腐剤を含まない水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記成分(a)がダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)である水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記成分(d)がパルミチン酸スクロースであり、前記成分(e)がラウリン酸ポリグリセリル-10である水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型乳化化粧料は、多価アルコールの含有量が多い場合でも、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感を持ち、経時安定性に優れた、防腐剤を含まない水中油型乳化化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の成分(a)ダイマー酸エステルの含有量は、水中油型乳化化粧料に対して0.05~2.0重量%であり、より好ましくは0.1~1.0重量%である。これらの範囲において、経時安定性に優れ、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感が得られる。本発明の成分(a)の含有量が0.05重量%より小さい場合、経時安定性が悪くなったりずるつきを感じることがあり、2.0重量%より大きい場合、べたつきを感じることがある。
【0013】
本発明で用いられる成分(a)ダイマー酸エステルの具体例としては、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレート等が挙げられる。これらのうち、より安定な乳化化粧料を得る観点から、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が好ましいものとして挙げられ、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が最も好ましい。
【0014】
本発明で用いられる成分(a)ダイマー酸エステルは通常の化粧料に用いられるものであれば何れのものも用いることができる。ダイマー酸エステルは市販品を用いることが可能であり、例えば、日本精化社製のPlandool-HやLUSPLAN DD-DA7を用いることができる。
【0015】
本発明の成分(b)リンゴ酸ジイソステアリルの含有量は、水中油型乳化化粧料に対して0.5~6.0重量%であり、より好ましくは1.0~4.0重量%である。これらの範囲において、経時安定性に優れ、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感が得られる。本発明の成分(b)の含有量が0.5重量%より小さい場合、経時安定性が悪くなったりずるつきを感じることがあり、6.0重量%より大きい場合、経時安定性が悪くなったりべたつきを感じることがある。
【0016】
本発明で用いられる成分(b)リンゴ酸ジイソステアリルは通常の化粧料に用いられるものであれば何れのものも用いることができる。リンゴ酸ジイソステアリルは市販品を用いることが可能であり、例えば、日清オイリオ社製のコスモール222Sやナショナル美松社製のエステロールDISMを用いることができる。
【0017】
本発明の成分(c)1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールの含有量は、水中油型乳化化粧料に対して12.0~25.0重量%である。この範囲において、経時安定性に優れ、塗布後にずるつきやべたつきを感じることがなく、防腐効果が十分に得られる。本発明の成分(c)の含有量が12.0重量%より小さい場合、防腐効果が十分に得られないことがあり、25.0重量%より大きい場合、経時安定性が悪くなったりずるつきを感じることがある。
【0018】
本発明に用いられる成分(d)ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、好ましくはショ糖の少なくとも一つの水酸基が、炭素数16以上の脂肪酸とエステル結合を形成しているものであり、より好ましくはパルミチン酸スクロースである。
【0019】
本発明で用いられる成分(d)ショ糖脂肪酸エステルは本発明の水中油型乳化化粧料において、乳化剤として機能するものであり、通常の化粧料に用いられるものであれば何れのものも用いることができる。ショ糖脂肪酸エステルは市販品を用いることが可能であり、例えば、三菱ケミカルフーズ社製のサーフホープ SE COSME C-1616やサーフホープ SE COSME C-1816を用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる成分(e)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、好ましくはラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはラウリン酸ポリグリセリル-10である。
【0021】
本発明で用いられる成分(e)ポリグリセリン脂肪酸エステルは本発明の水中油型乳化化粧料において、乳化剤として機能するものであり、通常の化粧料に用いられるものであれば何れのものも用いることができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは市販品を用いることが可能であり、例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL Decaglyn 1-LやNIKKOL Decaglyn 1-Mを用いることができる。
【0022】
本発明に用いられる成分(d)ショ糖脂肪酸エステルと成分(e)ポリグリセリン脂肪酸エステルの総量は1.0~3.0重量%であり、重量比(e)/(d)が0.5~12.0である。この範囲において、経時安定性に優れ、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感が得られる。総量や重量比が上記の範囲にない場合は、経時安定性が悪くなることがある。
【0023】
本発明の成分(f)ペンチレングリコールの含有量は、水中油型乳化化粧料に対して1.0~5.0重量%である。この範囲において、経時安定性に優れ、塗布後にずるつきやべたつきを感じることがなく、防腐効果が十分に得られる。本発明の成分(f)の含有量が1.0重量%より小さい場合、防腐効果が十分に得られないことがあり、5.0重量%より大きい場合、経時安定性が悪くなったりずるつきを感じることがある。
【0024】
本発明における防腐剤とは、一般的に皮膚外用剤において防腐剤として用いられているものを指す。具体的には、フェノキシエタノール、安息香酸およびその塩類、サリチル酸およびその塩類、フェノール、ソルビン酸およびその塩類、デヒドロ酢酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類(例えばメチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、クロルクレゾール、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリウム、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、感光素201号、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液、ビサボロール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、トリクロロ・サリチルアニリド(TCSA)、トリブロモ・サリチルアニリド(TBS)等が挙げられる。
【0025】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いられる油性基剤としては、特に限定されないが、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素類; キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、みつろう、パラフィンワックス等のワックス類;ヤシ油、パーム油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、シア脂、ホホバ油等の植物油脂類;レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジン酸、環状リゾホスファチジン酸またはその塩、リゾレシチン等のリン脂質類;コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール等のステロール類;ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル等のモノアルコールカルボン酸エステル類;乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油等のオキシ酸エステル類;ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体等が例として挙げられる。又、油性基剤の総量は特に限定されないが、成分(d)ショ糖脂肪酸エステルと成分(e)ポリグリセリン脂肪酸エステルの総量1重量%に対して、油性基剤の総量が3~14重量%であることが好ましい。
【0026】
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記必須成分の他に、通常の化粧料に用いられる成分として、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粉体、香料、キレート剤、着色剤、美容成分等を、本発明の効果を損なわない範囲にて含有することができる。
【0027】
本発明の水中油型乳化化粧料は、美容液、乳液、クリーム、パック料等の基礎化粧料に適用可能である。尚、本発明の水中油型乳化化粧料の形態としては、乳液状、クリーム状、固形状等の何れでも良い。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、含有量については、他に指定のない限り重量%を表す。
【0029】
(製造方法)
(d)ショ糖脂肪酸エステル、(e)ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンを均一混合させた中に、均一加熱混合させた(a)ダイマー酸エステル、及び(b)リンゴ酸ジイソステアリルを含む油相を混合し、80℃に加熱した。一方、(c)1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール及び(f)ペンチレングリコールを含む水相を80℃に加熱したのちに油相に添加して乳化した後、冷却して水中油型乳化化粧料を得た。
【0030】
下記の表1~5に挙げた組成を有する水中油型乳化化粧料を調製し、下記試験法により、経時安定性および使用性(各化粧料使用直後の「ずるつきの無さ」、「べたつきの無さ」)を評価した。結果を表1~5に示した。
【0031】
(評価方法)
経時安定性試験
試料を4℃で1か月間放置した後の外観を、目視及び顕微鏡にて観察し、下記の基準に従って判定した。
〇:分離・乳化粒子の凝集が全くみられなかった。
×:分離あるいは乳化粒子の凝集が生じた。
【0032】
使用性(ずるつきの無さ)
女性専門パネル(15名)による使用試験を実施し、塗布中のずるつき感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:ずるつき感がないと評価した人が12名以上。
○:ずるつき感がないと評価した人が8~11名。
△:ずるつき感がないと評価した人が4~7名。
×:ずるつき感がないと評価した人が3名以下。
【0033】
使用性(べたつきの無さ)
女性専門パネル(15名)による使用試験を実施し、塗布後のべたつき感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:べたつき感がないと評価した人が12名以上。
○:べたつき感がないと評価した人が8~11名。
△:べたつき感がないと評価した人が4~7名。
×:べたつき感がないと評価した人が3名以下。
【0034】
【表1】
※1 サーフホープ SE COSME C-1616(三菱ケミカルフーズ社製)
※2 NIKKOL Decaglyn 1-L(日光ケミカルズ社製)
※3 ODM(高級アルコール工業社製)
※4 クロピュア メドフォーム-LQ-(JP)(クローダジャパン社製)
※5 Plandool-H(日本精化社製)
※6 LUSPLAN DD-DA7(日本精化社製)
※7 クロラータム V(クローダジャパン社製)
※8 エステロールDISM(ナショナル美松社製)
※9 Ceramide TIC-001(高砂香料工業社製)
【0035】
表1の実施例1~6に示したように、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)もしくはダイマージリノール酸ダイマージリノレイルを0.05~2.0重量%含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例1、2に示したように、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)を0.05重量%より少なくもしくは2.0重量%より多く含有した場合、ずるつきの無さやべたつきの無さ等において満足する結果が得られなかった。さらに、比較例3に示したように、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)の代わりにワセリンを含有した場合、べたつきの無さにおいて満足する結果が得られなかった。
【0036】
【表2】
※10 Plandool-LG2(日本精化社製)
【0037】
表2の実施例7~10に示したように、リンゴ酸ジイソステアリルを0.5~6.0重量%含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例4、5に示したように、リンゴ酸ジイソステアリルを0.5重量%より少なくもしくは6.0重量%より多く含有した場合、ずるつきの無さやべたつきの無さ等において満足する結果が得られなかった。さらに比較例6に示したように、リンゴ酸ジイソステアリルの代わりにラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を含有した場合、ずるつきの無さやべたつきの無さにおいて満足する結果が得られなかった。
【0038】
【0039】
表3の実施例11~16に示したように、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールを12.0~25.0重量%含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例7に示したように、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコールを25.0重量%より多く含有した場合、ずるつきの無さや経時安定性において満足する結果が得られなかった。
【0040】
【表4】
※11 NIKKOL HCO-40(日光ケミカルズ社製)
【0041】
表4の実施例17~22に示したように、パルミチン酸スクロースとラウリン酸ポリグリセリル-10の総量が1.0~3.0重量%且つ、ラウリン酸ポリグリセリル-10/パルミチン酸スクロースで表される重量比が0.5~12.0である場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例8~13に示したように、パルミチン酸スクロースとラウリン酸ポリグリセリル-10の総量が1.0~3.0重量%且つ、ラウリン酸ポリグリセリル-10/パルミチン酸スクロースで表される重量比が0.5~12.0という条件に当てはまらない場合や、比較例14~16に示すようにその他の活性剤を用いた場合、経時安定性において満足する結果が得られなかった。
【0042】
【0043】
表5の実施例23~25に示したように、ペンチレングリコールを1.0~5.0重量%含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、比較例17に示すように、ペンチレングリコールを5.0重量%より多く含有した場合、ずるつきの無さや経時安定性において満足する結果が得られなかった。
【0044】
次に、本発明のその他の実施例を示す。実施例26~28のいずれにおいても、塗布後にずるつきやべたつきを感じることなく、経時安定性にも優れていた。
【0045】
(実施例26:美容液)
(成分) (重量%)
(1)グリセリン 3.0
(2)パルミチン酸スクロース ※1 0.7
(3)ラウリン酸ポリグリセリル-10 ※2 0.7
(4)スクワラン 3.0
(5)ミリスチン酸オクチルドデシル ※3 3.0
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) ※5 0.5
(8)リンゴ酸ジイソステアリル ※8 2.5
(9)セラミド2、セラミド3、セラミド6、フィトステロールズ、水添レシチン
※12 0.1
(10)精製水 残 余
(11)カルボマー 0.2
(12)加水分解コラーゲン 0.1
(13)ヒアルロン酸Na 0.1
(14)1,3-ブチレングリコール 10.0
(15)ペンチレングリコール 3.0
(16)ジプロピレングリコール 7.0
(17)中和剤 適 量
※12 Phytocompo-C(日本精化社製)
【0046】
(製造方法)
成分1~3を均一混合させた中に、均一加熱混合させた成分4~9を混合し油相とする。一方、成分10~17を80℃に加温したのちに、同じく80℃に加温した油相に添加して乳化した後、30℃まで冷却して美容液を得た。
【0047】
(実施例27:クリーム)
(成分) (重量%)
(1)ステアリン酸スクロース ※13 1.2
(2)ミリスチン酸ポリグリセリル-10 ※14 1.6
(3)グリセリン 7.5
(4)スクワラン 5.0
(5)ホホバ種子油 ※15 9.0
(6)水添ポリイソブテン ※16 4.5
(7)テオブロマグランジフロルム種子脂 ※17 5.5
(8)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) ※5 2.0
(9)リンゴ酸ジイソステアリル ※8 3.0
(10)ベヘニルアルコール 0.5
(11)セラミド2 ※9 0.1
(12)精製水 残 余
(13)カルボマー 0.2
(14)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
0.2
(15)ヒアルロン酸Na 0.01
(16)プロピレングリコール 8.0
(17)1,3-ブチレングリコール 8.0
(18)ペンチレングリコール 2.0
(19)ジプロピレングリコール 4.0
(20)中和剤 適 量
※13 サーフホープ SE COSME C-1816(三菱ケミカルフーズ社製)
※14 NIKKOL Decaglyn 1-M(日光ケミカルズ社製)
※15 NIKKOL ホホバ油 E(日光ケミカルズ社製)
※16 パールリーム EX(日油社製)
※17 クロピュア クパス-SO-(JP)(クローダジャパン社製)
【0048】
(製造方法)
成分1~3を均一混合し、均一加熱混合させた成分4~11を混合し油相とする。一方、成分12~20を80℃に加温したのちに、同じく80℃に加温した油相に添加して乳化した後、35℃まで冷却してクリームを得た。
【0049】
(実施例28:パック料)
(成分) (重量%)
(1)グリセリン 3.0
(2)パルミチン酸スクロース ※1 1.2
(3)ラウリン酸ポリグリセリル-10 ※2 1.2
(4)ミネラルオイル ※18 6.0
(5)イソステアリン酸イソステアリル ※19 3.0
(6)ジメチコン ※20 1.0
(7)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) ※5 1.0
(8)リンゴ酸ジイソステアリル ※8 2.5
(9)セラミド2 ※9 0.1
(10)精製水 残 余
(11)酸化チタン 2.0
(12)カルボマー 0.05
(13)キサンタンガム 0.3
(14)ベントナイト 0.5
(15)プロピレングリコール 7.0
(16)1,3-ブチレングリコール 7.0
(17)ペンチレングリコール 3.0
(18)ジプロピレングリコール 8.0
(19)中和剤 適 量
(20)ヒアルロン酸Na 0.1
※18 CARNATION(SONNEBORN IMC社製)
※19 クロダモル ISIS-LQ-(JP)(クローダジャパン社製)
※20 シリコーンSH200オイル 10CS(東レ・ダウコーニング社製)
【0050】
(製造方法)
成分1~3を均一混合させた中に、均一加熱混合させた成分4~9を混合し油相とする。一方、成分10~20を80℃に加温したのちに、同じく80℃に加温した油相に添加して乳化した後、30℃まで冷却してパック料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、多価アルコールの含有量が多い場合でも、塗布後にずるつきやべたつきを感じることのない良好な使用感を持ち、経時安定性に優れた、防腐剤を含まない水中油型乳化化粧料を提供することができる。